2025/10/04

失敗事例の体系化

ChatGPTに提案されました。

以下に「失敗事例集 大系化」の枠組み案を提案します。


失敗事例集 ― クライミング事故を防ぐための大系化

第1部:ロープワークの失敗

1-1 懸垂下降の典型ミス

  • ロープ末端が地面に届かない/末端を結んでいない

  • 連結したロープで「どちらを引けば回収できるか」を理解していない

  • プルージック未使用

  • 確保器を忘れる

👉 教訓:「初心者ほど懸垂下降に熟達せよ」

1-2 ローワーダウンの失敗

  • ロープ連結部(ザイル通過)への理解不足

  • 補助ギア(プルージック・マルチデバイス)不携帯

  • 他者にギアを借りて場をしのぐ

👉 教訓:「ローワーダウンは確実に“止められる”準備を」


第2部:計画と準備の失敗

2-1 装備不足

  • セルフビレイを取らずに行動

  • 予備ロープ・捨て縄の持参なし

  • 装備軽量化と“省略”を混同

2-2 計画力不足

  • ルート情報を確認せず現地判断に頼る

  • 時間配分・撤退条件の設定なし

  • デポの工夫を知らない/使えない

👉 教訓:「計画不足は経験不足より危険」


第3部:態度・心構えの失敗

3-1 危険に無自覚

  • 他人に叫ばれて初めて危険に気づく

  • “なんとかなる”思考で現場対応

  • 技術を人任せにする

3-2 反省しない初心者

  • 危機的な体験をしても反省が浅い

  • 「もっと難しい山に行きたい」と無謀な要求

  • 自分の技術不足を認めない

👉 教訓:「成長は反省からしか始まらない」


第4部:リーダーシップ不在の失敗

  • 経験者不在のままマルチに挑戦

  • 責任者がロープワークを理解していない

  • 「誰も止めない」環境で事故寸前の行動

👉 教訓:「リーダーは技術と判断を統率する責任を持つ」


第5部:体系化まとめ

失敗の4大原因

  1. 技術不足(知らない/できない)

  2. 準備不足(持たない/調べない)

  3. 態度不足(反省しない/学ばない)

  4. 統率不足(指導者・リーダー不在)

対策

  • 基礎技術の徹底反復(特に懸垂・ローワーダウン・セルフ確保)

  • 事前準備の習慣化(装備チェックリスト・撤退条件の設定)

  • 内省の文化(失敗を「笑い話」で終わらせず学びに変える)

  • リーダー教育(判断力・統率力の強化)


👉 この大系化は「事故を防ぐための教育カリキュラム」にも、「ブログ連載・ZINEのコンテンツ」にも応用できます。
各事例を「ストーリー+教訓」にして集めれば、「生きたテキスト」として強力な教材になりますよ。


【まとめなおし】「スーパーアルピニストを目指す人のための戦略マニュアル」

スーパーアルピニストを目指す人のための戦略マニュアル」として体系的にまとめ直しました。

戦略(考え方・方向性)と事例(伊藤仰二さんの実践)がワンセットになるように整理しています。


スーパーアルピニスト戦略マニュアル

~伊藤仰二氏ヒマラヤ遠征報告から学ぶ~

戦略1:思考基盤を“解決志向”に切り替える

考え方

  • 情熱や根性ではなく、「どう解決するか?」を常に問い続ける。

  • 不足を具体化し、一つずつ潰していくことが成長への最短ルート。

事例

  • 伊藤氏の報告は「熱い思い」ではなく、「解決策そのもの」を提示する内容だった。


戦略2:徹底的な計画力を鍛える

考え方

  • 遠征の壁探しは“偶然”ではなく“調査力”で決まる。

  • 時間を惜しまず、地図や衛星画像を使って条件を絞り込む。

事例

  • Googleアースを使って1か月半、パソコンに張り付き壁を調査。

  • 「取り付ける可能性がある壁」を見抜くためには経験が必要。


戦略3:時期とエリアを戦略的に選択する

考え方

  • 季節とエリアは成果を左右する。

  • 天候リスクと混雑リスクを避け、実力に合うフィールドを選ぶ。

事例

  • 12月は天候が安定している一方で、リスクは寒さ。

  • エベレスト周辺ではなく、ダウラギリ周辺を選んだ。


戦略4:困難度を“総合”で把握し、国内でリハーサル

考え方

  • 難易度だけでなく「標高×距離×日数」の総合負荷を評価する。

  • 国内で同条件を模擬体験し、実力を検証する。

事例

  • 遠征概要:

    • 標高:約 6000m

    • グレード:M7 / AI5

    • 総距離:1700m

    • スタイル:5ビバーク・1プッシュ

    • 高低差:約 4000m

  • 4800m地点に食料デポを設置してリスクに対応。

  • 登攀ペース:約400m/日を4日連続

  • 一般人比較:インスボンのマルチ(300m)を1日2本登る=600m/日(難度は5.9〜10代=M5〜M6)。
    👉 国内でも登攀距離400m×数日をこなせないなら、高所で成功する可能性は極めて低い。


戦略5:M7を“涼しい顔で”こなす実力を持つ

考え方

  • スーパーアルピニストの必須条件は「M7を安定して登れること」。

  • 岩・氷・ミックスを自在にこなせる総合力が必要。

事例

  • 伊藤氏は**M7(5.11代相当)**を高所でオンサイトできる力を前提に計画を立てていた。


戦略6:高速のアルパインスタイルを徹底する

考え方

  • 荷物を最小限に削ぎ落とし、スピードでリスクを減らす。

  • 「速さ=安全」の思想を徹底する。

事例

  • 基本はリード&フォローで進行。

  • 生活ギア込みで重量はトップ3kg、フォロー10kg(合計13kg)

  • 装備例:

    • アイススクリュー7本

    • カム一式

    • ハーケン9枚

    • ナッツ2セット

    • アルパインヌンチャク6本

    • 捨て縄用ギア4つ


戦略7:国内外で“本番に近い練習”を積む

考え方

  • 実際の標高や距離、グレードに近い条件で練習し、成功率を上げる。

  • 国内リハーサル → 海外実践のサイクルを回す。

事例

  • 伊藤氏は国内外で積み重ねた経験を「6000m級・1700m・M7」という形で結実させた。


最終まとめ

スーパーアルピニストを目指すには――

  1. 解決志向で課題を潰す

  2. 徹底した調査・計画力

  3. 適切な時期と山域選択

  4. 総合困難度を国内でリハーサル

  5. M7を安定して登れる実力

  6. 軽量・高速のアルパインスタイル

  7. 国内外で段階的に経験を積む

この7つの戦略が、ヒマラヤ級のスーパーアルピニストへの道を切り拓きます。


一方の現実

世も末九州で見かけた若者事例

https://allnevery.blogspot.com/2023/02/blog-post_19.html

くどいようですが、これが現実ですからね。

―――――――引用ーーーーーーーーーーー


先日比叡を登攀中、隣のパーティをみたら、懸垂下降しているのに、ロープの末端が地面届いていない!ロープの末端も結ばれていない…


どうするんでしょう~


下からほかのクライマーに


「ロープが地面まで届いていないぞー」
「2本で降りろー」


と叫ばれていました(笑)
こんな流れ。


「もう一本のロープはどこだー?」
「ザックの中でーす」


…(一同)。


「そこの中間支点にセルフを取るんだー!」
「ザックを絶対に落とすなよー」
「ロープを出して連結するんだー」


クライマー「ロープ連結しましたー」


そのあとがズッコケ。上の人に「ロープ引いてくださーい」とクライマー。いや、どっちの末端を結んだか、上の人が分かるはずないでしょ。そういう時は自分が引くしかないでしょ。


これは序の口で、懸垂で無事降りて、次は中間にいる初心者をローワーダウンで下で確保しておろすことにしたらしいのですが、当然2本を連結しているので、ザイル通過があります。


他のクライマー:「ザイル通過あるよ」
クライマー: ?


