2020/03/06

杉野保さんの事故死

今日は朝から衝撃のニュースでした…杉野保さんの伊豆でのフリーソロ中と思われる事故死の話。

1)いくら慣れていても、フリーソロは危険
2)単独でなければ発見が早く、命拾いしたのかも?
3)簡単なところだから、ロープをつけないでいたのか?トップロープソロならよかったのでは?

などなど…疑問が浮かびます。

思い起こすのは、青ちゃんの湯川でのトップロープソロ中の懸垂失敗による墜落事故。
1)近所に他パーティがいたのに、見えない場所で発見してもらえなかった点。
2)アイスベテランだった点。
3)携帯電波が入らない湯川…。
4)ソロ登攀中

パートナーがいないと、事故の場合、見つけ出してもらえないという問題があります。

■ 杉野さんこそ、本物のクライマーだったようだった…

私は杉野さんは面識がないのですが、行列ができるクライミングガイドと伺っていました…。

一度お会いして、クライミングへの考え方、などの伝授されたいというか、感化されたかったなぁ…。

素晴らしい岳人だったそうです… 面識を得る前にお会いすることは叶わない人になってしまった…。

杉野さんの思想を知りたいと思い、OldButGoldというロクスノの連載記事を探しています。

お持ちの方、どなたか貸していただけないでしょうか…


2020/03/04

クライミングにおける女性性vs男性性

■ハーネスすら買えなかった話

俺が始めたときは、ハーネスを買う金すらなかったぞ、というスティーブ・ロングさんの話が回ってきました。

ハーネスは今でこそ、基本装備とされていますが、アルパインの基本からスタートすると、最初のスタートは、簡易ハーネスです。つまり、簡易ハーネスで登れるところしか登らない。要するに、そんな易しい、緩やかな、傾斜しか登らないって意味です。ちなみに簡易ハーネスに落ちると、かなりおまたが痛いハズです(笑)。

■ベイビーステップの遵守

ベイビーステップというのは、小さい小さいステップと言う意味です。

多くの現代クライマーに、私が、成長を拒否しているように見えているか、と思いますが…、5.9を十分にやることなく、ジムでクライミングスキルだけをあげ、クライミングピラミッドの底辺が狭ーい状態で、5.11に進むことに抵抗しているだけで、成長そのものにNoと言っているわけじゃないんですよ…

でも、まぁ今は怪我の回復期で、成長期ではないです。

どんなことでも、成長プロセスにおいて、事故や怪我を最小化する手法は、ひとつひとつの成長ステップの幅を非常に小さくする、と言うことだと思います。

まあ、時には大胆な手法も必要ですが、それはたまに、で、平素はベイビーステップです。

■ 女性性vs男性性

その幅が、男性から見たら、どんだけ小幅やねん!みたいになっているとは思いますが、まぁ仕方ないですね、それが女性らしさと言うことなんで。繊細さです。

結果、”できないです、できないです、と言いながらできる”、っていうことになりますが、それが安全につながる姿勢で、”できる、できる、って言いながらできない”、のがクライミングでは一番、危険です。これ、大胆さ、ということで、男性性、です。

去年、夏に、佐久でそんな初心者に会ってめっちゃ腹が立ちました…50代女性です、なんでも、行く行くって…。でも一般に”イケイケクライマー”のほうがクライマー間には評判が良いです。その人は他者から評価を受けるのがうれしくて、そう行動していたみたいです。

