■ クライミング界も努力はしている
けれど、”婉曲な表現” や ”角が立たない表現” を選ぶと、結局、受け取る側が、それをポジティブに受け取るので、全く効果がない という結果に陥っているのだ、と思います。
例: 〇〇会で死に一番近い男 → 真意:あなたはリスク認知がおろそかですよ!
本人:死に近い男?!うれしい!褒められてる!
例: チャレンジャー → 真意: こんなところにリングボルト打つ奴、アホちゃう?
本人:チャレンジャー?!うれしい!褒められている!
■ 以下ネットより 引用・・・
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チャレンジャー
いま開拓中の岩もそうですが、古くから登られている岩場に行くと必ず「ハーケン」や「リングボルト」を見かけます。
その中にはとんでもない場所に打たれているものもあります。
写真は岩が周囲からセパレートされ、凸型になった部分に打たれたリングボルトです。
この岩の周囲には隙間がありますので、「人工登攀用支点」とはいえどれだけの負荷に耐えられるか不明です。
私は建設エンジニアですので、このような強度が不確かな部分にボルトを打つことは絶対ありません。
でもこの上下にもリングボルトは打たれていましたので、設置主はこの支点を使って登っていたことは確かです。
この方は強度の分別を心得た観察眼の鋭いクライマーか、強度など全く意に介さず必要な間隔でボルトを打っていくチャレンジャーのどちらかだと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー太字当方
■ クライマーは究極にポジティブシンキング
防衛的悲観主義が発達しているとクライミングで死なないで済みますが…、それは備えを怠らないという意味です。
一方、クライミングにおけるポジティブシンキングは、どちらかというと、ご都合主義、自分が手抜きをしていても、まぁ許される方に働き勝ちかもしれません…
強度など全く意に介さずに… という言葉が、たぶん、どちらかというと、良いほうに聞こえるのではないか?と思います。
これは基本的なコミュニケーション能力の問題かもしれません。
言いにくいことを伝えるときに、遠回しに”チャレンジャー”とするのは、大人の配慮でしょう… 真意は不適切な場所にリングボルトが打たれているということです。一方、昔の価値観では、自分一人が、その時、なんとか持ちこたえるだけの強度しか要らないわけで、自分のためのボルトなので、抜けようが何しようが、本人が面倒を被るだけなのです。
なので、他人から、打った場所にあれこれ言われなくてもいいというのも真実。
■ ボルト再整備する人は、昔打たれているところに打ち直すだけではダメです
しかし、問題は、ボルトの再整備をする人が、すでにある場所を無批判に全肯定してしまって、すべてを受け入れてしまうという点です。
ボルト再整備する人は、それではいけません。なぜなら、そのボルトは、打った人だけが利用するものではなく、今後ここを登るすべての人が使うものだからですし、再整備するとなれば、過去の間違いを引きつかず、熟慮し、安全面で最善と思われるところに打つべきだからです。
再整備する人のほうが、より困難で難しいことを要求されるわけです。
リボルトしたい人は、ボルトの最適位置はどこか?という視点を持たねばいけません。
その問題意識の上に、知識と経験を積み上げていくべきで、待たれているのはそのような知識と見識についての業界全体のコンセンサスの形成です。