■ Eternal Frame vs 白亜スラブ vs インスボン
標高 6239m 600mくらい 300mくらい?
ピッチ数:24P 5 12~15 (一日2ルート)
最高難度:8A 約7A 約6B
※デシマルはヨーロッパグレードへ変換しました。
データだけ見たところ…つまり、体感の気温や空気の薄さによる体への影響、あるいは、アプローチでの体力消耗など…を考慮せず、こんな感じに違います。平地でも、24P登れるクライマーっていないんじゃないかなって思いますが。
現代初心者クライマー → 白亜スラブ型=ロープに使われてしまい、5Pでもまともには登れない
ベテランクライマー → インスボン型=年齢的にも、もはや高い難度や厳しい環境のものは登れない
どっちが安全か?というと、リスクを分かっているベテランクライマーのインスボン型クライミングと思いますが…、リスク管理や素早いロープワークによるスピードをベテランにやってもらって、若い奴は、単純で思考力の要らない突破担当、にすれば、
”一日12~15Pで600mくらいの壁で、7A(≒5.11)くらいまでのルートで、アプローチの困難がないもの”
は、登れるんじゃないですかね? 山の素養を色々と身に着けた人ではなくても…。この組み合わせは、男同士のプライドから、成立しないことが多いように見受けていますが。
■ 最高難度が8aだからって、スポーツクライミングで8Aが登れる人ではエターナルフレーム登れない
というのは、明らかなような気がするのですが、そうでもないのかもしれない、と男性の言動を見て思っています。
https://www.climbing-net.com/news/eternalflame_20220728/
5.12を人工壁でやっている若手の男性、OBGのルートで、現代グレードで5.10c、付与グレードが5.9の箇所…うんうんうなって、スカイフックなどのエイドも出して、2時間半くらいかかっていましたっけ…。でも、やっぱり、5.12が今のグレードで、頑張れば5.13行けると感じているようでした。そういえば、ジムの店長さんで、女性のクライマーも、グレード上の上を目指すという意味なのか、5.13を目指す、みたいな意味合いのことを言われたことがありました。これは、婉曲に一緒に登りたくないと言われたのだろうと解釈していましたが…。
私が不安に思うのは、男性クライマー諸君は、やっぱり、
高い標高の影響
山で登るということ
8Aというグレード感
とか、あんまり実感として分かっていないんじゃないかな~と言うことです。エターナルフレームの記事の下で、ボルダリングで、若い男性クライマーが8cを登っていたりすると、ぱっと見に、素人考えの現代初心者クライマーたちの脳裏には
「”8cがこの子は登れるなら、ロープを教えたらエターナルフレームに行けるんじゃ?”とか、思うのでは?」
ということです…。なぜなら、フリーを教えていた熊本の会長さんがそんなノリで若い人を私に回してきたからですが。
■ あいつがやれて俺ができない理由がない、か?
他者がそう思っているか思わないかを別としても、”あいつがやれて俺ができないはずがない”、つまり、”同調”…が、どうも、男性たちの考えの基礎にあるみたいなんですよね…。しかし、ポジティブでいいって言えばそうですが、それは、現実的でないです。
スタート時年齢
現在の体力、
そもそも伸長などの素養
筋力の有無
など、どうやっても人が越えることができないものはあります。 バレエと同じく、クライミングは、岩に刻まれたホールド、という動かない型に自分のほうを当てはめていく活動なので、どれくらい寄り添えるか?には限界があります。ちなみにバレエは入門する前に、すでに成否が分かれてしまいます。入った時にすでに180度のターンアウトができる人がやるという前提があります。クライミングも似ていると思います。似ていないのは、バレエ界では、一般ダンサーとプロは全く別レベルと理解されていることが、クライミング界では理解されていないのでは?ってこと…
■ 異なる価値観のクライミングを同一グレードで表記することによる錯覚
そこの質の差を、業界ではだれも網羅的に語っていない…。
昨日ユージさんと小山田大さんの動画に巡り合ったので、ちらっと見てみましたが、どうも
命がかからないクライミングをしている人たちのクライミングの楽しさ
というのと、
山での登攀の愉しみ
は、全く別物であることが、片方からは片方は見えない、みたいなことになっているような気がします。
そこへ、グレードが入ってきて、グレードと言う一つの物差しで、異なる価値観の両者を結び付けようとすることで、全く違うものなのに、同一線上にあるかのような錯覚
が生まれてしまっているのでは?、と思うのです。
もっと厳密に誰か分かる人がクライミングの困難さを語ってやればいいのかもしれません。
■ 市民クライミングとの差の錯覚
アルパインの価値観の中にも、”オールフリー”(一回もセカンドでもテンションしないで登る)、ワンプッシュ(一回こっきりのトライで完全に登りきる)などのフリーの価値観が侵入していると思いますが、市民レベルのアルパインクライミングで、セカンドが落ちてロープにぶら下がったからと言って、残念だったねと言う人はいません。
ので、市民クラスのクライマー群とは、アルパインクライミングのクライマー群の中でも、価値観が違ってきています。
市民クライミングのレベルが下がり、トップレベルのレベルが上がり、乖離が極端ということです。
そこが見えていないので、市民クライミング側のクライマーたちが、まるで、トップクライマーが浴すべき尊敬を、得て当然みたいな感じ…平たく言えば、慢、になってしまっているような気がします。
■ 中島さんの記録
ドラツーの中島さんが、アイロンナイトを登った記録が出ていますが… これなど、実はものすごい成果なのではないか?と思います。
現代アルパインクライミングの成果を上げるのに、ドライの技術はマストというか、ないと話にならないというか…アイスが登れても、山の上でアイスが途切れたら登れないというのでは、続きが登れません…。ドラツーはハングを登るので、プロテクションは、すでに打たれていることが多いですが、それは未踏の山で期待しないにしても、垂直クラックにアックスを差し込んで登れるくらいのドライの技術は必要だろうと思います。
でも、現在、ドラツーって、クライミング業界の中では異端ですよねぇ…私は、将来のアルパインクライミングの発展のためには、ここが抑えるべきポイントと思いますが…
■ クライミングのPPM
PPMというのは、マーケティングで使うマトリックスです。
1)フリークライミング
2)スポーツクライミング
3)ボルダー
4)アルパインクライミング
だと思いますが、新たな2)の可能性が高いのが、現在1)のドラツー、ではないかと思いますが。
ドラツー、フリーで普通にやるルーフより、うんと身体負荷が大きいので、たぶん、もう登れないところがどこもないなーと退屈しているユージさんのようなトップクライマーでも満足するんじゃないかと思いますが…
ギア代が高い上、国内で登れる場所がないって話もありますが。
逆に市民クライマーなら、ちょっとやってみれば、ビックリ仰天すること請け合い。特にオールドクライマー。 この程度の壁を登って偉ぶっていた自分が恥ずかしくなるかもしれません。
■ 今日の名言
これは東大の上野さんの名言と言われている祝辞です。
《世の中には、がんばっても報われない人、がんばろうにもがんばれない人、がんばりすぎて心と体をこわした人……たちがいます。がんばる前から、「しょせん、おまえなんか」「どうせ、わたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、そういう人びとを助けるために使ってください。
そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください》