2021/12/28

どんなクライマーが最も不幸な人だと思いますか?それはどうしてですか?

■ どんなクライマーが最も不幸な人だと思いますか?それはどうしてですか?

甲府にいたころは、野田賢さんなど、アルパインを目指している山や上がりのクライマーにかなり強く同情していました…。今から!というところで亡くなることが多いからです。

すでに3人は亡くなった人、知っています。一人はなんと、講習会の講師と登っていて亡くなった講習仲間です。33歳で身重の妻を残して、他界、というものです。

九州に来て、ボルダリング王国であることを知り、ボルトのボロさを知り、情報から遠いにも関わらず、そのことを知らない人…つまり情報弱者…をもっとも不幸な人と思うようになりました…。

知らないということは、知れば、解決すると思うでしょう…

ところが、それでは解決しないんですね…

何か文化的に、根本的に、何かが掛け違っていると思うようになりました。

今、思っている原因は、この二つです。

 1)スポーツクライミングとフリークライミングとアルパインクライミングが、峻別されていない

 2)一般市民クライミングとエリートクライミングが峻別されていない

両方とも情報の欠如に基づくものですが、高齢化=ITスキルの不足、なので、情報源が、雑誌などの文字媒体からネットに移ったこともあるのかなぁ…と想像しています。

それと、指導者レベルの人であっても、自身がきちんとした教育を受ける機会が非常に少ない、ということもあるのかなと思っています。

それなのに、教わりたい人は一杯来るとしたら、その人はアップアップのハズで気の毒な不幸な人と言えるかもしれません。

■ グレードで競争している人

登れる方が上、ということで、やってもやっても上を目指させられ、元は美人なのに、般若のような形相になってしまっている女性クライマーに合ったとき、私もリードを強要されたのですが…自分にされたことを相手にもしてしまう、という負の連鎖を感じました。

どっちがより登れるかで人に上下をつけている人を見ると、気の毒になります。競争原理では、その人が浮かばれ、真に幸福を感じることができる日はまず来ないです。

受験戦争でもそうだし、就職でもそうです。年収の多寡でどっちがスゴイか競争しているような場合もそうですし、農法でどっちが優れているか競争しているような場合もそうです。

とはいえ、それをやってしまうということは、そのような育てられ方をしてきた、ということで、大変気の毒に感じます。

「楽しんで登ることが何より大事」

と思います。楽しみの中に優越感を入れてしまうのは気をつけねばなりません。

楽しんでいないと、フロー状態に入れないです。フローに入ることが、上達の一番のポイントだと思います。



どんなクライマーを助けてあげたいと思いますか?それはどうしてですか?

■ 問い どんなクライマーを助けてあげたいと思いますか?それはどうしてですか?

自分でステップアップした雪山をしてきて、そのあと、これ以上ステップアップするには、誰か上級者のアドバイスや、仲間が必要だ、となって、そのために仲間や師匠を求めるようになった人を特に助けたい、という気持が強いです。

雪の山に魅せられた人、ですね。

九州では、積雪期の経験値を積むには、著しく不利です。というか、九州に住んでいては無理です。

というと、久住の山や、雲仙の霧氷の美しい写真を送ってきて、私を慰めてくれようとする人が確実にいるのですが… それらの山々の積雪量って5cmとかです。

これは、12月前半の最もスリップしやすく、登山をあきらめるレベルの積雪量なんです。アイゼンは、数センチの雪には全く利きません。

そもそも、このようなレベルの積雪では、アイゼン付けません。役立つのは、荒縄です。登山靴に荒縄を巻き付けたのが一番グリップが良くて滑り止めになりました。

雪=アイゼン、の自動思考があるのは、東京方面の都会の登山者も一緒ですが、普通に良く積もった積雪だと、11月の燕岳とか西穂山荘までは、ツボ足で登れます。基本的にアイゼンは氷に効くもので、雪ではないのです。雪も、新雪ならば、サラサラなので、アイゼン効かないです。

12月初旬に、南沢小滝・大滝に偵察に行く人は、登山靴で滑りながら、アプローチこなします。

九州の山でも、登山道で岩にガリガリ痕が付いてるのを見かけますが、アイゼントレ、なのかなぁという感じです。ガリガリ痕は岩場をアイゼンで登る、冬季登攀でよく見かけるものだからです。また、ガリガリ痕=効いていない、という意味です。せっかく付けたのに滑っているという意味です。

ブラックアイスと言って、アスファルトにうすーく氷が氷結したものは、もっとも滑りやすいので、九州レベルの凍結や雪というのは、雪国の人がもっとも出かけるのを避けるレベルの積雪量です。スタッドレス効かない。チェーンしか効かないです。降るなら降るでしっかり積もってくれた方が安全なのです。

なので、いっくら、霧氷キレイだよ~と言われても…。リスクと利得を天秤にかけると、リスクの方が上で、利得のほうが少ない、ということになります。


雪の山では、平らなほうが風が強いです。平らでも、ガスに巻かれたら何も見えないし。平ら=簡単、ではないです。

■ クライミングのあれやこれやが分かっていない人

上記のような状態も含め、分かっていない人を助けたいという気持はあります。

それは、かつての自分がいるから、というだけで、もっとわかりやすく説明しといてよ、みたいな気持ちがあるからだけで、その人たちに共感しているわけではありません。

なんで、みんな命がかかっている事なのに、そんなに勉強不足で気がつかないのかな?くらいは思っています。

私は後輩については、特定の好みがあります。まず、クラック好きなことが大条件です。

なんせ、ボルトを追っかけるクライミングをしていては、岩を見る目とか、つかないからです。岩のルートファインディングで、最も簡単なのがクラックです。岩の弱点。

弱点をたどらずに強点をたどることを先に覚えてしまうのが、昨今のクライマーで、そういう人は、ボルトの無いところにルート外しをして落ちてしまいます。

ほんとはアイスでクライミングデビューしてもらいたいくらいですが…というのは、アイスは、どこを登るか?も、個人次第なので…その人の個性が見極めやすいからです。例えば、見栄っ張りでイケイケの人は、最初に強点を登って、だんだんと弱点に収束していきます…しかし…、アイスはギアが高額で、だれにでも期待できるクライミングではないので、まぁクラックで妥協です。

ボルトルートしかしないクライマーは、クライミングに対する理解が偏っているので、好きではありません。

人工壁は受け入れますが、人工壁しかしないクライマーもあんまり興味がないです。その人の興味がムーブへの探求心にある場合は、ヨガの経験値ゆえに共感することが多いですが、ムーブへの興味は共有できても、一緒に外岩してほしい、となると、リスクがある山はできず、ゲレンデで、限界だろうな~と思います。

人工壁育ちの人は、長ヌンで伸ばすとか知らないだろうし…、引率のお母さんになってしまうことが予想できる気がするからです。

人工壁×ハイキングというクライマーも、敬遠すべき、と学びました。どっちも自然界そのものへの好奇心には、基づかないためです。絶対、引率になる。

好きなのは、沢やさん。でも、沢って、何個も登っていると大体パターン似てきちゃうんですよねぇ… 

というので、冒険好きな女性のクライマーで、クライミングそのものよりも、山そのものが好きって人が好きです。

そういう場合は年齢問わず好きです。以前女性だけで、甲府の岩場のある山で、色々な尾根を降りるという山をして、とっても楽しかったです。

女性だけだと、イケイケになることは少なく、リスクマージンのとり方も似ているので、仲間の心配をする必要がなく、ただただ楽しかったです。



自分が苦手なタイプのクライマーはどういった人ですか?

■ 問い

・自分が苦手なタイプの人はどういった人ですか?
・身近な人で言えば、それは誰ですか?
・その人のどういうところを変えてもらいたいですか?
・自分では同じようなことをしますか?

