■悪意あるコメント
さて、「〇〇さんは、A木さんと登りなよ」という悪魔コメントを考察します(笑)。
思考実験です。
A木さんがどのような人か分からないと、話にならないようなことなので、説明しますと、こちらの登攀でリードクライマーを務めた方です。
白亜スラブ https://allnevery.blogspot.com/2019/03/blog-post.html
彼は、”〇〇クラブで一番死に近い男”と言われていたのでしたが、当時は私の周りはみんなまともなクライマーで、その言葉の意味は、「気の毒だから、用心して見てやって」って意味でした。当然、私はその言葉の意図するところを本人もわかっている、と思っていました。
さて、彼は、基本的に、気のいい奴、です。単純単細胞でもとくにあると思いませんし、その辺にいる普通の人って感じですね。たぶん、普通である、と評価されることを自分の大事な価値観にしていそうです。みなと同じが好きな人種というかね…。
なので、悪い人か?というとそういうことではありません。あるいは、思いやりがないとか、そういうことでもありません。
例えば…
・わ!とコケコケのルートを見て私がビビったら、リード変わってくれた
とか
・遠征先で、一緒に宴会
とか、結構仲良くやっていました。私は別にその時は、宴会より、ヘルシーなテント泊がいいなっては思っていたんですが、彼の側からすると、一緒にテント泊するのはいやだろうし(当方既婚者です)、まぁ妥協して宿泊。宿に泊まるなら、どうせならお食事たのしみたいですよね。
まぁ私には、彼は弟みたいな感じでした。やんちゃ系というか、たぶん分かっていないことが分かっていないんじゃないかね?みたいな?
それで、師匠とやってるレスキューの講習会に呼んだり、インスボン、足のケガにも関わらず、一緒に連れて行ったり、結構必死で、セーフクライミングの世界に触れさせようと頑張りました。通じなかったようですけど…
で、思考実験ですが、理想のパートナーがいたとします。
・イケメンで、ツヨツヨ
・遠征費用は全部出してくれ
・ビレイを喜んでしてくれ、確実で
・重たいものは「持とうか?」とか気を使ってくれ、怪我をしたらレスキュースキルがある
とします。
それで、上記のルートのようなリード能力…
・ロープ長をそもそも計算する能力がない
・カムのセットがええ加減で、3つ飛んでしまう
・カムのセットがええ加減で、ロープドラッグしてしまう
・マルチでリードさせたら、ロープアップされない
・反省する能力がない
としたら、どうします? 一緒に登りたいです???
これ、下手したら、二人とも、さよーならー系ですよね。
ま、理性がある人がみたら、誰がみてもそうだな。
二人とも、ということで、ビレイしかしないとしても、自分も一蓮托生、運命共同体。そうでないとしたら、リードしている相手がピンチになるか?というと?
当人は登れている気なので、痛くもかゆくもなく、今後反省する機運…自己を振り返り、どこが悪かったのか?理解するチャンス、機会があるか?というと… ほぼフリーソロ状態で登れている限り、チャンスはない、ですよねぇ?
ロープってぶら下がらなければ、命綱としての重要性には、いつまでたっても気が付けないものです。
最初から登れちゃう人は、このリスクがありますね。
つまり、フォローの立場に立たなければ、意味が分からないってこと。
自分自身が、待てど暮らせどアップされないロープを前にしないと学習できないってことです。
とすると、リードするだけで、フォローしない人には、リードクライマーのミスはみえない。フォローがカバーしているミスがいっぱいあるってことです。
だから、クライマーは、最低5年はフォローで過ごすように伝統的には設定されているわけです。
しかし、自分がミスをカバーしてもらっていることに気が付かない人と登りたいです?
それ以上に、こちらの命がかかるんですけど、お金や親切や名誉?の代償に命を差し上げたいです?
いっくら、
優しくて(別に相方は特別優しくはありませんでしたけど…)
イケメンで(別に相方がイケメンだったと言っているわけではありません)
お金持ち(別に相方とはいつもワリカンでしたが?)
運転してくれ(全然半分運転してますけど?むしろこっちが遠くにいるんで運転負担は大きい)
だとしても、
その人に我が命を差し上げていいと思います?
私は、思いませんね! 何億とかいうお金をもらったとしても。
彼が何かをしてくれなかったかと言えば、私の岸良のビレイをしなかったことは、まぁ彼がどういうギブ&テイクを公平と考えているか?ってことが分かったので、それには異議が当然ありますが(ビレイは変わりバンコでしょ)、特に性格が悪い人だったとか、そういう風には思っていません。
しかし、
男尊女卑の思想 & 自分の力量を正確に見極めることができる能力がない
はあったと思います。
いくら危険なこと、ヒヤリハットを経験しても、それを自分で気が付く能力がなければ、進歩がありません。
永遠に、何十年クラックを登り続けても、カム3つ飛び、4つ飛ぶってことです。
それでも、ロープテンションするような登り…ギリギリへのトライをしなければ、別に登ってる本人は気が付かないで済んでしまうのが、ショートでのリードなんですよ。
特に、オンサイト出来た!と思ってしまえば、自分のミスに気が付くことができません。
ボルダーなら、なおさら気が付く機会ないですよね?
■ カムセットを最初に完璧にするべし
ということで、この私の小川山レイバック…
https://stps2snwmt.blogspot.com/2015/12/blog-post_5.html
カムエイドで降りてきた記録ですが…初心者で取りついてしまって、危うい記録なんですが、今振り返ると、
初期の段階で、カムのセットの大事さを学ぶ機会
としてよかったな♪って感じです。登れちゃう人は、こういう経験を積み損ねるんでしょう。
この時もいざとなれば、カムエイドで降りればいいから…と思って取りついたんでした。
カム効きすぎて、取れなくなり、取るのに1時間くらいかかったんでした(笑)。
■ 組んではいけないパートナー
第一に 自分のクライミングを反省してより良いクライミングにしていくことができない人
第二に 思想的に危険なほうが良いとリスクを拡大する一方の人
の二種類です。
原理的に、両方共、無自覚に死に向かっていくだけのことになります。
クライミングは、リスクを負わなくても、ただでもリスクを内包する活動ですので、危険なことをしています。危険なことをしているのに、危険に無自覚に扱えば、それは死のリスクをつりあげるだけの活動です。
愚かな死に方をしたい人にはいいかもしれませんが、私は違いますので、安全・非安全の選択肢が示された場合は、私は、かならず
安全
を取るタイプです。もう、彼には十分良くしてあげた、というのが私自身の感想です。
参考:誰をビレイパートナーにするべきか?
https://allnevery.blogspot.com/2021/05/blog-post_87.html