2022/03/24

初級者、中級者、上級者、熟達者

 ■ 一昔前は、5.12で上級者

5.13を登ろうとトライしている現代クライマーの弁

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僕自身は、ずっと中級クライマーという意識だけど・・・なんかこれには当てはまらんなぁ~(@_@)

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つまり、5.12は中級者ですよ。

この表だと私は中級者になりますが、現代のスケール(ものさし)では、5.10ノーマルは、初級者の域です。







過去の基準で自分を計ると、自分のスキルがものすごく上級のように感じてしまい、スキルのレベルに見合わないルートに出かけることになってしまいます。


13a 1977  ⇒  約40年前の話です。
14a 1993  ⇒ 20年以上前の話です。


2022/03/23

アスリートのための分子栄養学

■ なかなか良書がない栄養学の教科書

世間では、最高の健康だの、最強の食事術だの、ハーバード式○○などが、非常に盛んに読まれており、それ自体は探求心をくすぐり、非常に良いのだと思うのですが、問題はそのあとに、包括的に学ぼうとしたときに、適したテキストがない、ということです。

クライミングも同じで、そうか”55m登り返しを教わらないといけないらしいぞ”という気づきを得たとして、誰に教わりに行きますか? UIAA『アルパインサマー』の日本語訳ができたのは、小さな一歩前進ですが、本を読んで出来るか?というと、まぁ当然ですが、実践がないとできないです。

実践する際にも、危険が伴います。無知な人が本を読んだだけで実践すると、公園でやっても、頭打って死ぬとかありえます。その時、知っている人に援軍を頼んだとしても、プルージック登攀はこうやるんだよ~くらいの見本は見せてくれるでしょうが、そのあと降りれなくなってしまうのが関の山かもしれません。プルージックから下降機への切り替えは、リスクポイントです。本来はそのために山岳会があるのですが、会としてきちんと技術が身に着くまで特訓しているような会は見たことがありません。やったとしても名目上のポーズ、に過ぎない会がほとんどでした。結果、レスキューを職業にでもしない限り、55m登り返しができる人って誰?って感じです。

結果、岩場は、俺はできるという人のプライベート空間となることになり、一向に若い人がチャレンジできる場とはなりません。

その結果、日本国内から、チャレンジの精神が失われて、日本は世界に後れを取るばかりになります。

登り返し練習なんて、その辺の公園だってできるようなことです、きちんとやり方を知ってさえいれば。若い人は間違ったアドバイス…経験者を頼れ…を与えられ続けています。

正しくは経験者を頼らず、自分たちでリスクをつぶしていく思考回路を身に着けろ、です。

シミュレーション能力があれば、練習時にどんなリスクがあるか?くらい予想できる能力が、誰にでもあるはずです。

さて、『アスリートのための分子栄養学』は、巷の栄養本で、今までの常識を疑うことになった方が最初に手に取る教科書として最適です。

従来型の栄養学 ⇒ ビタミンcが足りないと脚気になる、などの欠乏を防ぐための栄養学

現代の栄養学 ⇒ 自分の体を最高のパフォーマンスに導く栄養学

です。一般に、部活などで、考えられている栄養学は、いまだに従来型で、例えば、私は岩根山荘で、サッカー合宿を見たことがありますが、いまだに牛乳飲め!です。子供たちは吐くまで食べさせられています。

そもそも、消化されなければ食べ物は栄養になりません。その人がもつ消化力以上に食べ物を詰め込んでも、体が大きくなるわけはないのです。

また体の大きさだけで、栄養の成否を計るのもどうか、という感じです。大きいほうが良いことだ、というのは、日本人の持つ西洋人コンプレックスの一つではないでしょうか。

昨今は、食物アレルギーの子どもたちも増えています。牛乳が飲めない、というのは、アジア人には、牛乳を消化する酵素がない、ということが科学的に事実として知られています。お腹が緩くなる人は牛乳を飲んでも消化できていないということです。