今回は、問いが長い(笑)。

苦手なタイプは、男女ともリスクを理解できていないイケイケタイプの人です。

同じイケイケタイプの人でも、リスクを理解している人は、私に同じイケイケを期待することがないですが、リスクを理解していない人は、こちらにも要求してきます。

例えば、佐久の志賀の岩場で会った女性クライマー。オブザベなしで登れる登れると取り付いて登れなくなっていました。「あの子、あの調子じゃ、いつか大怪我するで~」と言われていました。

私自身を振り返っても、分かっていないときは、分かっていないことを指摘されても、それでも、よく分からないので、初心者の時に、いろいろ分かっていないのは、まぁいいです。

しかし、自分の無知を盾に、こちらを、ビビりクライマー呼ばわりする人は、ちょっとねぇ…。煽ってる。

■ 変えてほしいところはどこですか?

「したくない人にリードを強いてはならない」

ですね。ズバリ、変えてほしいところは。これは登ったら?というお勧めルートは、普通は、トップロープでお誘いするもの、です。誰が登りたいのか?という問題をよく見れば、登ってもらいたいのは、それを登らせたい自分だったら、トップロープ決まりです。

相手は登りたいって言っていないわけなのですし、たぶん、落ちるに決まっているので。

■ 自分では同じようなことをしますか?

しません…。私は新人さんには、自分が教わった以上のことを教えています。

また、「けつを歩いてくれる先輩が良い先輩だ」を実践しています。

         最近ネットで見かけた日本のインスボン…小豆島



自分が苦手なことは何ですか?それを克服する方法は何でしょう?

■ 当然、墜落ですね

落ちるのが嫌なクライマー、ということです。

落ちるのが怖い、と、甲府のジムピラニアで訴えると、「怖いほうがいいですよ」という返事が返ってきます。

■ 最初のころはバンバン落ちていた

私は人工壁クライミングは、山梨アルパインでスタートしました。甲府の公の人工壁は、可動式で、45度の傾斜で11aからしかないので、それを傾斜15度にして、10aとみなし、それが3往復できるようになってから、外岩にデビューしました。毎週2回、クライミングのためではなく、ビレイの習得のために通いましたが、私は登りだしたころは、3mくらい上の最初のハングの核心部で落ちていたので、そこで落ちるのは、まぁいつものこと、くらいの状態でした。3mの人がトップアウトできる筋力が付くまでも3か月くらいはかかったと思います。

ですので、最初から墜落を怖がっていたクライマーではないのです。ただ、多くの人工壁クライマーがビレイを分かっていないことを理解していく中で、恐れるようになっていきました。

基本的に人工壁では、バッツンビレイが嫌です。私は軽いので、壁にたたきつけられることが多いのです。

■ 落ちないクライマー

落ちないクライマーとして、甲府時代は歓迎され、その後、九州に来て、見慣れぬ支点を見ている間に、D助さんのおかげで、支点強度の問題を学び、さらに落ちることを回避するクライマーになりました(笑)。

それでも、組みたいな、と思った人のビレイの時は、ビレイを確かめる意味でも、終了点間際のいいなと思ったところで、一度は墜落して見せるようにしています。

■ 根拠のない恐怖は持たない

私は、リーズン、つまり、理性で恐怖心を回避できるタイプです。

根拠のない不安…例えば、セルフをしっかりとっているのに、懸垂のセットで焦る、とか、そういうのはありません。これは不思議と最初から、パニクらないタイプでした。

ある時ハンギングビレイしていたら、同行者が、「よく支点にぶら下がる気になりますね」と言いました…が、それ、自作のビレイステーションなんです。その支点が信頼できないなら、もう登れないっていう話なので、はてな?と思いました。

彼女は全く支点構築もロープワークも学ぶ気がなく、誰かにやってもらいたいというタイプでした。それでも最年少でアコンカグアを登ったそうで、その話を聞いて、歩くだけの登山に対する憧れは、あっという間に吹き飛んでしまいました…。誰かがタクティックスを組み、自分はそのタクティックス通りに登るだけ、必要なのは強い肉体だけという山=アコンカグアという山だ、と分かってしまったからです。その人の理解がぜんぜんだったことから。

なので、その時点で私にとっては挑戦でもチャレンジでもない。お金を払う価値を見出せないと感じました。

■ 克服する方法

まぁ、夫にビレイをしてもらうことでしょうね。

夫しか、信頼できる人がいないからです。

しかし、夫の元君は、そもそも、冒険に最悪に向いていないというか…。先取り思考ということができない、次の一手を想定する、というのが、苦手みたいです。

夫とは山には登れない兆候が、普通のハイキングのころからありました…。例えば、ハイキングの山であっても、尾根を上がり切って稜線に出ると、突然風が強くなるのは、誰でも知っている事です。風上に登るからですね…そのようなリスクが、自然と山を登っていくと分かってくるものですが…夫の元君は、だんだんと分かっては来ない。突風にさらされる前にジャケットを着るのが山やの定番の行動ですが、尾根の終わりが近づくと、”わーい”とむしろ、風の中に飛び込んで行ってしまうのです。これも本人の経験だから…と教えないでいると、そのままの行動を続けてしまいます。

ので、残念ながら、あまり高度な山は彼と行くのは、彼本人が危険になってしまいます。

ビレイというのは、責任感が必要な立場なので、彼には荷が重すぎる責任かもしれません。

■ 墜落対策

私は、一度、1ピン目を取った後で落ちて、その後キャッチしてもらえなかったためにグランドフォールしています。

その日のことを回想すると、トップクライマーの南裏さんが講習会講師として来ていた岩場に、誘われて、見学がてら行ったクライミングだったのでした。

連れて行ったクライマー君は、みなから回避されている人だったらしく、本人も乗り気ではなく、仕方なく来たようで、しかも、南裏さんと面識があり、会いたくない人に会ってしまった…ようでした。

私の方の事情としては、そこのリードは4回目で、いつも1ピン目を取った後、左に行くところを、飽きていたので試しに右に行ってみたのでした。そこで落ちたのですが、岩のコンディションもこの日は悪かったようなのです。ぬめっているということです。

トップクライマーですら、10bでテンションかけていたので、それが気まずくて、岩にとりついたのでしたから…。10bテンションを見たときに、あ、今日はぬめっているのかも?と気がつけばよかったのです。

この日の反省としては、ヘルメットをかぶっていなかったことです。いつもかぶっているのに、なぜか、この日はかぶっていなかった。ヘルメットで防げた事故でした。

また、この日連れて行った相方は、初めて使うクリックアップを、これまた初めて組む私のビレイで使ったのでした…。初めての二乗は、危険です。

なので、私はクリックアップは嫌いです(笑)。そうです、ただの八つ当たりですが、グリグリのほうが安心だな。

■ 徹底的な墜落練習

私自身にも言えることですが、初心者は無知なので、人工壁でバンバン落ちている人の落ちている理由は、無知、かもしれません。

私も、人工壁でデビューしていたころは、バンバン落ちていたので。

それができなくなったのは、いかに人工壁ビレイヤーのビレイが分かっていないビレイなのか?を理解できる知識がついてからです。

余談ですが、白石アシマちゃんもお父さんに落とされていましたよね。

■ 外岩で落ちていいのは3ピン目から上

人工壁で落ちても、外岩では落ちてはいけない、というのは、山梨では、特に強調して教えられていました。

3ピン目を取るまでは決して落ちるな

というのが山梨県では標準の教えのようでした。ボルトは普通にグージョンであってもです。

■ 下部核心を避ける

初心者に、下部核心のルートをリードさせる、というのは、とくに避けられていると思います。

ある程度、見識のあるリーダークラスの人であれば、その地域でどの課題をどのような順番で登って行けば、脱初心者でき、独り立ちしたクライマーとして全国の、あれやこれや、が含まれる岩場に送り出せる状態になるか?というのは、頭に入っているものだと思います。

