2019/02/24

見晴らし岩 6回目

シュラフを出してお昼寝中のおじさんたち
今日は6回目の見晴らし岩だった☆

1本登ったあたりで、オジサンパーティと長崎のガイドさんもいらっしゃり、なんだか賑やかで楽しかった。

■ 今日の学び

見晴らし岩は、私にとって、なんだか難しい岩場だ。

なにしろ、下部が核心というのが嫌らしい。しかも、ムーブ核心というよりフリクションん核心。コケで悪いのである。

傾斜は寝ているように見えて、結構立っており、足で立てるようでいて、ほとんどが外傾している。

横に入っているクラックも、佐久の岩場と同じで、実はスローパー。

要するにそのスローパーに立つから、フリクションクライミングなのだが…。

自分を信じるとフリクションクライミングではよく言うが、そうではなくて、フリクションを信じなくてはならないのだが…これがまた…苔があると、信じられないから怖い。

しかし…、

信じるために必要なのは、失敗経験。
失敗経験に必要なのは、失敗しても大丈夫だという保険。

今日もトップロープソロだったので保険付きのはずだが、それでも落ちるのが嫌いなワタクシ…

メンタルブロックの克服は時間がかかる。

しかし、それにしても昔は体育館の2回からマットの上とは言え、飛び降りて遊んでいる子だったのに、いつから落ちるの恐怖症になったのだろうか?

落ちるのだけを練習したほうがいい。

というか、もうこれ以上確実な墜落を止める方法ないのだから、落ちることを許容できるようになるかどうか、自分の問題だ。ビレイヤーはこの方式では要らないわけだから。

■ 今日の成果&課題

今日の成果は、カムを持って行って、他は重しにし3番ばかりをぶら下げていたせいだが、3番がセットできる場所が結構多い事。ここは、カムのセット練習にも良い岩場だと判明。全セットぶら下げて登るに限る。

今日は、ロープクランプによるセットもテストした。上手く行くセットを見つけた。

また、少々アルパインチックな、3Dクライミングの個所と、2Dのフリーの個所では、2Dのほうが慣れている。

アイスと同じで、4級と5級と6級は、全部 別のクライミング なのかもしれない。

普通の一般縦走からクライミングに入ると、(歩き)から、いきなり(5級)と(6級)をやることになる。つまり、(4級)がお留守になる。

ので、4級の経験値が足りない、ということになるのかもしれない。







2019/02/22

自動化

■クライミングの自動化

スピードクライミングは、実は、フリークライマーの中では人気がない。

現在のフリークライミングの価値体系の中では、自動化するよりも、限界グレードを上げるほうが重要だからだ。

それは、基本的には全くオンサイトではなく、未知という要素がないからだ。

しかし、クライマーが憧れるフリーソロ…つまりロープをつけないクライミングで、本当に命がけであり、落ちたら100%死ぬ…のだが、実は、フリーソロの世界は、

自動化、

の世界である。

■ スピード=自動化

自動化の世界に最も近いのが、スピードクライミングの世界…なぜなら、自動化によりスピードが達成されるからなのだが…。

最近、知見が広がり、トップロープソロで持久力トレーニングをスタートして理解。

早い=自動化。自動化=省エネ化。省エネ化=距離。

エルキャップを2時間とかありえないと思っていたが、毎日10本はありうる。一日10本も、休憩を入れての10本だから、今の体力でも20本はありうる。

となると、200m連続登攀は、ありうる。

仮に、登攀にスピードが出て、半分のスピードで登れたら、400mはありうる。

8時間400mがありうるなら、それを短くしていくこともありうるのかもしれない…


2019/02/20

会を創設しました ラオスと日本のクライミング文化の違い

■ 本格的な登山=アルパインクライミングへ進む

一般に登山が嵩じると、雪へ進み、雪から岩へ、岩からフリーへ、と流れるはずですが、現代は、山岳会という教育機関を担っていた組織が機能しておらず、それに代わる新しい仕組みの到来を待つ過渡期のようです。

という事情から、一般登山を一通り終わった未組織登山者の方が、さらに成長するにはどうしたらいいか?という解を見つけることは、非常に難しい…。

結論から言ってしまえば、

・コースタイムの5-6割の歩き
・歩荷40kg
・5.12

をマスターしたクライマーは、たぶん、目立つので、どこからともなく、ギリギリボーイズの誰かからパートナーとして連れていかれるテストを受けるのでは?と思われます。みなが、どこかでつながっているくらい、狭いコミュニティです。

知り合いのOさん(5.13登る方)も、一度佐藤祐介さんに拉致され、低体温症で死にそうになったそうです(笑)。

スーパーアルパイン…祐介さんレベル以外の山…は、どうやったとしても、しょせん、名誉にはならず、自己満足の山です。いくら本人にとってギリギリでも。

なので、一般市民レベルの人が栄誉を求める山をしても、本人が楽しくないだけです。たとえば我先にと100名山を追い求める山などですね。

なので、自分が世界の一流登山者でないと思う人は、”エンジョイクライミング” こそ大事です。別の言葉で言えば、一般人にとって、山は自己満足、ということです。

■ 昨今のアルパインの舞台

私のこれまでの観察では、現代の登山の最前線というか冒険は、

・台湾、ニュージーランドの沢
・パタゴニア
・アラスカ 
・冬季黒部

などに舞台を移しているような印象です。もちろん、ヨーロッパアルプスやヒマラヤも凄いのですが…。

私はロクスノ、定期購読していなかったので分からないのですが、たぶん、ピオレドール賞を受賞した山を研究すれば、登山史の1ページを追加する山が見えてくるのでは?