また米国産の牛乳などには、母牛に母乳を出し続けるためのホルモン剤が与えられていることが知られており、ホルモン剤の影響で、男性の女性化が心配されています。

強くなろうと思って飲んでいる牛乳で、体内に女性ホルモンを増加させているっていうこともあるということです。

包括的に、一度、古くて間違った栄養学の知識…何十年か前に小学校や中学校で教わった知識をブラッシュアップする必要がある、という方は、このアスリートのための分子栄養学がおススメです。

https://amzn.to/3iu3Fop


『人生クライマー 〜山野井泰史と垂直の世界〜』


山野井さんは、誰の前に出しても黙ってくれるワイルドカード、みたいなクライマーですが… 昔の価値観と今の価値観をつなげる数少ないクライマーです。

現代のちゃんとしたアルパインクライマーで、フリークライミングを基礎力にして、最低限、5.12が登れる、というところまでいかなかった人はいません。

私が見たことがある人で、30代くらいの新人男性で、まだ9くらいしか登れないのに、鹿島槍北壁に行こうとした人がいましたが、大丈夫かなぁ…と不安になりました。

九州では、有段者のクライマーはボルダラーでは珍しくないですが、一級のエイハブ船長が登れても、5.9の普通のリードが大学生の後輩はできませんでした…。

リードと突破力だけでなんとかできるボルダーの登りは別物です。突破力が必要な人はボルダーしたら、ちょっとの努力で、今まで登れなかった課題が登れるようになるかもしれません。

どちらにしても、グレードに照準を合わせず、技術課題に照準を合わせるほうが、より正確だと思います。技術課題とは、例えば、カチ持ちをマスターする、とか、ジプスに乗れることをテーマにする、とか…支点をテーマにする、とか、ビレイをテーマにするとか、です。

グレードだけを成否の基準にしてしまうと、お買い得課題を血眼で探す羽目になります。

2022/03/22

スポーツを楽しむという視点の欠如

 今日の為末投稿…小学生の全国大会禁止

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全柔連が小学生の全国大会を廃止するという決定をしました。私は素晴らしい決断だと思います。なぜ若年層での全国大会を行わない方がいいのか三つの理由で説明します。

①そのスポーツが弱くなるから

②全ての子供がスポーツを楽しめないから

③競技を超えた学びが得られないから

まず若年層の全国大会が成人になってからの競技力向上に役に立っているかというとマイナス面の方が多いと考えられます。その理由の一つには早すぎる最適化があります。子供は大人のミニチュア版ではありません。例えば、子供は身体に対し頭が大きく、胴体も細いです。また体が小さいのになぜか子供は字を大きく書きます。それは筋の調整と連動がうまくいかないので細かい作業が苦手からです。その一方で立位のバランス自体は大人とそれほど変わらないぐらいうまくできます。

ということは子供の世代の柔道は勝利のためには大人時代とは違う戦略が求められるということです。早すぎる最適化とはこの子供時代の勝ち方に最適化してしまったが故に、大人になって本来行き着くレベルまでいけなくなってしまうことを指します。つまり器が小さくなってしまうということです。

柔道はそれほどではないかもしれませんが、日本人が海外の試合に出てよく聞かれる質問は「日本人は10代ではあんなに強いのに、20代になってからなぜ弱くなるのか」です。要するに若年層の時代にトレーニングをしすぎて、大人になった時に世界とは戦えなくなっているというのが現状だと考えています。

欧州で中高の全国大会が禁じられた時のロジックは「子供たちはスポーツを楽しむべきであり、それは試合に出ることで補欠で試合に出られないことや過剰に勝利至上主義に走ることは避けなければならない」というものだったそうです。全国大会は勝ち抜き戦の構造を作り、敗退と補欠を生みます。

日本のスポーツは全てが「選抜システム」であると言われます。それは全てが才能を発掘する目的に向かっていて、全ての子供がスポーツを楽しむという視点の欠如に向けられた批判です。一方で勝ちたい子供を制限するのかという反対の声もあります。勝負は大切で勝ちたい気持ちも大切ですが、それには上限があります。私は早い段階で日本一になりましたので、離脱していく選手をたくさんみてきました。そのような選手にある特徴は本人より周りが興奮していることです。親と指導者が選手の才能に興奮して舞い上がっている場合、その選手の才能が潰れる可能性が高くなります。なぜなら勝ち抜く上で最も重要な主体性が損なわれるからです