私も山梨方面であれば、自分が教わった順に後進を育成していくということなので大丈夫ですが、九州では、その辺りが良く見えないです。

■ グレードの厚み

また、グレードピラミッドについても、山梨では、あるグレードを4本登ったら、次のグレードに進んでいい、という風には、全く思えません。

九州では4本で次、と言われましたが、みんなほんとにそうしているんですかね?それじゃ、クライミンググレードが上がっても、あれやこれやが分かっていないクライマーが出来てしまうわけですね…。

ちなみに、小山田大さんは、ボルダラーですが、ある一つのグレードがしっかり分かるためには40本、と書かれてる記述を見たことがあります。 

■ みじかしい系

”みじかしい”というスラングが、クライミング界にはありますが、九州ではあまり聞きません。

大体のクライマーは、5.8でリードデビューすると思います。

初めてのリードは、成功体験を摘ませるためのもので、慎重にルートも選ばれているハズで、かなり落ちるリスクがないものが選ばれているハズなので、この段階でテンションしたり、リードができないクライマーは、もうその次、というはないかもしれません。

で、めでたく検定に合格したら?その次に取り付くのは?

当然ですが、長い5.9です。なぜなら、長い5.9が、5.9とグレーディングされている理由は、ムーブは5.8だが、長いからその分の困難度をプラスして、5.9だからです。

その後、短い5.9に進みます。つまり、みじかいがゆえに、難しさで5.9が付与されているルートという意味です。

同じように、長い10A、短い10A、長い10b、短い10b…と続くことになります。

さらに言えば、スラブ、フェイス、クラック、ワイド、フィンガー、ハング、と色々と取り混ぜて成長していくものなので、10A時代というのが、そんな早々、簡単に終わるはずがないのです。

まぁ、これは岩場資源が豊富だから出来ることで、岩場が一つしかなければ、その岩場でグレードを上げていく以外ないわけですから、贅沢な育ち、と言えるかもしれませんが。

そのようなバラエティの豊富さをもって、クライマーを育成するというのが、”5.13が登れるのに、インスボンの(あるいはヨセミテの)5.8で落ちるクライマーを育てない”、というポイントです。

まぁ、私はそのような贅沢さを享受できる立場には、今はいないので、苦手克服は、先延ばし系です。

まぁ、気が向いたらボルダーか、TRフィックスで一人登りをしていれば、墜落はしないで済み、登攀力も上がるかもしれませんが、なかなかそれは起きそうにないです。

クライミング以上に魅力がある活動は世の中たくさんあります。そういう風に割り切って考えれることは、強みかもしれません。

余談ですが、アドレナリン・ジャンキーというのは、誰にでも起こりうることで、クライミング以外の活動を粗末にしていくようになると、危険な信号のように思います。

とくに岩登りをスタートして、2~5年以内では、強い傾向があると思います。その頃は、まだリスクとクライミングの喜びを冷静に天秤にかけられるほどは、クライミングのリスクについて、知識が溜まっていないからです。

つまり、無知が原因で、天秤にかけるリスクと喜びでは、喜びが大きい、ということです。

これは、師匠が、「きぬちゃん、クライミングは知れば知るほど怖くなるんやで」と教えてくれました。私がインスボンのピンの遠さを指摘したからです。したがって、リスクを指摘した時に、そんなリスクは大してことがない、という人は、師匠とするのには微妙です。

先人の先人足るゆえんは、新人より的確にリスク判定できるから、というのがあ、師匠と崇めるべき理由で、それ以外に年配の人を尊敬する理由はないからです。

師匠の経験による判定に寄れば、私のスキルレベルの人が人気ルートのショイナードなどをリードするためには5年程度の修行が必要だそうでした。これは、別の先輩が12へ行くのに10年くらいかかったことを考慮すると、納得ができる数値かもしれません。

ちなみに私がインスボンでのリードを希望していたルートは、リッジ登攀の初心者向けコースで、デシマルレベルのルートではありません。

念のため、5.12が登れる人をインスボンで師匠と組ませてみましたが、その人もスイスイリードとはいかなかったようです。インスボンだけでなく、ヨセミテのクライミングにも言えますが、花崗岩登攀は花崗岩特有の、その岩場特有の個性を深く知る必要があるのです。普段、12登っているから大丈夫、とは言えないということです。

私が思うには、おそらくクライマーというのは、各岩場、固有の個性を知ることを楽しいと思える人、です。そうおもうのは、私が雪に取り組んでいたころは、雪の特性の理解につとめていたからです。谷川と八ヶ岳では、雪、の意味は全く違います。

私は、インスボンとラオスの石灰岩を比較すると、ラオスの石灰岩が、私の今のスキルのレベルで、楽しくスイスイ登れる選択になるので、そちらの方が好きです。

落ちても、被っているので、びよよんと宙にぶら下がるだけになりますし。落ちることを考えるとスラブより、オーバーハングの方が当然ですが、安全です。

日本には、このような現代的な岩場はないので、出来たらいいな、と思っています。




自分が得意なことは何ですか?それを活かせる立場は何でしょう?

■ 長女キャラ

もともと、長女で親のコントロールが強い中で育ったので、顔色を窺って相手に気に入るようにふるまうというのが、デフォルト設定です。

全体の中を見渡して、素早くリスクを拾うとかも得意です。

■ 客観性

私は後立でバイトしていたのですが、遠見尾根は、7時間とコースタイムにあります。私は4時間20分でした。当時。若い男性は3時間半で登ってきます。これらを総合して、コースタイムの方が改ざんされている、と気がつきました。

『山と高原』の地図が作られた当時のメインの登山者は30代男性、”標準”コースタイムは、30代の男性がテント泊装備を背負ったケースで想定されていたそうです。一方、現代のメインの登山者像は65歳で定年退職した高齢者とか、オフィスの仕事でめったに運動しない都会人とかです。

そのようにメインの登山者像が変わったので、標準コースタイムを倍に伸ばしてあるのです。

決して私が優れているわけではないです。

ある日、午後から雷の予報でした。私は遠見尾根4時間半で歩けるので、当然8時には登山口に立っている予定でしたが、登山したことがない小屋バイトが今日入山するというので、一緒に登ってほしいと事務所に頼まれ、なんと1時間も待たされました。

もう、その時点で今日は最悪の日になると分かっていました…。実際、初めて登山する人が歩くには遠見尾根は大変すぎる登山道なので、予想通り小屋入りは15時。雷に稜線で遭遇し、私の脳裏には、西穂でバタバタと学生が落雷で死んだという遭難事故の記録が蘇りました… 雨の流路をたどって電気が流れるので、水たまりを避け、いつでもハイマツに逃げ込むつもりで歩き、小屋に入ったら、寝込みました…。いや~、最悪の山だったなー。

■ 山岳会のリーダーが持つ連れて行ってあげたい症候群リスク

後は、鎌ナギが最悪の山でした。なんせ連れて行った人が、標高差300mを1時間で歩けないおじさんを含む中高年パーティでした。鎌ナギに着くと、底巻きしないといけないのですが、標高差1700mを底巻きって丸一日別の山を登るのと同じことです。

その上、私とリーダー以外のメンバー5人は、懸垂下降もそこで初めてするのです…。一人が懸垂のセットに15分かかっていたら、5掛け算すると、それだけで1時間以上かかります。そこで無理です!とすぐに声を掛けたのですが…。リーダーは、「それはあなたの意見でしょ」と怒るし…。

