2022/01/09

奥村講習2022 たぐり落ちのキャッチ

 ■ 動画


これくらいできる人のビレイでないと、ギリギリに挑戦する気になれないなー
なんせ外では、後ろに走るとかできる下地ないのに、なんで、リーチが短い私に、ギリギリクライミングを要求するのか?意味不明です…

■ 四阿屋インディアンフェイスの3ピン目での墜落をどう止めるか?もしくは、関西の”斜陽”をどう止めるか?

人工壁のリードでは、たぐり落ちは、”やってはいけない事例”として、かなり有名です。ので、わざとやる人はいないと思います。

その一方、アウトドア、外岩のリードで、たぐり落ちと同じような状態になるのが、

 ランナウト

です。私は、昔のクライマーは、10%の伸び率を考慮してボルトを打っていなかったため、明らかなランナウトでも、見逃してしまったのではないだろうか?と推理していました。

どうも、違うようです…(汗)。昔からダイナミックロープの伸びは10%だったそうです。

岩場にある課題のランナウトが、どのような理由で起きているものであれ、状況は一朝一夕には変わりそうにありませんから、

 備えなくてはなりません。

その備え方はどうしたらいいのか?

ということの答えが、たぐり落ちキャッチ練習、です。

■ 基本的に手繰り落ちてはいけないが、練習するなら、人工壁で。

この練習を外岩でするのは、かなり無理があります…が、実は私も外で一回、たぐり落ちして、墜落をキャッチしてもらった経験があります。小川山屋根岩1峰に、5.13を登る強いクライマーとお出かけした時に、私が登れる10bは近所に一本しかなく、クリップが遠く、かけようと手を伸ばした後で、バランスを崩し、落下。ビレイヤーは地面にお尻をついて止めてくれました。いや、あれはまずかったです…。

その日は、”今日一番危険なクライマーアワード”を受賞し、その日以降、万全のクリッピング体制以外は、クライムダウンです(笑)。

これ以外でたぐり落ちしたのは、まだ筋力が十分ついていないころ、無理強いされたリードで、腕力も握力も使い果たし、終了点が開けれなかった、というものです。

これはインドアの壁だったのですが、インドアの壁って高さが低いので、たぐり落ちたら、床まで50cmでした…。その場の全員が凍り付きました。

”だから、嫌や~、ゆうたやん…” 

と思いましたが、これは先輩格だと勝手に本人が思っている会の女性が私に無理強いしてきたリードでした…その人は、自分がビレイ経験を積みたかったのです…。私も軽いクライマーですが、私より軽いクライマーの彼女は、ビレイしても、誰も落ちない… 大体、分かっている人は、軽い女性相手のクライミングで、落ちるような登りはしないものです…。

というので、バンバン落ちあっているというのは、人工壁で初心者時代のラッキーな経験かもしれません。

私も74kgあった師匠の青木さんと組んでいた時は、青木さんの墜落をキャッチしたことは一回もありません。なんせ74kgvs48kgなので、私の方が吹き飛びますから、お互いにそれは納得ずくで、”テンショーン、あいよー”の関係性でした。

私の最初のパートナーの岩田さんは、68kgでしたが、けっこう落ちました…ので、岩田さんの落を掴んだふい落ちとか、ハング1ピン目の落下とかは止めています…。

■ ビレイヤーが脳しんとう

あんまり、落ちられるとビレイヤーが危険なのは、68kgの人も同じだったので、一度は、キャッチしたものの、2度目は私は自分が脳しんとうで壊れると思ったので、「誰か代わってもらえませんか?」と周囲の男性に頼んでビレイ変わってもらった…という思い出があります。

パチンコ状態=落ちてきたクライマーにビレイヤーが弾き飛ばされる…になると、ビレイヤーは、かなりぐったりします…。

この件ののち、下にセルフビレイが取れるか、常に木の根などを探すようにしています。あるいは、その課題は断るか、ですね。なにも1ピン目核心の課題を選ばなくても、課題はいっぱいあるわけなので。

■ たぐり落ちキャッチ、もしくは、ランナウトキャッチのやりかた

・うしろにさがる
・うしろに走る
・ロープを大きく後ろに引く

です。

このほか、岩の下にジャンプする、というのも知っています。例えば、川上小唄で落ちるなど…。

しかしながら言いますと…四阿屋のインディアンフェイスでは、基本的に後ろに走れるような下地ではないと思います。

この動画は、非常にうまい、ビレイ慣れしたビレイヤーですが、この動作をするゆとりが、四阿屋であるか?というと??

それは悩ましいだろうと思います。人工壁だから、このようなキャッチができる。動いている量も、そこまで大きくありません。

■ 斜陽

関西に斜陽という有名な課題がある。6件も重大事故が起きている、ランナウトした課題で、初登者はボルト位置のうち替えを拒んでいるそうだった…(今もそうなのかは、知らないが)

http://kkinet.sakura.ne.jp/oshirase/2016/160308_iwabamondai-osirase.pdf?fbclid=IwAR0ltdwHsnwz1QR_omhr00VNgBJoK9UbIJtLdzyC16wMEZAbL27X8Jv_zzQ

初登者いわく、「後ろに走ってビレイしろ」なのだそうである。きっと斜陽は下地が良くて、後ろに走れるほど、平なのだろう…

この斜陽は、関西ではかなり有名で問題視されているらしいが、四阿屋のインディアンフェイスは一体どうなのだろうか?トポになにがしかが記述されているのは、見たことがないが…。


九州にはもう4年もいるが、どの課題がアブナイというのは、聞こえてきたことがない。

■ 事故防止

当時も考えたが、やはり事故防止は

1)自ら、ランナウトしている課題かどうか?を見極める目を身に着ける

が、第一義的に大事であろう…。

落ちないで登れるなら、ランナウトだろうが、一向にかまわないわけで、ランナウトしている課題にはすべて取りつかない、ということは、必ずしも必要はない…(比叡とかリードしてしまった手前、こういわないとつじつまが合わないというのがあるが(笑)。ランナウトすると燃える、というのは、クライマーならというか、人間なら誰でもある)

ただし、適切にビレイしても、落ちたらグランドフォールすると分かっている課題に、落ちそうなグレードしか登れない場合に、取り付いて、本当に落ちたら、ただのバカである。

予測との一致、が重要だ。

しかし、最初から、ランナウトしている、ということをオブザベで出来ていない、というのが、基本的には、現代の外岩クライマーの問題であると思える。

2)ビレイヤーとして備える

ランナウトした課題にパートナーが、ホイホイと取り付いてしまう場合、
 
 ・制止する
 ・落ちても止めてあげる

の二つの選択肢があるが…。オブザベしない人は、大体イケイケの人が多い。いかんせん、言うことを聞かない。

なにしろ、最近のクライマーは、一度も外でリードしたことがなくても、インドアで5.11が登れているから、自分も当然、外岩で5.11が登れるはずだと思っているのだから…。グレーディングシステムによってミスリードされている。

ので、制止する、という選択肢は、大体、消える(笑)。

となると、落ちても止めてあげる、という選択肢になる。

その選択肢が取れるためには、人工壁でのたぐり落ちキャッチというビレイ達人技、が必要になる。

これがどれくらいの達人度合いなのか?ということは、この動画を見れば分かるはずだが…、イケイケクライマーの方はこれと同じ達人度を、相方のビレイヤーに要求しているとは、よもや思ってもいるまい…

あー、私はいいビレイヤーだったな~、ホント。ちゃんと止めてやるし、自分はバンバン落ちる登りをしたりしないし…

3)トポに明記&適正グレード

現代クライマーが、ランナウトした課題には取りつかないという知恵を発揮できないのは、オブザベ能力に欠如する、という問題もあり、それは、情報過多で自分で考える力が不足している、という根本原因もあるには、あるが…