■ 遅れている日本

最近、また知見が増えて、どうも日本では山岳関係の書籍の翻訳が遅れているようだということが分かりました。山書=古書。私は文学部なので、もとから古本屋が好きだったので、知見が広がっただけのことです。

しかし、私のような人は稀で、現代は活字離れ。一般的に言って紙の書籍は売れない。

という現状のため、池田常道さんが翻訳書を出していた時代から、時代が滞っているみたいです。

なにしろ、韓国語バージョンが出版されていたUIAAアルパインサマー、日本語バージョンがなかったくらいです。日本、韓国より遅れてる!日本ガラパゴス化の危機!

とはいえ、実は日本人は実力が高いのではないかという面もあります。つまり、脆い岩に強い=未踏の山に強い。大体、日本人クライマーって、世界に出たら強つよですよね。

とはいえ、一般のクライミングコミュニティが、市民レベルの成熟と広まりにおいて、時代遅れ感あります。

一般化するためには命がけを捨てないといけないのです…何しろ、一流クライマーと違い、一般の人は山では死にたくありません。

今は、もう世界はだいぶ先なのに、日本はまだエクスペディション時代の価値観みたいです。山で散るを美化しているということですね。

世界のみんなが気軽なバーベキューパーティの気分で行くときに、まるで包囲法みたいなやり方で、海外に登攀に行くとか。

では、最新の海外書籍の翻訳書を出せばいいか?というと、それも異なるように思います。

現代の若者は本を読みません。何をしているか?SNSです。

しかも、現代の若者には、翻訳書がなくても、自分で英語を読めるようになるほうが現実的というか、世界的に常識的に行われていることと近いと思います。補助輪をつけてもらうのではなく、自分で自立した国際人になるほうが早いということです。

何しろ、話せるようになるのにかかる年月は、たった2年。翻訳書が出るのを待つと10年です(笑)。

実際、私がラオスに出かけて、驚いたのは、世界中…例えばヨーロッパ各地、イギリス、アメリカ…から来ている人たちは、みな若者。日本から来ている人たちは、みなご老人ということです。いくら年配の人が出かけても、交流がないので、世界の情報は日本には入らないのではないでしょうか?

それで、私は日本にラオスのような国際的なクライマーが集まる拠点が作れれば、おのずと地域情報の交換が起こり、若者は世界でどの山に登ればいいか分かるようになると思いました。 私自身が世界の山に誘われたからです。

それを実現するため、日本にクライマーのゲストハウスを作れないかしら…と思っています。

が、これは、世界から集まってきたくなるような、魅力的な岩場の存在が前提ですので、なかなか難しく、運もご縁も必要です。

私が見た国際的なクライミングカルチャーは、要するに西洋人の一般的なクライミングカルチャーと思いますが…、誰かが命がけクライミングをしないからと言って、侮蔑するようなことは一切ありません。

命がけに美学を見出す…そこは、日本人は共依存なのだろうと思います。それが山の本質だろう、と相手の価値観にどうしても、踏み込んでしまいます。それが登山の世界では先輩が後輩にしてあげる親切、という約束、伝統、だからです。体育会系という言葉で置き換えると簡単かもしれません。 

しかし、昨今の若者の心は、今までの日本人の心の動きとは違う動きをするのでは?と思います。

多くの場合、若者本人たちの登山に対する理解が不足して知見が低いことにより、ベテランの言動が理解できないこと、なおかつ若者特有の”自己有効感”…頑張れば、俺は何でもできる…そうですよね、まだ可能性がたくさんです…が抜けきっていないため、と思います。 

要するに若い時は自分の限界を知らないのでイケイケって話です。当然、ベテランの意見を聞かない。

これは野田勝さんの死にあてた山野井靖史さんの『アルピニズムと死』を読んで思いました。熟練の目と体力と情熱は、同時成立が難しいのです。

一般の若者の8割は憧れレベルで、アルパインのウエアを着たり、ヌンチャクを持っているだけで、その気になってしまうレベルですが、そういう彼らの中にも、登山に対する思いがある子もいます。

知り合いのR君はチリに単独ワーキングホリデーで、大学は行かないことにしたそうで、見込みがある子だと思います。未組織の人です。

しかし、現在の日本の状況ですと、日本では山のエリート=大学山岳部、つづいて社会人山岳会だったため、過去の日本のエリート登山者の英知は、会にしか、継続されておらず、未組織の若い人が、どこかに所属することなしにベテランと繋がることは大変難しいです。

