上記のような状態も含め、分かっていない人を助けたいという気持はあります。
それは、かつての自分がいるから、というだけで、もっとわかりやすく説明しといてよ、みたいな気持ちがあるからだけで、その人たちに共感しているわけではありません。
なんで、みんな命がかかっている事なのに、そんなに勉強不足で気がつかないのかな?くらいは思っています。
上記のような状態も含め、分かっていない人を助けたいという気持はあります。
それは、かつての自分がいるから、というだけで、もっとわかりやすく説明しといてよ、みたいな気持ちがあるからだけで、その人たちに共感しているわけではありません。
なんで、みんな命がかかっている事なのに、そんなに勉強不足で気がつかないのかな?くらいは思っています。
■ 当然、墜落ですね
落ちるのが嫌なクライマー、ということです。
落ちるのが怖い、と、甲府のジムピラニアで訴えると、「怖いほうがいいですよ」という返事が返ってきます。
■ 最初のころはバンバン落ちていた
私は人工壁クライミングは、山梨アルパインでスタートしました。甲府の公の人工壁は、可動式で、45度の傾斜で11aからしかないので、それを傾斜15度にして、10aとみなし、それが3往復できるようになってから、外岩にデビューしました。毎週2回、クライミングのためではなく、ビレイの習得のために通いましたが、私は登りだしたころは、3mくらい上の最初のハングの核心部で落ちていたので、そこで落ちるのは、まぁいつものこと、くらいの状態でした。3mの人がトップアウトできる筋力が付くまでも3か月くらいはかかったと思います。
ですので、最初から墜落を怖がっていたクライマーではないのです。ただ、多くの人工壁クライマーがビレイを分かっていないことを理解していく中で、恐れるようになっていきました。
基本的に人工壁では、バッツンビレイが嫌です。私は軽いので、壁にたたきつけられることが多いのです。
■ 落ちないクライマー
落ちないクライマーとして、甲府時代は歓迎され、その後、九州に来て、見慣れぬ支点を見ている間に、D助さんのおかげで、支点強度の問題を学び、さらに落ちることを回避するクライマーになりました(笑)。
それでも、組みたいな、と思った人のビレイの時は、ビレイを確かめる意味でも、終了点間際のいいなと思ったところで、一度は墜落して見せるようにしています。
■ 根拠のない恐怖は持たない
私は、リーズン、つまり、理性で恐怖心を回避できるタイプです。
根拠のない不安…例えば、セルフをしっかりとっているのに、懸垂のセットで焦る、とか、そういうのはありません。これは不思議と最初から、パニクらないタイプでした。
ある時ハンギングビレイしていたら、同行者が、「よく支点にぶら下がる気になりますね」と言いました…が、それ、自作のビレイステーションなんです。その支点が信頼できないなら、もう登れないっていう話なので、はてな?と思いました。
彼女は全く支点構築もロープワークも学ぶ気がなく、誰かにやってもらいたいというタイプでした。それでも最年少でアコンカグアを登ったそうで、その話を聞いて、歩くだけの登山に対する憧れは、あっという間に吹き飛んでしまいました…。誰かがタクティックスを組み、自分はそのタクティックス通りに登るだけ、必要なのは強い肉体だけという山=アコンカグアという山だ、と分かってしまったからです。その人の理解がぜんぜんだったことから。
なので、その時点で私にとっては挑戦でもチャレンジでもない。お金を払う価値を見出せないと感じました。
■ 克服する方法
まぁ、夫にビレイをしてもらうことでしょうね。
夫しか、信頼できる人がいないからです。
しかし、夫の元君は、そもそも、冒険に最悪に向いていないというか…。先取り思考ということができない、次の一手を想定する、というのが、苦手みたいです。
夫とは山には登れない兆候が、普通のハイキングのころからありました…。例えば、ハイキングの山であっても、尾根を上がり切って稜線に出ると、突然風が強くなるのは、誰でも知っている事です。風上に登るからですね…そのようなリスクが、自然と山を登っていくと分かってくるものですが…夫の元君は、だんだんと分かっては来ない。突風にさらされる前にジャケットを着るのが山やの定番の行動ですが、尾根の終わりが近づくと、”わーい”とむしろ、風の中に飛び込んで行ってしまうのです。これも本人の経験だから…と教えないでいると、そのままの行動を続けてしまいます。
ので、残念ながら、あまり高度な山は彼と行くのは、彼本人が危険になってしまいます。
ビレイというのは、責任感が必要な立場なので、彼には荷が重すぎる責任かもしれません。
■ 墜落対策
私は、一度、1ピン目を取った後で落ちて、その後キャッチしてもらえなかったためにグランドフォールしています。
その日のことを回想すると、トップクライマーの南裏さんが講習会講師として来ていた岩場に、誘われて、見学がてら行ったクライミングだったのでした。
連れて行ったクライマー君は、みなから回避されている人だったらしく、本人も乗り気ではなく、仕方なく来たようで、しかも、南裏さんと面識があり、会いたくない人に会ってしまった…ようでした。
私の方の事情としては、そこのリードは4回目で、いつも1ピン目を取った後、左に行くところを、飽きていたので試しに右に行ってみたのでした。そこで落ちたのですが、岩のコンディションもこの日は悪かったようなのです。ぬめっているということです。
トップクライマーですら、10bでテンションかけていたので、それが気まずくて、岩にとりついたのでしたから…。10bテンションを見たときに、あ、今日はぬめっているのかも?と気がつけばよかったのです。
この日の反省としては、ヘルメットをかぶっていなかったことです。いつもかぶっているのに、なぜか、この日はかぶっていなかった。ヘルメットで防げた事故でした。
また、この日連れて行った相方は、初めて使うクリックアップを、これまた初めて組む私のビレイで使ったのでした…。初めての二乗は、危険です。
なので、私はクリックアップは嫌いです(笑)。そうです、ただの八つ当たりですが、グリグリのほうが安心だな。
■ 徹底的な墜落練習
私自身にも言えることですが、初心者は無知なので、人工壁でバンバン落ちている人の落ちている理由は、無知、かもしれません。
私も、人工壁でデビューしていたころは、バンバン落ちていたので。
それができなくなったのは、いかに人工壁ビレイヤーのビレイが分かっていないビレイなのか?を理解できる知識がついてからです。
余談ですが、白石アシマちゃんもお父さんに落とされていましたよね。
■ 外岩で落ちていいのは3ピン目から上
人工壁で落ちても、外岩では落ちてはいけない、というのは、山梨では、特に強調して教えられていました。
3ピン目を取るまでは決して落ちるな
というのが山梨県では標準の教えのようでした。ボルトは普通にグージョンであってもです。
■ 下部核心を避ける
初心者に、下部核心のルートをリードさせる、というのは、とくに避けられていると思います。
ある程度、見識のあるリーダークラスの人であれば、その地域でどの課題をどのような順番で登って行けば、脱初心者でき、独り立ちしたクライマーとして全国の、あれやこれや、が含まれる岩場に送り出せる状態になるか?というのは、頭に入っているものだと思います。
私も山梨方面であれば、自分が教わった順に後進を育成していくということなので大丈夫ですが、九州では、その辺りが良く見えないです。
■ グレードの厚み
また、グレードピラミッドについても、山梨では、あるグレードを4本登ったら、次のグレードに進んでいい、という風には、全く思えません。
九州では4本で次、と言われましたが、みんなほんとにそうしているんですかね?それじゃ、クライミンググレードが上がっても、あれやこれやが分かっていないクライマーが出来てしまうわけですね…。
ちなみに、小山田大さんは、ボルダラーですが、ある一つのグレードがしっかり分かるためには40本、と書かれてる記述を見たことがあります。
■ みじかしい系
”みじかしい”というスラングが、クライミング界にはありますが、九州ではあまり聞きません。
大体のクライマーは、5.8でリードデビューすると思います。
初めてのリードは、成功体験を摘ませるためのもので、慎重にルートも選ばれているハズで、かなり落ちるリスクがないものが選ばれているハズなので、この段階でテンションしたり、リードができないクライマーは、もうその次、というはないかもしれません。
で、めでたく検定に合格したら?その次に取り付くのは?
