■ 『The Alpinist』を地で行って良い人間かどうか?を自分に問いましょう
昨日は、 マークアンドレの物語を聞いて、感動したのでした。いいなぁ、アルピニズム。
私も一人で雪の山に向かう人です。でも、厳冬期甲斐駒、程度ですよ。(言っておきますけど、甲斐駒でも一応ロープ要りますからね)
しかし、私が思ったのは、
すべての男子は、「”俺は、メスナーとか、マークアンドレに続いても、よい人材なのか?”それとも、”普通の人”なのか?」ということが判断付かないのではないか?ということ
です。
なぜなら、多くの男性は、父親不在の家の中で、息子可愛しの母親に可愛がられて育ち、自己中心性を克服する必要が起きないまま、俺のために母親は死ぬまで自己犠牲してくれるもの、母親がいなくなったら妻が自己犠牲してくれるもの、と期待したままというか、その状況のまま、大人になるわけです。
そうすると、母親は常に自分を英雄視してくれるわけで、自分が見る実力が内的には、以上に高騰しており、実力以上のことをしてしまうもののようだからです。
というわけで、解毒剤は、普通の人の普通の判断を見ることです。これが、あまり機会がないんですよね。
昨今、山岳会は高齢化で、大人の男性の適切な判断基準ということを男性でアルパインを学習中の人に示すことができないからです。
■ 普通の人の判断
ということで、これは普通の人のまっとうな判断として、東さんの開拓エピソードです。以下引用。
ちなみに九州では、最後の1mランジみたいなのを、やって当然だ、という空気で押しています。
ジャンダルムに中高年が群がるみたいなものです。
ーーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーーーー太字当方ーーーーーー
服従の下降路
先の広島・帝釈峡でのマルチピッチ開拓エピソード
単独での開拓を試みたときです。2ピッチ懸垂下降して、テラスに着きました。
ギアを出そうとザックを降ろした瞬間、1本のクィックドローが転げ落ちそうになったのでパッとそれを掴むと、その反動でザックが100m下の谷底に落ちて行きました。私の所持品はロープ1本と下降器、それとザックを犠牲にしたクィックドロー1本だけでした。ザックの中には開拓道具・ハンマードリル・車のカギ・弁当が入っていたのです(´Д` ) 。
しばし茫然と立ち尽くしていましたが是非もありません、2ピッチ懸垂下降して谷底に着くと、ザックは湖のようなところに沈んでいました。身体にロープを結んで潜水して、ザックにロープを結んで引き上げました。クライミングに来たのに水泳も楽しめるという素敵な日です。
ただ惜しむらくは春はまだ水泳には適していないということでした。
水没したハンマードリルのバッテリーは放電してしまい、今回の開拓はこれで終了です。T_T
しかし真の冒険はここから始まったのです。(・ω・)ノ
このままつづら折れの坂道を延々登り返すのは気が重いものでした。ふと見ると緩いスロープ状のダムの放水路が目の前にあり、それは岩壁の上部まで続いていました。私はこの直登コースに魅力を感じ、濡れたザックを背負って登り始めました。 ()V
最初は岩壁を削った急斜面でした。そこを登り切ると傾斜45度くらいのコンクリートのスラブです。ガイドテニーなら苦もなく突破出来ます。しかし登るにつれて傾斜は急勾配になり、ほとんどフリーソロのクライミングになりました。そして放水口にあと数mに迫ったとき、いよいよ危険過ぎて登れなくなりました。
最後に1mくらいのランジを決めれば頂上というところでした。下を見るとザックが落ちた湖が50mくらい下に見えます。ザックを背負ったままのランジに失敗して墜落すると、最初はコンクリートの壁を滑落して、そのあと岩の露出した斜面に叩きつけられて、最後に湖にドボンです。おそらく生還出来る可能性はゼロに近いでしょう。脳裏にはさっきのザックの墜落シーンがよみがえります。1m上の頂上を見て、50m下の湖を見て・・・、さあどうする() 。
写真はシークレットギグを登る北山さんですが、その下に例の湖が見えます。ザックを落としたのもこの撮影場所からです。
ーーーーーーーーーーーーーー写真は割愛ーーーーーーーーーーーーーー