若い人の山岳会は、えてして、出会い系へ傾きがちですし…。チャラい会なら多数あります。

むしろ、山をきちんとしている人は未組織の人の中におり、適当な会がないという状況だと思います。私がそうでしたので…。

この問題の解としては、

 1)国際クライミングコミュニティとの接点を持つ
 2)個人的にメンター制度に入る、

というのが一番良いかなぁと思ったりもしています。要するに私がやっている方法です。

しかし、私もスーパーアルパインは当然ですが、全く視野に入っていません。

しかし、本格的な山…スーパーアルパインで行われていることの本質と同じ本質の山を一般人レベルで、ということは可能です。

やることは大体同じで、強度が違うだけだからです。このレベルに達しそうな若者は、今のところ見かけません…が、出た場合、どこかにそういう人が一緒に登るべき人たちの伝手を知っている存在がいないと、そういうクライマーが出てきたときに、橋渡しが滞ると思っています。

というようなことを考えて、所属先を選びました。

また、初期教育で躓く人が多いので、私にできる社会貢献として、会を作りました。

私は、山とは何なのか?という問いを追求中です。 

その道すがら、ほかの人の役にも立てば、と思っています。現在私ができるベストが主催、ということになりました。

2019/02/19

トップロープソロについて



去年韓国のアイスクライミングに行った折、我々を案内してくれたファン君以外に、2名のクライマーが参加してくれた。

一人は中国の人で、一人はソウル市内の登山道具展で働いている人。その二人は変わった登攀をしていた。

それぞれがまず支点に行き、ロープをフィックスしてダウンする。グリグリで懸垂で降りる。

その後ロープに重しをつけ、各自がロープクランプをつけて別々のラインを登攀。

おお~これならビレイヤー不要!と驚いた。いつもそのやり方でやっているそうだ。二人で登っても、数が稼げてこれはいい!と思った。

油山川 8回目

■くたびれました…

いや~ 久しぶりに岩でクタクタになりました。全身筋肉痛で、今日はもしかして、うごきたくないかもしれません(笑)。昨日はなんと、9時ごろにはベッドに入ってしまったくらいです。

クライミング10本ノック~? 私にとって登攀の先行事例であるアイスクライミングでも、「よし!今日は南沢小滝10本ノックだ~」って時期がありましたが…岩でもそれが来たみたいです。

■ 量が必要

私は運動神経が良くも悪くもない、ごく平均的な人です。というのは、学生時代の体育の時間からそう思います。走るのは、上からクラスで10番以内くらいで、トップに出たことは一回もなく、水泳はビリケツ。球技は球が来ると逃げる。のでドッチボールが一番好きで、バスケットボールになるとドリブルはできるだけ短くしてパスしたい…。バレーボールは突き指常連っていう感じでした。一番好きなのはラジオ体操(笑)。競う系がダメでした。闘争心?ない…。闘争されると萎えてしまうのです。

私はテニス部だったのですが、初めに素振りを教えられたとき、うまく振れない人でした。その後、自分が主将になって、自分と同じように、飲みこみがうまくない人とうまい人がいることが判明。自分は上手くないタイプだったんだなぁと分かりました。

その経験から、登攀…つまりムーブ、のマスターにおいても、人並み以上の ”量” が必要なタイプだろうと推測していました。

量をこなさないと、みんなと同じ水準には行けない…

というのが私の基本的な自己認識でした。ちなみに、クライミングは10歳でスタートするより、19歳が量が多く必要、19歳より29歳が、29歳より39歳が、39歳より、49歳が…というものです。

後でスタートすればするほど、素振りに相当する基礎練習の量的蓄積が必要になります。

当然ですね。私は小瀬の壁で初歩的なクライミングのムーブは身につけました。ずっとトラバースしていました。

■ ラオス=多読

さて、このような自己認識を持った私に悲しかったことが、一つ。それは量を禁じられている状態だったことでした。

外岩にはたくさん行けますが…一般にフリークライミングというのは、精読、です。多読ではない。

で私に必要なのは多読。それでラオスに行っていました。ラオスでは、5cを一日5本~8本登っていました。5cは5.9くらいです。そうしている間に6bが初オンサイト。私がやりたいのはこれでした。

一般的な日本人クライマーの不満も同じで、日本には岩場資源が少ないという不満を聞きます。不満も分からなくないです、ラオスの課題数の豊富さを見てしまったあとでは。毎日10日登っても、違う課題が登れますもんね。

しかし、不満を言っても仕方ありません。あるもので何とかする。

で、出てくるのがトップロープフィックスでした。

これを教えてもらって量を稼げないという不満が解消されました。

■ くたくた

しかし、クタクタです…昨日は、失敗しました。5.10bのクラックを触りたかったので、右端を受け持ってしまったら… 一番右端が5.10cでワタクシの限界グレード(笑)。一日の最初に限界グレードに取り付くことになってしまいました(笑)

ので、最初から悪戦苦闘。 目的の課題へ行く前に3本…(汗)

クラック5.10bはお久しぶり感があり、クラックのハンドジャムが、前より甘く感じられました。甘いなーと思いながらハンドジャム!でもユマールシステムがあるので、まぁいっかと登ってしまえます。リードだと、この甘さだとやだなー。

登っていて、クラック登りより、レイバックのほうが確実感があることが分かった。でも、私はジャミング練習で来ているのですから!!

となりのフィンガークラックでは、初めてナッツをセット!ナッツがバチ効きになり抜けず、ハンマーを取り出しました!ありがとう室井さん!このナッツは素晴らしいです!というナッツのフィット感でした(笑)

さらに左に向けて、どんどん登り、だいぶマントルがこなせるようになりました。

しかし、今回は疲れました… なんだか、10本というのは、私にはかなり多いみたいと判明…

たったの8m~13mの壁なので、登ったのは、多く見積もって100mくらい…。ヨレヨレです。これではオールセカンドでも400mだと、ヘロヘロなのではないでしょうか?!

