2017/06/04

愛で紡ぐ山

最近学んでいること。愛というのは、受け取られることで倍増するということ。

インスボンへ行った報告を、何人かにして、反応は、人それぞれ。嬉しかったのは、ある一人の女性の後輩が、私の好意を受け取ってくれたこと。沢ヤを紹介した。

インスボンは、パートナーの愛だった。

実は私が行く前にガイド中、墜落して踵を骨折したみたいだった。骨折だろう、と言うか、内部にひびが入った状態だと推測。ガイド中だったので、すぐに病院に行かず、翌日はレスキューの講習などをしてお茶を濁したそうだ。すぐに病院、行ってほしかったな。

ビレイがまずくて、距離的にだいぶ落ちたそうだが、ビレイヤーを責められない。ガイドというのは、顧客のビレイの質を期待してはいけないので、落ちた方が悪い。落ちない登りを普通はする。

登攀が楽しくて、ちょっとチャレンジ精神を出してしまったそうだ。チャレンジ精神はガイド中ではなく、プライベートで出さないといけない…。私は彼のビレイには慣れていて、繰り出しの幅も知っているので、出しすぎは、そうないと思う。私と彼は体重差があり、落ちられるとビレイヤーは大変で、どちらかというと、ビレイヤーのほうがリスクにさらされる。だから、あまり大胆な登攀は私とではできないのだ。彼の立場では。

彼本人が落ちないタイプの登りをする人なので、1年ちょっと組んでいるけど、墜落したことがないので、したがって停めたこともない。おなじくらいの体重の人を何度か止めているので、大丈夫とおもうんだけどな。

私が到着した時には、すでにだいぶ良くなっていたそうだ。山やの事故っていうのは、いつも不思議だが、町は歩けないが、山は歩ける。町ではビッコだったが、山に着いたら、ちゃんとしてた。登攀も、なんだか私に遠慮して、易しいのに限定しているみたいで、ホントは、もっと難しいグレードのに登りたそうにしていた。だから、ハヌルキル、行けてよかったな~。

ルートの素晴らしさは、まだ私には分からないが、私はとっても楽しく、あんまりパートナーの不調については、登攀中は気が付かなかった。週の中ごろ、欲を出して、結構遅い時間まで登ったら、二人とも疲れてしまったくらい。たぶん、向こうも、山では、不調ではなかったのかも。町では、なんだか青い顔。私は、目新しい街の様子にキョロキョロしていたんだが。ソウルは大阪の韓国語バージョンでした(笑)。

私たちは体質が似ており、つい熱中し、どかーと疲れる犬みたいな性質なので、どちらかが休憩を言い出すべきで、本当は水曜日は夕方レストだったのだが、月、火と私も調子が良く、すいすい登っていたので、水曜はチャンスのように感じられ、難しいのに行き、遅くまで登った。…ら、木曜は調子が悪かった(笑)。木曜も調子をこいて、ハイグレードにチャレンジしたからだ(笑)。やっぱり水曜はレストを入れるべきだったのだ。

韓国は、予想以上に楽しかったので、夫もハイキングで…と思ったら、夫はソウルより、台湾に行きたいと言う…彼は今、中国語を勉強中だから。台湾って岩場あったっけな?

今回は、彼が自分が長年かけて通い、地元の有名人になるほどに愛した岩場に、初心者の私が楽しく登攀し、白く輝く、砂浜のような岩場に感動して、そして、それが彼にとって一番の栄養、という山だった。

”愛”と言うのは、この場合に当てはめるには、大げさな言葉かもしれないが、岩場を見せてあげたい!とか、困っているなら教えてあげたい!とか、そういう思い…思いやりを発揮したり、受け取ったりの連鎖で、山行というのは、出来上がっていくもの…。

そうでない場合、ちょっと危ない。

例えば、一番簡単な例としては、自己顕示欲、というのがある。これくらいできるってことを示すために登る山。そうなると、プライドで登っているので、判断に一抹の不安を残してしまう…。シビアな判断が必要な時に、プライドによる判断に偏ってしまうとリスクが増える。

■ 後に続く人に…

人はみな、それぞれに、それぞれの戦いがあると思う… その、それぞれの戦いに真摯に向かっていること、それが人生で一番大事なこと。

私の課題の克服に、色々な人がメッセージをくれ、とてもうれしい。…愛を感じる。

…と同時に、その人たちは、もしかして同類ではないか?と思う。

私と同じような苦難を感じているということは、私がそれを乗り越えた経験(まだ乗り越えていないけど…)が、お役にたてないかな~と思うことも多い…。

競争と欲望が支配する、この世の中で、愛に動かされて、山行を紡ぐのは、とても難しい。愛を見つけること自体、稀有なことなのだ。

それを克服(まだしていないけど…)していくには、経験が必要だし、経験は、経験則に落とし込めるハズだ。

まだ、全然発見していないけど…。経験則。でも、私のパートナーは、その経験則を私に伝えようとしていると思う。

例えば、楽しく登攀すること、とか。 これは、登攀自体が内的な褒賞であり、そのものが楽しくて仕方ない、という状態のこと…アーサナでフローに入っている時、みたいなこと。チクセンミハイのフロー、ゾーンと同じです。

