2026/06/14

【クライマー育成】正しくフィードバックのループを回すための問いの立て方

【計画段階:情報の客観的処理】

「ガイドブック(またはトポ)に書かれている長さは『実測』か? それとも『目安』か?」


「このロープ長で、トラブル発生時に懸垂下降(あるいはロワーダウン)の支点まで戻るのに十分な余裕があるか?」


「ルート上の『残置支点』は、経年劣化や磨耗の可能性があることを計算に入れたか?」


「今日持参したギアのスペックと、このルートの要求事項に『不一致』はないか?」


「この計画において、『なんとかなる』という根拠のない希望を抱いていないか? その根拠を数値で言えるか?」


「もし計画通りに進まなかった場合、引き返す判断のタイミング(タイムリミット)をどこに設定したか?」
【登攀直前:状況の再評価】

「今の天候、気温、風速は、予報とどう異なっているか? それは登攀の安全性にどう影響するか?」


「パートナーの今日の体調、メンタル、技術的な調子は、このルートを登るのに適しているか?」


「もし今、核心部で墜落したら、どの高さまで落ちる可能性があるか? 地面やテラスまでの距離は確保されているか?」


「このルートの『最大の敗退リスク』は何か? そして、そのリスクが顕在化した時に自分がとるべき行動は決まっているか?」


「出発前に確認した『ルート図』と、今目の前にある『壁の形状』に矛盾はないか?」
【登攀中:A自我の稼働(モニタリング)】

「今の自分の心拍数や呼吸は乱れていないか? それは自分の『焦り』を反映していないか?」


「このビレイポイントは、本当に安定しているか? 上部からの落石リスクを考慮しているか?」


「ロープの伸びや摩擦(ロープドラッグ)は、登攀のリズムにどう影響しているか?」


「なぜ今、このムーブ(動作)を選択したのか? 他の選択肢に比べてリスクと効率はどう違うか?」


「パートナーのビレイは信頼に値するか? 懸念点があるなら、今この場で改善を依頼する余裕はあるか?」
【振り返り:学習の定着】

「今日の登攀で、予測と異なった事実は何か? それはなぜ起こったのか?」


「登攀中、感情(恐怖や楽しさ)に流されて、論理的な判断を省略した瞬間はあったか?」


「今回の成功(あるいは失敗)は、計画の緻密さによるものか、単なる運によるものか?」


「次回の登攀で、より客観的なデータ(距離、時間、気温等)に基づいて行動を改善するには何が必要か?」


易しく言い換えたバージョン

【準備するとき:ほんとうに大丈夫?】

  • ガイドブックの数字は、だれかが測った「本当の長さ」かな? それとも「だいたいの目安」かな?

  • 持っているロープの長さで、もし途中で困っても、ちゃんともとの場所まで戻れるかな?

  • 壁にある「古い金具(支点)」は、長年の雨風でサビたり壊れたりしていないかな?

  • 持っている道具は、この山に登るためにぴったり合っているかな?

  • 「なんとかなるさ!」という根拠のない自信だけで考えていないかな? 数字で説明できるかな?

  • もしうまくいかなかったとき、いつまでに引き返すか、時間を決めているかな?

【登り始める前:今の山はどんな感じ?】

  • 予報とちがって、風が強かったり寒かったりしないかな? それは危なくないかな?

  • 一緒に登る友達の体調はいいかな? 疲れすぎていたり、元気がなかったりしないかな?

  • もしここで落ちたら、どこまで落ちちゃうかな? 地面にぶつからないかな?

  • この山で一番こわいことは何かな? もしそれが起きたら、どう動くか決めてあるかな?

  • 地図や図で見た通り、目の前の壁はなっているかな? ちがう場所じゃないかな?

【登っているとき:落ち着いて考えよう】

  • 心臓がドキドキしたり、息がハアハアしたりしていないかな? それは「焦っている」証拠じゃないかな?

  • 今立っている場所は、石が落ちてこない安全な場所かな?

  • ロープがひっかかって登りにくくなっていないかな?

  • どうして今その動きをしたの? もっと楽で安全な動きはなかったかな?

  • 友達のロープさばきは安心できるかな? 気になることがあったら、その場で「こうして!」と言えるかな?

【登ったあと:ふりかえりタイム】

  • 予想とちがったことはあったかな? なぜそうなったのかな?

  • 登っているときに、「怖い!」「楽しい!」という気持ちだけで動いて、大事なことを忘れていなかったかな?

  • 今日の成功(または失敗)は、計画のおかげかな? それとも、ただ運がよかっただけかな?

  • 次はもっと上手に登るために、距離や時間や温度をしっかりメモしておこう。

山に行くときは、この質問を一つずつ自分に聞いてみてね。そうすれば、もっと安全で楽しく登れるようになるよ!