この日は、とっても気持ちの良い日で、転進で油山川に行ったのですが、まさかこんなにくたびれようとは(笑)。

しかし、油山川サブフェイスは、とても快適な場所です… 小川のせせらぎが、この世の楽園を思わせ、こんな青い実をつけた植物が岩場の基部にありました。

ジャノヒゲというそうです。冬の季語。夏には白い花をつけるそうです。

楽しみだなー

そういえば、以前、ヘビがいたよなー 

冬眠をじゃましてしまったのかなぁ…

ご近所にこんなご機嫌な岩場があるとは!

2019/02/17

未知と困難

登山の基本的な価値観は

1)未知
2)困難

と思います。

一般に一般ルートの山は、道を歩く山ですから、1)未知という価値感は捨て去っています。

一般ルートの山をいくらやっても、体力以外の未知の要素は身につかない。補助輪を付けた山ということです。

フリークライミングは当然ですが、2)困難をクライミングで追及したものです。

というので、私はどの山にも1)未知と2)困難の両方があるのが良いと思っています。

技術で言えば、読図と登攀の両方が含まれるということです。ただ岩場のアプローチに読図が役に立つかというと、まぁあんまり役に立たないです。

将来スーパーアルパインを目指す人にとって、読図が要らないか?というと、要ります。

山岳同定できないと遭難した時、困ります。二つ目の尾根の3つめの枝沢を登るというような言葉が理解できないでも困ります。

未知の未踏峰に行くことに準備する山というのは

1)道なき道を行くという要素と
2)困難な登攀、という

二つの要素、価値観が含まれた山=質的に登山の本質をとらえた山だと思います。

雪があれば、登山道がもともとある山も道なき道になりますが、積雪期をやれないとすると…、

藪山と岩

ということになるかなと思っています。

いわゆるハイグレードハイキングの西上州の山、みたいな感じかなぁと想像しています。

2019/02/15

敗北と失恋

”正しく山と向きあう、対話する” ということは、どういうことだろうか?

福岡に来たとき、背振山全山縦走をするべきだと分かっていました…。

山ヤのあるべき姿として師匠に教わったことをする…山には順番がある…山の全体像をまずは掴むような山をする。つまり縦走だ。それから沢。そして岩。そして冬期。

清く正しい山ヤのあるべき山をするのが本来すべきこと、でした。

しかし…やらなかった。

標高が低い山なんて、いまさら、やる気になれないという訳だったのだろうか?

縦走の始点と終点で舗装路を歩かないといけないのは嫌だとか、幕営適地が分からないとか、イノシシが出たらヤダとか、もう暑くてやってられない!とか、色々と言い訳が出てきて、やろうと思えば、できることをする勇気が出ないでいました。結局のところ、言い訳をして先延ばしにしていたのです。

公平に見れば、新しい生活に慣れるのにも忙しかった。アシュタンガヨガとクライミングジムと遠征で手いっぱいだったのも情状酌量の余地はある…が、たかが数日が、ひねり出せない言い訳にはならないだろう。

そんな中、先輩が後を追うように引っ越してきた。おかげでパートナー不在の状態から解放された。先輩が来てくれて、再び岩を頑張れるようになった。

一つの挫折が訪れた。それは、白亜スラブというルートで、地元のクライマーたちの尊敬を集めるルートだ。

白亜スラブに行き、どんなに頑張っても私には白亜スラブはないと分かった。一種の敗北だった。

1ピッチ目から、とんでもなくピンが遠い…。

ジャンダルムの奥様の話をご存じだろうか?ジャンダルムに西洋人のクライマー夫婦が来た話だ。奥さんの方が頑として動かなくなるのだ。なぜなら、そこはロープなしには危険で、落ちたら一巻の終わりだから、である。困り果てた旦那さんが、レスキュー要請し、レスキューがロープをもって行ったら、その奥さんは華麗なムーブでスイスイとジャンダルムを超えて行ったのだと。

私自身も、”ロープを出すか出さないかの判断は、登攀の難度ではなく、そこで落ちたらどうなるか?である”と教わった。

なので、落ちたら死ぬところではロープを出す。しかし、たとえロープを出したとしても、ランナウトなら意味がない。ランナウトというのは、ノーザイルと同じという意味だからだ。

しかし、私の目の前に広がる景色は、大ランナウト祭りばかり…。

そして、私はランナウトによるアドレナリン分泌に強いタイプではなく、どうも真逆のタイプみたいだった。

”取れるところで取らないプロテクションは、馬鹿っぽい”とも習った。そして、目の前に広がる景色と、そして、それを是とする文化が…私を非国民扱いする。

アルパインを始めて1年目で、残雪期の易しい時期を狙って行ったジョーゴ沢で…オールフリーソロで抜けたら、師匠に「そんな山は教えていません」と叱られた。

そんな師匠が見たら、なんというのだろうか?と思った…。

インスボンの大ランナウトを見たときも、私にはリードは無理だと思えた…セカンドでも落ちたのは、ほんの1、2回だけで、実際のところは、ほとんどノーテンションで登ったんだけど…。

開拓者の三沢さんは、神風特攻隊とランナウトを重ねているようだった。

「男にはどうしても行かねばならないときがある」…そうだろうか? 肉弾三銃士となって死んでくれた人の死を否定するような発言はしたくないが、戦没者の犠牲の上に保たれた命はない。日本は、結局のところ神風特攻隊がいてもいなくても、広島と長崎の原爆をもって外部から強制的に止められるまで、全員が死に尽くすまで、集団自殺を辞めることができなかったのだ。沖縄戦では、自ら死を選んで死んでいった人たちが大勢いる。

ランナウトにおける”やらねばならぬ時”は、神風特攻隊の心情的な風情と似ているのだろうか?