最近の成長で、一つ言えることは、今では誰にも理解されない…という孤立感は、なくなったということ。

振り返って、私は、自分に相応しくない人たちのところへ行ってしまっていた。選んだ私の自己責任だ。

人はただ単純に言って、自分に相応しい人たちと一緒に過ごすべきなのだ。私は単純に無知で、一緒に過ごすべきでない人たちのところに行ってしまったらしい。だから、受け入れられもしなかったし、私の側の貢献しようという努力は、ありがたがられもしなかった。

私は、その集団では、向うが正しくて、私の側が間違っているという攻撃を受けて孤立したり、傷ついたりした。が、その攻撃を”受け取る”必要はなかったのだ、ということが最近、分かった。

どちらが正しいと言う問題ではなく、単純に、違う人たちだったのだ。彼らは彼らで、各自の戦いを頑張っていたに過ぎない。

分かりやすく言えば、競争と損得を行動原理とする場に、そうでない人が行くと、嫌な目に合うのは、ただの必然で、原因と結果の法則に過ぎないということです。

多分、今メッセージをくれている人たちは、同じように苦しんでいると思うけれど、孤独のようでいて、ちゃんと同じ人たちは、木がホルモンを出して、好ましくない植物を入れないようにしているのと、同じになっていると思う。

くじけず、皆で、それぞれがそれぞれの課題を克服しつつ、愛の山を紡いでいきましょう!


2017/06/02

商業主義がいかに本質を塗り替えるか

■ 興味深いやりとり

今日はFBで、面白いやりとりを見かけた。

大きな示唆が含まれる内容だったので、記録に残すことにする。

■ こちらのチョークの広告のうたい文句に問題がある

高いフリクションと持続性。ジム、外岩、コンペと欠かせないチョーク「PD9」

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≪ツッコミ≫
最近のフリークライミングは、登るために薬品の力を積極的に利用することが「欠かせない」のですね。これから、より高度な薬品を利用することで、より高難度の課題が登れるようになっていくのが楽しみですね。

ところで、これは広告ではないようですから、PD9が、「ジム、外岩、コンペと欠かせない」というのが、〇〇社の公式見解という理解でよいですよね?

≪広告主≫
こちらの記事はタイアップ広告となっております。
タイアップ広告につきましては、広告であることを示すため記事内にimpressionと表記しておりました。
不十分な表記で誤解を与えてしまったことをお詫び申し上げます。
今後タイアップ広告に関しては、より明確にするためsupported byという表記を追加致します。
何卒よろしくお願い申し上げます。

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■ マーケティングってね

私は、社会人大学院でマーケティングを受講し、評点Aを取っています。そのクラスでは、という限定つきですが、まぁ良く理解した、という意味です。

で、私がマーケティングを勉強して、本当によかったなーと思ったのは、

 いかにして世界が思ったのとは違う方向に来ちゃったのか、理解した

ということです…。

例えば、現実の世界では、洗浄力が強い洗剤は手荒れが起きるのが当然です。手の油脂をとってしまうから。二律背反です。

しかし、マーケターの使命は、手荒れのことには触れず、洗浄力だけを強調することです。

そうすると、その洗剤は売れるのですが、結果としては、手荒れの人を世の中に増やすことになります。

こうして、世の中には二つの世界が出現します。

 お皿がきれいな社会     =善
 手荒れの人がいっぱいの社会 =悪

誰だって良い世の中にしたい!と思っているのです。マーケターもです。

お皿洗いで、簡単に汚れが落ち、キレイなお皿が世の中に増えるのは、善、でしょう。でも、その反面、陰陽でいえば、陰のほうは、マーケティングの掟では、宣伝してはならないのです。そんなこと言ったら、買いますか?買わないでしょう?

だから、善を強調しているだけで、その裏側の悪も、同様にはびこるというわけです。つまり、この例では、手荒れがはびこるということです。

これは、行き過ぎたポジティブ思考と同じ原理です。

■ 実社会に落とし込むと…

それを実社会に実例として示しているのが、上記のやりとりです。

フリークライミングの”フリー”は、自分の肉体しか使わないと言う意味です。具体的にはロープを前進する手段としては使わない。反対語はエイドです。

今では、チョークとクライミングシューズは、エイドには含まれず、良いということになっているし、広義のエイドということならば、クラックでジャミングするときのテーピングなども、エイドじゃんか~と言われたら、言い返せないかもしれないです。

が、ジャミンググローブでも、なんでも、エイドなしで登るのが本来の姿だ…という認識、どこか後ろめたいような気持ちがあります。

この広告には、一切ありませんね(笑)

なので、そこが問題なのです。

チョークをみんなが使うというのは、その通りではありますが、何か自分以外の力を積極的に利用すること、というのは、本来のフリークライミングの精神に反します。

でも、広告は、無邪気で、まったく悪気がないので、するどい人でないとスルーしてしまいます。10人いたら、9人はスルーしてしまうでしょう…

■ impression, supported byで、読者が理解できるか?

理解できませんね(笑)?

ちゃんとしたフリークライミングの原則や理念を、ちゃんとしたクライマーから教わっていない人には、impression, supported byという英語の、しかも意味不明の但し書きがついて、理念と離れたことをしている、という意識が生まれるでしょうか?