当然ですが、長い5.9です。なぜなら、長い5.9が、5.9とグレーディングされている理由は、ムーブは5.8だが、長いからその分の困難度をプラスして、5.9だからです。
その後、短い5.9に進みます。つまり、みじかいがゆえに、難しさで5.9が付与されているルートという意味です。
同じように、長い10A、短い10A、長い10b、短い10b…と続くことになります。
さらに言えば、スラブ、フェイス、クラック、ワイド、フィンガー、ハング、と色々と取り混ぜて成長していくものなので、10A時代というのが、そんな早々、簡単に終わるはずがないのです。
まぁ、これは岩場資源が豊富だから出来ることで、岩場が一つしかなければ、その岩場でグレードを上げていく以外ないわけですから、贅沢な育ち、と言えるかもしれませんが。
そのようなバラエティの豊富さをもって、クライマーを育成するというのが、”5.13が登れるのに、インスボンの(あるいはヨセミテの)5.8で落ちるクライマーを育てない”、というポイントです。
まぁ、私はそのような贅沢さを享受できる立場には、今はいないので、苦手克服は、先延ばし系です。
まぁ、気が向いたらボルダーか、TRフィックスで一人登りをしていれば、墜落はしないで済み、登攀力も上がるかもしれませんが、なかなかそれは起きそうにないです。
クライミング以上に魅力がある活動は世の中たくさんあります。そういう風に割り切って考えれることは、強みかもしれません。
余談ですが、アドレナリン・ジャンキーというのは、誰にでも起こりうることで、クライミング以外の活動を粗末にしていくようになると、危険な信号のように思います。
とくに岩登りをスタートして、2~5年以内では、強い傾向があると思います。その頃は、まだリスクとクライミングの喜びを冷静に天秤にかけられるほどは、クライミングのリスクについて、知識が溜まっていないからです。
つまり、無知が原因で、天秤にかけるリスクと喜びでは、喜びが大きい、ということです。
これは、師匠が、「きぬちゃん、クライミングは知れば知るほど怖くなるんやで」と教えてくれました。私がインスボンのピンの遠さを指摘したからです。したがって、リスクを指摘した時に、そんなリスクは大してことがない、という人は、師匠とするのには微妙です。
先人の先人足るゆえんは、新人より的確にリスク判定できるから、というのがあ、師匠と崇めるべき理由で、それ以外に年配の人を尊敬する理由はないからです。
師匠の経験による判定に寄れば、私のスキルレベルの人が人気ルートのショイナードなどをリードするためには5年程度の修行が必要だそうでした。これは、別の先輩が12へ行くのに10年くらいかかったことを考慮すると、納得ができる数値かもしれません。
ちなみに私がインスボンでのリードを希望していたルートは、リッジ登攀の初心者向けコースで、デシマルレベルのルートではありません。
念のため、5.12が登れる人をインスボンで師匠と組ませてみましたが、その人もスイスイリードとはいかなかったようです。インスボンだけでなく、ヨセミテのクライミングにも言えますが、花崗岩登攀は花崗岩特有の、その岩場特有の個性を深く知る必要があるのです。普段、12登っているから大丈夫、とは言えないということです。
私が思うには、おそらくクライマーというのは、各岩場、固有の個性を知ることを楽しいと思える人、です。そうおもうのは、私が雪に取り組んでいたころは、雪の特性の理解につとめていたからです。谷川と八ヶ岳では、雪、の意味は全く違います。
私は、インスボンとラオスの石灰岩を比較すると、ラオスの石灰岩が、私の今のスキルのレベルで、楽しくスイスイ登れる選択になるので、そちらの方が好きです。
落ちても、被っているので、びよよんと宙にぶら下がるだけになりますし。落ちることを考えるとスラブより、オーバーハングの方が当然ですが、安全です。
日本には、このような現代的な岩場はないので、出来たらいいな、と思っています。
■ 長女キャラ
もともと、長女で親のコントロールが強い中で育ったので、顔色を窺って相手に気に入るようにふるまうというのが、デフォルト設定です。
全体の中を見渡して、素早くリスクを拾うとかも得意です。
■ 客観性
私は後立でバイトしていたのですが、遠見尾根は、7時間とコースタイムにあります。私は4時間20分でした。当時。若い男性は3時間半で登ってきます。これらを総合して、コースタイムの方が改ざんされている、と気がつきました。
『山と高原』の地図が作られた当時のメインの登山者は30代男性、”標準”コースタイムは、30代の男性がテント泊装備を背負ったケースで想定されていたそうです。一方、現代のメインの登山者像は65歳で定年退職した高齢者とか、オフィスの仕事でめったに運動しない都会人とかです。
そのようにメインの登山者像が変わったので、標準コースタイムを倍に伸ばしてあるのです。
決して私が優れているわけではないです。
ある日、午後から雷の予報でした。私は遠見尾根4時間半で歩けるので、当然8時には登山口に立っている予定でしたが、登山したことがない小屋バイトが今日入山するというので、一緒に登ってほしいと事務所に頼まれ、なんと1時間も待たされました。
もう、その時点で今日は最悪の日になると分かっていました…。実際、初めて登山する人が歩くには遠見尾根は大変すぎる登山道なので、予想通り小屋入りは15時。雷に稜線で遭遇し、私の脳裏には、西穂でバタバタと学生が落雷で死んだという遭難事故の記録が蘇りました… 雨の流路をたどって電気が流れるので、水たまりを避け、いつでもハイマツに逃げ込むつもりで歩き、小屋に入ったら、寝込みました…。いや~、最悪の山だったなー。
■ 山岳会のリーダーが持つ連れて行ってあげたい症候群リスク
後は、鎌ナギが最悪の山でした。なんせ連れて行った人が、標高差300mを1時間で歩けないおじさんを含む中高年パーティでした。鎌ナギに着くと、底巻きしないといけないのですが、標高差1700mを底巻きって丸一日別の山を登るのと同じことです。
その上、私とリーダー以外のメンバー5人は、懸垂下降もそこで初めてするのです…。一人が懸垂のセットに15分かかっていたら、5掛け算すると、それだけで1時間以上かかります。そこで無理です!とすぐに声を掛けたのですが…。リーダーは、「それはあなたの意見でしょ」と怒るし…。
一般に登山しかしない、フリーのレベルを味わっていない往年の登山リーダーは、リスク認知が甘く、クライマーが一人いるだけで、その突破力で、すべてが解決できるとバラ色の戦略を考え勝ちです。この時も鎌ナギを底巻きではなく、リッジ登攀で乗り越えて行けると思っていたようでした…私がクライマー役で。
鎌ナギは、超脆い、ただの泥尾根なので、プロテクション取れません。5.13が登れる地元クライマーでも、底巻きで回避して通過しているようなところなのです。脆い場所は、どんな優秀なクライマーでも安全には登れません。
というのは、前知識がなくても見れば分かるような鎌ナギでしたが…見ても納得してくれず、数ピッチ降りても納得してくれず。結局、時間切れでエスケープルートを取り、下山は夜になりました。
信頼されているリーダーでも、こうなってしまうんだなぁ…と良い勉強になりました…。
最初から、標高差300mを1時間で歩けない人を読図で行かねばならない山とか、懸垂下降が必要な山に連れて行きたいという親心…?が、危険だなぁと思っていました。
昨今、山岳会は、人気がなく、人を集めるためにリーダークラスの人は、無理という初心者サービスをしがちです。著名な山、有名な山に連れて行ってやり、喜んでほしい、そして会に根付いてほしいという気持が強すぎるのです。そして、その無理をサポートしてくれる人を良いメンバー、と思いやすいのです。
しかし、もともと、”Aという山を登るために必要な最低限の登山者の能力”ということを登山者に求めないことが間違い、なので、本来は、その人には
「標高差300mを1時間で歩けるようになったら〇〇山に行きましょう」と、目標を持たせるように、声を掛けるべきです。
■ いきなり系
同じことがクライミングの世界にいえ、懸垂下降もまだ練習していないのに、いきなり野北の岩場に連れていくとか…。疑問が多いケースが多いのが、往年のクライマーです。
昔の人はエリートしか山に登っていないので、それでも何とか生きて帰って来れたと思いますが、現代でクライミングに来る人は、エリートというよりも、どちらかというと、ハラハラドキドキしたい、スリルを求めている人、のほうが主流派なので、そのような人たちは、当然ながら、リスク感度が低い人たちです。
リスク感度が低い人にリスクが高いことをさせれば、事故率は当然の帰結として上がります。