一般に登山しかしない、フリーのレベルを味わっていない往年の登山リーダーは、リスク認知が甘く、クライマーが一人いるだけで、その突破力で、すべてが解決できるとバラ色の戦略を考え勝ちです。この時も鎌ナギを底巻きではなく、リッジ登攀で乗り越えて行けると思っていたようでした…私がクライマー役で。

鎌ナギは、超脆い、ただの泥尾根なので、プロテクション取れません。5.13が登れる地元クライマーでも、底巻きで回避して通過しているようなところなのです。脆い場所は、どんな優秀なクライマーでも安全には登れません。

というのは、前知識がなくても見れば分かるような鎌ナギでしたが…見ても納得してくれず、数ピッチ降りても納得してくれず。結局、時間切れでエスケープルートを取り、下山は夜になりました。

信頼されているリーダーでも、こうなってしまうんだなぁ…と良い勉強になりました…。

最初から、標高差300mを1時間で歩けない人を読図で行かねばならない山とか、懸垂下降が必要な山に連れて行きたいという親心…?が、危険だなぁと思っていました。

昨今、山岳会は、人気がなく、人を集めるためにリーダークラスの人は、無理という初心者サービスをしがちです。著名な山、有名な山に連れて行ってやり、喜んでほしい、そして会に根付いてほしいという気持が強すぎるのです。そして、その無理をサポートしてくれる人を良いメンバー、と思いやすいのです。

しかし、もともと、”Aという山を登るために必要な最低限の登山者の能力”ということを登山者に求めないことが間違い、なので、本来は、その人には

「標高差300mを1時間で歩けるようになったら〇〇山に行きましょう」と、目標を持たせるように、声を掛けるべきです。

■ いきなり系

同じことがクライミングの世界にいえ、懸垂下降もまだ練習していないのに、いきなり野北の岩場に連れていくとか…。疑問が多いケースが多いのが、往年のクライマーです。

昔の人はエリートしか山に登っていないので、それでも何とか生きて帰って来れたと思いますが、現代でクライミングに来る人は、エリートというよりも、どちらかというと、ハラハラドキドキしたい、スリルを求めている人、のほうが主流派なので、そのような人たちは、当然ながら、リスク感度が低い人たちです。

リスク感度が低い人にリスクが高いことをさせれば、事故率は当然の帰結として上がります。

九州に関して言えば、特に文化的に、”向こう見ず”が、美化される文化土台が、九州にはあります。

九州男児

という言葉自体がそうでしょう。そして、大体、

・東京や都会に対するコンプレックス、および、

・女性が男性をたててくれるという甘え、

が、文化的基底にあります。

なので、なんにもしないでも、ハイリスクグループ。そこに、無知が加わったら、さらにハイリスクグループ。

というようなことに気がつくのが、得意なことで、それを活かせる立場は、これと言って見つからないので、ご意見番とかいうものかもしれません(笑)。

個人的に、事故統計を取りたいという思いがあります。私は、元々ソフトウェアのエンジニアで、バグをつぶすのを仕事にしていたことがあり、だいぶ成功体験があるからです。



”なんでわたしやねん!”&”ああ、めんど!”

■今日の仏教説話

プルフォアちゃんがほんとウザい…。注目されたい!かまってちゃんモード全開であった。終いには、仏教の暗記を持ち出して、別の参加者と、”どっちが上の仏教徒か?勝負”、まで勃発…。

この人は自分のプロフィール画像をアニメ画像にしているので、ホントに女性なのかも怪しく、プルフォアというのも偽名なので、全く正体を明かしていない。つまり、どこか後ろめたいところがある人、ということが予想できる。

とはいえ、寂しいために、ここのグループに来ている…ということは明らか。

とは思うが、良く付き合ってやってるなぁ、みんな…と思った。私は、いち抜けたーで、相手していない、決していいねもつけていない。

■ かまってちゃん=めんどくさい

この件を鏡にすると、私は、かまってちゃん嫌いというか、子供のころ、4歳の弟と2歳の妹が、母との別れ際にギャン泣きし、それを何とかするのは、私しかいないということがよくあり、それが根底にあり、”かまってかまって!”とアピールされると、ウザくて、逆に離れて行きたくなる…。

実際は、結局は、はいはい、と弟と妹を慰めたほうが速やかに事態は収束する…ということは、頭では分かってはいるのだが、なんだか6歳で心理カウンセラー役をやらされている感じで、心が納得できなかった。それこそ、

なんでやねん!

と6歳の子供心に思っていた…。なんでやねん!の理由は、結局、長女で一番大きいから、あなたしかいなかったから、というのが、理由なんだが。

それをしなくてはならない立場に立つこと自体が、ああ、めんど!というのが、6歳当時の私の本音でした。

ので、本音どおり、いち抜けたーと今日はプルフォアちゃんは、ほかの人にお任せして、他の人がほんとエライなーと感動していた。

■ フラクタル

同じことをクライミングでやっているかもしれません。

”なんでわたしやねん!”と、”ああ、めんど!”っていう心象風景が、そっくりそのままクライミングの中で再現されている…。

俺を立派な男にしてくれー(スゴイルートを登ったクライマーという評判をくれー)というニーズに、なんでわたしやねん!ああ、めんど!という思いをしながら、付き合ってやらねばならない状況に陥りやすい。

たぶん、男性の世界での、恩送りは、そのような中身なのだろう…

あるいは、分かっていないクライマーに分かるように解説するとか…。まぁ、こっちは実害はないから、いい。ブログを書くのは好きでやっていることだし。

■ ただ楽しく登りたい

私はね、ただ楽しく登りたいだけなんですよ。

ビレイヤーは誰でもいいんですよ、ビレイ技術さえちゃんとしてれば。

だから、海外では初見のクライマーと組んで登っています。

なんで、日本では、ただ楽しく登る、っていうのがそんなに難しいことなんですかね?

下手くそビレイヤーとだったら、落ちるところを登らないとか、グリグリを持たせるとかすればいいだけだし、

サクッと登れない難しいグレードをうんうんうなってハングドッグ2時間で登るより、一日10本くらい登れるくらいの難易度のルートをたくさん登ったほうが楽しいってクライミングスタイルが、なんで許容されないんですかね?





2021/12/27

今の生活の中で世の中に貢献するには何ができるでしょうか?

■ 問い

問い)今の生活の中で世の中に貢献するには何ができるでしょうか?

に答えるために、今日は、行縢の記事を書いた。

 ・延岡は甲府並みにクライミング(特に本チャン)メッカである
 ・本チャンには、ルートグレードとピッチグレードがある
 ・ルートグレードは、1級から6級まである
 ・RCC Ⅱと デシマルは、正確に相関していない
 ・10m以上のランナウトというのは、世界トップクラスの中でもさらに上澄みのクラスの人が、しかも20代の若い時に取るリスクマージンである
 ・本チャンは、大ランナウトが核心のため、2グレード下げて登らなくてはならない
 ・つまりトップは、100発100中でなくてはならない
 ・セカンドはその必要はないため、トップとセカンドでは雲泥の差
 
 ・ボルダーのノーマットも100発100中である必要がある
 ・山野井泰史さんの行縢の初登ルートを第二登したのは、奥村晃史さん。

一つの講習会の受けるにしても、予習をするだけで、これだけ知識が得れるということです。予習する習慣は、母校熊本高校で身につけました。









行縢 『日本の岩場(上)』より ”明日なき暴走”

