2018/12/31

日向神 初級マルチピッチ

■ 初の日向神マルチ

昨日は、この冬一番の寒さだった。雪すら、ちらつく中、日向神へクライミングに出かけた。いや~、楽しかった。

良い登り納めになった。

マルチに行くのは予想外だったため、マルチ用の緩い靴、そしてダブルロープを持っておらず、シングル2本でのリードとなった。

ロープが重かっただろうなぁ。


オーダーは、私がセカンド、ベテランがサード。実力順に並べるとそうなるよなぁ・・・。ここは全員がリードできるが。(念のため。オーダーは、トップ1番登れる人、2番一番登れない人、3番次に登れる人というのが定番です)

行きの道すがら、マルチになり、シングル2本をダブルで使って行ったため、ロープが太くて、確保器の繰り出しが重そうだった。

3人がいる場合、一人一本ずつビレイしてはだめなのだろうか?(良いそうです!)

RCCとも違う不思議なボルト
このルートは易しいスラブで、登攀グレードは5.5くらいかなぁと思ったが、何しろ寒く、行きの渡渉で左足をドボンしたため、左足がかじかんで感覚がなくなった… のだが、このルートはとっても易しかったため、悪条件が良きスパイスとなったような感じだった(笑)。

単純に楽しくてよかった。

3ピッチ上がると、山のてっぺん!と言う展望で、マルチらしさ満喫だ。たった3Pなのに。お得度が高い(笑)。

ベテランが言うには、なんとなくしっかり効いた感じがないスラブ、ということだった。たしかに、花崗岩スラブの効きの良さ、と言う感じではないかもしれない。この岩は安山岩ということだった。安山岩かぁ…。ステルスc4よりビブラムソールがいいのかなぁ?

が、なにしろ、雪渓のようなスプーンカットが一杯で、スタンスもホールドも豊富だった。もちろん、足がかじかんでいたり、寒さで指がかじかんで感触がないので、落ちるかも的なリスクは感じさせられたが、とりあえず、当然ながらノーテンで3名ともがスイスイ登った。

途中、一度、セカンドの私のロープがロープアップされず、後ろから、「黄色ロープアップして~」の声がかかった。

登攀が簡単だったので、スイスイ登っていたら、3mほどロープが溜まっていたのだった。「今、落ちると僕に激突するよ~」とサードが言う。たしかに~と思って納得した。後ろが声をかけてくれてよかった。

トップはフォローの確保を作るのに位置関係がイマイチだったらしくて、ちょっと直しに時間がかかっていた。

ロープが溜まっていたら登らない…というか登れない…のだが、うっかりスイスイ登ってしまったほどなので、いかにルートが易しいかということが分かってもらえるだろうか?

とくに、安全マージンが広い私のようなチキンクライマーですら、気がつかず、登ってしまったということで(笑)。

「ここならオンサイトできますね~」「春にとっておいたら良かったなー」というのが率直な感想ではあった。ここは新人さんのマルチデビューに良いルートだった。

(ちなみに小川山の新人向けマルチ 春の戻り雪5.7 3pのほうが質的に難しい)

■ 楽しみにして待つ対象を与える大事さ

5年ほど前、私は初めてのマルチに行くのに、

1)クライミングジムでパートナーを見つけ、
2)その人と人工壁に通うため、その人がたまたま入っていた山岳会に入会し、
3)人工壁にビレイ練習に通うこと3か月、

というプロセスを踏んだ。その後の春、4月に初めてのマルチピッチで、三つ峠に出かけた。岩場で知り合った師匠とだった。

その時は、三つ峠は寒く、まだつららすら出ており、落石ではなく、落氷が心配な状態だった。冬期登攀!だった(笑)。前日、登攀で有名な山岳会の横浜蝸牛が、「これでは登れん」と敗退していたのが印象的だった。あの蝸牛ですら登れなかったのか、というわけだ(笑)。

ルートへ出る、そのために何が必要か?を考え、積み上げた期間も長く、当日の条件も悪い中で行ったマルチデビューだったため、感動も、ひとしおだった…。もちろん、登攀は楽々だったため、すぐに2度目はリードで人を連れて行ってしまった…。今思うと、そういう人は伸びるだろうなぁと思う。あぶなっかしくはあるが。

■ 感動の量を最大化させてあげることが新人へのプレゼントでは?

おそらく感動の量というものは、誰か他人が与えることはできず、本人の汗と涙の量?による。

もちろん、私はこのマルチデビューのために、泣いてもいないし、ド根性レベルの苦労などは、してはいないのだが、とはいえ、大きな意味では、3時間で登れるようなハイキングの山からスタートして、7時間も小屋までかかる厳冬期の鳳凰三山や、アイゼン登高、ピッケルでの滑落停止技術の習得を条件として登った赤岳登頂、そういうものを個人の力量の範囲内で終わってから、山のステップアップとしての、スタカットが出る山=マルチピッチデビュー…というのが、当時の私のマルチデビューの位置づけだった。大きな意味での準備期間は、当時で丸4年ということになる。もう5年も前の話だが…。

先日は、会と意見の相違があった。そうしたマルチへデビューするための正当と思えるプロセス… 山岳会の門をたたいたならば、最低限、ビレイとセカンドとしてセルフレスキューするためのロープワークの2点の伝授…を経るところなく、男性の新人をマルチに連れて行ってしまっていた。私は反対意見だった。

あとで本人に聞いたら、「行ったものの、何がどういう話か分からなかった…」ということだった。感動、少なさそう…。

私には、これは会が、こらえ性がなかった事例、と見えて仕方がなかった…。

本来、セカンドやサードで登ってすら、必要になる技術習得…ビレイと自己脱出…をさせないで連れて行ってしまうとするなら、それはガイド山行だ。悪しき習慣と思える。

しかも、これでは、全員参加型山行とは言えないのではないか?一緒には行っているが、メンバーシップを発揮できるか?というと違う。

全員参加型とは、全員が、登攀に協力でき、登攀に必要なリスク回避のために協力でき、そして、リスク回避活動を”共有”できる、ということだろう。連れていかれて行くだけでは、共有できず、蚊帳の外、ということになってしまう。

