2022/01/21
新人は年配者の意見を素直に聞く前にTrust But Checkをやりましょう
2022/01/20
クライマーは下のビレイヤーが信頼できないと登れなくなるものです
■ ビレイの稚拙さ、上手さについて
ベテランからのアドバイスが得られるラッキーな人は、もしかして、あまりいないかもしれないので、転載しておきます。
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クライミングが上手いなんてそれほど重要ではないです。重要なのは、クライマーが、どこでも、いつでも、突然にでも、墜落した場合に、そのポイントで怪我をさせないビレーができるかどうか?でしょう。
リードして登って行けば、ルートの状況は、刻々と変わります。ポイントポイントで、ビレーのやり方は変わります。
ビレーは、奥が深いですし、それを詳細に解説した文献は見当たりません。(注:奥村さん辺り、書いてくれないですかね…)
自分のビレー体験と試行錯誤の積み重ねと、常にもっと良いビレーはないか、考え続けるのが自動化してなければいけません。
私は自分が堕ちるのが大嫌いなので、危険な所で安易に墜落を繰り返す人のビレーは精神的に疲れます。
信頼性の高くないビレーヤーだと、リスクを取りたくないので、テンション癖がついちゃいます。確実に登れると思うときでないと突っ込めません。
Aさんだと登れなかったルートが、他の人(初めてビレーしてもらった)だったら、あっさり登れたとか、ビレーヤーとして恥ずかしいとは思わないのかな。
同じ所で墜ちて墜落距離が、かなり違うって、どうなんでしょう?
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■ ランナウトについて
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先週、城ケ崎で5.10Cの20メートル強のルートをカム3ヶで登った人がいました。プロのインストラクターで、毎年10回以上×20年の人でも、その2倍以上のプロテクションをとっています。こんな登り方をしていたら、いつか痛い目に遭いそうです。
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■ ヌン掛けリードについて
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甲府幕岩で、5.11後半を幾つかレッドポイントしている60代の女性は、いつもパートナーの男性がヌンチャクを掛けてくれます。
クライミングで成果はでますが、それ以外は初心者のままでしょう。男性と登りに来ている女性で、ヌンチャクを掛ける人を見ることは稀です。12が登れてもそうです。
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ヌン掛けリードって、日本人だけでしか見ない習慣のような気がします。ラオスで、誰かがヌン掛けしてくれるっていうのは、なかったです。
ラオスでは、傾斜が強いので、回収もトップロープ回収で、セカンドの担当なので、リードよりは、リスクはないとはいえ、回収の手間があるので、完全初心者向けのトップロープ(上の終了点からぶら下がっているだけ)とは違いました。
日本でも、リードした人がかけたヌンチャクは、セカンドで登る人が回収しながら登ったらいいのでは?
これ以外に、日本だけの不思議な習慣っていうのは、壁の途中のセルフです。そんなのしているの、日本人だけでした。
ラオスでデイビッドのビレイで登っている私2022/01/18
弟よ…という思いを込めて。根子岳へ行くな
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・震災後の根子岳に登ったことがない奴が語るべきでない
・根子岳の山域全体を危険として否定するのは、もったいない。九州には他に入門向けルートがない
・直近の根子岳の事故は、懸垂下降の失敗によるものと想像
”現代版ウォールデン” をやってきました…その日薪ぐらし
■ 現代のソーロー
ひょんなことから、”森の生活”を得た。
H.D.ソーローのウォールデン(邦題『森の生活』)は、言うまでもなく、山やのバイブル、だ。
ソーローが2年であきらめた森の生活を、20年続けた人がいる…それが、ダルマさんこと、だるま放牧豚の中村さんだ。森の生活歴20年。
その生活ぶりは?ご本人いわく、”その日薪暮らし”。
アーティストのパートナーのりちゃんと森の中で、白黒二匹の犬、一匹の猫、の5人暮らし、で暮らされている。
■ 森の中のログハウス
「そうか、人間の役目は、森の再生なんだな…」
これが今回の滞在で得た山からの答えだった。山はいつだって、私の疑問に答えてくれる。
ミミズは、植物遺体を食べて土にする。蜂たちは、花々の受粉を助ける。木々は、二酸化炭素を吸収して、酸素を作る。
すべての動物が、生態系サービスに関して、何らかの役目を担っている…。その中で人間だけが、生産者ではなく、破壊者しかしていない。なんらの役目も負わず、貢献もしていない。
そして、人間がこの一世紀に犯した最大の過ちは、生態系サービスの頂点に人間存在を置いたことだ。次の図式に表される。
思えば、私はこれまで夢を実現してきたし、これからもしていくべきなのだ。
これはよそのですが、小屋番でも 薪を上げるのは大変っていう事例 |
そりゃそうだなー |
このゲージがすぐれものだった |
快適な森の中の暮らしの様子 |
これはかなりおつです。隣にテーブルを作ってお酒を飲みながらやるといいかも… |
適所を見つけるのと処理がスキルの内容で、基本は、穴を掘って埋める。通行するところにはしない。小用は、雨の当たらないところにしてはいけない。どちらも分解を促進させるのが大事だ。
■ 寒さマネジメント
次は、寒さのマネジメントスキル。
これはスリーレイヤーが基本だ。アンダー、インサレーション、アウターを重ねる。
アンダーが最も大事。アンダーはウールもしくは化繊、インサレーションはダウン、アウターはゴアテックスが、定番だ。
寒さ対策ができるかどうか?は、-10度以下になる山では、生死にかかわる。なので、衣類は、ファッションではなく、装備、である。
この認識の差が都会人には、まず敷居が高い。どうしても、憧れレベルで、なんとなく森っぽいが、機能的に森での用途に満たされないものを買って来てしまう。例えば、コットン製のアウターとか。コットンは気化熱で体温を奪うので、雨が降ったら、体温を奪われ、脱いだ方が温かい。化繊かウールでないと、気化熱での低体温化は防げない。
ソックスと手袋、ネックゲイターや頭の防寒も、重要な装備だ。都会生活者は、小物を使わない生活ですっかり忘れてしまっている。なので、あえて言ってやらないと、途端に寒さを感じることになるだろう。手首、足首、首、なんでも首とつくところが寒い。頭も皮膚が薄いから当然寒い。
私が暮らした小さいほうの小屋 |
停滞時は、冷える前にすぐに防寒着を着る。
これも基本だが、出来ていない人が登山者でも多い。山小屋に入ったら、アウターを脱いで、ダウンを着るんですぞ?
運動量がある、出かけるときにダウン着たままだと、すぐに脱ぐことになる。
農業もアウトドアの活動ではあるので、基本は同じなのに、農家の人でも、いい加減な服で、だましだましで、寒い寒いと文句を言う人が多い。大体、よく見たら、アンダーとかを着ていないとか、何だ、ちゃんと防御していないじゃないか、ということが多い。冬はズボン下は必須ですぞ?冷えは下から来る。靴も防寒靴、っていうのがありますが、ゴム長は断熱しないので、とても寒い。
牡蠣焼いて食べれる |
伐倒ができるようになれば、丸太が手に入る。これは当然といえば、当然だ。
丸太が手に入れば、ログハウスができる?かというと、答えは微妙だ。
Yesでもあり、Noでもある。
まず、丸太の量の確保が問題だ。
それから、運搬。
そして、積み上げには、動力がいる。
動力に、ユンボが使えないと、人力で丸太を持ち上げることになる。
この辺りは、『大草原の小さな家』を見ていれば、その実際の大変さがうかがえる。テレビドラマとはいえ、かなり事実に基づいていると思われる。(https://amzn.to/3AfnU1d エピソード1の20分のあたり)
実は、私はユンボ、使える。なんという導きだろうか…。
もしかしたら、ログハウスも作れるのかなぁ…。夢は膨らむが、出来ているログハウスに暮らせるのと作れるのは別の話だからなぁ。(ちなみに、ここのログハウスは、20年ものだけに、コーキング材がすでに痩せて抜けていて、寝ていると外の光で布団の上がストライプになる)
伐倒は、岩場の整備でも使うことがあるし、もちろん、玉切りは、女性でも取り組みやすいので、チェーンソーワークは絶対に必要だと思っていた。
が、ユンボは使うことを想定できなかった…まさか集材や作業道は、女性の私は見ているだけだろうと思ったのだった…ので、基本操作を終わったところで辞めてしまい、道作りまでは教わっていないので、2月に美里町まで教わりに行く申し込みをすることにした。
というのは、ダルマさん、別の場所に大きめのログハウスを作るアイディアを温めているようだからだ…。それには、ユンボは搬出でも、必須の技術になる。
今のログハウスのサイズは、六畳の小屋、四畳半の小屋の二つで、暖炉がある小屋が欲しいだそうだ。(本当に暖炉が出来たら、すごい)
■ まとめ
というような、今回のウーフ経験だった。
ラオスのグリーンクライマーズホームでは、岩場のすぐ後ろで、牛が草をはんでおり、さらにヤギが放し飼いされ、スマホをのぞき込んでいると、ヤギが遊びに来ていた。
寝床はカヤ付きの簡易ベッドで、ずらーっと並んでいる様子は野戦病院みたいだったが、別に生活は快適だった。シャワーはちょろちょろしか出なかったが、ヨーロッパ人は水がないのが普通なので、それに文句を言う人はいない。
それを思うと、水使い放題のログハウス生活は天国だった。
動物も犬と猫がいて、人間と動物が寄り添って暮す暮らしが実現されていた…。こういう場を日本のクライマーにも提供したら、人生が変わる人が大勢出るのではないだろうか?
