■ちあこちゃんねる
最近、ちあこちゃんねるにハマって、海外のバレエ団に就職した人のYouTubeを見ています。実は、私も海外では、似た生活していました。別にバレリーナじゃないけど。週二日働いてあとはしたいことしていました。
https://www.youtube.com/channel/UC3ksN_4AjdLqefrgnSfB8NA
クライミングは、バレエのように確立した職業ではないかもしれないのですが、それでも、
自らプロクライマーと自称
する人もいるしなぁ…。プロのバレエダンサーと比べると、クライミング界の国際化(というより世界に追いつく度合い)は、バレエ界とくらべると、かなり遅れている。
端的に言うと スポコン&ナルシズム から、プロ意識&シェア ですかねぇ…
■ 似た発展の仕方
バレエとクライミングは、日本において似た発展の仕方をしているようで、女性版・男性版って感じです。
1)お家制度の採り入れ (と間違った指導法)
2)過剰な競争 (と若い人の身体への弊害)
3)満たされなかった自尊心を満たす場が成人 (成人後の趣味で男女別)
です。
日本のバレエ界も、ワガノワ式一色×コンクール中心の子供×大人のバレエ(女の園)、という図式で、かなりガラパゴスな発展でした。
知らない人のために解説すると、バレエは、指導法にイタリア、フランス、ロシア、英国のヨーロッパ式がもっとも発展を遂げており、ロシアの指導法は、国営バレエというロシアの国策が生み出した、どちらかというといびつな指導法で、こどもを身体測定にかけて、股関節が180度開く子供だけを鍛える、というのが最大の特徴です。
日本はなぜか、古い先生は全部ワガノワ。で、日本の子供は最初から股関節が180度ひらく子供なんていないので、無理をさせられ、筋骨格系が奇形児になっている人が多数。これは、日本の指導法が遅れている、ってことなんですよね…。私も弊害ができたので、ヨガへチェンジしました。
ヨーロッパのほうが教育システムが先進的で人体の現実に即している=良いので、ヨーロッパ帰りのダンサーたちからこんなチャンネルができています。
https://www.youtube.com/@dancerslifesupport
お教室制度は日本独特で、花道や茶道の家元制度を模したものです。師弟制度。レッスンのことは稽古と言いますし、挨拶は、昼でも夜でも、「おはようございます」です。
子供はコンクールで勝つだけが、ヨーロッパへの逃げ道。先生たちは自分の指導者としての名誉をかけてコンクール命で勝たせる。スポコンです。トウシューズが血みどろになっても踊る。ケガしても踊れ系です。なので、昔の日本人ダンサーはみんなスタイル悪いです。
で、一方、大人向けのバレエ教室っていうのもあるんですが、これは、もう経営のための資金集めの場です。指導は手抜き。なんていっても、今から別に上手になるはずないのですから(笑)。なんで先生たちの人気集めの場になっています。上手に踊れるようにしてあげようっていうよりは、日ごろのエクササイズの場。でもって来る人もエクササイズ目的の人はいいのですが…たまに勘違いして、チュチュを着てきたりするんですよねぇ‥。紐がバッテンでトウシューズ風になっているバレエシューズとか…。それが変だと気が付かない人もいます。全体に、人生ひと段落した定年後の人が多いので、大人で趣味としてバレエに取り組みたい人はかなり少数派です。バレエが好きなんではなくて、乙女チックな服を着たい人が来る。違いは、バレエ公演を見に行くかどうかですね…。好きな人は観劇のほうもします。
そうでない人は観劇には行かないので、日本はバレエを見る人より、習う人が多いといういびつな構造になっています。
■ クライミング界も似ている
で、考えてみると、クライミング界も構成は、同じ。
特殊な教育法 × コンペ中心 × 大人のジム(男の園)でガラパゴスな感じ。
山岳会は、登山技術、ロッククライミング技術を伝授する場としては、もはや衰退の極み、って感じです。
