2018/05/29

宝満山でクラック

遠くに見える山頂の岩場
■ 高尾山みたいな山…

宝満山は、高尾山みたいな山(つまり、1時間で山頂、しかも舗装されているにも近い石畳の登山道…つまり、誰でも歩ける入門レベルの山)で、ハイキングなら、わざわざ行くほどのところでもないと思い、なかなか行く気になっていませんでした。

まぁ、マルチピッチの入門の山、三つ峠も、一般登山者から見たら、1,2時間で登れる、ハイキング入門の山ですけどね。

その宝満山に、クラックがあるらしい、というので、出かけてきました。

山頂直下の稚児落としという岩は、ルート3~4本くらいしかなく、登れるのは1~2本。

だいぶ掃除が必要そうでした。あまりそそられなくて、パス決定。

右上していて、支点はペツルだけど、ペツルもどれくらい信用できる支点か、わからず、登攀自体は易しそうではありましたが、カムも設置しづらそうでした。私の目的は、カム設置を覚える、なので。しかも、斜めのラインの登攀って初心者向きじゃない。ので、パス。

終了点は裏に隠れている
それで、吊舟岩のほうへ移動… この山は、ミニチュアサイズで登山道が錯綜しており、山頂付近は分かりづらい!岩場まで行くのに、道を間違えた!













■ こんなクラックでした♪

ようやっとたどり着くと、いい感じでした~ 何しろキレイ。クラックもいい感じでした。

これは、実は教えてくれた人がいたから…です。その方の感謝、感謝です。

アルパインの岩場という言い方が適切かわかりませんが、コケとか草とか、泥とか、緩そうな岩とかあると…後回しでいいかなって(笑)。

難しくても、直上でペツルがいいな♪って。クライマーとしては、ビビりが強くなっているってことで、どうか?とは思いますが、まぁ、今のレベルでは、それも致し方なしかと。

このワイドスタートのクラックを疑似リードで、カムを設置しながら登りましたが、カムの選択に結構、試行錯誤が必要そうでした。早く覚えねば。クラック、久しぶりすぎ!2月の、城ケ崎以来です。城ケ崎では、足ジャムを忘れていて、驚いたのでした…。

ラオスのどっかぶりは、アイスとは似ていますが、クラックとは似ていないと判明。足で登らないとダメです。


こっちはきれいなクラックですが、上のスラブがねぇ… 途中までは快適なハンドジャム。

難しい課題と易しい課題、両方が揃っている岩場で良かった♪です。

■ 作戦の勝利

石畳の登山道を下山すると膝に悪いので、あえて、シロハケ尾根を降りました。

せっかく車2台あるので、1台だとできないことをしたい、というのもありました。

シラハケ尾根で降りると、近くに竜岩自然の家の人工壁があるので、登り足りない分を人工壁で登ることに。たぶん、登り足りないだろうと思っていたんですよね…。

ただ人工壁としてみても、小さい人工壁なので、人工壁だけでここに来る、というのも、もったいないので、まぁ、ついで、でちょうどよかった♪

今度から、この岩場は、人工壁とセットで決定です(笑)

人工壁は、なんと1時間100円って…激安です。ただ、今回は、車から降りて10分みたいなゲレンデではなく、小一時間ちゃんと歩く山なのに、いつものゲレンデより、食料をもっていかなかったため、おなかがペコペコに…

竜岩自然の家で、何か買えないかな?と思っていましたが、売店はなかった(汗)。大宰府は、町だと思って、なんでも売ってるだろうと踏んでいたのです…梅が枝餅とか。

お腹ペコペコです~と竜岩の職員のおじさんに訴えたら…カップ麺を恵んでくれました(笑)。150円。おじさん、ありがとうございました~!

会いたい人にも会えたし、とりあえず、作戦の勝利な日でした。

2018/05/21

鬼ヶ鼻の岩場

 日月が休みとなり、日曜はロープワーク講習のために、日向神へ。これは、残念ながら、レスキューではなく、マルチピッチで、とても残念。最後、初心者向きのルート(八女津姫岩)をオールリードで登ったのが成果。スパイアで登ったので、ゆるくて結構大変だった。アルパイン用にしているシューズだから…

本日の月曜日は、近所の岩場の開拓ということで、鬼ヶ鼻の岩場へ。楽しかった♪

大展望で素晴らしかった~

お天気がいいとそれだけでも気分が盛り上がる。




ここは、アプローチが難しく、懸垂で降りるのがベター。60mあれば足りる。

 こんな道標がある。

一般登山者が通る場所のすぐ下が、小さなテラスになっており、ペツルが2個打ってある。その上にリングボルトもある。下にも、リングボルトが3つ連打してある。

 こんな感じ。

下のリングボルトでバックアップを取り、上のボルトから、岩角までが長いので、できるだけ長く伸ばして、支点とする。

ただ、これくらい伸ばしても、足りない…。

というのは、岩角にロープが当たってこすれるのである。

あとで登る、というための終了点としての支点なので…トップロープするとしたら、こすれるのは、なんだかなぁ。

リードだと、まぁ問題ない。こすれるときにテンションがかかっていないから。

 これは上のペツル。さらに上にリングボルトがあった。

下はこんな感じ。もっと伸ばしたいけど、これが限界だなぁ…。

鬼ヶ鼻の岩場のトポは、こちらにある。

http://kokuryoukai.sakura.ne.jp/2-4-2.html
アプローチは椎原峠の西300mのところへ駐車し、そこから、縦走路を金山沿いへ。約20分ほど縦走路を行く。

