白亜スラブの記録を読みなおしていますが、
https://allnevery.blogspot.com/2019/03/blog-post.html
彼はちゃんと日本人男子の平均的運動能力を備えた人だったので、5.12まではオンサイトとまではいかなくても、四苦八苦すれば登れましたけど、学力のほうは標準より下だと思いますので、
・ロープによる確保の仕方、
・ロープドラッグを起こさない方法、
・トポの見方、
などをきちんとは指導されておらず、主たる動機が、
グレード稼ぎ、
にありました。この点でも、標準的クライマーってことです。
なので、ボルト打ち換えなどの、いわゆる
リーダーシップ
には不適合な人材でした。もちろん、今では違うかもしれず、成長して、適正なクライミングができるようになっているかもしれませんが、
クライミングには、
行動の振り返りと、
それを基にした
行動修正
の2つが必要で、それがない人でした。一言で言えば、反省する習慣がない。
これも、一般的な習慣だと思いますので、責める意図はありませんが、長年、多くの周囲の人からは、そのやり方では、早晩事故につながる、と指摘を受けていても、その理由が本人には、今一つ理解ができないようでした。それはまさに振り返り力の欠如からです。
それ以前にも懸垂でロープがちょっと足りない、アイスのリードでリードラインの読みが甘く、ロープが強烈に屈曲する、クラックでカムの設置位置が悪くロープがスタックする、などの失敗を露呈していましたが、なぜか成功体験として彼の中では数えられるようでした。
それらは私から見れば、失敗したリードです。
失敗は悪いことではなく、そこから学べば貴重な教訓です。
しかし、教訓とするためには、振り返り、そして、行動修正しないといけないのですよ…
ここが欠如しているのが40年来のアルパイン教育で、学びを重視していません。
したがって高度なルートに行っていても、実力は表現しておらず、ただの運試しです。
■ ボルト打ち直しではなく、ボルト撤去を
一般に、
初心者はスラブ
と相場は決まっています。私も初心者時代に頑張ったマルチピッチは、5.7が3ピッチの春の戻り雪です。
初心者なのに、いきなりクラック
とか、
初心者なのにいきなりどっかぶり
ってことはめったにないです。私はジム上がりクライマーは石灰岩の岩場でデビューするのが適しているデビューで、インドアジムで、スラブは練習できないので、ぶっつけ本番でスラブを登るのは、トップロープを張ってもらっても厳しいと思います。
実際アイスでは、どっかぶりの6級は登れても、4級が全く登れないジム出身クライマーは普通です。私は逆なので、うまいことリードを交代できてよかったのです。
私は雪の出身なので、スラブには耐性がすでについた状態で、小川山は登っていました。
クラックは雪でも出てこないですし、アイスクライミングの登りとも全くムーブが違うので、苦労して、1年程度はへとへとでした。同じクラックでも、
A)プロテクションにクラックが使えるが、ほとんどフェース登りで行けるクラックと、
B)本当にクラックしかなく、ムーブもクラックをたどるしかない、クラック登り限定のルート
では、必要な能力が違います。
初心者は、フェイスで登れるクラックでプロテクションの設置を覚え、その後本来のクラックに進みます。
さて、白亜スラブですが、プロテクションプアのルートの典型として、トポに記載し、プロテクションは全部撤去したらどうですかね?
そうすれば、ここを登るのに十分な能力…
プロテクション設置能力
ブランクセクションに耐える能力
の2点を備えたクライマーを迎え入れることができるルートになると思います。
今のように中途半端にボルトがあるせいで、いざとなれば、エイド出来るという気持ちが芽生え、安易にルートをゲットできる!と思ったクライマーが集まってしまいます。
錫杖などは、上級クライマーが行って、残置を撤去しています。それでも、時代遅れとなった過保護な親切心から残置する人たちとのいたちごっこですが、
残置を頼るクライミングってそれ、そもそもアルパインの精神ですか?
そんなんで、アルパインのクライマーが育ちますか?
氷は、プロテクションが打てるから、登り道になったんですよ