2024/09/26

【クライミング事情】九州クライミングの状況(4年の総括)

■ 九州での4年間のクライミングを総括

本稿は、2017年から2021年までの約4年間に観察した九州でのクライミングの実態をまとめたもの、である。

九州クライミングのお目付け役、田嶋一平さんとチャットする機会で起草した。

驚きの実態であった。2024年の現在でも、さほど変化してはいないと思われるので、入門者や新人クライマーは気を付けてほしい。

また、若いクライマーは、自らの頭で考え、”考えていないために起こっているだけの不要なリスク”を避け、人まねで終わらないクライミングをしてほしい。

■ 一つ目の”違和感”…クライミングを教えると怒るクライミングジム

思えば、私の九州クライミング行脚は、近所のクライミングジムを訪ねることから始まったのだった…。

偶然にも、近所に、Joyがあったので、当初、私は、福岡は、クライミングメッカの山梨と違って都会だし、自然界は離れていて、岩場も質の良いものが山梨のようにあるわけではないだろう…と想像していたので、外岩はあきらめ、ジムオンリークライマーとして福岡ではやっていく気持ちだった。

クライミングメッカの山梨時代は、外岩が良いので、ジムに行く理由が、そもそも、なかった。

ジムに行くと言えば、外岩でできなかったムーブを、レジェンドクライマーである室井さんに、「すいません、こんなアンダーでもって、遠めの一手を取る課題ってありませんか?」などと質問していた。要するに完全に外岩の攻略用というジム利用法だった。

そもそもアイスクライミングは、インドアでは、できないですし。

というので、やっと都会!ジムに通って、フリーで一皮むけるぞーと、思っていたわけだった。

アルパインクライミングの岩登りとフリークライミングの岩登りは、全く困難度が違う。

と・こ・ろ・が!

Joyで、「ブラボー(クライミングジム)のバイトに応募した」と漏らしたら、なんと2日目で出入り禁止にされた、のである。まだ月会費払って2度しか行っていないのに。(当時、払った月謝返してほしいです…マジ。で、ブラボーは後で分かったが、クライマーがやっていないジムで荒稼ぎしている。つまり、ジム同志の市場競争に私は巻き込まれたらしい)

しかも、その理由が言いがかり。「教えないでください!」とかいう…。教えないというポリシーのジムらしかった。

教えないことのメリットは何があるだろうか?何もない。

教えないジムはジムとしての努力義務を果たしていないかもしれない) 

その時は、たまたま一緒になった大学生男子の一団が、私が登った課題が登れず、「どうするんですか?」と聞いてきたので、ジムに配慮して「あの一手が、とれたら終わりだよ」と答えただけである。これのどこが教えているんだか。

当時の記録

https://allnevery.blogspot.com/2017/08/blog-post_13.html

文句を言ってきた奥さんはどう見てもクライマーじゃない人だった。だから、あの一手が取れたら、が教えていることには全くならないことについても理解がなかったのかもしれない。

ついでに言うなら、ジムがあまり清潔ではなかった。ビジネスとして見ると、最低限を満たしているとはいえず、いや…これは…(汗)という感じだったので、経営面で、こりゃ問題ありなジムだな~という感じだった。

しかし、ちゃんと『Climbing』とかいう雑誌が置いていたので気を取り直す。ちゃんとしたクライマーがやっているジムと思われたからだ。クライマーのネットワークにつながっていないと、こうした雑誌は入手経路がないからだ。

■ 岩場には個性がある

新人クライマーは知らないが、岩場にはカラーがあるものだ。

新人時代は、安全な岩場でデビューしなくてはならない。それには、情報が必要なのである。

その情報は、かつては山岳会にため込んであったのだが、現代では山岳会は老人会になっていることが多い。もはや、登っていないので、我関せず、という場合も多い。

とりあえず、私は九州のクライミング事情が知りたかったのだが…そういう情報の入手先として、ある程度、色々…例えば、四阿屋は2グレード辛いと言われているなど… が、分かるまでは、しばらく通いたいと思っての入会だった。

ま、上記のような理由で、通うことができなくなった。

(なので、どの岩場も前評判を知らず、白紙状態で行くことになった…汗)

新人は「○○ってどういう岩場ですか?グレードは?ボルトの状態は?」と聞くべし。

■ 2つ目の”違和感” アウトドアクライマーがやっていないクライミングジムが多数出現中

しかも、以後、バイトに応募で出かけたクライミングジムのブラボーがまた…。

ブラボーは、クライマーがやっていないジムだった(汗)。

私は、まさか、そんなジムがあるとは思ってもみなかったのだった。

…ので、採用面接する人に、クライミングの話をしても何も分からない。

例えば、故・吉田和正と言って分かるか?分からない。(←レジェンドクライマーです)山梨で登っていたと言って分かるか?分からない。(←日本のクライミングメッカです)ラオスで登ったと言って分かるか?分からない。(←これは分からなくても仕方ないかもしれない。)

要するに、肝心の採用する側がド素人さん、である。(この人が福岡県岳連会長になったそうである…え?!)

なんとか採用になったが、初日のバイトで、カウンター裏にあるブラックリストを見て、「これ、何ですか?」と聞いたら、ビレイが危険な人のリスト。ところが、それを言ってくれた人が「この人たち、ビレイ待機でこういう風に持たないんですよ」とデモしてくれたその手が…ATCなのにグリップビレイ…(汗)。

つまり、このジムではATCなのにグリップビレイを教えているってことか…と真っ青になって、その日で辞めた。クライミングの掟は、”君子、あやうきに近寄らず”、である。

なんせ、命より大事な仕事など、現代日本にはない。

これは指摘して後から謝罪が来たが…ビレイでこれであれば、一から十まで、”古色蒼然”である可能性が高く、ずっと修正を言い続けないといけないだろう…と想像ができ、しかも、年下の男性が店長で、その人が職場で目上となると…?いばらの道しか思いつかないので、私個人にそんな自己犠牲を強いてまで、そこで働く必要はないと思われた。

当時は、まだ福岡一年目で、福岡での生活にバラ色を夢見ていた。久しぶりの都会で深呼吸する気持ちというか…。ヨガもクライミングも、趣味としてみると、田舎の山梨より都会の福岡の方が、より都会で人口が多い分、先進的であるのではないか?と予想できたからだ。

外岩は年に一回の遠征…ラオス遠征や台湾…でいいや、という気分だった。

正直、小川山に行くも台湾・韓国に行くも、コスト的に変わらない。なら、小川山なんかより、台湾の方が、あるいは韓国にアイスクライミングに毎年行く方が合理的に見えた。

■ 3つ目の違和感 5級、6級をおざなりにしているジム

これが私の福岡一年目だったが、驚いたことに九州の東京、福岡で一番難航しているのは、ジム探しだった。

ジムは、福岡は質が低い。というと反論が出ると思うが、

 クライミングの全体像

が、分かっている人が、超少ないわけなのである。オールラウンドクライマーがいない。

例えば、山梨の老舗ボルジムピラニアの、室井登喜男さんは、レジェンドボルダラーであるが、当然アルパインクライマーの事情も分からない訳ではない。

ので、私みたいなアイスクライミング大好き!みたいなクライマーがジムに行って、恐る恐る、「あのー、〇〇ってのを登ったんですが、こうこういうムーブが全然できなくて落ちました。似たムーブの課題ないですかね?」とかいう、ジムの人が作ってくれたルートセットガン無視な質問をしても、は?ここは俺のジムだ!俺の課題を登れ!とか、言わない訳である。一緒に考えてくれる。

したがって、こういう人は、早く課題入れ替えならないかな~なんて考えていない。自分で外岩なり、アイスクライミングの課題なりの、課題を持っていて、それを目指すためのジム、なのであるから。

クライミングの本場・山梨のクライミングジムのお兄さんで、「僕、クライミングしたことないんです~」みたいな人はいない。「僕、外岩、行ったことないんです」みたいな人もいない。(驚くなかれ、福岡のジムでは、ごく普通にいる)。

店員さんなら、当然、お客さんである私よりクライミングに詳しいのが普通だ。

それどころか、福岡では「外岩に行く人が嫌い」とお客さんである私に向かって面と向かって、攻撃してくるジム店長もいる。

お金を払って、わざわざ嫌な思いをしに行くバカはいない。(余談だが、福岡では殿様若者は大変多い。なんでお客が媚を売らないといけないのだ?)

ので、そのジムには全然行く気になれない。

ジムの課題も、山梨時代のジムより質が劣るし、その上、都会のジムだから高い。そもそも、ジムの課題の質が分かる人がお客さんにもいないらしいのだ。ジムでは課題をしょっちゅう、とっかえひっかえしているが。

もちろん、それぞれのクライミングスタイルに特化したジムはある。

スタンプは、コンペクライミングをするのなら良いジムらしく、徳永さんというセッターが良いのだそうだが、私はあいにくコンペクライミングには興味がない。そりゃ当然だ。今からオリンピック選手になる!なんてあるわけない。競技で選手が強くなるための課題より、6級5級でも考えさせる課題があるほうが役立つわけである。

普通、ジムでは、5級、6級なんてルートセッターはセットしていない。お店の人のセット力頼みだ。ルート入れ替えすら、ほとんどない。

つまり、低グレードを登る人には、良質のルートセッターがとっかえひっかえしても、あまり接点がない。そんな段階にいないからだ。

そもそも、外岩でリードクライミングを登るのに、ジムグレードでは、3級程度までしか要らない。ので、段の課題でいくら質が良くても、外岩クライマーには無用の長物だ。

ジップロックもボルダラーになるには良いジムだと思えたが、一日いただけで指が痛くなった。課題がボルダー寄り、なのである。ボルダーとは突破力のクライミング。指への負担が重い。外ボルダラーになりたい人に最適なジムだろう。指が痛い=通うには向かない、全身運動にはならない、である。課題は好みというか、とても楽しかったので、たまにボルダーが好きな人には、勧めている。

フリークライミングと言えば、普通はロープクライミングである。その名の通りのジムがあり、リードというリードができるクライミングジムもあるが… は、リードエリアが狭すぎて小さすぎ、ビレイヤー同士がぶつかりそうで危険。結局リードするより、ボルダリング壁に落ち着くことになってしまいそうで、意味なし感がある。ここも課題は、普通に良かったと思う。

福岡のジムと山梨のジム何が違うか?というと

 イケイケクライミングだけがクライミング

となっていて、セーフクライマーの肩身が非常に狭いことだ。プロテクションを軽視している。そして、自己顕示を自己正当化している。

山梨では、怖いんです、と言えば、怖いことは良いことだ、と返ってきた。九州では、これくらいで怖いとはなんだ!とか返ってくる。

■ 4つ目の”違和感” 技術的に間違っているビレイ連打

公共の壁では、アクシオンはタダの怖い筋トレ。

なにしろ、ビレイが、超・怖い人が揃っている。

・いきがった片手ビレイとか、

・壁から離れたビレイとかで、

まったく反省の色なし。そもそも、

 そのビレイが間違っていることにすら気が付いていない状態

で、そんなものに身をさらしながらやるクライミングは、恐怖耐性筋トレである。

恐怖は、ムーブの習得にマイナスであることが、科学的にも証明されている。課題は全然考えられておらず、良くないと思う。

        こんなやつばっかでした… その上間違いを教えても聞かない

これは北海道の小さな町に行って、九州の公共の壁は課題がトンデモなく、しょぼいということを改めて確認した。

クライミングのメッカの山梨と比べたら悪いかなって思ったんですよね。でも、私の感性は、間違っていませんでした。

■ 結論: 福岡は九州の東京ではない、ただのド田舎である

というので、まぁ、どれもやっても得るものがないわけではないが、高いコストに見合わない訳である。そんな無理してまで、やらないでも…となる。

なら、ジム代を交通費にかけて、無料の外岩に行った方が楽しい。

話がそれたが、つまり、福岡は、外岩だけではなく、インドアのスポーツクライミングという面でも、ぜんぜん九州の東京ではない、ということだ。

Pump2みたいな良質のジムはないので、シリアスクライマーは、どんどん県外に流れていくということになっている。小川山で九州のクライマーに会ったら、この点で意気投合するだろう。

行き着く先は、東京、山梨、長野、群馬であろう。北杜市が定番である。

私も、この現地状況では、若い人なら、出ていくのがいいだろうと思う。

クライミングを教えてくれるはずの、クライミングガイドも、充実は全くしていない。きちんとしたクライミングを教えている人が、まぁ、公共のもの=山岳会や民間=クライミングのガイドを含め、つまるところ、一人もいない。

https://allnevery.blogspot.com/2022/04/blog-post_67.html

多久高校の樋口先生が唯一ちゃんとしているが、世界トップレベルの高校生と登る羽目になるのは、一般の市民レベルのクライマーにとっては、かなり大変だろう。

■ 山梨との比較

その点を山梨と比べてみると、山梨は、人口の割にクライマー人口が多く、シリアスクライマーが流れてくる先、流出側ではなく、流入側である。

こんな県は他にはあるまい。長野に流入するクライマーも多いが、基本、北杜市がクライマーのベストロケーションというのが、一般的な認識のようだ。(ユージさんのいる入間も、岩場のある奥多摩に近いが、奥多摩、登攀禁止エリアが、あり過ぎで、ややこしすぎますよねぇ‥)

■ 5つめの”違和感”  外岩のボルトが40年の基準のまま… カットアンカー現役

上記のような事情から、山梨時代の先輩が引っ越してきた時点で、クライミングジムは諦め、ほぼほぼ、山梨〇ルパインクラブ、としての2名での活動が始まった感じだった。

とりあえず、九州の主要な岩場巡り…2年で一巡、出来た。主要な岩場は、ほぼすべて回ったので、岩場を掌握している感は現在ある。

回った結果、分かったことは、九州のリードクライミングが流行っていない理由。

なにしろ、ボルトがボロかった…。しかも、カットアンカー

20年前どころか、40年前って感じだった。(https://allnevery.blogspot.com/2021/04/blog-post_29.html

■ 6つめの”違和感” 現役開拓クライマーが無知

その原因が、無知によることが現役開拓者の手伝いをして分かった。

一般に、現代でボルトと言えば、Hilti社の名を思い浮かべるのが、現役外岩クライマーだ。

しかし…九州では、新規の開拓に、いまだカットアンカーが使われていたのである。もう使われなくなって、ゆうに20年以上たっている強度の弱いボルトである。

問題なのは、カットアンカーなのに、ハンガーにPetzlの刻印があるので、ペツル社のボルトだと勘違いして、安心して墜落を重ねてしまうことである。

これは、宮崎の岩場で有名な比叡で、古い開拓者がどのボルトでリボルトしようとしているかという検討を聞いたとき、テーブルに上がっているボルトの候補を見て驚いた。リボルト用ボルトも、カットアンカーだったのである。

現代では、カットアンカーは当の昔にお払い箱になって、グージョンが主流となっているんだが…どうも情報弱者になっているらしかった。

現代ではスパナでマス締めできるボルトが一般的であり、きちんとしたクライマーなら、17ミリのスパナを持参している。

■ 7つ目の”違和感”

しかし、80代なら、知らないことも理解できないでもないかもしれない。

しかし、九州では、もっと若い現役の開拓者ですら、木工ボンドをケミカル代わりに使うとかの事件、があった。これは素手で取れたそうである。

結局、

・異種金属のアルミプレートをステンレスのボルトと組み合わせていたり、

・時代錯誤な水平2点打ち(JDTを作りやすい。現代では、縦にオフセットして支点を打つのがふつうである)

で、支点の知識が古い上に、創造性を間違った方向に発揮しているのだった。

おそらく、ボルトに対する基本的な知識について、情報弱者なのである。

・使うなら25kN以上の強度のボルトを使用する

・異種金属は使ってはいけない

・終了点は2点だが、縦にオフセットさせないとJDT(デストライアングル)を作る

・2点は十分な距離を離す

・終了点の基本は冗長

・ハンガーはカラビナが固定されず、きれいに流れるように設置

これくらいの知識は、開拓者ではない一般クライマーでも知っているような知識であるが、そこすら抑えられていなかったのである。

最近になってクライミングデビューした定年退職組みも、開拓に参加しているようだったのだが、クライミングの全国的な組織とつながる機会がないまま、九州最大の岩場で、見たことがない、ヘンテコ終了点を、見様見真似で、量産しているようだった。

そのオンパレード具合…が、”生と死の分岐点、展覧会状態”と前に誰かが言った、そのままだった(汗)。

これは現在進行形の自体であったのだ…それがショックだった。本の中だけの出来事ではない、まさに今、作られている現場だった。

これは、良くやり玉にあげられていたYさんおひとりのことではない。定年後クライマーのIさんも同じで、11の課題を100本とか量産しているが、量産している=ボルトが安物、である。現代の1本1000円のボルトなら、量産なんてできるはずがない。

なぜ周囲の人は彼に教えてやらないのだろうか?

結果、新しいルートでも、国際基準の25Knを大きく下回り、上手に打ったところでカム程度の強度…下手に打ったら、1~2Knしか強度がない、カットアンカーで、新しいルートだから大丈夫、と、人工壁ばりに、みなさん、じゃんじゃか落ちながら登っている、ということだった。

カットアンカーって、上手に打っても、カム程度の15kNしか強度がないんですよ?