九州に関して言えば、特に文化的に、”向こう見ず”が、美化される文化土台が、九州にはあります。
九州男児
という言葉自体がそうでしょう。そして、大体、
・東京や都会に対するコンプレックス、および、
・女性が男性をたててくれるという甘え、
が、文化的基底にあります。
なので、なんにもしないでも、ハイリスクグループ。そこに、無知が加わったら、さらにハイリスクグループ。
というようなことに気がつくのが、得意なことで、それを活かせる立場は、これと言って見つからないので、ご意見番とかいうものかもしれません(笑)。
個人的に、事故統計を取りたいという思いがあります。私は、元々ソフトウェアのエンジニアで、バグをつぶすのを仕事にしていたことがあり、だいぶ成功体験があるからです。
■今日の仏教説話
プルフォアちゃんがほんとウザい…。注目されたい!かまってちゃんモード全開であった。終いには、仏教の暗記を持ち出して、別の参加者と、”どっちが上の仏教徒か?勝負”、まで勃発…。
この人は自分のプロフィール画像をアニメ画像にしているので、ホントに女性なのかも怪しく、プルフォアというのも偽名なので、全く正体を明かしていない。つまり、どこか後ろめたいところがある人、ということが予想できる。
とはいえ、寂しいために、ここのグループに来ている…ということは明らか。
とは思うが、良く付き合ってやってるなぁ、みんな…と思った。私は、いち抜けたーで、相手していない、決していいねもつけていない。
■ かまってちゃん=めんどくさい
この件を鏡にすると、私は、かまってちゃん嫌いというか、子供のころ、4歳の弟と2歳の妹が、母との別れ際にギャン泣きし、それを何とかするのは、私しかいないということがよくあり、それが根底にあり、”かまってかまって!”とアピールされると、ウザくて、逆に離れて行きたくなる…。
実際は、結局は、はいはい、と弟と妹を慰めたほうが速やかに事態は収束する…ということは、頭では分かってはいるのだが、なんだか6歳で心理カウンセラー役をやらされている感じで、心が納得できなかった。それこそ、
なんでやねん!
と6歳の子供心に思っていた…。なんでやねん!の理由は、結局、長女で一番大きいから、あなたしかいなかったから、というのが、理由なんだが。
それをしなくてはならない立場に立つこと自体が、ああ、めんど!というのが、6歳当時の私の本音でした。
ので、本音どおり、いち抜けたーと今日はプルフォアちゃんは、ほかの人にお任せして、他の人がほんとエライなーと感動していた。
■ フラクタル
同じことをクライミングでやっているかもしれません。
”なんでわたしやねん!”と、”ああ、めんど!”っていう心象風景が、そっくりそのままクライミングの中で再現されている…。
俺を立派な男にしてくれー(スゴイルートを登ったクライマーという評判をくれー)というニーズに、なんでわたしやねん!ああ、めんど!という思いをしながら、付き合ってやらねばならない状況に陥りやすい。
たぶん、男性の世界での、恩送りは、そのような中身なのだろう…
あるいは、分かっていないクライマーに分かるように解説するとか…。まぁ、こっちは実害はないから、いい。ブログを書くのは好きでやっていることだし。
■ ただ楽しく登りたい
私はね、ただ楽しく登りたいだけなんですよ。
ビレイヤーは誰でもいいんですよ、ビレイ技術さえちゃんとしてれば。
だから、海外では初見のクライマーと組んで登っています。
なんで、日本では、ただ楽しく登る、っていうのがそんなに難しいことなんですかね?
下手くそビレイヤーとだったら、落ちるところを登らないとか、グリグリを持たせるとかすればいいだけだし、
サクッと登れない難しいグレードをうんうんうなってハングドッグ2時間で登るより、一日10本くらい登れるくらいの難易度のルートをたくさん登ったほうが楽しいってクライミングスタイルが、なんで許容されないんですかね?
日本全国を見渡した時、
日本を代表する岩場
はどこか?と 考えるとこの地図が出てきます。
黒伏山▲
谷川岳▲
明星山▲
劔岳
八ヶ岳
甲斐駒▲
穂高岳
北岳▲
富士山
阿蘇山
大崩山、▲
比叡山、▲
行縢山 ▲
(上)に載っているのは、黒い▲の山だけです。つまり、九州では宮崎が、もっと正確に知名を言えば、延岡市が、岩場という意味では、代表的都市、ということです。
ちなみに甲府は、甲斐駒、北岳、のお膝元、です。
延岡市は甲府より、あんまり分かっていないと思いますが…甲府は一応、山岳資料館が芦安にあって、アルパインクライマーの加藤慶信さんという亡くなられた方の業績が書いてありました。延岡でそういうのは見たことがないです。市として、岩場の地位の高さを認識はしていないかもしれません。
ショートとボルダーは取り上げられていませんが、デカい壁があれば、ショートはそれを1ピッチだけ登ったり降りたりしているだけ。ボルダーは当然ですが、石ころを登っているだけ。
ボルダーからスタートした人だと、ショートであってもロープを使うフリークライミングにステップアップする際は、かなり大きな意識改革が必要です。そうですね、年に3分の1登っても、1年はかかるくらいでしょうか。もっと頻度が少なければ、もっと年数がかかると思います。
■ 昔の人と今の人では覚える順番が逆です
ショートのフリークライミングから、マルチピッチ(ビッグウォール)へ進むにも、かなり大きな意識改革、が必要です。
アプローチゼロ分のマルチ(ゲレンデ。つまりフリークライミングのマルチ)と、山のマルチ(アルパインのマルチ)は、全然違います。なんせ、前穂北尾根なんて、6時間の登山をこなしてから、やっとルートの起点に立つのです。一方、ゲレンデである比叡の白亜スラブは、道路から5分です。全然、スタート時の疲れ度合いが違います。
昔の流れでクライミングしてきた人たちは、山を大きくしてから困難度を上げる、という順番で、教わってきたわけです。登山→山のマルチピッチルート→ ショートのフリークライミング → ボルダー… 私も、この順番です。オールラウンドクライマーと言われます。大体、登山から入った人は、この順番ですが、インドアクライミングジムから入った人は、順番が真っ逆さま、です。
オールラウンドの反対で、その分野しか知らない”専門家”クライマーです。
そこが、”ビフォアクライミングジム時代のビギナー”と”アフタークライミングジム時代のビギナー”の大きな違いです。
■ リスク認知が違えば、実力認知の違いを生む
この違いが何を産むかというと、リスクの認識違い、です。
リスクの認識違いが何を産むか?というと、実力の認識違い、です。
このページは、行縢山の山野井泰史さんの開拓ルートです。「明日なき暴走」という名前のルートです。山野井さんは、日本を代表する世界的クライマーでもダントツトップの方です。だだのピオレドール賞ではなく、生涯功労章、を取った方。
”明日なき暴走”のルートグレードを見ると?五級下です。この本にあげてある代表的事例としての5級下は、穂高岳屏風岩緑ルート、谷川岳衝立岩雲稜ルート、丸山南東壁塚田=小暮ルート、です。
AA2は、アメリカンエイド、つまり、カムで、落ちたら、7m落ちる、AA3は、10~20m落ちる、という意味です。その間は、ブランクセクションということです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1P目 20mAA2+: フェイス、ハング下レッジナイフブレード多用
2P目 35m AA2: ボルトラダー
3P目 30m AA3: クラック スカイフック
4P目 15m AA2: フェイス
トータルでボルト7本。アプローチは登山道を徒歩30分。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
”ザック一つで国内を放浪していた20代前半、九州の行縢山に一人で開拓したルートは「明日なき暴走」とした”■ 一般市民クライマーが登るフリーの岩場でのランナウト
現代では、”フリークライミングの岩場”として親しまれている比叡ですが…
ボルトのランナウト許容度合いが、開拓者の言葉を引用すると、”5級で50mにつき3本”、となると… デシマルに置き換えると、10a以上でも、墜落距離は12~13m。
これは、世界的クライマーの山野井さんの20代のころのエイド記録並みのリスクテイクです。
そりゃ、普通の人には怖いのが当然だわなー。
一般にフリークライミングの場合は、確保理論が国から出されており、それによると、6mからの墜落で人体は壊れるということになっているんだが…(汗)。倍、落ちると、どうなるんだろう?
