クライミングの初期のころ、
けつを歩いてくれる先輩が良い先輩だ、
という指導を受けました。
大体山からスタートした人は、トップを登る(リード)が好きなもの、だからです。なんせ一人で山に行っちゃうくらいってことなんで。
しかし、同時に
嫌がっている人にリードを無理強いしてはならない
というのも教わりました。 この2番目のは、大体は守られていません(笑)。
■ 初心者に何を登らせていいのか、分かっていない指導者が死亡事故を作る
一般にクライミングの初心者が、
自分が何を分かっていないのか、分かっていない
っていうのは、大体許されます。どこの世界でも、初心者ってそんなもんだからです。
しかし、
会を率いていたり、開拓者名簿に名を連ねるような人
が、昨今では
分かっていないことが分かっていない、
ということが、九州に来てわかりました。
そのため、本来初心者が取りつくべきでないところに、「〇〇さん、ここを登ったら?」と取りつかせている。そのため、事故が減らないってことなんですね。
もう、これ、世紀末的症状ですね…。
私は師匠の青ちゃんとは、クラックのリードをめぐっては喧嘩しましたが、それは、私に危険なことを無理強いしようとしたからです。そのような喧嘩ができる心理土台(信頼関係)が、彼との間にはすでに築かれていました。ですので、喧嘩ができる。
つまり、上下関係はなかったということですね。格下の私が自己主張して、自分の身は自分で守るということをできていたわけなので。
■ 境界線の侵略=怒り
怒りというのは、個人の境界線を侵されたときに沸き起こるもの、です。
境界線侵略の最たるものは?
殺されるー
です。命は一個で代えが効きません。その場合に、正常な怒りが必要です。
九州では、単純に、
40mノーピンを新人に勧めるということが、殺人に匹敵する境界線の侵略だという自己認識がない
のでしょう…。
クライミングは、いい加減な気持ちで取り組めば、死に至ることがある活動だ、という自覚がないのか?
それとも、それは知っていて、自分が危険に陥りたくないために、右も左も分からない新人にリードさせたいのでしょうか?それなら、なおのこと、たちが悪いですね。
自分にはもうリードする能力がない、だから、誰かやって…というのは、年をとればだれでもありますから、それは許されるのではないかと思いますが、それなら、普通に”お願い”すればいいだけです。
■ 「〇〇さんなら登れる」のおだてに弱い人は要注意
良く使われる話法が、「〇〇さんなら登れる」です。
おだてに弱い人は用心しましょう。
実は、おだてに弱い=自尊心が低い、という心理法則があります。
あまりうがった見方をする必要もありませんが、大ランナウトしたルートでリードクライミングがこなせるかどうか?というのは、
属人的スキルではなく、登攀力のゆとりの量次第
です。誰であるか?は関係がありません。
つまり、5.6は、5.10aが登れる人は、まず落ちません。(その5.6のレーティングが正しい前提で)
5.9を安全安心に登れる登攀力のゆとりは、5.12です。(日本のルートの5.9には、5.2~5.12以上の全部が含まれるからです)
これが、あなたなら登れる、と言われてしまうと、”俺”が登れて、”俺”がすごいという属人的スキルのことだ、と言う風に勘違いしてしまう人が現れます。気を付けましょう。
そうでないと、ただフォローで安全安心に登りたい人に、利用されてしまいます。
■ 現代の若者 5.12は普通
現代の若者は利用されがちです。
現代の若い人は、昔、5.9の外岩を登るために必要十分のスキルのゆとりだとされた、5.12は、すぐに登れてしまいます。ので、ほだされてリードに進むと思いますが、リード能力には、登攀力だけではない、ほかの能力が、いります。
他の能力って?そこのところをきちんと説明できる、言語化できる年配の指導者には、私は会ったことがありません。
最初の師匠は易しいルートに連れ出して、私に盗ませようとしていました。二番目の師匠は、セカンドで登りながら、観察によって盗ませようとしていました。これが王道のようです。
この王道は、鈍い人だと、ただ楽しー!だけで終わってしまって、何にも学ばないです…師匠が作った支点を見て、見て盗むって、余裕がない人にはできないわけです。
■ 日本にはロッククライミングの指導者マニュアルも資格もない
海外ではきちんとロッククライミングの指導者向け講習があるようですが、日本では、日本フリークライミングインストラクター協会の資格取得以外は、
指導者になるための学習カリキュラムがない
です。
結果、この資格を持たない人、山岳会で年齢が上だから、前からいるから、と言う理由だけで後輩にクライミングを教えることになってしまうのが、日本の現実です。
これは、言うまでもないですが、うまく行っていない現状です。これまで通りのことをやり続ける限り、この現状は変わらないでしょう。
■ 若者は利用されがち
自分はもう年を取ってリスクを取りたくない、つまり、リードでは登りたくない、登れる若者を利用したいと思う人がいた場合、たぶん、ビレイで自分に依存するように仕向けてくるでしょう。
「僕、〇〇さんのビレイでしか登る気になりません」
みたいなのが、期待となるはずです。
私の提案は、年配の人は自分が登れるようなところを登ったらどうですか?ということです。アドレナリンジャンキーになっており、易しいところでは萌えないのかもしれませんが。
■ 一般的には、クライマーは、リードを覚えるより先に、ビレイを覚えるほうが先決です