バレエの教室制度と違い、教える側が無償なので、さっさとやめちまった模様。結果、親から無償で教えてもらえる二世クライマーだけが、ちゃんとした技術を得ています。
コンペ中心というのは、コンクール中心と言うのと同じで、勝たねばならない理由が親のエゴっていうのも同じですね。
でも、バレエでコンクールで優勝したらヨーロッパがその子を救ってくれますけど、クライミングでコンペで勝っても、日本ではそこで終わりで、別に何がどう、と言うわけでもない。
ちやほやされるって言っても、狭い業界内だけのことで、一歩外に出たら、ただの人です。
クライマーもバレエダンサーも、非日常動作なので、8~18歳のゴールデンエイジ期に、”ばっかり”、をしなくてはならなず、結果として、クライミング以外、バレエ以外の能力を身に着け損ねるということになっているかもしれません。
起業、って言ったら、かっこいいけど、他に能力がないためにする、っていうのが、バレエ教室であり、クライミングジムであり、クライミングガイドなんで…
必然的に、教えるのは下手です。そりゃそうですよね、その職業になりたくてなっているわけじゃないんだし。
ただ登るだけで一生済ませたい、とか、ただ踊るだけで一生済ませたい、みたいな人が、誰かに教えるっていう重責を担えるか?というと、これは、全く別な才能が必要なわけです。…が、現代社会にそれ以外の職業選択肢は、残されていないわけですし。
と言うので、
元トップクライマー=教え方が分からない=指導は、受ける側の能力次第、
みたいなことになるよなぁ…。
それに、同じ理由で、自分のお教室が自分のファンクラブであるのと同じ理由で、自分のジムは自分のファンの場でしかなくなるし、来てくれた一般の趣味の人たちに、「(俺が初心者の時にできたことが)なんでできないんだ!」ってことになる。バレエも同じでした。みはるちゃん(私が初心者のころに習っていた先生)怒ってたもんね。
■ 市民愛好家は自尊心との関連
プロとは無縁の一般市民愛好家の場合は、なぜか、
自尊心の課題
と結びついている。日本では大人のバレエ教室は、満たされなかった自尊心を満たす場になっています。女性たちがフリフリのスカート履きたがる…私はあんまり素敵と思えなくて嫌がったら、「〇〇ちゃんだってかわいいよ」と的違いな慰めをされました…(汗)。フリル、積極的に着たくない…。子供時代ならまだしも。なんせ、私が、あこがれているの、イリ・キリアンとか、そっちなんですよ?
クライミングも同じで、男性たちは、テストステロンを見せびらかしたがっている。それを見て女性がうっとりするというより、男同士で、「お前、男らしいな!」って互いに承認したがっているようでした。「強いねぇ」っていうのがそれ。
でも、クライミングの真実は、強くなくても登れる…のがバレるといろいろと困るから、正直女子には来てほしくないのかもしれません。あるいは、弱い男子が歓迎なのかもしれません。解析はともかく、どこかに都合の良い悪いの線があるよなぁ…
バレエは女の園ですが、クライミングは男の園です。
どちらも、なんだか自尊心や自己顕示欲、人気集めのほうが重要テーマで、肝心の技術習得のほうは、なんだかおろそかになっている、っていうのが特徴です。
■ 国際的な環境
たぶん、バレエもクライミングも、もっとも先進的なのはヨーロッパであると思われますが、
1)お家制度ではなく、指導者資格をきちんとして、指導法を習得した人が教える
2)子供は才能がある子供のうち好きな子だけが特進 プロへ
3)別に2)でプロの道を歩まなくたって、フツーに生涯スポーツ(予防医学)として続けられる
です。別に何歳になっても草野球してもいいし、プロでなくてもテニスするでしょう。
なので、
男女の垣根、著しく低い
プロとアマが明らかに線引きされており、プロレベルをアマに求められることはない
市民レベルで普及している
が違いです。
海外のバレエクラスは、男性のおじさんとか普通にいます。そりゃ昔、若かった人は誰でも年取ったら、おじさんだよなぁ。
