2020/01/15

プライドで登るな!

■ セクハラ

クライミングという活動をするようになって、人間関係に悩むことが多くなりました…

私はお世辞にも、恋愛経験が豊富とは言えませんし、最初の恋人はアメリカ人で日本人ではないので、日本的感受性とはかけ離れた考え方をしているのかもしれない?と不安に思うことが、クライミングを通じて多々ありました…。

例えば、どう見ても、ただの知り合いレベルの人に、面と向かって「浮気したい」と言われるなどです。その人は山岳会の先輩なので社会的に失礼な態度が許容されるような、全くの初対面とは違います。それでこれが許されるというのは、まったく理解の範疇外でした…私は社会で何か大事なことを学び損ねているんだろうか?と。

■ 経験者

私は長女なので生まれてすぐは親の愛を独占することができました…ので、次は弟、次は妹に、母を譲らないといけない、ということは、自覚があり、積極的に親の愛を兄弟と分かち合おう、という意識が小さいころからありました。

ところがこれをクライミングパートナーである師匠でやると、パートナーは不安に陥るようです。不思議。誰だって、非常に経験豊富な人が必要な時期があります。

初心者時代です。いわゆる幼児期と同じで、何が危なくて何が危なくないかよく理解ができていないので、ビレイもベテランにしてもらい、基本的なリスクの避け方を下から指示してもらいながら、登ります。

私がこれをしてもらったのは、日向神の東稜で、とても感謝しています。これがないと、リードは取れるようにならないと思う。

■ 迷ったらハードプッシュ?

なぜなら行き詰まった時に、エイドを出すということを知らないと、「迷ったらハードプッシュ」ということになり、それは、18歳男性大学生には有効な戦略かもしれないですが、そのほかの人には、9割落ちることが確実な戦略になってしまうからです。

「迷ったらハードプッシュ」が、マルチで許される人種は特殊な人種です。潜在化した体力が十分以上あり、家族がおらず、怪我をしても回復が早そう、みたいな。

プライドで登っている人は、ほとんどがもれなく、他の戦略を検討せずに「迷ったらハードプッシュ」です。これは落ちても死ぬことがない、スポーツクライミングとフリークライミングにおける態度をアルパインに持ち込むことですが… そういう人だとレスキューをしてあげる立場になる可能性が高いので、一緒に行く人はレスキューの能力を磨いておいた方がいいかもです。 

とはいえ、ピンチになった時に自ら負けを決め込むような人だと、これは困りますし…。

以前、雪山の仙丈ヶ岳に行ったとき、ガスが広がってきたのに、夫がスピードを速めて歩けず、彼はこのクラス以上の山に行くことはできないと悟りました。そればかりか、わざと下山を遅らせ、山行を困難にさせるような態度を取りました…小さなエゴ(拗ねる)と命を天秤にかけた時、エゴが勝つような態度だと山には行けない。

■ いい加減なグレード

九州では、5.12が普段登れる男性が5.9でスカイフックを出して、登っている姿を見ました。それくらいグレーディングはいい加減です。アルパインのトップというのは、特殊な立場なので、それ用の専門教育…考え方も含めて…を受けていない限りは、トップを見栄で登るのは、考えものです。

そういうことを知らず、知覚もないまま、初心者時代に組んだ男性パートナーは私をセカンドでアルパインに行きたがったので、ほんと師匠に止めてもらって良かったなぁ、と思っています。自分でも危険を察知したので、わざわざガイドを雇って自分がルートを下見し、まるで初めて行くかのように、それとなく相方をミスから救って、その山行での失敗から身を守ろうか?と考えたことがあるほどです(笑)。

■ プライドで登らない

一歩一歩登っても、山は山だし、すごい山に登らなくても、山は山という環境だけで素晴らしいので、ルート名で感心するような人たちの集まりには行かない、というのが身を守ります。

前に、ある会に入会するときに自分の力で行った単独行の甲斐駒黒戸尾根厳冬期…日本で一番標高差があるルートです、滑落の危険もあります…とか、ソロの厳冬期阿弥陀北稜…厳冬期アルパイン入門ルートです…単独で初見はやる人少ないです…や、リードで行ったアイスの峰の松目沢が評価されず、セカンドで行った白亜スラブが、すごいすごいと言われたので、その会は何も分かっていない会だと思いました。その会は地元ではもっとも栄誉ある会とされる会でした。取り付き道路から徒歩1分の外岩と、本格的な山で厳冬期ではリスク何倍も違います…