”行く”って気持ちが自分の、”行く”っていう気持ちなのか、それとも”他者が行け”と思っている”期待”に応えての”行く”なのか?気を付けましょう。

周囲も、チャレンジを応援しすぎないようにしましょう。

チャレンジ精神というよりも、教えるべきなのは、

 リスクとチャレンジの兼ね合い、

みたいな部分です。大体2グレードですよ。

私は、できないと明らかに分かっているリードを取りたがる人は評価しません。また、ビレイヤーを選ばないで登る人も評価しません。

■ 資金乏しく、物事を始める

スティーブさんは、資金乏しく物事を始めることの美点を語っておられます。

事例としては、今の時代、なんでもかんでも、ドメインドメインで、売れてもいないのにドメイン代金払っている人を見ると不思議に思います。

そんなの売れてからやればいいことなのに…。資金にゆとりがある人のやり方で、やらないで、ゼロでやれることからやるというのが、色々なリスクの取り方を覚える手段です。

なので、たいていの起業家は最初は2足の草鞋です。じゃないとリスクの取り方が分かるようにならない…と思います。

クライミングでは必須と言われるハーネスすら、実はなくても、クライミング自体はスタートすることができます。

ロープがなくても、ボルダーができる。
シューズがなくても、肌足クライミングという手もあります。
チョークは、大体は冗長なので、なくても可能。

まぁアイスクライミングでアックスがないとか、無理!ですが、ほぼ要ると言われているものは、ナシで実践可能ですので、小さくスタートすると

その装備で可能なこと、

に目が行くと思います。事業も同じで、今ある資源でできること、に目が行くと、

ある

に目が行き、

ない

に目が行かなくなると。そこが本当のスタートでは?

2020/03/02

ミクロトワンソンとめちゃうまの無農薬トマトジュース…

■ パーティ自立の掟、という囚われ
 
実は、アイス初年度で、鈴木さんと言う師匠さんに、初めて湯川に連れて行ってもらったとき、私は、靴を忘れて行ってしまい、結局、登れなかったんです。この時は、いつも畑用に入れていた長靴で対応。

その時、ミクロトワンソンで、保科ガイドが講習していて、そのかわいそうな私を見て、トップロープを貸してくれるって言ったんですよね…。

ところが、師匠の鈴木さんがそれを断っちゃったんです…(><)。なんで~?!

私のことを覚えていてくださったのだと思い、私はロープを借りたかったのですが…。保科さんのガイド講習で私はアイスをスタートしたので、講習生特権発令の大チャンスだったのに…。

どうも、他パーティからロープを借りるのはいけないという、パーティ自立の掟?が、あるらしいという気配でした。

■ リード至上主義という檻

この写真の時のミクロトワンソンは、
危なくて登れない系です…ほかの時も、下地が水たまりで、微妙。

しかも、その後に一緒に行っていた師匠はアルパイン系の人だったので、リード至上主義なので、下地が悪くても、歩いてトップロープ張れるというのが、ミクロトワンソンの美点なのに、リード以外ダメって人で、もうビレイヤーの私は大変でした…。

水たまりビレイ。むしろ、この時、長ぐつを掃きたかったですよ…(><)。

私にもリードを強要したので、水たまりのため、ビレイヤーが離れる位置に立つミクロトワンソンは登っていない…。

当時は、トップロープソロの方法を教えてもらっていませんでした。

最初の師匠の鈴木さんは、クライミングは遊び、という割り切りがある人で、伝丈沢アイスでは、滝つぼが解けたアイスを二人でトップロープで遊びました。ビレイは滝上からです(笑)。マルチのセカンド確保と同じですよ。

一緒に行っている相手が反対だったらよかったのに。

ので、私の未練の一つミクロトワンソン。

2度までも、師匠らが、自ら入っている檻のために、登れなかった記憶のアイス。

■ 俺なんて平凡クライマーという檻

これとトマトジュースがセットになるのは、これも

”自ら入っている檻”

を思い起こさせる事件だから…。

このトマトジュース、某ギリギリクライマーの方が作ってくださった無農薬トマトジュースなんですよね…。

師匠の宴会に、その超有名、厳冬期黒部横断の方が来るというので、自分が知る限りの甲府の若いクライマーに声を掛けたんですが、誰も来ない…。 

私が言っているチャンスがチャンスと分かる人がいなかったんですよね。ギリギリの人に会っても、私みたいな初歩をやっているクライマーだと、出会いを生かせないというか…。

せっかく、未踏のルートを登るときにどういう作戦をしたらいいか?聞けるチャンスなのに…

でも、今のクライマーが興味があるのは、未踏のところに行くことではなく、自分がどうやってグレードピラミッドを上がるか?のほうなんですよね… 

欲しいのは、周囲から尊敬と自分の力を試したい!のほうが主たる動機だからなぁ…。知らないところに行きたい!って人は少ない。

…というので、おいしい無農薬トマトジュースを持ってきていただきましたが、私みたいなチンチクリンの人がおいしくいただくことになったのが象徴的でした…。行っておきますけど、私はおこぼれを頂戴しただけですからね。

私が幸運に恵まれているのは、

入っている檻

が、ただ少ないから、かもしれません。

2020/03/01

外ボルダーデビュー対策

■読了『みんなで子育て』くらし編

これは良書でした☆  https://japama.jp/chioichiran/

クライミング=遊び。

遊びの中にいかに危険を上手に持ち込むか?