トウシューズがアマに求められることはないし、公演への出演が義務だったり、チケットノルマがあることもないです。
それに教えてくれる人は、その教室のベテランとかではなく、ちゃんと、もともとプロで踊っていて指導者になった人です。先生がプロで、生徒がアマ。日本では先生もアマで、生徒もアマ。
まぁ、西洋文化の僻地、オーストラリアに行ったときはバレエクラス取ったら、下手で驚きました… カリフォルニアより下手だった。なので西洋国でも文化の差はあります。いつかヨーロッパで、クラス取ってみたいです。
クライミングは、ジムオーナーがクライマーじゃない、クライミングを分かっていない人が多くて、そういう人に習ってしまった人が、あふれていますよねぇ…例えば、福岡でクライミングを初めてすることになったら、小川山に行くとカルチャーショックと言うことになるでしょう… なんせ、終了点、直掛けでいいよいいよ、っていうローカルルールは、かなり特殊事例です。
つまり、私が経験したのは、日本のクライミングメッカと僻地の距離感ってことですよね。
■ ロッククライミング指導者マニュアルの不在
気が付いたことは、誰も指導法を分かっていない、ってことです。ムーブの教え方ではなく、ロープワークやロープワーク周辺のあれこれってことです。
元々、クライマーの歴史の第一ジェネレーションのプロ級クライマーたちが、
現代版ロッククライミングの教え方 指導者向けマニュアル
というものを作っていないので、(ちょっとだけ、ほかの人より、俺登れるー)&(若者の職業難でジムでも開こうかー)となったのかもしれません。
とにかく、指導法がなっていない。
指導は、結局コンペで勝つ方法に偏っており、ぜんぜん、
アウトドアロッククライミング指導法
になっていないので、外岩に行って、ロープ足りませーん、とかそういうことになっている。私を引っ張り落そうとした人もいました。実際、ほんとに落とした人もいました。
そんな、ちゃんと教わっていない人が99%の中を、死なないで登れるほうが奇跡の連続、っていうことになっています。
現状日本の岩場では、まだまだ40年前のカットアンカーが主流なので、人工壁の登り方しか知らない人が、安全に外岩デビューできるようにはなっていないです。この知識ですら、誰も明示的に教えていない。日本のボルトを信用するのは愚かなことです。
それもこれも、
ロッククライミングの正しい教え方が分からないまま、俺を見て盗め!
っていう教え方をしているからで、見て盗める知性が上等な人は、とっくに盗んで、その指導者のもとは、とっとと去ってしまっているわけなのですから、結局、日本の大企業と同じで、
できない子だけが残る仕組み
になってしまっています。というわけで、
ロッククライミングの歴史第一世代の栄誉あるプロクライマーの方は、
アウトドアロッククライミングの指導者向けに正しい指導法を後世に残す
というのが、クライミング界に対する恩返しとしては最良のものではないかと思います。
特にカムのセットの習得法については、スティーブに聞いたら一家言ありそうでした。
日本のクライマーと言えば、カムが三つ外れて、反省するどころか、それが自信につながるという低レベルの理解力です。
自分がクライミングを全く勘違いしている、ということすら、そもそも理解できていない段階。自分が分かっていないことが分かっていない、ということです。
そういうことは、王道ではない、良くないと気が付いても、日本では、外道のほうが自分に都合が良い勢力のほうが多数で、基本、アウェーですから、正しいことを教えたい人がやる気になれないのは、分かりますが、ガラパゴスを辞めようという努力は、バレエ界のヨーロッパ帰りの女たちを見習うと勇気が出てくるかもしれません。
上記チャンネルをどうぞ参考にしてくださいね。
プロクライマー〇〇の一日、とかそういうの作ったら見る人多いと思いますよ。急がば回れ、ですよ。
王様は裸だと気が付く人が増えないと、日本は全然変わりませんよ。