■ 『日本の岩場』CJ編集部 1991年

日本全国を見渡した時、

 日本を代表する岩場

はどこか?と 考えるとこの地図が出てきます。

黒伏山▲

谷川岳▲

明星山▲

劔岳

八ヶ岳

甲斐駒▲

穂高岳

北岳▲

富士山

阿蘇山

大崩山、▲

比叡山、▲

行縢山 ▲

(上)に載っているのは、黒い▲の山だけです。つまり、九州では宮崎が、もっと正確に知名を言えば、延岡市が、岩場という意味では、代表的都市、ということです。

ちなみに甲府は、甲斐駒、北岳、のお膝元、です。

延岡市は甲府より、あんまり分かっていないと思いますが…甲府は一応、山岳資料館が芦安にあって、アルパインクライマーの加藤慶信さんという亡くなられた方の業績が書いてありました。延岡でそういうのは見たことがないです。市として、岩場の地位の高さを認識はしていないかもしれません。

ショートとボルダーは取り上げられていませんが、デカい壁があれば、ショートはそれを1ピッチだけ登ったり降りたりしているだけ。ボルダーは当然ですが、石ころを登っているだけ。

ボルダーからスタートした人だと、ショートであってもロープを使うフリークライミングにステップアップする際は、かなり大きな意識改革が必要です。そうですね、年に3分の1登っても、1年はかかるくらいでしょうか。もっと頻度が少なければ、もっと年数がかかると思います。

■ 昔の人と今の人では覚える順番が逆です

ショートのフリークライミングから、マルチピッチ(ビッグウォール)へ進むにも、かなり大きな意識改革、が必要です。

アプローチゼロ分のマルチ(ゲレンデ。つまりフリークライミングのマルチ)と、山のマルチ(アルパインのマルチ)は、全然違います。なんせ、前穂北尾根なんて、6時間の登山をこなしてから、やっとルートの起点に立つのです。一方、ゲレンデである比叡の白亜スラブは、道路から5分です。全然、スタート時の疲れ度合いが違います。

昔の流れでクライミングしてきた人たちは、山を大きくしてから困難度を上げる、という順番で、教わってきたわけです。登山→山のマルチピッチルート→ ショートのフリークライミング → ボルダー… 私も、この順番です。オールラウンドクライマーと言われます。

大体、登山から入った人は、この順番ですが、インドアクライミングジムから入った人は、順番が真っ逆さま、です。

オールラウンドの反対で、その分野しか知らない”専門家”クライマーです。

そこが、”ビフォアクライミングジム時代のビギナー””アフタークライミングジム時代のビギナー”の大きな違いです。

■ リスク認知が違えば、実力認知の違いを生む

この違いが何を産むかというと、リスクの認識違い、です。

リスクの認識違いが何を産むか?というと、実力の認識違い、です。


このページは、行縢山の山野井泰史さんの開拓ルートです。「明日なき暴走」という名前のルートです。山野井さんは、日本を代表する世界的クライマーでもダントツトップの方です。だだのピオレドール賞ではなく、生涯功労章、を取った方。

”明日なき暴走”のルートグレードを見ると?五級下です。この本にあげてある代表的事例としての5級下は、穂高岳屏風岩緑ルート、谷川岳衝立岩雲稜ルート、丸山南東壁塚田=小暮ルート、です。

AA2は、アメリカンエイド、つまり、カムで、落ちたら、7m落ちる、AA3は、10~20m落ちる、という意味です。その間は、ブランクセクションということです。

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1P目 20mAA2+: フェイス、ハング下レッジナイフブレード多用

2P目 35m AA2: ボルトラダー

3P目 30m AA3: クラック スカイフック

4P目 15m AA2: フェイス

トータルでボルト7本。アプローチは登山道を徒歩30分。

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”ザック一つで国内を放浪していた20代前半、九州の行縢山に一人で開拓したルートは「明日なき暴走」とした”

そうです。

■ 一般市民クライマーが登るフリーの岩場でのランナウト

現代では、”フリークライミングの岩場”として親しまれている比叡ですが…

ボルトのランナウト許容度合いが、開拓者の言葉を引用すると、”5級で50mにつき3本”、となると… デシマルに置き換えると、10a以上でも、墜落距離は12~13m。

これは、世界的クライマーの山野井さんの20代のころのエイド記録並みのリスクテイクです。

そりゃ、普通の人には怖いのが当然だわなー。

一般にフリークライミングの場合は、確保理論が国から出されており、それによると、6mからの墜落で人体は壊れるということになっているんだが…(汗)。倍、落ちると、どうなるんだろう?

https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/kougisiryou/H24kakuhoriron.pdf

というので、一般市民クライマーに、20代の山野井泰史なみの度胸を要求しているってことになりますが…(汗)。

■ 2グレード ゆとりを

これに対策するには、十分な登攀力のゆとり、が必要です。

私は、2グレードアップと教わりました。

つまり、5.7(4級)を落ちないでリードするには、5.9が必要ということです。

5級は、5.10aから上は全部含まれてしまうので、5.11であっても、5.12であっても、5級…とっても幅広く設定されてしまいます。なので、5級を2グレードの安全マージンを取ってリードするには、5.12aがやっとこさRP出来る実力では、全然足りないのです…

ということは、5.11aをやっとこさRP出来るレベルでは、本チャンでは、まあ、4級が安全になるだけで、何の安全マージンも増えたことにならないです…(汗)。

もちろん、5級の中で、易しいものは、手が付けれるものもあるかもしれませんが、そうだとしても、よほどしっかりした情報源で得た内容でないと、行ってみるまで分かりませんね。なんせ、5級は昔の人にとっては、最高グレードだったので、難しければすぐ5級になり、エイドに切り替えていたわけですから…。

■ ボルトルートのフリー

現代のトップクラスクライマーの仕事は、こうしたルートを現代的な基準で正確にグレーディングすることかもしれませんが、フリーの価値観の中では、脆い支点のルートなんて誰も行きたくないかもしれません。

なにしろ、フリーは、困難度、を求めるものであり、危険を求めるものではないので。ドーンウォールで何度もトライしている画像が出てきますが、落ちても落ちてもあきらめないですが、あれが、たまに支点外れるとか、あります?ないですよね。10回落ちて、そのうち1回は外れた、とか、そういうことは想定されていない。だから、チャレンジできるんですよね。100回トライして、やっと1回成功する、というクライミングです。

今日は、アレックスオノルド君のフリーソロの動画が回ってきましたが、フリーソロしているのは、5.11のルートです。イレブンなんて、ジムでは今日初めてジムに来ました!みたいな若い男性は登ってしまいます。

ところが、5.11を100発100中で落ちないで登るためには、5.13が必要ですね、2グレードの法則で言えば。まちがっても、5.11cではないですね。

この考えに基づけば、2段がノーマット、つまり100発100中で登れるためには、4段が登れている必要があります。3級が限界グレードの人が、ノーマットしてよい…おそらく100発100中だろう…と想定できるのは、2グレード下の5級のボルダー課題です。

私は、今の力だと、一般的な5.9は落ちないので、ー2グレードだと、RCCの3級や4級のところは、落ちないだろうということなので、たしかに私がリードした奇数ピッチは、そのようなグレードですので、納得感があります。合って良かった登攀力って感じです。

RCC3級、4級なんてところは、セカンドであればロープで確保しているので、昨日クライミング始めました、みたいな人でも行けます。なにしろ、登攀自体は簡単です。

つまり、トップ(100発100中である必要がある人)とセカンド(そうでない人)の実力には、これくらい差があるということです。

ボルダーだけのクライミング歴2年の人が分かっていないのは理解できるが、普通にマルチやショートを10年も、20年も登っていて、なんで、これくらいのことが分からないのか、分かりません…

