■ 老兵は死なず…
じゃないんですよね…。 誰でも年齢が上がると、視野狭窄に陥ってしまうもの…
年配の開拓者は、ご本人は気が付いていないですが、
若い人に開拓の場を譲ってもらっている
ということを知るのは、残酷かもしれませんが、真実です。
参考記事: https://allnevery.blogspot.com/2020/03/blog-post_23.html
1980年代ならいざ知らず、2023年の現代でもカットアンカーを使い続け、適正グレードが分からないからグレードええ加減&適性ボルト間隔も分かっていない…のに、一度打ったボルト位置は変更不可能という不文律があるクライミング業界で、限られた貴重な岩資源に新しいルートを引く…って、貢献じゃなくて、迷惑行為に、むしろなっているってことなんですが…。
現代では、海外経験が豊富で適正グレードが分かり、不可能と言われた課題をフリーで登れる若い人は、ちゃんといるんですよ。生活のゆとりがなく時間が限られているだけで。
誰だって若いときはそうでしょう…
年を取って、家庭にも居場所がなく、クライミングが唯一の生きがい、と言う生活を送っていることが、容易に想像できるご高齢の開拓者に、迷惑行為なんですよ…と面と向かって言える人は、通常いません…。
なんというか、というと?
「限られた岩場資源を守っていきましょう」
と婉曲表現します。
「岩を傷つけるのを辞めましょう」
とか。
大ランナウトなど、ロープの意味のない打ち方をしても、そのボルトは落ちれない箇所にあれば、ただの気休めでしかなく、むしろあるほうが自然破壊になります。
適性ボルト以外の、どんなボルトもあるだけ、逆に落ちてもよいという心理が働くので、逆に危険です。
ただ、昔からの習慣と無知で、カットアンカーによる開拓を続けてしまっている場合、あるいは、適正ボルト間隔を身に着ける機会が、生涯なかった人が打ち続けている場合、これまでの習慣を改めるのは難しいかもしれません。
明日は我が身、ということで、儒教の伝統がある日本の若い人は、年配の人に対して
「そっとしておいてあげよう」
と思っているわけです。現代クライミングの内容を理解せず、古い価値観(エイドクライミングでのアルパインがアルパインの前提になっている)を先入観から持ち続けたまま、
「あいつもまだまだだな…」
と若い人の登攀を雑誌で見ても、思ってしまっているんだろうなぁ…と思います。たぶん、トップクラスの登りの意味が、もはや分からない…ってことなんですよね…。昔はエイドが前提だからです。
その意味では、青ちゃんはちゃんと現代レベルのすごいクライミングを、いかにすごいか?が理解できていない状況には陥っていなかったので、えらいなと思います。
こちらの年配者は、最低ラインを5.12に設定するフリークライミングを基礎力とした、現代アルパインクライミングを理解していません。だから、
結果、
老兵は死なず…(というナルシズム…俺も頑張らねば)
(一流クライマーを見ても)あいつらはまだまだだ…
という心境に陥るものと思われ、それが
俺が開拓せにゃ誰ができる
という、事実誤認に基づく使命感につながっている、ということが言えるように思います。
なんせ、トニーの登りを見て、昔のアルパインクライマーは、未知じゃない、と言ってバカにしているんですよねぇ…。あなたたちが登れる未知のラインはつぶし切ったんで、今の若い人は困難を課題にしているんですよ。それもひと時代おわって、今では、困難を基にする課題すら、枯渇中です。そんな中で、登攀力の落ちた人が初登ルートを開いても…(汗)。
現実は、若い人に岩資源を譲ってもらっているんですよ。