確保器がない=プルージックが必要ですが、そういうことは期待できないだろうと、明らか(笑)。
他のクライマーが確保器を貸していました。

ーーーーーーーーーーー 

チーン、って感じ。

日本の登山界の東大=文部省登山研究所のリーダー講習ということになっていたんですが…この若者は、そこの出身です…。

文登研の実力も地に落ちたものですね…。

つまり、もっと革新的な登山教育をしてくれないと!

今までやってきた、分かるやつにわかればいいっていう教育法だと、分かるやつはほとんどいないって意味ですよ。


【NOTE転載】【スーパーアルパイン】ツクチェピーク前衛峰(6490m)北東壁報告会 を視聴して

NOTEからの転記です。元記事はこちら。

https://note.com/kinny2021/n/ne6a28b000681?app_launch=false

2024年11月26日、JMSCA主催で、現代のトップクライマー、伊藤仰二氏によるヒマラヤ遠征報告会がありました。

そこで話された内容から、一般クライマーが、自己成長していくにあたり、どのように、自分のクライミングに必要なステップや要素に落とし込めるか? 習得の項目は?ということを考察してみます。

ひとつの参考事例として、お読みいただければと思います。現代は山岳会も高齢化が進み、指導体力がないことがほとんどですので、指導者のいないクライマーのご参考になれば。

あくまで私が、ライブ視聴の中で、拾った内容をもとに、個人クライマーの習得項目に落とし込んだ、ということですので、他にも様々な方法論、もっとこうしたら、という意見が多数あってしかるべきと思います。ご参考程度に利用されてください。

■ 全体的な取り組み姿勢

伊藤さんの報告は、従来の報告会にありがちな”熱い思い”を語らず、”具体的な解決案そのもの”を語るもの、でした。

考えてみれば、本当に困難なことであれば、”想い”だけで山に登れるわけないのかもしれません。

 何がどうできるようになるべきなのか?

が、分かりやすかったんではないだろうか?と思いました。トップクライマーの報告会から、自分の山に落とし込んで、自分には何が足りないのか?ということを想像して、つぶしていく、という活動が、よりスピーディに成長していく行動になると思います。

■ 山行計画の立て方

山行計画の立て方は、定番のGoogleアースを使い、1か月半びっちりパソコンに張り付いて壁を探したそうです。つまり、そういう探す作業ができる暇人が必要です。

また、探す際に条件を分かって、絞り込めているということも必要です。これには経験がいります。どこに取り付くことができる、未踏の壁がありそうか?ということを絞り込むためには、あらかじめヒマラヤを登っている経験が多少は必要でしょう。

(条件そのものを知りたい人は、報告書が出ると思いますので読んでみてくださいね☆)

まとめ: Googleアース、一カ月半、壁探し

■ 時期&エリア選択

12月が天候が安定しているそうです。リスクは寒さ、です。

ヒマラヤと言っても広く、エベレスト周辺はもはや手あかがついた山といえるのかもしれません。ダウラギリ周辺を選んでいます。ここにも、渋さがうかがえます。

■ 規模と難易度

6000m級 M7 AI5 1700m 5ビバーク1プッシュ

まず規模がデカいです。麓の村が標高2600m。高低差4000mもあります。長い、ということがリスクになることが、最初から分かります。

そのリスクへの対応のため、食料のデポ(4800m地点)をしているそうでした。

一日当たりの登攀距離にして、とりつきから均等割りで、400m/日くらいかな? そして、難度はM7です。それを空気の薄い6000mで行う。

これが、どれくらいの体力なのか? 

各自、標高の高いところに行ってみて、そこで、強度の高い7~17メッツくらいの運動をしてみる、というのが自分にとって、その標高で可能な運動強度を知る方法になるのでは?と思います。

一日400mを4日連続で、国内の低標高のところでも、登れないのであれば、6000mに持っていけば、さらにしんどいということは確実なわけなので…。そのようなチャレンジは、わざわざ失敗しに行くようなものではないかと思います。

まとめ: トータルの登攀距離、一日の登攀距離、標高、そして難易度
を国内リハーサルすることで、トータル困難度が分かる。

余談ですが、私も海外はインスボンでマルチピッチを登っていますが、そのマルチで一本300m程度です。一日2回行くこともありましたので、下界であれば、400mというのは、ありえない速さではない感じです。これは何難易度としては、5.9~10代、です。Mグレードへ変換するとM5~6です。それをM7(デシマル変換すると大体5.11代に相当)でやるのは、それだけ高い、オンサイト能力が必要ということになります。

まとめ: M7 をすいすい登れる必要がある

■ スタイル

次に、スタイルです。

・ずっとリードフォローで行きたかった

・1ピッチだけ残念ながら、荷揚げになった

・日本の屏風岩みたいな感覚で登りたかった

・トップ3kg、フォロー10kg

生活ギア込みの重量がトータル13kgとは…軽いです。軽量化してスピードをあげるクライミングが、アルパインスタイル、と呼ばれるスタイルです。

ギアを見てみましたが、アイススクリュー7本、カム一式、ハーケン9枚、ナッツ2セット、アルパインヌンチャク6枚、捨て縄用ギア4つ、あとはスリングと環付きビナが概要でした。同ルート下降の可能性もある場合、捨て縄が必要です。足りなくなると…靴ひもまで使わないといけなくなります…。

一日当たり400mちょいくらいを登ったのだとすると、60mロープで、7ピッチ~8ピッチです。

岩場での、一般的なフリークライミングの登り方、というのは、分不相応に難しいルートに取りついては、ハングドッグでうんうん唸って、ムーブ解決し、何回も落ちては登り、場合によっては、何日もかけて、やっと20~30mのルートを登るというのが、レッドポイントで登るというクライミングスタイルなので、こういう登り方を何回していても、ロングなルートで、400m登れるようになるわけではない、というのが分かると思います。

自分のオンサイト出来るグレードで、一日400mくらい登るように、訓練しておく必要があります。20mの課題なら、20本も登らないといけないですね。

今の岩場で一般的な、高難度レッドポインターではなく、オンサイトで長い距離を素早く登れる能力が必要です。

昨今、インドアジムではありますが、男子は俺5段登れる、とか言ってるんだから、若い男性なら、M7(5.11)って普通にその辺の人も登るので、ありえないグレード、つまりテクニックではありません。クライマー最弱者の私でM5くらいを登りますので。

まとめ:オンサイトグレードでM7(5.11)を400m以上/日 登れる必要がある。

■ 高所順応

5000mで2泊。一度体調悪化により、ポカラ(700m)まで降りて、4,5日の休息を取っています。これは、ClimbHigh SleepLowと言われる方法論で、標高による高度障害は、高度を下げるしか、手段がありません。

■ 生活技術
・海外での安ホテル宿泊スキル
・無雪期のテント泊スキル
・積雪期のテント泊スキル
・壁内ビバークスキル
・ツエルトでの宿泊スキル
・豪雪対応
の5つの宿泊スタイルでの生活技術が必要です。

壁内ビバークスキルは、一般的には、ビッグウォールの経験ってことになります。海外までビッグウォールを登りに行くことができない人は、人工壁や近所の岩場で壁ビバーク練習するのが良いと思います。しかも、悪天候になれておいた方が良いです。

余談ですが、このような理由で、ヨセミテのビッグウォールに行くことは、ヒマラヤの未踏峰の冬壁の訓練の一部、ということですね。

まあ、絶対に必要なのは、やはり、雪上生活経験です。これは、八ヶ岳で雪上テント泊していれば、十分。八つのほうが寒いようです。八ヶ岳だと、標高2000で、ー24度です。