https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/kougisiryou/H24kakuhoriron.pdf
というので、一般市民クライマーに、20代の山野井泰史なみの度胸を要求しているってことになりますが…(汗)。
■ 2グレード ゆとりを
これに対策するには、十分な登攀力のゆとり、が必要です。
私は、2グレードアップと教わりました。
つまり、5.7(4級)を落ちないでリードするには、5.9が必要ということです。
5級は、5.10aから上は全部含まれてしまうので、5.11であっても、5.12であっても、5級…とっても幅広く設定されてしまいます。なので、5級を2グレードの安全マージンを取ってリードするには、5.12aがやっとこさRP出来る実力では、全然足りないのです…
ということは、5.11aをやっとこさRP出来るレベルでは、本チャンでは、まあ、4級が安全になるだけで、何の安全マージンも増えたことにならないです…(汗)。この本が出たのは、1991年で、すでに
30年前
登攀は、1987年の登攀で、さらに4年前。
34年経過しているということです。ボルトラダーのボルトは最低でも34年経過しているということですね。
そのあと、このルートを登った記録は、奥村さんのようです。
http://blog.livedoor.jp/joywall/archives/51762198.html
本当にブイブイ言わせていいのは、こんな記録であるよ、という事例として、
誰からも文句が出そうにない、ダントツクライマーの山野井さんの記録を持ってきました(笑)。
こちらに、2017年の回想が、掲載されています。
https://www.evernew.co.jp/outdoor/yamanoi/2017/20170327.html
■ これを書いている理由
自分が分かったことを相手にも分かってもらう=覚他。小山田さんがあげていたので、興味深く拝見した。
①岩質
②ラインがシンプルである
③ロケーションが良い
④ムーブがかっこいい
⑥ランディングが良い
⑦恒久的である
■こちらは、いわゆる本チャン(山)のルートグレードの基準
①スケール
②技術的難度
③確保条件
④岩の状態
⑤ルートファインディングの良しあし
⑥エスケープの良しあし、敗退のしやすさ
⑦アプローチ
⑧自然条件(標高、方位、岩場の安定性、安全圏からの距離)
ボルダーだからもちろん、スケールは無視だが、フラクタルであることが分かる。
■ 基準となるルート
ところで、上記の8つの項目から、以下のように分かりやすいように基準となるルートが設けられている。
1級 前穂高北尾根■ お金とチャンスと時間が与えられて、これで世の中に貢献することをしてくださいと言われたら、何をしますか?
お金の問題がなければ、
1)天野和明さんに頼んで、北鎌尾根レベルの人が前穂北尾根レベルに行けるために必要な力をつけるための具体的技術をカリキュラム化した講習会を行ってもらう。(昨今の山岳会の人はそこが分かっていないと思われるので)
2)山岳総合センター時代の恩師 村上さんに山岳遭難の実際と山岳レスキューの実態についてのレクチャーを1日、二日目は実際に現役で使われている、レスキューテクニックの伝授を行うための講習会をしてもらう
3)佐藤祐介さんが大崩などの高難度マルチに来たときに、トップクラスのクライマー(5.12がスイスイ登れるレベルで、40kgが歩荷出来、標高差2200mの甲斐駒をワンデイ8~9時間で登って降りてこれる人)を対象にマルチピッチ講習をやってもらう
4)室井登喜男さんを講師にしてボルダリングの入門講習会を行ってもらう ジムボルダラー向け、ランディングなどリスク管理のイロハ。
5)小山田大さんを講師にして、ボルダリングにおける開拓プロセスの机上講習と実際の開拓のイロハを伝える講習会を行ってもらう
6)後藤真一さんを呼んで、沢登り向けの安全講習会を行ってもらう (上の小屋沢を東沢鎌の沢的な講習会定番の沢として確立する)
7)主要なクライミングジムの店長さんを、奥村さんのジムに研修に出して、きちんとしたビレイ指導術を習得して帰って来てもらう その際、終了証を渡す
8)九州の岩場における、入門から初級、9アンダーの人が登るべき課題、9レベルの人が安全に登れる課題のリストアップと習得目的の一覧、10代のステップアップの仕方を整理した外岩入門ガイドブックを作る
9)九州内の岩場での事故を聞き取り調査し、この3年以内の事故統計を取り、事故の内容を公開し、ネットにアーカイブを作る
10)九州で本当に登るべき、良き登山ガイドブックを作る 吉川満さんのご本のビジュアルバージョン 最近の人は文字を読まず、画像で判断するため
11)九州の登山道のコース案内掲示板を韓国並みに整備する(標高差、距離の記述)
12)九州内の山の難易度を長野県並みに整備する 現状だと要らないところにロープが至る所にあり、来るべきでない人も来ることになる
13)人気の山の登山口に韓国並みに、ウォームアップ運動器具、泥落とし場を整備する
■ どのような関係性で登ってきたか?
昨日は、畑に行った。山が分かるオジサンクライマーと世間話して、とりあえず、
山梨では、素晴らしい山をしてきたんだなぁ…と実感した。
素晴らしい山というのは、
・誠実な山、
・自分の実力に嘘がない山、
というものだ…やっている間、
”向き合っている”
とよく言われた…。課題を一つ一つ、つぶすということだ。向き合っていれば、山は、それに答えてくれた…。
福岡に来て、それがおかしくなってきたが…なんで、同じように真摯にクライミングに向き合っているのに、落ちないで登るのはダメクライマーだとか、否定されないといけないのかな?とか、なんで、いちいち、命がけになっているのかな?と思う。
向き合いにくい環境…と言ったらいいのか?
なぜ、そうなったのだろう???
