■ 2点支持の決定
クライミングを始めた初年度、先輩が私のクライミングを見て、
「これで2点支持が身に付けば…」
と言った。
あれから3年…2点支持は身についた。
習得したか、していないか、自分で分かる…それがクライミングの特徴だ。たぶん、クライミングと言うのは、自己コントロールを高める活動なのだろう。
■ クラックとスメア
クラックの登り方は、人によって色々と違う。もちろん、クラックじゃなくても、ムーブの解決の仕方は人に寄りけりで、ボルジムでさえも、違うくらいだから、外岩だと、かなり違う。
クラック登りは、基本的にジャミング。足は、足ジャムもあれば、スメアで登る方法もある。
今回インスボンで、課題になったのは、クラックをスメアで登る登り方…あまり経験がなかったからだ。
経験がないことは、誰でも、まごつく。
5.8の左上クラックは、瑞牆で見た5.10cの左上のクラックと似ていた。3人に2人は、離陸ができないそうだ。それをあらかじめ聞いていたので、頑張ったら、なんとか登れた。もぞもそと動く体幹系だった。
別のワイドで、5.9があり、そこは人が落ちて死んでもいる、か所。5.13登るクライマーも落ちたところだそうだ。それは最初3回落ちて、2回目は1テンで登れた。肝心のスタンスが、よく滑るのだ。たぶん、みんながそこを使うから、磨かれてしまっているのだ。
しかし、これは内面登攀的に、中に入って登っており、あんまりスマートな登り方ではなく、遅いし、疲れる。クラックは中に入らず、外で登った方が早いのである。
それは、カサブランカを登る色々な人を見て、気が付いた。だから、フェイスの技も必要と言えば必要だが…
■ 墜落の要因を見極める
クラックをスメアで登る場合、スメアは足ジャムほど信頼できる支点ではない。
クライミングは、2点支持なので、1点が壊れると、残りの1点では支持できないかもしれない。
ので、2点支持の時は、支持力の不安定なスメアではダメで足ジャムが確実なような気がする。
もちろん、場合によっては、3点支持が取れる。その場合は、対角線上にない、予備の1点くらいは、スメアでもいいのかもしれない。
■ 屋根岩1峰での経験
屋根岩1峰の5.10bをリードで登った時、手繰り墜ちした・・・ビレイヤーが慣れている人だったから、事なきに済んだ。が、あれが別の人だったら…(汗)。
私はいつも全くの初心者の人を連れていることが多い…なので、限界トライはしないで、安心できる登れると分かっている課題しか登らない。
ビレイには経験と反射神経の両方が必要。
特に初心者のクライマー…まだ安定した登りを確立していない人…私のような場合、まだ2点支持が確実でない。あの時は、安定したレスト体制でないギリギリで、ヌンチャクに掛けようとしたため、掛けようとロープを伸ばした瞬間に、バランスが崩れて落ちた。
外岩での手繰り落ちは、初めてで、驚いた。地面から1mくらいで止まった。
実は、人工壁では、まだクライミング数か月の初心者の頃に、無理強いされた課題で、手繰り墜ちたことがあり、床から50cmくらいで止まった。場の空気も凍っていた。
リードは無理強いしてはいけない…ということを、私に無理強いした人は知らなかったらしい…
クライマーが手繰り墜ちなどで落ちると、周囲の人は、「あのクライマーは安全管理が出来ていないクライマーだ」と烙印を押す。
私はいやだって言ったのに…と思い、その人は、きっと、自分自身も嫌々ながらのリードを強要されて、登っているのだと言うことを理解した。人は自分が育てられたように、次の人を育てようとするハズだからである。
さて、初めて外岩で手繰り墜ちしてからは、人工壁でリードするときも、確実に安定した2点支持体制を作ってから、クリップするように余計慎重になった。3点目は予備です。
私が思うには、クラックをやると、カムセットが必要なので、安定した体制を作って登る、という登りの作り方が学べると思う。
動的ムーブではなく、いちいち安定している、ってことです。
ということは、
1)初心者はスラブで足で登るクライミングを覚える
2)次にクラックで、安定した体制で確実性のあるクライミングをすることを覚える
というのは、安全面から考えて非常に理にかなったクライミングの習得順であると言えると思う。
その次には、私の場合だが、
3)前傾壁(ラオス)
4)ワイド(インスボン)
がきた。ワイドは体幹の力だから、家では体幹力をアップさせるような筋トレが必要だ。これは今マイソールクラスで、頑張っているところ。
正直、ボルジムに行っても、安定したレスト体制の作り方などは学べない。
…ので、あんまり役立ったって気がそもそもしない。…が、ボルジムしかないなら、ないで、片手をイチイチ離しながら登る、というタイプの登りを徹底するべきだ。
去年は、ジムに通い、指が痛くなってしまった。カチ系のフェイス登りは、どうしても指にくるので、敬遠している。
大人になってからのスポーツで、故障は、ホールドバック以外の何物でもないからだ。
ので、さてさて、という感じだ。ぼちぼちいこか、ですね。