2018/10/25

龍洞の岩場 (1) 行くことに…

台湾の岩場、龍洞へ行きました。私バージョンの世界岩場紀行…その3です。最初はラオス、そして韓国、それから、今回の龍洞。龍洞と書いて、ロンドンと呼びます。

今年の夏は小川山での小屋バイトに捧げました…2か月の夏山バイトは、結構、人間関係的なものがつらかったです。

そんなつらい時期を過ごす中、心のオアシスだったのがドラツー練習会。ドライのために小川山に行っているのに、人工壁すらビレイヤー問題で触れなかったんですよねぇ…誤算。

ドラツーの練習会で、龍洞のトポを見ました。パラパラとページをめくったとたんに目が釘付けに…これは、私、行けそう…。海岸のクラックなのですが、高難度スポーツルートと簡単クラックのオンパレード。クラックは5.7とかが一杯なのです。

湯川でデゲンナーをリードしてから、次は疑似リードというところでクラック修行は、一時停止しています。なにしろ、クラックってカムの設置技術が確かでないと、命がけです。湯川は師匠の青ちゃんとの良き思い出の岩場ですが…意見の相違がありました。

それがカム設置練習。

青ちゃんは、私の疑似リードしたい!という願いを断ってピンクポイントで、でした。ピンクで登ったところで、各人、背の高さが違うので、絶対に同じようなところにカムを入れることはないのです…。なので何の練習にもならないのです…。特に私は背が一般と比べて、著しく低いので、普通にクライマーが設置したカムをセカンドで回収するときすら、大変なのです。遠すぎて…。

なので、ピンクしたって自分がリードできる道へは続かない… それを分かってもらえなかったのです。

どうも青ちゃんは、私が度胸がない、メンタルが弱いと思っていたようですが、それは誤解というものです。

誰もが私の腕力、私の背丈であれば、私と同じように恐怖を感じるはずです。というのは、ボルトルートでも、ボルトにクリップする前に核心を処理しなくてはならなくなることが、日本の岩場では多数だからです。

それが大きい人は分からない。日本のボルトルートは、それに適した体格でないと安全ではないです。

今回も台湾で小川山経験者がいて、小川山のグレーディングのおかしさやピンの遠さを話しており、世界中で認識されている問題らしいと理解しました。

例えば小川山のブラックシープという5.9がありますが、1本目のピンは背が高ければ、ガバを掴んでクリップできるのです。しかし、背が低いと、そのガバを掴むことが不可能なので、極小スタンスに立って…というワンムーブが必要になり、それだけで5.9ではなくなること確実で、しかも1本目を取る前です。みんなには5.9でも、私には5.10cです。これは、ボルダーで、6級の課題が、シットスタートにすると2段になったりするのと同じです。

同じことがクラックにも言え、クラックは私の小柄という不利益にあまり拘束されないクライミングではありますが、背の大きい男性が設置したカム位置は、私にはほとんどのケースで遠すぎるのです。青ちゃんの設置したカムも遠くて回収が大変だったり、今回も、タオの設置したカムが一か所遠くて回収するのに手がとどなかったです。

とは言え、湯川はパラレルなところが少ないのか、カムの設置は難しいと言われています。

疑似リードがダメって…なんで?

というわけで、私のクラック修行は、湯川の易しい課題を、ばんばんリードするというところで一時停止中です。

この夏、竜頭泉で疑似リードし、易しいクラックをオンサイトし、その後、小川山レイバックをレッドポイント、その後、モツクラックをオンサイト、カサブランカを疑似リード、でカムについて、いい感じに自信がついたところで、停止しています。

実は韓国に、ドラツーの練習会で行く予定でした…しかし、ドライはギアがまだそろっていない…前回韓国に行ったときに、ノミックを買えばよかったのですが…買えていなかったんです。ノミックでいいのか?というところもあったし、新型が出ると旧型の価格が下がるとも言われていました。

ドライもフリーと同じで、最初は人工壁しかできないのですから、コンペ用のクルコを買えばよいのか?とも悩んでいました。

ギア不足で、みんなの前に登場するのは… ギア不足というのは、クライマーとして、もっとも初歩的なミスというか、欠陥というか、「最初から来ないで!」と言われても反論できない感じなんですよね…。

そして、二か月の間バイトに忙殺され、トレーニング不足を痛感していました。ドライって、ほんとに大変なんです…体力というか、フィジカルがワンランク上が必要です。

ので、タイミング的にドライは、まだ準備不足感がありました…でも、韓国へはアイスの布石で行きたかったんですよね・・・本当は。

アイスは韓国へ行くほうが本格的な氷に触れ、距離も長く勉強になると思います。日本の氷は、氷結具合のいまいち化が温暖化で進行中なうえ、短く、プロテクションも悪いのです。短いということは、落ちたらグランドってことです。

しかし、九州へ来たことで環境悪化ですから、そもそもアイスもドライもできるかどうか不明です。

ドラツーの練習会で、龍洞のトポを見たとき、これは!とピンと来た、って話から、だいぶ話が膨らんでしまいましたが、そういう事情で今回は台湾でした。

トポをポストした瞬間、ラオスで一緒に登ったカナダ人のデイビッドが行くという連絡をくれました。私も快諾。

その後、バイト先に友人が訪ねてきてくれたのですが、その人は龍洞に行ったことがあるそうで、トポを郵送してくれると言ってくれました。

事前にトポを見ることができる、というのも、かなり高いポイントで、行くべし!という神のお告げのように感じられました。

しかし、問題は資金… 韓国ドライ練習会 × ギア購入 × 台湾 をすべて両立させるだけの資金は、バイトでは稼げませんでしたので、ドラツーとギアはセット販売だし、というので、今回は韓国をあきらめ、台湾へ。

終わってみて思うのですが、これは正解でした。直感で選んだ道でしたが、韓国に行っても、準備不足でたいして登れなかったでしょうし、私はコンペ志向のクライマーではないので、皆さんとの溝が深くなったかもしれません。

一方、台湾へ行くのは、半分は偵察気分ですし、ゲストハウスの状況を知りたい!という思いがありました。

台湾は全く知らない国ですが、日本人の海外旅行初心者向きかと思います。漢字が共通で
全然読めちゃう道路標識
読めるからですが、一方、郊外…龍洞は、海外なれしている人向きかもしれません。

なにしろ、田舎すぎて、日本でもそう見ないくらい、レストランやスーパーがありません。

セブンイレブンが唯一の町ってくらい、隔離された場所なので、一般的にはレンタカーを所望するでしょう。

というので、予想以上に、”海外っぽい”台湾で、もっと日本語が話されているのか?と前評判からは思いましたが、私はアメリカナイズされた日本人なので、私にとってちょうどよかったです。

よく言われますが、日本はアジアの中では唯一の先進国で、西洋文化の浸透率が高い国です。

その中でも私は若い時にアメリカで暮らしているので、洋風化の度合いが一般的な日本人より強いかもしれません。

毎日味噌汁を飲むかと言うと、飲まずに、毎日飲むのはコーヒーのほうです。日本全体が西洋化し、そのライフスタイルのほうが楽になってしまったからですね。 

そんなわけで、The Bivyに泊まったことも正解でした。公用語が英語なので…。

英語を話さない、ほかのところでは、快適に過ごせなかったかも… 

さて、以上が、龍洞の岩場へ行くことになった前振りです。