クライマーは、有り余った生命力を向ける矛先を現代社会以外に求めたい人たちが多いのである…が、残念ながら、グレードを上げる以外に矛先を向ける先を見出せない人が多い。
いっくらクライミンググレードを上げたところで、世界の頂点に立つクライマーは、それこそ幼児期から、親の一流クライマーに英才教育を受けているわけで、そんな奴らが、わらわらと湧いてくる現代に、趣味のクライマーが、グレード自慢していても、目くそ鼻くそレベルの話にしか、どうあがいてもならないのであるし…
ちっぽけな自己顕示欲程度しか満たせない、そんな不毛な足の引っ張り合いをするくらいなら、地球を愛するメンバーに参加してもらいたいものである。
そもそも、ロッククライミングは、ゴルフ場開発なんかより、うんとエコフレンドリーだ。
延岡の行縢辺りに、建てれないのかなぁ… エコなクライマーズハウス。行縢は、色々なクライマーが入って、あまりローカルが牛耳っていそうでないのだが…。
2022/01/11
九州のアルパインルート 阿蘇根子岳について vs行縢椿
行かないことをお勧めする第一のルートが根子岳です。
本州でも、きちんと情報を持っている(つまり伝統と繋がっている)クライマーは、穂高屏風岩には行きません。群発性地震で、脆くなって以降、行かないというのが定番になっています。実は最近、山梨で一緒に登っていたこともあるクライマーが、同所で遭難して一人死亡、友人のほうは大怪我でした。同様の場所が根子岳。
以降、2名のクライマーの言葉を引用しておきます。
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最近、インドアでガンガン登れるので勘違いして外岩にでも登れるだろうという若い人が増えたようなので注意が必要ですね。
ボルダーで段が登れると自慢していた人が、県体壁のリードで5.10台でテンションを掛けるのは珍しくありません。マルチ特に本チャンになったらなおさらですね。(※ 私個人の経験からも、”5.9の外岩がリードできないのに、エイハブ船長1級は登れる”のが若い男子でした…。ボルダーのグレードをそのままリードのグレードに置き換えるのは危険です)
阿蘇の鷲ヶ峰にはうちのメンバーには行くなと言っていますが、各地の若い人が登っているのが気になります。ここは、クライミング自体は易しいですが、
自分の立っている岩自体がいつ崩壊してもおかしくない状況です。
そんなことも気にしないで登っているので昨年の根子岳での死亡事故も
「やっぱりな」と思います。
安全なクライミングを広めていきましょう。
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阿蘇の鷲ヶ峰、虎がは昔からもろくて有名でしたが、根子岳は熊本地震前は安定していて私たちも時々行っていました。熊本地震後はアプローチのヤマタガウドルートは登山禁止になっているはず(解除されたという情報は持ちません)ですし、縦走路も天狗の南面が崩壊してしまったのでその後行く事はなくなりました。縦走路は本チャン入門としては最適でした。安全面でキチンと判断+指導できるリーダーがいれば入門者の訓練とかアイゼントレーニングとかには良いところだったのではないかな?と個人的には思っています。九州には他にはそんなところはありませんし・・・
日向神の愛のエリアとか比叡山とか龍頭泉もそうですが、1本目が遠すぎるような気がします。日向神については開拓者の一人と話をしたことがありますが、ご本人も「今考えると遠すぎる気がする。今となってはルートのグレードとかの問題もあるしボルトを打ち足すこともできないしね」と言う事を言われていました。
比叡山は極端です。あれは肝試しと同じだと思います。登山初心者がジャンダルム縦走をしてドヤ顔するのとあまり変わりないんじゃないの?なんて個人的には思います。鉾岳なんて30mピン1本が当たり前みたいな打ち方です。開拓者を尊重しなければいけないことはわかりますが、それも度が過ぎると...。
山をやってきてクライミングに進んだ人と始めからクライミングしかしていない人では温度差はありますよね。アブナイ人はどっちも危ないですが、アブナイ内容はちょっと違います。
野口あきよさんがいつも言ってるように「世間の人にクライミングと言うと、アッあの危ないやつね。と言う返事が返ってくる。クライミングは安全に楽しめるスポーツだと言う事を私は世間に広めたい」・・・本当に安全に楽しめるスポーツにしなけりゃですね。