クライマー側にも情状酌量の余地があるのは、このインディアンフェースは、5.10bではなく、5.10d、であるということ。ぜんぜんグレードが適正でない。

また、トポのどこにも、そんな危険は指摘されていない、ということ。

つまり、ひっかけ問題化、しているということだ。

意図的に、わざと、間違いを誘発しやすい状況になっている、ということ。間違いを犯したくないと思っている人にとっても、用心している人にとっても、ひっかかりやすいということだ…。

これは、比叡の白亜スラブのボルトがカットアンカーっていうのと同じだ。ボルトを見たらペツルと思っているクライマーは、普通にいる。

カットアンカーとグージョンの違いを教えてくれる登山学校なんて、いままで見たことない。師匠らから、リスクを指摘されたこともない(というか、師匠と仰いだ人がカットアンカーを打っていたんだが…汗)

ので、クライミング界全体がひっかけ問題ちっく、である。

その理由は、前述の記事にあるように、悪者を指摘しないように配慮されており、間違ったものや危険なものを指摘しないように配慮している、ということがあると思う。

したがって、ここでの作戦は、王道以外登らない、みたいなことになる。小川山だったら、例えば、クラックなら、小川山レイバック、カサブランカ、ジャク豆、みたいな順番があり、その順番を業界のあれやこれやが分かるようになるまでは、まじめに守る、ということが身を守る気がする。

4)トップロープ + RP で登る

これは、欧米の市民クライマーの皆さんでは、ごく普通に受け入れられている登り方で、欧米人は、市民クライマーであれば、日本人みたいに、オンサイトにこだわる人は少なかった。

私自身も、山梨時代は初心者だったこともあり、ほとんどの課題が、TR+RPだ。

いきなりリードで取りついた課題は、めったにない。例えば小川山レイバックは、TRで登ってから、3年後にマスターでリードしている。

これは悪い作戦ではない。なにしろ、ラッペルの課題は、実は開拓者でも、試登という名のTRをしてから、RPして、初登へ至っている。ので、なにがなんでもオンサイトに拘る登りをしなくてもいいのではないか?とラッペルの課題については思う。

また、登れるようになったルートを後輩にリードしてやり、トップロープをかけてやることは、そもそも、そんなに恩を売るような偉大な行為ではない…どっちにしろ、リードするのだし、そのあと抜かないでいるだけで、当人に特別、余計な労力がかかったわけでもないからだ。

大体が先輩のアップの課題が、後輩のアップアップの課題でTRで登っていれば、万事都合よく運ぶ。

グランドアップで開拓された課題については、グランドアップだけにランナウトしているということも含めて、つまり、恐怖グレードも含めて、力量であるはずなので、オンサイトに拘ることには意味があるような気がするが…。

例えば、私は、がまスラブ5.9は、オンサイトしかしていない…そのために、ジャーマンスープレックス10cをRPで登っているので、がまスラブは当然オンサイト出来る力量がある、ということだったからだ。

■ ルート指南

こういうルート指南、というのが、基本的には、トポの役目のハズなんだが…、基本的に、日本のトポは、課題名とグレードくらいしか書いていない。つまり、貧弱だ。

課題の長さ=ロープ長を決定するのに必要、
ボルトの数と課題の長さ=ランナウトを吟味するのに必要
開拓者名=ボルトの信頼性を審査するのに必要
開拓年=ボルトの信頼性を審査するのに必要
Rつき
Xつき
TR限定

などの表記が、全然、基本的になされていない…。その代わりに要らないムーブ情報が出ていたりして、えーこれだとフラッシュなのじゃ?と思える時もある。

ので、トポがトポの役割を正しく果たしていないので、トポを見て、何から登ろうかな~とならない…。せいぜい星の数を数えるくらいだ。

これが、海外のトポを知ると、いかに異常事態か?ということが分かる。海外のトポだと、最初の数ページに、岩場の成り立ちが書いてあり、いつ開拓されたか?ボルトはどのようなものが使われているか、書かれているし、事故時の連絡先病院まで載っている。支点の強度評価が載っているものもあり、当然ロープ長を決定するために、課題の長さも載っている。

ので、一つの岩場をどう戦略的に攻めようか?というのは、クライマー個人が自分の責任で考えられるように十分な情報が与えられている。

もちろん、海外の充実したトポを相手にしても、最終的には偵察して、登る課題を目視で決めるわけだが…。目で見ないで決める、ことはないにしても、それでも日本のトポはひっかけ問題になっているだろう。

充実した海外トポブックを見ると、日本のトポでは、なんとなく、不平等条約を結ばされているような気分になってくる…が、実際そのとおりなのだろう…。

昔のクライマーは、その不平等なところは、先輩後輩の中で、口承されたり、易しいところから順繰りに登ったり、岩だけでなく山のトータルな危険認知力があったり、そもそも山岳部に入るような若者=大学生で、頭が良い人限定だったり、したわけだ…

現代では、それこそ、口承される機会はないわ、クライマーの資質は千差万別だわ、ということになっている…

■ フリークライミングのビレイでも、後ろに走る練習はあり

奥村講習は、とても優秀な講習で、講習生のリクエストにも答えてくれる。

そのため、このようなたぐり落ちビレイのデモンストレーションも行われた…

が、講習生が実践することはない。

つまり、講習生のレベルで練習させると、墜落役の人が危険ってことだ(笑)。

これらを総合するとやはり、インドアクライミングジムで、クライミングのパフォーマンス能力だけを特出して向上させるという作戦は、事故につながりやすいということではないだろうか…。

なんせ、インドアで登っていて、一番ビレイの練習をするのには最適な状況にいても、インドアのビレイをそのまま外岩に持ち込めるわけではない…が、そのことが理解できるようになる時間を取らずに、パフォーマンスが伸びると…リスクの認知はおろそかになる。

もう、これは構造的問題で、昨今クライミングをスタートして、この構造的問題を逃れたクライマーというのは、かなり珍しい存在だろうと思う…。まぁ、私自身も、その珍しい人種なのだが…。

それは、講習会に出るという機会を掴む気持ちや、上級のクライマーから盗もうとする、あるいは、自分でペツルのサイトを調べるなど、総合的なものだと思う。大体の人は、技術講習をいやがり、パフォーマンスだけを高めることに興味がある。

強いから組みたいという人とではなく、そのように珍しい人種で、リスク認知とビレイスキルというクライミング技術が揃っているから登りたいという人と登りたいものだ。


≪関連記事≫
自分もアブナイ、相手もアブナイ






奥村講習2022

 ■ 2度目の奥村講習

に出かけてきた。今回は、座学がパワーアップしていた。また、奥村さんの教え方の特徴は、

してはいけないこと

を例示しないことだ。

私の考えでは、奥村さんの”やさしさ”が、そこに現れている。なぜなら、してはいけないこと、を言ってしまうと、どうしても、悪い人が一杯出てきてしまうため。否定されたり、責められたりしているように感じる人が出てきてしまう…。

なので、結果としては、してほしいこと、を聞いてもらえなくなる。

一番、分かりやすい事例が、壁から離れたビレイだ。

例えば、これ。


このビレイは、非常に危ない。し、クライミングシステムが、どのようにクライマーの安全を担保しているか全く理解していないことをデモンストレーションしている。

しかし、これを指摘しても、ビレイヤーはビレイを改めない。理由は、ビレイヤーには、クライマーの墜落の衝撃は、まったく伝わってこず、ビレイヤーは前に引かれて壁に激突する、ということはないから。

では何が衝撃を吸収しているか?といえば、1ピン目の支点と、クライマー。クライマーは、このビレイでは、ロープをクリップしたいと思っても、ものすごい力で引かないと、ロープを貰えない。また、落ちたら、バッツンビレイなので、壁にたたきつけられる。