99.9%以上の選手はオリンピックに行けません。アスリートで食っていけるのもそのぐらいの確率です。ほとんどの選手はアスリートという職業にはつけません。だからこそ競技から学んだことにどの程度の普遍性があるかが重要になります。では普遍的な学びとはなんでしょうか。

それは少なくとも自分が何をしようとしているかを知り、何が起きたかを理解し、どうすればいいかを考えることができることで成立します。リフレクションです。ただこの能力は育つのに時間がかかります。若年層だけで活躍させようとするならば、この手順を省く方がうまくいきます。つまり言われた通りやる人間を作ることです。しかし、このような選手は引退した後、苦労します。自分の体ではある程度のことはしてきたわけですが、一体それがなんだったのか本人がわかっていないからです。考える力が育っていません。

以上の理由から、小学生の全国大会の廃止には賛成です。

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まさに、クライミングで、現代の初心者に教えようとしていることが、

・言われたとおりにやる

・主体性を重んじず、リフレクションをさせないため、考える力がない

のように思えて仕方がありません。10代、20代のみならず、30代、40代、になっても、選抜システムで登ろうとしています…。

その挙句、50代、60代で力が下り坂に入っても、自尊心を維持するために、もっと登れない人が必要になるというわけです。

行縢のクライミング3.0

以下引用…。こういうのを知らないから、変なことになるんじゃないですかね?

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 行縢山

Hideji(ヒデジ)

5.11d  6P  175m

行縢のマルチプロジェクトを完登する事ができた。

自分の開拓ルートでこれほど11の連続するルートを開拓したのは初めてで、全体を知っていてもトライは緊張した。

各ピッチそれぞれ個性的なムーブで楽しめると思う。

アルパインヌンチャクは4本程度は必要。

C0.75以下はZ4もしくはマスターカム推奨。

1p 5.11a 20m

B2 C0.2〜3

ヤブ君のハートランドと共通ピッチ

ハング越えからがバランシーで面白い。

2p 5.11d  40m

B12  アストロナッツ C0.2〜0.4+C2

我慢のカチフェイスで足もパンプする。

3p 5.11c 30m

B5  C0.2〜0.75+C0.5+C3

ボロいフェイスから硬いハング越えの後に、オノルディングトラーバース。

4p 5.11c 25m

B5  C0.1〜0.75

ヤブ君のハートランドと共通ピッチ

スラブ、フェイス、クラックと多彩なピッチ

5p 5.11a 30m

アストロナッツ C0.2〜3+0.5

簡単な階段後の凹角がピリッと緊張する。

6p 5.10c 30m

B1  アストロナッツ  C0.2+C0.3+C0.75〜2

ここまで来て落ちたく無いが威圧感がある。

ちなみに手と上腕と背中はつった。

早めにトライしたい方は連絡頂けたら詳細案内します。

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クライマーのための栄養学

 ■ 体調が悪い

膝の痛みが引かないので、クライミングは休業中です。しかし、クライミングの代わりに始めた自然農で、食生活が健全化するかと思いきや、なんだか炭水化物食に偏ることで、血糖スパイクの乱降下ではないか?と感じる倦怠感が増えました…

少し栄養を見直そうと思って、調べた分子栄養学で、最近、こういうことだったのでは?!というひらめきが得られそうですので、分子栄養学の知識をまとめています。

■ メタボになったら登れない

クライマーが食事を考える理由というのは、ただ一つです。

  メタボになったら登れない。

登れないという言葉の中身は、かつて登れたところも登れない、ということです。

オリンピックの選手になるような人でも、一般クライマーでも、老い、は同様に訪れます。

老いの速度と老いからの落下距離が、それぞれ違うだけです。

 オリンピック選手: 5.15から落ちる  落ちるスピード遅い 落ちたところ5.12 

 一般クライマー : 5.12から落ちる  落ちるスピード速い 落ちたところ5.9

大人になってスタートした私のような人は、ピークグレードが5.11ですし、30代後半、40代後半になって身に着けたスキル=潜在意識化になっていないですから、失うのも早いでしょう…

