2019/06/21

グレードを追いかけてはいけない

グレードを追いかけてはいけない

というのも、初期のころ師匠の鈴木さんに言われて、「やっぱり、追いかけ始めた」と言われて、悲しかったことがありました。

日本のクライマー界では、グレードを追いかけていないと、クライマーじゃないと目して付き合ってくれなくなる人もいるし、逆にグレードを追いかける人だと思われると、離れて行く人もいるし… グレードって悲喜こもごも、です。

先日もグレードの話をしていたら、タイのクライマーにそっぽを向かれて悲しかった…スコーミッシュが終わったくらいで瑞牆って危険と思ったから、グレードを持ち出しただけだったんですが。この辺の感覚は、説明するのがかなり難しい。タイでスポーツしか登っていない人が、瑞牆にタイの岩場の感覚で来ると、死亡事故になるかもしれません。

■ ランナウトの岩場が普通の日本

ただ言えることは日本では易しいグレードは、どこの岩場でも、ランナウトが著しく危険ということです。

例えば、小川山で5.7のマルチが、卒なくこなせるには、5.9くらいはちゃんと登れていないとダメです。小川山はアルパインの岩場でなくフリーの岩場ですが、それでもそうです。「ランナウトが核心です」という言葉の意味は、”ロープは命綱ではないよ”、”落ちたら死ぬよ”って意味ですので。

ので、基本的にグレードの支配から逃れられないのはクライマー側の問題より、日本の課題設定の特殊性?一般に自分が登って楽しいというところを登っていればいい、という人工壁クライミングと同じような話にはなっていないです。

■ アルパインはさらに高度

さらに同じマルチでも、アルパインルートへ行くという話なら、もっと話は複雑になります。アプローチが長い事、生活技術が必要なこと、ロープワークの巧緻が明暗を分けます…。登れても遅い人は遅いです…。良くいるのがフリーのクライマーで歩きがダメな人。

■ グレードの無い岩場が楽しかった

ということで、追いかけたくなくても、まとわりついてくる感じのグレード… 

師匠の青ちゃんと、まったくトポも何も持たずに、昇仙峡を登っていた時は楽しかったなぁ…

非公開の岩場でしたので、誰もトポ持っていないので、現地に行って、じーっと見て、”これ、登れそう”と思ったのだけ登るんですが…さすが、青ちゃんは見る目が確かだったのでした。

なので、私は、とても信頼していたのですが、その見る目、自分が登れそうかどうか?って話で、私に適用すると、ちょっと違うみたいでした(笑)。まぁ当然か。

私はそういう目が養いたいです。それには何をしたらいいか?とここ、3年くらいずっと考えています。

アイスクライミングは、最初からグレードがないので、見る目がついて来ていたけれど、岩では、”なんか登れそう”と思って、結局、登れない、ということ続きです。