という問題意識で読みました。

私は子供たちにクライミングの愉しみに接してもらいたいな、とも思うからです。

■ 危険は避けるものではなく、コントロールするもの

私は子供には危険を伴う遊び…遊びじゃなくても、例えば、

・ストーブに火をつける、
・包丁で何かを切る、

など…させるタイプですが、その際の注意は?

子育てのプロはどう言っているのでしょうか?

■ 大事なことだけを教える

何をしたら致命的なのか?

を教えておくということです。

子供の場合は、

それが定着するまで、大人が一緒にプレーする。

■ ビジョナリーカンパニーでも…

これは同時に読んでいた『ビジョナリーカンパニー4』で出てくるアムンゼンとスコットのエベレスト登山隊でも同じです。片方は成功して、片方は失敗するのですが、

戦略的悲観主義

というもので、

1)一番起きてほしくないこと、を想像して、備えておく
2)それ以外は何をやってもオッケー

という態度のことです。

■ 外ボルダーへも応用すべき

外ボルダーでは、一番起きてほしくないことは、

 着地で失敗して足を怪我する、
 頭を打つ

などです。なので、外ボルダーに行く際には

1)着地の練習

が、あってしかるべきでしょうね。

インドアでも、アウトドアでも、ボルダリングで、落ち方を最初に教えている人、いますかね?いませんね?

■ 故・吉田さんの教え方

ちなみに吉田さんは私にボルダーを紹介してくれた時は、

 最初にマントリングばかり

やってくれました…。マントルでの失敗が一番多いからです。

■ ボルダーは、スタイル不問=ちょっと、ずる??

ボルダーは、今のところ、登れたか?登れなかったか?の二者択一しかありません…が、もし、スタイルの優劣がありうるとしたら? おそらく
 どんどん、マットを少なくするゲーム、

が成立するのかもしれません。そうしたら、今2段の人も2段は登れないかもしれませんね。クライミングは伝統的に安全マージンの薄さに迫っていくゲームなので。

いまんとこ、ノーマットって言うルールは、一部のゲテモノ好きの人の嗜好とされていますが…(笑)、クライミングというゲームの正当な一面である、ということは否めません。

自分に取れるリスクは何か?そのリスクコントロールの兼ね合いが、だいご味、ってことです。

だいご味では合っても、ブイブイ言わせる、とは違うので、要注意です(笑)。

■ まとめ

1)外ボルダーのリスクマネジメントは着地
2)着地は熟練するまで、大人がついて練習する
3)マントリングも熟練するまで練習する
4)登る課題は自分で選ぶ (リスクテイキングのトレーニング)


2020/02/29

ボルト基金のためのクラウドファウンディング情報収集

■ 寄付型クラウドファウンディング

ボルト基金に適したクライウドファンディングの調査です。

とりあえず、リストアップ

まとめサイト
https://cf-hikaku.net/kifugata/

https://readyfor.jp/

https://readyfor.jp/projects/hatukaichi_2014-8-20

https://readyfor.jp/projects/aladdin

■ クライミング系&実績

ガマスラブ
https://otsucle.jp/cf/project/2156.html

岸良ロックフェス
https://camp-fire.jp/projects/view/206765?fbclid=IwAR2UdXFoEDF_30FIoSO1O-PIyNUIlqxsfzoFkgEgZhYJ15clcQou0rEa-yc

笠間
https://camp-fire.jp/projects/view/220818?list=search_result

パラクライミング
https://camp-fire.jp/projects/view/78239?list=search_result

スピード壁
https://camp-fire.jp/projects/view/91900?list=search_result

■ キャンプファイアは 実績多数

ガマスラブで使ったOtsukleさんより、Campfireのほうがなんとなく、クライミングを再度説明する手間が省けそうな気がしますが…。

両方に、相談を持ち掛けてみると、色々はっきりはするか。


悲しみの岸良海岸

■ 世代間格差

世代間のことを考える。

岸良海岸のクラックは、現在の私の登攀力に適した易しいクラックで、カムの設置も難しくなく、素直なパラレルクラックが、そう長い距離は続かないため、現在の私のスキルで、ぜひ全ルートオンサイトを済ませておきたいような場所である。