もっと一般的な30代でクライミングをスタートした男子の場合、5.12が登れるようになっても、まだ俺も5.13まで行けるのでは?と考えて、日々、涙ぐましい努力を重ねているかもしれません。

どちらのケースにも、十分な栄養、というのは、欠かせないわけですが、日本の食の常識は、2000年代以降、世界から後れを取っており、運動選手と言えば、焼き肉×ご飯大もり、から、脱せていません。

40年前に大学山岳部だった人が当時の記憶を復活させて、山に一升瓶×キムチ鍋宴会とか焼肉宴会を持ち込んでいる、というのが実態なわけです…。

それでは当然メタボになるでしょう…

⇒ メタボになれば登れないでしょう...

⇒ 登れない俺は認めたくない自分の姿でしょう...

⇒ 勢い、さらに登れない奴を見つけて、自分をホッと慰めるという行為に走りたくなるでしょう

⇒ その場合、一番都合がいいのが、女性クライマー

⇒ その次に都合がいいのが、新人若者クライマー

⇒ 新人=アルパイン教育を受ける機会のない、現代の若者…を捕まえて、「お前はローワーダウンすらできないのか(俺の時は…と暗に自己満)」と馬鹿にすることに執心したくなるでしょう...(教えない心理)

⇒ その場合、根本解決は、アルパイン教育を与える、であるにもかかわらず、登れない自分の自己弁護のためには、もっと登れない奴が必要…という不健全な心理ニーズによる悪循環が起こることになり

…これが、日本のアルパイン教育界に起こっていることでしょう…

(圧倒的に少ないアルパインを教える人) vs (自分の40年前の価値観を押し付けるベテラン)

という現象は、このような心理メカニズムで起こっていることでしょう…

■ 私ができることは何か?

このような現状を見つめた場合、私ができることは何か?というと?

基本的なロープワークを教えたり、グリグリ登りを教えたり、登山ガイドの仕事をやろうとしてみたりもしましたが、そもそも、私は独学で優秀な人なのです…。英語も一人で勝手に話せるようになりましたし…

自分が何も言われなくても、知識を求め、ビレイを習得するためにだけに人工壁に通い、支点のためだけに岩場に偵察に行き、自分で自分の経済速度を山で測り、毎朝歩荷し、読図を身に着けようと山に通うような体質なので、受け身で1から10まで教わろうというような人たちが、何とも解せない、という状況に陥りました。つまり、やってらんねー感満載、ということです。心の健康に悪い。

しかし、栄養学なら、とりあえず、自分のために知りたいことでもありますので、大丈夫。

というので、このサイトでは主に栄養学について学習した成果をまとめていきます。

メタボの往年クライマーの方、まだスキルアップしたい方、トレーニングで疲れを残したくない方、みんなに役立つと思いますので、よろしくお願いします。

■ 故・吉田さんとの思い出

吉田さんと登っているとき、糖質制限をしたクライマー達と出会いました。

筋肉=タンパク質、ですので、糖質ではなく、タンパク質が運動には必要だというのは、その通りなのですが、行き過ぎた糖質制限は、腎臓、肝臓を傷めます…間違った糖質制限で、短命化するのは避けたいところです。

一方、世界は、肉食ではなく、非肉食に傾きつつあります。アレックス・オノルド君がビーガンであるだけでなく、シュワちゃんもビーガンですし、ウルトラマラソンに出るような人でもヴィーガン化しています。

しかし、単純に肉を抜くだけのヴィーガン化は、栄養欠乏で、パフォーマンスの悪化を招く可能性が濃厚です。

私は、もともと指導歴6年のハタヨガインストラクターでもありますが、ヨガ界では、食事は、インドの伝統で牛乳以外を取り除いたベジタリアンですが、かなり栄養的に気を使った食材を使います。例えば、豆の多用です。

ベジタリアン食であればあるほど、プロテインの摂取には非常に気を遣うということです。その他スーパーフードと言われる、スピルリナ、キヌア、ココナツなどの特殊な食材を常食する、というのも特徴です。