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■ 登山史、山の本を読みましょう!
山の本を読むと、阿蘇の山では死者の列が出来ています。
『九州の岳人たち』など、図書館でもいくつか出ていますので、よく読まれてみてください。(私は九州に来て一冊目に読みました)
合わせて、日本国全体のクライミングの歴史が分かる、現代登山史を読むこともお勧めします。
RCC Ⅲ級、Ⅳ級の程度の低い脆いルートで墜死し、行縢の椿のようなルートへ行くことを逃す機会損失の無意味さをかみしめてもらいたい気がします。
そもそも、現代クライマーが命をかけるべきところはそこではないよ、って意味です。
その意味が分かるには、クライミングの歴史を一通り知るしか仕方ありません。
■ 行縢 椿
2022年1月8日にフリー化されたマルチです。
ロープスケールおよそ180m、6Pのマルチピッチ
https://www.climbing-net.com/news/tsubaki_220110/
http://blog.livedoor.jp/jamminggentleman/archives/26310298.html?fbclid=IwAR3eVo37247UzgxQEmOHwNX6bqEb6BaEyDkGgWNlM4FHCThgoGQPcB_10zw
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昨年テルくんが登った行縢山の椿5.14bを全ピッチリードでRPしたそうです。
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現代アルパインクライミングのトップクライマーらは、古いOldButGoldな壁のフリー化に向かっているようですが、基盤となっているのは、5.12がスイスイ登れるレベルと確実なプロテクションであって、まだ9も登れないうちから、肝試しコースではないかもしれないです。
ちなみにOLDButGOLDは、杉野保さんの著書のことです。https://amzn.to/336d2GP
肝試し(脆さの追求)を積み上げてしまうと、論理的に考えて、人間の力は自然界の力より劣るので、どうしても、確率の問題で、大自然に命をさらわれていくことになります…つまり、脆い山をわざと登るのは、ロシアンルーレット、です。
足元の大地が大丈夫、というその根拠は何ですか? 根拠がしっかりしていることが一番大事です。
■ 山にイチかバチかはない
山にイチかバチかはない…と私は最初に教わりました。
たとえ、脆いアイスを登って、「アイガー北壁」みたいなロープになったこんなルートでも、落ちないという確実性があるから登ったのであって、イチかバチかをしたわけではありませんでした。
こちらは私の、新人時代の一本です。非常にもろい溶けたアイスを登った記録。
中津川滑沢 http://iceclmb.blogspot.com/2014/02/blog-post.html
アイガー北壁ロープ、と冗談で言っています。雪稜用を岩用と併用するのはNGです。2022/01/10
奥村講習メモ
明日からWwoofに出かけて忙しくメモをまとめる暇がないので、取り急ぎ
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20kN×0.98=約2トン
UIAA規格 クライミング専門
工業用=スタティック、クライミング用=ダイナミック
グリグリはスタティックは用途外使用、知識と見聞の中でやっている
メルカリ購入はありえない 代理店の機能
濡れたロープNG
ハーネス、墜落用、滑落用
カラビナちょんがけNG エイトノット×ビナのアンザイレン=ジェットコースターのシートベルト
アパーチャータイプは HMSを使う
クリックアップ、ビナとセットで機能する
オーバルは強度が出にくい
アメリカでは初心者にはグリグリをまずマスターさせる
グリグリがNGのケース =トラッド、確実でない支点、離れている、体重差
人工壁でもドローを1本
中間支点オフセットD
パスの先オフセットD
カラビナが引かれる向き なぜナローエンドを持って回転させるのか?