無理ですね・・・

ということで、こういう事情で、理想や理念、そもそもの本質と言ったものは失われていくのです。

それが山でも、クライミングでも、ヨガでも起こっていることです。



 

2017/05/31

2点支持の徹底

■ 2点支持の決定

クライミングを始めた初年度、先輩が私のクライミングを見て、

「これで2点支持が身に付けば…」

と言った。

あれから3年…2点支持は身についた。

習得したか、していないか、自分で分かる…それがクライミングの特徴だ。たぶん、クライミングと言うのは、自己コントロールを高める活動なのだろう。

■ クラックとスメア

クラックの登り方は、人によって色々と違う。もちろん、クラックじゃなくても、ムーブの解決の仕方は人に寄りけりで、ボルジムでさえも、違うくらいだから、外岩だと、かなり違う。

クラック登りは、基本的にジャミング。足は、足ジャムもあれば、スメアで登る方法もある。

今回インスボンで、課題になったのは、クラックをスメアで登る登り方…あまり経験がなかったからだ。

経験がないことは、誰でも、まごつく。

5.8の左上クラックは、瑞牆で見た5.10cの左上のクラックと似ていた。3人に2人は、離陸ができないそうだ。それをあらかじめ聞いていたので、頑張ったら、なんとか登れた。もぞもそと動く体幹系だった。

別のワイドで、5.9があり、そこは人が落ちて死んでもいる、か所。5.13登るクライマーも落ちたところだそうだ。それは最初3回落ちて、2回目は1テンで登れた。肝心のスタンスが、よく滑るのだ。たぶん、みんながそこを使うから、磨かれてしまっているのだ。

しかし、これは内面登攀的に、中に入って登っており、あんまりスマートな登り方ではなく、遅いし、疲れる。クラックは中に入らず、外で登った方が早いのである。

それは、カサブランカを登る色々な人を見て、気が付いた。だから、フェイスの技も必要と言えば必要だが…

■ 墜落の要因を見極める

クラックをスメアで登る場合、スメアは足ジャムほど信頼できる支点ではない。

クライミングは、2点支持なので、1点が壊れると、残りの1点では支持できないかもしれない。

ので、2点支持の時は、支持力の不安定なスメアではダメで足ジャムが確実なような気がする。

もちろん、場合によっては、3点支持が取れる。その場合は、対角線上にない、予備の1点くらいは、スメアでもいいのかもしれない。

■ 屋根岩1峰での経験

屋根岩1峰の5.10bをリードで登った時、手繰り墜ちした・・・ビレイヤーが慣れている人だったから、事なきに済んだ。が、あれが別の人だったら…(汗)。

私はいつも全くの初心者の人を連れていることが多い…なので、限界トライはしないで、安心できる登れると分かっている課題しか登らない。

ビレイには経験と反射神経の両方が必要。

特に初心者のクライマー…まだ安定した登りを確立していない人…私のような場合、まだ2点支持が確実でない。あの時は、安定したレスト体制でないギリギリで、ヌンチャクに掛けようとしたため、掛けようとロープを伸ばした瞬間に、バランスが崩れて落ちた。

外岩での手繰り落ちは、初めてで、驚いた。地面から1mくらいで止まった。

実は、人工壁では、まだクライミング数か月の初心者の頃に、無理強いされた課題で、手繰り墜ちたことがあり、床から50cmくらいで止まった。場の空気も凍っていた。

リードは無理強いしてはいけない…ということを、私に無理強いした人は知らなかったらしい… 

クライマーが手繰り墜ちなどで落ちると、周囲の人は、「あのクライマーは安全管理が出来ていないクライマーだ」と烙印を押す。

私はいやだって言ったのに…と思い、その人は、きっと、自分自身も嫌々ながらのリードを強要されて、登っているのだと言うことを理解した。人は自分が育てられたように、次の人を育てようとするハズだからである。

さて、初めて外岩で手繰り墜ちしてからは、人工壁でリードするときも、確実に安定した2点支持体制を作ってから、クリップするように余計慎重になった。3点目は予備です。

私が思うには、クラックをやると、カムセットが必要なので、安定した体制を作って登る、という登りの作り方が学べると思う。

動的ムーブではなく、いちいち安定している、ってことです。

ということは、

1)初心者はスラブで足で登るクライミングを覚える

2)次にクラックで、安定した体制で確実性のあるクライミングをすることを覚える

というのは、安全面から考えて非常に理にかなったクライミングの習得順であると言えると思う。

その次には、私の場合だが、

3)前傾壁(ラオス) 

4)ワイド(インスボン)

がきた。ワイドは体幹の力だから、家では体幹力をアップさせるような筋トレが必要だ。これは今マイソールクラスで、頑張っているところ。

正直、ボルジムに行っても、安定したレスト体制の作り方などは学べない。

…ので、あんまり役立ったって気がそもそもしない。…が、ボルジムしかないなら、ないで、片手をイチイチ離しながら登る、というタイプの登りを徹底するべきだ。

去年は、ジムに通い、指が痛くなってしまった。カチ系のフェイス登りは、どうしても指にくるので、敬遠している。

大人になってからのスポーツで、故障は、ホールドバック以外の何物でもないからだ。

ので、さてさて、という感じだ。ぼちぼちいこか、ですね。 


2017/05/30

A void time

The last week was a void time for me... I was kind of owe struck... realizing how lucky I was and how blessed I was.

Insubong was such climbing.

I was reflecting my past few years of climbing... did I do such something that I deserve this fortune?

I had spent so many hours and so much passions to my climbing these days... and that was kind of intense.   That came from knowing the situation that allows me to climb natural rock so easily, i.e., nearby rock was only 30min from my house then...is NOT permanent conditions.

People do not appreciate what they already have.

So visitors are fortunate to escape from such mind trap. I was aware that I don't live there forever so I DID what I can maximally, which was proceeding free climbing and alpine climbing.