これは、大きいビレイヤーと小さいクライマーとの関係でよく見られ、大きいクライマーが小さいクライマーに負担を強いている事例だ。

極端に重さがあるうえ、1ピン目でロープの屈曲が90度近くもあるので、ダイナミックロープとしての性能をほとんど発揮していないようなロープ使用になっている。

これが、下が軽く上が重たければ、前に引かれるというのは、必然になり、ビレイを見直すきっかけになる。

ところが、これくらい体重差があると、まったくビレイヤーは問題を認知せずにスルーできてしまうわけだ。

親が子供を危険にさらしているが、子供の方は、当然だが、それが危険だと分からないので、甘受して登る、ということになり、子供が超・きのどく、という事例。

このビレイヤーは、制動している手も、確保器より上にあり、確保器の操作自体も間違っている。




…ということを、奥村さんは、指摘しない

ということが、一番、勉強になった。

これは方法論的に全くの正反対なのである。 しかし、弁明をさせてもらうなら、初心者時代に私は師匠や先輩のきちんとした指導は受けていない。ので、どうしたらよいか?わからなかったので、自分で勝手に、ペツルのサイトやビレイデバイスのカタログを読みまくっていたのである。どうしたらいいか?を解決する先として、選んだのはペツル社や、その他の権威ということだ。

ここで多くの人は間違うのだろう…大体みな、

周りの人がどうしているか?を参考にする=日本人にありがち…ということだ。

そうすると、周りの人はだいたい9割の人が間違った技術を行っているので、正しくないビレイや間違った技術ばかりを目にすることになり、間違った技術が継承される。

支点ビレイもそうだろうし、ATCを使ったグリップビレイもそうだろうし、終了点直がけトップロープもそうであろう…

■ ペツルのカタログ

私が人工壁にデビューしたころは、次の人に教えるのは、ペツルのカタログを一冊渡せば、大体必要なことはすべて書いてあった…

が、昨今メーカーは、紙のカタログを出さなくなった。

ので、ペツルのサイトを読んでおくように、と後輩に言い渡しても、大体の人は読まない。

紙のカタログを渡しても読まないかもしれないが、ネット社会になって、さらに知識を求める人と求めない人の差は大きく開いたと思う。



2022/01/07

【リスク管理】小さいビレイヤーが危険にさらされ、ヘルメットが必要なケース

 ■ 誰が危険か?

この写真を見てください。 ここでリスクにさらされているのは誰でしょうか?


答え)下のビレイヤー

このビレイヤーは、自分の命を危険にさらしても、上のクライマーを守ろうとしています。

体重とロープの柔軟性にも寄りますが、この状態で上のクライマーが大きな墜落をすると、下のクライマーは必ず浮き上がります。

その際に下部のハングの岩に頭をぶつけてしまうリスクがあります。

この場合、下のビレイヤーは上のクライマーより、極端に軽くない人が良いです。通常、軽いクライマーは衝撃を浮くことで吸収できるので、ベストマッチと言えますが、このように浮くことでビレイヤー事態にリスクがある場合は、

・下にセルフビレイを取る

・ヘルメットをかぶる

という2重の安全が必要です。

いつも、私はこのような状態でビレイしているのですが…誰も私が背負っているリスクを分かってくれないので、非常に寂しい思いをしています(笑)。

クライマーは、だいたいの人が、墜落を当然の権利だと思っている節がありますが、この状況でバンバン落ちるクライマーは、ビレイしてくれる相手のリスクを正確に評価できていないので、お互いに、ビレイヤーの方が、大きなリスクにさらされていることを共通理解にしておく必要があります。

なぜなら、一般的なビレイヤーとクライマーの関係は、ギブアンドテイクの関係なのですが、これだと、体格によっては、ビレイヤーのギブが大きすぎるからです。

小さいビレイヤーにとっては、このビレイは、ほとんど自己犠牲的ビレイです。ギブアンドテイクの量を誤って計ってしまいます。

このような場合は、比較的重たいクライマーを起用するべきです。そうすれば、ビレイヤーが怪我をするリスクは軽減されます。

このような、

・落ちる位置が地面に近くて、

・下にハングが出ている場合

は、正しくビレイしても、危険があり、その危険はビレイヤーの方が大きいです。

・グリグリを使用する

というのも、安全対策になりえます。ガツンと止めてほしいケースだからです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このルートは、ものすごく気を使います。 出だしから厳しいムーブが続き、なおかつ出だし部分より3D形状なので、ロープがクライマーの動きを妨げないように位置取りを考えないといけないこと、そして1ピン目から普通にフォールする可能性があるのでこまめにビレイヤーは動く必要があります。やっと2本目、かけ終わった時点で1本目の真下に移動してビレイということになります。 ちなみにビレイはグリグリを使ってます。

ーーーーーーーーーーーーーーービレイしていた人からのコメント

■ ビレイできます、というのはどういうことか?

こういうのが、ビレイできます、という中身で、ただロープの端っこをもっているだけってのは、ビレイできるに入らないんですよ。

ちなみに次の写真は、ダメ事例です。

グリーンのジャケットの先輩が登っている様子ですが、ビレイが非常に危険だったので、指摘しましたが、ビレイヤーは涼しい顔をして治そうとしませんでした… 私以外にも二人も別の人が同じ危険を指摘したにも関わらず、です。

直さなかった人は33歳の背の高い男性でしたが、会の新人ということで大事にされていました…平均的な人ときちんと考えている人ではこれだけビレイのスキルに差があるということです。ちなみに私は最初からビレイは良かったです。ですので、最初が肝心と思います。最初に離れているビレイを当然と目視してしまうと、人は

  言われた通り

ではなく

  周りと同じように

やってしまう生き物なのです。周囲に、下手くそビレイヤーばかりでは、本人も下手くそになります。


お上りさん時代の記録 https://iceclmb.blogspot.com/2014/12/blog-post.html

ラオス方式を検討

■ クライマーには難しすぎる

前の記事の

ピンAの打つべき高さ=(前のピンまでの高さ×2)×(0.9、もしくは0.7)- (止めてもらいたい高さ)

という公式は、とても瞬時に暗算可能ではないので、ラオスで一般的だと登りながら感じられた原則を考えてみます。

・1ピン目の高さに関わらず、2ピン目は、1ピン目+1m
・3ピン目以降は、ずっと2m置き

です。

3mで考えてみると…

≪1ピン目3mのケース≫
1ピン目:3m地点
2ピン目:4m地点
3ピン目:6m地点
4ピン目:8m地点
5ピン目:10m地点
6ピン目:12m地点

≪前項の4mの1ピン目でケース 日本で1ピン目が遠い課題として一般的≫
 現代の30%伸びるロープの時代
1ピン目 :4m地点 
2ピン目 :4.6m地点(地上1mで止まる)
3ピン目 :6.84地点(地上1mで止まる)
4ピン目 :8.576地点(地上1mで止まる)
5ピン目 :11.0064地点(地上1mで止まる)
6ピン目 :14.40地点(地上1mで止まる)

となり、大して差がない…。 1m上に最初のピンを上げても、稼げたのは2.4mだけ。

ボルトを取らないのは、ミニマムボルトの原則と思いますが、ミニマムボルトで登るためには、大墜落を出来るだけしないというクライミングスタイルが必要ということですね…

30%も伸びるような墜落をしないということですが。

大墜落というか、普通に落ちて安全なのは、オーバーハングの岩場です。

オーバーハング=宙に落ちる、

だからです。 基本、日本にはそんなに存在していないです。




2022/01/06

1ピン目3mを起点にした場合のロープストレッチを加算した、正しいボルト配置

 ■ 正しいボルト距離は…?

昨日、試し算した内容では、正しい2ピン目の位置、3ピン目の位置が決められなかったので、再度、チャレンジします。


≪基本形≫

1ピン目 3m

2ピン目 6m

3ピン目 12m

4ピン目 24m

  トータル:24m

■ 2ピン目の位置?

