2024/05/04

【リスク中心思考を身に着ける】安全は自分の中にある

 ■ 素朴な疑問:クライミングって危険じゃないんですか?

まぁ、当然思うよな~。やったことがない人は。

基本的に危険だと思ったら、行きません。

例えば、アイスクライミングで、

 危険で壊れそうなところに行く人=バカ

と相場が決まっています。

■ ハイキングレベルで行動原則を身に着ける & 自分なりの基準を作る

これは、ハイキングのレベルの時から、雨の日は行かない、などの原則によって強化される行動原理なのです。

多少の雨で行くとしても、雨合羽を持っていくとか、雨量が一時間50ミリだったら行かない、とか、いろいろ

 その人なりの基準

を作っていきます。

■ バカとトップがやっていることが素人からは同じに見える

もちろん、基準が高い人がすごい人。

ところが、これが内的基準なので、傍からは、同じに見える、という問題があるのです。

例えば、登山界で有名な頓珍漢に栗城さんがいます。栗城さんは、素人さんには、すごい登山家に見えてしまいます。

これは、例えば、多少の雨で行くとして、雨合羽持っていかない人が風邪をひいても、タダのバカでしょう?

同じことで、氷が薄くて危険だと分かっている時期の氷瀑や気温の時に登って、落ちても、タダのバカです。

栗城さんは、明らかに無謀と分かることをやっていて、死にました。

本当に、基準が高い人も世の中にはいます。例えば、世界的クライマーの山野井さんなどは、雪崩の中生還したりして、尊敬を集めていますが、間違っても、わざと雪崩に向かって行ったわけではないんですよね。そんなことしたら一発で終わりです。

■ わざとやるバカと仕方ないリスクの峻別が難しい

私が困っていたのは、わざと自分を破滅的な羽目に持ち込んで、周囲からの承認を得ようとする人が、私をクライミングパートナーにしていたことでした。

一緒に行ってくれる人がいなくて困っていそうだったんですよね… 

しかし、25mと35mのピッチを50mシングルで登ろうとすることは、最初から10mもロープが足りない訳ですから、わざと雪崩に向かって死んでいる人と同じです。

いくら、私にいろいろ技術があってもフォローしきれません。そもそも、登る前から遭難、です。

私の落ち度は、まさか、そこまで知性が低いとは思っていなかったことです。そこまでは読み切れんかった。

■ 危険だけれど、行かないといけない場合 = アドレナリン

しかし、危険だけれど、行かないといけない場合も出てきます。

ユージさんのデイドリームの後半では、オーバーハングを終わって、登り終わったところ、スラブで、落ちれない場面が出てきています。

あれは正当なランナウトです。プロテクションが取れない。

動画を取っているスタッフに、「グランダー、グランダー」などと自分が危険を認知していることを声掛けしています。

この声掛けが大事で、

 分かってるよ~ ここで落ちれないことを。

って意味です。ベテランクライマーは良くこうした声掛けをします。

逆に素人クライマーは、

 燃える~ 

と言ってこうした状況を歓迎しています。これが、アドレナリンジャンキーの正体です。

なんか、これを求めるように自分から向かって行ってしまうんですよね。みんな。

でも、楽しいのは核心部分で、ランナウト部分ではないんですよ。

私なんて、自分が楽勝で登れる5.8でも、ランナウトしていたら、真っ青です。簡単なルートなのにストレス。

■ 現代レベルと40年前レベル

ユージさんの登っている課題は、5.14bです。それで最後はランナウト。しかし、ランナウトの箇所は、当然5.14ではない。もっと簡単です。

ところが、昔の人って、5.8で40mランナウトさせていたんですよ…。

たった5.8ですよ?

5.8がどのようなレベルか?というと…?

私、クライミングをスタートして、まだ3カ月のころ、オンサイト(見て一発で登れる)しています。誰でも登れて落ちないようなのが、5.8って意味だからです。最低限の運動神経と言うか。

このころから男性の基準で裁かれており、40代の初心者の女性に対する処置としては厳しいと思います。頑張らせすぎです。私は後輩に教えるときは、こんな教え方しません。落ちても責任負えません。

当時41歳。20代男子ではないですからね…。

ちなみに、5.8 40mランナウトのルートが作られたのは、40年ほど前と思われ、作った人は、当時、若い男性、だったと思います。その基準を3か月前にクライミング始めましたという40代の女性に当てはめたわけで、現実認識がおろそかすぎますね。

昔の初心者って18~20代、男子、です。

さて、昔の初心者に該当する若い男子は、現代では、一般クライマーでも5.12は登ります。高校生など、その日に登ってしまいます。しかし、それは安全が確保された人工壁の場合です。安全が確保されているから登らせてOKなわけです。

つまり、(外岩の基準)と(インドアの基準はそれほど違う)ということです。

言い換えると、(5.8ランナウト)は、簡単でも非常に危険なので、登攀力のゆとりという保険なしでは、登らせられないということです。

一方、5.12で安全なルートであれば、現代ではクライマーとしてのスタート地点に立ったという程度の意味です。

■ 人が落ちて死んだことが、自己肯定感の源泉になっている

ところが、こんな低いレベルでも、最近のジム出身クライマーは登れず、落ちます。

というのは、外の岩場での、経験値がないからです

これは今も昔も変わらず、ただし、昔は、最初の外岩で、オンサイトを求められることなどなく、誰かにロープを張ってもらって、安全に5.8を何度も登って登れるようになってから、登ったのが習わしです。

現代ではこの習わしが無くなっている。

その上、死亡を含む重大事故が起こったことが、古いクライマーらの自己肯定感の源泉になってしまっているのです…。

俺もまだまだやれるなって言う…(汗)。

それは、若い男子が、ぽろぽろと落ちるからです。しかし、そんな不利な状況に立たされた人と自分を比べて公平な判断になると思います?ならないですよね?

たぶん、女性には、ランナウト=落ちないで登るよう指導がある、と思います。

これが、たぶん、男子にはない。

なんか男性は、命を大事にされていない?仲間意識で守られていない?むしろ、フレネミーのような扱いになっている?っていう感じです。

男子、お気の毒。

おそらく、40mランナウトを作った当時のクライマーたちが、自分が時代遅れになり、そうしたルートが真実の意味では、すごくない…ということに、気遅れや現実を受け取ることに、抵抗を感じているからではないでしょうかね?心理カウンセラーが必要なのは、この人たちのような気がします。

昔は俺だって…

そうですよね、確かに。あの頃はそれで大変でしたよね。

でも、時代は変わったんですよ。

現代では、無意味となってしまった場所で、簡単な場所だからランナウトしてもいい、と教えることは、そのクライマーは、ほんのちょっと偶然で、早晩、死んでしまって、もっと上のルートにステップアップできない、ということになります。

易しいところでできないことが、難しいところでできるはずがないでしょう。

もし、クライミングで若い人を応援したいと思ったら、簡単なところから確実にプロテクションを取る習慣づけが必要なんですよ。

ユージさんはランナウトしていますが、ハング終わりのスラブ、あれ難しいと思います?

難しくないですよね?