Now thinking about how I should overcome the fear of runout, the main point is that I SHOULD enjoy climbing.

It is not exactly that I did not enjoy the climbing so far. The joy of climbing is not like you laugh at each other or like when you watch TV.

It is more like joy of meditating... you'd forget everything else but climbing.

And when you come down from the rock, the world looks so fresh and new, and beautifull...  soooo beautiful that you can help thanking that you are still being alive in this world. You realize you are let live.

You can live your life thinking of what you don't have. Wanting more and more and more... never feeling enough.

Rock is not like that, it definitely makes you focus on what you already have.  You manage. and you strive. and you survive.

So when you are down on the ground again, you've accomplished something.

This is such a feeling that gives you a confident and good feeling of self acknowledgement. You can do it, if you had to!! such feeling.

Ever Since I started the mountain and climbing, a lot of miracles and synchronicity had happened and this Insubong is one of them. A great one.

Not a one person missing in my climbing story... could not make this story realized.  I had met so many angels! I am also the angle to someone... I try to be and I know I can be.

This is actually same as what happening in normal life but we just don't realize it since everyone else is takeing it for granted. Why should I appreciated and express gratitude what everyone else too have? is the too common feeling...

but truth is not that.  Every one of us are living the life of miracles.

My life was miracle... so example, a girl who had no dad, no parent to support, DID go to the U.S. all by herself and stayed two years to master English. How could it be done without a miracle? I had only 200 dollars in my pocket!

Someone said he spend so much money on getting the TOEIC score and you know how much I spend for my TOEIC?  Very minimum. I took my first test and it was 850. The second test 925. so I stopped taking. I gained money while I was working in the states. So the net is plus not minus. The same thing is my university life. I had a hard time but I was lucky, that I could finish the uni.

So life is a series of miracles and everyone should know that. Even what seems negative at first, is often a blessing.

When my husband got a first job transfer, it brought us together. The second transfer, it brought me the activities that I can be passionate.  The third transfer this time,  can, of course, bring us something nice.

The same with all of my climbing mate. Someone gets far away from you only means you have another vacation home.

Now I am at the stage of really being able to just enjoy climbing... which somehow I did not allow myself to do...

Climbing was more like obligation and practice... like what I have to do to be a "better me".

Yoga teaches importance of practicing and fulfilling obligation.  Usually that means you do daily yoga pose... but for me what exactly feel like training and obligation was learning to climb.

Something stated bitter takes time to get sweet... which is exactly what happened to me... climbing was at first so bitter but now getting to be sweet.

Now I perhaps focus on just sweet part.

so what happen was that I was congratulating my achievement last week.






ツインロープと細径対応ビレイ器

■ ツインロープ

ツインロープは、ロープの解説書などでは、アイスクライミングの用途で出てくる程度で、「いつ使うんだろう?」という疑問が湧いてくるロープ使用形態と思います。

初心者がクライミングをするのは、基本外岩でも、ショートのゲレンデ。つまりシングルピッチです。一回登ってお終い。登ったり降りたりを繰り返す。ので、こうした用途にはシングルロープ。

基本的に初心者の頃は、トップロープの用途なので、太いロープが必要です。

インドア用をアウトドアへ転用するのは、おススメできません。が、都会だと、インドアでのリードクライミングが結局のところ、一番頻度が多いかもです。長さが短くて済みます。

一方、山岳地帯のマルチピッチへ行くと、基本はダブルロープです。

ダブルは、パーティを組む一人一人が一本ずつ持ち寄ることになっていますが、初心者の場合、マルチに行く機会を掴むほうがまずもって困難で、ダブルの出番はゲレンデ練習と比較して後回しになりがちです。年に一回のご褒美って感じかもしれません。

そう言う訳で、ロープは色々と種類を揃えて買わねばならず、痛い出費の一つですが…

もっとも使い道が不明な、ツイン…ルートの性質によっては、非常に使い勝手良く使えます。

今回インスボンではツインでした。理由は…

・下降を考えるとシングル60mでは、30mしか一回に下降できない
・下降は、60m 2ピッチ
・登りは、60mシングルでOK

つまるところ

・ロープは2本必要

ですが

・ダブルだと墜落距離が大きい
・ルートは比較的まっすぐ

基本的にルートの屈曲が少ないことが前提ですね。ということで、ツインロープの出番となります。ツインのもう一つのメリットは

・一本一本が軽くコンパクト

であることです。クライマー各自が運びやすい。以前120mロープを使いましたが、6kgでした。それだけでザック満タン。

一方、デメリットもあります

・ビレイ器を選ぶ
・ロープが重い 重さは シングル>ダブル>ツイン の順
・キンクしやすく、繰り出しに不安が残る

ツインは細径なので、適合するビレイ器が限られています。繰り出しは、ダブルの時と同じです。交差がビレイ器のすぐ近くにくることが多く、セットに神経を使います。そもそも、つるべでないリードクライマーが固定の登り方は、つるべと比べて、どのロープシステムであっても時間を喰います。

つるべの場合は、ロープは出す方向に畳まれていますが、つるべでないと、ロープを下から繰り出すことになるから。

その場合、やはり、畳み直したり、最初の10m分くらいをあらかじめ、出しておいたりした方が良いです。

ツインのキンクは、ロープの新旧にもよるようで、古いとキンクが多くなるそうです。

■キンク対策

・そもそもつるべで登る
・そうでない場合は、畳み直す
・最初の分は出しておく
・ビレイヤーとしては、ロープを指で割りながら繰り出す
・セカンドが登る前に、キンクを取りのぞいてからアンザイレンする
・何回かに一回クライマーがぐるぐると回る