でも、岩って、好きでやっているんだしね…。特攻隊は真実かどうかは別として、心情としては、「お国のために」と思って死んでいったはずである。

が、クライミングのトップが登るのは、「お国のため」でもなく、「パーティのため」でもなく、「セカンドのため」ですらなく、「自分のため」だ。しかも、やっても一円にもならない、「娯楽のため」でしかない。

100歩譲って、「俺がやらねば誰がやる」という心情であるとしても、現代では「誰も頼んでいない」と言われるのが落ちだろう。

例え戦争になったとしても、一個人が死をもって全うするほどの大義はないというのが現代人の大方の考えなのではないだろうか?

今でも社会問題の抗議に焼身自殺などというのが、第三世界ではたまにあるが、現代日本ではただの自殺とされてしまうだろう。義憤とすら判断してもらえないかもしれない。

軍人さんは知らないが、日本兵に良く例えられる会社員は、もはや誰も「滅私奉公」なんて信じない…。会社は個人を守ってくれない。国も個人を守ってくれない。誰が守ってくれるのか?それは親しい仲間以外にないだろう。

いまや、会社のために「死」を含む、一か八かを敢えて選ぼうとする人などいないだろう…

そのようなものは、”誰も頼んでいないヒロイズム”、なのではないだろうか?

「ザイルのトップには責任がある」と言っても、一か八かに出て、落ちてしまい、そして怪我でもしようものなら、敗退するよりも、多くのロスとなってしまう。

「度胸のある人はいいけれど、度胸だけの人はちょっと…」と言われるのがオチだ。

男はやらねばならないときがあるかもしれないが、やるんだったら100%成功させないと、度胸だけの人だったね、で終わられてしまうのである。

それは女性だったら、なおさらなのではないだろうか?

■ 失恋

私は、登山のスタートが遅く、アルパインのスタートも42歳と遅い。真剣にフリーに取り組み始めたのは1年後からだ。

だから、最初から初級ルート程度を射程範囲におくつもりで、そもそも、山ヤの仲間内で尊敬を得るような、すごい山を志向していたつもりはない。初級ルート程度が楽しめれば、と思っていた。

のだが、それでも、この白亜スラブを経験する前までは、なんとなく、私も、あと数年このペースで頑張れば、5.11くらいなら登れるようになり、5.11が登れるということは、日本中のクラシックルートは、たぶん、どこでも登れるようになるのではないだろうか?と、ぼんやりと捉えていたようである。Ⅴ級A1なら、行き詰まれば、A1すればいいって話なんじゃないかと思っていた。

まざまざとそれは真実味のない空想だと白亜スラブに行ったことで、理解でき、夢が打ち砕かれた訳だ。

どこでもスイスイといくには、5.12が必要で、5.12は私にはない。

ただ、楽しい台湾クライミングトリップ目前だったので、台湾から帰ってくるまで、そのことについては、一旦保留ボタンが押され、よく消化できないでいた。

しかし、やはりよく考えると、私は一度ここで失恋をしたのだと思う。

一度ではなく、2度か…。一度目は山を失ったとき。そして2度目は岩での挫折。

自分の限界を知るという経験だったということだ。

■ 引っ張りだこ

あまり登れない私がクライマーとして人気がないのと違い、先輩のA木さんは、どこに出しても引っ張りだこだ。特待生が来たと言われている。私はお荷物が来たと思われている。

ある時、彼が後輩の私を気遣って「彼女はアイスをとってもきれいに登るんですよ」と、誰かに言ってくれた。涙が出そうになった。かばってくれているのだ。

私なりに精いっぱい頑張ったのがアイスクライミングだった。それを見て知っているのは師匠のほかは、彼だけだった。最初のころの端にも棒にもかからない初心者当時の私の登攀を見て知っているのは…。

登攀は、正直、私には微笑まない。

雪では、あんなに心を開いてくれた山も、岩では、にこりともしない…。

私が単独で阿弥陀北稜をやったときは、この先輩だけはとても喜んでくれた。

たぶん、他の人は、私が失敗したほうが喜んだかもしれない。私の山が向上していくことに協力的だった人は、ほとんどいない。それでも向かい風の中を進んできたのだ。

しかし、山が懐を開いてくれないという考えは、傲慢であり、自分の能力を高く見積もりすぎているからだろう…。真実は、ただ努力が足りていないだけの話なのだろう。

それは、登山歴50年というほどの人でも、この地にきたら、やはり背振の尾根と沢を歩きつくしたのだから。何もやっていないのに、文句垂れなのは私の方だろう。

私は今、その人が汗みず垂らして歩き、地図にはどこにも毛虫マークがない岩場を発見し、開拓して掃除して、コケを落として登れるようにした油山川の岩場を、ただ道標に導かれて、歩くだけで登りに行ける。