一方の、一般的なクライマーの食生活のほうを見ると、

・家族にお任せ

・コンビニにお任せ

であることのほうが標準のようで、自己責任、とは非常に縁遠い状態のように見受けられます。

登るのは自分、登る自分の体は自分、であるにも関わらずです。

そのような状態を克服していく、ということ

 =主体的に自分の食を栄養の面からも選んでいくことができる状態

を目指していくこととします。

      ビーガンと非ビーガンが選べるグリーンクライマーズホームの食事

関連記事

登れることを鼻にかけても仕方がない

アレックス・オノルド君はビーガンですよ

 日本人クライマーは、いまだに焼肉喰って宴会、という段階ですが、そこはとっくの昔話。



アレックス・オノルド君は、世界トップクライマーで、エルキャップフリーソロの方です。

ビーガンです。なぜか言論ごとシェアすることができないので、日本のクライマーに伝わりません…

アメリカは、余った穀物を高値で売りたがっており、その販売先が日本の和牛の飼料です。つまり、和牛と言っても食べているごはんの内容は、国産ではなく外国産…です。 

畜産業も、施設栽培と同じで、原材料を仕入れて、付加価値をつけ、再度輸出して差額で儲ける、が基本構造であり、原材料が上がっても販売価格を上げられなければ、大いに損する、ことになっています。

米国内では手口はバレており、肉食には、穀物が17倍必要になるため、本来救えるはずの飢えた人々を救えなくなるうえ、先進国では、焼き肉パーティを毎日みたいな食生活が慢性疾患の原因となっているので、大体の知識階級は、肉食否定と言うよりは、このような産業構造自体を避けようとしています。

ヴィーガンは健康的な食ですが、そのことを知らないで、偏ったヴィーガン食をすると、どんなことでも当てはまりますが、体調を壊します… なかなかバランスを維持して食べるのは、ヴィーガンを貫くと難しいので、ラクトオボベジタリアンくらいが日本では無難かなと思います。卵、乳製品OK程度ですね。