あそこで落ちるようなレベルだったら、最初から取りつかないわけですし、良く映像を見るとフィックスが他にも張られています。

私も、上で7mランナウトした課題を山梨時代にやりましたが、隣にフィックスが下がっていました。

いざとなれば、それをゴボウすることができる。クライミングの基本は、冗長、です。

そうしたことは、講習会以外では、言語化されては伝えられません。

日ごろのクライミングで、見て、盗むもの、なんです。

自分より上のクライマーの行動を見て覚えるのですが、最近は、ちゃんとしたクライミングに連れて行っても、肝心のクライマーが見て、学ばないのです。

師匠の青ちゃんとのインスボンに、相方を連れて行ったのはそのためですが、結局、彼は、青ちゃんを見て、何を学ぶべきか自体も、分からなかったようでした。残念。

豚の首に真珠、というか、馬の耳に念仏、みたいな感じなんですよね…

■ 現代のクライマー対策

となると、入門ルートと言うのは、そういうクライマーの実態に沿ったものである必要があります。

つまり、ボルトの場所は、

 下部で頻繁、上に行くほど少なくなっていく、という風に配置する必要がある

ということです。

彼らはセカンドで連れて行っても学ばず、すでにプロテクションが打たれたルートを自分でリードしながら、ボルトの配置事態を学んでいくという体制にあるからです。

昔の教え方では、教えられることができないんですよ。

私はHSPなので分かったんだと思います。ほかの人は私ほど良く考えていません。

2024/05/03

【クライミング動画】ユージさんのクラッククライミング


なんかお知らせ機能が働いて、さっき見ていたところなのに、また来た!

これを見ながら、グレードは違っても、私が見てきたクラッククライミングと一緒だな~と思いました。

フリークライミングの領域になったら、グレードは違っても、全クライマーやっていることは、みんな同じです。

プリクリしたら弱虫!とか、なんか私にはカンケー無いルールを課されて嫌だったわー。

しかも、九州では、カラビナ直掛けがローカルルールとか… は?!って感じでした。

誤解だらけの九州クライミング…世直しは自分でやってね!あたしゃ、知らんがな…。

ちなみにグレードですが、小さいクライマーにとっては意味がないですよ?どっちにしても届かないんだから。5.9って書いてあるのが、一般の背の高いクライマーにとって5.9ではなく、10cだったりするのとは、全く別問題です。

【教育的動画】確実にクラックを登るトップクライマー ユージさんの映像 

■ ユージさんのDAYDREAM (デイドリーム)

■ 危険だと思ったら、下部は固め取りして、クライムダウンし、再度、登ります。

  1:12くらいのところです。

カムをテストするパンパンって音が懐かしいです。テスティング。

カムが外れるクライマーって、この音のチェック、やっていないですよね??

たぶん、一般クライマーって、安全に登る、ということは、どういうことか?っていうサンプル、お手本を見ていないんですよね…

しかも、一流クライマーがやっているクライミングスクールにも、行きたがらない…。

このように見るだけでも、学ぶことがたくさんあるのに…。

たぶん、何かがバレることを嫌がっていて、それで行かないのだ…と思うのですが…。

相方も機会が与えられても、行かなかった…。

このデイドリームの動画は、今、気が付きましたが、もしかしたら、ユージさんが親心で、世の中の無謀な…無知であるために、結果的に無謀に陥ってしまっている一般市民クライマーのために、教育的配慮で撮ってくれたのかもしれません。

ユージさんほど、名声が確立されたクライマーなら、途中でクライムダウンして、登っても、別に、カッコ悪いと勘違いされるとか、名誉が傷がつくことがない…

私も野北の岩場で登った時は、こんな感じに下部を固め取り、その後、上をやりました。途中で屈曲するので、いったん降りて、一つカムを外す、とか…もしました。

リードの岩場では、一番下が、最初のクライミングの出だしが一番危険なんですよ。

以前、城ケ崎で、知り合いのクライマーに下部核心のルートを勧められた時は、守られていない!と感じて、怖くなりました…。守られていないというより、わざと陥れようと画策されているような??

下部核心を勧めるのは、ほんと、なんでなんでしょう?分かっていないから、としか私には考えられませんが…。


事例に上げているアイスクライミングのリードを見たときは、私自身も初心者なので、変なリード、と思っただけで、深く追求しなかったのですが…。

それだけ経験があっても、こんな登りしかできないんだ…、自分ならそうは登らない、という感じでした。

カムの位置ですが、人によって適切だと思う位置が違います。

クライマー別カム設置の考察

うまくハマるところ、バチ効きになるところは共通なので、選んで登れないといけない。その辺が岩との対話で楽しいところです。

このユージさんの動画がみんなのお手本となることを期待☆

【English】Advises for climbers visiting Mizugaki (No1 trad crag in Japan)

Advises for climbers visiting Mizugaki (No1 trad crag in Japan)

Rope 

Bring two rope.  Most people bring 50m double rope. 

Japanese most routes are created when regular rope length was 40m so longest pitch in a multipitch route, often 35m.  

Food 

There is Nana's, the only supermarket in the neighborhood and every climber goes there to shop the food, so it is kind of like, you go here to meet your friend. 

https://nana-s.co.jp/

https://maps.app.goo.gl/dAFekvSvG2ydAEpJ6

Climbing shop 

In the next to Nana's, there is a climbing shop Rock Roof and they will know all the beta that you need to know. 

https://roofrock.jp/

Climbing Gym 

The best and most renown climbing gym in the neighborhood is, Pirania, in Yamanashi. It's a small local gym but Tokio Muroi is working there who wrote "Kurohon" in bouldering, he is not a trad climber but he knows everything visiting climber needs to know. 

https://www.pirania.jp/

Climbing Guide 

Yusuke Sato is the most reliable, knowledgeable guide in the neighborhood but he may be out of town... for his own climbing trip.   

https://www.sato-alp.com/

Freeclimbing Instructor's association 

If Yusuke is not available, then make an inquiry to this place, for alternative guide. the Guide may be living in Tokyo or Nagano, not Yamanashi...  

https://climbing-instructor.jp/

Guideless?

Yes, you can. It is not difficult to get to a camp site "Syokujyusai park". Approach to the Toichimen iwa is easy, it is the same as hiker's trail and if you miss it, you go simply toward the summit of Mr.Mizugaki.  Oozura and Kozura, I don't know but there are lot of subtle climbers trails there and I think you need to get used to it. 

I have climbed there several short routes and one multipitch... there are so countless routes there... 

The photo is one that I am climbing, my first onsite on 5.8 crack.

                瑞牆の5.8

Rental Car

If you rent the car in Narita air port, driving is so long and tough. 

Locals will come to Nirasaki JR station(most close) or Kofu station(the nearest city), then rent a car. 

Toyota

https://rent.toyota.co.jp/sp/shop/detail.aspx?rCode=63901&eCode=011

NicoNico

https://www.2525r.com/yamanashi/nirasaki/store-01145-002.html

Short Trip

You can go to Yatsugatake mountains for a long nice mountain climb in your rest day.  Also, Tokyo is a great city to have a sightseeing.. I stayed in hotel owl last month in Uguisu dani. Nearest city is Kofu city and they have sightseeing spots like Shingen Jinjya and others. 

 


2024/05/01

【リスク中心思考を身に着ける】マルチピッチに行く前の情報収集:何を問うか?

■ 事例

問い)マルチピッチのルートや初めて行く岩場について問い合わせるときに最初に聞くのは?

答え)下降法

歩いて降りれるのか?懸垂下降が必要なのか?で、ロープの構成もギアも違います。

問い)次に聞くのは?

答え)通常みんなは何メートルのロープで行っているの?

  つまり、ロープの長さ、です。

です。

■ トポ見れば分かる?

下降については、トポにはあっても、分かりづらいことが多い。

生の声を聴いたほうがいいです。


■ 認知の歪みチェック

もし、「敗退なしで!」と言われたり、ロープの計画を相方が相談してこないがそのことについて、相談できない、と感じる場合、

 相方を信頼いけないという認知の歪み=ロープの計画を聞かない

となるのかもしれません。ちょっと時間を取って、なぜ自分は相方にロープ計画について聞くということができなかったのか、胸に問うてみましょう。

クライミングパートナーを信じられない自分には価値がない、という認知の歪みを持っていると、山行計画を相談しない、という行動が結果として生まれるそう、です。

■ 正しい認知

初心者でなくても、10年くらい登っていたとしても、現代のクライマーは、適切なロープ分配計画ができない人は多い。

そうでなくても、人は過ちを犯すもの。

ロープの相談を最初にしましょう。

■ ロープの選び方

1)シングルで行くか?ダブルで行くか? ⇒ ルートがまっすぐか?屈曲しているか?

2)長さはどうするか? ⇒ 一本で行くなら各ピッチの倍の長さが必要。2本ならピッチの長さで多分足りる。 

※日本のルートは大体40mロープの時代に作られているので、どんなに長いピッチもほぼ35mで切ってある。現代主流は、50mロープ2本(ダブル)がノーマル仕様。

※ツインの出番は、屈曲が少ないクラックのルートで、敗退を確実にすると、ツインが便利です。担がなくてよいので。

※ シングル2本はダメです。念のため。ロープが太くてビレイ器から出ません。

■ 結論

”50mシングルロープでマルチに行く”という選択が、どれほど愚かで、物事を分かっていない行動か?ということですね。

しかし、なんでそういうことになったんだろうなぁ。

うかつだったという気がしますが、それ以上の心理的認知の歪みが、あるのかもしれません。

私の中に、

 パートナーを信じてあげたい

という気持ちがあった、ということは言えると思います。よくしてあげたいという気持ち。

さらに言えば、

 信じてあげなければならない

とか

 信じてあげないと私には価値がない

もあるのかもしれません。

仲間は助け合うものだ、という”善意”の認知をナルシシストに利用された、というのが正しい認知のような気がしています。

個人的には、え?!まさか、そこまで分かっていない人なの?!っていうのが驚愕だった経験と思っているのですが、深層心理的には、

 分かっていない人と思える、その相手をなぜ私は選んでしまうのか?

のほうが大事な反省要素。

クライミング界を向上させたいという気持ちが、良くなかったのです。人のことにかまけていないで、自分を向上させましょう…

それが起こった理由を考えると…

「おねえちゃんばっかり…」

という弟や妹の声が聞こえてきます。お姉ちゃんが幸せになることをねたむ声です。

■ なぜダメな男性ばかりを選んでしまうのか? 可能性の探索

歪んだ認知:

「彼を世話できるのは私しかいない」

「この人を支えられるのは私だけ」

「私は愛される価値がない」

背後の経験:

親に愛されなかった、失恋、など。「好きな人に愛されたいという欲望」の抑圧がある。

うーむ。心理学的には、一般的には、こういう話らしいですが…、確かにもっと親と楽しく遊ぶ経験が必要だったとは思いますが…かといって、

私は愛される価値がないと思っているような行動をとったとは思えないんですよねぇ…

私に認知の歪みは、

  愛せば、愛し返されるはずだ、

かもしれません。愛しても愛しても、よりよくなって返報性の法則で返ってくるはずなのに逆にあだになって返ってきているような感覚がありました。

■ 親切にすれば親切にし返される

というのは、返報性の法則ですが、返報性の法則が通用しない場面は以下のとおりです。

  • 相手が求めていないものを差し出したとき
  • 相手が気軽にプレゼントを贈れないとき
  • 見返りを求めていることが見透かされているとき

うーん?

単純に考えていない人だった、と言うだけの珍事件を経験した、ということのような?

私のほうが、世間知らずで、世の中の人はみな、自分と同じくらい、深く物事を考えている、という前提のほうが間違っていた…という苦い失敗のような気がします。

HSPあるある、なのかもしれません。





【リスク中心思考を身に着ける】チャレンジする前に考えてから取り組む

 ■ HSP向け動画



偶然見つけた動画ですが、これこそ、クライマーに必要な資質だ!と思ったので掲載。

『チャレンジをする前に考えてから取り組む』

考えていない事例:

1)ジムで5.11が登れるから、北岳バットレス四尾根に行ける。 

⇒ いけません。ジムのグレードとアルパインルートで必要になるリスク回避能力に何の関連性もない。

2)50mロープで、25mと35mのピッチをコネクトして登り、反省では「やっぱりロープは60mだね!」

⇒ 違います。足して60mのところは60mシングルでは登れません。どうやってアンカー作るつもり?ロープは2本、が正しい反省です。

3)3級しか登れないのに、マット使わず、2段をノーマットで登りたい。

⇒ 2段登れる前にケガするだけでしょう。

4)懸垂下降でロープが地面に届いていない。

⇒ 間違いに気が付いたときには一貫の終わりで、さよーならーですね。

5)5.10bとされているインディアンフェースを、5.11がほかで登れるまで登らないルート

⇒なら、インディアンフェースは、5.10bでないって意味ですよね。

6)下部核心のルートを初心者に進める 

⇒ 初心者は落ちるから初心者なんです 

7)屈曲したルートを初心者に進める‥‥

以下、エンドレスになりそうなので、割愛。

■ リスクが開示されていない

昨日アルパインのルートステップアップ法を記述して、気分が良くなり、フリーのルートステップアップ法を記述していて気分が悪くなった(笑)。

リスクが開示されていない、というのが、おそらくその理由だと思う。

リスクが開示されていなければ、リスクに備えようがない。

リスクが開示されているとは?

エクセルで、どの終了点が、ボロいボルトなのか?情報が開示されているってことですよ?

どれが何月何年にリボルトされたか分かるようになっていること。

開示されていないリスクには備えようがない。ボルトの強度なんて、手で引っ張ったくらいで分かるはずないですよね?

その場合激落ち無し、テンション程度で登るプリクリップ必須

これは、あなたがビビりだからではなく、ボルトがオンボロだから、ですよ。

まぁ、開示したら、日本中ほとんどの岩場ってことになると思いますが…。

謎なのは、JFAも、各岩場のリボルト情報を一覧性がなく、今までその岩場に縁がなかった人には分かりにくい状態にわざとしているのではないかということです。

何か、隠し事、あるんじゃないかな?


【クライミングで起こったこと消化中】ごまめなのはどっち?

■ 子どもに戻る時間を自分に与え中

昨日はテニスのBBQ大会で楽しかった。

テニスをしながら思ったんだが、まぁ、ボールがコートに入ったかどうか?とか、どーでもいいことなんであるが、その”どーでもいいこと”に一喜一憂して、楽しむ、というのが、私の中の、人格パーツとしての、”子供の無邪気メンタル”を育成するのに大事なことだ、と思った。

多分、私は、子供時代に、これを充分堪能することなく、子どもでありながら責任のほうを背負わなくてならなくなったわけなんだが…。

テニスが楽しいのと、クライミングが楽しい、のは、私の中では、まぁ一緒である。

水泳でバタフライを習得しようとするのと、アイスクライミングを習得しようとしているときの自我も同じものである。

ついでに言えば、韓国に登りに行ったり、台湾やラオスに一人で登りに行くときのメンタルも、まぁ同じもので、規模が違うだけで、近所の公園に行って遊ぼっかな~ってのと、ほとんど変わりがない。

大人の知性で、子供のように遊びをやるから、進展して楽しい。

子どもだって見ていると子供同士で遊んでも楽しくなく、大人に遊んでもらって楽しんでいる。結局、誰でも、誰かに最初は遊んでもらうのだ。

■ 勝っても負けても別に自己価値は傷つかないことに気が付いていないみたいな?

このテニスみたいな、勝っても負けても、どーでもいい、基本的には、個人の価値や人生とは無関係な世界で、勝ち負けにこだわる人もすごく多い…というのが、今回の気づきである。

俺の価値がなくなる…みたいなものがかかっているから、なのらしい…と昨日は、周囲の人を観察して思った。

それと競争心。例えば、スライスサーブを打てるようになる、とか。

競争心が満タン。それだけに執着してやっているみたいな人がすごく多い。

■ 選手としての挫折感&指導者としてのヤレヤレ感

で、22歳の若い先生たちが、65歳のおじいさんたちに教えてくれているわけなんだが、そうした若い先生たちの挫折感は、とても大きい。教えることについてのヤレヤレ感もとても大きい。

先生たちは選手クラスから来ているから、一般市民テニスプレーヤーから見たら、比較にならないくらい、すごく上手なんである。なのに、挫折感&ヤレヤレ感、なんである。

先生たちで、誰も、まだテニス再開して5回目です、みたいな私を打ち負かそうと、豪速球を打ってくる人はいない。めちゃフォローしてくれる。

私は元・中学軟式テニス部でキャプテンなので、まだテニス再開して5回目くらいなのに、もう、どっちかというと中間管理職で、誰をお手本にしようか?というと、昨日は、周囲の一般の人にはいなかった…。先生たちが男性で、男性プレイヤーは、あんまりお手本にはならないからなんだが…。テニス界でも女性指導者はすごく少ない。

これは長く住んだバレエ界でも同じで、先生たちは、世界のプリマを目指した後、その夢が挫折して、教え、に回っているので、プロとしての挫折感&指導者としてのヤレヤレ感がすごい。

市民バレエダンサーは、超下手くそなので、まあ一生、フェッテ32回とか、ありそうにない。しかも、誰もそんなのしたいと思っていない。

私は、バレエでは、19歳からバレエをしているので、65歳スタートの人と比べると当然長いわけで、クラスではへたくそには入らない。だからと言って先生たちに並ぶわけはない。

先生たちにしてみれば、教えやすい生徒で、私は、理解の面で話が早くて、この構図が見えているから、バカにされたことはないし、かといって過剰な責任を負わされそうになったこともない。

■ クライミング界はなんか変だ

ところが、クライミング界だけで、何かおかしなことが起こるんだな、これが。

過剰な責任を負わされそうになるわけなんである。

市民クライマーなのに、高難度が登れないからと言ってバカにされるわけなんである。

なんでなのだろうか?

人材難が背景にあるのだろうか?

しかし、私は責任が必要で来ているわけではなく、楽しむニーズを満たしたい、わけなんである。

ここにすれ違いがあろう。

■ 俺だって時が時なら〇〇…な市民クライマー

日本でも、いわゆる一流クライミングガイドは、世界トップレベルのメスナーだとか、トニー・コードウェルと並ぶ。

しかし、一般市民クライマーは、当然、おれだってメスナーな気になるはずがない…。

テニスで教えてくれる指導者と同じくらい上手になるつもりで、レッスン生になるか?いや、65歳から追いつく気?な感じで、まぁどう転んでも無理である。

まぁ、テニスのすばらしさは、生涯スポーツであることにあり、勝つことにないと思うんだが…そこが煩悩なんだろうなぁ。

クライミングも、たとえ、大学山岳部で今登っているとしても、メスナーや佐藤ユースケ、あるいは、ウエリと並ぶとかないだろう…

…ところが、これが…山登りの世界に来ると、一般市民クライマーなのに、世界の一流と並ぶつもりで、最初からいうことがとってもでかい、みたいな、日本男児のすごい誤解がある…。なんでそうなったのか? 

もちろん夢はでかいのはいいんだが、根拠のない自信というか… え?現実を見れば分かるでしょ、みたいなのが、ない。

自信?

自分ができると現実的に想定する範囲がすごく巨大化している。

それで死んでしま人が多数だ…。筆頭は栗城さんかね?栗城さんに限らず、近所のクライマーでも、初心者は大多数が、俺だって〇〇な感じで、見ていてとっても現実の自分の実力に基づかず、危険だ。

■ 5.12でやっとこさな人は、普通の人ですよ?

フリークライミングなんてもっと顕著で、5.12を何時間もかかってやっとこさ登れるだけの人が、5.14とか登っているひとと並ぶつもりでいたりして、そのつもり、も、別に安全に頑張ってくれたらいいのだが、なんか現実の努力の量や現実の自分の姿に、基づいていなかったりする。

競技人口が少ないから、今なら、上の方に食い込める…だから夢がある、と言ったスポーツクライミングの指導者がいたが、なんと浅はかな思考だろう…と思った。それ、名前を付けるとすれば、偽成功、みたいなことですよね?

そんなこと言ったら、43歳スタートの市民クライマーの私ですら、国内5位になったことがある、アイスクライミング…モンチュラカップに初めて出たときに、5位だっただけであるが、試合の方式に慣れておらず、実力を表現できない内容の5位だったので、残念感が漂う内容だったんだが…それで、いや、あたしってすごい!と思うか? 思わないよなぁ…

なんで、クライミング界は、俺だって世界の一流クライマーに並ぶんだ、みたいな発想が根強いのか?しかも、後発組で…

そこのところが謎だったが、市民テニスプレーヤーの皆さんを見て、なんか分かる気がした。

ま、ほとんど、自動反応、ですね…。

その中で不思議だったのは、

結局、自分が、その活動から、何を楽しんで、得るか?という点にフォーカスがなく、そこで、どう自分を周囲に認めさせるか?という問題になってしまっていること。

それで、結局、勝った負けたの順位が気になるわけなんである… 

昨日は、球を追って、コートを転がりまわること5時間。あー、楽しかった。

勝ったか負けたか?覚えていません…。

昨日は、背の高い年配の男性が組んでくれて、ちびの私とチームワークが凸凹コンビでぴったりでした。私は守備強いのです。大きな男性が前に出ていると、ボレーチャンス満載。 

■ 中間管理職な宿命なのかね…

しかし、球技でも、たった5回にして、すでに中間管理職…(汗)。

ほんとのほんとに市民テニスの人と、指導者の人の間に入っている中間管理職みたいな立場に、またもや立っているんだが… 

前やっていたから、教えることが少なくて、先生は楽。私は思い出す系なので、皆に置いて行かれる的不安はない。

同じことでアルパインクライミングのほうも、教える側としては楽だったんだろうなー。

師匠だった青ちゃんからすると、「俺だって時が時なら、佐藤ユースケ」と思っている一般市民男性クライマーよりも、最初から試合の土俵に載らない私は、扱いやすいということだったんだろうなぁ… 

だって、男性市民クライマーって、うんうん唸ってやっとこさで、5.12しか登れないのに、初登で名前を出すことに血道を上げていて、それ、なんていう活動?みたいになっているからなぁ…

■ 時代錯誤感ありありでした…

40年前ならエイドで初登しても名誉だと思うが、2020年にそれをやるとただの勉強不足を自ら暴露中の、頓珍漢だと思うぞ?

そうした名誉欲に不必要に駆られているとしか思えない態度がなぜ起きるのか?

高齢市民テニスプレーヤーの負けず嫌いを観察して理解した…と思った昨日でした。

ふたを開けたら一番下手だった、市民男性テニスプレーヤーの一人のおじさんは、最初、私と組むのが嫌そうで、お前のせいで負けそうだぞ?的ムードを醸し出してましたが、それを察知したコーチが、僕が組みます、となり、ごまめ扱いだった私は、救われましたが、実際に試合を始めてみたら、私のほうがそのおじさんより、上手で、なんか、白亜スラブで起きたこととのデジャブー感がありました。

ごまめなのはどっち?

2024/04/30

【リスク中心思考を身に着ける】フリークライミングの入門ルート

さて、思考を進めます。

 ■リスク中心思考を身に着ける

フリークライミングでも、クライマーとなるのに大事なことは、

リスク中心思考を身に着ける

ことです。これは、VUCA時代の生き方と同じです。

■現代クライマーとは?前提が違ってきている

現代で、クライマーと言えば、ボルダリングジムでスタートした、フリークライミングのクライマーのことです。

この時点で、冬山というリスク要素は、ほぼ外れます。寒いところで一般的なフリークライミングはできないためです。

■ 前提が違うと何が違うか?を考える

フリークライミングとアルパインクライミングの差が最も顕著なのは、

 支点の強度

です。もちろん、フリークライミングにも、トラッドなど支点が自作しなくてはならないクライミングもあり、私はそちらよりですが、一般のクライマーは、

 ボルダリング⇒ ボルトルートのロープクライミング

と進み、ボルダリングで止まってしまう人が9割です。そのうち1割がリードに進み、さらにそのうちの1割が外岩に進みます。

したがって、そのような人を前提にした場合、フリークライミングの入門ルート、とは?

もちろん、支点が強固なルートです。

この点が九州では、転換が非常に遅れています。

■ リスク中心思考の原則

1)どのような性格のルートか?知る

2)リスクを想像する

3)思考停止を避ける

4)実際にリスクをマスクする具体的な行動をとる

です。

■ フリークライミングの入門にふさわしいルートとは?

現代のクライマーは、沢登りや雪山など支点構築やロープワークを経由して来ません。

ので、

1)ボルトが強固なルート

が初心者が登るのにふさわしいルートです。なにしろ、初心者というのは、落ちるもの、なのです。落ちることが死なずに可能なところに行かないといけません。

つまり、登攀は簡単で、外岩環境だけが本格的、ということです。

入門者には、高度な登攀は求められず、どのような登攀ルートに挑むにしても、共通項となる、前提となっている、リスクがマスクできるか?どうか?が問われます。

フリークライミングの場合、それは、プロテクションです。

フリーの入門ルートでは、プロテクション構築能力がほとんど問われない、すでに作られたアンカーにノットを結ぶだけで良い、というのが入門ルートです。それが確実なことが、第一歩だからです。

したがって、”40年前の入門ルートでボルト打ち替えが進んでいないプロテクションプアのルート”は、上級者向けであり、どんなに登攀が易しくても、初心者には危険、です。上級者のセカンドとして行きましょう。

現に比叡では報道されないだけで、死亡事故がバンバン起きています。

昔は、スラブは登山の延長線で登れるため、入門ルートとされていましたが、スラブを練習できるクライミングジムはないです。

したがって、昔から伝統のスラブルートを入門ルートとするよりも、ラオスにあるような石灰岩クライミングの5.8や5.9が続くマルチピッチを入門ルートとするのが良いように思います。

石灰岩のクライミングは、登り方がプラスチックと似ているためです。スラブはムーブ全然違います。

ここらは偉い人同士で話し合って決めてほしいものです。文登研あたりが決めればいいのでは?

ここでは、私が入門ルートとして登った、小川山の春の戻り雪4P、を事例として使います。

事例: 春の戻り雪

 1P目・・・5.7 30m

 2P目・・・5.7 30m

 3P目・・・5.6 25m

 4P目・・・5.7 15m

そもそもマルチピッチですので、マルチピッチ特有のトラブル…

例:ロープがアップされない場合などには、当然セカンドのクライマーも備えてから行きます。具体的にはロープがアップされなくても、自己登攀で終了点にたどり着ける必要があります。

■ 2)リスクを想像する

さて、春の戻り雪はボルトは確実で、行くことになったとしましょう。40代初心者の私にも勧められたルートですので、他の方には当然、薦められると思います。

最も長いルートで、5.7 30m。そこから、仮に敗退するとなると?

50mのロープの半分は25mなので足りません。60mのロープが必要ですね。小学生レベルの算数です。

この程度しか、このルートを経験していない人には分かりません。そこでリスク軽減のため、先輩に話を聞きましょう。

問うべき問いは

1)ヌンチャクは何本いりそうですか?

2)長ぬんは要りそうですか?

3)終了点からの懸垂に捨て縄は要りますか?

4)ほかにあるリスクは何ですか?

です。

私は、あそこはランナウトだけ、という回答をもらいました。

ランナウトがリスクってどういう意味?

ランナウトというのは、ロープが保険として機能しないので、落ちれない、という意味です。

したがって、5.8のここを登るには、2グレード以上のムーブ能力のゆとりが必要です。

そのため、5.10aのスラブ程度は、ショートのルートで登れるようになってから行きます。

他に当然、外岩ですので、季節の問題があります。梅雨時はスラブはつるつる滑りますので、チャレンジには向きません。乾いた季節がおすすめです。

他にルートまでたどり着けない、というアプローチの問題もあります。

さらには、ロープワークが稚拙で時間がかかってしまうというリスク。

混雑するリスクもあります。

フリークライミングの場合、対人リスクがあります。これを何とかできないといけません。

さらには、相方がビレイが下手、とか、相方が分かっていない奴である、というリスクもクライマーが何とかしないといけないリスクと、現代フリークライミングではされています。

人工壁で十分ビレイを確認してから、行きましょう。人工壁でOKの人でも、外岩ではNGのことが多いです。

特にスラブ。古いクライマーに教わった人は、流して止めるなどと平気で言います。現代のロープは伸びが良いので、ほとんどの場合、流す必要はありません。流して止めたのは、麻のロープの時代の知恵です。

例外も、もちろん、あります。下のビレイヤーが重たく、パッツンビレイでオーバーハング下に落とされ、振られて岩に激突する場合です。これはスラブに当てはまりません。

■ 3)思考停止を避ける

私は白亜スラブの登攀では、相方に同情していたので、「敗退なしで!」を受け入れた結果、頼りないボルト1点に仲良くぶら下がる羽目になりました。

これは、この人が、まさか25m+35mが60mであることを計算できないとは思いもよらなかったためです。

敗退シナリオを想定していかないということ自体が、傲慢です。

しかし、敗退できないということに追い込まれるのは良く起こります。その時どうしますか?

懸垂下降したくても、ロープが足りない場合の、ピンチ策を考えてから行きましょう。

そもそもそうならないクライミングをするのが大事なのは言うまでもありませんが。

敗退できない場合、最悪ヘリレスキューです。

さて、そのルートは、懸垂の失敗や、ボルトの欠落などで、自分が死んで元が取れるルートですか?

リスクとリワードの比率を考えましょう。

私にとって白亜スラブは、お付き合いルートだったので、自分の命がそこまで粗末に扱われたことについて深いショックを覚えました。

いくら傲慢な人でも、相手の命がかかわることで、傲慢さを発揮するとは思わなかったのです。この時発揮されたのは傲慢さではなく、計算能力の無さ、かもしれませんが。

計算能力の無さが原因だとしても、現代日本で小学生レベルの算数が計算できない人がいることを前提としていなかったのでした。

こういうこともあるので、事前の相談にはしっかり時間を掛けましょう。

もし相手がそうしない人だったら登攀自体を遠慮しましょう

■4)実際にリスクをマスクする具体的な行動をとる

1)”その岩場で出てくる”ムーブのスキルを磨いてから行く

2)ロープワークを磨いてから行く

3)懸垂下降に熟達してから行く

4)十分事前にルートのリスクについて相談してから行く

5)自己登攀は双方がマスターしている

6)レスキューを双方がマスターしている

です。

これらの3つができると、あとは、お天気が良く、岩が渇いており、平日の空いている日に、早い時間に取り付けば、ほとんどのリスクはマスクできたことになります。


【リスク中心思考を身に着ける】アルパイン入門ルートの事例

■リスク中心思考を身に着ける

フリークライミングでも、クライマーとなるのに大事なことは、

リスク中心思考を身に着ける

ことです。これは、VUCA時代の生き方と同じです。

■ アルパインルートは、山+登攀、です。

私は、入門者時代、危険だ危険だと、私自身が全く危険を感じないのに言われて嫌でした…

たぶん、言っている本人が学習不足で、先入観で、私を心配していたようでした。そのために不必要にガイドを雇ったりなど、私の身の丈に合わない危険だコールを配慮したせいで余計なお金を使いました。あー損した。あのお金、みんな海外の登攀に使いたかったです。

例:阿弥陀北稜

1)どのような性格のルートか?知る

阿弥陀北稜と言えば、冬季登攀入門ルート。 雪山+登攀。

つまり、登攀は簡単で、環境だけが本格的、ということです。

入門者に高度な登攀は求められず、どの冬期登攀ルートに挑むにしても、共通項となる、前提となっている、リスクがマスクできるか?どうか?が問われます。

これはフリークライミングのルートでも同じです。違いはプロテクションです。フリーの入門ルートでは、プロテクション設置能力がほとんど問われない、というのが入門ルートの鉄則。(したがって40年前の入門ルートでボルト打ち替えが進んでいないものは危険です)

2)リスクを想像する

普通にシミュレーションするだけです。自己顕示欲のツールになると、このリスクを想像するプロセスが抜け落ちます。

山岳部などで、誰かに丸投げ、となっても、このプロセスが抜け落ちます。

年配の指導者は自分が教わった通りに教えることで、思考停止になります。

阿弥陀北稜を例にとると?