それで、どこでも落ちれます?落ちれません。

■ そもそも論

そもそも、落ちること前提のクライミングは、外岩では、どこであっても許容されていません。

外岩で落ちれるかどうか?は、課題の形状やビレイヤーのスキルなど、複数の変数要因が絡まって、落ちてよいかどうか決まり、そもそも、外では、

 落ちないクライミングが前提

だったりします。そこが全く抑えられておらず、どこで落ちても安全、という前提で登ることになってしまいますが、課題の作りは、ボルトの質からも、ボルトの間隔からも、どこでも落ちることに耐えうる設計にはなっていません。

■ 世界のトップすら、コイツはまずい支点認定

見たことがない終了点は、使い方が分からず、「こんな支点なんですが…」といちいち長野の師匠に聞いていたら、外野から、あーだこーだという指摘が入り、遠くはチェコから、格式の高さではUIAAの事務局長から、アドバイスがたんまり来て、これがうわさに聞いていたトンデモ支点なるものか…!と、これまで本で読んで話に聞いていたことを実体験することになった。次の支点が事例です。

        人気ルートの手作り終了点 アルミプレート=異種金属

グージョンなのはいいのですが、アルミプレートでは異種金属で、ガルバニックコロージョンが起ります。

さらに水平に二点打つのも時代遅れで、JDTと言われる、とっくの昔に間違っている認定された支点を前提にしています。現代では、1点のボルトに対して、片方がバックアップとなるよう、縦にオフセットする打ち方が主流です。

そして、このカラビナ、両方同じ方角を向いていますよね?冗長にならないです。

このケースには当てはまりませんが、ロープがコの字にかかるような具合だと、キンクします。

こちらは、古い支点です。ハンガーがなく、シャックル直付け。クリエイティブです。

        一番ポピュラーな道端エリアのシャックル直付け終了点
      これもこちらで初めて見た支点 登りなよーって言われても…(汗)

これは、さすがに誰でも分かる、登ってはいけない支点の事例、オールアンカーです。いくら、グレードが易しくても落ちることができないボルトであれば、登ってはいけない。これは、本当に腐ってしまう前に、リボルトの対象とすべき課題です。

この支点のルートを私はお勧めルートとして、仲間にすら進められてきました。殺す気ですかね?

■ 7つ目の違和感… 周囲も無知

当たり前ですが、九州で岩登りをスタートした若い人は当然、小川山や城山で登った経験はない。

登山から、クライミングをスタートした人ですら、三つ峠も知らず、ほぼ沢登りも知らない。

雪の山も、八ヶ岳の3分の2のミニチュアサイズである大山、止まり。

本州では、八ヶ岳ですら、小さいがために、楽勝ルートという位置づけられているのにも関わらず、である。

つまり、山の経験が浅い上に浅いことを自覚する経験も積めない、ということだ。

したがって、指導者が間違ったことを教えても、教えられた側が、なんか変だな?と気が付くこと自体が、そもそもできない。

こうした知識はロクスノには全く書かれていない。

日本中の岩場が健全であるという前提でロクスノなどの記事は書かれているのである。それを改善する気持ちもないようで、どこにも書かれていない知識なのに、
 
 お前もクライマーなら、それくらい分かっていて当然

と言われるのである、たとえ新人クライマーでも。それは、その新人が神でない限り不可能、というものだ。

現に、私たちは、山梨で登っていたクライマーだったが、カットアンカーについては、九州で、私がなんか変だな、と騒いで初めて知らされた事実だった。

最初は、二人とも、普通にペツルだと思って信頼していたが、山梨時代に培った、落ちないで登る、落ちる前にテンションコールするという外岩では一般的な、慎重な登り方が身についていたので、大きな事故に至らなかっただけである。

こうした九州の岩場の現状は、もしかすると、全国各地の岩場で起っており、九州だけの問題ではなかったのかもしれない。

■ 問題の根源は、情報伝播のシステムの不在

山岳会の会長レベルの人ですら、ホームの岩場の支点のあやうさには気が付いていなかった。

また、前提にしているクライミング常識の古さ(アルパインでは、Ⅳ級A1登り。フリークライミングでは、5.12波状攻撃登り)に自覚がなかったので、おそらく、年に一回日山協やJMSCAが主催する、岩場の危急時講習や冬山講習などの集まりには出ていないと思われるので、おそらく、年に一度どころか、40年間、知識はアップデートされていないのではないだろうか。

これを書いたためか、新・高みへのステップが出た。35年ぶり刷新だった。サボりだった。文登研よ、おまえもか、状態だったということだ。

しかし、そこにも、正しい支点構築の事例として、カットアンカーが使われた支点が載っていた(汗)。指摘はしたが、後日、写真の差し替えのお知らせは来ていない。

ビレイについても、壁から2mも離れたビレイをしていて、それを山岳会の若い人のお手本ビレイにしてしまう

とか、

クライミング初心者には向かない、下部核心のルートを、「このルートは面白いよ」と登るように勧める

とか

そういう指導者しかいない。指導される側は、そういうもんか…と受け入れてしまうしかない。

山梨時代に私が蒼氷の先輩から受けたフリークライミングの初期教育とは、内容がだいぶ異なったのである。

例えば、私が5.8のクラック愛情物語に取り付こうとすると、”それは初心者のリードには向いていない”、と制止を受けた。つまり、初心者に対する保護機能が働いていた。

九州にはそれがない。

知っていて当然であるはずがないものが当然だ、ということにされており、結局、知らないで怪我をしたら、泣き寝入りする羽目になるだろう。

■ 教えられる側が自衛する場がない

さらに言えば、教えられる側は、自分でクライミングにおける初心者時代のリスクを理解しておき、自己保身をするしかないが、それができる環境にはない。

基本的には

・目上の人の意見を反故にできない儒教文化の地

であるために、下の者は身を守ることすら、できない構造になっている。しかも上の人は、自分が無理強いをする結果になっていることにすら、無自覚である。

以下が初心者が身を守るために、原則とすべきルート選択の肝である。

初心者に向いたルートとは、

・ボルト間隔が適切で、
・グレードも適切であり、
・どこで落ちてもグランドフォールすることなく(どこでも落ちる可能性があるのが初心者です)
・下部核心ではなく、(下部核心だと適切なビレイをしても、グランドフォールの危険がある)
・低身長のクライマーに対しては、たぐり落ちのリスクがなく、
直上しており、ヌンチャクの工夫が必要ない(初心者は長ぬんで伸ばしてロープの流れを維持することなどを知らない)

というルートです。

特に背が低い人は、クリッピング時にたぐり落ちのリスクがあり、リーチは人それぞれなので、適正ボルト間隔は大事ですが、一般的な男性クライマーからは、リーチについての理解が難しいようです。

これはクラックで自分でプロテクションを取る習慣があるクライマーなら理解が可能です。99%のクライマーはボルトルートクライマーなので、手繰り落ちの危険が自分に関係ない場合、相手がリスクにさらされていることについては無理解です。

また、長いルートは易しいことが多いですが、逆にロープすっぽ抜けのリスクがあります。

25mのショートを登るには、50mロープでは足りず、60mのロープが必要です。分かっていない人が意外に多いです。明示的に教えてもらっていないのでしょう。

九州一般は、JFAの勢力の範囲外であるので(範囲内の長崎でも、まったく、グージョンは普及していないが)、結局、まともなボルトや終了点をクライマーたちが見たことがない、ということになって、まともなお手本を見たことがないために、開拓者以外のクライマーの誰もが、変なことを変だと気が付くこと自体ができないでいるのである。

九州では外岩クライマーや開拓者たちに対するリーダーシップが現在のところ、不在である。

■ 8つめの”違和感” 八面山


その際に、なぜか地元山岳会が、こそこそとボルトを抜く、などの行為があった。

何かやましいところがあったのだろうか?

■ 9つめの”違和感”  四阿屋グランドフォールで腰椎骨折

支点や終了点だけではなく、トンデモないクライミング事故も多く見聞きした。

福岡に来て一回目に出向いた岩場は四阿屋だったのだが、まず最初にグランドフォールを見ることになった。

2~3ピン目でランナウトしたインディアンフェイスという四阿屋の課題で、グランドフォールを見たこと。

地方の課題で、グレードが辛いのは、珍しいことではない。が、3ピン目でランナウトって。

私が山梨時代に通った小川山のルートはスラブで、初心者はスラブと決まっているのである。しかし、スラブでのランナウトは、登山のグレードの3級や4級と一続き。だから、歩けるレベルのところからロープが出るので、ランナウトという意識は少ない。

一方、この四阿屋の課題は、スラブではなく、フェイス…つまり5級、デシマルでのランナウトだった。インディアンフェイスという課題である。トポに注意喚起はなかった。

ビレイも適切だった。

5.○○でスタートするルートは、ランナウトというのは、落ちたらグランドフォールする、地面に激突する、下手したら死ぬって意味ですよ?

明示的に、RやXをフリークライミングではつける。それがアルパインの慣習に習っているのか、ついていない。

比叡などのスラブだって落ちたら、大根おろしだと思いますが、垂壁とリスクの差は比ではない…。オーバーハングでランナウトしたら?もう、地面に激突ですね…

この墜落者は、腰椎骨折で全治6か月ってことでした。

もしかしたら、一生クライミングできないかもしれないですよね。

いったい、どう責任を取るつもりなんだろうか? 

九州では報道されないだけで比叡の岩場や沢登りで、毎年1人や2人死んでいます。山岳県でない限り統計は取られず、ネットワークに入っていなければ、事故情報も知らされないので、自衛もできません。

新人などには、事故情報は回ってきません。内輪で回すので、ビジターなどは知らされぬまま、岩場にご対面ってことになります。

内輪の情報網に入る条件は、内輪のクライマーと個人的つながりがあるかどうか?です。

■ 10個目の”違和感” グレードが新人に不親切&不適切

”5.9なのに10bムーブ”…である。

地方での岩場で課題が辛いのは、別に珍しいことではない。

疑問だったのは、5.9なのに10bムーブが要求される、

 その状況を好ましいもの、と捉えていること

だ。にやにやしながら嬉しそうにそう語る。それが疑問だった。とてもうれしそう、ということ。

辛いですね~と言われたいのである。つまり、激辛は誉め言葉。

しかし、グレードは適正でないと、現代クライマーは、インドアクライミングジム出身者が多く、グレードをそのまま受け入れる人が多いため、5.10bと書いて実は5.10dでも、まったく警戒心を持たず、そのまま取り付いてしまいます。

それを落ちたら致命傷の外でやると、かなり危険です。

自分が逆の立場になったらどうですか?嫌だと思いませんか?

落ちるまで登ることが、頑張った証なのは、分かりますが、外岩では激落ち厳禁、コントロールされていない、ふい落ちなどは、慎めと私は教わりました。なので、クライミング文化の差にびっくり仰天。

どういう登り方を教わったかというと、門田ギハード君が登った世界最難ドライツーリングサフィアのチャレンジ映像に載っていました。

現代の外岩、特に古い岩場は、落ちないで登るようにするほうがいい事情ばかりが蓄積していますので、人工壁と同じ、むやみに落ちるスタイルを外岩に持ち込むのはタブーです。

それを証明しているのが、日本の古いボルト事情です。古いボルトで、バンバン落ちるクライミングをしてはいけない、のは、外岩クライマーの常識ですが、そんなことは、インドアクライマーは知らないで岩場に来ます。

普通に考えたら、何も知らない5.9が限界グレードの人が取りついたら、10bが要求されるわけで、当然落ちる。つまり、落とすことを意図している。そこに脆弱なボルトがある。2重にリスクにさらされています。

人工壁であれば、落ちるまで追い込むのが当然なのだから、落ちるまで追い込むことは良い習慣であると思うが、外岩で同じことをやるのは、無謀、です。

その課題で10bのムーブが要求されるところは、終了点間際の上部で、ボルトさえよければ、落ちても別に大きな問題にはならないようだったので、問題ではないかもしれない。

しかし、ボルトが良いかどうか、リボルトされているかどうかは、岩場全体ではなく、おのおのの課題次第であるし(だから、登る前に調べないといけない)、開拓姿勢は、岩場全体に渡るわけですから、この騙して落とす発想が、その岩場では主流だと思われ、不安になった。しかも、支点が奇天烈(上記)と来ては…。

つまり、発想が幼稚な岩場ってことである。発想が幼稚な…クライマーを落とすように仕組まれた岩場で、もしその課題が古いボルトだったら? 追い込まれて落とされ、そしてそのボルトが自分の墜落を支えてくれる保証は、ロシアンルーレットと言うことである。

ちなみに、その課題に、ヨセミテ仕込みとか言う、佐世保の海軍の兵隊の若いアメリカ人を連れて行ったが、登れなかった。

だから、問題は彼ではなく、課題のほうだろう。

この課題の後に続く次の難度(10a)の課題を登ったが、それも私はオンサイトできた。

山梨で鍛えられたおかげである。

■ 11個目の”違和感” 低グレードでイケイケ文化

私が特に喜びもなく、静かにオンサイトできた、10a程度のその課題なんだが、後日、”俺ってかっこいいだろ、どーだ!”というオーラを発しながら登ってくれた、若い男性クライマーがいて、かなりシラケた

10aって、山梨長野では、全く自慢になるグレードじゃない…。

なんでそんなことが起こるのだろうか?

九州ではたぶん、基準が一昔前に古いのではないだろうか?

5.12RPは上級者ではなく、中級者といわれるようになってから、すでにひと一人、成人するくらい、20年くらい経っているんですよ?

43歳からクライミングしている女性が、3年程度の修行してオンサイトできる程度の難易度のところで、若い男性がカッコつけて、かっこいいのだろうか? 

現代のクライミングのレベル感を鑑みると、山梨あたりで、どーだ!俺かっけー!!というオーラをしょっていたのは、5.13から上、みたいですよ?

その辺も疑問に感じるのが九州で、ブイブイ言わせるグレードが低すぎる、というか…。

同類扱いされて、え?ってなった。

わたしで3年で10Aがオンサイト出来る訳なので、普通の若い男性は、まじめにやれば、数年で、5.12くらいは登れるものだろう。

なんていったって、握力たったの17kg、身長152cmの私で、43歳スタートで、3年やって、5.11が見えているわけだから、男性の11なんて自慢の種になるわけがないのである。むしろ、努力を欠いている証とすら言えるかもしれません。

そもそも、日本の岩場でのボルト配置は、男性に有利に出来ている。小さい人にはたぐり落ちのリスクがあり、それを乗り越えるために技術力はより高いものが必要になる。背が届けば必要がないものだ。

さて、小川山で一緒に登っていた男性クライマーで、11で自慢していた人はいない。むしろ、引け目に感じているほうだと思う。

ブイブイならすというのが、これが九州の基本にあるようで、これも、余り易しい課題でやると滑稽ということだ。

すくなくとも一般的に10代でブイブイは変だ。山梨では、そんな人には会わなかった。

リスクの認知がなく、ブイブイだけがある人に、リードは取らせられない。ムーブに迷ったときに、デッドで取るだけしか手段がない人に、岩が外れることがある、外岩でリードさせられますか?させられませんよね?

しかも、ところかまわず落ちるのでは…。外岩クライマー失格です。

ランナウトしている課題で落ちるなんぞ、ご法度です。

■ 12個目の”違和感” 支点ビレイをリードクライマーに対して行う

その後も、古色蒼然としたアルパインクライミングの伝統に、なぜかフリークライミングに出かけて触れることになったが…例えば、支点ビレイとか...。

その後、こうした古い技術を見ることになった理由を理解した。

”九州でいうところのアルパインクライミング”、はマルチピッチの岩場をボルトを使いながらも、エイドで登ることを意味するのだと分かった。

ガメラ菊池さんが日本全国Ⅳ級A1時代、と書かれたそのままの状態に九州はいるみたいだった。

エイドで登るって、エイドだけのルートでない限り、今ではほとんど聞かない。

厳密に言えば、Aゼロはエイドだが、フリーで登れず残念な時に出す技であり、出直しクライミングが求めらえると思う。普通のクライマーなら、オンサイトを逃して残念だったなぁ、次回はフリーで登り切ろう、と思うのが普通で、最初からエイド出す気で取りつくって聞いたことがない。

■ アルパインクライミングが、微妙に本州と違う… 

アルパインじゃなくて、ボルトルートをエイドで登るクライミングだった…。

なにしろ、アルパインクライミングの技術しか教わっていない人がフリークライミングの開拓をしているようなので、両者が混同されて、意味が分からないことになっているようなのだ。

それどころか、もしかしたら、アルパインクライミングの技術も、きちんとは教わっていないんじゃないだろうか?

というのは、普通は、アルパインのクライマーは、支点はリムーバブルが当然とされているからだ

未踏の山にプリフィックスされた支点があるはずがないですよね?

九州では、それが、ぜんぜん当然にはなっていない。

ほとんどの人がカムを使うスキルもなければ、ハーケンも打てない。支点構築スキルを身につけなければいけない、とも、そもそも思っていないようだった。

あらかじめ、支点がプリセットされたボルトルートスキルしかないのに、本州の本チャンに行って残置で登る気でいるらしいかった。しかし…、それは、自殺行為に等しい。

そんなの、クライミングをスタートした初日に教わるようなことだぞ?