6m全長が出ているときに、どこにボルトがあれば、落ちれるか?を計算します。

10%のロープストレッチの時、0.9掛け = 5.4m地点 (±0)
30%のロープストレッチの時、0.7掛け = 4.2m地点 (±0)

±0というのは、ロープの伸びでちょうど地面に着く、ということですから、ゆとり0です。
せめて、地上50cm上では止まりたいですよね?身長なども考慮したら、1m欲しいかもしれません。

加算すると

10%のロープストレッチの時、0.9掛け = 5.4m地点 (±0)-1m=4.4m
30%のロープストレッチの時、0.7掛け = 4.2m地点 (±0)ー1m=3.2m

3m地点に位置ピン目が合って、3.2mと20cmしか離れていないところに2ピン目が合っても、衝撃荷重の墜落をすると、地上1m上で止まるということで、2ピン目がえらい近いですね…誰もこんなところには打たないですし、1ピン目で落ちるというのは、大墜落は考えにくいので、10%を採用して、

1ピン目 :3m地点
2ピン目 :4.4m地点

とします。

■ 3ピン目の位置

とすると? 3ピン目は、4.4mの×2倍の8.8mの全長のロープで落ちても大丈夫な地点を探すということになります。

10%のロープストレッチの時= 8.8×0.9 =7.92m地点(±0)-1m=6.92m
30%のロープストレッチの時= 8.8×0.7 =6.16地点 (±0)ー1m=5.16m

10%想定の場合 つまりテンション登り
1ピン目 :3m地点
2ピン目 :4.4m地点
3ピン目 :6.92地点、

30%想定の場合 つまり、足元下でのフォール許容
1ピン目 :3m地点
2ピン目 :4.4m地点
3ピン目 :5.16m

どちらのボルト配置をよく見かけるか?というと???

3m、4.5m、7mみたいな配置のほうが、3m、4.5m、5.2mみたいな配置より、圧倒的に多く見かけます。3ピン目が2ピン目にごく近く打たれているケースというのは、あまり見かけない。

つまり、2ピン目と3ピン目が離れていることは、よく見かけるリスクということです。3ピン目を取るまでは、テンション登りやAゼロにしておいて、気軽に墜落しない方が良いということです。

実際には、3m、4.5m、7mみたいな、よくある配置で、2ピン目と3ピン目の間で落ちたら、テンションと叫んでも、実際はフォールファクター2の墜落。つまり、2,3ピン目の間に核心があるルートも危険ということです。

さて、4ピン目をよくあるケースで、10%&1mで、算出するとこうなります。

10%想定の場合 つまりテンション登り前提
1ピン目 :3m地点
2ピン目 :4.4m地点
3ピン目 :6.92地点
4ピン目 :11.456地点

ちなみに4ピン目を取る前に大フォールで30%のフォールを許容したい、つまり核心がある場合

1ピン目 :3m地点 
2ピン目 :4.4m地点 約4.5m
3ピン目 :6.92地点 約7m
4ピン目 :8.688地点 約8.7m

に打たないと、地上1mの地点で止めてもらえないということになります。実際は、前のピンの倍もは、距離は離せない、ということが分かります。

■ 一般的に1ピン目が遠すぎると言われる4m上で試算

4m上の1ピン目っていうのは、まぁ、誰が見ても、”遠いなぁ~”というものだと思います。

佐久でも遠かったです(ーー;)。同じ計算をしてみると、4mの遠い1ピン目のルートでは、10%のロープストレッチの想定で

8×0.9=7.2、14.4×0.9=12.96 となり、

1ピン目 :4m地点 
2ピン目 :7.2m地点(±0)
3ピン目 :12・96地点(±0)

です。この位置だとちょうど地面にヒットするという意味ですので、ー1mすると、

1ピン目 :4m地点 
2ピン目 :6.2m地点(地上1mで止まる)
3ピン目 :11・96地点(地上1mで止まる)

となります。これでも、前提が10%の伸びですから、テンションしかしない前提のボルト配置です。

ビッグフォールの30%だと?

1ピン目 :4m地点 
2ピン目 :5.6m地点(±0)
3ピン目 :7.84地点(±0)

地上1m上で止めれるように設計すると?

1ピン目 :4m地点 
2ピン目 :4.6m地点(地上1mで止まる)
3ピン目 :6.84地点(地上1mで止まる)

となります。それにしても、2ピン目が近い。60cm先です。こんな配置見たことないくらい、3本目も近いです。

元の基本形と比べるとイメージの差に驚くと思います。

≪基本形 1ピン目4mの場合≫

1ピン目 4m

2ピン目 8m =1ピン目の2倍

3ピン目 16m =2ピン目の2倍

4ピン目 32m =3ピン目の2倍

1本目が高い課題は、全然珍しくなく、1ピン目が高いのは、基本的には、下部が簡単な5.4とか5.5だったら、出来るだけ高くに1ピン目を設定したほうが、上でボルト数を節約できるという発想のためですが… そのイメージすら間違っている…。

現実の数値を比べると、30%伸びる時代で地上1mで止まるはずの配置は、驚くほど、2,3ピン目が近くにあることが分かると思います。

       昔の伸びないロープ時代 vs 現代の30%伸びるロープの時代
1ピン目 :4m           vs    4m地点 
2ピン目 :8m           vs    4.6m地点(地上1mで止まる)
3ピン目 :16m           vs    6.84地点(地上1mで止まる)
4ピン目 :32m           vs    8.576地点(地上1mで止まる)
5ピン目 :64m           vs    11.0064地点(地上1mで止まる)
6ピン目 :128m          vs   14.40地点(地上1mで止まる)

現実には、4m上に位置ピン目があることはとても多く、2,3ピン目でこんなに近いことはめったにないです…

クライマーは、2,3ピン目の間が最も危険だということは、感覚的に体得していると思いますが、具体的に数値にしてみると、現代の伸びの良い細い径のロープでは、ホントにほんのちょっとのダラリンも許容できないことが分かると思います。

■ 原則にまとめると?

原則にまとめると

1ピン目=Ym
2ピン目=2Y×(0.9、もしくは0.7)- 止めてもらいたい高さ
3ピン目=2ピン目の距離×2×(0.9、もしくは0.7)- 止めてもらいたい高さ
4ピン目=3ピン目の距離×2×(0.9、もしくは0.7)- 止めてもらいたい高さ
5ピン目=以下続く…

0.9=10%の伸び 静荷重
0.7=30%の伸び 衝撃荷重

です。核心前のボルトでは、0.7掛けを採用したほうが良いと思います。

べき乗で、ボルトの位置が離れて行くという伸びないロープ前提のイメージとは、現代のロープクライミングであるべきボルト位置は、かけ離れた数値で、オールドクライマーが一概に怖いもの知らずだったという話ではないだろうということです。

べき乗の増分イメージから抜け出せていない開拓者は、自分の思いとは別に、危険なボルト配置をしてしまうこともあるということです。

誰も悪者がいなくても、危険な岩場になってしまう、危険な課題になってしまうということです。

       これくらいでビレイしないと危険です。

2022/01/04

ロープの伸びが考慮されていないボルト配置

 ■ 完全にロープストレッチを除外して考えたケース

1~3本目のボルト位置について考察します。

まずは、ロープの伸びがないケース。 

1ピン目、3m上で考慮します。

3m=通常、許容され、落ちても、致命的な怪我にはならないだろうと想定される。ボルダーの高さ。

原理をもとめるものなので、岩場の形状は考慮せず、単純に上に登っていくものとします。

1ピン目が3mにあるということは、2ピン目は最低3m以内で、打たないといけないという意味です。2ピン目が6m地点にあるとすると、ロープ全長6mですから、次のピンは6m離して良いということになります。同様に、4ピン目は、12mのロープ全長ですから、12m離して良いということになります。(24mで4本)

≪基本形≫

1ピン目 3m

2ピン目 6m

3ピン目 12m

4ピン目 24m

トータル:24m

さて、これが安全なのか?どうか?試し算をしてみたいと思います。

■ ロープの伸びを考慮すると

これはロープの伸びが考慮されていないので、現実には、この距離だけ、離して中間支点を入れると、確実にグランドフォールになります。

一般に、ダイナミックロープは、衝撃荷重で30%、静荷重で10%のロープの伸びがあります。

10%伸びる=テンション、30%伸びる=足元以下に支点があるときのフォール、です。

■ 10%

上記の支点間隔に10%の伸びを加算してみます。

1ピン目:3m

2ピン目:6m 2ピン目直前で落ちると、6mの全長のロープストレッチの分、グランドフォールになる つまり、このピン配置は危険

3ピン目:12m 3ピン目直前で落ちると、12mの全長なのでロープストレッチの分、グランドフォールになる つまり、このピン配置は危険

ということになります。では、次のピンを打つときに、手前の支点までに、10%の伸びを配慮したらどうでしょう?