野菜をたっぷりとりましょう…野菜と言っても、ハウス栽培のトマトは、旬ではないので本来の栄養はありません。

何事もバランスで、毎日焼肉とか、毎日刺身、だとどう転んでも行き着く先は

 痛風

とか、糖尿病、でしょう…つまり贅沢のしっぺ返し病、ということです。


2022/03/21

クライミングにおける健全な境界線のリスト

1)情緒の境界線

怖い!を否定される ⇒ ありのまま感じることを許される

”俺の普通”を強要される ⇒ どこでロープを出すべきか?は言葉で伝えらえる

人格を否定される ⇒ 具体的な危険行動を修正される

登りたいところを登れない ⇒ ビレイしてやったら代わりにビレイしてもらえる

恐怖を与えられる ⇒ 安心感を与えられる

2)魂の境界線

自分をまげ、会のみんなの普通に迎合させられる ⇒ 自分にとって大切なこと(命)を守れる 例:一升瓶宴会冬山山行が普通だ

精神的な導きが得られない ⇒ 自分を高め、磨くためにクライミングができる

足蹴にされ、感謝されない ⇒ クライミングができて、ありがたいな、と思える

結局は登れてなんぼと信じ込まされる ⇒ 登ることの喜びを感じられる

3)性的な境界

男・女として生まれたのを喜ばれない ⇒ クライミングにおける男女の差を認められる

性について間違った情報を与えられる ⇒ クライミングにおける健康な性差を認められる

性的な批評や興味の対象にされる ⇒ 性的な好奇の目にさらされない 

性が他人を喜ばせるため利用される ⇒ 性を自分のものとして大切にできる 例:きれいどころ

4)人間関係

パートナーの要求にいつでも応じなければならない ⇒ いつでも応じる必要はない 例:〇〇してくれなければ一緒に登らないと脅すなど

他人の意見に従わなければならない ⇒ 自分で判断して意見を言える

他人が察してくれるのを待つ ⇒ 自分の望みを言葉にできる

近づいてくる人とすぐパートナーになる ⇒ どれだけ親しくなるかは自分で決められる

5)知的な境界

ボルト情報を与えられない ⇒ ボルト情報を与えられ、自分で危険かどうか判断できる

失敗を許されない ⇒ 失敗から学ぶことができる

質問を歓迎されない ⇒ 質問したり、意見を求めることができる

ここを登りなさいと言われる ⇒ どこを登りたいですか?と自分の考えを持った人として扱われる

相手の都合や夢をかなえるよう登らさられる ⇒ 自分の登りたい課題を登ることを支援される

6)身体的な境界

セーフクライミングの方法を教えられない ⇒ セーフクライミングの方法を学べる

ビレイしてもらえない ⇒ 愛情や励ましを込めてビレイしてもらえる

嫌なのに登らせられる ⇒ 望まないときは、登らさせられるのを拒否できる

怪我をしたのに無視される ⇒ 身体を大事に扱われ、暴力を受けない


ボルトルートしか登っていないとボルトを探すような登りになる

■ 道しか歩いていないと、道がないと歩けなくなる

先日、バイト先で、肉に包丁を入れている姿を見て、上手だなぁ…と思い、筋肉に沿って包丁を入れるのか聞いたら、その通りで、慣れていれば、肉のほうから包丁が入る先を導いてくれるそうだった。やっぱり。

山も一緒だ。尾根と谷が読めるようになると、山のほうが、こっちですよ、と言ってくる。

特に尾根はそうです。細い尾根(=険しい尾根)ほど、歩くべきところは限定されます。逆に、広い尾根(=安全な尾根)は、幅が広く、どこでも歩けてしまえるため、どこを歩くべきかというのは分かりにくいものです。

そういえば、瑞牆山で、「どこを歩いたらいいんですか?」とおばちゃん登山者に聞かれたなぁ… 岩ゴロゴロの道ですが、どこを歩いてもいいのです。

道しか歩いていないと道がないと歩けない、と思い込んでします。

山と同じで、人生のほうが、こっちだよ、という道を行けばいいんですよね。

■ ボルトルート

ボルトルートしか登らないのと、ボルトを探して、ここは5.10代だからこの辺にホールドがあるはず、という登りになります。

ボルトを追いかけることで、ホールドの在り処が予想できるような逆説現象がおきるということですね…

それは、開拓、という行為とは正反対の行為です。

何が出てきても、なんとか対応できる力、というのをつけることが先で、そのような、悪智慧のほうが後でないと、

「あ、俺、ボルトルートしか登らないから、エイド技術はいらないんだよ」

という言う話になります。

「あ、俺、登山道がある山しか登らないから、読図技術はいらないんだよ」

「あ、俺、山小屋があるところしか登らないから、テント泊技術はいらないんだよ」

「あ、俺、無雪期しか登らないから、雪洞泊技術はいらないんだよ」

これは、価値観ではなく、単なる ”努力しないことの言い訳”です。 間違ってはいけません



2022/03/20

【馬渕睦夫】ロシアとウクライナの歴史について自分自身の目で見て知って欲しい【2020年の談話/切り抜き】


自分で判断する、= ボロいカットアンカーで登るという判断になるような人だと判断力のほうが怪しいかもですが…それでも、自分で判断して落ちて死ぬのと、人の判断で落ちて死ぬのでは前者の方がいいでしょう。

The North Face | Reformation ~ 佐藤裕介/Yusuke Sato ~

■ みんなの兄貴だった佐藤さん

佐藤さんは、山梨では、誰もが知るアニキ分であり、クライマー男子で知らない人はいない。ダントツのトップクライマーだ。

アレックス君が、フリーソロをやる前に、甲斐駒のスーパー赤蜘蛛のフリーソロをやったので、実はアレックス君並みにスゴイのに、世間が、スーパー赤蜘蛛を知らなかったので、世間に与えた衝撃のインパクトが小さかったのが非常に残念だった…。この場合しょぼいのは世間であって、彼のほうではない。いかに日本のアルパイン界隈がしょぼくなっているか?を示しているに過ぎない。