まぁ、ビレイヤーがいないので、去年は一人でも行く予定だった。

その当時、師匠であったY澤さんが来てくれることになったんだが…。Y澤さんは九大山岳部の顧問をしており、本州の山に大学生の遠征で、いつも一人で運転手だそうだった。「運転どうしているんですか?」と聞くと「交代はさせられないから一人で運転している」と言う… なんと気の毒な。 

去年の岸良は、一人で行く予定で、そして、Y澤さんがついてきてくれた。クラックをやらない人にとっては、岸良に価値はないだろうが、私には、長野の湯川に代わる岩場であり、カナダのスコーミッシュに代わる岩場だ。

去年ここを登ってから、スティーブに誘ってもらっていたBMCロックフェスに行くか行かないかを判断する気でいた。せっかくクラック本場イギリスに行くのに、クラックが登れないでは、悲しいだけだからだ。

クラックは、ラオス帰りに後退して帰ってきたクライミング形態だ。クラックの特徴は、何といっても、ホールドが縦に一直線のこと…。 ラオスの石灰岩は3Dクライミングなので、アイスの氷柱登りが、なんと上達して帰ってきてしまった…。 湯川の難しい氷柱をスイスイ登ってしまい、一同唖然。あれま!やっぱり形状が似ているんですね~と相成ったがクラックは…。

というので、岸良が、まぁ私には最もご近所の岩場という訳なんだが、Y澤さんが来てくれると言ったものの…、”?”な点もあった。どうも、宴会が目的らしかったのだ。

予定した日は、雨の予報だったため、実はリスケしたかったのだが、宴会があるため、リスケもできず、初日の1日以外は、どうも宴会日まで雨で、雨なら登れもせず、私は観光することには、興味がないので、山の本とDVDをどっさり車に積んで出かけた。日がな山の本を読んでいれば、私はハッピーに過ごせるからだ。

でも、人を宴会に送り届けてあげるためだけに、3泊を投資か…高くつくクラックだな…というのが私の側の事情だった。

まぁ、そんなこんなで、宴会と言われて、ちょっと最初から嫌な予感がしたんだが、そこは、まぁ仕方ない…と飲み込んだ。

大体、私は易しいクラックのリードを済ませるだけに足かけ5年… 小川山レイバックで、ビレイの怪しい人を連れて行ってしまい、カムエイドで降りてきてからの長年の便秘課題だ。

ということで、まぁ、やっと便秘解消の機会だもんね、ということで。

ところが、これは、1本も登る前に足を肉離れしてしまったのだった。3本は根性で登ったが、みるみる黒くなり腫れる足…。

それを見ても、Y澤さんはなんとも思わないみたいで、あそこに、これがある、あれがある…というのだが、私は立っているだけで苦痛で、それどころではないのだった…。

ギアを担ぐのも苦痛だが、道路までは上がらなくては…というので大変だった。その後2日間も、痛みを我慢して、何度も、”歩くのすら痛い!”と訴えた続けたが、分かってもらえないまま、やっと、ご老人を捨てることができそうな湯治宿に連れて行き、そこで別れて、私だけが福岡に帰宅する案を提案した。あと二日、宴会まであり、どうせ雨だし、その宿で、2日すごせば宴会に彼は行けるわけなので。ところが、一緒に福岡に帰るという…。

シンドバッドの冒険で、川を渡れなくて困っているおばあさんを負ぶって川を渡ってやったら、川を渡ったあとまで、あそこに連れて行け、ここに連れて行けとシンドバッドが追い回され、疲れ果て、機転を利かせて、ブドウ畑に連れて行き、おばあさんが発酵したブドウのワインで、よっぱらって、ようやっとのことで、開放されるというお話がある。