どれだけ恵まれていても文句を言う人は文句を言うし、恵まれていなくても、文句を言わずにコツコツと積み上げる人には、世界はそれなりに答えてくれる。それが見て分からぬか、というものだ。

つまるところ、山を愛してやっていないから、山が愛し返してくれないだけだ、たぶん。

山を愛することは最初のうちはたやすい。難しいのは、逆境においても、山を愛し続けるということだ。尊い行為というのはそういうものだ。

一緒に登ろうよと言ってくれる人がいて、本当に涙が出そうになった。

もし、すべてを捧げたら、岩は、私に微笑んでくれるのだろうか?

というか、私はそもそも、そこまでの献身をできるのだろうか?

何より、それをしたいのだろうか?

それすら分からないが、それは誰かが分かっているのだろうか? 

私には、あのようなルートはないと分かった今、岩を続けて、これからどこへ向かい、どこへ行こうとしているのだろうか? 

自分自身が最大の謎だ。
比叡、大ランナウトを登攀中の私


2019/02/12

見晴らし岩

■Toprope Fix での単独登攀の練習

今日は、見晴らし岩にトップロープフィックスでの単独登攀の練習に行ってきました。

ギアの作り方を教えてもらって、はや2か月… 原理は分かるものの…調整が悪かったのか、なんだか思い切ったクライミングができないでいましたが、今日は調整も上手く行き、確保も、まぁまずまず。とりあえず落ちていない。ので、確実性があるということです。

この調子で信頼を積み上げていけば...きっとギリギリに迫ることも可能になるかも…。

今日は、ずっと登っていたので疲れました…。久しぶりに筋肉痛です。

このギアの作り方については、また後日、後述します。

■ 鬼が鼻右下岩壁

偵察に行って見つけられなかった右下岩壁…。鬼が鼻の岩場では、最大の岩場なのに(笑)

やっと見つけました。





Bouldering in the Negatives - Japan || Cold House Media 82

2019/02/11

アイスもとい比叡

■ 宇土内谷の氷瀑

宇土内谷の氷瀑を見たいと思い、出かけたら、残念ながら、氷結はイマイチどころか一切ない感じでした…。



その場合、代わりに比叡の岩場に登る、ということだったので、てっきりゲレンデだと思っていたら、れっきとしたアルパインでした~。いや~ビックリー。

 山行計画書がない=ゲレンデ 

と思っていたからです。基本的に安全のために、ゲレンデを共有してからしか、アルパインルートは行かない、というのが暗黙知だと思っていた。

そのため、アルパイン装備ではなく、普通のゲレンデ岩装備で行ってしまった…(笑)。

まぁ、3000mの山ではなくアプローチも下山も小さい山で、感じがゲレンデみたいだからなのかもしれません。

しかし、フリーで5.10cRP程度のゆとりを作って行って良かったです。私が思うには、アルパイン(ランナウトが当然の岩場)では、決して落ちれないため、登攀力がギリギリでは取り付くことができません。

現在の私くらい…大体、5.9ならほぼ確実で、5.10aは9割登れる、5.10bはオンサイト出来るものもある、5.10cはRPがほとんど、登れるものが1割あるかないか、5.11aはトップロープで登っている、というスキルレベルのクライマーが、初対面のビレイヤーと取りつくのに、ちょうどよいのがⅣ-だと思います。

■ 1日目、失われた草付き

アプローチ 一般登山道30分 11時半スタート
 1P目 リード 
 2P目 リード 
 3P目 途中で墜落
 4P目 セカンド
下降  一般登山道 30分 15:30終了

きれいに晴れました☆
でした。前述のように重たいザックを背負っての登攀になったので、1グレードアップ。初めてビレイしてもらう人とだったので、1グレードさらにアップ。

まぁ、1,2Pをリード出来たので満足。

2P目は、プロテクションが1本しかなくびっくりでした。スモールカムを持っていけばよかったです。

そして、3P目はワンポイントですが、フリークライミングのグレードの部分があり、そこで核心の前にプロテクションが取れないので、墜落というか、意図的にやめ、敗退にしました。黒く変色した悪いスラブ。スタンスが遠くて私には届かない。

”山には一か八かはない”と習いました。
そこを行けば、私のスキルでは、”一か八かになる”ことが明らかな箇所でしたので、行かないこと=正解。

次のピッチは途中までは楽勝そうだったのですが、上でランナウトしている中で核心があることが下から見て分かったので、自主的にセカンドに振り分けてもらいました。

この岩場に通っており、ここをリードするのが課題の人がいたので、その方がリードするというので、適切な判断になったようです。落ちていたら、どか落ち。

■ ローワーダウン核心の初心者君

翌日は1P目 ナックルスラブ、2P目奥の細道、懸垂で帰る、ということに。

これはゲレンデで空荷での登攀です。アイスを登りたいという初心者の若い男性が来ていたから。初心者は別のところで登りました。

しかし、岩2度目でマルチにセカンドとはいえ駆り出されており、ローワーダンすら怖がっており、やっぱり、つい最近初心者の男性50代が来てくれた時に、性急にマルチに連れて行かなくて良かったなーと思いました。