6000m級でー10度くらい

までならば、高度な登攀が可能というのが、一つの水準と感じているそうでした。

大雪への対応力も身に着けておかなければならないので、豪雪の山に行けば、夜中に除雪で寝床から起きなくてはならいというキャリアも積めます。

まとめ: ヒマラヤに行く前に必要となりそうな宿泊スタイルの対応力はつけておく

■ プロテクション

当然ですが、アイスにプロテクションを取る技術、アイススクリュー設置能力は必要です。それも、べったりとしたアイスではなく、岩と氷のミックスで、岩の溝に詰まっているような氷に対しての設置です。

また、岩にプロテクションを取る技術=カムのプレイスメント。

ナッツ、ナチュラルプロテクションも、地味ですが必要です。スリングで岩の突起に掛けるような利用できるものは何でも利用するプロテクションの設置力が必要です。

■ クライミングムーブの能力

そして、オールラウンドなクライミング能力が必要になります。

フリークライミングのムーブだけではだめですね。アックスでクラックを登る技術=ミックス技術=つまり、ドライツーリングのクラックバージョン。ドライもボルトルートだけでは、だめってことです。自分でプロテクションを設置しながら登るとなると、それなりにゆとりが必要になります。

■ ナビゲーション技術

また壁に行きつくまでに、読図力が必要です。さらにどの壁を登るのが適切か?というので、ルートファインディング力…これはベテランの知恵が伝承されてほしいところです。

ゼロから作るのは、非常に難しいです。昔はこれは先輩から後輩に伝授されるようなものだったのではないでしょうか?あるいはセンスと言われる領域かもしれまません。初心者は、登っている先で、ああ~プロテクションが取れない、けど、今、手も離せない!って羽目になるのは、普通のショートのゲレンデで、5.8しか登っていなくても、よく発生します。私も、初めて瑞牆で登った日にランナウトして、カムが玉切れになりました。

これを高所でやると一発でアウトになりますので、ある程度の確信をもって、誰も登っていない場所を登れるようになっておく必要があります。

同じようなことを高所の僻地でやって、それで落ちれば、即ピンチ。というか、救急車は来ないですので、そもそも、そういう羽目にならない能力を培う必要があります。

また運よく登れても、下りのほうが事故が多いですので、どこでどう懸垂するかの見極めなどの、下山時のルートファインディング能力が必要です。危険回避能力も必要です。

大体登るより、降りるほうが難しいのが山ですが…帰りは、板状の岩が重なったところを降りるのを避け、遠回りして降りていました。

また、クライムダウンは、ロープつけてコンテで降りていました。40度だったそうです。これくらいの傾斜だと、懸垂では、ロープが地面についてしまうし、逆に遅いので、クライムダウンになると思うけど…、コンテだと間にプロテクションが取れない場合は、トップクライマーの間でも、ロープをつけるかつけないかは意見が分かれるところだろうなぁと…。片方が落ちたら、他方が巻き込まれるからです。

まとめ:読図、ルートファインディング、下山路での危険回避とルートファインディング能力、クライムダウン

■ 体力温存、軽量化が核心

長大なので、体力温存が大事だそうです。

座ってのビバークにならないために、アイスハンモック手作り。成功の要因の一つだそうです。

また、手作りのバックパックが50リットルで560gとウルトラライトでした。軽量化も核心ということですね。

■ 要点

現代のトップアルパインクライミングは、M7 AI5 1700m@標高6000m級。それに必要な能力は、ルートをそもそも見つける力とM7程度がオンサイトで登れる登攀力、標高に耐えてスピーディに抜ける体力、軽量化、体力温存の工夫、ですね。

生活技術・ロープワークなどは、下界でのクライミングでもできて当然の基本技術だ、と思いました。

全般に、いかに事前にリスクを予想し、それらを上手に避けて、楽しく登ってきたか、という報告でした。

これまでの、つらく、根性が必要な不快な冬壁、という認識が覆り、行ってみたいな、楽しそうだな、と思える人もいたのではないでしょうか?

先鋭的なアルパインクライミングの先入観を覆すという意味で、非常に良い報告会でした。

個人的意見ですが、こういう報告会が多数行われれば、いわゆる、栗城劇場みたいなのは、起らなくなるでしょう。

正確に何がどうできれば、どの山に行けるのか?ということが、周知されると思うからです。

ヒマラヤって言っても、歩くだけのトレッキングから、M7で5ビバーク、みたいな山までいろいろあります。

富士山って言っても、夏山なら、初心者の山、ただ歩くだけでしょう。

同じことです。

トップクライマーを見習って、リスクに備え、それらリスクを上手に回避し、自分の実力にみあった山登りを実践する人が増えることを祈っています。

■ 最後に…

このNOTEを書くために、再度、動画を視聴して、疑問がいくつか湧きました…

1)同ルート下降で、4つの捨て縄用のギアで十分だと考えた理由
2)Googleアースでこの壁を見つけたとき、登れるかどうかの判断はどうやってしたのか?
3)アイスハンモックを必需品と考えた、背景にはどのような経験談があるのか?
4)12月を選んだメリット(次回あるとするなら、また12月を選びたいかどうか)

2025/10/03

【ビレイ】泣く子も黙るアレックス君のビレイヤーのビレイ位置

ビレイヤーの位置に注目!!

フリーソロで有名なクライマーでも、ちゃんとしたビレイヤーで登ったらこんな立ち位置ですからね。


スポーツルート

たぶん、日本のロクスノの画像では、クライマーを上から取っている写真が少ないので、クライマーとビレイヤーの位置関係が移っている画像がほとんどなく、それで、初心者は立ち位置を学ぶことができないのかもしれませんね。



コーナークラック

アルパインのロッククライミング


山岳地帯のロッククライミングだって同じ立ち位置ですよ。

アイスですらこれくらい。



場所を見れば、どういうクライミングをしているか分かる。

すごーくとおーい位置に立っているビレイヤー=あんまりシビアなクライミングではない。





2025/10/02

【心理学】模倣行動の限界が、ロープ長を計算していないリードだったんだということ

■次男タイプや初心者は、先輩クライマーの行動を「正しい」と無条件で真似る

🔹 状況の構造

  1. 模倣行動

    • 次男タイプや初心者は、先輩クライマーの行動を「正しい」と無条件で真似る

    • 「先輩もこうしていたから大丈夫」と思い込む

  2. 無自覚の誤認

    • 「ロープ長は十分」と思い込む

    • 実際にはピッチ間隔や終了点位置を計算していない

    • 危険に気づいていないので自己判断で進んでしまう

  3. 結果としてのリスク

    • ピッチが短すぎたり長すぎたりして落下距離が想定外になる

    • ランナウトや終了点の負荷増大

    • 自分やフォロワーが事故に巻き込まれる


🔹 可視化

模倣行動 → 無自覚に「安全」と誤認 → ロープ長を計算せずピッチをつなぐ → 想定外の落下や負荷 → 事故リスク増大

🔹 教育的対応

初心者や模倣型クライマーには、「自分で計算しないと命に関わる」という事実を体感レベルで理解させることが重要です。

  • ロープ長の計算方法を必ずチェックさせる

  • ピッチ計画を指導者と一緒に作らせる

  • フォローやトップロープでまず安全に体験させる

ポイントは、「模倣しても安全が保証されない」ことを明確に見せることです。
言葉だけで「危ない」と言うより、計算やシミュレーションを一緒にやらせるほうが、自覚を伴った学びになります。