まさに、シンドバッドの心境…。私の喫級の課題は、開放されること…ということだった。

その岸良での肉離れは、歩けるまでにベッドに縛り付けられる生活2か月。その後、ゆっくりクライミングは再開したが、膝の亜脱臼で、再負傷。

膝の脱臼のほうが怪我としては深刻。肉離れのほうも、7cm×7cmの大きな瘢痕がふくらはぎに残っている。感覚としては、つる感覚だ。

膝の靭帯のほうは、一度ゆるくなったものは、固まるまでに半年から1年はかかるそうで、日向神で会った年上の女性クライマーに、今が正念場と教えてもらった。治ったと思って無理をすることが一番悪い。

右足はルルベできない。ルルベというのはつま先立ちということだ。ようするに足を突っ張ることができない。下りで重たい荷の荷重に膝が耐えることはできない。ので、下りは歩きでも、特にロープに頼らないと危険だ。登りは、重たい荷を持つくらいで、ちょうどいいのだが…。

というので、結局のところ、岸良で分かったことは、どんな優秀な人であっても、人は年を取れば、言葉は悪いが、お荷物になるということだった。

あとで謝ってくれたが謝り方が…「経験から大丈夫と思った」

経験があることが価値だと分かっている人が、その経験を盾に、無理強いして、完全にベッドに縛り付けられて、全治2か月という怪我をさらに悪化させるなら、そんな経験値は糞ってことだろう…、と悲しかった。

私は怒っていたというより、悲しかったのだった…。すでに知恵でも何でもなくなってしまっている経験値、とやらが…。

他にも似た経験があった。福〇山の会と言う山岳会…重鎮と言う人が「あなたが望むなら連れて行ってやってもいいよ」という態度なのだが、”連れて行ってやる”のは、たぶん…むしろ私のほうになるみたいだったのだ…。

そりゃ、どこで集合するかとか、そういうローカル情報はありがたいんだが、その情報の価値は、連れて行ってやるよ、と高値で売れるほどじゃなくなってしまった昨今。

…というわけで、岸良は、私に負の遺産としては多大なものを残し、将来のクライミング人生に禍根を残したうえ、さらに、日ごろのトレーニング人材も事欠くことになった…。しかし、これ以上お荷物を抱えるわけには…。損切は早いほど良いというのが論理だ。

さて、めぐってきた2度目の岸良遠征。

今回は、外ボルダーのフェスとセットと言うことで、ロープはちょっとだろうが、まぁ易しいし、1日あれば登攀は済ませられると思っていた。

クラックにデビューしたいと言っているボルダラーを連れていたので、その人をビレイヤーにしていればいいかと思っていたんだが…。まったく興味なし。なら、来なきゃいいのに…なハナシだった。

1本も自分が希望したクラックは触れず。

私がこの岩場で経験したことを共有している人もいたので、そのことが悲しかった。

自分のニーズが優先することが当然の人ばかりとつるんでいる私が悪いのだが…。私のニーズは、当然のように後まわしって意味だった。

まぁ、若い男性&すでに前回のパートナーと同じ程度の年配の男性なんだから、まぁ仕方ないと思った。

日本の男性は、総じて相手のニーズをおもんぱかる能力は世界最低レベルだ。

その上メンタル習慣として、すべからく、女性のニーズに自分のニーズを優先しても、それが変だと気が付かない。お母さんを引っ張って、遊んでいる小さな男の子と同じことで、お母さんにもニーズがあるってこと自体に意識が希薄だ。

そういえば、師匠も、二人の子供がいる人だが、子どもを育てたのは、俺1割、嫁9割って言ってたもんなあ…。自分は、子育てについて、フリーライダーだと、分かっていても、それが変だと思わない人たちなんだったよなぁ…。普通はそのことに、多少の後ろめたさを感じて、負い目を償おうとするものだろうが、その負い目はないようだった…。

ので、そのセリフを聞いて奥様にいたく同情したのだった…。娘を愛しており、お父ちゃん、と呼ばれると目を細くして喜ぶ師匠だったが、どう見ても、山岳会でもお荷物になってきているらしかったし…。

それが気の毒で、別の平日クライマーで超有名なフリークライマーを紹介したら、二人は全然、合わなかったんだったが…。遊び友達は誰でもいいってわけではなくて、自分を立ててくれる人限定、なのだと、後で分かった。ので、吉田さんには悪いことしたな、と思った。