残置=危険。 いつなんどき壊れても文句は言えない。

なにしろ、ちゃんとした本チャン、つまり残置に頼らないクライミングを練習する課題が九州にはない。残置で登る=危険行為ですよ、と明確にメッセージ化はされていない。

■ 対策その1 : オールナチュプロでグレードを上げていく

例えば、本チャンアルパイン的ルートの代表、白亜スラブは、残置などなくても、カムで登れる課題だ。

普通のアルパインのクライミング論理では、残置なんぞ、頼らないクライミングをするのが普通だ。私の旗立岩中央稜を高度化したものである。

そんな支点構築スキルが求められて当然の本チャン向けの練習ルートでも、古い信用ならないボルト(40年経過したカットアンカー…汗)があると、ボルトがあれば、落ちて良いと考えてしまう。甘えが出るのだ。

なにしろ、アプローチが5分とかだと、ここはゲレンデ~気楽にのぼろー、と勘違いしてしまうのである。

実際も、ゲレンデと考えるのが良く、ルートの成り立ちをきちんとトポで伝えるのが良いようである。つまり、ルートの性格的には、練習台、であり、本番、ではないってことだ。

■ 対策その2: 老舗山岳会には、むしろ行くべきでない

私がセカンドを務めたクライミングでは、白亜スラブで、先輩が終了点を見落としたせいでロープが足りなくなり、中間支点1点のボルトに仲良く2名がぶら下がる羽目になった。

この時のボルトは、カットアンカーだった。

この記録は、クライマーとしては、恥ずかしい記録だ。ところが、九州では白亜スラブに行ったというだけで、すごいすごいのコールだった。ルート名ではなく、内容でクライミングを把握する習慣が、年配者の中でも、途絶えているらしい。

私は、今では、先輩の彼も騙されて、これに行ったのではないか?と思っている。というのは、彼の実力を正確に測る能力がある指導者がいれば、ボルトが信頼できない、白亜スラブを彼に薦めるとは思えない。それとも、ひとつ、痛い目に遭わせてやろうと意図されたのだろうか?

あの登攀は私が並みのセカンド…自己確保で登る技術を持たないクライマーであれば、ロープは動かない訳だから、ヘリレスキューになったことであろう。

そして、今の時点でも、彼はそのことには気が付いていないだろう…。自分の実力がこのルートを登るには足りていなかったことや、セカンドを危険に陥れたこともだし、彼のリードクライミングは、ロープアップできなくても登ってきてくれるセカンドの、技術に頼ったリードだったということにもだ。

二人で、ぶら下がった当時ペツルだと思っていた1本のボルト、あのボルトが抜けていたら、二人とも、さよーならー、である。

そして、その支点は、信用ならない、40年が経過したカットアンカー

現代のボルトで、”普通”は、グージョンの事である。私たちは無知で、カットアンカーを当然のようにグージョンであると思っていたわけである。

悲しきかな、この記録を老舗山岳会は、ダメな記録、とは認知できない

すごい!とか、えらい!とか言ってしまう。それは、要するに老舗山岳会のほうも分かっていないのである。

ルート名だけで賞賛してしまうのは、グレードだけで賞賛してしまうのと同じで、現代の一発豪華主義、グレード至上主義を助長している。

つまり、誠実さはない。真の意味のチャレンジも、冒険もない。

なんせ、本気の山でふざけた行為をしていれば死者の列を作るだけなんである。

■ 対策3:現代のアルパインは支点は自作するものですよ

この経験…クライマーとしてのボルトタイプに関する無知…も、残念な現実だったが、九州の岩場に必要なのは、適切な教育的ルート習得目標の明示化である。

そもそも、終了点を見落としてしまうとか、

ロープスタックさせてロープアップできなくなるとか、

未熟なクライマーが、ただのカッコつけ目的で来る、なんてことはできないようなルートの作り

が必要なわけである。アプローチが短いと勘違いしやすい。

ボルトを抜けば、そんな奴は来ないだろう。

グレードとそれに期待されるロープワークが身についていなければ登れないようにしておくべきである。

現状では逆になっており、グレードだけ高ければ、そのグレードに見合ったロープ捌きが全く身についていなくても、登れるように親切丁寧に作りこんである。

グレードだけは高いが、それに相応するリスク管理能力が身についていない人が大量生産されているのは、こういう理由によるのである

5.9を登る人のリスク管理能力より、5.12を登る人のほうがリスク管理能力が高いと普通人は想像するだろうが、現代はそうなっていない。

全くリスク管理能力のないまま、難易度だけを上げていけば、そりゃ死者も増えて当然だろう。

ロープさばき(リスク管理能力を上げる)必然性がルートにないからだ。

カムがスタックしたり、

ロープが岩角に引っ掛かって流れなくても、

ショートしか登っていなければ、いたずらにグレードとクライミング経験年数が上がっていくだけだ。

巷の9割のクライマーはグレードを追いかけている。その意味するところは、お買い得課題を現代クライマーは登るということだ。

結局、低グレードのルートをこなすことで当然身についていてしかるべき、ロープの屈曲を作らない、とか、長ぬんで伸ばすとか、終了点作りとか、あるいは、単純に25mと35mのピッチを60mのロープで登っているときに、つなげたらどうなるか?という基本的な計算能力などが、お留守のまま、グレードだけが立派なルートに来たがるのである。

それは逆に言えば、周囲がグレードだけを評価するからだ。

リスク管理の能力は評価の対象にない。だから、グレード一点豪華主義のクライマーしか生まれない。

しかし、いくら、お調子者でおだてに弱い人でも、残置なし、オールナチュプロ、となれば慎重になる。

なにしろ、山に残置があるわけがないのだから、残置を頼らずに登るのが、普通にアルパインの完登と言え、それにふさわしい課題だろう。

北アの錫杖など、本州では、誰か分かっていない奴が残置する度に、ボルトやハーケンを抜くクリーニングにトップクライマーが出かけているんである。九州のみなさんは、残置はありがとーって使っているらしいんだが、それは、手抜きクライミング以外の何物でもない。

その上、その残置で落ちて、その残置が抜けて大けがしたことを、山はやっぱりアブナイとか、的外れな感想を述べているのである。

山じゃなくて、あなたがアブナイ。

要するに、本来学習していて当然のことを学習しないで来る、手抜きクライマーを助長しているのが、ボルトの存在なんだが、現実のボルトは40年経過して、手抜きに有利なはずだったのが、現実的にはだましルート、って結果になっている。

思うに、ボルトレスにしなければ、クライマーは岩の歌が聴けるようにはならないのではないだろうか?

現代クライマーは、ボルト追っかけで、ボルトの歌を聞いてしまう。

もちろん、支点さえ自前であれば、エイドを出しても、テンションしても、アルパインだからOKだ。つまり、完全フリーで登ることは、求められないのがアルパインだ。

日向神のマルチ入門ルート弁財天岩東稜 https://allnevery.blogspot.com/2019/01/hyugami-benzaiten-iwa-east-ridge.html

そんな手抜きクライミングをしているのに、すごいすごいともてはやされて誤解して天狗になっているのでは、カッコ悪いと思わないのだろうか?

余談だが、昨今のトップアルパインクライマーらは、ちゃんとチーム全体が、オールフリーで登っているが、そのこと自体が年配のアルパイン系の人の間では、理解されていないのは、これが原因なのではないだろうか?

年配者は、現代のスーパーアルパインの記録を読んでも、すごさが理解できない。

日本アルパイン史において、クライミングの基準を塗り替えたと言える偉業の甲斐駒のスーパー赤蜘蛛フリーソロ(5.12がノーマルってだけじゃなく、フリーソロなんだよ?!)が、全然、日本では話題にならなかった理由が、これなのではないか?と思う。

たぶん、白亜スラブと同じくらいにしか思えなかったんでしょうねぇ…なんせ九州の岩場でアプローチ6時間とかないし、困ったらエイド出せばいい、という程度の気楽さでしか登っていないんだから…。

問題なのはそれを学習する若い人の側だ。日本で、”アルパインクライミングと言えば、エイドクライミングのことだ”と古いクライマーが、若者に教えるので、若い人は、”そうか”ということで、彼らの記録も、エイドで登ってもそうと書いていなかったりする。

だから、すごい記録が出たとしても、

  自分にもできるはずだ

と安易に思ってしまう。

猫も杓子も、”俺だって佐藤ユースケ”って思ってしまうのは、困ったらエイド出せばいい、というクライミングスタイルが根っこにあるようだ。

それは現代の若者が、どんなふうに自分のアルパインの記録をつけるか?で推測できる。

エイドで登ったことをそうと明記せず、楽しく登った記録にしてしまう…

読んでいるほうは、まさかたった5.10cの核心に、エイドで、2時間半もかけて登った、とは思っていない。そうは書いて無く、楽しく登れた、と書いてある。

当然だが、記録を読んだ側の頭にはエイドはない。現代で登攀と言えば、フリーで登ったことが前提になっているので、ここを登れるなんて、いい若者が出てきたな、今度、声をかけてやらねば、と思ってしまう。

そんな誤解によって、得しているのは、古い常識をインストールされて、自分が全く現代レベルに達していないことに無自覚なまま、高度なルートに行っては敗退している新人君のほうで、損をしているのは、ほんとにすごい偉業をしている人たちである。すごさが認知されていない。

それは、世間のクライマーが、どうせあいつだってエイド出していると思っているから。

参考:登山と嘘は相性がいい 

そのことが理解できた経験だった。

■ 対策4 :まっとうなフリークライミングのルートを増やす

ランナウト核心の比叡のようなルートを、フリークライミングのルート(ゲレンデ、練習用)として性格づけたいのなら、ボルトは、きちんとリボルトして、落ちれるように、ちゃんとメンテナンスしなければならない。

フリークライミングは、エイドを出さず、完全にロープに頼らず、登るものだからだ。

その代わり、リスクをとって、えいやっ!とやり、落ちても、XとかRとか書いていない限り、当然、死なない。全然、アルパインとは指向性が違う。

参考:最近、白亜スラブはフリークライミングのルートと結論しました。

大体、最近のクライマーは、どんなお粗末スタイルで登っても、終了点にたどり着きさえしたら、”登れたー!!”と言ってしまう。実際、山梨アルパインクラブの先輩と行った白亜スラブも、登れていないが、登攀直後はまったく反省がなかった。

むしろ、自信につながってしまっているようだった。

自分が登れていないことが自覚できていない。これでは、事故が減らないはずだ。 

https://allnevery.blogspot.com/2019/03/blog-post.html

300のヒヤリハットが5件の重大事故の背景にある。

しかし、ヒヤリハットをヒヤリハットであると、そもそも自覚できなければ、向上がない。

これが日本から事故が減らないカラクリだ。

クライミングスタイルの教育は、きちんとなされておらず、ショートでは、

 ハングドッグ&レッドポイントのグレード競争

になっているから、5.12がRPで登れても、それは特定のお買い得ルートで一回だけ登れた、というレベルの出来事であるから、時間が勝負のマルチやビッグウォールでは、全然通用しない。

そうした通用しなさを経験してもなお、同じスタイルのレッドポインター登りから向上しない。ロープクライミングの基本をマスターしなければならないのだ、と自覚もできていない。

カムの配置が悪くて、ロープをスタックさせても、俺、登れた、と言ってしまい、実際は登れたと言えるクライミング内容ではないのに、自己肯定感アップしてしまう。

そして、他のクライマーを

「お前、10bしか登れねーの」

と言ってガスライティングしてしまうわけだ。実際はそのクライマーに助けられていても、だ。

長ヌンで伸ばさないと岩角に当たってロープが流れなくなる、なんて、普通に仲間と登っていれば、盗めるというか、教わらなくても、自然に分かるはずなんだけどな。

私はクライミング元年に行った、初級ルートの太刀岡左岩稜で分かったけどなぁ。

そういう初歩的なことを学ばないまま、年数だけが積みあがるのは、周囲を見ていないから。

というのは、支点ビレイされているクライマーを見たとき、それにすら、気が付かなかったらしいのだ。

大体、男子は、みんな初級ルートを馬鹿にしている。

だから、初級ルートで学ぶべき技術的課題を克服しないで、上級ルートに行きたがる。

終了点を見落とした、ロープスタックしてロープアップできなかった、なんて、”登れた”と、普通は胸を張って言うことはできない。ロープの流れを作る、なんてことは初級ルートでマスターしているべきことだ。

もし、それが今の課題ルートで出来ないで終わったら、復習山行の対象だ。

ま、白亜スラブ事件で、相当懲りたわけである、私は。

これに行ってしまった理由は、単にフォローがいなくて気の毒だなぁ…と、すでに、先輩・後輩の絆があったため、である。

今では、あんまりにも寛容だった自分を反省している。

九州のトンデモクライミング事例:どんなレベルの人が比叡に来るか

 https://allnevery.blogspot.com/2023/02/blog-post_19.html

この人、文登研リーダー講習上がりの若い人ですからね。リー研も地に堕ちたもんだ。

■ 対策 5: 5.10代が危険と警戒する

アルパインの論理で、フリークライミングのルートが作られている率は、5.9~5.10代の初級ルートに多い。(おそらく、もともとの古いアルパインのクライマーたちは、高難度フリーは、全然、登れない人が多いからだろう。)

また、単純な、エイドルートのうち替えルート、が多い。

したがって、そのボルト間隔でエイドルートとしての開拓者の実力が分かる。

その悲惨さNO1は、八方が岳のボルトラダーうち替えで、1m置きにリボルトされた10c。

エイドルートして作られたときは、10cが登れない人が作ったのだろう。1m置きにボルトが打ってあれば、私だってヌンチャク掛けれる。

しかし、男性で10cでいっぱいいっぱいって、現代になぞらえると、へたくそって意味である。特にトレーニングしていない人がそれくらいであるのだから。

現代の一般的なクライミンググレードが登れる人がリボルトしているのではない(こっちのリードクライマーの能力は一般的に低い)ため、古いボルトの置き換えで、思考停止しているわけなので、フリー化されても、結局1m置きのボルト。岩がもったいないことになっている。

その課題をさも、自慢げにお披露目されたときには、ああ…、ここまで何も分かっていない人たちだったのか…と目を疑った。いわゆる山岳会の人たちと行ったからだ。本人たちは、自信たっぷりなので、こちらは、なにも言えない。

■ 対策6 グランドアップとラッペルダウンは別物と自覚する

アルパインとフリークライミングのルートの最大の差は、

 ・グランドアップか、

 ・ラッペルダウンか?である。

もちろん。フリークライミングには、ラッペルとグランドアップの両方があるが、アルパインにあるのは、グランドアップだけ。

グランドアップにも、ドイツ式とフランス式があり、ドイツ式のは、ボルト位置が吟味されていない。いきおい、遠くて、危険な課題と言うことになりやすい。

アルパインクライマーがフリーの岩場の課題を開拓したことが、何に現れるか?というと、クリッピングチャンスの捉え方、である。

アルパインの人は、基本をリッジ登攀に置いている。つまり、基本的に落ちない傾斜のベースに、ところどころ落ちるところがあるわけで、その落ちるところ、というのは、難易度というよりも、おかれた場所の危険度、である。沢登りでも、この辺の機微は学習できる。

例えば、高さ30mに置かれた足場板は危険だが、高さ1mにあれば危険でない。なので、難易度というよりも、危険度が問題であり、アルパインだと易しいからと言って、支点を取らず、どんどん高度を上げてしまう=リスクを上げてしまう…というのが、初心者が陥りがちなミスだ。つまり、ランナウト。沢なら高巻きでロープを出さないとか。

私も過去にジョーゴ沢から硫黄岳に詰めたときにやらかしているが、マジの初心者時代だけである。そんなクライミングは教えていないと言われて大目玉を喰った。それを延々と反省しないで続けているのが九州クライミングである。

アルパインルートでは、危険個所、つまり、核心前以外は支点がないのが普通だ。それは現代クライマーにとっては、歩ける難易度だからである。言い換えれば、ガバがあるところは、快適に登攀中なので取らない。登っていても、一般的な山やであれば、ここで落ちるやつはいないと思える。ジャンで落ちる奴がフリークライミングに来ると思います?来ませんよね?