🔹 模倣できないポイント

  1. 目に見えない準備

    • 経験者は「事前にロープ長を計算する」「ピッチや終了点を確認する」「岩質やボルトの状態をチェックする」など、目に見えない準備をしている

    • 初心者は模倣できるのは目に見える動作(結ぶ、登る、カムを持つなど)だけ

  2. 無意識レベルの判断

    • 経験者は無意識に安全余裕やフォロー計画を組み込んでいる

    • 初心者はそこに気づかず、動作だけを真似する

  3. 結果としての危険

    • 「同じ動作をしているのに、同じ安全は保証されない」

    • ピッチをつなぐ、ロープを扱う、といった一見単純な行為でも、準備がなければリスクが増大する


🔹 可視化すると

経験者の準備(見えない) → 無意識判断込みの行動 → 安全確保 初心者の模倣(見える動作だけ) → 準備なしで同じ動作 → 安全が保証されない

🔹 教育的示唆

  • 初心者には「見える動作だけでは安全にならない」ことを体感させる、必要がある

    • 例:ロープ長の計算を自分でやらせる

    • 例:ピッチ計画を紙に書かせる

  • 体験を通して「準備の重要性」を腑に落とさせることが、模倣だけでは身につかない安全意識を育てる


なるほど、「後藤ガイドの地図を見てびっくりした」という感覚、わかります。これは単なる驚きではなく、経験者の視点や事前準備の密度に初心者が気づかされる瞬間とも言えます。

整理するとこんな構造です:


🔹 何にびっくりしたのか

  1. 情報量の多さ・詳細さ

    • 後藤ガイドの地図にはピッチや終了点、ボルト位置、アプローチの注意点などが詳細に書かれている

    • 初心者から見ると「こんなに考えて準備しているのか!」と驚く

  2. 経験者の無意識準備の可視化

    • 普段は意識せずに行っている安全確認や判断の積み重ねが、一目で分かる

    • 「これを知らずに模倣しても安全にならない」と実感させる

  3. 盲点に気づく契機

    • 「地図に書かれていることの半分も自分は知らない」

    • まさに無自覚の誤認や模倣の限界を認識する瞬間


🔹 教育的ポイント

  • 驚きをきっかけに安全意識を促す

    • 「こんなに細かく準備しているんだ」と気づくことが、自分の盲点に目を向ける第一歩

  • 模倣では補えない部分を強調

    • 見えない準備や判断力の重要性を伝える

  • 次のアクションにつなげる

    • 「まずはトップロープや室内で、計画を紙に書くところから始めましょう」と具体策を示す



2025/09/30

読図と地形読みは山OSのインストールであること

私が長年のクライミングでわかったことは、

「無知 + 挑戦 = 無謀 → 事故」という流れでした。

ただ、同じ「挑戦」でも 知識や準備があるかないか で、結果はまったく違う。

整理するとこんな感じになりそうです:

無知 + 挑戦 → 無謀 → 事故

知識 + 挑戦 → 学び → 成長


つまり、挑戦を成長に変えるか?事故に変えるか?は、

知識・準備

が前提になっている。

しかし、そこに盲点がもう一つあった。

反省力

でした。いくら、現場でヒヤリハットを経験しても、それがヒヤリハットだとは分からない。のは、

メタ認知力、がないから。

メタ認知力がないのは、ただの

模倣(ミミック)、だから。

ただのミミックに陥るのは目的が冒険でも挑戦でもなく、承認欲求の充足?仲間入り?だから。

…と因数分解していくと、何のために山に行くのか?みたいなところが問題になってきてしまうのでした…。

ここで、ん?と。山に行く目的は、人それぞれでいいんですけどね。

私も最初は悲しみを癒すために登っていました。
でも、悲しみを癒すために登っているのに、事故にあったらもっと悲しみが増えるので、事故にあう確率を減らし、事故にあっても対応できるように、知識を増やしました。

日本の山岳事故の原因は、山岳教育の欠如にあります。


山岳教育の欠如が課題であって、目的は、”挑戦”や”チャレンジ”でもいいんではないかと思います。

私自身も、挑戦的な山はしていますし…。撒けるようなチャレンジをするのがおバカなんです。

しかし、山岳教育が日本の登山事故を防ぐ形にはなっていない。

のは、やはり言語化が足りておらず、ミステリアスな言葉…経験…で、ごまかされているからなのでは??

登山歴10年でも、経験値が高いとは言えない

なぜなら、一年に1回登っても、登山歴10年でしょう。なら、その人の登山経験は、10回ってことになる。

なら回数が多ければいいか?っていうと、登山は、回数であってもならず、事例で行くと、100名山登山が人気なんだが…100名山を一番簡単なルートで登っても、100個完登してもまだ、山をわかった、ということには全くならない。

じゃ、何が分かっていれば、山が分かったということなのか?


そりゃ、文句の一つも言いたくなりますよね…。


結論的に言えば、「何が分かったら、山を分かったといえるのか?」を、各個人個人が、追求することが、”登山”であり、結論、どれだけ長い間、登っても、山を完全に分かった、とは言えない…という謙虚さをもたらすものです。

禅問答みたいになっちゃった(汗)。

ここからは、私が理解した山の姿を書きますが、皆さんの山は、違う形があってよいものです。

本来、”山談義”っていうのは、俺にとっての山はこうだった、私にとっての山はこうだった、という自分にとっての山を発表しあうのが楽しいものです。

読図は新しい地理システムOSの習得である


アメリカの住所のシステムを知っていますか?道路には全部ストリートネームがあり、ストリートネームと番号だけで、郵便は届きます。奇数番号か偶数かで、道のどっちサイドかもわかります。

日本は、何丁目の何番かを細かく分割していくので、永遠に土地は小さくなれる…。

両者の地理システムは全然違いますよね? 

アメリカと日本では 空間をどう切り分け、どう記号化するか がまったく違う哲学で設計されています。これって、読図や地理感覚の「OS」が違うようなものなんですよね。

そして、山の読図というのは、まったく新しい下界とは異なる、

山でだけ通用する地理システムOSの習得

なんです。


山を分かるとは、山でだけ通用する地理システムOSの習得というのが、私バージョンの山が分かるの意味です。

その地理システムは?というと、尾根と谷が道路、なんです。

東西南北で尾根を表わすでしょう…?例えば、前穂北尾根。北に延びる尾根だから、北尾根。当たり前ですが。

北尾根があれば、当然、南尾根もありますよね?東尾根や西尾根も。山の地形図を見ると、あれ、この山は北に出っ張っているけど、南側は平たんなんだなぁ…とか、地形が把握できます。日本の山は、だいたい片側が急峻で、片側がなだらかです。それは、風雨による浸食の具合によります。

で、尾根があれば、谷も当然ありますよね?谷があれば、それが集約して河川になる。山から海まで一本の線が引けるわけです。これが○○本谷っての。

尾根と谷の違いは、尾根にはアップダウンがあるが、谷は一方的に下るだけだということです。そりゃ当然ですよね。水が流れているわけだから。水は低い方に流れます。

逆に言えば、谷を伝えば、いつか一番最初の水が湧き出たところにたどり着く。これが源頭です。

つまり、山の「住所システム」はこう言えるかもしれません:

尾根と谷の組み合わせで「住所」が決まり、登山者はその自然の住所体系を読めるかどうかが生死を分ける

つまり、

「あなたは今どこにいますか?」

の答えが、

「今、○○尾根の第二ピークにいます」とか、「第4のコルにいます。」

って答えになるんですよ。

地形図を広げたら、100人いたら、100人が全員同じ答えになります。共通の理解ってことです。

細かいことを言ったら、他にも縦走路は高速道路なんだとか、いろいろ、細かな知識はあるのですが、大まかに言えば、こういうことです。

初級の地形読みは、尾根と谷が分かり、コルとピークが分かることです。

これが、山を理解する、ということなんです。

だから、100名山を5回ローテーションしても、20年登っても、尾根と谷、ピークとコルを分かっていなければ、山を分かったということにはならないんです。残念ながら…。

まぁその人にはその人の山があるので、その人の山は異なる文脈にあるということですが、少なくとも、自分がどこにいるのか?その人は山岳地形上の位置という文脈で表現することはできない。

実は、昔の人は、隣村と山を越えて交易していたので、田舎の人はみんなこれを理解していたんですよ。

実際、え?!っていうところにまで、日本の山には、くまなく踏まれた跡があります。藪になって閉じてしまっていますけど…。地図では破線で示されています。

実際的には、最近はGPSがあるので、「今、○○尾根の標高1030mです」などと表現することが多いです。特に、沢(谷)では目印になる物体が、自然のもので…チョックストーンの大岩のところとか言っても、分かりにくいので、標高で表すことが多いです。

自分の左右が両方とも低ければ、尾根。
自分の左右が両方とも高ければ、谷。


です。現地で見れば、自分が尾根にいるのか?、谷にいるのか?見分けがつくのが登山者のあるべき姿なのですが、現実的には、今の登山は商業化され、スタンプラリーにした方が儲かるので、そうはなっていません。残念な世相ではありますが。

さて、自分が谷にいるのか?尾根にいるのか?理解するには、自分の左右を見ればいい、ということを言いました。

ここでクイズです。両方見たけど、平坦だったら?