実は、本当の初心者の時は、ローワーダウンもちゃんとはできないです。私もアイスクライミングの講習で、保科さんの講習に出た本当の1回目のクライミングでは、クライミングと言うよりも、ローワーダウンを習得しました(笑)。

もうずいぶん昔のことの様ですが、その後ギアも持っていない初心者をアイスに連れ出して、トップロープでもローワーダウンがダメで、ずるずると荷物のようにおろされている初心者を見て、本当の初心者だと、懸垂どころか、ローワーダウンもダメだということを知っていたから、一目見て、どのくらいの初心者君か、分かりました。

20代のぴちぴち男子でしたが、怖がってローワーダウンには、たった1Pで30分くらいかかっていました…。ロープにぶら下がるということができていない…

私たちのパーティは全員経験者だったので、特に問題はありませんでしたが

1P目 5.11RPできるクライマーでも、1テン
2P目 岩場に慣れたベテランでも、1墜落

だったので、まぁそれなりにギリギリに迫ったかも(笑)。初対面でギリギリに迫るのは、心理グレードが上がると思うので、きっと頑張ってくれたんだろうなぁ…と思います。

私自身は2日目は、セカンドなので、登攀を頑張るのが課題でした。1P目のワンポイントは、ほぼほぼ、ジャーマンスープレックス的なものでした。そして、2P目は、核心はランナウト。

■ ダブル

アルパインでは、ダブルでの確保が主体になりますが、ダブルだと、繰り出しに余計に技術が必要です。1墜落の後は、下のセカンドは2名だったので、それぞれ1本ずつをビレイすることにしました。

ダブルロープは一本ずつ、一緒に組むクライマー同士が持ち寄るのが通常です。

私はダブルもシングルも持っているのですが、判断するには、ルートが屈曲が多いのか、それともまっすぐなのかを知る必要があり、トポが本来はその役目を担うのですが、今回は、頭からゲレンデだと思っていたのが間違いでした(笑)。

私の知っている会山行というものは、”山は一番弱い者に合わせる”、という原則から、大した山は登らないので、どこを登るか?もたいして気にせずに行ったので、シングルを持って行ってしまいました。私にとって初回の会山行だったからです。

■ 充足感を作るには?

私の満足を作るには、最も易しい弱点から、どんどんとステップアップするしかないのだろうな~と思いました。

壁を山と見立てるわけですね。一般ルートから雪へ、そしてバリエーションへとステップアップしたのと同じです。弱点からスタートし、徐々に強点へ。

 山には順番がある

と一番目の師匠に習いました。それは、逆に言えば、飛び級は危険、という意味です。

なので、飛び級をしないで登る、という教えを守っています。

ただ日本のマルチピッチだと、それがなかなか難しいです… というのは、初心者向けの低グレードのところは、ランナウトが核心。つまり、落ちれない。

落ちれるルートはないか?となると、ボルトが整備されたスポーツルートということになりますが、スポーツルートはスポーツルートで、今度はレベルが高騰化しており、高難度過ぎて、初心者が登って楽しいと感じられる課題がほとんどない。

ということで、外岩だけで成長するのは、難しすぎ、人工壁とボルダリングジムを併用し、登攀力のゆとりをつけてから、外岩に行く、というプロセスが必要になってしまいます。

岩登りを教えてください!とやってくる新人さんというのは、普通、山に行きたいのであって、人工壁に行きたいわけでない。しかも新人さんは、このような外岩事情が分からない。

ので、新人さんには、納得がいかないことになってしまいます。しかも、セカンドであっても、アルパインのルートでは、登攀力のゆとりが必要で、それがないと、行っても何も楽しくないのです…。

このあたりで、よく考える新人さんなら、ビレイを習得する必要があることやムーブは身に着けて損にならないことを考えて、人工壁やジム通いを飲み込んでくれるでしょうが、そうでない人は、新人時代に大きな遭難をするリスクがとても高いです。

今回も岩2度目で来た20代男性の新人さんには、こりごりの経験になってしまったかもしれません。登攀は難しすぎたようで、ものすごく時間がかかっていました。

それは、指導者が悪いとか、新人がメンタルが弱いとか言うことではなく、日本の岩場の現況が、岩を岩でスタートするには、危険すぎることになってしまっているからです。初級クラスのクライマーには、八方ふさがりということです。

そういう意味で、行き止まりになった時、私はラオスの岩場という解に巡り合い、本当に良かったなと思っています。ラオスでは、初級のクライマーであっても、5.13レベルの上級クライマーであっても、同じように安全に登攀を楽しむことができます。

■ 比叡でリードにデビューするに適したグレーディング

私の観察によると、前の会で会長さんが専属で育てていた女性がいましたが、その人が5.10b~cを登る程度になるまで、ルートは、3年間程度、オールセカンドでした。支点も懸垂下降も教わる前に3年をオールセカンドで過ごす、という方法論もあるということです。その後、本チャンで5.7のリードが課題になる。この方法論だと安全マージンは分厚く、フリーで(つまり支点に頼ることなく)登れて当然ということになると思います。

したがって、もし同じように安全度が高い状態で初心者時代を過ごしたいクライマーがいるとしたら、フリーで5.10b~cくらいになってから、アルパインで、5.7~5.9程度の場所をリードするのが適切だと思います。

もちろん、人工壁やトップロープなどでは落ちながら登攀力を高めていくのが正しいと思います。

■ グレードは言わないほうがいい?