それで、あとを追うようにして、竜岩自然の家でプルージック登攀や自己脱出を教えた。

あいにくの雨と体育館が使用できない日で、大したことはできなかったが、それでも、彼は、楽しかったのだそうだった。初心者向けの教科書は教えておいたが、それらを読んでも、膨大過ぎて、よくわからなかったのだそうで、それも無理ないなと思う。

ビレイ習得には、週1ならば1年、週2回ならば半年くらいは、人工壁に通わないと習得できないこと、ビレイが習得できていない人は本来、ゲレンデも連れて行けないと教えておいた。

ビレイはクライマーとして最低限のスキルだ。マナーの基本のキであるが、習得に前向きでない人が多い。

想像の範囲ではあるが、昔の山岳会は、おそらくリーダークラスと庶民?クラスを分け、リーダー適性があると目した人にしか、ビレイを始め、技術を習得させなかったのではないのだろうか?

そして多分、それは時代の流れに反していると思う。昨今はビレイ関連のデバイスが向上し、誰でも初歩的なビレイは習得可能だ。もちろん、ほかの山の技術と同じく、永遠に学ぶ余地があるのがビレイ技術であるのだが、その機微を理解したいという気持ちさえ、あれば、初歩的なことは誰でも習得できる。習得には、たぶん平均的な人でも1年くらいはかかると思う。

したがってマルチに行けるには、その理解が必要だ。そうでないと何の習得を求めてマルチに連れて行ってもらっているのか?すら理解できないで、金魚の糞をすることになってしまう。

初心者にとっては、ビレイは習得に時間がかかる最初の難関だと思う。しかし、長い時間がかかったにしても、人の命を守るぎじゅづだけに、時間をかけるだけの価値はあり、そして、ビレイはセカンドとしての最低限の責任である。

ビレイができないクライマーを作ることは、クライミング界にとって何の善ももたらさない上、本人を不幸…山の本来の楽しみである憧れと情熱によって掴む山から遠ざける…にしてしまうと思う。

少なくとも、今回の会の新人が、私が5年前に感じたほどの感動を感じたか?というと否であることは明らかだと思う…。同じ山であるのに、もったいない。

山は山でしかない。意味は人間が決めるものだ。

■ ラッペルダウン&グランドアップ

午後いちは、偵察へ行った。トンネルエリアと東稜の下部を偵察した。驚いた。初心者向けの課題が一杯だった。しかし支点が悪いようだった。みたこともない形状のRCCのような支点が一杯だった。

この岩場は下部は易しく、上部はどっかぶっている。ラッペルダウンでの開拓しかあるまいと思える。

傾斜の違いが、開拓スタイルの違いにつながるということが、分かりやすく理解できる岩場だった。



トポは公表されていないそうだった。ボルトが悪いためだろう…

ここで落ちることは、クライミングを理解している人にはなさそうだ。

だが、易しいグレードであっても、そういうグレードと言うものは、登る人もまた、全くクライミングそのものを理解していない段階にいる初心者が取り付くものだ。





■ 恩返し?5.11でセッション

最後は道端エリアで遊んだ。これは私は5.9はリードできると思っていたので、リード(再登)。マルチはリードしてもらったので、どこか登りたかった。

これをリードした春は、登攀力が、今より実はよかった…。小川山にバイトに行って2か月たったら、なんとカチ筋が弱っていた。体のほうもぐんと、切れ、が悪くなっていた。高くついたバイトだった…。

この寒いコンディションで、初めて組むビレイヤーで取りつく5.9は、私なりのクライマーのマナーだった。5.9というのは、どういう状況であれ、登れて当然のグレードだからだ。つまり、となりの5.8は、辞めておいたのだ。(ただし、新人のビレイの時は、5.8にしておく(笑)。)

5.9とはいえ、何度もムーブを組み立てなおし、リードに時間をかけた。

私はボルトの信頼性を勉強して以来、確実さ200%でない限り、行かない方針に鞍替え中だ(笑)。今までも慎重なクライマーで、登攀力が足りなかったという理由以外で落ちたことは無い。が、さらに輪をかけて慎重派になった。

ビレイヤーが私語を始めるくらい時間をかけた…ありがたくビレイヤーがいる贅沢を満喫した。普段、後輩を連れていると、できない贅沢だからだ。

先輩や同レベルのクライマーと行く山では、甘えることを学習中だ。見栄を張って、リスクを取ると、いつまでたっても、まぐれでの成功体験という自己認識が付きまとい、それが確実に登れる自分の登攀力だ、という自信がつかない。

登るのに時間がかかる、というか、時間をかけるのは、私のクライマーとしての成長に必要な時間なんだと思う。私にとって、頼りにされることは易しく、甘えることは難しい。

師匠の青ちゃんは、私がアイスでリードしているときは、心配の余り、顔面蒼白だった(笑)。一般にアイスクライマーの一通りの一人前ラインである、5級がリードできたときはうれしそうだった。比較的すいすい行ったため、となりのどっかぶりの6級のラインを「リードしてみる?」なんて聞いてきたんだよなぁ…。アイスで6級がリード出来れば、相当な猛者である。あれをリードしていたら、青ちゃんは、たぶん心肺停止していたんじゃないだろうか…(笑)

道端エリアで登った5.9を登れば、隣の5.10bにTRを掛けられる。実は、4月に3回落ちた課題だ。寒いほうがフリクションはいいのでは?と思ったが、そんなことはなかった。残念。小川山はフリクションは寒いほうがいいのだが、花崗岩と安山岩では違うのだろうか?