もちろん、地面が近い間は、取るのはフリーと同じだ。(クライミングは高さが低い方が危険。地面に落ちれるから。)

一方、フリークライミングというのは、そもそも絶対にロープがないと、登れない傾斜を登るものだ。5級とはそういう意味である。

だから、フリークライミングのグレードは、5.XXというように5から始まるわけだから。

UIAA3級はロープがいらないグレード、4級はロープが人によって要らないグレードなのだから。

一方、デシマルで始まるフリークライミングでは、いつでも、どこででも、落ちること前提である。

フリークライミングでは、落ちれない品質のボルトなら、あるだけ無駄である。

アルパインのルートでは、朽ちたハーケンが残置してあるが、赤布と同じでルートがあっているよとルーファイの補助とする程度のものである。

こちらは世界のお墨付き。

https://allnevery.blogspot.com/2023/07/climbing-policybetter-to-have-no-bolt.html

そこが、アルパインの人は切り替えできないのだろう…。

こんな易しいところでは落ちないから、イラナイと考えてしまう。

50mの登攀で、3級では1本、4級で2本、5.XXで3本という換算表は、まったく岩の現状を何も反映していない思考法だ。

何級だろうが、落ちたら死ぬところでは、核心前に1本。カムなら、念のため、2本だ。

雪稜なら、落ちて死ぬところなら、2級つまり、水平だってタイトローピングするものだ。事例は、クレバスウォーキング。

(余談だが、師匠がおらず、講習会やガイド講習を受けていないクライマーは、タイトローピングを習得していない。技術要素としてすら、知らない人が9割だ。)

一方、どこでも落ちる、という前提の5級スタートのフリークライミングでは、ガバ=クリッピングチャンス、というのがフリークライミングの前提だが、元アルパインクライマーが、フリーのルートを作ったのではないか?という課題は、大体が、ガバ=ボルト飛ばし、になっている。

その結果、れっきとしたフリークライミングの課題なのに、なぜか落ちてはいけない課題、ということになってしまっている。

例えば、前述の四阿屋のインディアンサマー。初日に3ピン目で墜落して腰椎骨折した人を見た。2-3ピン目がランナウトしているためである。

あるいは、例えば、八面 カプチーノ5.9。

オバチャンクライマーの私がオンサイトで、見ず知らずのビレイヤー(つまり、信用はまだできない人)を相手に登れたくらいなんだから、5.9でいいとは思うが…なんじゃこりゃ!と思った。

昨日、田嶋さんに聞いたら、そこは、新人にはトップロープでしか登らせない課題ということだった。んじゃ、トポに、トップロープ課題と書いておくべきである。

大体、一番真ん中の良いところにある5.9だったら、その岩場に初めて来た人は、普通に喜んで取り付いてしまうだろう。

余談だが、私が登っていた時に、誰でも知っている有名アウトドアウエアのメーカーで店子をやっている男性たちが集団で登っていたが、同じ5.9、若い男子でも全然登れず、TR以外ありえない感じでしたよ。

まぁ、そんなこんなで、支点の質が40年前であることや、課題の質がアルパインの論理で、作られていること、などから、色々と普通は、フリークライミングでのボルトルートを期待していたら想定しなくて良いとされる、想定していない、きわどい目、に遭った。

いや、ひどい目以外は合っていないというほうが正しいくらいだ。

■ 自浄作用を働かせてください!

九州では、そんなひどい目に遭っている私にさらなる行政改革?を期待したようである。

しかし、そんなの、外者から指摘される前に、

ローカルクライマーの自分たちで、自己改革してほしい

外者、よそ者から、指摘を受けるまで、正さなかった、直さなかった、というのが実情なのであるから。反省すべきは、こんな岩場やクライミング状況を作っている側で私ではない。

ビレイが悪いのは私のせいか?違うでしょう。

ボルトがしょぼいのは私のせいか?違うでしょう。

指摘に対して、私に逆恨みをするのも、辞めてほしいものだ。指摘は正しいし、的を得ていると思う。

そもそも、自分の仲間が間違ったボルト打ちをしていたら、仲間であるあなたが、指摘してやるべきでしょう。

私に、告発者の役割を押し付けないでください。

悪いことをしてはいけないのは、それが悪いことだからで、他の人に怒られるから、ではありません。

意図していない間違いも同じです。怒られるから治す、というのでは、幼稚園児です。

第三者である私が言ってますよ、悪口ですよ、と告げ口するのは、私に悪役をおしつけ、自分だけは保身しようと、責任転嫁しているのである。私に猫の首に鈴を付ける役目を期待するのは、やめてほしい。

カットアンカーは、私じゃなくても、誰が見ても、時代遅れで強度不足です。

ホームセンター調達の”アルミ”プレートとかも、安物買いの銭失い、時代遅れすぎます。そもそも異種金属だし。

人工壁のホールド一個に何千円も出すのに、なぜ一本1000円くらいのグージョン代が出せないのか?

謎です。

■ 謎のカム不信 …カットアンカーは信頼できるのに、カムは信頼できない?!

不思議な倒錯もある。カム不信だ。これも古い価値観が更新されていないためではないのだろうか?

40年前の腐ったカットアンカーには、落ちろ落ちろ、と言われる(例:大蛇山。登った後すぐリボルトになった…リボルトの出しにされたに違いない)のに、カムで登るトラッドを私が登ると言えば、「命知らずですね~」みたいな対応をされる。

誰が打ったともしれない40年前の腐ったボルトに、ポロポロと気軽に落ちて、それが抜けてグランドフォールするのと、自分がセットしたカムが抜けてグランドフォールするのでは、どっちがいいですかね?

この辺は好みの問題なのかもしれないが、私なら、自分がセットしたカムに落ちる方がまだ納得がいくけどな。

ちなみに自分のカムに落ちたことはありますが、それが抜けたことはまだないです。

■ その他

その他、色々と疑問な出来事が起こった…。

最近起きた 公開されている岩場なのにノーマットで、ボルダリンググレードの3級しか登れないクライマーが2段登りたい!そして、ちやほやされたい!

…なんて、可愛いもので、

クラックなのにボルト、とか

外岩なのに人工ホールド、とか

2名のリードを一人がビレイ、とか

支点ビレイをされているのに、されている本人が気がついていない、とか

動くものに道標つけて、これで良し!とか

オリンピックでビレイを習ったから、外岩ビレイも教わることはない、とか

背の低い私に向かって、エイドで鍛えてやる…とか。

最期のやつなんて、死の宣告に近い。

ホールドが届くか届かないか?には、クライミング技術は関係がない。

昔のエイドルートって、ボルトが打たれたのは、40年以上前だろう…フリー化以前だからだ。つまり、ボロい。そして、背の低い人が、いくらアブミの最上段に載ったところで、手が届かないものは届かない。オリンピックで、森秋彩選手が明らかにしましたよね。

このことは九州大学で教えるくらいの知性があっても分からないみたいなんですよね…ムーブと言う会の人ですが、怖いんですね、とかってバカにしてきたのですが、そういう問題ではない。

エイドクライミングのグレーディングというのは、困難度は常に距離である。墜落距離と比例してリスクが増すからで、つまりランナウト核心と同じことだ。A1、A2、A3と困難度が上がるグレードの中身、内容を調べれば、誰だってすぐ分かる。

それをちびの新人に向かってやってあげるよっていうのだ。こんなの、君を窮地に追い込んで落としてあげるよ(殺してあげるよ)、喜んでね、と言っているのと同じことだと分からないのだろうか?

フリークライミングにおけるAゼロだって、手が届けば出来るが、届かなければできないものだ。

クリップポイントは、たいていフットフォールドは同じ…なぜならクリッピングチャンスというのは安定した場所だから…なので、アブミの上段に載るのと同じことになる。同じところに立って、手が届くか?届かないか?は身長の問題で、クライミングスキルの問題ではない。そこでデッドするという選択肢はないし、ランジもない。

それ以外にも、私のリード中に、他のクライマーをリードさせて、一人で2名をビレイしたトンデモ・クライマーから、連れて行ってやっても良い、と言われた。そんなトンデモ・ビレイで登らないといけないなら、登らない方がいい。

そもそも、2名が一名をビレイするなら分かるが、一名が2名をビレイするなんて、ありえない。

以上を勘案すると、”連れて行ってやる”のは、どう考えても、私の側である。

…というわけで、九州では、理解が反転…倒錯…している人が多数で、その理解の反転は、普通にまじめに論理的に考えたら、変、と気がつく程度のものが多い。

要するに、みんな考えていないで、周囲の空気に流されているだけ。

あの人は往年クライマーだから、あの人について行けば、ただで教えてもらえる、と期待してやってるのだろう…。

つまり、新人はすっかり雰囲気に騙されている気配が濃厚だ。

技術なんて持たず、教えることができないから、教えられない人…言語化できない人…を仰いで、クライミングについて行き、俺はお前を連れて行ってやっているんだぞ、と不当に恩を売られるのに、気が付いていないわけだ。連れて行っている本人は、技術がなく、文字通り命がけだから、なまじ、その気持ちは、嘘ではない。

逆に新人の側は、ありがたくもなんともないものを、高額で買わされているようなものである。

このような状況なので、山岳会には入らない方が良い。入ったら、殺されてしまうかもしれない、そして、今時の新人は、根性がない、と不当評価される、ということになっている。実態は虐待を断っただけのことだ。

そもそも彼らが現状のクライミング現実を作り上げてきた人たちで、新人の側には責任はない。

新人の側は冬の時代である。なぜなら、かつての山岳会が益にならないどころか有害である事実に対して、クライミングを正しく教える機関はないし、杉野さんみたいな、クライミングガイドのしっかりした人も聞かない。

一人で2名をビレイするとか、ATCなのにグリップビレイとか、リードクライマーを支点ビレイする、とか、間違った技術を広めているのは、むしろ会のほうなのだ。

…が、これから技術を習得したい人は行くところがない。

■ グレードは適正に…とはいえ

一方、グレーディングが辛い、というのは、開拓者が置かれた事情を鑑みて、ある程度は理解できる。

あるグループで、自分が一番登れる人になってしまったとしよう。あるルートを開拓したが、自分以外は誰も再登できない。

となれば、今まで自分が登ってきた最高難易度のものと比較して、それより難しければ、1グレード上げ、易しければ1グレード下げるだろう…それしか、参考になるものがないからだ。

もし、私のように10代がギリギリで、5.9は、まぁ落ちないレベルの人が登れば、私が落ちるようなところなら、5.10cかな?とかいう付け方ができる。あるいは、何トライでレッドポイントできたか?カウントすることでグレードを与えることができる。私のレベルなら、10cは、2回か3回でレッドポイントが今のスキルなので、レッドポイントにかかった便数で、グレードが図れる。

しかし、開拓において豊富なテストクライマーが得られることは、ほぼないので、一つの岩場の中で、グレードが易しい順から、難しい順にきちんと整列していたら良し、というべきだろう…。

■ それより問題なのはランナウト

そもそも、ボルトルート(スポート)のフリークライミングは、どこで落ちても死なない前提のクライミングなので、問題になるのは、グレードが辛いことより、ランナウト、である。つまり、落ちてはいけない作り、である。特に、その岩場で一番易しい課題。

何しろ、初めて行った人は、一番易しい課題に取り付くのである。その課題が5.9と書いてあって、10cであっても、どこでも落ちれる作りなら、「あー、難しかったー」で、終わりだ。

ところが、落ちれない作りの課題だと、追い込まれて、やむなしで落ちて、大怪我してしまわざるを得ない。四阿屋のインディアンフェースである。行った初日にグランドフォールで腰椎骨折した方に遭遇した。

お気の毒だが、フリーファンには事故報告は乗らなかった模様だ。

事故の情報が、どこにも載らなければ、事故がその岩場で起きていることも知られないままになる。むろん、開拓者本人すら知らない。

もちろん、これがアルパインのクライマーなら、ここで落ちたらヤバい!と思った時点で、エイドの道具、例えばスカイフックなどを出して、安全に降りるなどの対処が可能だが、普通のフリークライマーがスカイフックを持って、岩場…しかも、ゲレンデ…に行くかというと?当然だが行かない。スカイフックなんて名前を聞いたことがある現代クライマー自体がいないだろう…。エイドの道具だからだ。

当然、本番でもないゲレンデにスカイフック持っていく人も普通はいない。

というわけで、普通のフリーのクライミングしかしない人向けに、ボルトルートであっても、ランナウトした課題、落ちれない課題には、Rを正直につけておくべきだ。トポに書いておけよ!ってことだ。インドア上がりのクライマーは、ランナウトなんて知っているはずがないのだし。

大体、フリークライマーというのは、スポートルート、つまりボルトルートでは、ボルトへの信頼をベースにして、俺は安全なクライミングを選んで登っている、と思っている人たちなのだから、ボルトルートに取り付いて、まさか、自分がRつきを登っているとは思っていないのだから。

そもそも、RXの記号自体が、トラッドを前提にしているそうだし…

ここでも、ルートに欺かれることになっている。

そもそも、フリークライミングの教育に、エイド技術で急場をしのぐなんて出てこないのだし。

もちろん、落ちたら、ビレイヤーが後ろに走る、とか教わらない。

そんなことを知っているのは、昨今アルパインのクライマーでもいない。アルパインロックのルートで、後ろに走るビレイをできる岩場なんてない。大体のルートでは、1ピッチ目以外は、ハンギングビレイになる。

後ろに走ることを知っているとすれば、アイスクライミングのクライマーくらいだ。私は幸いアイスクライミング出身だが。

アイスクライミングでは、支点となるスクリューが高い。1本1万円だ。勢い、支点の数が限られるので、できるだけ本数節約で取るので、下のビレイヤーは、「ねぇ、もう、早く取ってよう… これだと私、だいぶ後ろに走らないといけないじゃない…」となる。

もちろん、ビレイヤーの方が軽かったら、後ろに走ろうが、落ちられれば、前に引かれるので、意味なしである。それどころか、前に引かれて、ビレイヤーの側が氷に激突して下手したら、ビレイヤーの方が死んで、落ちたクライマーの方が雪のクッションで助かるレベル感である。

九州では、ランナウトという言葉の語義、自体を古いクライマーは理解していないかもしれない。

https://allnevery.blogspot.com/2022/10/blog-post_28.html

■ 総括

というわけで、総括すると、

アルパインロックの本チャン的ルート = ボルトを抜いて本来の支点を自作するルート設計へ

フリークライミングのルート=ランナウトの問題解決し、ボルトを新しくし、本来のボルトが信頼できるフリークライミングのルート設計へ

という二つのことが課題なのが九州だ。

あとはトポの充実。ちゃんとトップロープ課題とか、RとかXとかつけておくべきだ。ボルトの設置年月日と施工者名も同様。そのルートがエイドで初登されたのか?グランドアップ開拓なのか?もかなり重要なコンテキストだ。

現代のクライミングの様子を鑑みるに、高齢化で、要するに、クライミングが怠惰化したのだろう…。

なにせアルパインのクライマーにとっては、支点を自作しなくて良ければ、そもそも、登っているグレードが11以下なので、一般男性にとってはタダの快適クライミングである。

怠惰でなければ、好意的に考えて、現代においてもカットアンカーをカットアンカーにリボルトしようとするなんぞ、カットアンカーが現代では適切なボルトでないことを知らない=無知だった…のであろうが、どちらにしても、その期間は40年間、で、尊敬に値する行為か?というと?答えは明白であろう。いくら九州が僻地でも、10年遅れとかくらいまでだろう、その言い訳が許されるのは。

フリーのクライミングルートがフリークライミングの論理で貫かれていないことも、基本的には、意味あってつけたグランドアップ課題というよりは、単にエイドの置き換えであるだけ、とか、ボルト位置に失敗した、というだけのことであろう。

ニンジャを守るために、斜陽みたいな失敗作を擁護してしまう羽目になっているのが、今のクライミング界だ。名作と駄作を混同しているのである。

断っておくが、私は5.11が登れるようになってから取り付く5.9があっても良いと思う。憧れのルートということだからだ。しかし、それには歴史的経緯が必要だ。しかも、そういう性格のルートだということを広く認知され、トポに書いてある必要がある。なにしろ、トポはコンテキスト、つまり、どういういきさつで開拓されたか、を伝えるため、にあるのだから。

九州では前の世代のツケ…2000年代でも、本州ではとっくにリタイヤしているカットアンカーボルトの本チャン、ボルトが信用できないフリークライミングのルート…に、延々と後世の世代が付き合ってきたわけだ。

その際に、危険になるのは、昨今、10歳以前からエリート教育を受けている最精鋭のコンペクライマーではない。彼らは登るために新規ボルトを(グージョンで)彼ら専用にわざわざ、打ってもらえる。そのための予算は、税から出ている。

一方、普通に趣味としてクライミングに接し、クライマーのやっていないクライミングジムでクライミングに接した、一般市民クライマー達には、コーチはいない。師匠も当然いない。九州では、クライミングジム店長も頼りにならず、ガイドもいない。その上、九州では、クライミング講習会も開催されない。開催されても、誘っても来ない。

たとえ、講習会が開催されたとしても、地元の反発を憚って、このような知識は伝えられない。

そういえば、御坂山岳会の登攀力があった先輩が九州に転勤になり、その先輩はとっととクライミング辞めてしまっていたなぁ…。それはこういう訳だったのだ。

というので、これで4年間のクライミングの総括、お終い。

■ 当方の山の実績

7年前の昨日は、阿弥陀北稜を初見ソロ…つまりオンサイト…で登っていたようだ。

九州2度目の転勤後の生活だが、最近気に入っている作家さんである、谷本真由美さん風に言うなら

『九州クライミング要注意マニュアル』

だわな~ いやマジこれですよ、この5年間は。

誰も気に掛けたり、救ってやらんかった、落ちこぼれクライマーたちの技術実態が、いかにひどいことになっているか、分かった。いまだに、グリップビレイしている。

これを危機だ、危険だ、間違っている、と気が付くことすらできない、若い人たち… 年配者は悲惨だが、その悲惨さにすがっている新人クライマーのほうがもっと問題だろう…

北海道では奈良さんが1月の海でSUPで氷壁を偵察に行き、トドと戦っていた…(笑)。クライマーらしいバカやってますね(笑)。

九州では、1月でもゆとりで無雪期シュラフで寝れて、そんな温暖地で、UIAA4級や5.9程度をランナウトして、俺ってすげー!と雄たけびを上げているのである。

この雄たけびのしょぼさが分からないかな? めんぽこの大滝にしても同じです…。あれ普通に現代アイスクライミングをやっていたら、発表するほどのものか?と自覚して、発表しないと思うぞ?発表するにしても、2行だな。初登しました、以上終わり。

”九州男児”の言葉の意味は、今では、甘ちゃんってほうが正しい。それをロクスノすら検知できないクライマー業界… 地に堕ちています。

九州でまともな路線で、頑張っているのは、小山田大さんくらいなんじゃないでしょうか?真冬でも上裸で日之影で登っていらっしゃいますが、何を示すか、見ればわかりますよね?