ダイナミックロープの種類
セカンドの確保vsTR (ダブルでトップロープしても良いか)
ロープの注意点、こすらない、ギロチン、紫外線劣化、摩耗、角での摩擦
最近の整備され過ぎた岩場では見極め力が減ってしまう
クラックなのにボルト=SDGs?
高エネルギー症 6kN= 骨折 12kN=死亡 生理限界 捻挫、子供
安全マージン =1.6 12kN×1.6=20Kn
登る技術=パフォーミング技術
クライミング技術=ビレイ技術+リード技術
ビレイヤーの役割 空中で止める グランドさせない、生理障害、危険に対してアドバイスする
墜落をデザインするデザイナーだ
60kgの人が2mからコンクリート床に落ちたら死亡
60kgの人が10m登って3m落ちた =3.5Kn 落下率0.3
セルフに落ちる 60kg 60cm 1.2m落下=11.2kN
ロープの屈曲で登れなくなる
墜落距離を短くする=プロテクションをこまめに取る
プーリー効果
8かんで対物ビレイ
マルチはアパーチャー
カウンターウェイト方式、ブレーキ方式
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2022/01/09
奥村講習2022 たぐり落ちのキャッチ
■ 動画
奥村講習2022
■ 2度目の奥村講習
に出かけてきた。今回は、座学がパワーアップしていた。また、奥村さんの教え方の特徴は、
してはいけないこと
を例示しないことだ。
私の考えでは、奥村さんの”やさしさ”が、そこに現れている。なぜなら、してはいけないこと、を言ってしまうと、どうしても、悪い人が一杯出てきてしまうため。否定されたり、責められたりしているように感じる人が出てきてしまう…。
なので、結果としては、してほしいこと、を聞いてもらえなくなる。
一番、分かりやすい事例が、壁から離れたビレイだ。
例えば、これ。
2022/01/07
【リスク管理】小さいビレイヤーが危険にさらされ、ヘルメットが必要なケース
■ 誰が危険か?
この写真を見てください。 ここでリスクにさらされているのは誰でしょうか?
答え)下のビレイヤー
このビレイヤーは、自分の命を危険にさらしても、上のクライマーを守ろうとしています。
体重とロープの柔軟性にも寄りますが、この状態で上のクライマーが大きな墜落をすると、下のクライマーは必ず浮き上がります。
その際に下部のハングの岩に頭をぶつけてしまうリスクがあります。
この場合、下のビレイヤーは上のクライマーより、極端に軽くない人が良いです。通常、軽いクライマーは衝撃を浮くことで吸収できるので、ベストマッチと言えますが、このように浮くことでビレイヤー事態にリスクがある場合は、
・下にセルフビレイを取る
・ヘルメットをかぶる
という2重の安全が必要です。
いつも、私はこのような状態でビレイしているのですが…誰も私が背負っているリスクを分かってくれないので、非常に寂しい思いをしています(笑)。
クライマーは、だいたいの人が、墜落を当然の権利だと思っている節がありますが、この状況でバンバン落ちるクライマーは、ビレイしてくれる相手のリスクを正確に評価できていないので、お互いに、ビレイヤーの方が、大きなリスクにさらされていることを共通理解にしておく必要があります。
なぜなら、一般的なビレイヤーとクライマーの関係は、ギブアンドテイクの関係なのですが、これだと、体格によっては、ビレイヤーのギブが大きすぎるからです。
小さいビレイヤーにとっては、このビレイは、ほとんど自己犠牲的ビレイです。ギブアンドテイクの量を誤って計ってしまいます。
このような場合は、比較的重たいクライマーを起用するべきです。そうすれば、ビレイヤーが怪我をするリスクは軽減されます。
このような、
・落ちる位置が地面に近くて、
・下にハングが出ている場合
は、正しくビレイしても、危険があり、その危険はビレイヤーの方が大きいです。
・グリグリを使用する
というのも、安全対策になりえます。ガツンと止めてほしいケースだからです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーこのルートは、ものすごく気を使います。 出だしから厳しいムーブが続き、なおかつ出だし部分より3D形状なので、ロープがクライマーの動きを妨げないように位置取りを考えないといけないこと、そして1ピン目から普通にフォールする可能性があるのでこまめにビレイヤーは動く必要があります。やっと2本目、かけ終わった時点で1本目の真下に移動してビレイということになります。 ちなみにビレイはグリグリを使ってます。
ーーーーーーーーーーーーーーービレイしていた人からのコメント
■ ビレイできます、というのはどういうことか?