ロープはふんだんだったので、同行者が隣の5.8にもトップロープをかけたが、結局だれも登らなかった。

5.10bのあとに同じロープで掛けた5.11のスラブ、たち込みが、できなさそうでできる、できそうでできない微妙なムーブで、岩との対話に全員が目覚めてしまったからだった。

トップロープならチャレンジを取る。

全員が同じ課題を登って、セッション形式になり、楽しかった。

最初のマルチでのオーダーは正しかった、ということが実証された形になった(笑)。

マルチピッチを案内してもらった恩返しが、このイレブンでできたような気がした。

このイレブン、一緒にいつも登ってくれる先輩は2撃くらいで登れたんだよなー。






2018/12/28

屋久島フリーウェイの研究

■屋久島フリーウェイの研究

ピッチ グレード 距離 ボルト数  ボルト間隔(距離÷ボルト数+1)

1P目 5.7 35m B1 (12.5m)
2P目 5.10d 25m B10 (2.5m)
3P目 5.10b 32m B10 (3.2m)
4P目 5.8 43m B6 (7m)
5P目 5.10a 25m B2 (12.5m)
6P目  5.9 30m B8 (3.8m)
7P目 5.10c 40m B20 (2m)
8P目 5.10a 45m B4 P1 (9m)
9P目 5.10a 25m B10 (2.5m)
10P目 5.10c 35m B25 (1.4m)
11P目 5.7 30m B3 (10m)
12P目 5.9 30m B6 (5m)

■ 感想

ボルト間隔が、興味深い。
5.7では10m以上のボルト間隔。
5.8では、5m以上のボルト間隔。
5.9では、5m以下のボルト間隔。

ナインアンダーでは、基本的に5m以上なようだ。しかし、10mのボルト間隔で、墜落したら、たぶん20m落ちるよなぁ(笑)。
このルートは、基本的にフリークライミングのルートであるはずで、本チャンアルパインのルートではないため、基本的に墜落を前提として、墜落しても死なないボルト間隔になっているはずなのだが…それでも1P目の5.7で1ボルトでは墜落はありえない。

まぁマルチなので2P目以降は、どこで落ちてもグランドフォールはない。が、スラブということはどこで落ちても、壁にぶつかるということはいえる。

興味深いのは、5P目。5.10AもあるのにB2本とは…説明を見るとワイドクラックとあり、要するにプロテクションが取れなかったのだろう。

さらに10P目は、ボルト間隔が異様に近い。単純計算で1.4m間隔とは…私の身長より低いボルト連打だ。これは、被っているのか?と思い説明を見ると、傾斜の強いスラブだった。スラブの5.10cだそうだ。

しかし、その前の8,9p目は対照的で、同じ5.10Aなのに、8P目は、ボルト間隔が遠い。9ピ目は2.5m間隔と近い。

記述を見ると、8P目は緩いスラブ。9P目は盛り上がったスラブ。

このルートはどちらにしても、かなりのスラブ力を必要とするルートだろうと思える。基本的に易しいスラブでは、ボルト間隔が遠い…

スラブって自分を信じる系、なんだよなぁ…。


■ 『屋久島の白い壁』より備忘録

・1962年より中央陵登攀より、幾多のアタック
・南壁 右:上下2段スラブ  左:傾斜が緩い 複雑な構成 ブッシュが多い
・左 93年台風でブッシュがはげ落ちた
・モッチョム岳で最後に残された部分として、まったく新しいライン
・1回目:96年 5月2日~5日
・2回目:96年 8月9日~11日
・3回目:96年 12月28日~1月1日
・4回目:97年 4月25~29日
・5回目:97年 8月11日~13日
・6回目:97年 12月27日~30日

・核心は2P、10P
・ルートの核心は、デルタハング直下のトラバース
・390m 12ピッチ、最高ピッチグレード5.10d、6時間
・5ピッチ目 パワーが必要
・6P目 デルタハング
・8P目ビバークバンドあり
・最終ピッチから灌木帯へ入り50mで山頂
・現在のところ屋久島におけるもっとも困難、かつ快適なルートだろう

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岩壁の中に一本のルートを刻み込む。それはクライマーの夢であるとともに、クライマーとしてのセンスが問われる行為でもある。私はルート開拓について、空白の部分をただ埋めるだけでは十分とは言えない気がする。登るのならば、ルートのもつ必然性を感じさせるものであってほしい。岩壁に新しいラインを付け加えようとする場合、それは壁の核心部に引かれなければならない。また理想とすれば、ボルトの連打を避け、少なくとも、フリークライムが大部分を占めるルートなのが望まれる。私はフリー至上主義者ではないから、必要を感じたときにはボルト連打も辞さない。ただし、単調なアブミの架け替えが続くのみならば、現代のレベルに達したルートとの評価はできないだろう。
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■ 屋久島フリーウェイの研究 その2へ続く

2018/12/26

油山川 5回目 トップロープソロ

■ユマールによる自己確保での登攀

昨日は、油山川で、ユマールによるソロ登攀のセットを確認しました。

うーむ。

これはユマールの位置関係が重要でした。チェストハーネスに固定して、縦にキープ。横に倒れてしまうと、登攀に追随しないので、ちょっと心もとない。何度か落ちてみて、なんか疑念が払しょくできず(笑)。やっぱり、普通のトップロープにしてもらいました。ちょっと信頼度が低かったかも…。

CTのローリンロック買おうかなぁ…。

ただロープクランプは2個もっているから、2重の安全性でオリジナルを作ることは可能なような気がします。

解除は、懸垂しかないので、困った時は、ごぼうして、立てるところ、もしくは、セルフが取れるところまで行って、懸垂に切り替えです。

結局、普通にトップロープにしてもらい、バンバン登ったので、昨日はぐったりでした…指が痛い(汗)



■ソロ登攀

厳密な意味ではリードでないので、ソロ登攀ではありませんが、トップロープで、自己確保で登攀すること…。

岩場に行き始めたころ、私はソロで登りたかったのです…というのは、自分と岩との対話が時間がかかりすぎて、下でビレイしている人に悪いなって。

しかし、師匠はソロ登攀の仕組みは教えてくれませんでした…。たぶん、まだ危ないと思われたのかな?登りたい盛りだったので、だいぶ不満を貯めました。(不満はラオスで解消したような?)