1ピン目:3m地点

2ピン目:5.7m地点 (3m×0.9 +3m)

3ピン目:10.83地点 (5.7m+(5.7×0.9)

この配置で行くと、1ピン目を取って、2ピン目を取る前の5m地点でフォールすると、5m×1.1=5.5mのロープストレッチとなり、地上3mの支点では、50cmしか地面から離れていないことになってしまいます。つまり、2ピン目直下は落ちられないということです。たぐり落ちと同じような状況ですね。

2ピン目を取って、1m程度登った6.7m地点でのフォールでは、6.7×1.1でロープストレッチ7.37mは、支点は、地上5.7mですから4m地点で止まることになります。トータル墜落距離は、約3.3mです。けっこう落とされますね?

3ピン目を取る前の、たとえば、10mの地点で落ちれば、確実にグランドフォールします。ロープ全長10mに10%のロープストレッチを入れると11mで、5.7m地点の支点2で折り返すと、5.7m-11m=5.3となり、確実にグランドフォールです。

つまり、この設定での3ピン目の位置では、2-3ピン目の間では落ちれないです。安全にしたかったら、もっと手前で3ピン目を打たねばなりません。ではどこに打てば安全になるのでしょう? 2ピン目に、3mを加算した8.7mで試算してみます。

1ピン目:3m

2ピン目:5.7m 

3ピン目:8.7m(5.7m+3m)

この3ピン目が安全なのか確かめるために、3ピン目の1m下、7.7m地点でクライマーがフォールしたとします。7.7m+ロープストレッチ0.77m=8.47mがロープ全長ですから、2ピン目の位置が5.7mとすると、8.47-5.7m=2.77、つまり地上約3mの位置で止まることになります。7.7mから3mまで落ちるのですから、約4.7mの墜落とけっこうな距離です。

これは、ロープ伸び率10%、つまり、ロープ全長は1.1倍の計算でこれです。

実際は、5mのフォールはロングフォールで、30%のロープ伸び率です。1.3倍のロープ全長で計算しなおしてみますと…

7.7m+ロープストレッチ2.31=10.1mがロープ全長、2ピン目の位置から引くと、10.1の全長で、5.7m地点から落ちると、地上1.3mで止まることになります。7.7mから1.3mまでおちるというのは大フォールですね。

ということで、3ピン目が2ピン目と離れていない、というのは、非常に重要なことなのです。

■ 考察

昔の人は、ロープの性能が低い時代に登っていました…つまりロープの伸びということを、ビレイする際に考慮せずに済んだ、という気配が濃厚です。

その分、人体が衝撃吸収体になってしまい、墜落でクライマーが衝撃を受けてしまい、人体が壊れる事故は多かったのではないかと思います。

しかし、現代のロープは衝撃吸収能が良く、ロープは大体、大フォールで30%伸びるように設計されています。

大体ロープには、どの体重で、というのも書いてあると思いますが、軽い人は伸びの良いロープ、重たい人は伸びないロープ、です。

■ 四阿屋の事故

四阿屋へ初めて行ったおり、3ピン目を取り損ねてグランドフォールした人を見ましたが、ビレイヤーの立ち位置は、1ピン目の真下で、2mもは離れておらず、きちんとしていました。それでも、グランドフォール…つまり、ボルト配置の設計が悪いということです。

こうした配置の悪さが、なぜ起こってしまったのか?というと、昔は、ロープが伸びなかったから、ということが言えるのでは?と思います。

このボルト配置の問題は、当時の装備では仕方なかった、という問題なので、普遍的で一朝一夕には替えようがないです。

また、一般に自分でプロテクションを打ちながらリードする習慣がないボルトクライマーにとっては、理解が難しいはずです。

逆にオールドクライマーにとっても、ロープの伸びでクライマーを守る時代になっているということは気がつきにくいです。ロープはそう頻繁に買い替えるものでない上、一度分かっていると納得してしまうと、再考しない傾向があります。

いくら支点が強固になっても、ロープストレッチによって、3ピン目以下のボルト配置が、クリティカルになっている、ということは、なかなか理解しがたいのではないかと思います。

■ ラオス

ラオスでは、この問題をどういう風に解決していたか?というと、大体3m離れる前、2m置きにピンが打ってありました。3m離れるということも少なかったので、1ルート20本もヌンチャクをぶら下げていくことがありました。

1ピン目:2m

2ピン目:3m 2ピン目が近いことがポイント!1mくらいしか離れていない

3ピン目:5m 2ピン目から2mしか離れていない。3m地点からロープストレッチを加算した2.6m落ちると、地面まで40cmしかないので、この近さでもギリギリ。

4ピン目:7m 3ピン目から2mしか離れていない。例えば、地上6m地点から、ロープストレッチを加算した7.8mの距離を落ちると、地面から2.2mしか離れていないので、すごく安全という訳でもない。

ということになり、”2m間隔で打ってあるよ”ということが、すぐさまチキン(=臆病)ということで馬鹿にできる状況ではないのが分かると思います。

ラオスに行って楽しかったからってキチンクライマーということには、ならないです。それなりに危険です。やはり、3ピン目を取るまでは落ちるべきでない、というのはその通りです。

■ 逆にインスボンのような大ランナウトの岩場では

師匠が、韓国人のクライマーの馬鹿にされ、登り方を変えたために、自分のカムを取ってすぐに墜落し、10mも落とされたと苦情を言っていたのですが…。

支点を取ってすぐでも、現代のロープはとても良く伸びるので、落ちたら、けっこう距離を落とされます…。

テンションと言われて、テンションを掛けるのでも、ロープストレッチ分を手繰るのに、ロープが長く出ていれば出ているほど、ビレイヤーは手繰る回数が増えます。

ランナウトを楽しむ岩場では、ロングフォールはありえないと心し、支点を取ってすぐでも、ヤバいと思ったら、支点下の、反対側のロープを掴むなどして、フォールを自分で阻止するか、落ちる前にカムエイドしてしまうほうが良いのではないかと思います。

もちろん、それがオールフリーを賭けた記録的クライミングなら、カムを握ってしまった時点で、あーあ、Aゼロしちゃったよーとなるわけですが…そういう記録的登攀を登っているのではないかぎり、落ちることのデメリットのほうが、必ず大きいと思われます。師匠の場合は、かかとの骨折でした。かかと程度でも、日常の不便は計り知れません…特に足はクライミング自体ができなくなります。

大ランナウトの岩場は、もしかすると、2グレード下というよりも、何度もセカンドで登り、自動化してから、リードするのが良いかもしれません。

自分の墜落が予想できない、とか、ちょっとでも負担があるとすぐにあきらめて落ちる方針で日ごろ登っている、とかそういう場合は、ほんの些細な墜落をしているつもりで、予想以上の距離の大フォールになる可能性があります。

とくに、スラブは、寝ているので、どこで落ちても大根おろしですし、フェイス、クラックのような垂壁でも、3ピン目を取るまでは、墜落は禁忌、です。

昔の課題は、現代のロープのロープストレッチ(伸び)を考慮していないため、です。

  これは私がリードした、アイスクライミングでの支点の配置です。2ピン目と3ピン目が近いのが分かるでしょうか…。

今打たないとどうなるか?安全か?危ないか?は、自分で打ちながら、リードしていないと分かるようにならないような気がします。

セカンド(ビレイヤー)でも、きちんとしたリードクライマーのリードの様子を見ていれば、身につくのかもしれませんが…。考えていないビレイヤーだと、「もうそろそろ取らないと危険だよ」と下から声をかけることがビレイヤーの義務と気がつかないかもしれません。