というわけで、結局のところ、岸良のステキなクラックを登る喜びを分かち合う人はいない。

ボルダーのほうで、見ていたら、ボルダラーで上手な人も、クラック触らせたら、超下手くそだった…ので、ボルダラーであっても、易しいクラックから学ぶところがないクライマーは、いないはずだ…と分かったのが、せめてもの今回の収穫か。

クラックがホールドとして使えるということは、2級などの難しいボルダーをサクッとクラック登りでオンサイト可能だ、ということでもあった…。

まぁ、そう言う学びがないわけでもなかったが、岸良は苦渋と悲しみの岩場となったわけだった…。


2020/02/28

安全軽視の価値観=カットアンカー

■ カットアンカー

カットアンカーではだめだということが、やはり、現代のクライマーには理解しがたいことのようです。

カットアンカーのボルトで落ちた、ということも、考えが浅かった事例にはなっても、武勇伝にはならないので、〇〇で落ちました、と言うときは、気を付けないと、自分の勘違い路線を露呈することになってしまいます。

カットアンカーでいいんじゃないか?と考えてしまう理由は

1)他の若手開拓者も資金の都合でカットアンカーで妥協している人がいる
2)つまり、周囲と同じレベルなら自分もそれでいいんじゃないか=他人軸
3)価値観: 例、ボルトにはお金を掛けれなくても、ウエアには掛けれる

です。

例えば、私たち夫婦は、一人4万円もする労山の雪崩講習に出ていますが、夫と雪の山に行く限り、それは必須だという価値観でした。セルフレスキューは、一緒に行く人と共有しないと意味がないですし、雪の山を独学するには限界が。でも、原資には限りがありますから、そのためにウエアなどは辛抱しなくてはなりません。

どちらを優先するか?というのが価値観となり、現代では、ウエアはお金を出しても、講習会にはお金を出さない、と言う価値観が主流で、そのために、遭難者続出です。

が、それは、まぁ物事の当然の帰結ですよね…。難しい言葉では、原因と結果の法則と言われています。

おしゃれにお金を出しても、安全にはお金を出さないのですから(笑)。高額ウエアに身を包んでお亡くなりになる、が帰結となってしまうのは、想像力の範囲で、予想できてしまいます。

同じことで、ボルトに関しても、ボルトの設置講習や現代の最新の知見を貰うことなく、見よう見まねでカットアンカーを仕込むことは、基本的には時限爆弾を仕込むことと同じですし、それでは、貢献、ではなく、公害、です。

たとえ、それが周囲の皆さんがやっていること、であっても、それに流されるか、流されないで、

自分の良心に従い、知性が教えるところを実践することができるか?できないか?

が人間力ということです。

現在のボルトがあまり信頼できない実情が広がっているのは、設置された当時の知見では、正しいと思われたことをしていたためで、それが覆った現代でも、情報不足のためにそれが正しいと思い込んでいる人に対しては、それも人間だから致し方ないね、と言うことになるわけですが、

現代の最新知見を聞いたうえで、

金銭的にボルト費用や講習費用は妥協して、なぜかウエアだけは立派、


では…。トホホな事例成立と言わざるを得ません。

2020/02/27

25kN

■25kN

現代のボルト強度は25kNと確保理論で教わり、ペツルハンガーがついているボルトは、みな25kNの強度があるものだと思っていた、あの頃…。

うぶでした。九州に来て、あんな支点やこんな支点を見かけるようになり、見慣れない支点で微妙に自己評価に自信が持てず、師匠に写真を送っては、「これってどう思います?」と聞きました…。きっと、今までそんなことをしていたクライマーがいなかったんだろうと。

開拓者に会ったときは、素晴らしい出会いだと思い「ボルトを提供させていただきます」と言いました。ボルト提供案は、なんという妙案だったことか…。

さて、ボルトですが、25kN出ているのは、M10グージョンとケミカルアンカーだけです。

M10カットアンカーは、正しく施工され100%強度が出ても、15kN。プアな施工だと5kN出るかしら?