1)天候

2)寒冷

3)雪崩

4)道迷い

です。この4つがマスクできていれば、そうそう遭難しません。これらは、初級の雪山でも当然存在するリスクです。

阿弥陀北稜の遭難事例は、大体この4つとも全然、考慮しておらず、ガイドや指導者に丸投げ、って事例が多いです。

3)誰かに丸投げして、自分は思考停止、を避ける

これは日本人だけのリスクかも?海外であまり見ないメンタリティのような気がします。

誰が登るのか?俺、であり、私、ですので、いくら他の人が楽勝、と言ったところで、自分にとって楽勝かどうか?は別の話。

誰かと比較して、「○○さんに登れたから、俺も」とかなしです。私が登ったルートで、人が死んでいるルートはたくさんあります。40代のおばちゃん入門者が登れたからって、俺も…とあまりに準備不足で挑む人が多いので、大半の記録は消しました。

100歩譲って、楽勝自慢をしたかったら、もっと簡単な別のルートを選んでも、無知な一般市民は、すごいねーと言ってくれますよ(笑)。例えば、ガイド登山のエベレストとか。

現代の高所遠足、と言われています。

4)実際にリスクをマスクする具体的な行動をとる

1)天候…八ヶ岳の悪天候は南岸低気圧です。来たら行かない。天候リスクは、その山域に固有のものなので、固有のリスクをマスクするには、丸一年くらいは、その山域に通っている必要があります。

2)寒冷…八ヶ岳は国内トップレベルに寒いので、小屋前でのテント泊などで慣れを作ります。小屋泊りは卒業している必要があります。生活態度では、素手で金属を触るような人は失格です。皮膚を持っていかれます。また補給も考慮が必要です。慣れていないと補給がダメで凍傷になります。

寒冷になれるには、ワンシーズンくらいかかります。したがって、山岳部などで登山スタート一年目で行くのはお勧めはできません。若くても慣れと行動がセットで身につく前に、山に食われてしまいますよ。

寒冷への基本的対処方は、できるだけ動き続けることです。行動を止めると冷えます。なのでゆっくり歩くんですよ。汗をかいてはならない。そうしたことを学ぶためにロングルートを踏破している必要があります。

3)雪崩…どこが雪崩スポットか?はすでに公開されています。雪崩講習は受講済みである必要があります。

4)道迷い…ピークを見て、自分がどこにいるかくらいは目視判断できる必要があるので、八ヶ岳の全山縦走くらいは済ませておかないと頭に入らないでしょう。さらに山頂でどの方向に降りるか?でミスるひとが多数。コンパスも使えないとミスった場合にミスの回復が不可能になります。読図はマスターしておきましょう。

5)登攀

このルートは本来ロープを出すルートです。初心者はロープを出す。初心者とは4級が確実ではない者のことです。

したがってそのようなメンバーがいる場合は、ロープワークに習熟してから行ってください。

登攀能力は、無雪期マルチでは2グレード下。積雪期では3グレード下くらいでないと安全にならない。

この能力を人工壁で磨こうとしても無駄です。人工壁はオーバーハングです。冬季登攀の登りとなんら共通点がありません。人工壁で5.11(=6級)が登れる山岳部キャプテンって、何もスポーツクライミングのトレーニングをしていないのと同じことです。女性なら、3年かかる5.11は、男子は3か月、下手したら3週間で登れます。ホールドに手が届くか届かないかだけがそのグレードの課題だからです。

したがって、人工壁の6級では何も登攀を習熟したことになりません。アイスで4級がリードで登れるくらいになってから行ってください。

そうすると3グレード下になり、フリーソロで行っても楽勝です。

■ 私の阿弥陀北稜

私は、当然、登攀能力は、アイスクライミングで、氷柱の6級が登れるくらいと、楽勝になってから行ったので、リスクは自分ではほとんど感じませんでした。

アイス6級の登攀。

6級は当然トップロープですよ?




リード練習は4級で行います。6級がトップロープでホワイトポイントで登れる人しか、4級をリードするのは許されないからですよ?


これは5級寄りの6級です。下部は5級。上部で6級。

なので、下で落ちることは考えにくく、上で核心、なので、こうした課題で、6級を練習します。

スタミナのために何往復もしてください。
ほぼ全部6級。

完成形。

こういうのが、楽勝で(つまりホワイトポイントで)登れてから、4級のリード練習をスタートします。

岩場でも同じやり方でやりましょう。

登攀スキルのゆとりがリードクライミングには必要です。

トップロープノーテン(ホワイトポイント)で登れたら、もう俺は6級が登れる!と思うのは、間違っています。この愚かなリード事例を見て他山の石としましょう…。

これが阿弥陀北稜の登攀スタート部。けた違いに易しいのが分かるでしょうか?

ただのでっかい簡単な冬季ボルダーって感じでした。

当然ですが、アックスで登りました。岩を冬グローブで登る人、今時、いるんかな?

■ 山はインドアではない

山も外岩も、当然、天候リスクがあります。

従って、また下山時の道迷いリスクも高い。

八ヶ岳の場合は、どんなに晴れても、逆に晴れで安全であればあるほど、寒冷リスクは高くなります。

それらは、当然、雪山習得時代に、とっくの昔にリスクをマスクしているという前提が過去のアルパイン教育にはありましたが、昨今は、ジム上がりクライマーが、俺6級の人工壁が楽勝で登れるから…という理由で、阿弥陀北稜にで行く。

すると、やっぱり凍傷になったり、下山路を間違えて、阿弥陀南稜側に降りてしまったり…遭難が起こります。

何ができる必要があるか?を取り違えているからです。

私の場合は、寒冷リスクに対応する方法は、数年かけて雪山登山を独学で学んでから行きました。

みなさんも同じようにしてください。

ちなみに登攀が好きな人は、別に阿弥陀北稜、行かなくていいと思います。登攀スキル的には、なんてこともないルートです。

リスクに対するリワード、ご褒美を、登攀の面白さ、と捉える人からすると、リスクリワードレシオが悪すぎます。

フリークライミングでは、登攀の面白さ、をリワードと考えます。したがって、登攀の内容が、単調でつまらない場合、何もリワードがない…。

私にとって阿弥陀北稜をはじめ、八ヶ岳のルートは、八ヶ岳にあるというだけで好きなルートでした。

阿弥陀は特に冬季におすすめのルートが多く、阿弥陀中央稜、御小屋尾根、と次なるステップアップの位置づけとして、阿弥陀北稜に行きました。したがって、当然次は、阿弥陀南稜、次は阿弥陀北西稜と続くわけです。

そういう計画がない人が、なぜかアルパイン業界も増えました。みんな何を目指しているのか?

