クライマーバージョン 万能感事例
「俺は4段を登り切るクライマーになる。
このことを信じて行動し続け、己の限界に挑み続ければ、
俺は必ず、不可能を可能にするクライマーになるのだ。」
「私はこのルートのすべてのムーブを解決することができる。
思いどおりのホールドをすべて引き寄せ、完登(レッドポイント)することができる。」
「私はすごいクライマーなのだ。
ただ岩に取り付くだけで終わってしまうような人間ではない。
人から畏敬の念を浴びるだけの、重力に逆らう非凡なムーブを、
私は内に秘めて持っているのだ。
私はこの岩場で、このルートで、レジェンドになるのだ。」
どうです?クライマー列伝にありそうじゃありませんか?
私はこれが間違ったプロモーションで、日本のアルパインクライマーの集団心理的なトラウマになっているんじゃないかと思います。それを塗り替えようとして二世クライマーにかけていませんか?
実はこれらのセリフは、幼児的万能感をクライマー文脈で表現するようにAIに指示してえられたものです。
万能感(全能感・誇大自己イメージ)の概要
万能感とは、心理学において「自分は万能である」という幻想、あるいは「誇大自己イメージ」を指します。
1. 成長・成熟のプロセス
子どもの頃の万能感: 子どもが万能感を持つことは、極めて自然で健康なことです。
心理的成長: 成長の過程で挫折や失敗を体験し、「万能ではない等身大の自分」に直面します。このとき万能感を手放して等身大の自分を受容することで、人は心理的に成長・成熟します。
手放すことの重要性: 「自分は万能で、人生は思いどおりになる」という万能感を手放すことによって、「思いどおりにならないことへの耐性」を獲得し、地に足をつけて生きられるようになります。
2. 現代日本における課題と人間関係
多くの心理学者や社会学者が指摘するように、現代の日本には、年齢的に大人になってもこの万能感を手放せていない人が多いとされています。
変えられないものへの執着: 望む人生を実現するためには、「コントロールできないことには執着せず、自分の力でコントロールできることに意識と行動を集中すること」が大切です。
他者コントロールの幻想: 万能感を手放せていない人は、「自分の力で他者をコントロールできる」という幻想から、人間関係で相手を強引に変えようとしたり、責めたり非難したりすることで態度を改めさせようとします。
区別の欠如: 万能感を手放せていない状態とは、「変えられないもの(過去や他人)」と「変えられるもの(自分と未来)」を区別することができていない状態です。
3. 万能感と「父性」「魔術的思考」
万能感を手放せない背景には、「父性(区別する力)」の脆弱さや、子どもに特有な思考パターンがあります。
父性と母性:
父性とは、物事を区別する(切り分ける、境界線を引く)働きです。
母性とは、物事を融合する(包み込む)働きです。
母性社会といわれる現代日本では父性が育ちにくく、その結果「万能感を手放せない人」が増えています。
「永遠の少年」: 万能感を手放せないために、目の前の現実的な課題にコツコツと取り組むことができないタイプを、ユング心理学では「永遠の少年」と呼びます。彼らは「自分はすごい非凡な人間だ」という自己イメージに囚われ、地道な積み重ねができません。
魔術的思考(magical thinking): 万能感の背後にある、自分の影響力を過剰に高く評価し、それが真実だと思い込む子どもに特有の思考パターンです。
例1: 「雨がやんだのは『晴れ女』の私が出たからだ」
例2: 「私のネガティブな思考が、ネガティブな現実を引き寄せるのだ」
例3: 親の離婚を「自分がいい子ではなかったせいだ」と考える(子どもに多い)。
4. 万能感から「有能感」へのシフト
望む人生を実現するための王道は、浮ついた「万能感」から地に足のついた「有能感」へのシフトです。
万能感を手放すこと: 「自分に対する、浮ついた万能幻想を手放す」「誇大的な自己イメージにしがみつくのをやめる」ことです。
有能感とは: 「自分の能力に対する、実感にもとづく自信」のことです。
これは、努力や行動の積み重ね、自己成長によって着実に培われるものです。
現実の自分に根ざしているため、安定していて盤石です。
有能感の育み方: 目の前の現実的な課題にコツコツと取り組み、小さな達成体験や成功体験を積み重ねることで培われます。
5. 自己受容の重要性
万能感を手放せない背景には、「すごい自分じゃないと価値がない」「賞賛されるような自分じゃないと愛されない」という怖れ(見捨てられ不安)があるケースが少なくありません。
自己受容: 賞賛されるような結果を出せないときや、すごくないときの自分も、そのまま受容すること。
価値の不動性: 自分の存在(being)の価値は、結果を出そうが出すまいが変わらず素晴らしいものであり、この実感を伴うことが自己受容です。
自己受容という盤石の土台の上に、有能感を培っていくことが、ワクワクする人生を送るうえで大切だと結ばれています。