■ 2006年の最新アルパインクライミングに…

『最新!アルパインクライミング』にこのような記述があります。

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いわゆる「ロープを流して止める」制動確保は30年ほど前までは、ビレイの鉄則だった。

それは、ビレイ方法も「肩がらみ」だったからという前提がある。

中略

70年代前半~中盤で、おりしもビレイは「グリップビレイ」そして「エイト環」と大きく変わりつつあり、さらに現在のビレイデバイスが登場するにいたって、確保方法はロープを瞬間にロックする「静的確保」(スタティック)へと決定づけられたのである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『最新!アルパインクライミング』が出版されたのは、2006年と、16年も前です…

2006年の30年前は、2022年の46年前。グリップビレイは、1970年代の技とすれば、もはや50年前の技術です。

スタティックに取るようになってから、すでに50年もたっています…(溜息)

2022/01/03

事故をわざわざインバイトするような姿勢vs実力の見せつけ

 ■ 事故を招くような姿勢と実力の見せつけは違う

実際、正直に言えば、私も台湾の龍洞で5.2の看板ルートをカムで登った時は、けっこうランナウトさせましたし、小川山の有名なクラックでカサブランカというのがありますが、上手なクライマーはカム4つくらいだったりして、同じ課題を登るのでも、”そこらの初心者と違うのよ”とアピールするクライマーは当然います。

カサブランカを例にとると、ここは、クライミングガイドの人が初心者にリードさせるのに使うルートでもあり、その際は、自分はフィックスロープにぶら下がって、リードクライマーが設置したカムがきちんと決まっているか?をガイドがチェックしながらリードさせる、というルートです。カサブランカは、少しフレアしていてカムが決まりにくいからです。

同じリード&ノーテンションで登るにも、

・初心者は、ガイドがプロテクションをチェックしてから…という念の入り用

・ベテランは、カム4つ

そんな質の差があります。ベテランは、4つでも、危なくない配置で登れる訳です。実際一本目をできるだけ高くに取れば、4本のランニングでもかなりの高度が稼げます。1本目が6mの高さにあれば、2本目は4m離してもよく、3本目は6m離しても良く、4本目は14mくらいは離してもグランドフォールはしなくなります。(ロープの伸びを大墜落30%、テンション10%として、30%で考えると)

たぶん、一般には、3m、2m、4m、7mみたいなのが普通だとは思いますが…。ただ、実際に、プロテクション間隔を非常に大きく取っても安全が確保される場合もある、というのは本当です。

全体のプロテクションの間隔に一番大きな影響を与えるのが1本目の高さで、もし下部が易しくて落ちないのであれば、できるだけ高い位置に一本目を取れば、間隔を大きくすることは可能です。

少し脱線しましたが、

ベテランがカムを節約で登る場合の実力誇示型のランナウトは、基本的に、安全マージンが大きいことのアピールです。10Aならカム4つでいいくらい、自分には安全マージンがある、というアピール。

つまり、楽勝さ、のアピール。

一方、事故を起こすタイプのアピールは、命知らず自慢…どれだけギリギリか?つまり、ゆとりがないか?ということなのです…

ゆとりがないことを自慢してどうするんです?

易しいところではセルフを取らなくていい、とかそういうアピールですが…。易しいところですらセルフが取れないゆとりの無さ、ということになってしまいます。

■ お前、階段、何段飛べる?

小さい男の子たちは、仲間内の序列を作るのに、自分が恐怖を抱く対象にどれだけ近づけるか?ということで順位を付けたがります。

小学校で、階段があるとしましょう…

お前何段飛べる?と、どの段から飛べるか競争が始まってしまうのが男の子の性質です。

ある子は5段、ある子は6段飛べました…

誰にも飛べなさそうに見える10段… それを誰が飛ぶのか? 皆がかたずをのんで見守る中、俺が行く!と飛んで見せる…

…と、たとえ、そのトライで失敗し、怪我をしたとしても、その場にいる男の子全員から敬意を集めることができる。

…というのは、男の子の世界では当然のこととして、知らない人がいないようなことでしょう… 仲間のほかの誰もが、勇気がなくて踏み出せなかった一歩を踏み出した一人として、問答無用の尊敬を集める。

しかし、女の子の世界では、最初から怪我をすると分かっていて、なんで飛ぶのか?意味が分かりません。

周囲の男の子たちが、たとえ、怪我をしたとしても、飛んで見せた男の子を尊敬する理由もわかりません…女の子には、ただ仲間からの注目を集めたいがためにやっているようにしか見えないからです。

失敗は失敗にしか見えず、勝ち目のない勝負に出るのはただの馬鹿にしか見えないのが、現実に生きる女の子の世界観です。

クライミングで生き残るのは… たぶん、後者です。アレックス君のフリーソロがどれほど分厚い安全マージンのアピールなのか?ということを理解したほうがいいですね。

イチかバチかではなく、徹底した自動化の勝利、ということは、普通にクライミングをやっているクライマーなら、100発100中の自動化が起こるまで、登りこんだという自動化のすごさにびっくりしてしまうと思います。





2022/01/02

現代の日本のフリークライミングの岩場で、事故を起こさず登るには?

■ 外岩デビューする人工壁上がりの人へ贈る言葉

私は山梨で、初心者時代を過ごし、山梨時代に、このように教わりました。

 1)外岩では、3ピン目を取るまでは、決して落ちてはいけない

 2)マルチでは、2グレード下しか取り付いてはいけない

 3)本ちゃんの残置支点を信用してはいけない

この3つを守るだけで、九州での事故は、ずいぶんと防げるのではないかと思います。

■ 解説 3ピン目

日本の岩場では、ピン間隔が、”開拓者のリーチ”や”岩の形状”、”習慣”というような事情によって長短があります。背の高い人にとって安全でも、低い人にとってはヌンチャクがかけれないことがある、ということです。

昔はリングボルトを一個打つのに1時間とか30分とかかかったそうで、そんなに時間がかかるのであれば、落ちそうにないところでは打たないで、本当にヤバくて落ちそうなところでだけ打つ、という方針になってしまいます。

うち替え、となると前に打ったところに打つ、というのが最も安易な作戦ですので、ボルト間隔というのは、一回決まったら、変わらない傾向があり、そうなると最初のリングボルトの時の配置を、延々と受け継いでしまう可能性がある、ということです。

一方、人工壁のフォールファクターは、つねに1になるように設計段階で、設計されています。つまり、人工壁では1m置きにピンがあるくらい、非常にピン間隔が近いです。そのため、多少下手なビレイヤーにビレイされていても、あるいは、観客を楽しませるために、ロングフォールで落としても、特にクライマーには問題がないようになっています。

また、人工壁ではギリギリに迫り、落ちるまで登るのが上達のための秘訣であり、指力や握力、腕力をセーブするために、気軽に墜落する、というのが、ごく普通の行動様式です。最後に、人工壁の支点は強度がメンテナンスにより保証されています。

ですので、人工壁で登っていたクライマーが、人工壁での行動様式で、外岩に行くと、大事故につながってしまいます。人工壁並みの支点強度もなく、ピン間隔も遠く、フォールに対する安全も保障されていないからです。

ビレイヤーもクライマーも、行動様式を変えねばなりません。

一般にフリークライミングでは、1ピン目を取ったら、どこで落ちても、キャッチしてもらえると期待できるのが、基本的なセオリーではありますが、現実の岩場では、そのようなつくりには、なっていないことのほうが主流です。

1ピン目までの距離より、2ピン目までの距離が長い課題も、ままあります。2ピン目までより、3ピン目までが遠いことは稀だと思いますが、ありますし、その上、支点脱落という可能性はありえます。