暖かいってことですよ。

若い九州のクライマーは、日和りきったアルパイン族の真似していたら、人間が腐ってしまいますよ…。

登攀力がフリークライミングのレベルに至ったら、クライマーは、とっとと、ヨセミテなり、ラオスなり、さっさと出て、日本人以外のクライマーに新しい技術はもらいましょう。

海外に出ても、日本人同士と、つるんでいるんじゃ、全く意味なしですからね!


こんなの要らないカットアンカーボルト ペツルではありません。
40年前の常識=今は非常識。新規リボルトをカットアンカーでやるのはやめましょう

            残念な終了点 近すぎ 縦にオフセットしましょう

         自己責任を求めながら、設置者責任放棄しているけどね…

ボルダリングの岩場にもマット使ってくださいと書いて貼っておけばいいのかも?

                                      シャックル直付けは辞めよう。

PS 総じて楽しんでいるというコメントを貰いました(笑)。スリルとサスペンスでした。
 
白亜スラブについての信頼できるガイドさんの情報
 
男性vs女性 女性にだけ異様に要求が高い

九州クライミング追記 ボルダーを登りましょう

故・杉野保さんの『オールドバッドゴールド』が書籍になっていますが…それによると…新原さん九州クライミングの父、柏木さん=九州ボルダーの父、みたいな位置づけです。まぁ、歴史なんて、後から見る人の見方で、後から見た人が全体像を分かっているとは言えないかもですが…。ちなみに両者とも長身のクライマーです。

リードクライミングでは、九州のアルパインの伝統は、一言でいえば、”ランナウトに萌えるぜ”です。まぁ花崗岩なので、つまり寝ているということで、ランナウトと戦わなければ面白みがなかったのかもしれませんが…。勢い余って、現代のフリークライミングの岩場でも、その論理を貫いているので…。

初めて取り付く人は、課題設定者がもつオリジナルグレーディングを思ったほうが良いです。正しくビレイしていても、落ちれば致命傷になる課題もあります。例:インディアンフェース

ランナウトに萌えるぜ!が基礎的価値観の場合、ボルト連打が始まるグレードがその開拓者のギリギリグレードです。それを思うと、米澤さんは九州では特例的に登れる人だったのだと分かります。

私が開拓をご一緒していた、当時74歳の米澤さんのボルト連打が始まるのは、5.12以上からでした。

5.12をギリギリRP中の男性が1本目からハングドッグ状態でした。

九州ではアルパインロックのルートは、本ちゃん扱いの場でも、なぜかボルトルートです…。いわゆる北アみたいな高い山のルートがないため、と思いますが、九州は山がそもそも低いので、車道がくまなく通っており、アプローチが非常に短い、車から降りてすぐ登攀、というのが特徴と思います… 高齢者に優しいです。

年配の人が多いためか、マルチピッチが多いというのは良い特徴のような気がします。

リードは日向神が数の上では多いですが、本州では、もはやお払い箱になっているホームセンター手作り終了点が今も現役で、またアンカーではなく、プロテクションのほうも、どう解釈したらよいのか分からない、不思議系プロテクションが一杯です。

怪しくて、信頼できるかどうか分からないのには登らないということになると、登れる課題は、多くの人が登っている人気課題ということになり、おのずと少なくなってきます。

ランダムに選ばず、人気があるエリア、人気があるルートに絞って登るべきです。

そうした影響、人的影響から逃れられるのが、外ボルダーです。

外のボルダーを登っている限り平和ですので… ボルダーを頑張るのが一番おススメ。

ただし、ボルダラーの質の低下、ボルダリングの初期教育の不在も著しいです。長崎では、ボルダリング5級から下は9級も8級も、全部5級とグレーディングされ、ランディングに関する注意喚起はゼロで、外のリスクと言えば、蜂だけのアナウンスしかなく、ジムしか知らないクライマーは、マントル練習もないまま、いきなり5級に取り付く、ということになっています。これでは怪我が減らないわけです。

ボルダーに初めて出かけるクライマーは、ランディングとマントルには習熟してから出かけましょう。


とにかく来てすぐのころが、一番、落とされて大怪我のリスクが高い… 地元の人は親切心で、あれを登れ、これを登れと言ってきます…ところがおすすめルートのボルトがしょぼかったら??? 言い返せますか? 

ので、気を付けられてください。九州では、地元の人も大怪我しています。誰も公表しませんが…。日本フリークライミング協会に影響の外にあるので、怪我や事故の数字が報告されず、誰にも見えないという状態にあるため、です。

特に現代の新人が比叡に行く場合、スラブはインドアジムでは練習できないです。いくらフリクションが良い岩場でも、スラブといえば大ランナウト、落ちれないですし、落ちたら骨折程度は普通のことですので、そうしたことを理解していないのであれば、トップロープを志向すべきです。

比叡にいくなら、別の場所でスラブ登攀に慣れてからにしましょう。ちなみに私はインスボンで登り慣れてから、行っています。
 
■ 追記 竜頭泉は終了点が更新中だそうです
ビホー (ぎょぎょ!)
アフター 
 
このように終了点は縦にオフセットしているのが普通です。
 
真横に2点並んでいる=昭和=勉強不足 

九州で、終了点が変だということに気が付いたのは、普段、私がアイススクリューでのアンカーを上下にオフセットして打ち、十分に距離を離すように教わっていたからです。



 
奥村講習 

2024/09/05

【終了】当ブログの終了のお知らせ☆

■ 終了

ブログは個人的な探求の備忘録のために着けているのですが、私の個人的な探求の旅において、クライミングカラーが薄れてきましたので、こちらのブログは終了し、別のサイトを作ることにしました☆

これまでご愛読ありがとうございました☆

まさか、クライミングにおける探求が、

 誰に親切にし、誰に親切を分け与えるべきでないか?

という学習だったとは!

そういうテーマだったとは… びっくりです。

というわけで、また別のサイトでお会いしましょう☆

私がクライミングで発見したことの数々が、どなたかのお役に立ちますように…



2024/09/04

【クライミング心理学】親切のコストは高い

 ■ ほんとにこれだーと思った

今日は睡眠が十分足りたのか、突然理解が訪れました…

最近のいろいろな出来事、結論中…

https://youtu.be/jD0ge3zL9KE?si=cTu7qCFoL7KHPN_v


日本の道徳では、誰にでも親切にしましょうと教えますが、実は親切にしたらいけない人っているんですよね。

ナルシストというのは、たぶん、アメリカ文化からの余波みたいです。最近、伊藤貫先生のアメリカ外交を勉強していますが…

アメリカ文化が陥ったここ30~40年の社会的歪みについて、伊藤先生がナルシストの国になってしまったことを述べています。

いやはや、政治学者の目にも明らかになってしまったほどのナルシストの害=モラルハザード。

https://www.youtube.com/watch?v=PzCK-b4CRkA&t=1160s

自分さえよければいい、今だけ良ければいい、という価値観…はよく考えたら、日本でも蔓延しています。

というか、それ以外の価値観が行方不明になっているかもしれませんが… しかし、極端な事例は多い。

実は関西の岩場を見たときは、びっくり仰天したんですよね…。

あれは、警告だったんですね。

怪我をした仲間をうっちゃって、自分たちだけは登りに行く…ということだった。いや、びっくりした。ただ、特殊な事例だと思ってしまったんですよね。

それと同じことが私にも起きた。

いや、被害者側になる前に、予兆として経験していたんですね、あれは。

しかも、繰り返し…。

さて、ここから何を学ばないといけないかということですよね。

Absolutely right, which means you gotta know what kind of person they are before you step into the relationship. Don't hurt yourselves folks, you can't change someone else.

どういう人かしっかり知る必要がある、ということです。

誰でも信頼してはいけない。


年を取れば、その違いが分かるようになる?

いや年寄りだからではなく、苦い経験を通じて学ぶもの、でしょう…

最近学んだこと

1)親切は無料ではない。誰にでも親切にしてはいけない。特にナルシストに親切にしてはいけない。
2)ナルシストの特徴は、ナルシスト側が受け取る側、与えられる側なのに、なぜか要求がましい。恩着せがましい。

3)これをするのは、あとから返礼しないための防御線。俺は頼んでいないというため。

やってもらう側なのに、なんか偉そうだな、という風に感情面では察知されます。

これで、こちらがスルーしてしまうと、ナルシスト側に正当性がないことを、あれして、これして、と頼んできます。物を貸すと返してこない。とか、人のロープで登ろうとして返礼がないとか。

基本的にGive&Takeがおかしく、Giver側の愛情を踏みにじることにほとんど罪悪感も自覚もないです。

しかし、ナルシストにここまで増長させるのは、ギバーの側なのです。

普通は、ギバーが与えようとしても…そして、それが特に負担にならないような内容でも…、日本では一般的な人は遠慮して受け取らないのが普通なんですよね。

そうならないというのは、ちょっと要注意です。

例えば、こないだ、合気道でご一緒したN田さんが、「お昼どうですか?ごちそうしますよ」とおっしゃったのですが、私の現金持ち合わせがない買ったというのを知っての発現だったので、カードでお支払いできるところで、お食事して各自払うことに。

もしこれで私が断らなければ、なんかちゃっかり情報をもらったくせに情報をくれようとした人に食事代を払わせるということになります。

ギバーはより強い形で、遠慮はいらないですよ、とプッシュしないといけないことが多いです。

でも、そうならない=危険信号。

そういうことがよくあったなぁと思ったりしています。





2024/09/03

【セルフケア】手・指・足のマッサージ、

■【やってないならチャンス】手を強化すればもっとパフォーマンスが上がる

これをやったら、丸三日取れなかった指の痛みが取れました☆

■ 続編で、指のマッサージも出ていた


指に限界を感じているんだが…

薬指・人差し指: 肩の前側
中指: 肩の真ん中
薬指・小指: 肩の後ろ側

経絡による考え方らしい… 確かにアイスでは広背筋を使うのですが、使っていたころは肩こりがマシだったかも?

しかし、広背筋の一般的筋トレ種目であるローウィングはやってるけどなぁ…

手は、中指から小指に掛けて脆弱性を感じ、足は薬指に顕著に脆弱性を感じる。

■ デルマトーム 指と神経支配


引用― https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Grant_1962_663.png 


■ 足マッサージ

これもよかった。フィンガーショットとニギニギ。朝起きる前。練習前。


■ 中野崇さん

前にも見たことがあったような気がするトレーナーさんですが、内容的に私の経験と一致するものが多く良いような気がしました☆

■ 〇〇以前の問題

バレエでは、バレエ以前に体が凝っているとか疲れているとかで、バレエの動きができない人が多いです。

ヨガも同じ。

なら、ヨガやバレエより、運動強度が強いクライミングは、もっとそうなんじゃないかね?

【内省】何がたのしいんだっけ?

今朝は、早朝の目覚め。

■安眠について

夜寝る前にストレッチを充分しないと、寝ている間に休まらない。体があちこち凝っていて起きてしまう。ところが、寝る前は別に凝っているとか実感がない。

■クライミングジムのクライミングについて

クライミングジムでのクライミングは、普通に登れば、ただ楽しいだけだ。

が、ムーブを考えたり、取り組み、になってしまうと? 別に楽しくない。正直、言えば、外の岩登りのほうが10倍くらい楽しい…んだが。

外での岩登りに必要だと言われるから行く、ということになって、そこがやっぱり不満の種かなぁ…

行かないと強くならない、とか、うまくならない、と言われるんだが、強くなりたいとも、うまくなりたいとも思っていないのになぁ~という感じというか…。

いったい、それって誰の思い?みたいな?

ホントに、いったい、誰が強くなりたくて、いったい誰が上手くなりたいんだろうなぁ…?

それは私じゃないんじゃないだろうか?

たぶん、甲府時代は、私が登りたいのではなくて、私をビレイヤーにしたかった人が登りたかっただけなのではないだろうか?

私はただ楽しみたいのに?みたいな? なんか急かされ感あるよなぁ。

ただ楽しむ、急がずに楽しむ、ということが欠けているように思うんだよなぁ。

なんでなんだろ? 

■ 楽しいということについて

では楽しいとはどういうことか?

昨日はとても楽しかった。

ロージックという花屋さんで、フライングリースというのを頼んであったので、引き取ってくる用事があったんだが、その前にヒカルロースターに立ち寄って豆購入。

朝に飲むコーヒー豆のエチオピアが今深入り豆しかなく、浅煎りのおいしいのを買いたいと思っていたので、光るコーヒーというロースターさんに出かけた。そしたら、コーヒーの淹れ方を丁寧に教えてくれたり、いろいろロースター業界がコーヒー豆の価格が上がって大変だという話で盛り上がった。

コーヒー業界の話がとっても楽しく、一杯のコーヒーを楽しんだ。

その後、ロージックさんに行って、小一時間は、おしゃべりしていたと思うんだが… 

つまり、おしゃべりが楽しいのかなぁ?

でも、私は別におしゃべりなほうではない。何かを探求する会話は好きなんだが。 

ジムでは、クライミングの話題だったら、だいぶしゃべれると思うんだがな…。

ジムで登ってる人は外の岩は登らない人が多いから、共通の話題がないんだよなぁ。

■ 外ボルダーについて

ジムクライマーの定番入門クライミングは、外ボルダーらしいのだが、足首を、アキレス腱を切った者には、ランディングが再断裂が怖くていやだし、ビレイヤーなしで登れますよとか言われても、じゃ6級が充実しているボルダーって知っています?と聞いてみたら、

「いや、そういわれると難しいけど!」という答えで、

そうだろうと思った。

■ ボルダーの級について

ボルダーは、そもそも外岩でも1級からのスタートである。

外ボルダーの一級はアイスクライミングの4級と同じだ。そもそも初心者でもこれくらいなら登れるでしょう、というのがアイスの4級だが、外ボルダーの基準岩は、エイハブ船長1級で、基本的に、若い男子だったらこれくらい一日あれば登るでしょう、というのに1級が付いているのである。なので、若い男性で、1級が登れなかったら、俺は平均以下だ、という意味。

私はアイスクライミングは、本当の1回目以外は、4級は当然だが登れていた。2度目から小滝育ちだ。それまでの普通の登山の蓄積で、登れるグレードに4級ってつけてある。アイスでは6級に行くまではムーブは不要だ。

フリークライミングの5.12も、日本人の一般的な大学山岳部男子つまり、18~22歳くらいのいきのいい男性が頑張ったらぎりちょん登れるってのに、5.12がつけてあるので、それ以前のグレードしか登れていない男性は、俺も18歳から比べて衰えたなぁという感想になるはずだ。

大体は登攀能力が落ちると言っても、5.11までで、5.9が登れないようには早々ならない…ってことになっているのではないかと思う。

そもそも、最初から5.12まで行かなかった男性たちもいると思うが…、昔はアルパインをやる人は、5.9で自慢になったそうなので、その時代の人は、5.9で自慢で、クライミングシューズで拓かれたフリーのルートにも、登山靴で来てしまうが… 

逆に登山靴で拓かれたルートでも、今ではクライミングシューズで登るのが、慣例なんだが…そういう慣例に厳しい目を向けるような人種…ということになる。もう…、ずいぶん昔の価値観と言えそうだ。それで文句言うような人は、もうダイナソーレベルかもしれない。

■ 女性とグレード

こういう感じで、アイスクライミングではグレードは、ユニセックスだが、フリークライミングでは、グレードは男性を基準に作られている。ボルトも男性の標準身長をもとに打たれている。 

したがって、男性がギリギリ感が出てくる5.12以上のルートでは、大抵が適正ボルト。それ以外のルートでは、大体がボルトが遠く、適正ボルトとは言えない手抜きルート。手抜きのルートに、著作権を叫ばれてもなぁ。ってところだ。

男性の標準身長に満たない女性は、5.12以下の手抜きで作られたルートで怖い目に遭うことになっているので、その怖い目をグレードに加担すると、5.12を登っている男性が出さなくてもよいズク…根性…を出さないといけない。

その女性が出さないといけない根性の量は、そのグレードでは出さなくていい男性には、たぶん、一生分からない。

そういうことがないのがアイスで、結構、平等なクライミングであるなぁと思った。

女性にもっとも厳しいのは、たぶんボルダーだと思う。

■ フルートブーツについて

クライミングシューズで拓かれたか、登山靴で拓かれたか?みたいな違いがルートにあると言ったが、トップクライマーの人たちでも、氷と岩のマルチにフルートブーツを持っていくみたいな世界に代わっている。

アイスクライミングのコンペに分厚いダブルのブーツとモノポイントとはいえ、アイゼンで出たのは、私くらいだった… 

私もフルートブーツは購入したが、あれ、使っていないんだよなぁ。使いたい。

というので、こんな画像が回ってきたので、あーあ、これをやろうとして、途中停止ボタンが押されたんだった…と思い出している。 


2024/09/02

【クライミングによる地域おこし】不在のステークホルダー、地域市民を地域おこしに

■ 私が本当にクライミングによる地域おこしでやりたいこと

現在のクライミングによる地域おこしでは、本当に地域おこしという活動から、利益を得る主体である人、つまり、地域の人、はなんらの便益も得ていない。

地域おこしなのに、肝心のステークホルダーが不在、その名は、地域市民…。

ロクスノで、小鹿野の地域おこしに関する話を読んだが、小鹿野も、地域おこしについて、地主や地権者しか、地域おこしについて、関心を持ってもらう、利益を得てもらう、という発想がないみたいだった…。

地域おこしに地域の人が参加しなかったら、その地域おこしは、肝心の当事者不在の活動になる。

地域というのは、自分の家、であり、自分の故郷であり、まぁ、拡大した自分自身、ということだ。

自分が日本人でない、と思う人はいないだろう。同じことで、自分が○○町民、〇〇市民、〇〇県人、と思わない人はいない。なのに、クライマーでないから、小鹿野の町おこしには関係ないとか、地主じゃないから関係ない、意見できない、というのは、間違った発想だ。

他人事、ではない。その他人ごとではない、という感覚を日本人は戦後忘れてしまった。

私がアメリカに行ったのは、94年95年だが、教会活動が盛んで、震災の時は物資を送る活動に私も参加した。その時、アメリカでは地域活動がきちんとあるんだなぁと思った。

その後サンフランシスコ市内の日赤に同様に参加してボランティア活動しようとしたが、あまりにも悲惨で機能しておらず、なんじゃこりゃ感があった。すでに自分の町という活動が成り立っていなかった。要するに、貧すれば鈍するのである。

思えば、九州福岡で経験したクライミング活動の廃れぶり…は、同じだったかもしれない。

みんなが自分さえよければいい、となった結果、こういうことになったんじゃないだろうか?