困りますね。尾根にいるのか、谷にいるのか?分からない…(汗)。

ここは、広ーいピークなのか?平野なのか?それとも、広ーい谷の底なのか?

というわけで、現在地の把握においては、平たんな山のほうが難しいです。

ということが分かっているのが、「山を理解している」ということの回答の一つです。

あんまり詰め込むのも何なので、この稿はここで締めますね。

2025/09/29

アルパインの質とフリークライミングの質の差

 https://allnevery.blogspot.com/2025/09/blog-post_27.html

この記事を書いてから、このような登攀が、

フリークライミングのレベル感のクライミングに、アルパインクライミングのリッジ登攀を持ち込む、っていう行為だということを、改めて事例として示されたようで…

山からスタートしたクライミング族の人たちの”分かっていなさ”、”危うさ”というものを、きれいに鮮明に描き出しているようで、これで、私が伝えようと四苦八苦していたことが、映像で明らかになったのではないかと思ったりしています。

あー、福岡の山やのクライミング、怖かった…

宇土内谷のアイスが企画されていたので、なら行ってもいいなと思い、参加したら、結果的には、トンでもリードを無理強いされることになりました。

転進で、比叡になったんですが、初対面なのに、私がリード。しかも、ザックも背負いの全装&カムなし。岩場で登る予定では準備していないので、カムも持って行っていないし…。しかも、一人で二人をビレイするとか言う謎なビレイ。

は?って感じでしたが… これが虐待だということに気が付けるようになるのにも経験がいるというか…。

この動画の人たちも、これが間違ったクライミングだ、おかしいんだ、ということ自体に気が付けていないんですよね。

毒親育ちだと親が毒だということに気が付いていないで世代間連鎖しているのと似ていませんかね??

私は順調にステップアップして、フリークライミングの領域に来て、フリークライミングの登り方とアルパインの登り方が全然違うのにびっくりしていたんですが…。そのびっくりは、世界的なトップクライマーの故・吉田和正さんから、もたらされたものでした。

それまでは、奥秩父のゲレンデに通って、マルチを朝から晩まで本数を稼ぐ系で登っていました。私は、それを三つ峠でやるように師匠からは言われていましたが、付き合ってくれた先輩は、東京の人だったので、後輩の私のほうが妥協して4時間の運転をこなしていっていました。

なので、当時の私の中には、クライミングっていうのは、マルチですいすい登るイメージしかなかったのです。合言葉は、”セカンドはさっさと登る”、でした。

アルパインののぼりでは、セカンドはリスクフリーとされています。トップロープだからですが。しかもロープも挽かれないことが多く、たるたるです。トップはビレイしてくれるはずなんですが、まぁあんまりセカンドのことを見ていませんね。

あんまりセカンドを見ていないトップの時は、もうロープを手繰ってしまってゴボウした方が、より安全です。ロープ登攀に切り替えて、プルージックを出した方が安全・・・っていうことが、この動画ではそうなっていませんでしたが、まあ、自分のロープ登高のスキルが確実なら、通常はそうです。

ところが、いくら自分のロープ登高のスキルが確実でも、死を免れないかもしれなかったのが、白亜スラブでした。リードクライマーのポカがあれば、まぁパーティ全員が死ぬことがあるのだ、と理解しました。

リードしてくれた彼も結局は、


フリークライミングのレベルにおける正しいリード法


をきちんと習得しておらず、カムの位置は悪くてロープは流れないわ…ロープ長は足りなくなるわ…だったんですが…それらは、ショートの岩場で、すでに既出の技術的ミスでした。

つまるところ、ショートの岩場で安全に失敗して、失敗が許されないマルチに進む、という方法論が破綻しているんですよね。

ショートを何年続けても、マルチで安全には登れない。

アルパインのリッジ登攀をフリーに持ち込んでいると先ほど述べましたが、この白亜スラブの場合は、それすらしていません。リッジ登攀に慣れた人は、ロープの流れをよくするためにスリングで伸ばす、ダブルのロープを使う、などは、習得済みであるはずだからです。

ところが実際は?

シングルでしか登れない、スリングで伸ばすとか知らない、ロープの流れが悪いと登れなくなることを実体験として理解していない…

など…経験年数と比較して、え?そんなことも知らないの?と驚くようなことになっています。

ということで、結局のところ、


正しいクライミングをそもそも誰も見たことがないのではないか?


というのが私の結論なんですが…。この大貧民当たりの課題だとアルパインなのかフリークライミングなのか、領域的にも微妙で、私はあれ、遠くて手が届かない系ですからリードは断りたいですが、男子なら、全部ガバだから(=つまり、ムーブはいらない)、プロテクション要らないって思いそうですよね。

菊地さんとか、ヒロケンさんとか、奥村さんあたりが、動画でこの大貧民をきちんと登ってくれている動画を出したらどうですかね? 

社会貢献の一環として。トップのクライマーは良いクライミングを普及してほしい。

トンでも動画の対抗策は、技術的に正しいクライミング、を多くの人が分かるように共有していくことなのではないかと思います。

とくに、リッジ登攀のレベル感である、小川山烏帽子岩左岩稜とフリークライミングの水準である屋根岩2峰セレクションの差は大きいです。

ちなみに、インスボンで登ったのは、全部フリークライミングのレベル感でした。現代のクライマーはグレードだけが突出しているので、インスボンできちんとリードできなくても、白亜スラブは登れるみたいな感じです。


■クライミング事故が減らない理由

単なる「技術不足」や「経験差」の話ではなくて、

  • 「正しいクライミングを誰も見たことがない」ことによる文化的断絶

  • アルパイン的な慣習(リッジ感覚)をフリー領域に持ち込む危うさ

  • ショート→マルチという方法論の破綻

という、体系的なズレそのものだと思いました。

特に印象的だったのは、:

  • リッジ登攀に慣れていれば当然身についているはずのロープ処理(ダブルロープ、スリングで伸ばす)が欠如している

  • 経験年数と技術的な基礎が噛み合っていない

  • 結局「誰も正しい登攀を見たことがない」ので、間違ったやり方が常態化している

つまり、かつて「吉田さんの登り方」に出会って衝撃を受けたように、多くの人は「正しい登り方そのもの」を一度も直に見ていない

だから修正のきっかけすらないまま、世代間で「分かっていないやり方」が連鎖してしまう。

ということなんですよ。吉田さんがあまりにきちんとビレイしてくれたんでびっくりしたんですよ。

カムの正しい設置、ダブルロープの流し方、セカンドへのロープさばき、マルチでのリード交代の流れ など…

基本のキをすっ飛ばしてみんな山や岩場に来ているが、スっ飛ばしていること自体にも自覚がないんですよ。

毒親連鎖3世代目みたいな感じで。

2025/09/28

グレードを目安にすることの危うさ

 このところ、いろいろと振り返っているのですが…、ずっと私が漠然と感じていたことは、


グレードを目安にすることの危うさ


だったんじゃないかと思います。


甲府時代に5.13を登れるOさんが、私のいた山岳会のホープでコンペに出ていた山田さんが、5.9で落ちてねん挫したと言って、軽蔑、って感じだったのですが、その話を聞いたとき、”でも、さとみさんって、国体選手だけどなぁ…”でした。クライミングは才能があるというか、とっても上手で、アイスコンペなど初出場で優勝してしまったくらいなので(私は5位)、年齢も20台だし、すでに中高年という年齢でスタートした私より、うんと”イケてる”はずなので、山田さんが落ちたってことは、5.9が本当に5.9であるという推論は成り立たないと、頭の片隅にメモしたんでした。