でも、カムってレギュラーサイズ、14kNですよねぇ?スモールカムで4kN。

懸垂用途には、基本的に静荷重しかかからないことになっているので、中間支点よりも強度が落ちることは問題がないらしく、それでどうも、九州の支点は、立木でとることになっているらしいですが… 立木で支点を取るのはいいけど、その場合、木の上に生えた立木の強度は…?何kNなのか、評価不可能。

そして、懸垂は失敗が許されない。
中根穂高さんが、立木は抜けて落ちた事故報告があるけど、ボルト2個もろとも、抜けた記録はないと言っていました。ただし、そもそも、事故報告自体が上がらないので、報告にないと言われても、信用ならないですが…。何事も100%はない。

ちなみに70代で、まだ生き残っているクライマーは、トップロープソロ時は、ダブルストランド。ビレイループすらダブル。

現代の若者は、JFAですら、シングルストランドでぶら下がっていますが、1本だと1本が切れた時終わりですよねぇ?

オールドクライマーは、冗長の法則をかたくなに守っていました。それが生き残りの秘訣なんではないですかね??

2020/02/26

事故報告の一元化

■ 岸良で骨折事故?

湯の沢温泉のおばちゃんが

岸良にロープクライミングに来た東京からのお客さんが、骨折して帰った、と言っていました…

事故報告も、報告場所が明示されていないので、JFAのフリーファンに載っている以上にあるんだろうなぁ。

は少なくとも載っていないですし…。

事故は、”報告するな!”という圧力が働いているので、実際よりも非常に小さく報告されており、たぶん、フリーファンに載っているのは、

報告を避けれなかった

という事故になっていると思います。事故報告の扱い方でも、

登りたいエゴ

のほうが

安全対策(のための情報収集)

より、勝っているかもしれません。なぜなら、本気でクライミングの事故と向き合うのであれば、

 まずは実態把握から

が、論理的帰結だからです。それが行われていないのは、つまり、

お前が事故ったせいで、俺らが登れなくなるんだよ!

です。その事故った人に瑕疵がなくても、責められる。…という現状なのは、

同情心の欠如

で、

自己愛&自分さえ良ければ、ほかの人はどうでもいい

という態度のことであり、やはり人間としては改めたほうが良い態度だと思います。

それが積もり積もって、現時点で、事故が減らない、という現状を作り上げているんですし。

2020/02/25

Is your Brain Sabotaging you?

易しいものをいかに難しく登るか?

■ ボルダー
易しいものをいかに難しく登るか?というのが、
ボルダリングの本質

なんだなーと、いうことがとりあえず分かった今回。

アルパインクライミング=弱点を登る活動
フリークライミング=強点を登る活動
外ボルダー=さらに強点を登る活動

ということなんだ!と分かった。

今は、私は弱点を見出すということをテーマ…岩のルートファインディング…初めての沢でハーケン1本で敗退して以来、反省中…にしているので、私の個人的テーマとちょっと合わないので、ボルダリングは、そんなに響かない。

けれど、若者が若さであふれており、その若さを昇華するほどは、日本のアルパインの岩場は規模がなく、また易しすぎる、ので、できるだけ登れない、突破できない、難しさのをやりたいのだ、ということは分かりました(笑)。
若い時は誰だって、オールアウトして、自分の能力精いっぱいのことをしたい。

ボルダーも、一つの岩にこだわり、すべての登れるラインを登って、完登としたらいいのではないですかね?

登山道でも、ルートAとルートBとルートCがあるとき、一番カンタンなルートAだけを登って完登とはしないでしょう…今の人は、一番難しいルートCを登ったら、完登としてしまいますが、それでも、やはり、その山のすべてを知ったことにはならないように、一番難しいラインを登り終わって、その岩一個のすべてを知ったこととはならないような気がするな。

岩との対話をしたいわけではなく、まぁ、自分の能力はどこまでなのか?を皆、見極めたい、のだろうというのは、共感はできますが…。若い時は、誰しもそうですし…。

でも、A岩のAラインだけを登って、A岩は分かった、と言われたら、A岩としては不服だろうなぁ…

今回のフェスを振り返って

■ 今回のフェスを振り返って

以下の、”東さんヒントのクライミングの理想”と距離を測るとする。PDCAサイクルの一環で、A、のアセスメント。

今回のクライミングフェスでは

新人さんへのクライミング導入について安全対策の指示
クライミングの不文律の伝達


などは、非常に手薄感というか、全くなしでした…。クライミングの価値を伝える部分、と言う意味です。ただ楽しいだけ、お金をかけて解決するだけということです。例えば、オンサイトの重視などは、まぁ、ボルダラーと言うのは、基本的にはオンサイトはどうでもいい人たちなんだな~と。