こちらは、今回韓国で買ったビレイ器。

7.3㎜から対応しています。

インスボンに特化して言うと、2人だけの場合は60mシングル9.2mmが良く、懸垂は2回すれば良いそうです。


真空の1週間

■ 真空状態

インスボンから、1週間、しばらく次のステップへ移行できず、ぼーっとしていた…
…というか、思索の時間だった。

クライミングも、山も同じだが、行く前、行っている時、行った後の3度楽しい。

振り返れば、振り返るほど、幸せをかみしめていた…

■ ただ楽しむこと

課題だと思ったこと…ランナウトの恐怖の克服…は、実は全然課題ではなかった…

だって、ランナウトの恐怖を乗り越える、ってことは、クライミングが楽しくて仕方ない、って気持ちになる、ってことなんですよ(笑)?

それって課題?

楽しくて仕方ない、って、それって、そもそも、乗り越える、ってタイプのことじゃないんじゃない(笑)???

つまるところ、どうも、私はいよいよ、もろ手をあげて、クライミングを楽しんだらいい、という時期に入ったようだ…

■ おっかない… 

怖いことは嫌だった… 雪なんて、すごい傾斜でも一度も怖いと思ったことがない。

この傾斜なら、ロープなんていらないなーって、私が思う場所で、師匠が「この傾斜はロープ必携です」なんて言うと、「…そうなんだ」と思うほど。

それは誰に教えられたわけでもなく、ただ最初からそう。

だから、もしかして、岩って私には適性自体がないのかも…と自信を喪失していた。

だって、楽しい人は、何を教わらなくても、最初から楽しいみたいなんですよね。

でも、私の場合は、いまひとつ、岩って何がいいのなぁ…おっかないだけだなぁ…

って、感じ。

でも、フリークライミングは、すべての基礎と言われる。

基礎をすっ飛ばして行くつもりはないし、そんな手抜きな山、好きじゃない。ビレイすっ飛ばして登っているクライマーなんて、クライマーと言えないのと一緒でしょう。

野田勝さんが、亡くなった時…山野井泰史さんが書いた『アルピニズムと死』を読んだ。

野田さんのことを「岩は苦手意識を持っているって知っている」と山野井さんが書いていて、あら、と思った。

野田さんみたいな、将来を嘱望されている山男でも、岩苦手って人いるんだ、と。山男って言うのは、誰でも岩大好き人間なのかと思っていた。

ジムや外岩で登れず、ケッて顔をされると、なんで私は、こんな顔をされてまで、クライミングしているんだろう、と思ったりした…。

クライミングのために犠牲にしたものは多い…、時間、お金、情熱、人間関係…ありとあらゆるものをクライミングに捧げてきた…なんでそこまで?

私は何でクライミングしているんだろう????

まぁ、いまだによく分からないのです… でも、クライミングという先行きが不透明で何が成功なのかもよく分からない世界で、暗闇を手探りで進むように、苦労しながら進んでいく…という大冒険、…むしろ、探究に近いですかね?…の中で、私が知り得たことを、ノートに印す。

…すると、それで、共感してくれたり、勉強になった、と言ってくれたり、役立ったと言ってくれる人たちがいる。

それは、確実に励みなのです。…一人がそう言えば、この世の中は100人がそう思っているって意味なのですから。

そして、私は物書きなので、書いたものが誰かの幸せに貢献すると、とても役割を果たした気になれるのです。

人生の目的(ダルマ=使命)は、その人が与えられた本来の役割を果たすことだと言われている。

私という歯車がなければ、実現しなかった喜びや幸福がたくさんある。

もちろん、それは他の人も同じで、物語の登場人物が一人でも欠けたら、物語は成立しない。

私が紡いでいる心の歌…は、今まで、山で出会って師匠と仰ぐようになった、たくさんの人たちや、ブログにコメントしてくれた人たち、一緒に登ってくれた人たち、なくしては紡げない…

そればかりか、陰で支えてくれている夫や、夫がラッキーにも岩場に近い地方に転勤があるお勤めについていたこと、そんな偶然さえも、欠くべからざる要素だったのです。

不幸なこと、アンラッキーなことが起こった、と思っていたら、そうではなかったのです。

…というか、偶然の出来事を不幸にも、幸福にも変えてしまえるのが、発想の転換力、人間の力なのです。

そう言う意味では、、グロービスで知り合って、私にいつもインスピレーションをくれるみんなにも感謝しています。

ただ取引先で知り合っただけなのに、いつも見守ってくれる、あの人もこの人も、そんな人たちがなくしては、成り立たない、クライミングを紡ぐ歌…

それは私だけではなく、実は誰もが奇跡の歌を紡いでいるのです。

そして、その歌を単なるフレーズから、メロディーへ、メロディーから、ハーモニーへ、ハーモニーから、オーケストラへ、発展させていくこともできれば、音楽を辞めてしまうこともできるのです。