伊藤貫先生は、中国の日本が属国に陥ることを懸念しているが…アメリカに対して売国奴だった人たちが、今度は中国に対して売国奴になるだけのことで、日本市民、国民は、また、ただ黙ってその事態を受け入れるだけのことなのだろうか?

私は市民の自主性が失われた町というのは、ほとんどすべての市町村なのではないか?と思っている。

夕張以外の… いっそ、全く市町村機能が無くなれば、人々は自分の力で立つことを思い出すのではないだろうか。


2024/09/01

【シンクロニシティ】心身統一合気道…不思議なシンクロニシティ

昨日は、不思議なシンクロニシティに導かれて、合気道教室に行った、合気道一色の日でした。

驚いた。

帰りにランチに誘ってもらい、ご一緒して、結構、疲れ、お昼寝したら、もう、夕方の合気道教室の時間の10分前で、なんだか、気が高揚した日でした☆

■ 出会い

朝、起きると外はザーザー雨でした。

昨日はすごい明晰夢を二つも見たので、それについて考察しようとしていたのですが、雨があまりにもザーザーで、とても、気持ち良さそうなので、雨に打たれようかな♪って気分で、お散歩に行くことにしました。

特に目的を持たず、直観のままに歩く、ということを目的にした”アーティストデート”と言われる方法による散歩です。これをすると、私は気分がスッキリするのです。

自分にとって価値があるもの…それを発見する。自分軸に戻るための散歩、ともいえるかな。

そこで、まずは高津神社では、アーモンドの木を発見…誰かがお供えしたものでした。お供えって、寄付、ドネーションの口語です。捧げるもの。

高津の宮は、台風によるザーザー雨にも関わらず、いつも通り、全開に開かれて、神様は、雨でも晴れでも、構わず、受け入れるものなんだなぁと思いました。

朱色が印象的なお稲荷さんの方へ行くと、木の周りにぐるっと鉄格子が回してあり、一見何の役に立っているのだろうか?という感じ。お稲荷さんの朱色が雨に濡れてきれいでした。

境内に古い井戸があった。(ちなみに焼却炉もあり、神社は自己完結している)


井戸水はもう飲めないのか?社務所に頼んでねと書いてあり、水の都と言われた大阪でも、空堀では、水は貴重だったのかも?などと、想像。でも、水道につながっていない井戸は、地域に一つは欲しいですよね、災害時。

その後、雨水で出来た小さな地形が、まるで空撮した河川のようだと思い、その河川に沿って歩いてみることにしました。もともと、自然地形を辿る、というのが好きなのです。冒険好き。

それで、出てきたのが、社務所の隣の小屋で、日ごろは近寄らない。なんでかな?なんとなく、遠くで見るだけでいました。そのことに気が付いたので、近づいてみようかなと思ったのです。チラシが置いてあったので、へぇ~と思って眺めていたのでした。

すると、奥から人が。胴着と袴をはいた男性でした。

今から、”気の教室”が開催されるということで、へぇ~と思い、時間は9時半の予定だが、もう過ぎているそうだった…。誰かを待っているみたい?

私を待っていたわけでは当然ないのですが、その男性のお顔がとてもやさしそうだったので、ふと、思いついて「急ですが、参加してもいいですか?」ということで、参加しました。

まさかそういうことになると思っていなかったので、参加費3000円がないかも?と思い、急遽、お財布を確かめると…4000円入っていたので、ホッとしました…(笑)。

で、参加したのが、こちらの教室です。

https://www.youtube.com/@yuuyuuaikido-osaka

習ったのは、簡単に、まとめるとこんな感じです。

1)容易に外力を受けずに立つ方法(統一体)
2)強い腕を作る方法
3)押し返された手を一緒に連れて歩く方法 (合気?)
4)肺や肩こりを癒す方法 (気圧) 

”相手の気を感じる”、”力と力で対立しない”、というのが大事なことみたいです。

2人一組、3人一組になって、練習するのですが、その時、組んでくださったN田さん…とても細やかな性格の方で、その方の気がよかったのかな?なんかうれしかった。

私が初心者なので、初心者対応を立候補してくださり、相手にとって迷惑でないかな、受け入れやすいかな、と考えつつ、動作してくださっていることが分かりました。とても日本的ですよね。

新入りが来たら…とっても面倒見が良い人が面倒見てあげる…っていうのは、ユニバーサルな現象で、たぶん犬の世界にもあるみたいです(笑)。

ずっと昔ですが、アメリカで、ラブラドールのゲイブが私の面倒を見てくれて感動したことがある…確かにあの時は私はあの家庭では新参者だったんですよね。

というので、初心者でーす、というので、とっても良くしてもらいました☆ 

それで、ランチにも誘っていただきました☆ 私のほうがローカルで詳しいので、いつも行っているイタリアンのお店にお連れしました☆ デザートまで行きました☆

さて、話を戻すと…

力が出る、体の保持の仕方(統一体)で、臍下の一点に力を集め、二分の1を永遠に繰り返す、ということに興味が湧きました。

その力は、決してゼロにならない…という意味で、物理でいう運動の、量は減衰しても、ベクトルはずっと続く… これは、シンギングボールの残音と同じだそうでした。

今、大阪の家にもティンシャがあります。この音が良い動画ではないかと思います。他のは、残音が終わる前に動画が切れていました。


ベクトルの方向性としては、拡散もOKなのだそうでした。

私は山の中では、自分が無になった感覚を得たことがあると思うのですが、それは、限られた境界線のある自己が、自分自身が、山の一部になったような感覚なのですが…薄まる、という方向で、広がっていく、倍々に大きくなる、みたいな方向性です。

たぶん、野生動物は自分と山との境界線をそう強く持っていないと思うのですが… たぶん、人間が自然界を脅威だ、敵対している、と感じる心の正反対で、アットホームな感じ、自分のリビングにいるような感じのこと、を、自然と一体化した感じ、と称して構わないと思うのですが…。アリさんも平和、野生動物も平和、私も平和、みたいな? お釈迦様はこれをハーモニーと言ったと思うのですが。

それが、私が山から得たい、と思うことの内容であり、何かすごいルートに登って名誉を得たり、ということではない。もし、そうなると、あなたが山から得たいものは、世俗の栄誉、ということになってしまいます。

また、私が山から得たいものは、自己肯定、自己承認、自己効用感でもないです。心の静けさ、自然界からの学び、そして、大安心です。大安心とは、自然農の用語です。自然の中で生かされている自分、人間存在への確信とでもいうべきもので、それはとても安心な世界なのです。わーわー、騒がなくても。

人は生まれ、人は老い、人は死に、そしてまた人は生まれる…永遠の繰り返しの中に人は存在するにすぎず、すべてが川の流れのように一時のことなのです。一時のことだから、切ないと考えることもできれば、一時のことだから大切にしようと考えることもできる。

後者の思想が大安心の世界です。今、何かを達成しなくてもいいんですよ。

しかも、それって大変な努力…修行やつらい研鑽などの我慢…をして得るものではなく、観察によって得るもの、です。

余談ですが、私が、自己効力感を最も高めたのは、東南アジアへの旅行でした。まぁトラブル続き。でも、どんなトラブルにでも一人で対応できる力がある、と実感した。東京出張より楽勝でした。これが良かったのはビジネス界からだいぶ長いこと離れているので、自分が陳腐化しているのではないかという恐れが私の中にあるからです。

自己効力感というのは、何が起こっても大丈夫みたいな気持ちですが、それを社会の中で獲得する、というのは、私は10代で済ませたような気がします。

たとえば、20、21歳でアメリカに暮らしてしかも、経済的に、独立、自活生活しています。なので、海外での暮らしの大変さも知ってはいますが、今やるべき課題とは思えないんですよね。なんとなく、すでに済ませた課題をやり直しするのは違うだろうと。

だから、無節操なトラベリングクライマーへの道は、何となく違うな感があります。どこへ行ったここへ行った、って人からは羨ましがられるけど、そんなに良いものでもないんですよ、実際やると。

もちろん、クライミングで出てきた自分への課題に、ぴったりの岩場があれば、そこへ行くのは、意味あることですが。でも、自分にとって意味がなければ、行かない。ただの遊行費で、自分の成長につながる用途ではない気がしますしね。

■ クライミングで何に困っているのか?

そこが現在の私のお困りごとではなく、なにか巨大なエゴの力…クライマー界のエゴ…

・俺が俺が、の承認欲求のエネルギー、
・仲間からあいつはスゲーと言われたいという所属の欲求のエネルギー、
・男同士の嫉妬のエネルギー、
・相手の命・存在への軽視というエネルギー、
・無責任というエネルギー
・自分さえよければいいというoppotunisim, そして、
・長いものに巻かれよう、寄らば大樹の陰、みたいなConformism、

そういったエネルギーの渦が嫌なのです。嫌というか、そういうものが、私の内側を脅かす脅威、となっている。

脅威というのは、避けたいと思うという意味です。取り合うのがめんどくさいのです。

■ 避ける、は不正解ではないらしい

私は戦略的思考に優れているのですが…この避けるという戦略について、潔くないもの、をかすかに感じていました。

なんせ女の子なのに、近衛隊長になったオスカルみたいなのをかっこいい生き方認定してきたので(笑。ベルばらの話です)

しかし、こないだの森さんのオリンピックを見て、クライミング界がどういうものかを理解しました…。

あんなに優れていても、身長による本人の努力と無関係な不利について、仲間から支援も、同情も、応援も、得られないのです。

仲間からすら、物理的限界を認められず、もっと頑張れ、つまり、神になれ、と言われて、あれが取れなければクライマーじゃねえ、不満すら漏らしたらクライマーじゃねえ、と仲間外れにされ、突き放されるのが、クライミング界なのです。

努力で不可能が可能になるとでもいうのでしょうかね?どこが暖かい世界なんだ?どこがフェアで公平な世界なんだ? 

…ということで、まぁ、クライマー界に対する敬意は、私の中には現在、全くありません。

結局は、既存勢力は、自分が座った、俺はすごいクライマーだ、という椅子をできるだけ温存したいだけなのではないでしょうか?

実際、女・子供ばかりがスポーツクライミング界ではトップクラスになってしまって、男の人は面白くない、と正直に話す人もいます。

そういう人が面白くない、のは、男性のパワーや体力が賞賛された、過去の山の世界で、女や子供が、昔は超人とされた人…実際は本人にとってはそう難しくないこと…にしかできなかったことができてしまう…と、メッキがはがれる、から…

エベレストなんてとっくの昔にメッキが剥がれ、そして、すごい山や認定されるためには鉄板だったK2ですら、62歳のおばあちゃんでも登れる高所”遠足”になってしまい…、まぁ世の中の方向性としては、まぁだんだんメッキは剥がれる方向です。

今まで、それですごいすごいと言われて、持ち上げられてきた人たちが面白いわけがありません。逆に本当にすごい人は、誰も名前を知らないような静かな山で、コツコツと着実に実力を上げていますよね…平出さんたちがそうでした…。亡くなって残念ですが。

さて、戦略論に戻りますが、この合気道でも、力と力を力の力点、物理的な力点で、そこを意識すると、体は力の接点で力同志がぶつかり合う、ということになるので、体は固まって動かなくなります。

つまり、これは、心理的に言い換えると、葛藤するということになる。力のベクトルが正面を向き合って、互いを打ち消し合うということです。

つまり、私が作戦として持ってきた、誠心誠意、正面から取り組む、山と向き合う、という方法論が、力と力の接点って意味なのかもしれません。

例えば、鬱だったら、鬱に正面から向き合う…それに取り組む…ベイビーステップで取り組む、ということなのですが、その方法論で、つまり戦略で上手く行かないとき、何か別の戦略が必要なのです。

それは迂回する、力をよける、みたいな方法かもしれません。この合気道で教えていることにヒントがあるような感じがあります。

それで、本を読んでみることにしました。藤平光一さんという方の本を取り寄せ中。

昨日習った中では、例えば、相手を見ずに遠くを見ると、相手の抵抗を避けて、相手をふらつかせたりすることができるそうです。

このテクニックを使うことへの心理的抵抗は、卑怯だ、という思いかもしれませんね…(笑)。

■ 私が得たいのは、いわば、心の統一体、かなぁ。

体のほうの統一体は、先生の指導が良くて、なんと一日で出来るようになったのですが…。

というか、統一体は、そもそも誰でもできるのに、すぐ人間というものはそれを忘れるらしいので、常に鍛錬していないといけない、みたいです。

バレエでの身体技法では、力が無限に続くように使う…のは、その通りなのですが、重心をおろしたら、今度はその反発力でエレベーション(引き上げ)が強調されます。先生によると、このエレベーションは合気道でも使うそうでした。

クライミングでは、丹田やら、引き上げは全く無関係だと思います。むしろ、身体張力って感じかな。

アイスでは、アックスを振る動作の時に小指がポイントですが、それは小指を意識することで広背筋に力を出させることができるからですが、岩では、腕を閉じて使うことができないので、結局腕力…。

■ クライミングの身体技法

フリークライミング、特にボルダリングは、身体技法といえる洗練は、まだ獲得しておらず、特に精神性の面で、きちんとした教えを欠き、結局ムーブにも力が必要で、力の祭典、みたいなことに陥っています。

クライミングジムでは、フィジカルではないよ、ムーブだよ、と言いますが、それはそう言わないと、女性も子供も来なくなるから、です。実際は、虫様筋。故・吉田さんも虫様筋には詳しかったですよ。

それに、フリークライミングでは、モノサシ自体が男性中心。男性で、成人男性のもつ一般的なフィジカル…身長やパワーがある人を基準にして、外岩のグレードも作られ、それを模して、インドアジムのグレードもそれに準じて作られ、そのモノサシで行けば、平均的女性や子供は、常に男性たちより低グレード、という現実があります。そこにムーブで例外が出るから面白いんですが、面白いのは女性や子供の側で、面白くない男性に、そのムーブができなくなるように、ホールドつぶされたりしている(サバージョババージョ事件)。

結局、既得権へのレジーム争いと結論付けられそうです。

もちろん、男性並みのパワーという壁を突破した、特殊能力の持ち主…な女性や子供もたくさんいて、古いクライマーで言えば、リンヒル、新しいクライマーなら、アシマちゃん、みたいな感じです。もちろん、オリンピックの森さんも含まれます。

逆にその人たちは権力者に利用され、ほら、女だって子どもだって努力すれば、俺らと同じことができるじゃん、みたいな話になっていますが…。

それって、同じグレードに到達するのに、努力3倍、才能10倍みたいなモノサシを変えない言い訳に、トップクライマーの努力が利用されることになっている。しかも、みじめなことに当のトップクライマーも、不利な条件を乗り越えてきた自己に自信の根拠を置くので、それに加担することになっている。

まるで、日本が、日本国のアメリカ化に売国奴によって売られてきた歴史と重なります。こういう心で、そういうことが起きるのかぁ、みたいな感じです。

これは社会現象としては男女の賃金格差と同じ構造ですね。

私もトップランナー的なことをやってみたけど(年収で800まで行った@28歳)、えらい疲れる世界だったわー。とりあえず、そっちの方向性は、今興味ないです。

私が学んだのは、女が男の真似をしても疲れるだけですよ。社会の中で女性には女性の幸せがあるように、女性らしいクライミングの喜びがあるはずです。

■ 私の楽しいクライミング

私は私の楽しい山やクライミングを続けたいのです。それは、何級登れるようになったとか、5.12が登れるって世界ではなく、

・読図の精度が上がって、自分が思った場所にぴったり降りれるようになったのが快感、とか、
・ここらに水場がありそうだと読んだ読みが当たる、とか、
・この岩登れるんじゃないか?と思ったら、登れたとか(つまり、ルートの読みが当たった)とか、
・この薄さの滝なら冬季になれば、凍ってちょうどよくアイスクライミングができるのではないか?と思ったら、その通りだった、とか、
・この気温でこの時期に山に行けば、フクジュソウがいいだろう、と思って行ったら当たった、とか、

そういう世界です。

比較の世界ではない、ということが読み取れるでしょう。

昨日は、そんなこんなで、初めまして合気道な日でした☆ 

気の教室はとても気に入りました。でも、技の教室のほうは違うなって感じでした。

終わり☆

2024/08/30

【トレーニング】【セルフケア】【コンディショニング】何かいいの無いかなぁ

■トレーニング

ちょっとネットで探してきて、自分用備忘録。

これは、バレエとヨガの知識を総動員しても、良い内容ではないかと思う。

【筋トレ】クライミング選手が自宅でできるトレーニングを紹介!