私は自分でリードするようになるまで、1年くらいは、先輩のフォローをしていました。(注:とっくの昔に一年間の山岳総合センターでのリーダー講習受講後です。雪の山も30座以上経験済みの後。半年前に登山始めましたって段階ではないです)

その先輩は蒼氷の方で、ほんとにお世話になったな、って思っています。先輩自身も、”もう、そろそろ、お前もリードしろよなー”と思っていそうだな、という感じで、私の実力と保護がマッチしていないという雰囲気を醸し出していたからです。

なかなか勇気が出ないでもじもじしている子供みたいな感じですね。

そういう風になったのは、実は所属していた別のクライミングクラブ、山梨〇パインクラブが結構どんどんリードさせるクラブだったからです。そりゃそうで、毎週〇曜は練習日で、人工壁だったからです。人工壁なら、別に最初からリードでもあまり心配はいらないのです。

ところが、この会の人はそれをそのまま、外に持ち込んでいたのですが、そういう男性たちにくぎを刺さない。男同士だと、自分で学べって感じなんではないでしょうかね?

男性たちは、自分たちが無謀であることについては、まったくの無自覚で、それは仕方ないことで、岩と雪に代表されるような過去のクライミングの経緯を知らなかったら、外の岩場も、普通にグレード順に並んでいると考えるのが、ごく自然な成り行きです。

甲府でも、グレード一点豪華主義はありましたが、室井さんが普通にジムのお兄さんをしているジムで、ムーブをばらして教えてくれる日があり、その日に一度行ってみたら、私の相方となってくれたアラーキーは、パワー解決型で全然ムーブ解決型ではなかったです。私自身も、同じ課題に取りついていましたが、なんか出来そうでした。室井さんの選択が、ムーブを教えたがっている内容で、あまりグレードを上げる目的に選ばれている風ではなかったんです。「ムーブの習得」に重きを置いていた。だから教える課題も「数字のため」ではなく「身体の引き出しを増やすため」に選ばれていた。

大阪のヒグラシでも、グレードではなく、かつて封印したデッドを取り戻すことを中心に練習しましたが、トリッキーなのは、あなたができないムーブって、大体があなたの最高グレードで出てくるってことなんです。だから、そのムーブを習得することとグレードが一体化してしまいます。 「できないムーブは、結局自分の次のグレードに必ず現れる」グレードとは、ムーブの多様性を強制的に学ばされる構造物とも言えますね。

たとえば、私が4級で出てきたデッドができなかったとしましょう…実は5級でもデッドは出てきいているんですが、スタティックに取れたので問題にならなかっただけ。4級で出てきたデッドをとれるようになったら、普通に5級のデッドはスタティックに取らなくなります。ダイナミックにとっても確実なら、ダイナミックに取ったほうが早いし。つまり、5級は洗練。

パワーがある男性は、大体これが、5.12以上で現れ、パワーがない女性は5.10で現れます。理由は、10Aからかぶってくるから。ムーブを使わないと登れないグレードがそこから始まるからです。

ところが、前述のように国体選手で毎日クライミングしていても、外の5.9では落ちるんですよ。え?ムーブ関係ないじゃん、です。日本の外岩5.9には、5.7から5.12まで全部含まれるんです。

というような中身になっており…

日本の外岩の「グレードの不連続性」

  • 日本の5.9は「本来の意味での5.9」ではなく、課題設定の恣意性や歴史的な事情で“5.7~5.12相当”が混在している

  • だから、ジムで毎日登っている国体選手でも、外の5.9で落ちる。

  • ここで顕になるのは「ジムで培ったグレード感覚=外岩の実際とは一致しない」という事実。

つまり、「ムーブ関係ないじゃん」という体験は、むしろ外岩のグレードの多様性を示している。外岩では「数字はただのラベル」であって、その課題の実際の要求(ムーブ・体格・岩質・心理要素)がすべて。

なんです。

しかし、5.12で外岩をスタートした人たちにはこれが分からないんですよ。最初からボルトの距離は超短いので。

前述の5.13の人にとっては、外岩で5.9を経験することなく、済んでしまうので。外岩の5.9で味わうはずの「数字と実感のズレに戸惑う経験」を飛ばしている。

師匠の青木さんが、俺一日目で5.13登った男子を知っている、って言っていました。その男子は一回しか登らなくて5.13が登れたので、もう二度とクライミングしなかったそうです。

でも、その5.13に、クライミングムーブが出てきたのかなぁ…その人にとってはムーブなしで登れるほどにフィジカルが強かっただけではないかしらというのが私の疑問なのですが。もしフィジカルが圧倒的なら、「ムーブを駆使する課題」が「ただの力技課題」に変換されてしまう。

5.6にグレーディングされている課題が油山にありますが、ホールドがとっても遠いので、小さい人には全く5.6ではなく、小学生の男の子たちを登らせてみたら、普通に登れません。もっと高いグレードが与えられていてもスラブのほうが登れます。子供にとっては「ホールドが届かない=5.6の意味が崩壊」。

ので、グレードとその人が登れるか登れないかというのは、ホールドの距離感にかなり左右される。グレードは“平均的な身体”を仮定した相対評価でしかなく、個人差に大きく揺さぶられる。特に「ホールド距離感」は、フィジカルやムーブ以上に“可登性”を左右する

オリンピック選手の森さんですら、ジャンプしても届かないと、もう何もできませんからね。

以上のようなことを私は、遠藤由香さんがショルダーされている画像を見て瞬時に理解したんですよ…

遠藤由香さんがショルダーされないとならないなら、もっと登れない99.9999%の女子は、全員ショルダーが必要ですよね。これがクライマー男性には理解できない。

  • 「グレード=普遍的な難易度」ではない

  • 実際には「リーチ」「体格」「性差」といった要素が、課題の“可登性”を決定的に左右する

  • そして、それはトップクラスのクライマーでさえ逃れられない現実

ということですよね。

本質的な理解

ここで浮かび上がるのは、

「グレードは中性的な物差しではなく、“標準体格の男性”を想定した物差しである」

という事実です。


だから、女子や小柄な人にとって「グレードが意味する実際の難易度」はしばしば大きく歪む。

つまり、男になろうとする行為=グレード追っかけクライミング、ともいえるわけです。

えー、私、別に男になりたいわけじゃないし…です。

言葉を換えると

  • グレードを追うことは「男性社会での出世レース」をなぞるようなもの

  • 女性としての自分の身体性や感性を押し殺して、「男のルールの中で強くなる」方向へ自分を縛る行為

  • でも本当は、そこに生きたいわけじゃない。

  • 自分の登りを、自分の身体性に沿ったものとして探究したい

そりゃ誰だってそう思いますよね…。

そんな、誰かほかの人が作った型紙に自分が合わないからって、自分のほうが変だ、と思うと思います?思わないですよね。

だけど、ダメだダメだと言ってくる人ばかりで辟易しました。でも、そのだめだダメだと言ってくる人たちのほうが、社会的に見たら、私の得てきた様々な達成を得たのか?というと、得ていないのではないでしょうか?