去年アイスクライミングで韓国に行ったとき、男性二人のアイスクライマー君たちが基礎練習で、ロシア製ロープクランプで確保して、フィックスロープで、各自、ソロ登攀していました。

これはいい!と思いました。

アイスのビレイは、基本的に長くてビレイヤーが気の毒系、だからです(笑)

その韓国のアイスは寝ていたので、落ちることは考えにくい感じでした。ただし、寝ているアイス=ロープが濡れる=凍る、ので、確保がロープクランプ一つでは、安全性に問題があるかもですが…。今、思えば。

岩は、アイスよりも難しく、また支点にかかる衝撃からいうと、トップロープが必ずしも一番安全な登り方とは限らないので、時と場合によると思いますが、ソロ登攀は、なかなか魅力的です。

しかし、支点にかかる衝撃を緩和するなんらかの方法は考えたほうがいいかもと思いますが、どうなのでしょうか?

トップロープのほうが支点にかかる負荷は大きいです。立木に懸垂支点を作って、それにぶら下がる、というセットも見せてもらいました。

これだと、ロープを保護するシートがあれば、ロープの傷みという欠陥をカバーできるかなぁ。

位置関係がポイント
ポイントをまとめると

1)ユマールの位置関係
2)トップロープにノットを作っておくこと
3)重し
です。

ノットがポイント

重しは宙に浮くべし

2018/12/20

油山川 4回目

油山川はねじねじしたツタが一杯
3人で油山川に行きました☆ 

油山川は、これで4度目です。

なんでここをもっと早く来ることにしなかったのだろうか…という、私のレベルに最適の岩場です。

結果は?

指痛い & 全身筋肉痛…(汗)

いや~カチっぽいフェイス苦手みたいです(笑)傾斜がきつく、日向神より立っているので、それで難しく感じるらしい。

指は、やはり左手の薬指がきついです…これは、コラーゲンとか飲めば、なんとかなる痛みなのだろうか?

■ センタークラック

今日は、せっかく頼れるビレイヤーが来てくれたので、目的の5.10bクラックにマスターで取りついたものの…あれ?

TRでムーブを固めたと思ったのに、ダメでした。また時間がかかりそうになっている…前回リードで、すっごい時間がかかったのですが、同じモードでした。

このモードは検知できるようになった。

ので、あきらめてTR。3本やってみたけど、うーむ。

だんだん悪くなっていく…どうしたんだろう?焦り?? いい恰好を見せたいとか???

途中で、上手な人にレイバックで登るムーブを見せてもらいましたが、レイバックってパワーが消耗するので、ワンテン…で、私にも無理かも?とおもいました。

このモード、全く野北モードとは違う…このモードの差が、アルパインとフリーの差かもしれません…

■ ミドルフェイス

ミドルフェイスは、着々とハンガー設置が進んでいるようでした☆

ミドルフェイスで登れそうだったライン
ミドルフェイスもTRで登らせてもらいましたが、足が細かく…いや~、大変。11Dを登れる方が、5.10bで2回落ちたので、それを見て、トップロープだな~と。

ここは、メインフェイスよりは少し易しいです。マントルを頑張れそうで、やる気になりました!

もし九州でボルダーをやりたかったらマントリングの苦手を克服しないといけないからです。

■ 質の差

開拓ほやほやミドルフェイスで2本、メインフェイスで2本とお腹いっぱい登ったのですが、中指が痛い…カチのフェイスが多いので、結構パワーを使うみたい…帰ったら、久しぶりにくたくたでした…

昨日は野北で3本しか登っていないのもあるけど、楽しく登ったのに、なんで油山川はくたくたなんだろう…だいぶ質的に差があるような気がします。

野北の時は、なにも不安がなく、けっこう気楽にとりつき、別にムーブを考えたりもしませんでした… 行ってから考える、でなんとかなった。

しかも、かなり楽しく、モード的にはラオスと同じでした。ラオスでは急成長したんですよね。

しかし、油山川では、かなり違うモードに… リードで取り付く=超緊張?

なんと表現するべきか、質的に大いに差があります。野北の5.7と油山川の5.7では、全然違います。

なので、私に必要なのは、油山川。

ここで上手になれば、強くなれそうな気がする。




■ ソロ登攀

ソロ登攀の仕組みを教えてもらいました。なるほど!という仕組み。ユマールを2個ともセットするのです。そして下に重しをつける。

このやり方でやってみようかと思う仕組みでした。


■ まとめ

・5.10bクラックはもう少し通うべき
・ミドルフェイスできていました!
・ソロ登攀システムを完成させよう!
・マントリングを頑張る

2018/12/18

野北

■ アルパインの岩場

野北はアルパインの岩場です。フリーをする人には簡単すぎて楽しめないかもしれませんが、穂高まで行かなくても、穂高っぽいというか、そんな感じです。支点は思ったほど悪くなく終了点をトラッドアンカーで作る必要はなかったです。ハーケンも不要でした。

ハーケン、ボルトの類に関しては、打っても叱られない岩場、という位置づけが安全かなと。

■ アクセス
1)九大を目指す
2)志摩シーサイドカンツリークラブを目指す
3)通り過ぎてどん詰まり前に駐車

■ アプローチ
ガードレールを乗り越えて、フィックスを辿る。自家菜園になっている。連れて行ってもらわないと分からないかも? 