九州では、初心者が登れるような寝ている5級アイスを初登したくらいで、その地域では知らない人がいないくらいのスーパーヒーローになれることを考えると、スーパー赤蜘蛛フリーソロが、いかにお買い損商品か?ということが分かる…(笑)。

実は、スーパー赤蜘蛛のすぐ後に、ピラニアで佐藤さんにばったり会って、「おめでとうございます!」と声を掛けたら、嬉しそうにしていた。佐藤さんは、いつも記録に”パワージェル半分”とか、食べたものを細かく書くので、そのことを知りたかったが、聞き損ねた(笑)。

パワージェル1パック、より、”半分”、のほうが記録として優れている、という意味が、文脈から読み取れる。前にリハーサルで登った時は、1パックとか2パックとか必要だったのだろうか…とか、その辺のことが聞きたくなった。

この動画では、佐藤さんのすごさを表現するような、適切な質問がされていない…。こんな内容だったら、その辺の普通のクライマーでも語れるような内容で残念だ。

この事故は広く報道はされたので、クライマーなら知らない人はいないような感じだが、その後、比較的すぐに回復され、はた目には普通に登っているように見えていた。

佐藤さんは、”ランナウト王子”で知られているクライマーだった。そういう人でないとフリーソロなんてしない。そのような人が墜落を経験した後、どのような変化をたどるのか?そこが私が知りたいことだったが、それは語られていない。

■ 正しいアニキの在り方

佐藤さんのおかげで、山梨では、無知なクライマーの、過信による、無謀なアルパインへのトライが阻止されている。

山梨でも往年のクライマーは、自分の40年前の普通が、でっぷりと太ってメタボになってしまった老年期にいる自分でもできる、という幻想をもっており、(一升瓶)×(冬山)×(初級アルパインルート)に行ってしまう。

例えば、私が初見で単独で行った阿弥陀北稜は、単なる入門ルートで、初級ルートですらないが、私の会の先輩は、6人で上記の状態で行き、3名の凍傷者を出している。

教える先輩の側がこのような体たらくなのが、往年のクライマーの自画像である。しかも、そのことに自覚がない。世間も、体たらく具合が分かる知識がない。

そのような場合、若い人は、私のように、初見であろうが単独で行った方が厄介者を抱え込まない分、安全が増えると判断する”超自立系”と、先輩がお荷物だろうが、会から、可愛がられた方が得と考える”ヒモ系”に分かれる。ヒモ系は、だいたい、あごでこき使われることになる。それにそもそも登れない人が多い。九州でヘタレ扱いされている私より登れない30代男子なんて、ざらにいるのだ。

そのどちらの選択肢も取らない場合…が、ほとんどなんだが…、男子は、自分に適したレベルの山を選ぶ選択眼が形成できないまま、周りの人が行っているから…という安易な理由で、高度な山に突っ込むことになる。

どうも、男子たちは周囲の仲間と比べて、あいつが行けるなら俺も行けるだろうという安直さで、自分の実力を判定しているようだった。

それでも、大体、ヒエラルキーで並んでおり、フリーの実力順に並んでいれば、それで大体の安全は確立していたのだった。

私の周辺の知り合いでは、5.13をコンスタントに登れた人がおり、彼は佐藤さんに一度拉致されて、低体温症になりかけ、自分にはアルパインはちょっと…とフリークライミングに専念することにしたそうだ。そう、アルパインよりもフリーのほうが100倍ローリスクなのだ。ゲレンデにいる限り。

その辺の理解も、九州ではおろそかなように思う。セルフレスキューの訓練もなく、支点の知識、登り返しの技術も教えないで、セカンドでマルチピッチにデビューさせている会を多く見る。

例えば、山の会との顔合わせ山行で行った比叡で、となりに石井スポーツの店員の二人組がいたが、なんと、片方は全くの初心者で、単なるローワーダウンができず、30分以上も膠着状態だった。成人した若い生きのいい男性が、ですよ? 