自分の命を守るのが先か?人の命を守るのが先か?みたいな卵と鶏の関係ですが、ビレイができないクライマーと登りたいクライマーはいない訳なので、ビレイが先だと私は思います。
そして、ぎりぎりのリードをしている人のビレイをしなくては、ビレイは身に付きません。
こちらのユージさんの登攀では、ぎりぎりのリードで、ユージさんがビレイに守られている状況を見ることができます。
https://allnevery.blogspot.com/2023/08/yuji-hirayama.html
フリークライミングで必要なのは、このような登攀のビレイで、落ちないアルパインのルートでロープの端っこを持っているだけのビレイではありません。
9割以上落ちているのがフリークライミングなんですよ? RPでグレードを上げるっていうのはそういうことです。
■ 古いクライマーのビレイが悪い事情
アルパインクライミング、ましてや、アルパインが全部エイドクライミングだったころのクライマーができるビレイと言うのは、
落ちないクライマーのロープの端っこを持っているだけのビレイ
です。古いクライマーは人工壁での落ちるクライミングをしていない人が多く、また、していたとしても、自分の古いビレイスタイルが、全く不十分なビレイだと分かっていない人が大多数です。
壁から、2mも3mも離れたビレイをしています。指摘しても、言うこと聞かないです(笑)、それは確かに人工壁では、びったんこビレイをしても、ビレイヤー本人には痛くもかゆくもないからです。なんせロープに衝撃きません(笑)。それ自体が間違ったビレイの証なんですが。俺はこれで40年安全に登ってきた、と言い返してきます。
それは、本人が、リスクをビレイされている側に転嫁してきたってだけです。我慢しているのは、ビレイされているクライマー側です。
まとめると、ビレイヤー側の無自覚、クライマー側の我慢がセット販売になっています。
父子で登っていたりすると、子供の側は父親のビレイがまずいビレイだとなかなか気づけないです。機能不全家族と同じですね。山岳会でも同じです。
■ 5.9で落ちたクライマーを馬鹿にするクライマー
山梨にいたころ、同じ山岳会にいた女性クライマーで、国体にも出た若い人が、外岩5.9で落ちていたんですが…
フリークライミングで、5.13が登れるという人に、えらいバカにされていました。
私は?というと・・・
その人が落ちた5.9って、ほんとにナインなのかなぁ…
と思っていました。私は行ったことがないルートだから、分かりませんが。これが正しい認知だと思います。
だって、その人、山梨代表で国体に出たほど、クライミング上手なんですよ?それで落ちる場所って…ナインじゃない可能性のほうが高いんじゃ?
外岩5.13だと、その外岩の5.13は評価が確立している5.13ではなく、もしかしたら、お買い得品の可能性もあります。
■ グレードが正しいというのが、そもそも幻想です
アイスクライミングでは、グレードはその年の氷り具合によって変わりますので、グレードを意識しながら登ります。
「今年は6級やなー」とか、「もうみんなに登られすぎて段々ついているから、トポは5級だけど今なら4級」とかです。
つまり、自分の中でグレードを判定する内的基準を自分で作っていく作業が、グレーディングです。
逆に、人工壁だと、グレードが正しいという前提で登ります。ピンクが6級、黄色が7級とかそういう感じです。なので、赤=2級を登っていると、ふんふん!と鼻に掛けたりする人もいます。
しかし、外岩になると、
課題に与えられているグレードがあっている、という前提は全く危険
です。
外岩に出る人が、無意識で信じているのは、外岩のグレードが正しいっていう誤解です。
外岩のグレーディングは、比較的正しいのは、UIAA4級まで、です。登攀グレードである、5クラス以上は、5.7易しい、5.8やや易しい、5.9=5.15まで全部含まれる、みたいなことになっています。
したがって、普段、5.9がすいすい登れる人が、普通にとりつくと、5.12が途中で出てきますので、当然ですが、登れなくなります。
外のルート、現状では、マルチピッチは易しいところほど、昔のアルパインルート(エイド)の置き替えボルトなので、グレードがあっていない率が高く危険です。
くだんの、5.13の彼は、最初から高い登攀グレードのところしか登らないでいたのでしょう。
高い登攀グレードのところ=ピン間隔が狭く命がけには全くならない
です。特にショート、つまりゲレンデではそうです。ルートでも同じなんではないですかね?
つまり、高難度ルートだと命がけはないので、5.9くらい登れよ、と発言している人は、その内容を実は分かっていないかもしれませんね?
あなたなら、難しくて命の危険がゼロのルートを登る人と、易しいけど命の危険があるところを登る人、どっちになりたいです?
どっちが勇気ある人か?っていう天秤にかけると後者になりますが、勇気ある人の称号を得るために命がけになって死んでしまって、
いや~今世もいい命の使い方したなーっ
て思います?
実際死んでしまった人はどう思ったんでしょう…
山梨時代も、三つ峠で取るべきセルフを易しいからと言って取らず、落ちて死んだ人や、アイスクライミングのパートナーが見つからず、冬の富士山に行ってしまって死んだ人がいましたが、ああいう人たちは、自分が精いっぱい生き切ったと思って死んでいるんでしょうかね?
九州なら、根子岳に登って死んだ人とか。
私には、愚かな死としか思えませんが。
話がそれましたが、九州の指導者は、フリークライミングによるロッククライミングが、分かっていない可能性が濃厚だ、という話題でした。