2023/08/07

【私はどうやって生き延びてきたか?】自己確保の登攀ができるようになっておく

■ ロープアップされないマルチ

マルチに行きたい!って人が九州では多いようで、ロープワーク勉強会、というから行ったら、全然ロープワークは教えず、マルチピッチに無料で新人を連れていく会ってだけだったことがありました。

たぶん、マルチピッチに連れて行ってヤッホー感を味合わせ、そのあとにロープワークを教えよう、という作戦なのだろうと思いますが…

お菓子食べた後に、ご飯、食べます? 

普通のわがままな子供は食べませんよね?

そして、クライミング業界ってのは、わがままな子供っていう心理学でいうところの、FCという自我が優位な人が多いのです。

だから、順序は大事です。

フリーチャイルドが大きい人には、まずいものから食べさせないと、一生食べません。

つまり、ロープワークのあれやこれやは最初に教えて、お菓子の位置づけにあるご褒美マルチを後にしないと、そういう人たちは一生学ばないで、金魚の糞をしよう作戦に出ます。

■ ロープクランプ & ユマール & プルージックコード二本

というわけで、マルチに行きたい人がすべからく学んでおかなくてはならないことは、マルチピッチのピンチが起きたら、どうするか?ってことのすべてです。

1)リードの仕方

2)ロープがアップされないときの対処法

3)リードができないときの対処法

4)リードが落ちたときの対処法

参考: https://allnevery.blogspot.com/2019/03/blog-post.html

1)リードができること

当然ですが、どっちの人もリード技術があることが前提です。片方がリードできないのでは、それはガイド登山です。まぁ、すべてのピッチがリードできなくても、自分がリードできるピッチがあれば、良しとされています。

2)ロープがアップされないときの対処法

これがゼロで行く人が99%なので驚きます。

ロープアップされなかったら、セカンドは事故確保で登らないといけません。

それには、簡単な順に、ロープクランプ、ユマール、プルージックコード2本、のいずれかがいります。

最後のプルージックコードは、他のことにも使えるので、もれなく持っていくことになります。

3)リードができないときの対処法

これは、敗退ということです。敗退は、非常に難しく、たいていのクライマーにとっては、敗退のほうが勉強になります。

懸垂下降で降ります。

しかし、登るルートが屈曲していると、登ってきた支点にたどり着くことができるとは限りません。懸垂下降は垂直の直線だからです。

ロープの長さは当然ですが、登ってきたピッチの倍は最低いります。

4)リードが落ちたときの対処法

これも想定していないで岩場に来ることが多いです。落ちても、動けるなら、再度登りだせばいいだけです。たいていはそうならない。

なのでリードで落ちるような奴と登らない、という予防策みたいな対策も含まれます。

■ 事例

こちらの記録は、ロープが岩角に当たってロープアップされない場合の対応が、私の場合のですが載っています。

ロープクランプがあれば一番簡単で、フリーで登れます。ユマールだと自動的に動きに追従するわけではないので、エイドでしか登れません。

というので、自分の技術が身を助けた事例、って感じです。

私の失敗は、このような中途半端なリードをしても、それを成功だと思ってしまう理解レベルのクライマーと登ってしまったことです。

同じ行為をしたとしても、この自分の行動が良くない行動だ、と分かっている人と分かっていない人では、その経験の重みが全く違います。

クライミングが分かっているというのは、ものすごく漠然とした言い方で、たとえば、このムーブを出してそのあとはガバで…とクライミングムーブのつながりが分かっていることを、クライミングが分かっている、と言ったりもします。

つまり、課題は、ダンスのように、ステップのつながりがあります。最初、立ちこみで、次にキョンして、最後、マントル、とかね。

そういう動きだけに注目して、クライミングを分かっている分かっていないと判断するのは、登山でハイキング道を歩けるか歩けないかだけで判断するのと同じで、半分だけの理解です。

マルチピッチを含め、クライミングは岩場でやるショートでも、ムーブがばらせるだけでクライミングを貫徹できることは稀です。

分かっていない人は分かっていないことが分からない、というのが、クライミングの難しいところ…

なので、常に自分は分かっていない部分があるのでは?と疑う謙虚な心が必要です。

しかし、フリーチャイルドの自我が強い人は、周囲の人と同じなら自分はあっていると思ってしまいます。

しかし、現代は周囲の人の9割が全くクライミングを理解していない時代…カムが飛ぶって、大失敗って意味ですよ、っていう基本的なことですら、教え損ねられていて、カムの使い方を指導できる指導者には、私はまだ一度もあったことがありません。

40年登っていた私の師匠ですら、「俺はカム外れたことないけど、教え方は分からない」、と言っていました。

そもそも、教わるものではなく自ら習得するものではありますが、習得するプロセスを指導者が知らないために、指導もできない、というのが、日本人のカム習得プロセス…

勝手に使い慣れてくださいのレベルです。

というわけで、何年も登っていても、全く間違った理解をしていていも、気が付いていないことがほとんどです。

その人が自分が設置したカムが飛んで自分がグランドフォールになる分には、他人事ですが、マルチでロープがアップされないとなると、迷惑をこうむっている、と言うことになります。

なにしろ、クライミングは双方が楽しむために行くもので、一人がエイドでしか登れないのであれば、それはお手伝いに行ったということにしかなりません。

 マルチ=リードしてくれる人がガイドみたいになんでもしてくれるクライミング

と言う先入観が九州のクライマー特に私にリードを頼んできた人にはあるように感じられました。そんな先入観は危険ですので外しましょう。

ホント、技術が身を助けるってこのことです。というか助けずに、1ピッチ目でじっとしていればよかったですね。