ので、クライマーもビレイヤーも、3ピン目を取るまでは最大限に警戒して、落ちない登りをするべきです。特に屈曲しているルートや、出だしでかぶっているルートでは、落ちる距離の見極めが難しく、3ピン目までは落ちてはいけない、というよりも、初心者時代は、そうした屈曲したルートでのリードは、最初から避けたほうが良いです。

初心者のリードに向いた課題は、

・ほとんどまっすぐで、

・下部が易しく、

・3ピン目以上で高度を上げてから核心がある、というようなルートで、

・支点強度がしっかりしているもの

・ビレイヤーとのコミュニケーションがとりやすいもの

・ビレイ位置が安定しているもの

です。

私は易しくても、大きく屈曲して、ビレイヤーとコミュニケーションが取れないようなのは、避けています。ビレイヤーの立場になると、ロープをどれだけ出してあげたらいいのか?見えなければ、判断のしようがないからです。

■ 解説 マルチでの行動様式

マルチピッチでは、さらに中間支点のメインテナンスがショートよりも困難です。

マルチでは、2グレード下の課題(ルート)にしか取り付いてはいけない、というのが、山梨で教わったことです。これは、最初からこう言われていました。

というのは、ロープワークの雑さなどで、時間がとられてしまうと、結局のところ、登攀にかかる時間が取れなくなるなど、別の要因が遭難のリスクにあるからです。

マルチピッチでは、シングルで登るショートと比べ、ダブルで行くべきか、シングルでいくなら、何メートルのロープを使うか?なども考慮しないといけません。

ルートの屈曲があれば、敗退に関する事前知識も必要になります。すぐやーめた、と出来るショートと比べ、クライミングムーブだけでは解決できない要素が増えます。

ので、クライミングがアップアップでは、それらの要素に対応ができないため、2グレード下にしか取り付かない、というのが、山梨で推奨されている安全マージンの厚み、でした。

私自身、小川山のマルチピッチは、”春の戻り雪5.7 3P” をつるべやトップで登っていますが、実際のショートで登れるグレードは、5.9がオンサイトレベルです。(11AはRPレベルです)

■ 解説 残置を信用してはいけない

これは、九州では、本チャンマルチとゲレンデマルチの区別が非常にあいまいです。

山梨だと、ご近所の山、太刀岡山左岩稜は、ゲレンデ、と理解されています。本チャンとは考えられておらず、本チャンといえば、前穂北尾根とか、です。

ちなみに私は、明神主稜、阿弥陀北稜、鹿島槍鎌尾根、立山真砂尾根にも行っています。行くだけに一日かかりそうなロケーション=本チャン。

九州では、山が道路から近すぎて、どこからが本チャンで、どこからがゲレンデマルチなのか?よく分からないのですが、どちらに区別するか?は別にしても、

山にある残置支点を信用してはならない

と考える方が安全です。

私は残置を信頼してはいけないと教わりました。ハーケンやリングボルトを信頼する人はいないと思いますが、カットアンカーでも、それが20年もたっていれば、同じレベルです。いくらペツルのハンガーが付いていても、ボルトがカットアンカーだと材質違いで、コロージョンの可能性もあります。

残置に足を掛けて、墜落しても、ヘリレスキューになっても、山梨では、「だから言ったでしょ」と言われることになります。誰も同情はしてくれません。残置を信用するほうが悪い、ということになっているからです。特に、山にある残置はそうです。

日向神は、山なのか?ゲレンデなのか?と言えば、私にはゲレンデと思えますが、マルチを開拓してくれた開拓者にとっては、遠くて”山”なのかもしれません。

比叡になると、もっとややこしく、福岡のクライマーにとっては、せーの!で行く山の方に入ると思いますが、実際は、徒歩30分とかで歩きの要素はほとんどないので、ゲレンデのように感じられてしまうかもしれません。

八面も山登りはほとんどしないで、むしろ、崖を下ってアプローチしますが、山登りをしたことがない人にとっては、勾配が急で、一仕事片づけてから登る、みたいな運動量に感じられる人もいるかもしれません。

というので、ゲレンデと本チャンの区別がつきづらいため、日ごろボルトをたどって登る、その感覚の延長で、信頼できない残置支点をうっかり信用してしまう、ということが起きやすいのが、九州のクライミングの特徴のような気がします。

なにしろ、関東で、ゲレンデと位置付けられている三つ峠や越沢バットレスと、前穂北尾根や滝谷を間違う人がいることは考えにくいです。

しかし、九州ではルートグレード五級下の本チャンルートが、徒歩30分のアプローチの行縢にある、みたいな状況です。

間違いやすい。

本州でも、ボルトを見れば、スポートルート、という通念が出来てしまっている、最近のスポートルート専門クライマーから見ると、アプローチ6時間の山でにボルトがあったら、間違わなくても、アプローチ30分の山にあるボルトは、すべて安全に見えてしまう、ということもありえます。

ここは、用心をみて、山にある残置支点を信頼してはいけない、と考えるのが、より安全でしょう…。

 インスボンは本チャンなのか?ゲレンデなのか?どっちなのでしょう…?冬季登攀がないルートは、ゲレンデなのか?ボルトがあるルートはゲレンデなのか?携帯電話が入ればゲレンデ、という説もあり、有力です(笑)。より安易にリスクを冒しやすいという意味です。


2022/01/01

2021年の学びとHello2022

 ■2021年の学び

2021年を一言で、表現すると、”不思議なプレゼンシング” でした。

というのは、

 1)日向神でローカルクライマーの会が、トイレ募金のためとはいえ、結成された

 2)八面でローカルクライマーによるリボルト基金が結成された

 3)竜頭泉でリボルトが進んだ

と、因(=九州のボルト状況を改善したい)が、縁(=そうしたいと思ってすらいない人たちを動かした)ということになり、成果として実ったからです。

メディエイター、もしくは、マッチメイカーとして躍進した年でした。

なんだか、狐につままれたような…不思議な気持ちです。

今までのプレゼンシング…日ごろの練習が本番で結実するという定番のプレゼンシング、とは、異なる形で現れ、特に八面の件では、ローカルクライマーをまとめてくれた池田さんの立場からすると、トバッチリというか、もしかすると、ご本人はしたくないのに、音頭取りをせざるを得ない立場に追い込まれたかもしれず、あちゃーとは思っていますが…。

かといって、地域行政としても、ローカルクライマーへのリボルト進展としても、全面的に良い方向に向かい、問題に向き合い切れていなかったローカルがついに問題に向き合った事例になりました。

なんか背中を押すというか、スイッチを入れるというか、追い込んだような成り行きになり、申し訳ない気はしていますが、たまたまそういう配役になったということです。天の采配。

それに、ボルトがぼろいとか、適切な施工でないのは、私のせいではないですしね…。

この八面での、アクションの成功のキーは、

 ”行政への知識シェア” 

です。一般的に観光局の人は、クライミングに無知であることが多く、クライミングについて、あまり深く知らないことが多いです。行政の方たちにクライミングを知ってもらう、というのが一番大事なことです。 

ということで、成功のカギは、

 ”行政の人が地域おこしにクライミングを使えたらいいなと思っていること”(=土壌) 

 ”行政の側がクライマーたちが自己利益誘導に走らないで、地元の住民の利害に反する行動をとらないことについて信頼感があること” (=信頼関係)

の2点です。平たく言えば、信頼関係。

地権者の許可を取らず、勝手にボルト打つとかそういうことをしない、ということですね。それをやってしまうと、マイナスからの出発です。

八面の件で言えば、最大の功労者は、池田さんだと思います。池田さんが、労に見合った報われ方をすることを祈っています。

■ in pipeline

パイプラインには、延岡市が入っているような気がします。私は椎葉村に自然農で移住したかっただけですが、なぜか日之影と接点が出来てしまいました…。

神は誰を救おうとしているのか?と考えると、それは、私ではなく、ノーマットのクライマーの方だろう…と思います。

■ 向き合っているほど成功

大分八面、福岡八女、長崎竜頭泉、の3つを比較すると、本来あるべき姿に返ろうとしているのは、八面だけです。

きちんと岩場と向き合い、責任を取ろうとしている姿勢は素晴らしいです。

一方の日向神はトイレ募金なので要進展です。ボルト基金設立こそが、早急に必要そうな岩場です…本来やるべきことは。そうもいかない事情があるんでしょうね。日向神は元々が、エイドの岩場なので、開拓者が山ほどいますし、エイドで開かれた岩場=ショートでもランナウトしがち、です。もともとのムーブの整合性でボルトを配置しているわけではないからですね。