■ 俺はスゴイことを証明したい心 と モテたい心
それは、他の人のエゴに私が癒着されていたためだ… 課題の分離が出来ていないということ。
俺はすごいということを証明するために行く山に付き合わされるってことだが…。
しかし、男性社会だと、それも多少は必要だろう…と相手の事情を慮る気持ちが強かった。
女性の社会と違って男性社会は、縦社会だから、登れる順であり、登れない奴と思われたら、パートナー探しにも事欠くのだろう…と。パートナーを得るチャネル自体も、ほとんどないし…。岩場に行く以外で相方をゲットできる時というのは少ない。
私はその人には、直接言ってもいるが、まだ結婚していない人だったので、せっかく女性の数が多い九州に来たんだし、エンジョイクライミングを通じて、女性と知り合ったらいいな、と思っていたのだ…。が、どうしても、イケイケタイプの男性は、女性でもブイブイ言わせている人を好むようであった。まぁ、前例を山梨で作ってしまったからな。あとは条件は美人が欲しいということだった(笑)。
つまり、トロフィーワイフ、である。トロフィーワイフを求めること自体が、幼稚だなぁとは思ったが、恋愛だって山と同じで、稚拙な愛から、高度な愛へ進むのが普通だ。要するに経験値が浅いということだろう、と。
あとは、家事要員としてしか女性を考えていない古い考えがうかがえる発言があった。料理ができて自分の親の介護ができる人を欲しいということで、自分の親の介護があるということは相手の親の介護もあるということだと気がつかないようだった。
まあ、単純にその人は未婚だったから、深い意味なく、モテたい、のだろうし、それは未婚の男性なら、まぁ当然の在り方のように思えた。
別の人だが、開拓者が岩場に来ていたので、彼自身の知見を広めるためにも、開拓の手伝いを勧めたら、”開拓者は取り巻きに囲まれているんでしょ”という返事だった…。その返事で、そうかぁ、この人は、取り巻きに囲まれたくて、いきなり2段とか言い出したんだなぁと分かった。
一般に男性は寂しがりなのである。青ちゃんも宴会好きだったのは寂しかったからだろうし、いくら山が大好きでも遠隔地に家族と離れて暮らすのは、時に寂しかっただろう。
ので、孤独は同情するが、2段くらいでは、取り巻きは来ないぞ…(笑)。現実認識が古い。
余談だが、私が岩根でバイトしていた頃、ワールドカップクライマーと不可能スラブを登った女性ボルダラーが、ボルダーに遊びに行っていたことがあるが…当然私はお邪魔虫なので遠慮したが…二人が楽しく登ってきたのは6級とかである。トップクラスの人だって、デートクライミングは6級なんですよ。
2段が登れるより、紳士なほうが、女性にはモテるでしょう…
私は非常に慎重な、リスクを冒さないタイプのクライマーなので、私といると、逆に、相方はリスクを釣り上げて見せる必要が出てしまったのかもしれない…。同じだと思われて、引っ込みがつかなくなると言うか…。
私が思うには、女性と2名で登っている男性クライマーだと、周囲が勝手に遠慮して2名の中に割って入るということがない。
ので、私とジムに行くと、むしろ出会いは減るのではないか?というような気がしたので、特に用事…例えば新人が来て、先輩2名で世話がいるというようなケース以外…は遠慮するようになった。だいだいジムでの練習って、コソ連、って意味だし。
■ 弟という関係性
私は、身長180cmの大男だったアスリートの弟がいた。彼は24歳で急死した。突然の心停止。子供のころはそっくりさんだった。2歳しか年下ではない。
なので、男性は大体、弟、に見える。父親は知らないで育ったので、父という関係性は私には新鮮で嬉しいものだ。
昨日も、畑に行って、70代の往年のクライマーが畑仲間なので、山の話で盛り上がった。気分は、お父さん、である。父娘の関係性。
一方、私にとって一緒に登る男性は、大体が若いことが多く、基本的に、父親よりも弟という関係性に思える。先輩であっても、相手は、私よりも、父親…つまり、師匠から、目を掛けてもらえていない率が高い…つまり、知識的には補佐してやらないといけない対象、と思える。(大体、正しい)
ので、弟と登っている姉ちゃん、というのが私の自意識だ。
■ 相方は弟ではない
そのためにできた”因縁”は、断ち切ったので、それが良かったと思う。
弟のことが念頭にあるために断ち切れないでいた因縁だったからだ…。
どうしても、”頭悪い人”=可哀そう、と思ってしまうんですよね。
しかし、相方になる男性クライマーは、弟ではない。
しかも、30代、40代、ノーマット野郎なんて50代で、私より年上だ。
アホな奴に付き合う必要がなかったのに、なんで付き合ってやる羽目になったんだろう…?
そっちのほうを反省したほうが良い。
クライミングは、どんなに分かりやすく解説しても、分かりたい心(因)がない人には、分かりようがない。
■ 余禄 ノーマットクライマーの二項対立
リアルノーマットクライマーのノーマットの理由=決して落ちない自信があるから。
フェイクノーマットクライマーのノーマットの理由=お金がないから。
リアルノーマットクライマーがノーマットするとき=記録としてアップされる。
フェイクノーマットクライマーがノーマットするとき=何の記録にもならない。
リアルノーマットクライマーの登攀力=有段者
フェイクノーマットクライマーの登攀力=3級
リアルノーマットクライマーの事故時の心境=「申し訳ございません」
フェイクノーマットクライマーの事故時の心境=「死ぬときゃあ死ぬし」
リアルノーマットクライマーの事故ると?=大ニュースになって追悼書籍がでる
フェイクノーマットクライマーの事故ると?=岩場が閉鎖になる
リアルノーマットクライマーが失敗すると?失敗が珍しい
フェイクノーマットクライマーが失敗すると?成功が珍しい
リアルノーマットクライマーがトライするのは?=まぁ最低でも10本の指に入る程度の高難度課題 つまり第10登まで
フェイクノーマットクライマーがトライするのは?=人気課題
どうでしょう?? 思考の遊びです。
Meeting No mat beginner boulderer brought me Ippei Tajima
I met an ingnorant boulerere in Hinokage while I was taking a job training course to be a forest worker in Miyazaki prefectrure...
思えば、私のクライミング行脚は、近所のクライミングジムを訪ねることから始まったのだった…。
近所に田嶋さんのやっているJoyがあったので、当初、私は、福岡は山梨と違って都会だし、自然界は離れていて、岩場も質の良いものが山梨のようにあるわけではないだろうと想像していたので、ジムクライマーとして福岡ではやっていく気持ちだった。
外岩は最初っから捨てていたわけである。
山梨時代は、外岩が良いのでジムに行く理由がなかった。ジムに行くと言えば、外岩でできなかったムーブをピラニアの室井さんに、「すいません、こんなアンダーでもって、遠めの一手を取る課題ってありませんか?」などと質問していた。要するに完全に外岩の攻略用というジム利用法だった。そもそもアイスはインドアでは、できないですし。
というので、やっと都会!ジムに通って、フリーで一皮むけるぞーと思っていたわけだった。
と・こ・ろ・が!
田嶋さんのジムで、「ブラボーのバイトに応募した」と漏らしたら、なんと2日目で出入り禁止にされたのである。まだ月会費払って2度しか行っていないのに。
しかも、言いがかり。「教えないでください!」とかいう…。その時は、ジムであった大学生男子の一団が、私が登った課題が登れず、「どうするんですか?」とか聞いてきたので、「あの一手がとれたら終わりだよ」と答えただけである。これのどこが教えているんだか。
奥さんはどう見てもクライマーじゃない人だった。ついでに言うなら、ジムがあまり清潔ではなく、いや…これは…(汗)という感じだったので、経営面でこりゃ問題ありなジムだな~という感じだった。
が、ちゃんと『Climbing』とかいう雑誌が置いていたので好感。とりあえず、私は九州クライミング事情が知りたかったのだが…そういう情報の入手先として、ある程度色々…例えば、四阿屋は2グレード辛いと言われているとか…分かるまでは、しばらく通いたいと思っての入会だったが…。
ま、上記のような理由で通うことができなくなった。
(なのでどの岩場も前評判を知らず白紙状態で行くことになった)
しかも、以後、ブラボーがまた…。ブラボーはクライマーがやっていないジムなので、採用面接する人にクライミングの話をしても何も分からない。吉田和正と言って分かるか?当然だが分からない。山梨で登っていたと言って分かるか?分からない。ラオスで登ったと言って分かるか?分からない。要するに採用する人もド素人さん、である。(この人が福岡県連会長になったそうである)
なんとか採用になったが、初日のバイトで、カウンター裏にあるブラックリストを見て、「これ何ですか?」と聞いたら、ビレイが危険な人のリスト。ところが、それを言ってくれた人が「この人たちビレイ待機でこういう風に持たないんですよ」とデモしてくれたその手が…ATCなのにグリップビレイ。
つまり、このジムではATCなのにグリップビレイを教えているってことか…と真っ青になって、その日で辞めた。クライミングの掟は、”君子、あやうきに近寄らず”、である。
なんせ、命より大事な仕事など、現代日本にはない。
これは指摘して後から謝罪が来たが…ビレイでこれであれば、一から十まで、”古色蒼然”である可能性が高く、ずっと修正を言い続けないといけないだろうと想像ができ、しかも、年下の男性が店長でその人が職場で目上となると…?いばらの道しか思いつかないので、私個人にそんな自己犠牲を強いてまで、そこで働く必要はないと思われた。
当時は、まだ福岡一年目で、福岡での生活にバラ色を夢見ていた。久しぶりの都会で深呼吸する気持ちというか…。ヨガもクライミングも、趣味としてみると、田舎の山梨より都会の福岡の方が、より都会で人口が多い分、先進的であるのではないか?と予想できたからだ。
外岩は年に一回の遠征でいいやという気分だった。
正直、小川山に行くも台湾・韓国に行くも、コスト的に変わらない。なら、小川山なんかより、台湾の方が、あるいは韓国にアイスに毎年行く方が合理的に見えた。
■ ジムの質が低い
これが私の福岡一年目だったが、驚いたことに九州の東京・福岡で一番難航しているのは、ジム探しだった。
ジムは、福岡は質が低い。というと反論が出ると思うが、
クライミングの全体像
が分かっている人が、超少ないわけなのである。
例えば、室井登喜男さんは、ボルダラーであるが、当然アルパインの事も分からない訳ではない。ので、私みたいなアイス大好き!みたいなクライマーがジムに行って、恐る恐る、「あのー、〇〇ってのを登ったんですが、こうこういうムーブが全然できなくて落ちました。似たムーブの課題ないですかね?」とかいう、ジムの人が作ってくれたルートセットガン無視な質問をしても、は?ここは俺のジムだ!俺の課題を登れ!とか言わない訳である。一緒に考えてくれる。
ジムのお兄さんで、「僕、クライミングしたことないんです」みたいな人はいない。「僕、外岩行ったことないんです」みたいな人もいない。(驚くなかれ、福岡のジムでは普通にいる)。
それどころか、「外岩に行く人が嫌い」とお客さんである私に向かって面と向かって、攻撃してくるジム店長もいる。おそらく、嫉妬の裏返しで拗ねてそうなってしまうのだと思うが、お金を払って、わざわざ嫌な思いをしに行くバカはいない。(余談だが、福岡では殿様若者は大変多い。なんでお客が媚を売らないといけないのだ?)