 ここから降りるっていうのが、連れて行ってもらわないと分かりにくいと思われます。


 懸垂下降2度目の初心者に、この懸垂は…高度感ありすぎでしょう…

もうちょっと慣れてからでないと…。

思うに、初心者は初心者でも、昔の人が想定している初心者より、現代の初心者は、だいぶ知識が少ないと思います。

山の本読んでるような人は来ませんし、登山体系を読んでいる人も来ません。
でも、登攀はいっぱい選択肢があって、楽しく、簡単でした♪

野北の代表ルート3つを登りました。

1) 左の凹角(5.8 20m ボルト5本)


2)ルンゼ
(5.6 13m ボルト3本)


3)右の凹角
(5.7 8m ボルト4本)

ボルトは、ぬんちゃくの節約で、省きながら、カムで支点を取って登りました。


カムの勉強の岩場として、とても良いので、また晴れてぽかぽかの陽気の時にでも来たいなって思いました☆

2018/12/15

当てにならないボルト強度

ロクスノ079号から。


2018/12/09

ボルトの目利き ロクスノ079号

ロクスノ079号に、中根穂高さんのクライミング道場で、ボルトの解説記事がありました。

1)アルパイン系のルート

・リングボルト
・RCC型ボルト
・は、岩にリスがなくて、ハーケンが使えないときに用いられた。

ジャンピングで、
 ・直径8㎜
 ・深さ16㎜
ほどの穴をあける。上手な人で15分、通常30分の重労働。

 ・穴が少しでも深いと拡張できない
 ・見ただけでは分からない
 ・どちらも引き抜き方向へは、強度が強くない
 ・スポーツルートのプロテクションや、マルチのビレイ支点とはしては使えない
 ・せん断方向には強度がある
 ・ので、2個以上なら終了点、トップロープ支点、懸垂支点としては使える。
 ・軸を軽くたたいてみる
 ・リングをひねってみる

2)自孔式ボルト

 ・12㎜ × 30mm
 ・引き抜き強度は高くない
 ・せん断方向にも強くない
 ・M8 13mmレンチで回すネジ頭
 ・プロテクションとしては信頼できない
 ・ビレイポイント、懸垂支点としてはなんとか
 ・前傾壁やハングに打たれたものは使ってはいけない

3)電動ドリル時代のボルト

 ・カットアンカー
 ・グリップアンカー
 ・電動ドリルになっただけで、2)と同じ
 ・ステンレス製のものは幾分まし
 ・M8ボルト 13mmのレンチで回す
 ・スポーツルートのプロテクションとしては不合格
 ・早急に打ち替えが必要

4)コーン中打ち式ボルト

 ・ヒルテイ社
 ・M8ではなく、M10で17mmで回すネジ
 ・スラブや垂直以下のフェイスなら、なんとかプロテクションとしても使える
 ・施工が面倒で普及しなかった

5)オールアンカー
  ・悪名高い
  ・安くて、ホームセンターで手に入る
  ・施工が簡単
  ・強度がないので、全くダメ 地雷クラスの危険ボルト
  ・見分けるのは心棒があるかどうか?
  ・レンチは19㎜ M12ボルトはナットがカラビナに当たる

6)グージョンタイプ 
  ・安心できる
  ・ナットからネジが出ている
  
7)ケミカル
  ・グージョンでも効かない場合

■まとめ

13mm(M8)→ プロテクションとしてはダメ、ビレイ・懸垂=なんとか
17mm(M10)→ スラブや90度以下のフェイスならなんとか
19mm(M12)→ 地雷クラスの危険ボルト

■ 役立つサイト
Mr.ビーンズの豆まめ日記
http://climber319.blog89.fc2.com/blog-entry-2666.html
http://climber319.blog89.fc2.com/blog-entry-2877.html

オールアンカー
https://climbworks.exblog.jp/11066813/

Mr.ビーンズの気になった一言… タイより遅れている日本。知らないのは日本人だけ?!

赤字は特にお願いしたい点です。

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最後にタイ国チェンマイの岩場を開拓しているクライマーのボルトを打つ場合に標準としている決まり事を紹介します。

※marine-grade stainless steelかtitanium glue in boltsを使用すること(JFAでは検討中)。

※HILTIのRE-500を使用すること(JFAも実行)。

※使用期限の過ぎたグルーの使用はしないこと。又グルーは冷蔵庫で保管されたものであること(JFAも実行)。

そのグレードを限界とするクライマーの為にボルトを打つこと。
※スリングは使わないこと。
※終了点には下降用のリングを取り付けること(JFAは基本ラッペルステーションを使用)。
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2018/12/07

アクシオン

今日は久しぶりにアクシオンに行った。

今回は、人工壁では自分のクライミングが悪いというよりも、課題の質が良くないのだということを確信した(笑)。

小瀬の壁は良い壁だったんだなぁ。というか、ピラニアが良い質だったのだろうか?

新しく5.10aの課題ができていたが、正対でも足の位置がイマイチで、側体でもイマイチ。

何が悪いのか? 