こういうのが、ビレイできます、という中身で、ただロープの端っこをもっているだけってのは、ビレイできるに入らないんですよ。
ちなみに次の写真は、ダメ事例です。
グリーンのジャケットの先輩が登っている様子ですが、ビレイが非常に危険だったので、指摘しましたが、ビレイヤーは涼しい顔をして治そうとしませんでした… 私以外にも二人も別の人が同じ危険を指摘したにも関わらず、です。
直さなかった人は33歳の背の高い男性でしたが、会の新人ということで大事にされていました…平均的な人ときちんと考えている人ではこれだけビレイのスキルに差があるということです。ちなみに私は最初からビレイは良かったです。ですので、最初が肝心と思います。最初に離れているビレイを当然と目視してしまうと、人は
言われた通り
ではなく
周りと同じように
やってしまう生き物なのです。周囲に、下手くそビレイヤーばかりでは、本人も下手くそになります。
お上りさん時代の記録 https://iceclmb.blogspot.com/2014/12/blog-post.html
ラオス方式を検討
2022/01/06
1ピン目3mを起点にした場合のロープストレッチを加算した、正しいボルト配置
■ 正しいボルト距離は…?
昨日、試し算した内容では、正しい2ピン目の位置、3ピン目の位置が決められなかったので、再度、チャレンジします。
≪基本形≫
1ピン目 3m
2ピン目 6m
3ピン目 12m
4ピン目 24m
トータル:24m
1ピン目 4m
2ピン目 8m =1ピン目の2倍
3ピン目 16m =2ピン目の2倍
4ピン目 32m =3ピン目の2倍
2022/01/04
ロープの伸びが考慮されていないボルト配置
■ 完全にロープストレッチを除外して考えたケース
1~3本目のボルト位置について考察します。
まずは、ロープの伸びがないケース。
1ピン目、3m上で考慮します。
3m=通常、許容され、落ちても、致命的な怪我にはならないだろうと想定される。ボルダーの高さ。
原理をもとめるものなので、岩場の形状は考慮せず、単純に上に登っていくものとします。
1ピン目が3mにあるということは、2ピン目は最低3m以内で、打たないといけないという意味です。2ピン目が6m地点にあるとすると、ロープ全長6mですから、次のピンは6m離して良いということになります。同様に、4ピン目は、12mのロープ全長ですから、12m離して良いということになります。(24mで4本)
≪基本形≫
1ピン目 3m
2ピン目 6m
3ピン目 12m
4ピン目 24m
トータル:24m
さて、これが安全なのか?どうか?試し算をしてみたいと思います。
■ ロープの伸びを考慮すると
これはロープの伸びが考慮されていないので、現実には、この距離だけ、離して中間支点を入れると、確実にグランドフォールになります。
一般に、ダイナミックロープは、衝撃荷重で30%、静荷重で10%のロープの伸びがあります。
10%伸びる=テンション、30%伸びる=足元以下に支点があるときのフォール、です。
■ 10%
上記の支点間隔に10%の伸びを加算してみます。
1ピン目:3m
2ピン目:6m 2ピン目直前で落ちると、6mの全長のロープストレッチの分、グランドフォールになる つまり、このピン配置は危険
3ピン目:12m 3ピン目直前で落ちると、12mの全長なのでロープストレッチの分、グランドフォールになる つまり、このピン配置は危険
ということになります。では、次のピンを打つときに、手前の支点までに、10%の伸びを配慮したらどうでしょう?