私がいた山梨アルパインクラブは、別に特別良い会ではなかったが、それでも、初めての岩場でローワーダウンができないレベルの人は、そもそも岩場に来ない。人工壁でそれなりに登ってからしか、岩場に行かないからだ。ローワーダウンができないって、普段どうしてたん?レベルだ。

さて、佐藤さんだが、山梨では、才能がある男性クライマー、ちょっと芽が出てきたかな?という登れる男子は、どうも自分のクライミングに連れて行って、世界的クライマーの系譜につながる資質があるか、どうか?チェックしてくれていたようなのだ。男子の側としては、

  佐藤さんから声がかからないんじゃ、俺はそんなレベルじゃないな…

と暗に分かったようだった。

強い男子は、一度は拉致されていたように思うので、声がかからない=そういうレベルでないということだと思う。

だから、山梨では、レベルも保たれ、トンデモな事故も、相当勘違いがヒドイ人だけに限定されていたのだろう…。(それでもクライミング初年で中山尾根に行って墜落した人がいる)

それがない九州に来て、佐藤さんの存在だけで、事故が未然に防げていたことが分かるようになった。

それだけでなく、往年クライマーの第二の青春に、若者が食い物にされる被害…例えば、デート山行の歩荷要員として起用されて、美味しいところは、空荷の美人クライマーが持って行ってしまう…とかも、未然に防いでいたかもしれない。

九州でも、小山田さんとか、将来性のある男性クライマーをヘッドハンティングしたらいいんではないですかね?そうすると、小山田さんから声がかからないっていうことは…?みたいな思想になるのかも?

■ 佐藤さんとの思い出

この動画、佐藤さん、えらい年を取っていて驚いた。

山梨にいたころ、まだ初心者で一本も人工壁のリード壁をやったことがないデビューの時、ある会の人と待ち合わせしていたのだが、なんと私はハーネスを忘れてしまっていた…。すると、ピラニアでザックを背負って行ったり来たりと登っていた人が、ハーネスありますよ!と、貸してくれたことがあった。その時はその人が佐藤さんと知らず、借りたんだが、えらいくたびれたハーネスだった。その後、ジムの帰り際に、貸してくれた人が佐藤さんだと教えてくれた。そのジムのお兄さんは室井さんだった(笑)。どっちもどっちでスゴイ人です。ホント山梨では恵まれていましたね。

その後、私はアイスのクライマーなので、鉱泉フェスにいって大学生の後輩をゲットしたのだが、その時、奥さんとドラム缶を囲んで世間話したりした。グラッパさんでは、偶然、さやかちゃんと一緒に登ったかことがある…。ちょうど同じくらいの課題を登っていたので…。とてもやさしいパパで、自分がすごい奴だ!ということを気取らない、普通にいい人でした。

実は、私は伊藤さんもアイスでご一緒したことがあり、天野さんとは読図の講習会に参加してちょうど山岳会に入会したころで、色々教えてもらったことがあり、故・吉田さんの場合は、ビレイヤーをしていたのですが、どの方もとても気さくでざっくばらん… 俺を崇めろ!みたいな空気感が出ている人は、ほぼいませんでした…。

九州では、俺を崇めろ!みたいな人ばかりで疲れます… 

”男を立てる文化” って言われていますが、立ててくれる人がいないと、立たないような、メンツだったら、その程度ってことですよ。

セルフライジングって言葉がありますが、すごい人は普通にしていても凄いですからねー。

スーパー赤雲フリーソロは、現代のレベル感でスゴイ記録ですが、4級40mランナウトとか、10dの課題に10bをつけて、しかもボルト配置が悪く、初心者が取り付いて、ビレイが適切でも大事故になり、その事故を見て、俺たちは違う…と自己満足に浸るとか、もう金玉どころか、普通の人としての人間力、小さくて困ります…。


返す返す、こんな下手くそインタビューではもったいない…もっとちゃんとマシな質問の仕方しろよ!って思ったインタビューでした…。

佐藤さんと為末さんが話したら、さぞ面白かろうと思ったりします…なんせパワージェル半分とかそういう繊細さのレベルですから…。

2022/03/19

記録映像 ワクチン後遺症


打ってしまった人は、3回目は辞めておきましょう…