■九州クライミングのこと
故・杉野保さんの『オールドバッドゴールド』(https://amzn.to/3167pnB)が書籍になっていますが、それによると、新原さん九州クライミングの父、柏木さん=九州ボルダーの父、みたいな位置づけです。まぁ、歴史なんて、後から見る人の見方で、後から見た人が全体像を分かっているとは言えないかもですが…。
リードクライミングでは、九州のアルパインの伝統は、一言でいえば、”ランナウトに萌えるぜ”です。まぁ、基本が花崗岩なので、つまり寝ているということで、ランナウトと戦わなければ面白みがなかったのかもしれませんが…。勢い余って、現代のフリークライミングでも、その論理を貫いているので…。初めて取り付く人は、課題設定者がもつオリジナルグレーディングを思ったほうが良いです。正しくビレイしていても、落ちれば致命傷になる課題もあります。間違っても国際グレードではありません。国内標準グレードであることも、むしろ珍しいケースです。
ランナウトに萌えるぜ!が基礎的価値観の場合、ボルト連打が始まるグレードがその開拓者のギリギリグレードです。それを思うと昔の開拓者は、非常に登れる人ばかりだったのだと分かります。
私がご一緒していた当時74歳の米澤さんのボルト連打が始まるのは、5.12以上からでした。5.12をギリギリRP中の先輩、現代的なグレーディングで登っている人…が1本目からハングドッグ状態でした。一方、現代の若い開拓者は、10ⅽからボルト連打…。岩がもったいないので、もう少しレベルアップしてから、ボルト連打、始めてもらいたいかもです…。現代の開拓クライマーのレベル低下がうかがえます。(適正ボルトとは言えないという意味です)
■ アルパインルート
九州ではアルパインは、リムーバブルプロテクションではなく、なぜかボルトルートです…。いわゆる穂高みたいな高い山のルートがないため、と思いますが、アプローチが非常に短い、車から降りてすぐ登攀、というのが特徴と思います。
年配の人が多いためか、マルチピッチが多いというのは良い特徴のような気がします。
リード課題は、日向神が数の上では多いですが、本州では、もはやお払い箱になっているホームセンター手作り終了点が今も現役で、またアンカーではなく、プロテクションのほうも、どう解釈したらよいのか分からないオールアンカー一体型プロテクションなどが一杯です。
怪しくて評価しようがない、分からない、のには登らない、ということになると、登ることが可能な課題は、多くの人が登っている人気課題ということになり、おのずと限られてきます。17mmのレンチを持っていき、不適合なボルトの課題は、パスするのが無難です。グージョン以外で、ハンガーがついていることがあるためです。
これは、日向神以外でも同じです。悪い見本を真似している人が…がいるようです。
■ボルダー
そうした人的影響から逃れられるのが、外ボルダーです。
外のボルダーを登っている限り、平和ですので… ボルダーを頑張るのが一番おススメ。
あとは人工壁ですかね~。A級セッターの徳永さんと言う方もいて、良いセットで知られています。
ボルダーの岩場数は、かなりのものです。特に宮崎の日之影。世界的クライマーの小山田大さんの貢献が偉大です。
■ 大怪我のリスクが高い時期=事情が分かっていない時期
とにかく来てすぐのころが、”RのついていないR課題”に落とされて、大怪我のリスクが一番高いので、気を付けられてください。
実は、九州の地元の人も大怪我しています。誰も公表しませんが…。日本フリークライミング協会の影響の外にあるので、怪我や事故の数字が報告されず、誰にも実態が見えないという状態にあるため、です。
■ ロープワークのレベルが低い
ランナウト前提の岩場という性格が引き起こした悲劇と思いますが、九州出身のクライマーで初心者はトップロープしかできない人もまま、います…。 セカンドでもロープワークゼロで付いて歩くだけ、が当然でしょ、という教育方針で、あまり本州では受け入れられていないかもです。一般的に、マルチに行くなら、セカンドでもロープが上がらない場合の自己確保での登攀と、トップが落ちた場合の確保、レスキューの要請のための懸垂下降程度の最低限の知識を持っていない人はセカンドでも連れて歩きません‥‥が
九州では、当然のように初心者でローワーダウンすらできない人が、セカンド。トップだって、懸垂で地面にロープが届いていない…というわけで、
初歩の段階でロープワーク技術を教わっておらず、ビレイも先輩が落ちないところしか登らないので形だけ、という人がまま見受けられます。
そもそもクライミングシステムを理解せずに登っているセカンド限定の人多数です。
そのような人は、トップの人の言うことを聞いていれば自分の役目は果たしていると思っているので…、クライミングのみならず、運転から、何から何まで、お荷物人材で、なおかつ、なぜか偉そうです。
■ 古色蒼然としたビレイ
同じ理由だと思いますが、クライマーは落ちない登りしかしないので、年配者のビレイは、ほぼ100%間違っています。
支点ビレイ、ATCなのにグリップビレイ、お座りビレイ、2m以上壁から離れたビレイ、挙句は人工壁なのに肩がらみ…と、”やってはいけないビレイの見本市”みたいなことになっています。
そうでない確実なビレイヤーを見つけたい場合、人工壁で見つけることになりますが、人工壁でも、うーん…1ピン目からロープが90度も屈曲したようなビレイをしている人が指摘をされても、頑固に意見を変えなかったりします。
終了点で、角度が30~60度でないと、荷重が分散されないことは、よく知られていると思いますが…同じ原理を1ピン目に与えると、ビレイヤーの立ち位置は、壁とビレイヤーが出しているロープの角度が半分の15~30度になることは分かると思います。それ以上大きくなるとオイラーの法則で、衝撃吸収がなされなくなってしまいます。
ので、どこに立っているか?で、大体はビレイヤーが、どれだけよくクライミングの安全を理解しているか分かります。セカンドオンリーなので、ロープドラッグの経験がない人もいます。特に大きな人でセカンド専門で育てられたクライマーは、要注意です。バッツンビレイの衝撃を理解していない人も多数です。自分は落ちて快適だからですね。それは下の小さいビレイヤーがボディで衝撃吸収している訳なのですが…。それを初心者ではなく長年登っていても、理解していない人も多数です。
以上が、私が経験から見出した九州の実態です。新しく来た人の参考になれば…です。
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