指揮者がいないと、そうなります。

今回のインスボンは、一緒に行ってくれたパートナーが紡いできたシンフォニーの大きさを感じた旅でした… 彼の情熱をいっぱい注いだ岩場でした・・・

私はその歌を引き継げるのかなぁ…

ありがとう、という言葉は、有難う、つまり、有ることが難しいと書く。

私が紡いできた山の歌は、本当にそういう奇跡の連続の結果だ。起こりえないことが、いつも数珠つなぎに起こってきた。

今日はまた、自分の登攀での成長が、とても理想的なスタイルを辿ってきたことを知った。

私は、人工壁でビレイをマスターした後は、入門はスラブでした…それは、当時は、分かっているわけではありませんが、理想的なクライミングデビューだったようです。

人工壁で、どっかぶりがクライミングだと思ってしまった私にとっては、足で登れるようになるまで、だいぶかかりました。たぶん、2年かかっています。

スラブから入門するのではない入り方もあるとは知りませんでした…。

ある意味、私はモデルケースになっているかもしれない…

そう言う意味でも、自分自身が成長することと、この世に貢献することが、同じベクトルを向いている今、とても幸せだなぁと思います。

2017/05/27

ランナウトの恐怖の克服

■ ランナウトの恐怖の克服

ランナウトが怖い、怖い、と色々な人に相談していたら、なんとなく、解決の糸口が見えてきました。

やはり、「自信」と「恐怖」の天秤で、「自信」が入ったバケツのほうが重ければ、ランナウトに耐えられるのです。

去年ラオスに行ったのですが、ラオスの岩場はスポーツクライミングの岩場で、ピンの間隔が近く、この怖がりの私でも、ピンを一本飛ばして、登ってしまったことがありました。

登った後の回収で、「あれ?」と思い、あんなところにはイラナイなーなんて、生意気なことを考えました(笑)。

ちょっと図々しいくらいの自信があった、ということなので、それが今のグレードで起こる、ということですね。ということは、スキルが上がれば、自信になるハズです。

ただ今5.10bが登れるのに、5.8で自信がない。…とすると、5.8にランニング要らない!というくらいの自信をつけるには、11Aくらい必要なのかもしれません・・・。まだ11Aは一回、まぐれでトップロープで登れただけです。

また、経験の量も問題です。

私は仲間が見つからず、アルパインで、3級や4級の岩場に行く機会がないまま、5級の岩場での修業スタートなので、アルパイン特有の高度感や露出感のあるロケーションにまだ慣れていないと思います。 (でも、高さでパニクるタイプではないです。)

去年は、フリーで、5.9のオンサイトを取溜めていましたが、オンサイトの量自体がまだまだ足りていません。

そこで、クライミングのテーマ設定は…

1)高度感&露出感に慣れる
2)グレードをあげる(当然ですが)
3)経験の量を貯める(ジムクライミングしかできないですが)
4)自信と恐怖の適正バランスを見つける
5)粘り

登れなくても、粘ってみる、というのがいいことかも?ノルマは粘り10回です(笑)。

特に、4)は、重要課題です。

外の人工壁で登っていると、1)高度感、に慣れることができますが、あの人工壁の高度感は、人工壁独特で、山とは全然違うな~と、いつでも思います。山よりうんと怖い。

グレードを追いかけると言うことではなく、経験の厚みのほうも、蓄積して行かないと自信にならない。

どの程度の量の経験が、自信につながるか?というのは、人それぞれなのでしょう。私なんて、雪は最初から、全然怖くないのですから(笑)。

ランナウトの恐怖を乗り越えるというテーマの因数分解は、このようなことになりました☆

今年はこのテーマで、数値的に、1~5段階くらいで自己評価して、頑張ってみます。

■ テーマを与えることができると良き指導者になれる

余談ですが、私はヨガを教えている時に、生徒さんにテーマを見つけてあげるのが上手でした。

テーマを追うことで、どのような活動も、より興味深く、意義深くなります。

私はバレエでは、最初にプリエのマスターをテーマとして持ちましたが、そのテーマだけで最低10年は楽しめました。いまだにプリエ、出来ているとは思えません。その後、バレエは私にとっては女性恐怖症の克服?女性の友達がいなかったので…となりました(笑)。

クライミングも、たぶん、そのようなタイプの活動だと思います。

2017/05/26

クリスシャーマ&Yoga

Chris Sharma Does Wanderlust from Prana Living on Vimeo.

海外ではヨガをする男性は多いです。でも、ちょっとホントのヨガとは違う気がしないでもない、ヨガ映像ではありますが… むしろヒッピー文化の色が濃いような気もします。

2017/05/25

Insubong 2017

I've gone to Insubong Korea, from May 14 to 22 in 2017.

It was such a great climbing and I'm so grateful that I was given the opportunity of this climbing.

Thank you for all of you who helped me to be an enough climber to come here!

For, I could not come to climb Insubong last year... I was not good enough. So this climbing trip was a sum of my effort in 2016.

Last year around this time, my partner was teaching me how to climb crack. I already had a few experience of crack climbing for about one season... one summer in Ogawayama,  that means a few times.

In 2016,  I decided to focus on just free-climbing only... I gave up my favorite shower climbing and hiking in the mountains... I had no money left if I pay my money to climbing gym. That meant I had to gave up mountains...

Now I came to Insubong and being able to climb the rock without too much of hassle... I am aware that I grew as a climber. If I came here last year, I would not be able to enjoy as much as I enjoyed the climbing this time.


Insubong a huge rock


Now I am in front of the base of climbing, it is the mountain hut, and shelter and food is supplied.

This made our climbing much easier and comfortable.

This mountain hut was a very serene.

It is a wonderful place to stay!

It is located about an hour hike away from the last bus stop. So you should not carry anything more than your backpack.  No suitcase.