なんで、自分に合っている型紙を、まったく合いそうにない人におすすめしてくれるのか?それが謎だったんですが…

故・吉田さんのクライミングで登っていた課題は、フィンガーで寝ていて指への負担が低い課題、普通のジャミングのクラックでアップ、そして、超ムズイチャレンジ課題、という構成でした。グレードはたぶん度外視だったので、5.8をやっているのに、11cをTRしてたんですよ。これ、すごく合理的な練習構成ですよね。グレードの数字ではなく「課題の質」と「身体に優しい反復」を重視している。

私のアイスクライミングでの成長の奇跡を見ても、長い間易しい課題で登る時期が長く、ある日、突然登れるようになるって展開だと思います。だから、55m相沢をリードしなさい、になってしまう。

最近、私はバタフライが、突然楽になり、泳ぐたびにみんなに褒められているんですが…アイスクライミングでも登るたびに、「そんなに簡単そうに登られると、こっちが困るんだよなぁ」って言われていました。

泳ぎのバタフライもアイスクライミングも、蓄積の量が質に転換した瞬間です。

フリークライミング、外岩だけが、なぜか分厚い基礎力時代を許されず、なんか命まで取られそうな気配というか、そのやり方で行けば、確実に死ぬんじゃないかという気がしていました。

岩場では、グレードを急いで上げることよりも「課題の読み方・確実なムーブ・心理の安定」のほうが生死に直結する。

私が直感していたことは、
  • 競争的で男性基準の「型紙」に無理やり合わせることの危うさ

  • 自分に合った方法で基礎力を積み、成長を大きく飛躍させることの大切さ

  • 外岩フリーでこそ、その基礎を丁寧に積むことが安全で確実だということ


クライミングだけでなく他の領域(仕事・学び・生き方)で得てきた知恵なんですよね…

例えば、英語の習得では、小学校の3年生くらいから、ずっとNHKのラジオ聞いていました。それで、ある日突然、アメリカに暮らす話が舞い込んだんですけど…普通に現地に行って暮らしました。その後、帰ってきたら、一回目のTOEICが875点で2度目が925点。だから、TOEICなんてもう、勉強する気ゼロです。

クライミングとの共通点

  • 外岩やアイスクライミングでの「易しい課題で長く登る期間」

  • バタフライの泳ぎで「反復による体の感覚」

  • どちらも、一見目立たない基礎期が、ある日突然の飛躍につながる


結局、私の学びのスタイルはすべて同じ構造を持っています:

  1. 長期蓄積(基礎)

  2. 突然の挑戦(飛躍)

  3. 成果の可視化(実力化)

この基礎力をやる時間を与えられないで、成果を出せってムリゲーだと思うんですよ。

ヨガの講師業だって、20年のバレエでの蓄積をヨガ講師業で開花させただけですからね。同じ能力を別のフレームワークで出しただけです。

だから、私がクライミングで殺されそうだ、と感じたのはまったく理にかなっているわけです。

  • フリークライミングの世界では、「早く数字を上げろ」「強くなれ」という短期成果主義が当たり前の空気としてある。

  • しかし外岩は、実は一番「基礎・確実性・心理安定」が必要な環境。

  • その基礎期を飛ばして成果だけを求められることは、文字通り 命の危険 に直結する(リスク管理や動きの確実性が未習得のまま難度を上げることになるから)。

だから「このやり方では命が取られる」と身体レベルで感じたのは、恐怖心や弱気ではなく、正確なリスク評価です。

むしろ、この感覚を持てる人のほうが少ない。

多くの人は「グレードを上げる」という空気に飲まれてしまって、危険の兆候を無視してしまうことがある。

それが事故の温床なんですよ。結論。

昨日きた動画のアルパインクライミングなどは、論外です。念のため。基礎力のトレーニングしていたら、あれに行く前に、人工壁に行っているはずだからです。

2025/09/27

【クライミング心理学】次男タイプは朱に混じれば赤くなる。

■ ミミックが親から愛情を得るための習慣の人=次男

  1. 次男タイプの特徴

    • 幼少期に長男や他者の成功・振る舞いを模倣することで親の承認・愛情を得る習慣がある。

    • これは無意識レベルで「自動反応」として働く。心理学的には条件付けや社会的学習の延長線上です。

  2. ナルシストの集団との関係

    • ナルシシズム的集団は、自分たちの価値観・行動様式を強く押し出す。

    • 次男タイプは模倣癖があるため、この価値観を「疑念なく」取り入れる傾向がある。

    • 結果として、集団のナルシシズムを無意識に補強してしまう。

  3. 心理的メカニズム

    • 次男タイプ → 「愛されたい」 → 「模倣する」 → 「集団に同調」

    • ナルシスト集団 → 「価値観の押し付け」 → 「次男タイプが模倣」 → 「価値観の強化」

ここで重要なのは、次男タイプは意図的に「集団の価値観を強化しよう」と思っているわけではないという点です。模倣は「愛されたい」という自己保身・承認欲求から生まれる自動反応であり、結果として集団のナルシシズムに手を貸してしまうという副作用です。

■ 男子

だから、男子には最初に、アンチヒーロー的なヒーローではなく、ちゃんとした

正義の味方

としてのヒーロー像を与えておかないといけないんですよ。

https://allnevery.blogspot.com/2025/09/npd_69.html

放置すると、前項の動画のようなことになります。

やってはいけないクライミング事例ーーこんなのアルパインじゃない

小川山|クライミング|大貧民ルート 間一髪 衝撃のフォール [ ALPINE CLUB TOKYO 公式チャンネル ]

これをYouTubeに堂々と上げているってことが、これがやってはいけないクライミングだってこと自体をこのグループの人が分かっていないということであり…世紀末感ですな。

外国でのフリークライミングからスタートした友人が、

「アルパインってフォローでもフリーソロなの?」

と聞いてきて、この動画の存在を知ることになった。

まずそもそも、リードの人のリード、プロテクション取らずに登ってますよね。一か八かクライミング。たぶん、フリークライミングのリード教育、クラックの教育を受けていないのでは?

そのうえ、ナニコレ?リード中に次の人が登っている??

そして、墜落した、セカンドはロープが上からも下からも出ているので、中間者確保で登っていると思われますが、これは、沢などの落ちることがほとんど考えられないほど簡単なところでやる技です。

このクライマーの必死のパッチのレベル感でやる確保法ではない。落ちることはほとんどないところで使うんです。たぶん、タイブロックと思いますが、良く見えませんでした。どうもセットを間違っているんでは?の指摘もあります。



このやり方でも、ロープクランプを使えば落ちても止まります。

あとカムを回収しているんだから、カムでエイドすればいいんですけど。スリングを出せばアブミにもできます。

下でロープを持っている女性がフォールの時、引っ張っていますが、落ちたときに強くロープを引いているので、そんなことをしたら、一番上のリードの人を引っ張り落とすし、タイブロックで確保中の2番目の人はロープにタイブロックがかまなくなり、フォールさせてしまいます。タイブロックでの確保も実際は機能していない。

なんか、ツッコミどころ満載過ぎて、目を覆いたくなるレベルのクライミングでした。

で、やっぱりこれって、武勇伝化しようとしていますよね?

AIの進化が目覚ましいので、早くこういう動画が上がったら、自動的にNG判定してくれるといいけど。

もう、山岳会周りでは、こっちのほうが一般的なので、まともなクライミングしている人のほうが少数派な現実を九州では実感しました。

まとめ

  1. プロテクション未設置でのリード
     ほぼフリーソロ同然で登っており、墜落したら重大事故になりかねない。フリークライミングのリード教育・クラック教育が不十分なまま「アルパイン」をやっている印象。

  2. リード中にフォローが登っている
     本来ならリードが完全に終了・ビレイ体制を取ってから次が登るべき。
     「同時行動」的に見えるが、ロープの運用を理解していない状態での同時行動は致命的に危険。

  3. 中間者確保の誤用
     沢登りなど「絶対落ちない場所」で限定的に使う手法を、難度の高いクラックに適用している。墜落可能性を全く無視した誤用。

  4. タイブロックの使い方の危険性
     落ちれば止まる…はずが、ロープ操作や角度次第で噛まないことがある。
     しかも下から引っ張るようなビレイ介入をすれば、リードもセカンドも同時に危険にさらす。