ので、そのジムには全然行く気になれない。課題も、山梨時代のジムより質が劣るし、その上、都会のジムだから高い。
もちろん、それぞれに特化したジムはある。
スタンプは、コンペクライミングをするのなら良いジムらしく、徳永さんというセッターが良いのだそうだが、私はあいにくコンペクライミングには興味がない。そりゃ当然だ。今からオリンピック選手になる!なんてあるわけない。競技で選手が強くなるための課題より、6級5級でも考えさせる課題があるほうが役立つわけである。
普通のジムは、5.6級なんてルートセッターはセットしていない。つまり低グレードを登る人には、良質のルートセッターは、接点がない。
大体、外岩を登るのに、ジムグレードでは3級程度までしか要らない。ので、段の課題でいくら質が良くても、外岩クライマーには無用の長物だ。
ジップロックもボルダラーになるには良いジムだと思えたが、一日いただけで指が痛くなった。課題がボルダー寄り、なのである。ボルダーとは突破力のクライミング。指への負担が重い。外ボルダラーになりたい人に最適なジムだろう。指が痛い=通うには向かない、全身運動にはならない、である。課題は好みというかとても楽しかったので、たまにボルダーが好きな人には、勧めている。
フリークライミングと言えば、普通はロープクライミングである。その名の通りのジムがあり、リードというリードができるクライミングジムもあるが… は、リードエリアが狭すぎて小さすぎ、ビレイヤー同士がぶつかりそうで危険。結局リードするより、ボルダリング壁に落ち着くことになってしまいそうで、意味なし感がある。ここも課題は良かったと思う。
公共のかべでは、アクシオンはタダの筋トレ。しかも、ビレイが怖い人が揃っている。いきがった片手ビレイとか、壁から離れたビレイとかで、そんなものに身をさらしながらやる筋トレは、恐怖耐性筋トレである。恐怖は、ムーブの習得にマイナスであることが科学的にも証明されている。
というので、まぁどれもやっても得るものがないわけではないが、コストに見合わない訳である。そんな無理してまでやらないでも…となる。
なら、ジム代を交通費にかけて無料の外岩に行った方が楽しい。
なんと、福岡で自宅から30分で行ける岩場が近所にあり、これは、山梨時代を更新する岩場の近さ。スラブで良いなら、近所の公園で済ませてしまえる。
ので、結局買い物ついでにスラブに登って、その辺の石垣でスタンスを拾って足置き練習をするのが一番安上がり。しかも、ハンデつけてクロックス。
話がそれたが、つまり、福岡は、クライミングという面では、ぜんぜん九州の東京、ではないということだ。Pump2みたいな良質のジムはない。
ので、シリアスクライマーは、どんどん県外に流れていくということになっている。
私も、この状況ではそれがいいだろうと思う。
■山梨との比較
その点を山梨と比べてみると、山梨は、人口の割にクライマー人口が多く、シリアスクライマーが流れてくる先、流出側ではなく、流入側である。
こんな県は他にはあるまい。長野に流入するクライマーも多いが、基本、北杜市、がクライマーのベストロケーションというのが一般的な認識のようだ。(ユージさんのいる入間も、岩場のある奥多摩に近いが、奥多摩、登攀禁止エリアがあり過ぎでややこしすぎますよねぇ‥)
■外岩
と上記のような事情から、山梨時代の先輩が引っ越してきた時点で、ジムは諦め、ほぼほぼ、山梨アルパインクラブとしての2名での活動が始まった感じだった。
とりあえず、九州の主要な岩場巡り…2年で一巡、出来た。ほぼ主要な岩場は、すべて回ったので、岩場を掌握している感は現在ある。
回った結果、分かったことは、九州のリードクライミングが流行っていない理由。
なにしろ、ボルトがぼろかった…。20年前どころか、40年って感じだった。
見たことがない、ヘンテコ終了点オンパレードは、同時に”生と死の分岐点、展覧会状態”と前に誰かが言った、そのままだった。
見たことがない終了点は、使い方が分からないので、いちいち長野の師匠に聞いていたら、いちいち、外野から、あーだこーだという指摘が入り、遠くはチェコから、格式の高さではUIAAの事務局長から、アドバイスがたんまり来て、これがうわさに聞いていたトンデモ支点なるものか…!と、これまで本で読んで話に聞いていたことを実体験することになった。
人気ルートの手作り終了点■ トンデモ横行中
支点や終了点だけではなく、これが噂に聞いていたトンデモクライミング技術か!という経験も、たんまりたまった。
まず最初のトンデモ経験は、
5.9なのに10bムーブ…である。地方での岩場で課題が辛いのは、別に珍しいことではない。問題は、5.9なのに10bムーブが要求されるその状況を好ましいもの、と捉えていることだ。にやにやしながら嬉しそうにそう語る。それが疑問だ。
普通に考えたら、何も知らない5.9が限界グレードの人が取りついたら、10bが要求されるわけで、当然落ちる。つまり、落とすことを意図している。
それでも人工壁だったら落ちるのが当然なのだからいいのではないかと思うが。外岩でそれ? ま、もちろん、その課題で10bのムーブが要求されるところは、終了点間際の上部で、落ちても別に大きな問題にはならないようだったので、問題ではないかもしれないが…。
この騙して、落とす発想が、その岩場では主流だと思われ、不安になった。しかも、支点が奇天烈(上記)。
一事が万事というのが大体クライミング業界だからなぁ…。つまり、発想が幼稚な岩場ってことである。
まぁ、その課題は私がオンサイトできたくらいなので、5.9で妥当だろう。なんせ、そこで最も易しい課題だからだ。下手したら山梨では5.8が付いているかもしれない。
ちなみに、そこは佐世保の海軍の兵隊の若いアメリカ人を連れて行ったが、登れなかった。
この課題の後に続く次の難度(10a)の課題を登ったが、それもオンサイトできた。
後日だが、私が特に喜びもなく静かにオンサイトできた、その課題を、”俺ってかっこいいだろどーだ!”オーラを発しながら登ってくれた若い男性クライマーがいて、かなりシラケた。
43歳からクライミングしている人が、3年程度の修行して登れる程度の難易度のところで、若い男性がカッコつけて、かっこいいのだろうか?