鬼が鼻へ出たら、懸垂して、とりつきへ。

帰りは、岩場を回り込んでフィックスが張ってあり、歩いて戻れる。


今日の成果は、

5.10b TR 
5.9 OS
5.10A RP

取りつきを探していたら、ギンリョウソウがいっぱい出ていた。

後で家に帰って調べたら、右下岸壁には、たどり着いていなかった(汗)。

2018/05/17

Alex Honnold Japan Rock Trip



アレックス君が平山ユージさんと日本の岩場へ来ている図。あの、フリーソロのアレックス君だって、スポーツクライミングの岩場が楽しいって言っているくらい。

やっぱりラオスは楽しいでしょう!

2018/04/27

グレード不明の課題

そういえば、ラオスで今回、ひとつだけ全くグレードがつけられていない新課題を登った。

見て、登れそう、と思って。

ビレイヤーは全くの初心者の人だったが、別に怖くなかった。登れて当然の感じだったし、ダメだったら、ヌンチャクセルフとおもっていたので。

登った後、「グレードはどのくらいと思う?」と聞かれ、「うーん、5cないくらい?」と答えた。泥っぽくて嫌らしかったが…。

その課題を再訪したら、5bって書いてあり、やっぱりなーと思って、ちょっと気分が良かった。


先輩の役目

ラオスでは脳内ホルモンが出て、クライミングが楽しくなった。

ラオスでは、パートナーに”ひどい目”にあわされている私を、トニーがレスキューに来てくれた。

”ひどい目”というのは、したくないことを強いられている、と、周囲のクライマーの目には映っていたようだ。

それは、私が、したいと言っていないのに、リードを無理強いされていたり、登れないほうが下、という風な関係性で登る羽目に陥っていたからだ。

そもそも、私自身も、なんでビレイヤーで呼ばれて行って、その人のビレイのために、来てあげているのに、いちいちリードを強いられるのか分からなかった。つまり、一緒に行っていた人は、

山岳会の伝統

と同じことをしていた。

しかし、私はその人の会の後輩ではないし、来てくださいとお願いされたから行っており、なんで嫌だと思っていることをしないといけないのか?と感じた。

たぶん、私は苦虫をかみつぶしたような顔をしていたと思う…楽しい海外クライミング♪ではなく、忍の一字。

そこで現れたのがトニーで、彼は日本語がペラペラだったので、グループで登るようになり、リードを強いられなくなり、最終的には、トニーのビレイで、6A(5.10A)をリードで登って、レッドポイントできた。

その後、クライミングの楽しさは一気に向上した。

最初に山を教わった先輩は、したくない人にリードさせてはいけないと教えてくれた。

初心者時代は、自分がリードできる課題が、どれなのかよく分からない。

ので、先輩が「これ、リードできると思うよ」と言ってくれた。瑞牆のツルカメで、初めてクラックをオンサイト出来たのは、このアドバイスのおかげ。

そういうアドバイスは感謝している。が、これをリードしなさいと強いるのは、クライマーを育てるのにあたって、逆効果だと思う。

この逆効果が、山岳会に蔓延していて、それで、万年フォローが出来上がってしまうのではないだろうか?

私はクライミングは楽しくあるべきと思うので、自分の後輩がリードを怖がっている場合は、楽しいと感じられていない、という意味なので、グレードをどんどん下げることにしている。

コニーの場合は、5cをトップロープさせて、できなかったので、5b、5Aと下げて行き、4まで行ってリードになった。それでいいと思う。十分、4をすれば、じきに4には飽きて、5Aに行くんじゃないだろうか?

飽きて、というところが重要なのかなぁ…???

全くの初心者時代の、三ツ峠などは、私がリードしたところをフォローでついてきた先輩が「よくこれリードしたね」と驚いていたくらいで、私の安全マージンは、当時は先輩が、そうあるべきと感じたマージンより狭かったようだ。(たぶん今は広すぎ。もちっとギリギリへ行くべき)

これはこれで、安全マージンが狭いと、先輩としては、「この人、こわいなー」と思うはずだが、それを受け止めてくれるのが、先輩の仕事、っていう気がする。

私は、その仕事はやれる自信がある。

2018/04/23

グランドフォールを見た

昨日、四阿屋の岩場で、グランドフォールを見た。インディアンフェイス 5.10bで。

友人談。

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四阿屋はトポよりワングレード高いと言われているから10bが11bぐらいのグレーディングだったかもしれませんね
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■ グレードではなく、目視で判断する