■ セルフケア 虫様筋

今、また指が痛いのです… なので、テーピングを工夫しないといけない。


■ コンディショニング 立甲

これが良いような気がします。なんせジムクライミングって、上半身がメインなので…

バレエのレッスンを取ろうかなぁと思って、スタジオ調べたりもしましたが、なんか下半身の強化にはなるけど、上半身は関係ないのがバレエ…

ヨガのほうも、膝関節への負担が大きいので(ロータスとか)、ホルモンバランスが変わって、間接に対する身体の反応が変わる更年期はヨガ的にはリスクかなぁと思います。

というので、まぁ、こんなとこかなぁ。今日の予習は。薄被りでもかぶりをやると指への負担倍増なのかもしれない。


ホールドには完全にぶら下がらず、足で体重を分散させないといけないですね。

【海外情報】【ジム】ファイナンシャルタイムズ&アメリカチェーンのジムでFall禁止令

 ■ 400~500%成長

クライミングジムブームって、日本ではひところより、ひと段落感がありますが…

福岡ではすでに淘汰の波が来ているくらいです。

大阪でも小さいジムは大変そうにしていますが…外国では、ファイナンシャルタイムズという経済ニュース系のサイトが珍しく、ニュースにしていました。

https://youtu.be/etvigdtJlnk?si=Vfcb8cf2vPMiL7za

たいして目新しいことは言っていなかった。

古いクライマー業界からは、外岩文化に、ジム文化を持ち込む、ことが懸念されている、そうですが…すでにビデオトポとか、ボルダーでは持ち込まれており、懸念は

 とっくの昔に現実化

しており、ニュースの癖にとろいなぁという印象でした(笑)。

つまるところ、こんな一般誌、経済紙ですら取り上げるくらいなら、市場浸透のステージとしては、もうメインストリームなわけです。

https://www.onemarketing.jp/contents/chasm_re/ より引用 

知っていますよね?イノベーター理論… 

知らないで商売しようというのは…、信じられない! です。

私がOLでお勤めしていた時代から、とっくにビジネス界界隈では、ふつーに用いられている理論でした。

■ キャズム: クライマーがやっていないジムが流行して、クライマーがやっているジムが廃業に追い込まれる理由

キャズム、というのは、この市場参加者たちの価値観のギャップのことです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なぜ、キャズムが発生するのか?その原因は、初期市場とメインストリーム市場、それぞれのユーザーの価値観の違いにあります。 キャズム以前の初期市場とキャズム以降のメインストリーム市場ではユーザーの購買におけるプライオリティが異なります。 初期市場のユーザーにとって「新しさ」というのは魅力の1つです。自社の価値観に合致している、目新しくて今後トレンドになるかもしれないということが彼らにとっての魅力です。 

しかし、メインストリーム市場では、ただ新しいだけではユーザーを開拓できません。信頼して使用できるモノなのか、他にも使用している企業はいるのかなど、購買において「安心」を求めるのがメインストリーム市場のユーザーです。 「いかにキャズムを超えてメインストリーム市場を攻略するか?」 キャズム理論は、この重要性を説く理論であり、キャズムを越えられないビジネスモデルは、市場が当初の予想よりも大きくならず、事業として採算が取れないケースが見られます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 太字当方

ここに古いクライミングの倫理観… 男だろ!勇気を出せ!みたいなやつ…と新しいジムクライミングの価値観…ムーブ命!クライミングはパズルだ!の違いがあります。

だから、古いクライマーの価値観を前面に出す=ビジネス的自殺と同じことなんですよ。

■キャズムを超える戦略のヒントと事例

ーーーーーーーーーーーーーー
キャズムを超えるためには、製品・サービスを「目新しい」モノから「安心」して使用できるモノに昇華させる必要があります。

そのためには、信用訴求、品質訴求のためのコンテンツ作りが必要です。 BtoBであれば、その業界に大きな影響を与える企業が製品・サービスを導入し好意的な意見をもらうこと、研究機関、その道の専門家がお墨付きを与えることなどが、キャズムを超えるカギの一つになるかもしれません。
ーーーーーーーーーーーーーーー

つまり、”へぇ~期”は、終わったんですよ。今までは、”へぇ~”でお客さんが来てくれても、今からは、”楽しくないと来ない”んですよ。

空調しないで、外岩クライマーになるにはこれくらい我慢しろ!とか言っていたら、じゃあ外行きます、ってホントの外岩クライマーは出て行っちゃうし(実際、往年のクライマーでインドアで登っていた人はほとんど知らない。米澤先生も夏でも外岩)、じゃあ、涼しいジム行きます、って新しい人は言って出て行ってしまう… 結局、超シリアスクライマーしか残らず、そういう人たちは、古い価値観で共通の者ですが…かなり少数派です。

そういう少数の人を大事にするジムに方向転換する、というなら、それでも戦略的には整合性が取れているのですが、クライミング市場を眺めると、現在はメインストリームが入ってきているくらいなので…まぁ、確率としては、成功しない確率の方が高くなってしまうでしょう…

もし、CEOなら、そういう戦略は取れない、取ることが許されないですね… つぶす気か?!みたいな突込みが可能になってしまう…

■ じゃクライマーがやっているジムの意味がないのか?

最近、トップクライマーのHazel Findlayからの情報発信で、アメリカの大手ジムチェーン店で、Fall練習禁止って、どう思う?ってのが来ていました。

そりゃ、Fall練習ってインドアジムでやらなかったら、どこでやるのよ?みたいな練習です。

ーーーーーーーー
ここでの最も強い主張は、人々はしばしば危険な方法で落ちる練習をしているということだ。これが現実の問題であることは認めなければならない。私たちのフォール練習を安全で効果的なものにする重要な原則のいくつかは、一般的な直感に反している。
 
私たちが理解しているように、この会社は自ら転倒セッションをいくつか提供している。これはより理にかなっており、限られた時間と場所であれば、クライマーが落下(そしてそのスポーツ全体)について学び、より快適になる機会を与えることを期待している。私たちの経験では、落下に対する恐怖心を取り除くには、1回のセッションよりもはるかに多くの時間が必要であり、前向きで安全な落下は日常的なジムクライミングの一部であって、予約して参加する体験ではない。

 この会社は私たちに連絡を取り、その方針がより良いものであることを認識し、クライマーに良いサービスを提供することを表明した。彼らは批判を受け入れてくれた(批判が公になるのはあまり好ましくないが)。

しかし私たちがここで懸念しているのは、このジムの個々のチェーンだけでなく、クライミングの一般的な文化や、それが前進しているかどうかということだ。私たちが懸念しているのは、訴訟好きで『安全主義』の文化はそれほど安全ではなく、ごく少数の個人のためにしかならない、ということだ。私たちは問題に対して無知になることで問題を解決することはできないし、問題を完全に避けることでうまくなることもない。私たちにとって、未知のものを避けるのではなく、未知のものを探求するというコミットメントは、クライミングの精神の一部であり、クライミングが社会に提供するものであって、クライミングを手なずける必要があるものではない。


あなたはどう思いますか?ジムはこのような転倒を禁止すべきだと思いますか?あなたのコミュニティではどのように転倒文化を改善できますか?あなたの経験上、転倒練習は迷惑行為でしたか?

DeepL.com(無料版)で翻訳しました。
ーーーーーーーーーーーーー 太字当方ーーーーーーーーー

昔は市場ディスカッションのようなことも、ロクスノはしていたみたいなんだが、最近は、トップクライマー間の意見交換は聞かない。

本来リーダーシップを果たすべき人たちが、俺、もうそんなにハードに登れないから、と言って、リーダーシップを自ら、破棄しているようにすら見える…。

その結果がすでに出ていて、それが、外岩での、未熟なクライマーによる、バッドビレイだったり、墜落事故だったりすると思うが…古いクライマーたちは相変わらず、お互いの賞賛…お互いがお互いをレジェンドクライマーと呼び合う…をするだけで、現状と向き合おうとしていない、というのが、日本のクライミング界に対する、私の不満だ。

リーダーシップ不在は、政治だけでなく、クライミング界も同様なのである。

こちらは10万回再生されたリール動画。

https://www.youtube.com/shorts/gEGRe34k4_E

森さんの件、だが、オピニオンリーダーのオピニオンが、的外れなことが指摘されている。

まったくだ、と思う。努力すれば何とかなる、と、不可能、をクライミング界は取り違えており、古いクライマーだってそれは分かっているのに、沈黙している。遠藤由香さんがショルダーされている画像を見たことがあるが、背の低いクライマーにとってはアレがすべてを語っている。

どんなにムーブが上手でも、届かないものは単に届かない。そんなことすら分からなくなる、クライミング根性論を叩き込まれているのがオピニオンリーダーなのであったら、そんなオピニオンリーダーについていけるのは、全知全能の者くらいだ。

その上、実際のところは、古いクライマーって、クライミングの歴史通りに成長しているので、エイド三昧してきて今があるのである。上手くフリークライミングに乗り換えれた人は、過去のエイドクライミング時代の自分のことはとっくに頭から消し去ったみたいだが…。

クライミング界に真っ白な人はいない。互いに寛容になり、厳しい倫理観は自分に課して、他人に貸すのは辞めましょう☆



2024/08/29

【ジム】Day8,9 踏みかえ&テーピング効果&トンボラさん

 ■ ジムの記録をつけるのを忘れていた…(汗)

ムーブの再習得… いや~なんか、すっかり忘れて、普通に楽しく登っていたんだった。

さて、記録。

1)行きたい方向に、先に足を出してはならない。右手、右足、ではなく、重心を考える。

2)ホールドの向きを考えましょう。

3)核心だけでなくて、全部のムーブの整合性を考える

出来ないムーブでは、踏みかえ。

踏みかえがかなり苦手系だと分かった。あと、恐怖心が湧くと、腕が曲がるので、ムーブが余計に難しくなるのである。

■ 指力= テーピング?

すでに指が痛いのであるが… 例のレイバック応用のやつは、これは指をテーピングで、ガチガチにしたら、いけるかも?と思いついて、やってみたら、できた。

あっけないほど簡単に習得してしまったんだが…

たぶん、テーピングを取ったら、またできないんじゃないかなぁ?

てか、これエイド?

このジムはグレードが辛いので、たぶん6級くらいの課題であり、私にとっても、まぁ、これくらいはできて当然的な難易度で、未知の領域ではない。

しかし…それでも最初はできなかったし、なんでかな?みたいな感じだった。

お手本の小島さんのムーブを見ても、特に難しい要求をしているような感じではなかった。

それで、彼と私のフィジカルの違いを考え、これは指力かも?と思ったので、右手薬指のテーピングを1本だけ増やしたのである。たった一本の指ですよ。

すると、腕を伸ばすことができ、右腕を伸ばせた結果、左足、立ち込めた。

というので、この課題での核心は、なんと、右手の薬指の強度、だったわけである。

いや、びっくりですね。

というわけで、このように、クライミングにおける習得の核心というのは、まったく摩訶不思議系なのである。

バレエの習得とか、水泳の習得とか、テニスの習得とかでも、実はこういうことは起きているのだろうか?

みなさんも、どうにも、腕を伸ばせる気がしないとき、指にテーピングを増やしてみてくださいね。

余談だが、体操競技では鉄棒とかで、選手は手のプロテクションをしている。なんかグリップが良いグローブみたいなのをつけている。あれ、なんか人工壁登るときに欲しいんですよね、私…

というのは、人工壁でのリードの時、ドガバでも、手が開いてきて怖いんですよ。特にクリップ時。人工壁のリードって、もうしょっちゅうクリップが出てきて、しかも、私は右手にぶら下がりたいのに、大体左手ぶら下がり、右手クリップが多い。すぐ左手がギブアップする…ので、人工壁は嫌いなんです。

なんせ、手繰り落ちたら、しょっちゅうクリップしている意味なくなります。

■ こんなに登れないのに外岩登ってきたの…?

さて、そんなこんなの、ジムクライミング… ジム店長の小島さんは、ムーブ解析力が素晴らしいです。

しかし、私があまりにも、ムーブを知らずに、外岩でのグレードを上げてきたことを知って、驚いているようです…

だよねぇ…?

私もそう思う。 私は外岩デビューが早すぎたんではないか?と、もう10年くらい前から思っています…

でも、いろいろな人に聞いたけど…

  全く登れないときから、外岩に行くのは良いことだ

という意見が多数でした…特にアルパイン人種から。フリークライミング人種からすると、早すぎると思う。

というか、そういう人たちは、ジムがない時代に育っているので、ジムでムーブ習得してからのほうがより安全だ、という理解がないまま、現代の若者と同じ、これくらいは登れるはず、という期待を私に掛けていたようでした。

たしかに、私も、登れないころから外で登る、という風に成長してきてよかったなという面はあります。特に、外特有の外的リスクに自覚的になる。

たとえば、ピンが遠いとか、ボルトの強度が保証されていない、とか、1ピン目がかなり遠いとか、長ぬんで伸ばすとか、ビレイがシビアとか… 車中泊スキル外トイレスキル天候スキル、いわずもがな。

しかし、マイナス面もあります。自分の登攀力、ムーブ能力、そして、フィジカルにゆとりがないので、心が擦り切れます…

■ もう伸びしろがない人が粋がる?

例えば、台湾の5.4のクラック、私はカム3つで終わってしまいましたが… それと同じことをカサブランカでやっているのが、往年クライマーなんですが…でも、それって、たぶん、

登攀力を上げるという、のりしろがもうないので、やっているんじゃないかなぁ…

例えば、ボルダーだと、もっとすごいの、みんな登っていますよね。だって、ボルダーって1級からスタートなんですよね。

もう、よりハードに登れるということがなくなった人たちが、次なるチャレンジを求める先が…カム飛ばしだったり、スラブでも、40mランナウト、っていう気がするのは、私だけではないでしょう…

で、それに付き合う羽目になって、初心者なのに5.8で40mランナウトを登る羽目になるのが現代のジム上がりクライマー…。

彼らはジムでムーブのゆとり、フィジカルのゆとりを上げて、それから岩場に来る…けど、外的リスクも、懸垂下降も、登り返しも、クラック登りも、スラブ登りも、クライミングジムでは学べない。

学べないことをすでに学んでいる前提になって、挑戦される…

ということになっています。

そこが、理解されないのは、デシマルにしても、ボルダリングの段級にしても、グレードで、どんなクライミングか?スラブか、オーバーハングか、クラックか、なんてことを考えず、全部一緒に表示するからです。

無意識に、俺は、5.12が登れる、とか、俺は1級が登れると思ってしまうので、スラブの5.10Aで落ちたり、クラックの5.9も登れなかったりします。そりゃ当然ですよね?

この問題の解決に、小川山では、本来5.9とグレードされていたクラックを、5.10Aにしたり、となんかグレードを甘めにすることで解決しようとしているみたいなんですが…

その方向は間違っていると思う。

そうじゃなくて、真実は、

・ジムグレードと真実の登攀力は異なる

・スラブとジム壁は異なる

・クラックとフェイスは異なる

・ジムでも垂壁とオーバーハングは異なる

・石灰岩と花崗岩は異なる

 様々なクライミングごとにすべてを初心で習得する、

という方向性が正しいと思います。

昨日ジムでも、小島さんが垂壁で指摘したことを、薄被りに応用しようとしたら、

「こっちの壁では別の話」

と言われました。

分かっている人は、一つのグレードで、すべてのクライミングの能力を統括しようとは思っていないのです。

ジャミングとカチが別の力って言うのは、当然のことだからです。

■ ご褒美 

昨日はまた、博物館並みにすごいメキシコ雑貨の店、トンボラさんに行って、目を保養して帰りました☆

店のお姉さんとも、素敵なメキシコ雑貨の話で盛り上がりました。

自然農で教わる定番の手仕事に、蛍かご作り、というのがありますが…蛍かごのメキシコバージョンを発見しました!


       なぜかガイコツやどくろが多い、メキシコのカトリック教… 

       独特な緑色…日本のやきものでも、緑の、ありましたよね…

            チアシードで、もさもさにして、飾る土器
          いろんなスタイルの土器がある・・・


2024/08/28

【アルパイン】【遭難情報】平出さんたちの、かなり正確そうな情報が出てきています

■ 今までの、”英雄視&扇動” の報道とは一線を画した、ジャーナリズムの良心を感じる報道

が、

 石井スポーツ (今見たら朝日でした…)

から出ています。これで、グッと私の石井スポーツに関する株は上がりました☆
(九州で見たトンデモクライマーが石井スポーツの人で株は急降下していました

さすが、天野さんがいて、目を光らせているだけありますね!

