2025/11/19

【トレーニング】クライミングにもテーパー概念がいるのでは?

水泳の動画を見ていて、テーパーって概念をクライミングにも入れたほうがいいよなって思いました。

私、1年半くらい泳いでいなかったのですが…二度目の成長期ですよ(笑)


クライミングにおける「テーパー」のニーズとは?

――休むことで強くなる、パフォーマンス最大化の科学

クライミング界では、まだあまり一般化していない「テーパー(試合前の調整期)」という概念。
これは本来、スイマーやランナーなどの持久系競技で使われる方法ですが、実は、クライマーにこそ必要な“最後の仕上げ”なのでは?

■ テーパーとは?

簡単に言えば、

「本番に向けて練習量を意図的に減らし、疲労を抜いてピークパフォーマンスを引き出す調整」
のこと。

普段の練習では強くなりません。


強くなるのは、トレーニングで身体にストレスを与え、その後の回復期に適応が起きるとき。テーパーは、この“超回復のピーク”を本番に合わせる技術です。


■ クライミングがテーパーを必要とする理由

① クライミングは「疲労が成功率を決める」競技だから

クライミングの成功率は、地力よりも当日のコンディションに強く左右されます。

  • 前腕のわずかな張り

  • 神経系の疲れ

  • 体幹の微妙なダルさ

  • 判断力の減衰

これらは数%の差に見えて、実際は完登率を大幅に落とす致命的要因になります。

だからこそ、直前に疲労をためないことが成果に直結します。


② 強度の高い課題は“力の出しきり”を要求する

RP(レッドポイント)や本気トライは、
握力・爆発力・神経系のキレが最も必要な場面。

テーパーによって神経系の疲れが抜けると、

  • 動きのキレが上がる

  • タイミングが合う

  • 指先がスッと効く

  • 呼吸とムーブが一致する

という“ピーク状態”に入れます。


③ ケガの予防になる

本番前に疲労が残った状態は、“ただの疲れ”ではなく腱・指・肩まわりの損傷リスクが高い状態です。

テーパーを入れると、

  • 指皮の回復

  • 腱・靭帯の微細損傷の回復

  • 肩・背中の緊張緩和

が起こり、勝てるし、壊れない身体が仕上がります。


④ メンタルが研ぎ澄まされる

休むことは「怠け」ではありません。
むしろ、

  • 落ち着く

  • 自信が戻る

  • 冷静にルートを読む

  • トライ時に攻めきれる

という精神面の調整につながります。

特に真面目なクライマーほど“休む勇気”を持つ必要があります。


■ テーパーの実際(例:本番3~7日前から)

日数 内容
7~5日前 高強度1回(短時間) + 軽い登りで終える
4~3日前 低〜中強度のムーブ確認。長時間登らない
2日前 ごく軽く身体を動かす or 完全休養
前日 完全休養。メンタルの準備、ルートのイメージ

■ 結論:クライミングこそ「テーパー」が効く

クライミングは技術・筋力・神経系・意思決定が複雑に絡み合う競技です。
だからこそ、

「ガンガン登る人」より「賢く調整した人」が強くなる」

という構造がはっきりしています。

  • 最終日の1トライのために

  • 数週間の努力をムダにしないために

  • ケガを防ぎ、安全にパフォーマンスを高めるために

テーパーはクライマーにとって最も“コスパの良い”戦略です。