竜頭泉のリボルトは、ローカルクライマー出資ではないような気がしますが、九州内で長崎だけは、”長崎フリークライミング協会”が機能しているので、長崎は長崎独自のフリークライミング協会に発展するのが良いのかもしれません。

■ Hello 2022

2022年は、クライミングはお休みの予定です。

膝の亜脱臼は、いまだに良くなっておりません。

こないだ、バスに乗り遅れそうになり、走る機会があったのですが…アスファルトの平地を走るのは無理でした…膝、痛くなります。

私は、下山がとても速く、下りは大得意なのですが…特に雪の山では、転んで怪我する恐怖がないので、多少の傾斜でも走って下れるのですが、それはしっかりした膝があってこそ…。

もう私には富士山を走っておりる、はないのだ…と、失った身体機能と失った喜びの大きさに悲しくなりました… 登り6時間でも下りは2時間で降りれた富士山…そんな逃げ足の速さは、私にはもうない、ということで、ますます山でもリスクがとりにくくなりました。

ごく普通のクライムダウンをボルダーでしただけで、失ったのは、クライミング自粛期間という時間だけでなく、身体機能と、山の安全の根拠だった下山での強さというわけです。

差し出した代償は大きい。

回復についても、コツコツとチューブ筋トレしていますが…あまり効果を感じていません。

専属のトレーナーにもついてみましたが、価格に見合うだけの効果を感じられなかったです。

■ もしかしてコツコツ努力派かも?

私は努力をしているときに努力している風なことをしたことがないのですが…がり勉ということですが…

しかし、振り返ると、小学校のころからNHKラジオを聞いて独学で英語を習得しており、いわゆるイメージ通りの毎日欠かさず、何かを続けるというのではなくても、実際はコツコツ努力するタイプである、ような気がします。

なにしろ、第二外国語というのは、そうでない人は習得できないような気がします。

振り返ると、仏教説話も聞ける日は毎日聞いており、すでに365日は過ぎた気がしますし…。

コツコツと努力をする、という努力の対象は、クライミングには今は向けれないので(膝の関係で)、他のことに向ける時期。

クライミングは、自然と接することによるネイチャーセラピーとしての雪山からの一つの昇華の形として、大事にし、普段はネイチャーセラピー路線で行きたいと思っています。

      プレゼンシングしたらすごい良いだろうと思える岩場…天狗岩@五木




2021/12/31

ビレイ講習のお知らせ

以下引用です。

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年明けておこなわれるビレイ基礎講習の要項が出来上がりました。

これをもとに、参加者のレベル、参加者数等を考慮して内容を少し変更して行くかもしれません。

この機会に、自分のビレイに問題点がないかどうか見直し、更新をしては如何でしょうか?

参加者数は20名を上限と考えてます。

まだ、若干の空きがありますので学んでみたいと思われる方は、DM等で連絡を願いします。参加資格は設けておりません。

よろしくお願いします。

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登山ガイドには、体重が必要

 ■タイトローピング

私は、積雪期ガイドステージⅡの筆記と実技は合格しているのですが、やる前から、嫌だったけど、やってみてホントに嫌というより、こちらが迷惑って感じなのが登山ガイドの仕事だと理解し、取得を取りやめました。

というのは、実技の内容、タイトローピングなんです。ショートローピングとも言います。

これは、お客をロープに繋ぎ、転びそうになる前にロープで支えて転倒を防ぐという技ですが、私は体重が50kg行かないくらいですので、ほとんどのお客さんは、自分の体重以上。

そんな人が転んだときにロープでつながっていたら? 巻き添えに合って、こちらも墜落決定です。

自分がコケて、自分で落ちて死ぬのは当人の責任だから、仕方ないと言えばそれまでですが、人のに巻き込まれたら、ましてや、あらかじめ支えられないと分かっているのにロープでつながっていたら、もう最悪ですね。

■ 一般登山者の体重以上じゃないと支えられないですよ

登山というのは、誰でも出来ること、と思われていますが… 重力を上に持ち上げることなので、向き不向きがあり、やはり、太っている場合は、その人が持ち上げなければならない体重が余分なので、とても不利です。これは、筋肉量と相殺で、体が大きくても、それが筋肉で推進力であれば、問題ないわけです。

ところが、ガイド登山になると、転落・滑落の防止を本人の登攀力ではなく、ロープ、で保険を掛けるわけですね。

クライマーがフリーソロするときは、ロープの保険がないので、2グレード下げないとフリーソロ出来ないです。

が、一般登山道で出てくるようなところは、フリーのクライマーであれば、例えフリーでは初級のクライマーであったとしても、登山者としてみたら上級者なので、楽勝で越えられます。

よく登山道で、〇〇キレット、とか、トサカ〇〇、とか、〇〇の戸渡り、とか、怖い名前が付いているところです。

登山者は歩くだけですが、歩くにも、スキルというものがあり、山ヤ歩き、は山慣れしている人を見れば分かるし、沢では、忍者歩き、みたいな感じです。雪稜では、足をクロスして歩くクロスレッグなどのテクもありますし、沢の高巻きで出てくる歩きは雪稜の急なときと大体同じで、使っているテクはㇵの字歩き?アイゼンの爪を全部効かせる系のです。

そういうそれぞれのテクを習得する=登山者 習得しない=ガイド客

ということなので、ガイド客というのは、そもそも墜落しそうな気配が濃厚な人…にロープをつけていたら、軽いガイドであれば、ガイドが巻き込まれて墜死する率が高くなります。

たった3万円の日当で、割に合わない仕事ですね?

というので、私はそんな目に遭うのは嫌だと思ったので、実技&筆記合格で、留め置いていますが…

この事情はそもそも、他の男性ガイドも同じだと思うので、連れていくお客さんの体重を制限するか?あるいは、ガイドとなる資格の中に、平均的体重があるか、どちらかが必要です。

現在はどちらも軽視されており、ガイド本人の命がけ度が高まっているような気がします。

なんせ、いくら自分が落ちない人になっても、人が落ちる可能性というのはコントロールできませんから、なんだかなぁ…と思っています。

山田哲也さんのガイドサイトには、80Kg以上の人お断り、と書いてあったと思います。



海外ではトップクライマーのオンラインコース創設が加速中

こんなお知らせが回ってきました。

海外では、アレックスオノルド君とトミー・コールドウェルがオンラインコースを作っていましたが、ヘイゼルもオンラインコースを作るのだそうです。

どうせ学ぶなら、トップレベルクライマーから教わったほうがいいですね。40年、50年前の技術を学ぶより。スマホの時代に、黒電話を教わっても仕方ないわけですから。

日本のトップクライマーもオンラインコースを開催してくれたらいいのに。

何しろ、日本人はトップクライマーの言うこと以外聞かかないですよ?


 恐怖は指の強さよりも登山者を背負っているが、精神的なトレーニング対身体的なトレーニングに集中している登山者がどれくらいいるか? 現時点で、コーチのクライミング業界は、クライミングの恐怖を管理する上質な情報に敬意を表してコミュニティを大量に抑制しています。

プロのクライマーとして、コーチングとクライミングを常に両立しています。つまり、多くの人にしか届かないということです。 人々を遠ざけることは機会を逃したように感じるので、私はコーチングでより多くの人にリーチするための選択肢を探求しています。
それで... もうすぐオンラインコースが開かれることを発表することにとても興奮しています!
最もサイクルな人々がコースにスポットを当てるようにするために、私は早起きのウェイティングリストを作りました。