1ピン目:3m地点
2ピン目:5.7m地点 (3m×0.9 +3m)
3ピン目:10.83地点 (5.7m+(5.7×0.9)
この配置で行くと、1ピン目を取って、2ピン目を取る前の5m地点でフォールすると、5m×1.1=5.5mのロープストレッチとなり、地上3mの支点では、50cmしか地面から離れていないことになってしまいます。つまり、2ピン目直下は落ちられないということです。たぐり落ちと同じような状況ですね。
2ピン目を取って、1m程度登った6.7m地点でのフォールでは、6.7×1.1でロープストレッチ7.37mは、支点は、地上5.7mですから4m地点で止まることになります。トータル墜落距離は、約3.3mです。けっこう落とされますね?
3ピン目を取る前の、たとえば、10mの地点で落ちれば、確実にグランドフォールします。ロープ全長10mに10%のロープストレッチを入れると11mで、5.7m地点の支点2で折り返すと、5.7m-11m=5.3となり、確実にグランドフォールです。
つまり、この設定での3ピン目の位置では、2-3ピン目の間では落ちれないです。安全にしたかったら、もっと手前で3ピン目を打たねばなりません。ではどこに打てば安全になるのでしょう? 2ピン目に、3mを加算した8.7mで試算してみます。
1ピン目:3m
2ピン目:5.7m
3ピン目:8.7m(5.7m+3m)
この3ピン目が安全なのか確かめるために、3ピン目の1m下、7.7m地点でクライマーがフォールしたとします。7.7m+ロープストレッチ0.77m=8.47mがロープ全長ですから、2ピン目の位置が5.7mとすると、8.47-5.7m=2.77、つまり地上約3mの位置で止まることになります。7.7mから3mまで落ちるのですから、約4.7mの墜落とけっこうな距離です。
これは、ロープ伸び率10%、つまり、ロープ全長は1.1倍の計算でこれです。
実際は、5mのフォールはロングフォールで、30%のロープ伸び率です。1.3倍のロープ全長で計算しなおしてみますと…
7.7m+ロープストレッチ2.31=10.1mがロープ全長、2ピン目の位置から引くと、10.1の全長で、5.7m地点から落ちると、地上1.3mで止まることになります。7.7mから1.3mまでおちるというのは大フォールですね。
ということで、3ピン目が2ピン目と離れていない、というのは、非常に重要なことなのです。
■ 考察
昔の人は、ロープの性能が低い時代に登っていました…つまりロープの伸びということを、ビレイする際に考慮せずに済んだ、という気配が濃厚です。
その分、人体が衝撃吸収体になってしまい、墜落でクライマーが衝撃を受けてしまい、人体が壊れる事故は多かったのではないかと思います。
しかし、現代のロープは衝撃吸収能が良く、ロープは大体、大フォールで30%伸びるように設計されています。
大体ロープには、どの体重で、というのも書いてあると思いますが、軽い人は伸びの良いロープ、重たい人は伸びないロープ、です。
■ 四阿屋の事故
四阿屋へ初めて行ったおり、3ピン目を取り損ねてグランドフォールした人を見ましたが、ビレイヤーの立ち位置は、1ピン目の真下で、2mもは離れておらず、きちんとしていました。それでも、グランドフォール…つまり、ボルト配置の設計が悪いということです。
こうした配置の悪さが、なぜ起こってしまったのか?というと、昔は、ロープが伸びなかったから、ということが言えるのでは?と思います。
このボルト配置の問題は、当時の装備では仕方なかった、という問題なので、普遍的で一朝一夕には替えようがないです。
また、一般に自分でプロテクションを打ちながらリードする習慣がないボルトクライマーにとっては、理解が難しいはずです。
逆にオールドクライマーにとっても、ロープの伸びでクライマーを守る時代になっているということは気がつきにくいです。ロープはそう頻繁に買い替えるものでない上、一度分かっていると納得してしまうと、再考しない傾向があります。
いくら支点が強固になっても、ロープストレッチによって、3ピン目以下のボルト配置が、クリティカルになっている、ということは、なかなか理解しがたいのではないかと思います。
■ ラオス
ラオスでは、この問題をどういう風に解決していたか?というと、大体3m離れる前、2m置きにピンが打ってありました。3m離れるということも少なかったので、1ルート20本もヌンチャクをぶら下げていくことがありました。
1ピン目:2m