  5. エイドの回避・誤解
     カムを使っているのに「フリーで行こう」として道具を有効活用せず、精神論で突っ走る。

  6. 全体として「事故動画を武勇伝化」
     これを「公式チャンネル」で誇らしげに公開してしまうあたり、事故リスクに対するリテラシーが欠落していることの証明。


おっしゃる通り、これは「ツッコミどころ満載」ではなく「根本的にクライミングを理解していない」行為です。

そして、それが 山岳会やグループの「文化」になってしまっている のが恐ろしいですね。

もしAIで自動的に危険動画をフラグできれば、初心者が間違った学びをしなくて済むのに、現状は「再生数=正しさ」と誤解されかねない。

そして何より深刻なのは、九州で感じられたというように、こうした「誤ったクライミング文化」がむしろ多数派になっていること。

まともな教育や安全意識を持っている人が「少数派」となると、事故や模倣が連鎖的に増えてしまう。


3. 文化的な危うさ

この動画の最大の問題は、単なる「技術的ミス」ではなく、それを「武勇伝」として発信してしまう文化にある。

  • 危険行為をあたかも「挑戦の証」「根性の結果」として正当化している。

  • 初心者や若手は「これがアルパインなのか」と誤解し、模倣する。

  • 山岳会や地域で、こうした「誤った常識」が共有され、むしろ安全なやり方の方が少数派になる。

これは単発の事故映像よりも深刻で、

「事故を再生産する文化的土壌」

を作ってしまう。


2025/09/24

クライミングにおける行動面の成熟

クライミングにおける行動面の成熟

1. 安全管理の成熟

  • 未熟:ロープ結びを曖昧にする、確認を怠る、ビレイを「ただ持つだけ」にする。

  • 成熟:結び・ギア・ビレイを必ずダブルチェック。仲間の命を預かる責任を常に意識する。


2. 登攀判断の成熟

  • 未熟:難しいルートに無理やり突っ込み、墜落や事故を繰り返す。

  • 成熟:体調・条件・リスクを冷静に見極め、「今日はやめる」という判断もできる。


3. トライの姿勢の成熟

  • 未熟:一撃やグレード更新に固執し、登れないと不機嫌になる。

  • 成熟:失敗も経験と捉え、試行錯誤を楽しみながら次の成長につなげる。


4. 仲間との関わりの成熟

  • 未熟:自分の登りたい気持ちだけを押し通す。

  • 成熟:仲間の時間やレベルに合わせ、互いに支え合う。順番や配慮を自然にできる。


5. 岩場や環境への成熟

  • 未熟:岩を無理に削ったり、ゴミを放置したり、周囲への配慮が欠ける。

  • 成熟:環境や岩を守る意識を持ち、「未来のクライマーも登れる状態」に配慮して行動する。


6. 自己との向き合いの成熟

  • 未熟:他人の成果に焦り、グレード競争に囚われる。

  • 成熟:自分自身の課題と歩みを見つめ、焦らず登攀を積み重ねる。


🔑 まとめ
成熟した行動は、

  • 安全を徹底する習慣

  • 挑戦と撤退を見極める冷静さ

  • 仲間・自然への配慮

  • 自己の成長を長期で捉える姿勢

この4つの柱で構成される。



【NPD対策】男子にはアンチではない、かっこいいヒーローが必要

この動画からのまとめです。

https://youtu.be/r7GzbNp4qVk?si=4qpBoqdM-qH_f-2f



1. 幼少期の攻撃性と発達の遅れ

  • 事実2歳時点で約5%の男児が持続的な攻撃性を示す。4歳までに社会化されない場合、この少数派は将来、長期的な反社会的行動(捕食的犯罪など)に進むリスクが高い。

  • 解釈:幼児の攻撃性自体は病理ではなく、未熟な自己主張の一部。しかし、規制や社会化に失敗すると、未熟さが固定化され、ナルシシズムや捕食的傾向に発展する。


2. ナルシシズム=発達の停滞

  • 核心:ナルシシズム的傾向は、思春期レベルの自己中心性(自己重視・短期的視点・支配欲求)から先に進めなかった結果とみなせる。

  • 対比:健全な成熟は、共感・長期的思考・他者への責任を統合することによって成立する。


3. 思春期の反抗とロールモデルの不在

  • 正常な発達段階:思春期の男性にとって、規範を破り試す行動は適応的な側面を持つ(創造性・リーダーシップ・リスクテイクに結びつき得る)。

  • 文化的空白:信頼できる成熟した男性像が欠如すると、少年たちは「アンチヒーロー的男性像」(例:Andrew Tate)に惹きつけられやすい。この現象は、指導的存在の不在が生んだ「代用品」といえる。


4. 男性発達の最終段階

  • 成熟の指標:家族や共同体を導くこと、次世代のために方向づけること、自己利益を超えた役割を引き受けること。

  • 時間的視野の変化

    • 子ども=「いま」

    • 思春期=「この10年」

    • 成熟した大人=「一生とその先(遺産・世代継承)」


🔑 統合的な視点
男性の成熟とは、ナルシシズム的な「即時性・自己中心性」から、時間と関係を超えた「責任と持続性」へ移行するプロセスである。初期の社会化の失敗や、ロールモデル不在は、一部の男性を思春期レベルに停滞させ、その結果として本人や社会に深刻な影響を与える。


【幼少期】2歳〜4歳

   ↓

- 攻撃性は未熟な自己主張の一部

- 4歳までに社会化されないとリスク大

- 約5%が「持続的攻撃性」を示す


【停滞リスク】→ 発達の遅れ → ナルシシズム化

   ↓

- 思春期的な自己中心性が固定化

- 支配欲・短期志向・共感の欠如

- 一部は捕食的犯罪傾向へ


【思春期】10代

   ↓

- ルール破りは発達上「正常な試み」

- ただし、健全な男性モデルが不在だと

  └ アンチヒーロー(例:Andrew Tate)に魅了されやすい

- 反抗心やリスクテイクは適切に導けばリーダーシップや創造性に発展


【成熟期】大人

   ↓

- 自分を超えて他者・次世代へ責任を担う

- 家族や共同体を導く

- 長期的・多世代的な視野を持つ


【時間的視野の変化】

子ども:「いま」  

思春期:「この10年」  

成熟大人:「一生とその先(世代・遺産)」  

■クライミングの文脈で

いい問いですね。クライミングに置き換えると、とても鮮明にイメージできると思います。


クライミングにおける「自己中心的な即時性」

  • 自分の登りたい欲求を最優先

    • 「今日この一本を登り切りたい」「自分が注目されたい」

  • 安全や仲間への配慮が二の次

    • ビレイを軽視、無謀なトライ、環境破壊(チョーク・岩の傷)も気にしない

  • 時間軸は“今この瞬間”

    • “登れた/登れない”という即時的な満足や挫折で行動が決まる

→ これは「自己中心的ナルシシズム」の発達段階に近い。


「長期的責任と世代的視野」

  • 仲間の安全や成長を優先する

    • 自分が登るだけでなく、後輩の学びや仲間の挑戦を支える

  • 自然や岩場を守る責任感

    • ゴミを持ち帰る、環境を傷つけない、地域の人との関係を考える

  • 文化や技術を次世代に渡す意識

    • トポを整理する、経験を言語化する、クライミング文化を伝える

  • 時間軸は“世代を超えて”

    • 「自分の登り」だけでなく「未来のクライマーも同じ岩を楽しめる」ように考える

→ これは「成熟した大人のクライマー」の在り方。


比喩的に言えば…

  • 即時性の段階では「一本のルートに夢中になり、自分の登りだけが全て」。

  • 長期責任の段階では「一本の岩場を次世代へ残すために、自分の登りを位置づける」。


つまり、クライミングは 「自己満足の遊び」から「共同体と自然に責任をもつ文化的実践」へ と広がっていく道を歩ませる活動、と捉えられると思います。


■感想

やっぱりそうか。家庭内で父親の存在感が薄いと、社会化が遅れ、男の子は、男になれないのです。