2024/02/03

【心理技術】みんなのヨシーダさんと世界のユージ

■ ヨシーダさんはユージさんがお嫌い

あ、わかった。

故・吉田さんは、ユージさん嫌いだったんだよなぁ。ユースケさんのことも…。

だから、私は吉田勢につかないといけないと、義理堅く感じているために、前に進めないんだ…。

吉田さんとお話しするワークしたほうがいいな。 

■ 世界的に有名になり損ねたクライマー

故・吉田和正さんは、日本国内で知らない人がいない伝説的クライマーです。日本人初のバムクライマー(フルタイムクライマー)として有名。

しかし、1980年代に初登したMarsは5.14の価値があったのに、日本人の謙虚さで13をつけてしまったがために、世界的に知名、有名になり損ねました。

それはもったいないことをした感があり… 多くのクライマーの、一種の”同情”を買っていました。同情を買うことが吉田さんはいやだったと思うが、だからと言って、嫌だということを前面に出すのも大人げなく、ダブルバインド状態だったと思う。

そのダブルバインド状態が嫌だという気持ちは、別に吉田さんと張り合っている同時代人のトップクライマーであるユージさんでなくても、なんとなく透けて見えていた。

吉田さんは、フリー以外はやらないフリークライマーだが、アルパインのクライマーに、とても親切で、究極のレッドポインターと言われた、自分のレッドポイントのスタイルを押し付けることはなく、私に教えたときも、なんと泥スタートという、めちゃアルパインチック?(アルパインは泥臭いクライミングと称されることが多い…です)な課題を登らせたのです。アルパインの先輩との違いは、ビレイがめちゃいいことでした。

余談ですが、アルパインの登攀ではなく、フリークライミングの登攀になったら、落ちることが前提なので、ビレイヤーはいいのを選ばないと登れません。

■ ヨシーダさんはユースケさんもお嫌い

吉田さんは、ユースケさんのことも嫌いだった。「あのジャミングでは登れんよ」、とよく言っていた。しかし、私はジムで、ユースケさんが初心者にジャミングを教えるのに、ジグを開発していたり、懸命に努力しているのを見て知っていたし、私はユースケさんに初心者のころ、ハーネス借りて登ったことがあり、その借りた話は、吉田さんには、秘密にしておかないといけない、と感じました。吉田さんは味方を必要としていそうでした。

吉田さんが亡くなった…、もう死ぬことにした心理的要因には、最近ミュージシャンで亡くなったチバさんと言う方の要因と似たものがありそうです。

誤解を避けるために言えば、人は死ぬことにしたとき死にます。まぁ生まれたら、必ず死ななくてはいけないのですが、やり残し感があるとなかなか死なない。

吉田さんの直近の生には、ある種のあきらめ、諦観がありました。本来、評価されるべきだった偉業が評価され損ねた、という感じというか…

本当の俺、と世間の俺の 解離がある、というか…

それを、とりあえず、無関係な人、分かりやすい人、に向けたのが、

 ユージ嫌い、ユースケ嫌い 

だったのでしょう… 害がないし、そうしておけば、分かりやすいからです。

でもね、吉田さんのクライミングパンツ、お客さんの手作り品だったんですよ。そんなクライマーいます? ファンの手作りのパンツ履いて登ってるクライマーなんていないでしょ?

お母さん手作りのズボンで登っている、アシマちゃんくらいですかね?

■ 俺だって佐藤ユースケ、俺だって平山ユージ、俺だって2段…

男性のアルパインクライマーたちって、

 もれなく、全員

 運が運なら、俺だって世界のユースケ

と思うらしかった…です。それは、”大”がつく誤解に基づいています。

今となってはクライミング歴3年の私よりフリーは登れない人でも、そう思っていた人もいた。しかもガイドさん。その方、たしかに体力すごいなと思ったけど、現代のスーパーアルパインって、体力だけではだめなんです。フリーの基礎能力が必要。それも、40年前の基礎能力…登山靴で岩場を登っていた時代のトップクラス…ではだめ、つまりで、5.12がなんとか登れる程度では、だめなんですよ。

5.12が悩みながら、レッドポイントで登れるのでも駄目で、すーっと、オンサイトするレベル感で、よどみなく登れないと、スーパーアルパインはこなせないんですよ。しかも、40kg歩荷できないと。

そこらへんのレベル感の進化についていき損ねた、古い山ヤさんは多く、結局、オンサイトの記録を、エイドの記録と同じ内容だと勘違いして理解しているらしい…というのが、俺だって(若ければ、運が良ければ、時が時なら)、と思う理由らしいと、九州に来て分かった

若い人がそのノリで記録を上げて、あいつらは超エリートクライマーだ、と周囲から評価されていたからです。え? あれでエリートなら、私だって入るよ…みたいな感じ。10cで2時間かかる人がギリギリボーイズ並みに評価されていました… え?!

一般に、人は自分と同じレベルだと思った人に嫉妬し、自分とけた違いに優れた人には嫉妬しない。

だから、世界のユージに嫉妬する人はクライマー界にいない。

が、なぜかギリギリボーイズのみなさんは、ユージの地位にいない。すごい記録を出しても(ヒマラヤ誌などで)こんなことしかできんのか的に、スルーされている。

それは、アルパインがスーパーアルパインに進化したことを登山界全員が理解していないからのよう…です。

そういう現代クライミングを理解し損ねた、おじさんクライマーと違い、吉田さんこそ、正真正銘の才能があるクライマーで栄光をつかみ損ねた人。

おなじだけの才能、同じだけの努力がありながら、ユージさんは、”世界のユージ”となり脚光を浴び、吉田さんは、バムクライマーで日本各地の岩場を回り、”みんなのヨシーダさん”になった。

でも…ラオスに行ったとき、吉田さんのこと、知っているアメリカ人クライマーがいたんですよ。彼は北海道で登っていたクライマーでした。

だから、吉田さんの栄光と人生をたたえたい人は、北海道の岩場を整備し、そして、瑞牆で内藤さんが作ったみたいな優れたトポを作ればいいのです。そこに吉田さんのエピソードを乗せることで吉田さんは留飲を下げるでしょう…

最近じゃ、下手な文章書いても、AIが良い文章に直してくれます。

そうすれば、吉田さんは、気持ちよく永眠できるでしょう…

なんせ北海道って外国人訪問率No1の地なんですから…。ヨシーダさんをしのびに、去年北海道に旅しました。名寄とか…

私のことは呼んでないよ~って返事でしたよ。

           デイドリーム