2023/09/20

【クライミングの安全管理】誰からクライミングを教わるか?

■ トンデモクライマー=友達からクライミングを習った人

ということが、カナダでも起こっているそうです。

結局、クライミングをきちんと教える教育機関が足りていないのです。

ちゃんとしたクライマー=教育機関から習った人

だということが分かりました…。カナダのクライマーが裏でこっそり教えてくれた☆

■ 教育されていないことがギアで分かる

ロープもっていません、ATC持っていませんという、クライミング歴10年のゲストクライマーに対して、どうしたらいいのか、わからなかったので、「みんなはどうしていますか?」と海外のクライマーのコミュニティに相談してみました。

すると、なんと、その相談自体が、ちゃんとしているクライマーとそうでないクライマーを切り分けることができる質問だと分かりました。

■ 難しい点

難しいのは、旅行中、ギアをフルセットで持ち歩く人は誰もいないってことです。

しかし、ロープなしって…。ロープって肝心かなめのギアで、無いと話にならん!って奴です。

しかし、お互いに

 既に信頼関係が確立しているパートナー同士

ならば、「〇〇ちゃんは、今回はロープ免除ね~」となります。なんせ、別によけいにあっても、重たいだけなんで。

私はアイスクライミング出身ですが、師匠と登っている間、自分のロープで登ったことはめったになかったです。それでも、毎回、自分のロープはザックに入っているのですが、ただの重石です。私のリードの時は、当然、自分のロープで登りますが。やっと出番がきたーって喜ぶ感じです。

なんせ60mを2本連結するより、120m一本のほうがノットによる連結がない分、技術的に楽で、リスクを回避できるのです。

一般の岩場でも、きちんと教育を受けたクライマーなら、自分のリードしたい課題が何メートルなのかを調べ、その課題の長さに適したロープを岩場に持ち込みます。日本では、かつては50mで十分でしたが、最近は60mが必要なことが多いです。

■ ロープ免除ね~と言われても…

さて、ロープ免除ね~と言われても、クライミングガイド並みに気の利いた人なら、30mくらいの軽量なものをひっそり忍ばせているかもしれません。ロープがスタックしたりした場合のバックアップに役立つからです。

あーあ、ロープひっかかっちゃったよ~と言うようなとき、「ロープあるよ」と出してくれると、「まぁ!かっこいい殿方!」ってなります☆

■ ロープなしは許せてもATCなしは許せない

さて、海外のクライマーグループでも、ちゃんとしたクライマーたちからは、”ATC持ってこない奴は、スルーしな~”というアドバイスでした。

しかし、7割は、ロープなしでいいじゃーんっていうクライマー同士の好意をあてにして登ってきた人たちでした…。

人の好意をあてにして登ってきても、別に登攀グレードは上がりますから、グレードはそのクライマーがちゃんとしていることの証明には全くなりません…。

クライミンググレードは、その人の何を示したことにもならない。

しかし、特筆すべきは、そのような、いい加減なコミュニティ内でも、

 ATCなしは許されない

ということです。もう、これは、どんなゆるゆるのクライミングコミュニティにいても、アウトみたいですね。

■ 無意識下の前提をチェックする

それよりもギアを持ってこないとか、その人の口ぶりとか、非言語のコミュニケーションのほうが、どういうクライミングをする人か?ということを如実に表しています。

今、私が研究中なのは、この無意識の前提について、です。

前提=無意識です。

事例:

 ・ロープもって来ない = 誰のロープでも同じで、100%安全だという無意識 

             → 実際は違う

 ・ATC持ってこない = どのATCでも同じだという無意識 

           → 実際はロープとATCはセットで相性と言うのがあります。

             相性以外にも適切な径というのがあります。

ATCを持ってこないということに関して考えられる別の前提は、

 ビレイをする気がない

ということです。たぶん、こちらのほうが、クライマーから総スカンを食らう原因ですね。

ビレイはクライマーの義務であり、ビレイヤーはクライミングギアです。

あなたは、ビレイヤーとして選ばれる立場であり、選ばれない限り、登れません。

■ みんなでワイワイ登る?

ダメクライマー事例に多く見られるのが、

 みんなに交じってワイワイやるクライミング

です。理由は以下です。

事例:

某登山学校が、凍り付いたロープでアイスクライミング講習会をしていました。ロープが、かりんとうのように凍り付いていました…。これはNGです。

みんなでワイワイっていうのは、クライミングのリスク習得に最も不適切な関係性かもしれません。

というのは、多くの人がやっているからいいか…とか、たぶん、安全なのだろう…と言う風に、クライミングに課す基準が甘くなってしまうからです。

ロープが凍るのは、岩のロープをアイスに使うため、です。岩でけば立った、毛羽に雪がつき、凍結します。すると、ロープが凍ってしまい、ビレイでグリップ効かなくなる。これはしょっちゅう起こります。