ホールドの下に足が来るようにできていない。ムーブの自然なつながり、とは、なっていなかった。なので、誰が登っても登りにくいだろうなぁという感じだが、ハンドホールドは異様に多くて、リーチが短い人に配慮したということはうかがわれた。

その反面、フットホールドは、こんなに要らないハンドホールドが多いのに、足はないね、という感じで、私の身長でパツパツになる箇所が2か所あった。

つまり、手先行の登りを強いられるということだ。

傾斜が変わる場所がある。オーバーハングから垂直へ行くところだ。腰クリップの原則から言えば、ハングで長く手繰ってクリップするより、垂壁へ行ってから腰クリップするのが、当然いいはずなのだが、その位置では、わざと悪いホールドにしてある。ので、5.10Aの課題でも、5.10cの課題でも、なんと飛ばしで行ってしまった…。飛ばしてもっと上の垂壁に行った方がインカットが深い良いホールド…つまり発想として、オーバーハングにぶら下がっている状態で長く手繰ってクリップさせようとしている。

ということで、基本的な思想的に、この人工壁での課題設定者とは私は思想が合わないんだなぁと思った。

■傾斜の緩い11a=10a

山梨の5.9は、ともかく正対だけで登れるガバルートであり、一度作った課題は不変だった。長い間そこにあった。

そして、5.10aでは身に着けさせようとしているムーブは明快で、ツイスト、つまり側体。だから、側体になるように、ガバにも向きがつけてあり、足も自然にそこに置くべきなところにあるのだった。

この課題は40度の傾斜で5.11aで、私は、そこしかないので仕方ないので、傾斜を15度にしていたのだが、それで、たぶん、5.10aでしょうと言うことで、結局のところ、グレードの差は、ムーブではなくて、保持力、ということがよくわかる事例だった。

傾斜がきつくなれば、ガバでも、体重を上に移動させるのに、どんどんと手の負担率が増える… 

で、私は人工壁通いを早期に辞めたので、この課題以上は知らない。

でも、今ではまったく、外岩5.10代を登るのにはそう困っていない。というか外岩でないと全然面白くない。

人工壁は安全性が高いので、落ちれるが、私は通っていたころは、腕力や握力がまだ課題で、一日5本、この傾斜を殺した5.11Aを登ると腕が張っていたのだった。

今日は4本登り、パンプはしたが、1時間ほどで解消。パンプするのが気持ちが良い人はやりに行けばいいんだが、ここで登っても私の脳内クライミングスイッチはオンにならないなーということは確信した。

やっぱり外岩のクラックを四苦八苦しているほうがいい。

2018/12/02

油山川3回目 自分を信じられない大人たち

■大人から始めるクライミング

昨日は、50代からスタートするトレラン経験者のIさんとの外岩だった。Iさんは、トレランをしていたそうで、体が強そう。たぶん、中高年登山に行っても、体力が余ってしまって楽しめないのだろう。

■ ギア不足

Iさんが懸垂下降を教わりたがっていることは分かっていたが、確保器を持っていないため、教えるのは時期尚早、と思われ、どうしようか…というところだった。

これまで、ビギナーと思われる人のギア不足には、甘く、冬の靴すら貸して、初級の雪やアイスに連れて行ったくらいだが、基本的なギアを揃えない人の将来は?

…というと、ほぼダメである。借りて当然という意識が芽生えてしまって、貸してくれないのは、心が狭い、とすら言い出す人もいる。一方、貸す側の負担もかなり大きい。ので、ここ数年の経験から、そうした負担を、あまり負わないことにしたほうが良いと結論した。

が、Iさんの話を聞くと、購入すべきものが分からないようだった。

ATCガイドを購入したら、師匠のS木さんが「それは自分で考えて購入したの?」と尋ねてきて、「はい」と答えたら、非常に評価された。たぶん、それまで会の新人さんが、店員さんに騙されて、この大定番を買わなかったためだろう。

しかし、その後、ATC-XPをゲレンデでの使用だから、と持って行ったら、「リードしない人には教えません!」とのこと。ATCの種類で色々なことが推測できるのだ、ということが分かった。山の世界で生きて行ける人は、探偵になれるかもしれない。

しかし、実際、スポーツクライミング向け、フリークライミング向け、アルパインクライミング向け、と用途が様々で、確保器一つ買うにしても、購入が難しいのは事実だ。

今回は、ヘルメットを買ってくれ、最低限、岩場での安全も確保されたこと、借りて当然となりそうにないこと、確保器は、私はいっぱい持っていて、特に貸し出しに負担がないこと、など考慮し、貸し出しOKということにした。

本当はこんなことに心配しないで登れたらいいのだが、最近の人は、図々しさでも猛々しい人がいて、そういう人に当たる率が、なぜか私は多く、あまり無防備な親切は、相手にも、自分にも良くないことらしいのだ。それが4年、アルパインをして学んだこと。

残念な世相だ。

■ 能力への懐疑心

さて、今回は、印象に残ったことがあった。それは、登れることへの懐疑心、ということだ。

大人からスタートすると、覚えが悪い、と一般に言われる。

たしかに、これまで教えてきた50代以降の人は、見たものをそのままコピーする能力が減っているようで、確保器をセットしたとしても、それが反対だったりして、あれ?ということが多かった。ほかには、何度も同じことを言わないといけない、ということもあった。呑み込みの早さ、ということに問題がある、ということだ。

ただこれは個人差が大きい。個人差のほうが、年齢差を凌駕していると思われる。50代、60代でスタートしても、あっという間に上達してしまう人もいる。

覚えが悪いのではないだろうか?と、周囲の人に先入観を持たれることは、自分自身にも、自分は覚えが悪いのではないだろうか?という先入観を抱かせるのではないだろうか?

これはクライミングでも感じたことだ。

能力への懐疑心が先にあるのではないだろうか?と思われた。

若い人は、登れない自分がいる、ということを想像だにしていない。取り付くときの自信がすごい。登れるはずだと思っている。そして、「なんで登れないんだ、ちくしょー」と怒っていたりする。その自分自身への能力への信頼が大きすぎ、少々、自信が過剰である、というところが、事故原因となっていることが多い。

一方、この方は、最初から、難しいのではないか?登れないのではないか?と思って登られていることが明らかで、そこには、懐疑心、というものが根強くあるのであった…。

それは、つまり、初心者当時の、私自身を見るようだった。

というのは、私も、”一体、こんな屹立した壁、登れるわけがないでしょう”、と思っていたからだった。

とくに、インドアジムへ通い始めてから、インドアジム壁と外岩の関連性は、見極めづらかった。インドアは何が難しいの?って感じ。外岩は難しすぎて登れない感じ。

その期間は長く、3年は、かかっているだろう。私は登攀は比較的早めに始め、クライミングジムは、ぽつりぽつりだが、あまりグレードを気にせず、ぶらりと通っていた時期があった。山登りしかしないころだ。年に10回程度か。