ボルダーで強くなった先に、リードがあるか?というのは、なかなか厳しいだろうと想像できました…

やっぱり逆のほうがいいかも…。

ーーーーーーーーーーー
環境
理想

・クライミングエリアに人が少ない
・順番待ちは無い
・岩の磨耗が少ない
・チョーク跡もない
ーーーーーーーーーー

これについては、大勢が集まるフェスでは、一時的に、目をつむる。

ーーーーーーーーーー
権利
・自分に登る権利があるということは、他人にも登る権利がある
ーーーーーーーーーー

これは、開拓者特権のようになっており、望ましくない方向に発展している。他者の登る権利は、制限されていいという思想が強くなっている。

ーーーーーーーーーー
・人口増
・クライマーとしての不文律を知らない人びとが多くなる
ーーーーーーー

これは全く対策されていない。ボルダーで対策することもできると思うが、安全管理不在。

ーーーーーーーーーー
スポンサー
理想は...
・スポンサーはクライミング業界につながりのある会社

ーーーーーーーー

クラウドファンディングでは、クライマーがパトロンなので、理想は実現できている。

ーーーーーーーー
情報
理想...
・手軽に情報が入手できる
・岩場のルートやアプローチ
・コンペの案内や出場登録、
・ムーヴの動画や最適な登り方

現実
・インスタ映え
・冒険的な要素がなくなる
ーーーーーーーーー

今回はトポは公開されているのは、ネット上でフェス参加者のみ。紙の印刷したものを参加者に手渡し、PDFは無料公開があるべき姿と思う。 情報を淫靡しないといけないような、特定の有益情報は、フェス参加者にはなかったため、ただフェス管理運営側が情報を支払い特典にしたいだけのようです。

ーーーーーーーーーー
理想
・自然の岩に触れる
・クライミングをするなら、自然の岩は必ず向かって欲しい
ーーーーーーーーーーー

これは実現できていたようです。V0スタートなので、6級からスタートです。6級未満はないので、ジムで6級の人から?

外環境になれるという、アウトドア慣れ的なものをテーマにするのは、いいのかもしれません。インドア派の人は一日外にいるだけでも疲れるものですし…

外ボルダリングにもデビュー前に知らないといけない安全対策があるはずで、その辺の情報提供が希薄なため、このままいけば、いずれ事故になる路線でした。

■まとめ

5段階評価で…

環境 ☆ゼロ
他者の登る権利配慮 ☆ゼロ
クライミング価値の伝達 ☆ゼロ
スポンサーの在り方 ☆5
情報提供 ☆4
外岩原則 ☆5

結局のところ、

一部の既得権獲得集団(=開拓者)が、既得権を上からかざして、一部の人だけに金銭提供などとの対価で交換するものの安全対策は不在

というアルパインの世界でも見たことがある風景をそのまま受け継いでいるだけになっているということが分かりました… 

ゴミ拾いだけでなく、

きちんと安全管理の方法を提供していくべき

です。

・1パーティあたりの、マットを持ってくる枚数を規定、あるいは、チェックするとか、
・その課題を登るにあたり必要なマット数を参考マット数として提供するとか
・グレードの評価を違うと思った人から、再評価を受ける仕組みの確立

とか、色々、改善点はありそうです。

日本男児は若くても老いても、日本男児ということです…残念な現実ですね。

世界では、

1)グレードの評価は、評価する目が多ければ多いほど正確
2)登るために必要な安全対策はあらかじめ教育してから登る
3)マットは自分が登るのに必要な数は自分で持ってくるよう、あるいはグループでその数も調整する

のが定番と思います。現実問題として、遠方からの遠征の場合、マット持参は厳しいので、大会側はレンタルを検討するのが筋かなと思いますが…

色々な制約上難しいのであれば、マット持参可能なクライマーのみ、参加可能とすべき。

最低限の自立は必要ということです。まぁ、うちらは4名でマット2枚ということになったのですが(笑)。それでもそれで登れる課題に登ればいいので、非自立と言うことにはならないですが、マットゼロというのは、要するに落ちないところしか登れないという意味です。