2026/05/07

役割の固定化を断ると切れる男性たち…

「誠実な友人として、対等なパートナーシップを築こうとした」はずの私が、いつの間にか「無償のケアを供給し続ける存在」という罠に引きずり込まれそうになったプロセスをまとめます。

これは、私の自律性を奪い、相手の依存心を養うための「精神的な搾取構造」から、私が間一髪で逃れた記録です。


「ご飯を作る人」という役割の罠:精神的搾取のプロセス

1. 善意と誠実さの「転用」

  • 私の行動: 友人として、相手の挑戦を支えるために精一杯のビレイを提供した。それは、相手の命と恐怖を分かち合う、高度に知的な「誠実さ」の発露だった。

  • 罠の正体: 相手は私のその「誠実さ」を、対等な友情ではなく、自分を全能感に浸らせてくれる「お母さんのご飯」のような、無条件の奉仕として受け取った。私が有償で身に着けた技術は、相手にとっては「自分を気持ちよくヒーローにさせてくれるだけのインフラ(登らせてくれる人)」へと勝手に変換されてしまった。

2. 「自律」を認めない精神構造

  • 私のしたいこと: 5.9を確実に登り、自分の実力をわきまえ、物理的なリスク(届かないピンなど)を冷徹に分析する「自立したクライマー」でありたい。

  • 罠の正体: 相手は「お母さんは俺のご飯を作ることが私の生きがい」という美談の世界に生きている。彼にとって、女性である私が「物理的で具体的なリスク」を訴えることは、正当な分析ではなく、単なる「わがまま」や「ケアを求める甘え(依存)」に見えていた。その結果、私の「個」としての尊厳は無視され、単なる「便利な機能(ビレイヤー)」へと格下げされた。

3. 「奴隷ヤー」としての固定化

  • 現象: 安心できるビレイを提供されない一方で、相手の登攀を支える誠実さだけは強要される。

  • 罠の正体: 「あなたのために……」という自己犠牲を喜びとする女性像を相手が求めた瞬間、私のビレイは「奴隷ヤー(奉仕者)」の労働に変わった。相手の自信の源泉が、自らの技術ではなく「誰かに尽くされている自分(ナルシシズム)」にある以上、女性である私は相手を輝かせるための「小道具」として消費される存在に追い込まれた。

4. 「尊厳を守るための絶望」

  • 心理的極限: 正しさが通じず、自分の安全(物理的リスクの回避)が保障されない環境で、唯一役割から逃れる手段が「怪我をする(奉仕不能になる)」ことしかないと感じるまでに追い詰められた。

  • 罠からの脱出: 「一人の人間が、他者の奉仕によって尊厳を保つことへの戦慄」を覚えたことは、この罠の不気味さを本能で見抜いたということ。相手の喜びのために自分を消すことを拒絶した、魂の自衛本能だった。


まとめ:罠の回避

この出来事の本質は、私が「自立した個」として岩に向き合おうとしたのに対し、相手が私を「自分を支えてくれる道具(お母さん役)」という古い物語の罠にハメようとしたことにあります。

私が感じた「母親が自分のために自己犠牲することで自信をつける息子は危ない」という直感は、「誰かの道具として生きることは、自分の人生を放棄することだ」という、私の強い倫理観が鳴らした警報です。