そういう期間は、クライミングに入れ込んでいないため、ムーブと言われても、?な状態で、基本的に、8級くらいまでしか登れていなかったし、楽しいとも思っておらず、ただ、”いつか”、が来るのを待っていただけだ。

”いつか”は、来た。 それは、正対と側体が使い分けられるようになった時だったが…。

それまで、本当に、”楽しくなかった”。

正直に言えば、全然、楽しくなかったのだ。登っていても、「これの何が楽しい訳?」と思っていたし、ほかの人も「一緒に登りましょう」と言ってくれる人もおらず、避けられているような気、すらした。セッションで、わいわい登っている人たちの輪には、人種が違って、入りづらかった。

あるとき、突然、側体が身について、驚いた。それで、何度も9級とか8級を、側体と正対の2ムーブで登り始めたら、なんというか、なるほど感があった。

また、ジムにきている女性たちは、ずーっと8級で7級まで行く人は少なかった… そんなこととは、つゆ知らず。

会の先輩で2級が登れる人が、5級課題のムーブを教えてくれると、「教えたらすぐ登れるようになった」と言う…たしかにそうで、ムーブの正解を見てしまうと、それをなぞるのは、普通にできた。ただ、自分でそのムーブに、たどり着けないらしかった。

つまり、欠けていたのはクライミング脳、らしかった。

■ 教わらずに分かる人vs教わって分かる人

あかりちゃんとI永さんは対照的だ。あかりちゃんは、最初から、クライミングが楽しそうで、教えなくても上手になる。むしろ、外岩なのに、デッドで取っていて、あぶないから、まだリードさせられないなと思う。

一方、Iさんは、登れないのではないか?という懐疑心のほうで、たぶん登れるところも登れなくしてしまっているかもしれない。

クライミングにムーブがあれば、楽に登れはするが、ムーブがなくても、易しいグレードのものは登れる。

一般的には、ムーブが必要になるのは、5.10bくらいからだ。5.10A以上がフリークライミングの領域で、5.9以下の課題は、一般に”ナインアンダー”と呼ばれる。通常は、ムーブなしでも、登れるはず、という段階だ。

ナインアンダーであっても、ムーブがあれば、よりパワーを浪費せずに、登れることは確実だ。実際、私は昨日、5.10bのクラックをやったのだが、肉体的には、どこも疲労していない。考えてみると、4年前の初心者当時は、一日の外岩で、惨敗兵みたいにぐったりしていた。

思うに、最初から、クライミングが楽しい!というタイプと、なかなかクライミングの楽しみ方が自分では発見できないタイプ、がいるのではないだろうか?

私は確実に後者だったと思う。でも、しつこく登っている間に、なんとなくクライミング力はついてきた。

自分を振り返ると、何が分からないのか、みんなが言っているムーブって、何なのか?
体が分かるだけに、3年くらいはかかったなぁと思う。なにしろ、初めて5.9がオンサイトできるまで、2年半もかかったのだ。

昨日、私が取り組んだ、センタークラック5.10bは、目視で見て、登れるのではないかと思い、先輩がカムセットしてくれたものを最初はピンクポイントで、リードで取りついたのだが、予想以上に苦戦して、だいぶ、へこたれたのだった…。時間も長くかかった。

結局、カムエイドも出したし、あれこれ、ズルをして何とか上に行ったんだが、難しかったのは、下部のフットスタンスのほうで、上部の、ハンドジャムやフィストジャム、ばち効きのところは、あれ?もしかして易しい?という感じで、悪い気はしなかったのだった。

それで、また行く気になったものの… 自分の恐怖心を抱くポイントは、トップロープでも、あまり変わらず、そして、リードで取りついたときと、トップロープでは、ムーブの出具合は、リードのほうが良いような気がしないでもない。

ムーブというのは、不思議なものだ。いつかどこかでやったようなことが、体のどこかに深部記憶として残っているのだろうか?

色々なムーブというが、その意味することは私自身もイマイチよくわからない。

ムーブが上手な人は、考えてやっているわけではないそうで、無心で登っているだけなのだそうだ。なので、上手な人に聞いても教えてもらえない。

私自身は、言葉で教えられたことをなぞることが上手なタイプで、それはバレエの教え方が言葉によるものと先生のお手本による例示によるものの、2段構えだからだろう。

バレエでは、グランバットマン2回、ジュッテ1回、裏返して同じこと、という言葉と動作が一致するように訓練するのだ。ジュッテを下さいとコリオグラファーが言ったとき、素早く出せるのがダンサー。

クライミングは、そういう訓練は必要とはしないのだが、どうしたら、登れるか?というコミュニケーションに登って見せる、という以外に言葉があると便利ではある。

次は、ヒールフックして体を上げたら、次はランジ、などなど。しかし、そうした技の習得に、一喜一憂しても、結局は、保持力やリーチという問題に落ち着くかもしれないのだが。

まぁ、私自身がまだ未修得の技があるということは言える。その上、保持力もまだトレーニング過渡期であることも言える。

ので、取れる糊代を取り切っていない、ということが、辞めるにやめられない理由ではあるのだが、自分自身への懐疑心… 登れないのではないだろうか?ということが、成長の抑制要因になっている、ということは理解できる。

自分自身を信じるということは、ある種、成功を恐れる気持ちがあるということだろうが、それは、クライミングをスタートした当初からある不安だ。というのは、登れてしまったら、途方もないグレードのところに連れていかれてしまうのではないか?という恐れがあるからだ。

昨今のクライマーは、登攀グレードと危険認知力がバランスして成長した人は稀で、登攀力のほうが勝っている人が多いし、その場合、危険認知力が劣るということは、成長する意欲と危険から身を守ろうとする意欲では、後者の方が少ないということだからだ。

連れていかれてしまう恐れは常に感じている。

しかし、その恐れがブレーキになっているか?というと、それは、成長しないこと、努力しないこと、怠惰のことの言い訳になっているかもしれないが、どうなのだろうか?