しかし、不思議だな~ ということがありました。

フリーでの、5.10bや5.10cを、Ⅳ+やⅤ-がスイスイのベテランは、登れないのだそうです。

そんなはずはないのになぁ… 食べず嫌い?と思ったりもしましたが、デシマルグレードを申告して、私に登れる適切なルートは何か?をベテランでも、判断することは難しい、ということが分かりました。

その部分も自分で主体的に判断すべきということですね。大体、適切に判断できるようになってきたと思います。

それにしても、RCCのグレード感から、デシマルへ移行するのは、大きな差があり、難しいことだったのだ、ということなのでしょう…。

60代になってフリーを習得した私の2番目の師匠が言うには、まったく動き(ムーブ)が違う、ということでした。

私自身は、いわゆる登山での3点支持から、フリークライミングでの片手、片足だけのムーブ(=2点支持)への移行は、とても大きなパラダイムシフトでした。

しかし、現代のスポーツクライミングには、その先があるということも分かります。アイスでは、ドライツーリングが現代のスポーツクライミングのワールドカップのレベルに達しているクライミングのようです。

■ グレードを追いかけない

グレードを追いかけるな、という教育を受けました。

しかし、現代では初登ということはありえない。ので、ルートファインディングをどうやって身に着けるか?というのは、非常に難しく、沢が一般的には、その位置づけにあります。

が、沢は、縦走、ゲレンデ、と比較しても、もっとも危険が大きいです。自然を味わうなら、沢ですが、リスクが大きい、というので、いつでも敗退を前提にしていないと取りつけません。まどろっこしい。

そうした、まどろっこしさを回避すると、岩となりますが、岩のルートには、すでにグレードが付けられており、それは目安程度の話だ、といくら言っても、すでにあるグレードがいったん耳に入ってしまえば、それを一つの物差しにせざるを得ず、期待というのができてしまいます…。というので、”惑わされるリスク”があります。

1回目で惑わされるのは仕方がないかもしれませんが、2度、3度というのは、その人自身のミスです。

惑わされるリスクを避けるには、新しい岩場に行くときは、

”どんなに高い登攀力があっても、その岩場の最も易しいルートから”

というのが一つの作法になると思います。

V級=5.9だと思って取り付いたら、とんでもない!ということを避ける、ということです。

V級に色々な難しさが含まれてしまうのは、それも仕方のないことで、1960年代以前には、Ⅴ級以上がないので、Ⅴ級には、5.9から上のすべてのルートが含まれてしまった経緯があるそうです。もちろん、その後、Ⅵ級、Ⅶ級というグレードも発明されたようですが、グレードはその岩場に慣れたクライマーがつけます。

一方フリークライミングで、期待されているグレーディングは、オンサイトグレード。慣れたクライマーだと当然ながら、オンサイトグレードより、簡単に感じるので、グレードは辛く出るようです。その辛さ度合いも岩場によってマチマチのようです。

そうしたアルパインルートのV級を登るには、5.9ならノーピンで登れるくらい、5.11+が登れるくらい=ゆとり付きで安全、というのが、当たらずとも遠からずなことのようです。あるガイドさんは、スポーツクライミングで5.11を登れないとアルパインのためのロープワークすら教えないそうです。

ですので、現在の私が登るのに適切なのはⅣあたりでしょう。

■ まとめ
  • 基本的にゲレンデを共有してからアルパインルートは行く
  • 分からないときはダブルかシングルかを聞く
  • ”山は一番弱い者に合わせる”
  • とりあえず、マルチの場合、アルパイン仕様で行くべし(捨て縄)
  • 山には一か八かはない
  • 山には順番がある
  • ”どんなに高い登攀力があっても、その岩場の最も易しいルートから”

2019/02/05

コケ落としグッズ

今日はそこそこいい日だった☆

コケ落としグッズゲット♪ なんかデッキブラシは100円ショップのもののほうが、固くてコケ落としにふさわしいようだ。

これに加えて、折り畳み式のノコギリと、ホジホジするための棒…鉄の棒が良いがキリのようにとがっている必要はない…があれば…

岩場の整備は、基本的にコケ落としなのである。

落とした後にも泥がついており、泥が滑るので、岩がスメア可能になるほどにきれいになるには、一雨欲しいところだ。

デッキブラシの柄は、短く切って、長く残ったほうはチーターズクリップに活用しようということになった。

 これは、前回の整備で、コケとして落とした植物。

コケ落としついでに、同定しようと思い、家に持ち帰ったが、コケでは同定できなかった…。

同定できなかった理由はすぐに判別した。コケではなかったのだ(笑)。

苔のように見えて、コケではない、コケシノブという植物だった。

名前すら苔のようだが、シダ類。コケシノブ科コケシノブであるようだ。

なんだ~しのぶだったのか、と。

シダも、コケも同定の講習会に出たことがあるが、まったく検索以外に同定力は上がっていない(笑)。

植物の同定は同定博士にお任せするに限るなと思った次第。