■ 1991年の発行

この本が出たのは、1991年で、すでに

30年前

登攀は、1987年の登攀で、さらに4年前。

34年経過しているということです。ボルトラダーのボルトは最低でも34年経過しているということですね。

そのあと、このルートを登った記録は、奥村さんのようです。

http://blog.livedoor.jp/joywall/archives/51762198.html



本当にブイブイ言わせていいのは、こんな記録であるよ、という事例として、

誰からも文句が出そうにない、ダントツクライマーの山野井さんの記録を持ってきました(笑)。

こちらに、2017年の回想が、掲載されています。

https://www.evernew.co.jp/outdoor/yamanoi/2017/20170327.html


■ これを書いている理由

自分が分かったことを相手にも分かってもらう=覚他。


2021/12/26

ボルダリングのインタレストグレード

小山田さんがあげていたので、興味深く拝見した。


①岩質

②ラインがシンプルである

③ロケーションが良い

④ムーブがかっこいい

⑥ランディングが良い

⑦恒久的である




■こちらは、いわゆる本チャン(山)のルートグレードの基準

①スケール

②技術的難度

③確保条件

④岩の状態

⑤ルートファインディングの良しあし

⑥エスケープの良しあし、敗退のしやすさ

⑦アプローチ

⑧自然条件(標高、方位、岩場の安定性、安全圏からの距離)


ボルダーだからもちろん、スケールは無視だが、フラクタルであることが分かる。

■ 基準となるルート

ところで、上記の8つの項目から、以下のように分かりやすいように基準となるルートが設けられている。

1級  前穂高北尾根
2級  剣岳八ツ峰六峰Cフェイス 剣稜会ルート
3級下 八ヶ岳・大同心 南稜
3級  北岳バットレス
3級上 谷川岳一ノ倉沢
4級  穂高岳屏風岩
5級  唐沢岳幕岩
6級  奥鐘山

私が思うには、クライミングジムで5.11が登れるから、北岳バットレス四尾根(3級の本チャンルートです)に行こうとしてしまう人は、こういうのを分かっていないのでは?

というか、私自身も、どの師匠からも、教わったことはない。自分で勝手に調べて分かるようになったんだが。

さらに以下のような情報を現代のフリークライミングインストラクターからもらった。

ルートグレードではなくピッチグレードがRCCⅡで表記してある場合もあるからだ。

Decimal grade vs RCC grade(Japanese grade)
Ⅵ=11a
Ⅵ-=10d
Ⅴ+=10c
Ⅴ=10b
Ⅴ-=10a
Ⅳ+=5.9
Ⅳ=5.8
Ⅳ-=5.7
Ⅲ+=5.6
Ⅲ=5.5
※あくまで参考程度

昔の人は5級以上の難しさにグレードを与えられなったらしく、10Aから上はもう十パひとからげにⅤ級なんじゃないかと思うが…。

つまり、”50mで、Ⅲ級1本、Ⅳ級2本、5級3本”というのは、どういうことか?

となると、デシマルにすれば、5.6ならボルト1個、5.9ならボルト2個、10aから上で3個。つまり、それぞれ25mにつき一本、15、6mに一本、12,3mに一本となるわけだ…。

ショートで登っているフリーなら、どんなに離れていても、7mも離れていたら大ランナウト。

ルートグレードで6級以上は今もつけられていない。第七級、という本があるくらいだしなぁ。

グレーディングシステムは、混乱の元であるのは間違いがないことだろう…。

お金とチャンスと時間が与えられて、これで世の中に貢献することをしてくださいと言われたら、何をしますか?

■ お金とチャンスと時間が与えられて、これで世の中に貢献することをしてくださいと言われたら、何をしますか?

お金の問題がなければ、

1)天野和明さんに頼んで、北鎌尾根レベルの人が前穂北尾根レベルに行けるために必要な力をつけるための具体的技術をカリキュラム化した講習会を行ってもらう。(昨今の山岳会の人はそこが分かっていないと思われるので)

2)山岳総合センター時代の恩師 村上さんに山岳遭難の実際と山岳レスキューの実態についてのレクチャーを1日、二日目は実際に現役で使われている、レスキューテクニックの伝授を行うための講習会をしてもらう

3)佐藤祐介さんが大崩などの高難度マルチに来たときに、トップクラスのクライマー(5.12がスイスイ登れるレベルで、40kgが歩荷出来、標高差2200mの甲斐駒をワンデイ8~9時間で登って降りてこれる人)を対象にマルチピッチ講習をやってもらう

4)室井登喜男さんを講師にしてボルダリングの入門講習会を行ってもらう ジムボルダラー向け、ランディングなどリスク管理のイロハ。

5)小山田大さんを講師にして、ボルダリングにおける開拓プロセスの机上講習と実際の開拓のイロハを伝える講習会を行ってもらう

6)後藤真一さんを呼んで、沢登り向けの安全講習会を行ってもらう (上の小屋沢を東沢鎌の沢的な講習会定番の沢として確立する)

7)主要なクライミングジムの店長さんを、奥村さんのジムに研修に出して、きちんとしたビレイ指導術を習得して帰って来てもらう その際、終了証を渡す

8)九州の岩場における、入門から初級、9アンダーの人が登るべき課題、9レベルの人が安全に登れる課題のリストアップと習得目的の一覧、10代のステップアップの仕方を整理した外岩入門ガイドブックを作る 

9)九州内の岩場での事故を聞き取り調査し、この3年以内の事故統計を取り、事故の内容を公開し、ネットにアーカイブを作る

10)九州で本当に登るべき、良き登山ガイドブックを作る 吉川満さんのご本のビジュアルバージョン 最近の人は文字を読まず、画像で判断するため

11)九州の登山道のコース案内掲示板を韓国並みに整備する(標高差、距離の記述)

12)九州内の山の難易度を長野県並みに整備する 現状だと要らないところにロープが至る所にあり、来るべきでない人も来ることになる

13)人気の山の登山口に韓国並みに、ウォームアップ運動器具、泥落とし場を整備する



弟、いとおし、という弱点

 ■ どのような関係性で登ってきたか?

昨日は、畑に行った。山が分かるオジサンクライマーと世間話して、とりあえず、

 山梨では、素晴らしい山をしてきたんだなぁ…と実感した。

素晴らしい山というのは、

・誠実な山、

・自分の実力に嘘がない山、

というものだ…やっている間、

”向き合っている”

とよく言われた…。課題を一つ一つ、つぶすということだ。向き合っていれば、山は、それに答えてくれた…。

福岡に来て、それがおかしくなってきたが…なんで、同じように真摯にクライミングに向き合っているのに、落ちないで登るのはダメクライマーだとか、否定されないといけないのかな?とか、なんで、いちいち、命がけになっているのかな?と思う。

向き合いにくい環境…と言ったらいいのか?

なぜ、そうなったのだろう???

■ 俺はスゴイことを証明したい心 と モテたい心

それは、他の人のエゴに私が癒着されていたためだ… 課題の分離が出来ていないということ。

俺はすごいということを証明するために行く山に付き合わされるってことだが…。

しかし、男性社会だと、それも多少は必要だろう…と相手の事情を慮る気持ちが強かった。

女性の社会と違って男性社会は、縦社会だから、登れる順であり、登れない奴と思われたら、パートナー探しにも事欠くのだろう…と。パートナーを得るチャネル自体も、ほとんどないし…。岩場に行く以外で相方をゲットできる時というのは少ない。

私はその人には、直接言ってもいるが、まだ結婚していない人だったので、せっかく女性の数が多い九州に来たんだし、エンジョイクライミングを通じて、女性と知り合ったらいいな、と思っていたのだ…。が、どうしても、イケイケタイプの男性は、女性でもブイブイ言わせている人を好むようであった。まぁ、前例を山梨で作ってしまったからな。あとは条件は美人が欲しいということだった(笑)。

つまり、トロフィーワイフ、である。トロフィーワイフを求めること自体が、幼稚だなぁとは思ったが、恋愛だって山と同じで、稚拙な愛から、高度な愛へ進むのが普通だ。要するに経験値が浅いということだろう、と。