こういうのは、少し基準が緩んだら、その時に事故になるのではなく、あとで事故になる。

例えば、ソロで登っているときに、ちょっと古いロープで、凍り付いたけど、「まぁ、大丈夫やろ~」とトップロープソロをしてしまう…とか。

それで落ちて、ギアがロープを噛まず、グランドフォールした師匠でした…。しかも、そういう時に限って、周辺にいっぱい人がいるのに、自分が死角に入ってしまい、見えないことになったそうです。しかも、そこ、携帯も入らないし、-20度。腰椎骨折の大けがなのに、発見されるのに時間がかかって、九死に一生をとりとめたそうです。

それ以後、彼は、ロープには細心の注意を払い、ロープはコーティングがしっかりしたアイス専用ロープで、クライミングしたのちは、コーティングを補うために毎回コーティング剤を塗布していました。私もその習慣に習っています。

そんなのアイスクライミングの事情じゃーん、普通の岩場ではいいじゃーんって思っていますよね?そこのあなた。

■ ロープとビレイデバイスのマッチング

岩場では、特に重要なのは、ロープの直径とビレイデバイスのマッチングです。

私のシングルロープは、安物ではないです。私の軽い体重でリードするのに、ベストマッチにしてあるので、しなやさに投資しており、すこし高いロープを使っています。一般に誰でも登らせるようには、痛んでも気にならないような安物を使います(笑)。安かろう、悪かろうですが、トップロープしかできない人を岩場に連れていくのに、いいロープなんて要らない。

しかし、私のロープはしなやかなので、体重が重たい別のクライマーがリードするには、伸びすぎます。ロープがどれくらい伸びるかで、ビレイの機微も違ってきます。

ロープも痛むし、その重たいクライマーも安全にはなりません。

■ なぜロープに無頓着なクライマーができてしまうのか?

とはいえ、岩場に出てしまうと、パートナー保護の原則から、ロープ保護より、パートナー優先になります。当然ですが、パートナーの生命保護が前提ですので、ロープを濡らしてしまったとか、特殊な事情が起きたら、ロープを貸さなくてはなりません。

そのリードが下手くそで、私のロープを岩角にこすりつけられて、外皮が剥けてしまおうが、墜落率2の落下でロープに超負担のある登り方をされようが、それで文句をつけるクライマーはいません。

したがって、自分がロープを差し出す側に立ったことがないクライマーは、ロープを差し出す側の負担については、無自覚です。たぶん、シリアスなクライミングをしたことがなく、順番で、コロコロトップロープさせてもらうような登りしかしたことないとそうなるかもしれません。

ちょうど、車を借りるのが無料だと思っている人と同じことです。車には、維持費と言うものがかかっていますが、借りる人は無自覚なのと同じことです。結局は、感謝されないどころか、お断りすると、ケチ!と、逆に逆ギレしてくるほどです。

これは一事が万事で、以前、ギア丸ごと貸し出しで連れて行き、2度目はお断りすると、逆ギレされました。

人の懐で遊んでいるだけでなく、人の懐でリスク管理もされていることに無自覚です。

そういう人の前提は?

 私の安全は、他の人が保証してくれるのが当然

です。そういう人は、何か事故があった時

 お前が悪い

と言ってくるでしょう…。ユージさんが訴えられているように、です。30年も登っていたら、ボルトは崩壊しなくても、岩が崩壊することなど、とっくに知っているはずです。

師匠は、猫の頭ほどある鉄のプレートの懸垂支点ですら、信用していなかったくらいです。

要するに30年も登っていて、初めて岩が崩壊したのなら、その程度のクライミング内容のクライミングしか、今までやってこなかったのかもしれませんね?

というような厄災事を事前に避けるには、こういうことに

  想像力が及んでいない段階のクライマーを避けること

です。

ということは、想像力のトレーニングが、クライマー業界に必要なトレーニングなのかもしれません。

というのは、自分が登るためのギアは自分で持つ、というのは最低限のマナーです、といくら口を酸っぱくしても、マナーなんて、誰も聞かないからです。むしろ、マナーを強調したら、逆に持ってこなくなるかもしれません(笑)。

■ お断り文面

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I had canceled XX cragging with my friends. It is too risky to take you there, and the crag only needs a good reputation for local tourism, not a risk.

You have made it clear that you have no intention of bringing your own rope.

Well, I can compromise, but you have neither an ATC nor your own belay device.

I cannot compromise on that. I've already had enough trouble to know that Japanese crags are not like overseas ones; they require a certain mentality to be safe. Otherwise, you are risking your life.

I cannot put you in such a position without knowing what's going on.

I am so sorry; it was my misjudgment that I misunderstood you as an independent climber. My judgment is that you don't have the readiness that our crags require.

This is an HP for finding a climbing guide. I hope you have good luck!

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