2ピン目:3m 2ピン目が近いことがポイント!1mくらいしか離れていない
3ピン目:5m 2ピン目から2mしか離れていない。3m地点からロープストレッチを加算した2.6m落ちると、地面まで40cmしかないので、この近さでもギリギリ。
4ピン目:7m 3ピン目から2mしか離れていない。例えば、地上6m地点から、ロープストレッチを加算した7.8mの距離を落ちると、地面から2.2mしか離れていないので、すごく安全という訳でもない。
ということになり、”2m間隔で打ってあるよ”ということが、すぐさまチキン(=臆病)ということで馬鹿にできる状況ではないのが分かると思います。
ラオスに行って楽しかったからってキチンクライマーということには、ならないです。それなりに危険です。やはり、3ピン目を取るまでは落ちるべきでない、というのはその通りです。
■ 逆にインスボンのような大ランナウトの岩場では
師匠が、韓国人のクライマーの馬鹿にされ、登り方を変えたために、自分のカムを取ってすぐに墜落し、10mも落とされたと苦情を言っていたのですが…。
支点を取ってすぐでも、現代のロープはとても良く伸びるので、落ちたら、けっこう距離を落とされます…。
テンションと言われて、テンションを掛けるのでも、ロープストレッチ分を手繰るのに、ロープが長く出ていれば出ているほど、ビレイヤーは手繰る回数が増えます。
ランナウトを楽しむ岩場では、ロングフォールはありえないと心し、支点を取ってすぐでも、ヤバいと思ったら、支点下の、反対側のロープを掴むなどして、フォールを自分で阻止するか、落ちる前にカムエイドしてしまうほうが良いのではないかと思います。
もちろん、それがオールフリーを賭けた記録的クライミングなら、カムを握ってしまった時点で、あーあ、Aゼロしちゃったよーとなるわけですが…そういう記録的登攀を登っているのではないかぎり、落ちることのデメリットのほうが、必ず大きいと思われます。師匠の場合は、かかとの骨折でした。かかと程度でも、日常の不便は計り知れません…特に足はクライミング自体ができなくなります。
大ランナウトの岩場は、もしかすると、2グレード下というよりも、何度もセカンドで登り、自動化してから、リードするのが良いかもしれません。
自分の墜落が予想できない、とか、ちょっとでも負担があるとすぐにあきらめて落ちる方針で日ごろ登っている、とかそういう場合は、ほんの些細な墜落をしているつもりで、予想以上の距離の大フォールになる可能性があります。
とくに、スラブは、寝ているので、どこで落ちても大根おろしですし、フェイス、クラックのような垂壁でも、3ピン目を取るまでは、墜落は禁忌、です。
昔の課題は、現代のロープのロープストレッチ(伸び)を考慮していないため、です。
これは私がリードした、アイスクライミングでの支点の配置です。2ピン目と3ピン目が近いのが分かるでしょうか…。今打たないとどうなるか?安全か?危ないか?は、自分で打ちながら、リードしていないと分かるようにならないような気がします。
セカンド(ビレイヤー)でも、きちんとしたリードクライマーのリードの様子を見ていれば、身につくのかもしれませんが…。考えていないビレイヤーだと、「もうそろそろ取らないと危険だよ」と下から声をかけることがビレイヤーの義務と気がつかないかもしれません。
■ 2006年の最新アルパインクライミングに…
『最新!アルパインクライミング』にこのような記述があります。
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いわゆる「ロープを流して止める」制動確保は30年ほど前までは、ビレイの鉄則だった。
それは、ビレイ方法も「肩がらみ」だったからという前提がある。
中略
70年代前半~中盤で、おりしもビレイは「グリップビレイ」そして「エイト環」と大きく変わりつつあり、さらに現在のビレイデバイスが登場するにいたって、確保方法はロープを瞬間にロックする「静的確保」(スタティック)へと決定づけられたのである。
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『最新!アルパインクライミング』が出版されたのは、2006年と、16年も前です…
2006年の30年前は、2022年の46年前。グリップビレイは、1970年代の技とすれば、もはや50年前の技術です。
スタティックに取るようになってから、すでに50年もたっています…(溜息)