あとは、家事要員としてしか女性を考えていない古い考えがうかがえる発言があった。料理ができて自分の親の介護ができる人を欲しいということで、自分の親の介護があるということは相手の親の介護もあるということだと気がつかないようだった。

まあ、単純にその人は未婚だったから、深い意味なく、モテたい、のだろうし、それは未婚の男性なら、まぁ当然の在り方のように思えた。

別の人だが、開拓者が岩場に来ていたので、彼自身の知見を広めるためにも、開拓の手伝いを勧めたら、”開拓者は取り巻きに囲まれているんでしょ”という返事だった…。その返事で、そうかぁ、この人は、取り巻きに囲まれたくて、いきなり2段とか言い出したんだなぁと分かった。

一般に男性は寂しがりなのである。青ちゃんも宴会好きだったのは寂しかったからだろうし、いくら山が大好きでも遠隔地に家族と離れて暮らすのは、時に寂しかっただろう。

ので、孤独は同情するが、2段くらいでは、取り巻きは来ないぞ…(笑)。現実認識が古い。

余談だが、私が岩根でバイトしていた頃、ワールドカップクライマーと不可能スラブを登った女性ボルダラーが、ボルダーに遊びに行っていたことがあるが…当然私はお邪魔虫なので遠慮したが…二人が楽しく登ってきたのは6級とかである。トップクラスの人だって、デートクライミングは6級なんですよ。

2段が登れるより、紳士なほうが、女性にはモテるでしょう…

私は非常に慎重な、リスクを冒さないタイプのクライマーなので、私といると、逆に、相方はリスクを釣り上げて見せる必要が出てしまったのかもしれない…。同じだと思われて、引っ込みがつかなくなると言うか…。

私が思うには、女性と2名で登っている男性クライマーだと、周囲が勝手に遠慮して2名の中に割って入るということがない。

ので、私とジムに行くと、むしろ出会いは減るのではないか?というような気がしたので、特に用事…例えば新人が来て、先輩2名で世話がいるというようなケース以外…は遠慮するようになった。だいだいジムでの練習って、コソ連、って意味だし。

■ 弟という関係性

私は、身長180cmの大男だったアスリートの弟がいた。彼は24歳で急死した。突然の心停止。子供のころはそっくりさんだった。2歳しか年下ではない。

なので、男性は大体、弟、に見える。父親は知らないで育ったので、父という関係性は私には新鮮で嬉しいものだ。

昨日も、畑に行って、70代の往年のクライマーが畑仲間なので、山の話で盛り上がった。気分は、お父さん、である。父娘の関係性。

一方、私にとって一緒に登る男性は、大体が若いことが多く、基本的に、父親よりも弟という関係性に思える。先輩であっても、相手は、私よりも、父親…つまり、師匠から、目を掛けてもらえていない率が高い…つまり、知識的には補佐してやらないといけない対象、と思える。(大体、正しい)

ので、弟と登っている姉ちゃん、というのが私の自意識だ。

■ 相方は弟ではない

そのためにできた”因縁”は、断ち切ったので、それが良かったと思う。

弟のことが念頭にあるために断ち切れないでいた因縁だったからだ…。

どうしても、”頭悪い人”=可哀そう、と思ってしまうんですよね。

弟がそういう風に扱われていて、私としては、”そうじゃない、彼にも分かるように言ってやっていないだけだ”、という気持ちを子供心に強く持っていたので。


しかし、相方になる男性クライマーは、弟ではない。

しかも、30代、40代、ノーマット野郎なんて50代で、私より年上だ。

アホな奴に付き合う必要がなかったのに、なんで付き合ってやる羽目になったんだろう…?

そっちのほうを反省したほうが良い。

クライミングは、どんなに分かりやすく解説しても、分かりたい心(因)がない人には、分かりようがない。

■ 余禄 ノーマットクライマーの二項対立

リアルノーマットクライマーのノーマットの理由=決して落ちない自信があるから。

フェイクノーマットクライマーのノーマットの理由=お金がないから。


リアルノーマットクライマーがノーマットするとき=記録としてアップされる。

フェイクノーマットクライマーがノーマットするとき=何の記録にもならない。


リアルノーマットクライマーの登攀力=有段者

フェイクノーマットクライマーの登攀力=3級


リアルノーマットクライマーの事故時の心境=「申し訳ございません」

フェイクノーマットクライマーの事故時の心境=「死ぬときゃあ死ぬし」


リアルノーマットクライマーの事故ると?=大ニュースになって追悼書籍がでる

フェイクノーマットクライマーの事故ると?=岩場が閉鎖になる


リアルノーマットクライマーが失敗すると?失敗が珍しい

フェイクノーマットクライマーが失敗すると?成功が珍しい


リアルノーマットクライマーがトライするのは?=まぁ最低でも10本の指に入る程度の高難度課題 つまり第10登まで

フェイクノーマットクライマーがトライするのは?=人気課題


どうでしょう?? 思考の遊びです。



2021/12/25

尊敬する人を5人あげるワーク

1)尊敬する人を5人

一人目は、鈴木清高さん。最初の師匠です。”山には順番がある”、を教えてくれた人です。

鈴木さんは非常に頭の良い人で、それがゆえに、結論にジャンプすることがあり、それが誤解で鈴木さんと登らなくなったことが残念でした…。

当時、私はジムで意気投合した”ジムで5.11が登れるからという理由でバットレス四尾根”というクライマーにどうやって四尾根をあきらめてもらうか、苦悩していました。花谷康弘さんが突如ガイド日程が空いたので、花谷さんで先に四尾根を予習させてもらい、その後この彼のフォローをして、それとなく、彼を正解に導いて花を持たせてやろうか?と思っていました。四尾根の核心は登攀ではなく、ラクとルーファイだし、この彼に押し切られて登攀に行き、死ぬ目に遭うよりは、5万でも6万でも払って命びろいしたほうがよいからです。そのことを、ガイド登山にすがる人間だと勘違いされてしまったのです。

この事件での、反省点は師匠に自分の置かれている状況をきちんと説明するということですね。

鈴木さんも、背が低い場合に、エイドでもフリーでも、プロテクションの面で不利なことは理解していなかったと思います。私が三つ峠では2回目でリードできるのに、フリークライミングのレベル感になったとたんにリードが難しい理由が分からなかったと思います。ピンが遠いから私にはプロテクションにならないんですよね。多分、年配の人はボルダリングをしないので、SDスタートが普通のスタートより難しいことが分からない。

その代わり、冬には伊豆半島の沢、など、快適なルート選択が非常に上手で、私もそういうタイプになったと思います。

ATCガイドではなく、ただのATCを持って行っただけで、「リードする気がない人は連れて行きません」という人でした。またルートで核心の大滝をロープなしで越えたら、「そんな山は教えていない」と言ってくれた人でした。

二人目は、くれさん。山岳会の先輩です。信州大学卒で、大学時代から社会人山岳会で登っていたそうで、積雪期の山選びがさすがの選択。渋い選択、なおかつ、レベル感に合った選択をするのが上手でした。ヨセミテまでは行ったそうです。小川山で5.9を登るにも、プリクリップする、会ではもっとも登攀力が高いクライマーでした。

”導かれ感”…というのが、ルートにはありますが、それが読めるようになっていくと、ルート外しが減ります。導かれ感を分かるようになったのが、呉さんからもらった技術。

3人目は、誰かなぁ…。沢の後藤さんかな。沢の講習会に出たら、ものすごくびっしりと書き込みがある地図を見せてくれて、感動しました。すでにその山域は私は歩いていたので、行く資格はある…つまり、下山路は確実、ということです…が、それで十分と思っていた私はガーンとなりました…。それだけでなく、ありとあらゆる尾根と谷に細かい書き込みがあって、ここまで講師は考えて、指導してくれているんだ!と感動しました。何があっても、大丈夫なように考えているということです。