■【解説人語】K2で世界的な邦人登山家が遭難 経験豊富な2人に何が 南米最高峰アコンカグア同行の記者が語る
 

■ 要点

1)条件は良かった
2)敗退こみだった(決死ではない)
3)コンテだった (核心部ではない)
4)まだ7500だった (核心部ではない)
5)氷とともに落ちた


これだけを書いても、本格的な山登りをしない人には、意味が分からない、というのが、こうした遭難情報を評価する際の難しい点です。


私は山登りでは、アルパインクライミングという一般登山の人にはできない、ロープが出るクライミング、いわゆる本格的な山登り…を行うことができます。

実は、そこまで、自力で、つまり、自分の力で、たどり着いた経験がある人でないと、こうした先鋭的登山は、まったく、海のモノとも、山のモノ、とも分からず、全く評価も、推測もすることができないのです…何十年、山に登っていても。


40年ほどの昔は、多くの人がアルパインクライミングをしていたので、多少なりとも正当な評価ができる人が、一杯いたのですが、今ではできる人がほとんどいなくなった…という業界事情があり、そこに
 
 付け込んだ人


が、本当のところは、すごくもない登山を、


 俺ってすごいでしょー


と宣伝するのが、ここ20年くらいの流行になっています。代表事例は、栗城劇場です。

一般クライマーもそんな感じで、実は全然すごくない記録をすごいということにする、のが、流行中。

実は、三浦さんもそんな事例の中にひところ、あったりしました。師匠と見た、NHKのスキー滑走の映像では、スキーを担いで上がるルートは、その山にあるバリエーションルートの中で最も簡単ルートを選んでいたのにも関わらず、最難ルートと評しており、え?!NHKよ、お前もか?!と思ったのでした。


■ 私はこれは、師匠と一緒に見たから、分かった

…のでした。

大体、海外のルートなんて、日本人の一般ピープルが知っている訳ないだろう…と、あのNHKですら、高をくくって報道しているのか?それとも、裏取りをさぼったのか?はたまた、両方なのか?

最近、NHKは、中国人スタッフによる失言で炎上していますけど、昔から丸投げ体質、なんですかね。

最近、マスコミは、マスゴミ、であることがバレてきています。

テレビの撮影で、歩荷で呼ばれて行きました、みたいな人は、本格的な山登りをしていれば、たくさん話を聞きます。村上先生もそのような一人でした。

で、その人たちの話を総合すると、NHKって言っても、登山知識は、素人さんみたいでした…

一度、北大出身のNHKカメラマンの米山さんと沢をご一緒したことがあるのですが…あの時は私が買いたての赤キャメが役立ったのだった…、米山さんも後で聞いたら、懸垂したらロープを、実は切っていて、足りなかったとか、ええ~?!な冒険をしているみたいでした…。いや~、北大も、九州よりはまともだと思いますが、登山界を襲っている倒錯とは、無縁でいられなかったみたいです。誘惑に負けやすいのが男性。

というか、北海道の山から来たら、山梨の山や沢なんて、ちっさくてチョロいってことになっちゃいますよねぇ…?そこで、リスクのスパイスが欲しくなる?? まぁ、仕方ないです。

話がそれましたが、いわゆる先鋭的登山の世界は、無知で当然の一般市民だけでなく、アルパインクライミング人種からも、きちんとした評価がされにくい状況にある、ということです。

それは、日本の山は小さく、標高も低いので、規模と標高による困難度のアップ具合が、仲間である他のアルパインクライマーからも理解されずらいから、ということです。国内にないからです。海外までいろいろ登りに行ける優遇的地位の人には、それなりに正確に解説してもらいたいものです。若い方はやってくれています。(例:たけちゃんねるのセユーズ)

現代の最高峰に属すクライミングは、普通にフリークライミングでやるクライミング(マルチピッチ)を標高5000や6000でやるものが主流のようですが、そんな標高でやったら、そりゃしんどいはずですが、それがどんな感じか?周囲も分からないということです。

それで結局、評価できる人の人数が少ないので、内輪での評価になるのです。これはピオレドール賞も同じです。

もちろん、平出さんや中島さんが行っていたのは、無雪期のフリークライミングではなく、いわゆる雪稜です。

■ 雪稜とクライミング

雪稜でも、上級者が登るようなのになると、稜線から、壁、つまりクライミングの領域、になってきます。この分野で入門ルートとされているのは、赤岳主稜です。

私は、パートナーがいなかった&当時所属していた山岳会でも俺らで連れていく能力はありません、ということで、一人で隣の阿弥陀北稜に行っています。

まぁ、壁っぽいのは出てきましたが、一瞬で、雪稜にアックスを使ったボルダリングが一瞬だけ出てくる、って感じでした。赤岳主稜では、マルチピッチになるはずです。

マルチでは、私はセカンドですが、赤岳主稜よりも困難な、ミックスルートの荒船山の昇天というのに行っています。岩と氷のルートで傾斜もたっており、5.9は越えていると思うので、本格的~って感じだと思いますが、4Pしかないし、セカンドで行っているので、自分で登ったわけではありません。

もちろん、セカンドであっても、何か不測の事態が起きたときに、十分な技量がないと、自分で登れなくなっっちゃったり(例、自己確保で登る方法を知らない)、リードクライマーの足を引っ張って、完登できなくなり、ヘリ出動になります。(例:当方の白亜スラブ)

そもそも、そういう危険性がある人は連れて行ってもらえない、という場所です。昇天は、岩の技術アイスの技術も両方必要で、M5くらいだと思います。

余談ですが、平出さんたちの気象アドバイスをした猪熊さんとも面識がありますが、M5しか登れない…と私がいうと、それでもすごい!と褒めてもらいました…。ですよね。ほっとしたのです。あの時の猪熊さんの言葉には救われたなぁ。

ちなみに、九州では、”M5”という言葉自体が分からない人ばかりでした。

また、雪で使う支点として定番のスノーバーや自然物を使ったルート、雪稜、としては、3月に立山の真砂尾根というのをしています。ここはクライミング力は必要なく、歩くだけです。それでも、危険なのでロープを出して確保します。これは登山道そのものがなく、稜線を伝いますので、高所登山に近い登り方です。

私がロープをいらない箇所で、懸垂でロープを身長180cmの30代男性が出していましたが…、九州で、私をチキンだと言って非難する人はこの男性をなんと評するのかな? 御坂では先輩たちは、「こんなところで」とか言わず、「ヤレヤレ」とも言わず、普通に出してあげていました。

さて、以上のような経験がありますので、一応、雪稜でどのような技術が必要か、冬壁でどのような技術が必要かは知っており、体験レベルではありますが、何が起こるのか、知ってはいます。

■ そもそも…

さて、その経験を踏まえて話しますと…

いわゆるトンデモ登山というものは、

 そもそも、選ぶルートが、実力不相応

なのです。

この平出さんと中島さんのK2は、私は日ごろ、平出さんが選んでいたルートが、渋いというか、ほとんどの人が知らないような、聞いたことがないような山が多いこと、しかも、登山家としての名声は確立済み、なことから、なんでいまさらK2?と思ったのでした…

…というのは、K2って、今エベレストみたいに商業登山に侵されて、行列のできる山になっており、K2のラッシュアワーってこんなのです。


https://sg.news.yahoo.com/k2-rush-hour-climbers-wait-123846863.html より引用

もちろん、一般の人は知りませんが、こんな情報は、普通にただ英語が話せるだけで、クライマーの能力としては、一般クライマーの私みたいな人にも回ってきます。海外登山通の平出さんらが、知らないはずがありません。

そのため、このような状態のK2にバリエーションルートといえども心惹かれるとは、なんか、”平出さんらしくない”という印象を持ちました。

しかし、らしくない、の中に、実力不相応、という部分は含まれていなかったようだ、とこの動画を見て結論しました。

魔が差した、つまり、ド素人さんにも分かる山に登って、分かりやすい栄誉に浴したい

という話ではなかったみたい。

ちなみに 一般クライマーといえば、アルパインクライマーから、フリークライマー、はては、ボルダラーまで、この一発逆転の分かりやすい栄誉に浴したい、無知な人からすら褒められたい、という欲に負けて、実力不相応のルート…だいたい有名なルート…を選択をすることが、事故の大半の原因となっています。(例:俺5.11登れるから、北岳バットレス四尾根)

■ 条件は良かった

「悪いね!」は、クライマーにとって、倒錯した喜びです。

悪いね~というのは、登りにくいという意味ですが、クライミングって、やっている間に、様々な苦難に耐性が付いてくるので、”もっと悪くても、登れちゃうよな~俺”、となってきます。

その魔力… は、強力で、オリンピックで競う、競技では、どんどんホールドを

 悪く

していくのです。

悪いにも、いろんな意味合いがありますが。一例は、遠くする、です。で、5m先にあれば、人類にとって不可能ですが、3m先なら届く人もいるでしょう。そこで、優劣つけようとして、やりすぎちゃった、のが、森秋彩選手の事件でした。

アルパインクライミングにとっては、悪さ、は天候です。なので、猪熊予報士の助言を得て登っています。一般クライマーもヤマテンという天気予報を、山別に取得するのが、山ヤの通例です。

  条件が悪いときには、ギリギリのチャレンジの山はしない… 

ことが大事ですが、このギリギリ度合いを間違う人、多数。

例えば、八ヶ岳の天狗岳とか、それこそ阿弥陀北稜とか、ルート自体が簡単な場合に、このチャレンジはギリギリではないという前提を持ってしまったがために、悪天候でツッコんで死んでしまうのが大学山岳部の通例となっています。

ルートが簡単なことと悪天候って別の話ですよね。それが分からなくなるのが人間なのです。

体力的にゆとりがあっても、チャレンジの山を、悪天候時に行ってはならないのです。

悪天候では、ハイキングみたいな山でも、風を遮るものがない=低体温リスク、というリスクがあることをハイキングの時点で学んでいないといけないのです。

従って、悪天候リスクを学ぶには、逆に言えば、ハイキングレベルの山に、悪天候時に出かけてこないといけないのです。もちろん、すぐに引き返せる状態で。

平出さんたちは、このトラップにも引っ掛かっていなかった。つまり、良い条件の時に行っているので、とても保守的だということです。イケイケ登山の反対です。




■ 敗退こみだった(決死ではない)

敗退こみ、というのは、危険を感じたら、引き返す心づもりがある、ということです。

イケイケ自慢&危険なクライミングを好む人は、「敗退なしで!」と言います。こういわれたら、「一人で行ってきて」と言い返しましょう。

敗退を想定するには、ロープ長の長さを計算する必要があり、また、敗退のために余分なロープを持っていくことがあります。

決死の覚悟で行くルートがかっこいい、という、間違った思い込みが、登山界やクライミング界には蔓延しており、特に難しい山がない地方では、多数派です。持病の薬を持ってこなかったり、ピンチ食を持ってこないで山に入る人が、その自慢話をしたり、わざとアルコールを飲んで登って見せたり、と、敗退用のロープを持ってこないで山に入るクライマーが武勇伝にしたりと、倒錯が非常に多いです。

余談になりますが、この倒錯の代表事例が、フリークライミングの分野では、ランナウト自慢です。

さらに余談で申し訳ありませんが、そうした用心のための余分を持って山に入る人は、余分に持っている、と思われているので、持ってこない人=危険人物に、利用されます。私は利用されたことが、合計5回くらいあります。

平出さんたちはこれについても、良い判断で、事故につながるような悪い判断は、していなかったようです。

■ コンテだった (核心部ではない)

これは、クライミングをしていても、難しいかもしれません。

コンテというのは、簡単なところを素早く通るために使います。通常はスキルが下の人が前を歩き、後ろが距離を適当に調整してくれます。御坂山岳会の時代に、先輩がやってくれました。

一度、台湾で、クラックの5.4が、あまりにも簡単だったので、コンテでもいいのでは?とアメリカ人のクライマーに持ち掛けると、彼は5.12まで登れる人でしたが、断られました。そこは、20mはあったと思いますが…5.11がギリギリ登れる程度しか登れない私ですら、カム3つ…というやさしさだったのです。

それでも、コンテは断る、のは、これがクライミングの垂直のレベル感だからです。

一般的には、コンテは落ちることが考えられないくらい簡単で、落ちたとしても摩擦ですぐに止まりそうな、巻き込まれが考えにくいレベルの、とても簡単なところで出します。

ガイドが出すタイトローピングも一種のコンテですが、私は自分がされる側はいいけど、する側には体重的に向かないので、自分では出しません。される側になるにしても、岩の隙間を通って、保険を付けてから、しかつなぎません。

フリークライミングしかやらないクライマーは、この技術を知らない人がほぼ9割で、マルチで出てくる、歩くだけの簡単な個所でロープを解いて、その箇所でほっとして、転んで大事故になる、というのが、定番の遭難セオリーです。

こうしたフリークライミングのクライマーは非常に多いです。フリークライミングで使うルートは、クライミング自体が易しくても、場所が危険なことが多いからです。上記の私の台湾のクラックのように。

さて、これで、平出さんたちが、とても簡単なところで遭難したことが分かりました。

■ まだ7500だった (核心部ではない)

まだ7500というのは、山頂までまだまだで、まだアプローチの箇所だということです。

登山にも、核心部ってありますよね。 例えば、不帰だの、ジャンダルムだの、いろいろ怖そうな名前がついていたりします。名前がついていない普通の登山道でも、長さが核心だと、日の短い秋に登れば、暗くなってしまい、危険に突入するかもしれません。

まぁ、要は、”誰でも用心して、気合を入れて登る箇所”と、そこまで行かず、”気楽に登っている箇所”、つまり、アプローチ、と二つの心理的に異なる箇所があるということです。

遭難された箇所は、まったく核心部ではなく、アプローチだったとのことで、登りたかったルートの核心に触れずに亡くなったとすれば、


 心残り


だっただろうなぁ…無念だっただろうなぁ、と思いました。


■ 氷とともに落ちた

氷とともに落ちたという目撃情報があるそうです。とすれば、アプローチでの落氷による事故、ということになりそうです。

私の眼裏に浮かぶのは、北岳バットレス4尾根に御坂山岳会の先輩と3人で出かけたときのことです。

まだ下部岩壁のとっつき、つまりアプローチ…にいるのに、ブーンと何か音がして、仲間の初心者男性のヘルメットに落石がかすめて行ったのです。

ブーンって音は、ヘリかなにか?みたいな感じでした。でも、石のサイズは、小石レベルだったと思います。

かすめた男性本人は、それを見ていないので、え?何?くらいの認識でしたが、私と先輩はそれを目撃して、無言で敗退を決めました(笑)。今日は危険だ。

雪上で、落石や落氷があっても、音がしない上、音に気が付いたときは、加速がついており、すごい破壊力で、しかも、避けようにも、気が付いたときにはもう遅いのです。当たったら死にます。

岩場のルートでも、RCCのボルトがひん曲がっている=落の痕跡です。

その北岳の時は、先輩と無言で通じ合った瞬間でした。当たり損ねた?仲間は、未練たらしくルートを眺めていました。

その時は、その人を説得するために、「このルート、女性にはちょっと難しすぎるね」みたいな言い方を先輩がしたと思うのですが…記憶があいまいですが…

その言い方を、その未練っぽい仲間を体よく説得する材料に、私が使われているなとスッと感知しました…。もう帰りたい…帰ろうよ、と言い出すのは、男性には難しく、女性には易しいのです。

で、無事帰ってきました(^^v)。

これだけのリスクの解説を、現場でするのは難しく、これが、山の経験値、と言われるものの中身です。

そして、同じ経験をしても、解釈が多様だ、ということの意味です。落を見なかった仲間は、俺だったらもっと行く、と思っていたでしょう。今回は女がいるから、しゃーないな、とすら思ったかもしれません。自分は守ってもらった立場なのに…。

…というようなこと…立場の違いによる見解の相違…が、かなりな頻度で起こるのが山です。

でも、これが男1対男1だったら?行きたいという人に、言い返すのは難しく、さらに、女性1対男性1なら、男性は絶対に俺の意見が上だ、俺が行くと言ったら行く、と思うでしょう…。 

実際、自分の意見が通りやすいから女性と組む、という人は多いです。

女性の側からすると、巻き込まれ事故ですね。

で、平出さんたちの話に戻ると、


 雪上の落って、予見不可能


なのです。もちろん、気温が上がって緩むと、落石も落氷も、落ちやすくなります。

雪が落ちる現象、といえる雪崩の危険があるルートでは、早朝と夕方しか登らない。雪崩を避けるためです。

アイスクライミングでも、気温が十分にマイナスにならないと登りません。12時から14時は基本的に要注意で、逆に寒ければ寒いほど安全と言えるのです。

先日、立山で、11月に八ヶ岳に行ってきた、と自慢げに語るトレランの人に会いましたが、八つの地元の人は、11月は、登山道ですら気温的に十分に凍っていないので、落が多いから、八つには行かないんですよ。かなり体が引き締まった人だったので、山ベテラン風でしたが、分かっていない人だなぁと思いました…。

このように、冬季のクライミングや登山をやらない人は、一生かかっても、冬季のリスクについては疎いままです。

むろん、平出さんたちは、このことに全く当てはまりません。

彼らほどの経験者でも、落には、対応のしようがない、ということなのです。一般のクライマーが、カッコつけて、解けかけた氷瀑なんて取り付くものではありません

氷本体が解けなくても、上から何か落ちてきますよ?そして、それは避けようがない、完全に

 運

の世界です。

登れたとしても、偶然、運が良かっただけのことですので、俺の実力だ、と慢心するのは辞めましょう。慢心しているかどうか?は記録の書き方で分かります。

読んでいて、相手の実態を知っているために、こちらが恥ずかしくなるようなのを読んだことがあります…

■ まとめ

以上で、平出さんたちがわざとリスクに近づいて行ったのではなく、


 やむを得ない事情


で、命を落としたのだということが分かった解説でした。


ご冥福をお祈りしています。