■ 昔の入門ルートは、現代の卒業ルート

阿弥陀北稜は、現代では、大学山岳部一年目の基礎的な山の位置づけとしてはふさわしくないルートです。おそらく、現代のレベルに適切なのは、年間山行数が50日と設定して

1年目は、歩くだけのルートで脚力と山の天候への対処、生活能力を高め

2年目は、沢でのロープワーク、スポーツクライミングで、登攀の基礎固め

3年目は、積雪期ロングルート、で防御力を高め、

4年目に、卒業課題として阿弥陀北稜、くらいでしょう。

昔の大学生は、年間130日山に行っていたから、先鋭的登山が可能だったんですよ?

今の学生にできるはずがありません。いくらインドアジムに通っても、基礎となる山での脚力も、思考回路、生活態度も見につかず、人工の環境では、当然ですが、自然界について学ぶことはできません。


【身体技法】肩甲骨と姿勢… クライミングは指導者動画が充実していない

■ セリカスイミング

セリカちゃんも肩甲骨から動かすことが大人の初心者スイマーにとって難しい課題だということは、指導者になるまで分からなかったらしい…

たぶん、今のクライミング界に足りていないのは、現代的入門の仕方でクライミングに入門したクライマーを安全で的確に外岩に導くための指導理論ですね。

俺は最初からできたから、わかんね!で終わりのクライミング業界。

思えば、杉野さんも、言語化がすごいクライミングガイドだったのでした。求められているのは、言語化、です。

さて、肩甲骨ですが、クライマーは、基本、肩甲骨マニア(笑)。

遠いホールド取りに行くには、当然ですが肩甲骨を動かさないと、とれません。

身長の高いクライマーより、身長の低いクライマーにより切実。なぜなら、クリッピングすら遠いからです。

クリッピングが遠い=危険。下手したら死んじゃいます。

したがって、すべからく入門クライマーは 肩甲骨の可動域を広げよう。

【水泳】泳ぐ時に肩甲骨を動かす方法!【スイマー必見】

■ 肩甲骨 × 重心バランス

水泳では、前重心なんですよ。それを理解したとき、一気に上達。

ちなみにバレエも前バランス。ステップをすぐ出せるように、だ。

余談だが、クライミングでは、スラブのムーブが前バランス。

実はテニスは、かなり前バランスで、すぐにダッシュできるようにしている。

もちろん、走るときも、前バランス。

ところが、アシュタンガヨガで分かったのだが、前バランスは、実は正しいというか、ニュートラルな体の使い方ではない。

スポーツにおける重心位置は、定位置ではなく、自由自在、がいいのである。

まぁ、基本は、丹田に重心が来るわけなんですが。

泳ぐとき、丹田に重心が来ていたら、当然ですが、進みませんね。なので、水中でバランスを丹田より前に持ってくる、っていうのが、水泳の一番大事な身体技法です。すべての泳法に共通。

当然かもしれませんが、胴長短足の人のほうが、前重心には有利なんですよ(笑)。クライマーも有利な体系は、胴長短足で標準身長、手が長い人。

で、肩甲骨に話を戻すと、アイスクライミングでは、アックスを垂直壁に振る。

これは、水平面にすれば、腕立て伏せ。したがって、アイスは、強度の高い腕立て伏せの効果があったと言える。

水泳では、プルの動作が匍匐前進と同じなわけで、結局、アイスと同じかもしれません。

あるいはフリーでリーチが遠いホールドを取ろうとしているとき。

元々、胃が開きがちであるという課題を抱えているのだが、たぶん、大事なのは、胃を締める、と意識することではなく、胃が開く問題は、結果であって、原因ではない、ということではないだろうか?

アイスでの経験を考慮すると…。ある程度、肩、腕の筋力が回復すれば、胃を閉じて使えるようになるのかもしれない。

今後、自分の体がどう変化するのか? 51歳からの水泳… 背中の痛みは、肩甲骨を久しぶりに使っている成長痛なのか?

あ、テニスも再開。どっちも上半身も使える全身運動です。

■ 指の変形

ボルダーって指が痛くなるので、体を作る基礎の時代で、根詰めるのは、お勧めできない気がする…微妙。

みんな指、変形していますよね?

あれは、無理をしたこと、を示すのであって、クライマーであることを示すのではない。

山梨時代も指を痛めていたので、全身に体重分散できるようになる方が、先がいいなと思っていました。

ちなみにクラックは、ハンドなら、指痛くないですよ。大堂海岸のスーパークラックみたいなのは、たぶん、万人が楽しめるクラックだと思います。

クラック用テーピング

2024/04/29

【クライミング格言】楽しくなければクライミングではない

■ ムラトグルーさんLove 

最近、やっと足が治って、テニス再開。

しかし、指導者が…。

なので、自分で探して、なんと~すごい人発見。

ムラトグルーさん。 https://www.mouratoglou.com/

日本人との最大の違いは

 テニスを楽しんでやる、という点。

https://www.youtube.com/shorts/qy70ihEsN7E

日本人の過去、戦後70年は、歯を食いしばって追い付き追い越せ、だったんでしょうね…。

その影響がもっとも濃く、さらにもっとも長く影響されていたスポーツ界。

”楽しく運動する”、ってことが、”勝つ”の後回しにされている…

それどころか、”カッコつける”、にすら後回しにされている…

それどころか、”死なない” ことすら、カッコつけることの後回し…

そこがクライミング界でも私と合わなかったんだろうなぁ…

ラオスには楽しくて、運動にもなるクライミングがありましたよ?

いつ死ぬかハラハラしながら登るクライミングばかりで、みなさん、疲れませんか?

というか、自らのポカで人を殺してしまいかねないやり方が、本来、命がけリスクはなしであるフリークライミングの主流なのが謎ですが…

アメリカ人でもバンバン死んでいますけど、どうしても死にたい人が絶えないみたいな日本フリークライミング界…

それを市民クライマーにって言うのが謎なんですが… プロテニスの世界では、楽しんでプレイできない思考回路自体がNGっぽい…

だよね感満載。

■ 正しい指導者に巡り合いたい…

私は親がいない世界、でメインに育ったなぁと思う。というか子供時代から自分が自分の親だったのである。

結局、子供は放置されると、自分で考え始める。

自分で発見する。

自分で指導者を模索する。

例えば、私は中学受験で中一レベルの三角関数が出てくる数学の課題は百科事典で公式を学んで回答した。そんな具合に、

本の中の誰かを模索する、百科事典を読む、みたいなところで、成長してきた

と思う。100点の回答があられるとは限らないが、かなりの正解は得られる。

■ みんなが間違っているときにみんなを模倣すると自分も間違う

そういう風に学ぶと、隣の誰かが言うとおりにする、ってのは無くなる。

大体の世界では、みんながやっていることは間違っていて、

少数の正解を知っている人の正解はどこに書いてあるか?

結局実績を出している人や、その人が書いた本にある、と思う。

しかし、なぜクライミング界には、ムラトグルー氏レベルの指導者が出ないのだろうか?

何コンプレックス?

2024/04/28

【瑞牆】REEL ROCK 18 TEASER 40年前のクライマーのかっこいいと現代のかっこいいは違うよ?


