2018/12/28

屋久島フリーウェイの研究

■屋久島フリーウェイの研究

ピッチ グレード 距離 ボルト数  ボルト間隔(距離÷ボルト数+1)

1P目 5.7 35m B1 (12.5m)
2P目 5.10d 25m B10 (2.5m)
3P目 5.10b 32m B10 (3.2m)
4P目 5.8 43m B6 (7m)
5P目 5.10a 25m B2 (12.5m)
6P目  5.9 30m B8 (3.8m)
7P目 5.10c 40m B20 (2m)
8P目 5.10a 45m B4 P1 (9m)
9P目 5.10a 25m B10 (2.5m)
10P目 5.10c 35m B25 (1.4m)
11P目 5.7 30m B3 (10m)
12P目 5.9 30m B6 (5m)

■ 感想

ボルト間隔が、興味深い。
5.7では10m以上のボルト間隔。
5.8では、5m以上のボルト間隔。
5.9では、5m以下のボルト間隔。

ナインアンダーでは、基本的に5m以上なようだ。しかし、10mのボルト間隔で、墜落したら、たぶん20m落ちるよなぁ(笑)。
このルートは、基本的にフリークライミングのルートであるはずで、本チャンアルパインのルートではないため、基本的に墜落を前提として、墜落しても死なないボルト間隔になっているはずなのだが…それでも1P目の5.7で1ボルトでは墜落はありえない。

まぁマルチなので2P目以降は、どこで落ちてもグランドフォールはない。が、スラブということはどこで落ちても、壁にぶつかるということはいえる。

興味深いのは、5P目。5.10AもあるのにB2本とは…説明を見るとワイドクラックとあり、要するにプロテクションが取れなかったのだろう。

さらに10P目は、ボルト間隔が異様に近い。単純計算で1.4m間隔とは…私の身長より低いボルト連打だ。これは、被っているのか?と思い説明を見ると、傾斜の強いスラブだった。スラブの5.10cだそうだ。

しかし、その前の8,9p目は対照的で、同じ5.10Aなのに、8P目は、ボルト間隔が遠い。9ピ目は2.5m間隔と近い。

記述を見ると、8P目は緩いスラブ。9P目は盛り上がったスラブ。

このルートはどちらにしても、かなりのスラブ力を必要とするルートだろうと思える。基本的に易しいスラブでは、ボルト間隔が遠い…

スラブって自分を信じる系、なんだよなぁ…。


■ 『屋久島の白い壁』より備忘録

・1962年より中央陵登攀より、幾多のアタック
・南壁 右:上下2段スラブ  左:傾斜が緩い 複雑な構成 ブッシュが多い
・左 93年台風でブッシュがはげ落ちた
・モッチョム岳で最後に残された部分として、まったく新しいライン
・1回目:96年 5月2日~5日
・2回目:96年 8月9日~11日
・3回目:96年 12月28日~1月1日
・4回目:97年 4月25~29日
・5回目:97年 8月11日~13日
・6回目:97年 12月27日~30日

・核心は2P、10P
・ルートの核心は、デルタハング直下のトラバース
・390m 12ピッチ、最高ピッチグレード5.10d、6時間
・5ピッチ目 パワーが必要
・6P目 デルタハング
・8P目ビバークバンドあり
・最終ピッチから灌木帯へ入り50mで山頂
・現在のところ屋久島におけるもっとも困難、かつ快適なルートだろう

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岩壁の中に一本のルートを刻み込む。それはクライマーの夢であるとともに、クライマーとしてのセンスが問われる行為でもある。私はルート開拓について、空白の部分をただ埋めるだけでは十分とは言えない気がする。登るのならば、ルートのもつ必然性を感じさせるものであってほしい。岩壁に新しいラインを付け加えようとする場合、それは壁の核心部に引かれなければならない。また理想とすれば、ボルトの連打を避け、少なくとも、フリークライムが大部分を占めるルートなのが望まれる。私はフリー至上主義者ではないから、必要を感じたときにはボルト連打も辞さない。ただし、単調なアブミの架け替えが続くのみならば、現代のレベルに達したルートとの評価はできないだろう。
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■ 屋久島フリーウェイの研究 その2へ続く