4人目は、青ちゃんですね。なにしろ、レスキュー隊長を務めたほどですから、支点構築技術はしっかりしていましたし、しっかりリスクマージン取っていました。相手のミスで、自分が危険になるというのが、あれでしたが。

青木さんは、宴会大好きでしたので、ここでお酒と宴会を覚えました(笑)。一番勉強になった宴会は、NHKのデナリのエクストリーム滑走を一緒に見た時です。NHKですら嘘ばっかり放映しており、一番易しいルートでスキーを担いで上がったのに、最も難しい尾根で上がったとか、放映していました。そもそも、NHKですら、その滑走の価値が、下りのエクストリーム滑走にあるということを分かっていなかったわけです。

その次は大阪の登攀事情を居酒屋で聞いた時かなぁ。昼から飲んでしまいましたが(笑)。大阪の事情もかなり悪かったので、九州だけが特殊事情ではないと分かりますが…。ともかく、危険でした。

色々相談しましたが、「そんな奴は、ほっておけ」というのが一番効いたかな。あとは、「3点目を取りなさい」。私がアイスで5位しか取れなかったときも、アルパインのクライマーはコンペで勝たなくていいと言ってくれましたっけ。

アイスでは、私のほうが先輩より登れるのですが、「言っておくけど、彼女の方が登れてるよ」と言っていたのが釘刺した格好になった。男性クライマーは、ちゃんとは登れていなくてもリードしたがります…。私よりムーブ的には登れていない人が摩利支天をリードしたのですから...。

青木さんは体重重いのにラッセルがスゴイ上手で驚きました。(私は軽いので、当然ですがラッセル早いです…)

ただ青木さんも石灰岩は嫌いとか、食わず嫌いな面があり、それが足を引っ張っているようでした。ガイド仲間の新保さんが、一生懸命ラオスにリハビリに誘っても、石灰岩は嫌いだ、の一点張り。行けば、きっと気に入ったのに。まぁ昼間から飲んでしまい、登攀どころではなくなったかもしれませんが(笑)。

全般的に年配の人は、現代のフリーには、多少偏見があるような感じでした。鈴木さんも同じだった。鈴木さんは私がフリーに傾くと、嫌みを言うということがあり、だいぶ混乱させられました…。後述する米澤さんも、ドーン・ウォールの価値は分からないみたいだったしな。

5人目は米澤先生。歩きつくした山の記録…。山には順番がある。立派な有名クライマーになった後も、ハイキングにしかならない歩きの山から、その山のすべての沢、という具合に、一番まじめに山に取り組んでいる様子が見えるHPサイトでした。こんなまっとうな山やさんがまだいるんだ~と感動。他にビレイループが2重になっているのにも、感動を覚えました。安全対策バッチリではないですか。

その上、レベル感のジャッジメントが正確で、米澤さんが選んだルートは今の私の実力にぴったりのルートであるという安心がありました。

当時、別の人と登っており、行く岩場が初見の岩場というのがありましたが、どの岩場に行っても、私の実力以上のに取りつかねばならず、危険が大きかったためです。相手も悪意があってやっているわけではないのですが、トポしか情報源がないから、初めて登る人向けに課題が選べない訳です。一番ボルトが危険というエリアを選んでしまったり。例えば初めて行った八面は”下部エリア”で、最もボルトがボロく、至急リボルトの対象になっている浜田ラインとかです。いやはや。知らないということは恐ろしいことですね。

一般に、初心者は、安全に配慮してリード課題を選んでもらうのが会の慣行になっているハズで、ある先輩は、私が小川山もうでを始めたころに、100岩場に自分が登った順番が分かるように書いてくれました。なので、初心者向きに課題を選ぶという発想がないということは、今までそう言うことを自分が後輩としてしてもらってきたことにも、思いが至らなかった人だったのかもですね。

小川山は多くの人が独学でも無理なく課題が選べるような具合に情報が豊富ですが、情報がそう出ていないのです、地方では。誰にどこに聞けばいいかも、情報出ていないですし。ジムの店長も、アドバイスする能力がある人は皆無ですし。

故・吉田さんとかはいれていません…私はフリーではなく、アルパインのクライマーなので。

2) 共通点は何か?

山には順番がある…を実践していること、かな?

技術的に習得を飛ばしていることがない、ということですね。

山は習得しなければならない技術課題をどこでやるのが安全かな?と考えて選ぶと、適切なルートが選択できます。

逆に、選択の動機が、”皆に俺の実力を示してやろう”とかだと、あーあ…という結果になります。

また、リスク管理がバッチリ、というのも共通点でした。フェイルセーフ付、ということです。

そして、貫いているのは、すべての人がフォローに対して強い責任感があったということです。

3)傾向と対策

大事なことは、間を端折ろうとしない人を選ぶことですね。 

師匠らが、そんな奴、ほっておけ、というだろうと想像できる人とは組むべきでない。

あるルートに行きたい、フォローしてくれ、と言われたら、きちんと

動機


計画書 (特にロープの采配と敗退)

を確認することですね。それでめんどくさい奴だと思ってくれたら、ラッキーかもしれません。まぁ、師匠らと山に行ったとき、計画書がないことは良くありましたが、それでも、持っていくべきものの指示などで、敗退計画まで理解可能でした。例えば、インスボンはツインで行きました。

いくら、立派なクライマーでも、老いにはみな勝てない。いくら徒歩5分の湯川で6級がリードで来ても、アプローチ6時間の黄連谷はもう行けないのです。私の黄連谷の相方を色々心配してくれましたが…。

同じことが、私の身長にも言えます。届かないものは届かないですから(笑)。人は変えうるものと変えられないものがあります。

時代の束縛にも勝てません。師匠らの時代を考えると、ヒマラヤからヨーロッパアルプス、ヨセミテまでで、その後、ラッペルダウンのヨーロッパ的クライミングの時代感まで、自分の山、を取り込めたクライマーはいないかもしれません。ボルダリングもです。それは、体力が最大のころに、そういうクライミングが日本で流行っていなかった、ということだと思いますので、仕方ないですね。

■ もともと岩は嫌いだった

フリークライミングの世界は、私は外野です。あんまり好きでないんですよね、岩は。

何篇考えても、同じ予算だったら、アイスルートとか、山に行くための費用に充てたほうが心が満たされ、岩に充てるのは、なんか損した気分になります。

若い男性クライマーと登ると、なんか損した気分というか、本当に損している…。一度証明するようなクライミングデーがありました。

私には登る課題が1,2本しかなく、相手には10本だとしたら、フェアでないです。

それも、別に私の側の事情によるのではなく、日本では岩場の作りがそうだから、みたいな理由でしかないので、そのために不利を被り続ける関係を維持するのは、自分を大切にしていない、ということになります。

海外に行けば、大体、対等にフェアな関係性で誰とでも組めますから、私が一方的に不利になっていると分かる関係を好んでくる人は、私の足元を見て、弱みに付け込んでくる人という意味なのかもしれません。自分が行きたいのには行くけど、私が行きたいのには行かないということですね。

今後日本のクライミングはどうなるのでしょうか。

スポーツクライミングで安全に登攀力を上げたら、その登攀力を使って登る、外岩課題が必要になりますが、そういうのが足りていないかもです。不必要に危険か、過保護すぎるか、みたいなことになっている。

楽しそうなのは、やはり海外で開かれた新しい岩場ということではないでしょうか?

タイとか楽しそうで、アメリカ人の往年のクライマーですら、タイで老後はクライミング三昧したいそうです。温かいですからね。