ReelRock18は、瑞牆 大やすり岩ですよ☆

サチさんが出ていますが…

大やすり岩って、エイドのルートがあって、そのエイドルートって、初心者にもお誘いがかかるようなのでした…

今検索すると、初心者の記録が出てきます。

https://yamap.com/activities/14128589

最終ピッチは、リングボルトでエイドラダーでした…みたいな感想。ルート名が書いていないのも初心者らしい…
多分、ハイピークルートでしょう… 40m全部ラダーっていうのに萌え萌えしている様子が伝わってきます。それって、40年前のクライマーの”かっこいい”なんですよ…(汗)

何度も出てくる「すごーい、あんなところに人がいる~」のセリフ…(汗)

いや、リングボルトだったら登らない、って選択肢を取れないといけないんですよ。現代では。そのリングボルト、抜けますからね。


やっぱり初心者だと、40年前の常識のまま、時限爆弾状態になっている古い支点を無条件に信頼して(まるで人工壁の支点のように)全信頼を置いて登り、たまたまうまく登れた記録が、楽しかった、の一言で終わってるようでした。知らぬが仏とは、まさにこのこと。

■ トップクライマー

サチさんと言えば、スポーツクライミングでも実績を出し…IFSC ワールドカップで二度の総合優勝…トップクライマー中のトップクライマーです。

5.14R に注目
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最後の者
The Last One
4P 5.14b R  FA 
大ヤスリプロジェクトのルート名やグレードが決まったので、発表させて頂きます。(遅くなりました🙇‍♂️)
I have pleased to announce the name of the route and grade for the O-Yasuri project. (Sorry for the delay 🙇)
まずはこのチャレンジを、怪我なく、無事に終えられたことを本当に嬉しく思います。そして、このプロジェクトを共にチャレンジし続けてきた @crazy.ryoma にはこの場を借りて感謝の気持ちを伝えさせてください。今回の撮影に協力してくれたクルー、何度も無理を受け入れてくれた五郎舎様、陰で支えてくれた妻やリョーマのパートナーの @arare.rei 本当に感謝しています。そして最初のきっかけをくれた内藤直也さんや、沢山のアドバイスしてくれたアルテリアの方々、本当にありがとうございました。
First of all, I am really happy to have completed this challenge without any injuries. And let me take this opportunity to express my gratitude to Ryoma, who has continued to challenge this project with me. I am truly grateful to the crew who helped us with this shoot, to Goroya for accepting the impossible many times, and to my wife and Ryoma's partner who supported us behind the scenes. I would also like to thank Naoya Naito for giving me the initial impetus and the people at Alteria who gave me a lot of advice.
このプロジェクトは、僕の人生で最も大きく、強い気持ちが必要なものでした。トラッドの世界に飛び込んで、いきなり大物に立ち向かってしまったのです。でも、大いなる自然は、無垢な想いに答え、そして完璧な形で包み込んでくれました。僕はただただ、感動し歓喜し、この奇跡に平伏すばかりです。
This project was the biggest thing in my life. I jumped into the trad world and suddenly I was up against the big boy. But nature responded to my innocent thoughts and wrapped me up in a perfect way. I am simply moved, delighted, and bow down by this miracle.
1P 5.11b PD
2P 5.10a
3P 5.14b R
4P 5.6
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現代のスポーツクライミングで”安全に”、スキルをアップしたクライマーは、5.14でRが取れるってことですからね??

エイドルートのハイピークも、本当はリングボルトを抜けば、フリークライミングルートとして再生できるのかもしれません。

もう、私みたいな、おばちゃんクライマーにでも、エイドであれば「大やすり岩、行きませんか?」とパートナー募集の声がかかりますからね… 

あー行かなくてよかった。マジで。

リングボルトが抜けて落ちたら、レスキューです。まともな皆様はそういうルートは避けて登らないんですよ。

ちなみに、山梨アルパインクラブでは、伝統的に成長させるため、岩講習の次は伝統のエイドルートらしかったです。私が所属した御坂山岳会では、エイド時代はとっくに過ぎたということで、エイドルートをあえて登る暴挙をお勧めされたことはありません。現代で打ち換えられていないエイドルートなんて手を出して、支点が抜けても誰も責任とってくれませんよ?

さて、私が言いたいのは、この事例が、見事に

 初心者とトップクライマーの事案の差を描き出している

ということです。しろうとさんには、

 大やすり岩登った

しか、伝わりません。したがって、エイドで登った大ボケ者と、ReelRock18でトップ画像に選ばれるサチさんの差が分からない。

大やすり岩なんて、私でも登れるようなところなんですよ(登りたくないので登りませんけど!!)

従って、そんなところで、自己肯定感アップしている、そこのあなたが、いや情けない…ってレベルです。まぁほほえましいっていうのが正しい評価でしょう。

現代のクライマーなら、今のレベル感を分かっていて然り、なので、大やすり岩をエイドで登って、その辺の素人さんに褒められて承認欲求を高めているなんて、しょぼいことをしているのは、よっぽど承認欲求に飢えている人みたいなのかな?って私は感じます。

もちろん、どんなレベルでもその人にとって達成感があればいいわけですが、だからと言ってその人が世界的クライマーと同等の内容があるか?ないです。

なんで、みんな、そこが切り分けられないのかな? そして、しがみつくのかな?

■ どのルートを保存するか?価値観問題

一方でルートの意味あいですが、大やすり岩がどのように初登されたのか?を示す歴史的ルートって意味で、エイドルートを残すのはあり、だと思います。しかし、それは、エイドルートで、いわば、

 レガシー(遺産)

として意味があるということを周知されている必要があります。

なんで、フリーの一桁代もまともに登れていない人が登るルート…なんせエイドなんで。

リングボルトはちゃんとしたグージョンに打ち換えたらどうですかね?抜ける前に。

賞賛を受けるのはいいですが、正しい評価で受けたほうがいい。なんか、命知らずのすごいことしているみたいな誤解が生まれていて、それに便乗している。

もちろん、日本の一般の人が無知だから…です。

が、もっと悪い精神性は、それに便乗している

  ちゃっかり精神

で、本来受けるべき賞賛ではなくても、ちゃっかりもらっちゃお!って方なのでは…人間性の低下というか。モラルの低下というか…。日本人って謙譲の美徳なのではなかったでしたっけ?

結局、何が残すべきルートで、何が駄作なのかの切り分け…価値観が育っていないので、

  ちゃっかりした人が賞賛欲しさにたかる場所

になっているかもしれない旧アルパイン業界。比叡でも同じことを感じました。

アルパインの人には本来の未知への冒険精神を取り戻してほしいです。壊れそうなボルトに命を預けるのがアルパインの精神に成り下がってしまっている。

■ リスクリワードレシオ悪すぎ

5.8で40mランナウトって現代で、3年もやれば誰でも、10代が登れるようになった時代に、リスクリワードレシオが悪すぎます。そんなところで命がけしても得るものがない。

なんせ、5.14でRの時代なんですよ? 命知らず自慢をするなら、5.13以上でやらないと…本質的に命知らず自慢にならない、と私は思います。

私もランナウトを登っていますが、しびれるのは、それが自分の能力ギリギリだからで、別に5.4でランナウトしても、はぁ?ってなりますよね。そんなところで、落ちないし。しかし、落ちなくても、プロテクション取れたら取りますよ?それとこれとは別でしょう。

自分のギリギリでプロテクションも取れないけど、あえて行くから、冒険なのであって、別に落ちないし、ってところでプロテクションを飛ばすのは、タダの怠惰。

怠惰をしびれる~って、それよほど、現代的には意味のない低グレードしか登れないクライマーのセリフなのではないかと…。それは、ほほえましいね、って感じのレベル感ですよ。

その一部の人のしびれる喜びのために、大多数のジム出身初心者が命の危機にさらされているように私には思えます。

だって昔から、ランナウトしたルートは先輩に連れられて行くから安全だったんですよ。

今の時代では連れていく先輩がいない。

今の現代クライマーは、岩場への入門は、その辺の友達と連れ立っていくものです。結局リスク管理ゼロ、いきなりジムで練習もできないスラブで入門ってことになるよなぁ…。

スラブが初心者向けっていう発想自体を変えたほうがいいのかもしれませんが…。

その辺は指導者クラスの人たちがベストな解を知っていそうです。

私は現代初心者はラオスから岩場デビューしたらいいと思います。

クライミングの評価システムの適切化が必要だなぁとサチさんの記録の理解のされなさ、日本をすっ飛ばしてReelRock18で評価されていることを思って、また、ため息が出ました。