2023/07/11

【クライマー新人教育】フィジカルだけで登る男性クライマーはクライミングのことが分かっていない

■ エリートの教え方ではやっぱり初心者は、教われない

ある日、田んぼの除草方法について、学んでいました。

これは、指導者への愚痴ではないですが、教え方が、ダメでした。何がダメなのか?

その教え方では、”教わること”が、初心者には無理という教え方なのです。

これはクライミングの教え方でも同様に感じたことです。

ただ手順を追わせる、という教え方…特にロープワークで顕著です‥‥は、すでに陳腐化しており、クライミングは技術だ、という教え方や、クライミングは自分と岩との対話だという教えをしないと、男性は特にクライミングを教わること自体ができないようです。

■ 事例

「条間に体を入れて、株間の草を接点から下から刈る」

自然農の教科書に書いてあることはこれだけです。指導者もそう同じことを言います。

ところが、草によっては水草で、不定根が出ており、刈るとそこから増えますので、目の前にある草を刈る、と言うことをすると逆に増えます。ジッパーのように引っ張って行けばその先に本体の根がロゼット状に茎を這わせているのを見つけることができますが…それを見つけるという作業は、条間に体を入れて株間の草を取る、というのとは全く異なる作業になってしまいます… それでも水草はしつこいので、その本体の根を刈らないと…となり…

そうなると基本と全く違う…

となります。私はこれできちんと草を刈っており、それでも逆に水草が増えてしまうので、おかしいな~と何度も指導者に質問してみたのですが…彼は、私の作業の何が問題なのか、解決できなかったです。終いには、はぁ?何が分からないの?何度同じことを言わせるの?みたいな感じになりました…

しかし、絶対に何かが違う…と思って、田んぼを歩き回り、ベテランの田畑さんが作業していたので、チラ見したら… 

・草を刈る位置が違う

・刈った後の草の戻し方が違う

でした。草を刈る位置は、なんと、分厚い腐食の下です。接点から刈るどころか、芝生マットみたいになっている田んぼの腐植層5cmくらい下です。そして、刈った草はその腐食と混ぜて、天地を返してグルグル巻きにしてしまいます。腐植の天地が入れ替わる感じです。

こうすると、水草を制することができる…出来上がった田んぼの印象も全く違います。

お隣の太田さんが私とは比較にならない草ぼうぼうで、稲苗の姿が草に隠れて見えないほどでしたが…新人さんなので、ダメのやり方で除草していました…私はピンと来たので、田畑さんを呼んで、太田さんに刈り方を見せてもらったのですが、太田さんも、指導者の指導どおりやっていると思っており…もちろんベテラン田畑さんも指導者の指導通りやっていると思っており… 二人とも言われたとおりにやっていると主張しますが、ぜんぜん実際の作業を見ると深さも後処理も違うし、何より結果も全然違う…

私は、こうして起きていることに、誰も悪い人はいないのに、なぜか失敗する人と、成功する人が出てくるものなのだなぁ…と思いました。

何しろ、全員が全員、川口さんの本に書いてあることをやっているつもりで、結果は、全く遠く届かない成果しか出せないということは、川口さんの手から、何かマジカルなパワーが出ている、とか思ってしまいます。実際は、そう言うことではなくて(そう言うことに帰結したくなる気持ちは分かるが…)、指導している人が、

”していないつもりでやっている無意識の作業のコツ”

というようなことがあるのです…

それは指導している人は、自覚してやっているわけではないので、言語化できないのではないですかね??


■ クライミングとは何かを言語化することが不足しているクライミング界

私はクライミングは下手ですが、下手だからこそ、言語化できる感じです。

上手な人は、へたな人がなんでできないのか、そもそも分からないらしいんですよね。

この場合の上手な人というのは、

偶然、

・日本のボルト配置にマッチしている、40年前の日本国の男子平均身長にマッチする体格がある

・フィジカルが、40年前の一般男子標準程度に強い

のです。というのは、5.12までのグレードというのは、こういう内容の課題が5.12です、とつけられているわけではなく、つまり、グレードが先行しているわけではなく、

”大体の平均的男性が、やっとこさ登れる感じだから、5.12くらいだろう”、

という意味なんですよ。こういうことを教科書に書かないと男性は分からないんです。

昔の基準で5.12=すげー なので、俺スゲーと勘違いしてしまいます。現代では、5.12はアップです。そりゃそうです。平均的男子のフィジカルで技術ゼロで登れる課題に、5.12をつけただけなのですから。

なので、数年クライミングに取り組んで、標準的な男性で、5.12に届いていなかったら、自分は日本人男性の標準的なフィジカルを持っていないことを疑うべきです。つまり、数年やっても、それ以下の人は、ものすごく運動神経が悪いってことですよ?

逆に技術がない人は、安間佐千さんより懸垂ができても、13aまでしか登れない。江本さんに「14が登れてもいいはず」なんて言われていた人がいたそうです。

■ 人はフィジカルの限界が来てからしか、工夫をスタートしない

このことはどういうことか?というと、フィジカルが標準の一般男性クライマー男子にとっては、5.12から上が本当に、クライミングの創意工夫や努力がスタートする、ということです。

逆に言えば、フィジカルが標準男性に届かない女性などは、5.10代からそうした、創意工夫がスタートします。

男性は自尊心のために登っていたりするので、自尊心の面で、周囲より俺は登れない!と自覚するタイミングが遅いので、本当の意味でクライミングが始まっているわけではない男性は、創意工夫をなかなか、スタートしません。

ので、結局、引き出しは、低グレードを登る私の方が多い、みたいなことになってしまいます…。

フィジカルに頼ってクライミングをしていると、いつか限界が当然来ます。

その時にめんどくさくなってクライミングをやめる人 → こらえ性がないとか努力が苦手なタイプ。

その時にこそ、その人が本当にクライミングが好きなのかどうか?が試されるということですね。