Bring regular rock gear plus sandal to walk around the hut.

Bottled water is available in the hut and meals are provided.

so just bring yourself.

The climbing is like this.. very steep slab climbing and it is very scary because the runnings are sooooo far away.

You have to be very brave to be able to lead climb in Insubong.

In this trip, I was a second climber all the time so very safe, but I could still feel how difficult it is to lead climb here...

When slab became like 5.10a, it is almost same as face.

5.10b slab climbing require much more physical skills... like long reach and difficult balance...

It is very tough even in 5.10b.

A short person is definitely disadvantageous, extra effort required.



This is route called Pigeon, 3P.

We climbed only multi-pitch routes, no short,  this time since this climbing tour is a part of my alpine training.

There is a Japanese topo book by a guide, Hirose san.

Perhaps there must be an English guide? If there is, I'd like to get one.

The hut provides Korean Family style meal, which always include, free of charge refill of rice, sea-weed, soup, and Kimchee. Main dish changes every day.




This is sleeping space. Just plain hard wood floor.

You have to bring your own sleeping bag and mat.

While we are staying there, we encountered a night of over 100 college students staying in this hut and it was crazy. They came without appointment, and of course, half of the people could not fit in this space so they slept outside.

I think sleeping outside must have more comfortable than inside, since it was so noizy and my partner could not go to sleep.
The hut was so comfortable and clean. Also there were dogs so friendly, it reminded me of when I was in San Francisco suburb... dogs are friend of human.

From the airplane.
From the bus.

To goto Insubong, first get to Suyu subway station, then catch a cab to Insubong.

I am not sure if my spelling is correct... Widon is the last town nearby.

In Widon, we could soak in a hot spa. You can also reach Widon by bus 109, or 120.

It was such a wonderful climbing..

From where I am now, Korea is much easier to get than any other cragging spot mainland Japan.

So I am planing to visit Insubong again in September.

Anybody who likes to join us are most welcome!

To be able to enjoy the climbing, you'll have to be able to climb 5.9 slab comfortably, also 5.10a crack, and maybe some wide crack experience is needed.

My climbing grade is not at all high, about 5.10b are RP, 5.9 are onsite...  so this might be minimum requirement to be able to enjoy, but overhang wall is scarce. Mostly balance climbing.

My climbing career is 3 years so far, since my very first climbing is May, 22nd in 2014.  I am growing natural speed so 3 year in climbing perhaps a good measure.

Shanti to all of you who helped me a better climber!


ランナウトの恐怖を乗り越えるベテランのアドバイス

これは、メンタルの弱さをどう克服するか?について、師匠の青ちゃんのアドバイスです。

志向を同じくする方の役に立つと思いますので、記載します。

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・インスボンの長いランナウトの恐怖は、通常、私も含め、誰しもが感じると思います。それが正常です

・感じないクライマーが居たとすれば、感性に欠陥あり、リスクマネジメントが出来ていないと思います

・あのランナウトでは無理だというのは、感性が正しく作用している

・その感性を大事にした方が良い

・焦らないで無理せず、楽しくクライミングしてほしい

・量的変化は必ず質的変化を生みます

・成長の速度を速めたいなら自分に何が足らないか明らかにし、その課題を段階的にステップアップ計ると良い

・クライミングはクライミングでしか解決しない

・ただし、他のスポーツでコンディショニングが出来るなら、その効果は期待できる

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要点をまとめると

1)ランナウトの恐怖ではなく、クライミングの楽しさにフォーカスすべき
2)質を高めたいなら、量を求めるべき
3)クラミングはクライミングでしか解決しない
4)弱点の洗い出し 
5)段階的ステップアップ

さらにエッセンスを抽出すると

1)ポジティブな感情にフォーカスすること
2)量をこなす
3)直接
4)弱みを克服する
5)段階を追う 

正面勝負で、楽観的に構え、焦らず、一方で量を増やし、弱みを分析して、段階的に成長する。

ホント直球ですね~

2017/05/24

次はオポジション

2点支持の習得は終った。

正対とツイスト。これらは前傾壁を登るテクニックだ。

今度は、オポジションかもしれない。ワイドを中に入らずに、外で登るのは、オポジションだからだ。

オポジションの体の使い方は、ヨガの体の使い方と同じ。

だから、今やっているヨガが役に立つと思う。

≪参考≫
    ムープの種類 
    ├ハイ・ステップ系(high step) 
    ├カウンターバランス系(counter balance) 
    │ ├ダイアゴナル(diagonal) 
    │ ├インサイドフラッキング(inside flagging) 
    │ ├アウトサイドフラッキング(outside flagging) 
    │ └ボディバランス(body balance) 
    ├オポジション系(opposition) 
    │ ├バックステップ(back step)/ドロップニー(drop knee)/池田ステップ/キョン足/キョン 
    │ ├レイバック(lie back) 
    │ ├ステミング(stemming)/ブリッジ(bridge)/ブリッジング(bridging) 
    │ ├ニーロック(knee lock) 
    │ └出前持ち 
    └その他 
      ├クロスムーブ(cross move) 
      ├マントリング(mantling) 
      ├ジャミング(jamming) 
      ├ランジ(lunge)/ダイノ(dyno) 
      └デッドポイント(dead point) 

2017/05/23

Insubong インスボン

クライミングは、…つまるところ人生は…、”不思議”と”奇跡”の連続だ。

クライミングを始めて3年、インスボンへ行くことになった。

感慨深い。

去年は、行きたいと言っても、登攀力の不足で行くことができなかったインスボン…。

今年はクライミング力も十分だろうと判断され、行くことを許された。

■ 何が問われているのか?