現代のクライミングのレベル感を鑑みると、どーだ!俺かっけーというオーラをしょってよいのは、5.13から上みたいですよ?その辺も疑問に感じるのが九州で、ブイブイ言わせるグレードが低すぎるというか…。
師匠の青ちゃんは、インスボンをすいすいリードしてくれるが(しかもケガした足で)、常に”俺なんか全然登れない”と言っていて、それも慰めるのがめんどくさかったが、現代のクライミングレベルを考えると、青ちゃんの方が正常だと思う。
普通の若い男性は、まじめにやれば5.12くらいは登れるものだろう。なんていったって、握力17kg、身長152cmの私で5.11が見えているわけだから、男性の11なんて自慢の種になるわけがないのである。実際、小川山で一緒に登っていた男性クライマーで11で自慢していた人はいない。むしろ、引け目に感じているほうだと思う。
ブイブイオーラというのが、これが九州の基本にあるようで、これも、余り易しい課題でやると、滑稽ということだ。すくなくとも一般的に10代でブイブイは変だ。山梨ではそんな人には会わなかった。
その後も、古色蒼然としたアルパインの伝統に触れることになったが…基本的に、みんなあんまり、フリークライミングとアルパインクライミングの差を分かっていないんじゃないか?と思えた。
なにしろ、アルパインクライミングの技術しか教わっていない人がフリークライミングの開拓をしているので、両者が混同されて、意味が分からないことになっているのだ。それどころか、アルパインクライミングの技術もきちんとは教わっていないんじゃないだろうか?
というのは、普通はアルパインのクライマーは、支点はリムーバブルが当然だ。
九州では、それが、ぜんぜん当然にはなっていない。ほとんどの人がカムを使うスキルもなければ、ハーケンも打てない。スキルを身につけないといけないとも、思っていないようだ。
ボルトルートスキルしかないのに、本州の本チャンに行って残置で登る気でいるらしい。それは、自殺行為に等しい。
なにしろ、ちゃんとした本チャン、つまり残置に頼らないクライミングを練習する課題が九州にはない。残置で登る=危険行為ですよ、と明確にメッセージ化されていない。
例えば、本チャンアルパイン的ルートの代表、白亜スラブは、残置などなくても、カムで登れる課題だ。
普通のアルパインのクライミング論理では、残置なんぞ、頼らないクライミングをするのが普通だ。私の旗立岩を高度化したものである。
そんな支点構築スキルが求められて当然の本チャンルートでも、古い信用ならないボルトなんかがあると、ボルトがあれば、落ちて良いと考えてしまう非熟練クライマーが来てしまう。
私と先輩など、終了点を見落としたせいでロープが足りなくなり、中間支点1点のボルトに仲良く2名がぶら下がる羽目になった。あのボルトが抜けていたら、二人とも、さよーならー、である。そして、その支点は、信用ならないカットアンカー。現代のボルトで、”普通”はグージョンの事である。
その経験も悲惨だったが、そもそも、終了点を見落としてしまうとか、ロープスタックさせてロープアップできなくなるような、未熟なクライマーを呼び寄せないようなルートの作りが必要なわけである。
ボルトを抜けば、そんな奴は来ない。
本当の実力が示せるってわけだ。オールナチュプロという言い方が混乱を招くのかもしれないが、同じルートでも、残置で登るクライマーは下手くそ、オールナチュプロで登ってちゃんと登ったことになるのが本チャンだ。
なにしろ、山に残置があるわけがないのだから、残置を頼らずに登るのが、普通にアルパインの完登と言え、それにふさわしい課題だろう。
もちろん、支点さえ自前であれば、エイドを出しても、テンションしても、アルパインだからOKだ。つまり、完全フリーは求められないのがアルパインスタイルだ。
逆にフリーのルート(ゲレンデ、練習用)として性格づけたいのなら、ボルトはリボルトして、落ちれるようにちゃんとメンテすることだ。フリーは、エイドを出さず、完全にロープに頼らず、登るものだからだ。全然、アルパインとは指向性が違う。
大体、最近のクライマーは、どんなお粗末スタイルで登っても、終了点にたどり着いたら、”登れた”と言ってしまう。
終了点見落とした、ロープスタックした、なんて登れたと、普通は胸を張って言うことはできない。復習山行の対象だ。
ま、この事件で、相当懲りたわけである、私は。
これに行ってしまった理由は、単にフォローがいなくて気の毒だなぁ…と、先輩後輩の絆があったためである。
■ 10代が危険
アルパインの論理で、フリーのルートが作られている率は、5.9~5.10代の初級ルートに多い。(おそらく、もともとアルパインのクライマーは全然登れない人が多いからだろう。)
その悲惨さNO1は、八方が岳のボルトラダーうち替えで、1m置きにリボルトされた10c。
現代の一般的なクライミンググレードが登れる人がリボルトしているのではないため、古いボルトの置き換えで思考停止しているわけなので、岩がもったいないことになっている。
その課題をさも、自慢げにお披露目されたときには、ああ…ここまで何も分かっていない人たちだったのか…と目を疑った。いわゆる山岳会の人たちと行ったからだ。本人たちは、自信たっぷりなので、こちらはなにも言えない。
■ アルパインとフリーのルートの最大の差
は、グランドアップか、ラッペルダウンか?である。もちろん。
これが何に現れるか?というと、クリッピングチャンスの捉え方、である。
アルパインの人は、基本をリッジ登攀に置いている。つまり、基本的に落ちない傾斜のベースにところどころ落ちるところがあるわけで、その落ちるところ、というのは、難易度というよりも、おかれた場所の危険度、である。
例えば、高さ30mに置かれた足場板は危険だが、高さ1mにあれば危険でない。なので、難易度というよりも、危険度が問題であり、アルパインだと易しいからと言って、支点を取らずどんどん高度を上げてしまうというのが、初心者が陥りがちなミスだ。
私も過去にやらかしており、初めて行ったアルパインのジョーゴ沢では、核心の大滝でロープを出さずに超えてしまい、師匠に「そんな山は教えていない」とこっぴどく怒られた。しかし、その一度だけであり、しかも一本目で超初心者だった。
アルパインルートでは、危険個所、つまり核心以外は支点がないのが普通だ。言い換えれば、ガバがあるところは、快適に登攀中なので取らない。もちろん、地面が近い間は、取るのはフリーと同じだ。
一方、フリークライミングというのは、そもそも絶対にロープがないと登れない傾斜を登るものだ。だから、フリークライミンググレードは、5.XXというように5から始まるわけだから。3級や4級はロープが要らないグレードなのだから。
なので、フリーでは、落ちること前提である。そこが、アルパインの人は切り替えできないのだろう…。
ガバ=クリッピングチャンス、というのがフリークライミングの前提だが、アルパインクライマーが作ったのではないか?という課題は大体が、ガバ=ボルト飛ばし、になっている。
その結果、フリークライミングの課題なのに、なぜか落ちてはいけない課題、ということになってしまっている。例えば、八面。
私がオンサイトで、見ず知らずのビレイヤー(つまり、信用はまだできない人)を相手に登れたくらいなんだから、5.9でいいとは思うが…なんじゃこりゃ!と思った。
昨日聞いたら、そこは、新人にはトップロープでしか登らせない課題ということだった。んじゃ、トポに、トップロープ課題と書いておくべきである。まぁ、登れたからいいけど。
大体、一番真ん中の良いところにある5.9だったら、その岩場に初めて来た人は、普通に喜んで取り付いてしまうだろう。
余談だが私が登っていた時に、誰でも知っている有名アウトドアウエアのメーカーで店子をやっている男性たちが集団で登っていたが、同じ5.9、若い男子でも全然登れず、TR以外ない感じでしたよ。
まぁ、そんなこんなで、支点の質が40年前であることや、課題の質がアルパインの論理で、作られていること、などから、色々と想定していない、きわどい目に遭った。
いや、ひどい目以外は合っていないというほうが正しいくらいのレベル感だ。
■その他
