■ビレイに不安だった私へ 大丈夫だったよという報告
先日行った日向神では、全く知らない人と組んで登ることになった。が、上手くリスクコントロールできた。これを自己信頼の基礎としよう。
普段、初めての人と組むときは、人工壁でロープ合わせをしてからしか組まないことにしている。理由は、登っていたら、ビレイの手元は確認できないからだ。私は人工壁では、1ピン目で落ちて止めてもらう。
■ 一般的なビレイヤーの確認方法
高いところで、下が空隙なら、落ちてもグランドフォールしないので、高いところで、わざと落ちて、ビレイヤーのビレイを確認するように、一般にフリーのクライマーは、初めて組む人と登る場合は勧められている。
■ 私の方法
しかし、私はグランドフォールして頭を7針縫ったことがあり、それは1本目をドローかけて直後の核心だったので、(初めの一歩という課題名。この課題からスタートしてね、という意味ではなく、最初に核心があるよ、という意味)私の場合は、1本目でも落ちれるビレイヤーが必要だと思っている。
今のところ、日向神では、下部核心という課題はないので、落ちても、まぁ大丈夫だという場所になっている。
さて、一本目のリードだが、1)見るからに登れそうに見えたのと、2)5.9だし…というので、知らないおばちゃんにビレイをお任せした。あまり慣れていない方だと明らかに分かったので、「ビレイできますか?」と聞いたら、相手は心外だったらしく、怒った顔で「できます!」と返してきた。まぁ、相手のとっても、内心、”あんたのほうこそ誰よ? 何様のつもりよ?”と、思うであろうと思われ、まぁ、それは仕方がないのである。
日本という国は、全人類が平等ではなく、不平等な国であり、年齢が下、つまり能力が下、が当然とされているので…。しかし、岩場では、そういうものでは人は測れない。
で、まぁ落ちないでリードしたんですが、ビレイしてもらったけど、アンカーでテンションと言ったら、テンションが来るのにエライかかったので、上でロープを握って待っていた。青ちゃんの教えだ(笑)。知らない人と登るときは、そうしなさいと言われた。その後、別の時に彼女が相変わらず終了点で、張ってーと言われてから、3回も4回も手繰らないといけないで、またそれも遅かったので、「終了点でテンションって言われてから遅いって下手くそって意味よ」と教えてきた。顔をこわばらせてていたが、本当だから、仕方ない。会に属していたら、人間関係が大事なので、誰も本当のことを言ってくれない。
下手くそな人は、なぜかトップロープのビレイしかしなくていいことになっているため、本人があれ?って気が付くまで、人によっては一生気が付かない。ので、嫌われても痛くもかゆくもない、部外者が、それとなく、チクリと言うという役割分担になっている。そもそも、ビレイに上手下手があるとすら思っていない人が多いのだから。
■ OK人材
となりの5.10Aは、別の方にビレイしてもらい、その方はたぶん、大丈夫そうだったので、核心前にテンションしてもらった。ロープのたるみを適切にしてもらうため。
というのは、楽勝で登れるところを登っているときに困るのが、ロープが来ないこと…。
大体の初心者のビレイヤーは基本ビレイにビビりすぎであり、ロープが来ない…クライマーは、イラッチスイッチが入る。私は入らない。来ないロープ=よく見てくれてる、と解釈している。大体、タイト目で、徐々に緩んでいくのが良いビレイだ。
で、核心は上だったので、一度テンションで、その後はムーブ解決して登れた。が、その上にも核心があったので、良かった。終了点では、すぐにテンションが来た。
■ もう後方部隊でいいよ人材
74歳で最近始めた方もビレイしてくれるという話だったのだが、あきらかにスラック多すぎ、ダラリンすぎるように感じた。年配の方は、もうビレイしなくていいと思うんだけど…。
だって、遠くも見えないでしょうし…。同じように74歳の方と登っていた時、案内されて行ったのだが、取りつきでは全くないところに、取りついておられ、ご自身で衰えを自覚されたことがあった…その時は、やんわり、これは踏み痕らしくないですね~みたいなことを言ってあげたのだが…。私自身も相手の認知力の衰えを感じた。
■ 行きたくないところは誘われないように工夫する裏技
実は、青ちゃんも集合時間を間違えてルートに来ることがあった。あれはわざとで、衰えをわざと周りに見せて、自分がビビっていることを知らせるという裏技。
フリーも同じで、あまり頼られたくないときは、わざと岩場にたどり着くまで時間を稼いで、とりつきを間違って見せるというのが一つの手法だ(笑)。そういう時は大体分かる。
なぜ、わざとだということが分かるのか?というと、自分が好きなものの時は間違わないからだ。彼だとアイスのルート…自分が選んだルートで、リードオンリーで、リードを譲らずに登れる相手だったら、間違わない。インスボンも同じだ。リードの取り合いになりたくないそうだ。で、行きたくないときは、初級ルートですら、わざと時間に遅れ、二度と相手が誘ってこないように仕向ける。八つの中央ルンゼへ勝っちゃんと私のために行ったときになぜかついてきてくれたんだが…。まぁ、あまり必要はなかったんだった。というより、わざと遅れてきたりしたので、驚いたし、わーい!と滝に真っ先に取り付いていたが…青ちゃん体重が重いので、滝つぼに落ちていた(笑)。アイス私のほうが体重面で有利な場合もある。
話がそれたが、この年配の方のビレイで、ベテランクライマーが上の方で落ちていたので、上なら落ちれるということらしい…が、だいぶ距離落ちていた。3mくらい。
■ 流して止めなくていいですよ
日向神では、流して止める、がまだ現実に受け入れられている。現代のロープは、伸縮性が良くなり、流さないと人体にショックがかかるほどのことはない。腰が…などの理由がある人は、ロープに投資して高いロープを買うことだ。
現代では、ロープの性能がいいので、流す必要がないということを理解するほどは、みなロープの勉強を多分していないということだ。
最近のロープはショックロードで、大体30%伸びるんですよ? 2mの高さで落ちたら、60cm伸びるわけで、1.4m落ちるとなると、どんなにタイトなビレイをしていてもグランドになる。
そういうことを考えると、1ピン目の位置は2m以下には作れないが… すくなくともパツパツビレイなら、落ちても止めてもらえる位置には、打ってほしいものだ。
また話がそれた…。この方のビレイはしてもらわないで済んでほっとした。あとはずっと自分の能力をはるかに超えるグレードでTRしていた。
TRはロープの伸び量が多いので、別に安全とも言えない。ただキャッチ慣れしてもらうことはできるかもしれない。ついでにいえば、ヌンチャクを外しながら登ると負担が大きい。
とりあえず、誰が安全で誰がダメそうか、あまり困ることもなく切り分けられたので、良かった。
安心できる男性のベテランが3名もそろっている中のクライミングだったので、本来はもっとリスクを取っても良かったのかもしれない。
とりあえず、メンタルに負担がなかったのは、
楽しさ
が証明していると思われ、すごく楽しく愉快に過ごした…。一緒にリスク管理してくれた方に感謝だ。