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そもそも、我々が人生の意味を問うてはいけません。我々は人生に問われている立場であり、我々が人生の答えを出さなければならないのです。

                        ヴィクトール・フランクル
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海外クライミングは、すでに昨年11月ラオスへ行っている。

ラオスでの経験を一言で表すと、”社交界デビュー”な感じだった。海外でクライマーたちのカルチャーに触れ、非常に良い感触だったので、自分がその一部となることには快適さを感じた。

今回のインスボンは2度目の海外。

岩場は、とても神聖な場だった。

■ 純粋さ

考えてみれば、私は競争を避けて純粋さが感じられる場所を今までも常に選んできた。

インスボンは、純粋さが感じられ、心地よい場所だった。

だから、私にとって、その場にいることはとても心地よく感じられた。

しかし、岩と私との対話で、まだ岩に問われている問いに対する答えが見いだせない。

■ 素の自分、臆病な自分

ランナウトが怖い。

でも、なぜ、怖いのだろうか?

インスボンのランナウトは、要するに、落ちないような易しいグレードのところだから、ってだけだ。

登攀スキルが確実であれば、落ちない。それは分かる。

私も5.7のスラブでは落ちない自信がすでにあるのだから、瑞牆でクラックをリードした時は、ランナウトに耐えて、成果を感じた。

でも、やっぱり、大ランナウトのインスボン、怖いんだな…。

それが正直な気持ちだ。 

岩場というのは、人間性が現れざるを得ない。日ごろ被っている仮面は被れないのが岩なのだ。

だから、私は落ちることを恐れている、と思う。

■ 自信につながらない登攀力 

落ちなければいいだけのことだから、単純に、”自信がない”、ということだろう。

この岩場は初めてであることを配慮してもらって、今回はオールセカンドだった上、易しいグレードに抑えてくれたため、クライミングは、最初の二日間、楽勝感さえあった。

パートナーは、私を怖がらせまいと、遠慮気味にグレードを押さえてくれたみたいだった…。本当はもっと難しいのに登りたかったみたいだったのに(悪いなぁ)。

私自身、登攀にはそう大きな問題を感じなかった。まぁ、ギリギリではない。

しかし、その楽勝感は、なぜか自信にはつながらなかった。

理性で、やっぱりランナウトしているよな~と思ってしまう。ビレイしながら、最終支点から伸びているロープの長さを見ると、どんなに優秀なビレイヤーであっても、そこで落ちたら、テラスにぶつかり、ヤバいことは理解できるし、その状況下で、リードできるか?否、と思う。

しかし、同じ理性が、登攀力はすでにあると言う。ほとんどテンションをもらう必要はなかったからだ。(まぁ何回か落ちたけど)

登攀力が上がれば怖くないのだと思っていたのに、そうではなかった、というのが今回の発見でもある。

■ 蛮勇と勇気

いかにしてこれをリードするのか…考えていたら、”蛮勇”という言葉が浮かんだ…。蛮勇…、それは私にはないもの。

でも、パートナーは、クライミングには蛮勇は要らないと言う…。

そして、蛮勇の代わりに、何が必要なのか?を示すために、粘って頑張って見せてくれた。

私に無いもの…。粘り?

青ちゃんにはメンタルが弱いと言われる。

”メンタルが弱い”の言葉には、強い反発を感じる。

今までの人生で、勇気がなくて、何かを達成し損ねた、ということはなかったからだ。

人生が17歳の私に早々と経済的自立を求めたときも…

財布に2万円しかないのに単身アメリカ行きのチャンスが巡ってきたときも…

図書館を辞して、まだ卒論も書き終わっていないのに、ロボット開発部に職を得たときも…

SEとして個人事業主として独立し、研究所勤務になった時も…

人生が、

 のるか?そるか?

と私を試してきたときには必ず、挑戦を選んできた。だから、そうした選択肢を迫られた場合に、選択する能力…勇気…については自負もある。

けれど、やっぱりランナウトは怖い。

アイスクライミングでは、落ちないところしか登らないから、ランナウトしても危険はない、と言うことが理解できて、怖くはなくなった。

岩も同じなのだろうか?

■ 岩と分かりあえていないかも?

しかし、岩のお人柄をまだ理解していないかもしれない…

なぜなら、今までも落ちない、と自分で思ったところで落ちて、頭を7針ぬっているんだし。

縦走で出てくる岩場で、こんなところ平気の平ざだと思って、ペンキマークを無視して、どんどん稜線を進み、注意を受けていた頃の無邪気さは、私にはもうない。

まぁ、あのまま進んでいたら、今頃、命はないかもしれない。

死なない程度のひどい目にあっておくことは悪いことではないと言われる。

でも、どうやってランナウトにおびえる自分をなだめるのか?

登攀力を上げる、ということは一つの解だが、すでに5.7や5.8をゆとりを持って登るには、十分な登攀力のゆとりがあるのに、それは自信にはつながっていない。

経験値を上げる、ということは、今の環境では難しい。

さて、どう、この難題を解決するか… 

問われているのは、そこだ。

さて、どうしますかね… 私の出した一つの解は、ヨガを頑張ることだ。

身体のコントロール力を高める。ひとつの自律の在り方だ。