その他、色々と疑問な出来事が起こった…
最近起きた 公開されている岩場でノーマット
なんて可愛いもので、
クラックなのにボルト、とか
外岩なのに人口ホールド、とか
支点ビレイをされているのに、されている本人が気がついていない、とか
背の低い私に向かって、エイドで鍛えてやる…とか。
最期のやつなんて、死の宣告に近い。
昔のエイドルートって、ボルトが打たれたのは、40年以上前だろう…フリー化以前だからだ。つまり、ボロい。そして、背の低い人が、いくらアブミの上段に載ったところで、手が届かないものは届かない。
エイドというのは、困難度は常に距離である。距離と比例してリスクが増すからで、つまりランナウト核心と同じことだ。A1、A2、A3と困難度が上がる内容を調べれば誰だってすぐ分かる。それをちびの新人に向かってやってあげるよっていうのだ。こんなの、殺してあげるよ、喜んでね、と言っているのと同じことだと分からないのだろうか?フリーにおけるAゼロだって、手が届けば出来るが、届かなければできないものだ。
それ以外にも、私のリード中に、他のクライマーをリードさせて、一人で2名をビレイしたトンデモクライマーから、連れて行ってやっても良い、と言われた。そんなトンデモビレイで登らないといけないなら、登らない方がいい。そもそも、2名が一名をビレイするなら分かるが、一名が2名をビレイするなんて、マルチのセカンドを上げる時以外ありえない。連れて行ってやるのは、どう考えても、こちら側である。
要するに、みんな考えてはいないで、周囲の空気に流されてやってるのだろう…。
つまり、新人は騙されている気配が濃厚だ。ありがたくもなんともないものを、高額で買わされているようなものである。
このような状況なので、山岳会には入らない方が良い。入ったら殺されてしまうかもしれない、ということになっている。一人で2名をビレイするとか、間違った技術を広めているのは、むしろ会のほうなのだ。
■グレードは適正に…とはいえ
一方、グレーディングが辛い、というのは、開拓者が置かれた事情を鑑みて、ある程度は理解できる。
あるグループで、自分が一番登れる人になってしまったとしよう。あるルートを開拓したが、自分以外は誰も再登できない。
となれば、今まで自分が登ってきた最高難易度のものと比較して、それより難しければ、1グレード上げ、易しければ1グレード下げるだろう…それしか、参考になるものがないからだ。
もし、私のように10代がギリギリで、5.9はまぁ落ちないレベルの人が登れば、私が落ちるようなところなら、5.10cかなとかいう付け方ができる。あるいは、何トライでレッドポイントできたか?カウントすることでグレードを与えることができる。私のレベルなら、10cは、2回か3回でレッドポイントが今のスキルなので、レッドポイントにかかった便数で、グレードが図れる。
しかし、開拓において豊富なテストクライマーが得られることは、ほぼないので、一つの岩場の中で、グレードが易しい順から難しい順にきちんと整列していたら良し、というべきだろう…。
■それより問題なのはランナウト
そもそも、フリークライミングは、どこで落ちても死なない前提のクライミングなので、問題になるのは、グレードが辛いことより、ランナウト、である。つまり、落ちてはいけない作り、である。特に、その岩場で一番易しい課題。
何しろ、初めて行った人は、一番易しい課題に取り付くのである。その課題が5.9と書いてあって、10cであっても、どこでも落ちれる作りなら、「あー、難しかったー」で、終わりだ。
ところが、落ちれない作りの課題だと、追い込まれて、やむなしで落ちて大怪我してしまわざるを得ない。四阿屋のインディアンフェースである。行った初日にグランドフォールで腰椎骨折した方に遭遇した。
お気の毒だが、フリーファンには事故報告は乗らなかった模様だ。事故の情報がどこにも載らなければ、事故がその岩場で起きていることも知られないままになる。
もちろん、これがアルパインのクライマーなら、ここで落ちたらヤバい!と思った時点で、エイドの道具、例えばスカイフックなどを出して、安全に降りるなどの対処が可能だが、普通のフリークライマーがスカイフックを持って、岩場…しかも、ゲレンデ…に行くかというと?当然だが行かない。スカイフックなんて名前を聞いたことがある人自体がいないだろう…。
当然、本番でもないゲレンデにスカイフック持っていく人も普通はいない。
というわけで、普通のフリーのクライミングしかしない人向けに、ランナウトした課題、落ちれない課題には、Rを正直につけておくべきだ。
大体、フリークライマーというのは、スポートルート、つまりボルトルートでは、ボルトへの信頼をベースにして、俺は安全なクライミングを選んで登っている、と思っている人たちなのだから、ボルトルートに取り付いて、まさか、自分がRつきを登っているとは思っていないのだから。
そもそも、フリークライミングの教育に、エイド技術で急場をしのぐなんて出てこないのだし。
もちろん、落ちたら、ビレイヤーが後ろに走る、とか教わらない。
そんなことを知っているのは、昨今アルパインのクライマーでもいない。アイスのクライマーくらいだ。
アイスでは支点の数が限られるので、できるだけ本数節約で取るので、下のビレイヤーは、「ねぇ、もう、早く取ってよう…これだと私だいぶ後ろに走らないといけないじゃない…」となる。
もちろん、ビレイヤーの方が軽かったら後ろに走ろうが、落ちられれば、前に引かれるので、意味なしである。それどころか、前に引かれてアイス激突して下手したら、ビレイヤーの方が死んで、落ちたクライマーの方が雪のクッションで助かるレベル感である。
■ 総括
というわけで、総括すると、
アルパインの本チャン的ルート = ボルトを抜いて本来の支点を自作するルート設計へ
フリーのルート=ランナウトの問題解決して本来のボルトが信頼できるフリーのルート設計へ
という二つのことが課題なのが九州だ。
あとはトポの充実。ちゃんとトップロープ課題とか、RとかXとかつけておくべきだ。ボルトの設置年月日と施工者名も同様。
要するに、クライミングが怠惰化したのだろう…なにせアルパインのクライマーにとっては支点を自作しなくて良ければ、タダの快適クライミングである。
怠惰でなければ、好意的に考えて、カットアンカーが現代では適切なボルトでないことを知らない=無知だった…のであろうが、どちらにしても、その期間は40年間、で、尊敬に値する行為か?というと?答えは明白であろう。いくら九州が僻地でも、10年遅れとかくらいまでだろう、その言い訳が許されるのは。
フリーのクライミングルートがフリーの論理で貫かれていないことも、基本的には、意味あってつけたグランドアップ課題というよりは、ボルト位置に失敗した、というだけのことであろう。
断っておくが、私は5.11が登れるようになってから取り付く5.9があっても良いと思う。憧れのルートということだからだ。しかし、それには歴史的経緯が必要だ。しかも、そういう性格のルートだということを広く認知され、トポに書いてある必要がある。なにしろ、トポはそのためにあるのだから。
九州では前の世代のツケ…2000年代でも、本州ではとっくにリタイヤしているカットアンカーのボルト付き本チャン、ボルトが信用できないフリールート…に、延々と後世の世代が付き合ってきたわけだ。
その際に、危険になるのは、昨今、10歳以前からエリート教育を受けている最精鋭のコンペクライマーではない。
普通に趣味としてクライミングに接し、クライマーのやっていないクライミングジムでクライミングに接した、一般市民クライマー達だ。彼らにはコーチはいない。師匠も当然いない。クライミングジム店長も頼りにならず、九州では、クライミング講習会も開催されない。
そういえば、御坂山岳会の先輩が九州に転勤になり、その先輩はとっととクライミング辞めてしまっていたなぁ…。それはこういう訳だったのだ。
というので、これで4年間のクライミングの総括、お終い。
やっとこれで、クライミングしなくても良くなりそうでうれしい。
ボルダリングの岩場にもマット使ってくださいと書いて貼っておけばいいのかも?
シャックル直付けは辞めよう。