もし勤勉の美徳を身に着けて、毎日指トレしたら、登攀グレードが伸びるのだろうか?

なんだか違う気がする。

私自身のこれまでの成功体験は、いわゆる勤勉の美徳、ということが功を奏したということは、めったになく、努力というものは、努力している本人にとっては、努力と感じられないもの、ということのほうが多かったからだ。

英語力は気がついたら、ペラペラの域に達していた。実際は、努力もしたのだが、本人は努力というよりも、何時間も無駄に過ごした気がする… いわゆるガリ勉というのは、していない…。ただ、辞書を引いて、語源を理解するのが趣味だったころもあったし、シャドーイングは、10年以上続けた。とくに成果というか、ご褒美がない活動だった。英語を解することで、何かが得だった、ということはない生活環境にいたからだ。

同じことで、クライミングもクライミングが楽しいということになるまで、誘われるままに出かけて行ったということで、出かけた際もあまり欲がないので、皆にいいの?と驚かれるくらいな感じで来た。

同じような人を見ると、まるで、過去の自分を見るようだ。

それは、機会喪失、チャンスロスに見える。とはいえ、意欲を無理して掻き立てるというのも変な話である。

というわけで、結局のところ、クライミング道もまた、人それぞれで、モチベーションを上げるということも、その人本人にしか、できない。結果、のんびりとした旅路である。

とはいえ、私の成長スピードは、まぁ、平均らしい。

クライミングは、楽しいと思えるまでが長くかかる旅路、なのかもしれない。

また最初から楽しめる人と、最初は言葉で、手取り足取り教わる必要がある人の両方がいるのかもしれない。


2018/11/30

岩場の安全についての認識の甘さを痛感中

リードを主体とするような外岩(フリー)をするようになり、これまでいかに岩場の安全について、認識が甘かったのか?さらに言えば、他人任せだったのか?ということについて身につまされています。

元々アイスクライミングが、クライミングの事始め、だった私にとって、いや、大体、冬を本番と位置付ける者にとって、無雪期の外岩というのは、非番の暇つぶし程度なことですから、”フリーで基礎力を上げる”程度にしか考えていなかった…ため、大したリスク認知も行ってこなかった…つまり、誘われたら行く程度だった…というのが、実のところ、正直なところです。

根底にはやはり、赤信号みんなで渡れば怖くない、という考えがあるのではないか?と思います。

しかし、誰か岩場を知っている人に、”混ぜてもらう”のではなく、”どういう岩場かしら?”という発見の楽しみのために行く、ということが、こちらへ来て、増えました。

これは成長であり、喜ばしいことです。しかし、どういう岩場か?ということに加え、リードする場合、

 1)アンカーは安全なモノか?
 2)ピン間隔は適切なモノか?
 3)グレードは適切か?

という3つの要素を、

 己で判断

しないといけない、ということです。これは、結構、見識が必要なことです。

それらの見識を持ち合わせているか? 

自分に問うと、大変困ったことに…(汗)。アンカーの強度や種類などは、問い合わせ、でなんとかなるものではありますが、2)3)に至っては、それらが分かるようになること、自体が、山ヤ修行の一つの目標…それも何年もかかるもの…であることでしょう…。

ということで、岩場における自立というのは、非常に難しいことであるのだなぁと最近、特に感じています。



リーチの短さについて 

■リーチ問題について認識の甘さを痛感中

最近、とみに感じるのは、リーチの問題についても、これまで、いかにも甘い認識で来た、ということです。

例えば、スティッククリップについては、実は2年ほど前にも紹介を受けていました。しかし、利用していませんでした。

ボルダリングでは、立って取れるところから、取ったホールドをつないでいくだけだと5級、シットスタートだと2級、というのは、よくあるパターンです。

外岩クライミングでは足が命。誰もが立てるスタンスを拾うわけですが、そういうスタンスは、誰もに共通です。そうなると、そこに立って、ガバが届けば5.9。

届かなければ?

極小スタンスに立って、そのガバまで頑張らないといけません。つまりボルダリングのシットスタートと同じになる。

これはクリップでも同じです。大体においてルートでは、クリップ体制が作りやすい場所に、ボルトが打っていあるわけですが、クリップすべきタイミングで、立っているホールドから、クイックドローを掛けられなければ? そのスタンスを捨てて、ドローを掛けないといけなくなります。これまた、シットスタートと同じことに。

つまり、リーチの問題は、難易度に直結した問題だったわけです。

5.9なら5.9というグレードが、”すべての人にとってほぼ同じ難易度を意味する”、というのは幻想でした。”誰でも登れるグレード=5.9”というのも幻想でした。

その幻想が打ち破られるということは、要するに、そのほかのいわゆるアルパインルートでも、事情は同じなのだろうとする類推を可能にします。

つまり、アルパインルートを登ることは、リーチの短い者には、

特別に危険が増す、

ということになります。

相当に不利な条件が増す、ということです。不利というのは、やはり山の場合は、ゲレンデと違い、死も含まれるため、なかなか、「不利ですね~」と笑っていられるようなタイプのリスクではないかもしれません。

ということで、こうしたリスクを排除して登るとなると、近所でのゲレンデですら、
・トップロープでの試登を繰り返した上のRP狙いが妥当、
・本チャンではセカンドが妥当、

となります。しかも、この傾向は、九州ではより一層強いらしいです。ということで、将来的展望に欠け、失望を味わい中です。

この方向に私の明日はない。