最初の師匠は、グレードを追いかける山が嫌いな人だった。

だから、私がクライミングジムに通い始めると、嫌味を言っていた…。それが、なぜなのか?私にはわからなかったが、

それは、このような事故を防ぐためだと、今、分かる。

グレード依存症

になっている人だと、

・ジムで5.11bが登れるから、のノリでピッチグレード4級の本チャンに出かけてしまう

・5.10bなら登れると思って、登れない課題に取り付いてしまう

昨日のグランドフォールでは、登っていた人は、1ピン目でヌンチャクを掴む、Aゼロしていたので、3ピン目で落ちるのは必然だったかもしれない…

3ピン目から出ているロープ長は、グランドスレスレの長さ。手繰り落ちるとアウトだ。

しかし、ワングレード辛いの意味が、10b→10cではなく、10b→11bとは…

■ 岩のルートファインディング能力を磨く

でも、トップロープで取りついてみたら、昇仙峡でやった11bと近い感じがしたので、私のグレード感覚は、あながち間違っていないことが、せめてもの救いか。

大事なことは、自分の目で見て、自分が登れるか登れないかの判断力をつけていくことである。

まぁグレーディングが当てにならない、ということを考えると、自分の目で見て、登れるか登れないか?を判断するという格好のトレーニングなのかもしれない。

岩のルートファインディング能力を磨く、


ということだ。

クライミング用語では、オブザベーション。

実は、オブザベはあまり好きでない。のは、未知が好きだから、取りついて、それから、考える派。

でも、見て登りたいかどうかを決め、それが大体あっているのは、大事だ。

よし!テーマは、ルートファインディング能力、オブザベ能力ということにしよう。

■追記

この時みたグランドフォールでは、腰椎3か所骨折で、11月現在も療養中だそうである。

ここはベテランによると、5.10dではないかとのことだ。

2018/04/21

雌鉾岳 スラブ登攀 長征ルート

 さて、翌日(4/16)は、大快晴での幕開け。

気分が嫌がおうにも盛り上がる。6時起床、8時出発とした。

鹿川キャンプ場から普通に登山道を上がる。岩場巡りの勘が、小川山での偵察山行などで、すでに培われていて、よかった。数年前は、岩場に行く前にその山の一般登山道を歩いて概要を把握していた。

ここは、雰囲気は、瑞牆のカンマンボロンを見に行く道と同じ感じだ。右に沢、樹林帯を行くと、だんだんと岩が迫ってくる、と思ったらもう岩の基部。

比叡も、雌鉾岳も、地権問題がなく、標識が整備されているのが良い。

30分の歩きで、すぐに美しいトラバースルートのとりつきについたが、不安だったので、もっと先に行ってみる。すると、鹿川の大滝に出た。

ぱっくり岩という岩があるところも近いらしく標識が出ていたので、しばし、遊ぶ。

沢がきれいだった。本当に瑞牆っぽい。

大滝は圧巻の眺め。岩場も大きな一枚岩のスラブで、本当にインスボンみたいだった…


 こんな風なおおーという眺め… 盛り上がる。

 いや~素敵な場所だー

新緑もすがすがしく、鹿川キャンプ場に、夫とハイキングでまた来よう!と思う。
 パックリ岩。
 こんな大きさ。
 すいません、これはもう山頂。雄鉾岳の岩は垂直で取りつくしまなし!
 山頂、終了点からの眺め。

雌鉾岩は、登攀しなくても、山頂に立てる。が、岩のマルチピッチで山頂に立った時の感動が大きい山だ。
 山頂の様子。
 これは、アケボノツツジ!とても可憐でかわいい花だった。
洞窟になっている!水も澄んで、まさにカサメリ沢みたい!

というか、ほんとにいいところだー














さて登攀の様子を書き留めておかなくては…。

岩場の基部で、とりあえず、リードしますと申告。なぜなら、1ピン目が見えたからであるが…その次が見えないくらい遠いので、まるで1ピン目の意味なし。

だが、スラブは寝ていて、これは、インスボンだったら、アプローチ扱いの場所だなと思う…。韓国のクライマーはザイルを出さないところ。もちろん、私は出してもらったが…。

ので、これくらいはリードしなくては…。去年になってしまうが、小川山スラブでは一皮むけていたんだしね!

というので、1ピッチ目で朝一リード。ロープが重かったので、ビレイしている人のほうが緊張していたに違いない。

が、怖かったので、すごく急いで支点まで行ってしまったのだった…(笑)

2P目は相方リード。強つよクライマーでも、やっぱりリードは真剣。易しいところでも手を抜かず、見直した。

3P目は再度私のリード。つるべは早いね~と相方うれしそう。3P目の出だしで、フレークに小さいカムをかませるが、フレーク自体が浮いており、あんまり役立った様子はない。でも、取れるところでとらないプロテクションはかっこ悪いので、とりあえず取る。

が、トラバース気味で、あんまり…大きな木の根元でビレイ。

4P目相方。トラバース。

5P目は大トラバース…まぁ比較的大きな負っとスタンスがあるのであるが、何しろピンが遠い。2本くらいしかない。しかも気休めちっく。

6P目相方。で美しい‥‥は終了する。

7P目は、大滝左とつなげるバンド歩き。ここのトラバースは、先ほどの大トラバースより楽だったので、ダブルの流れをヌンチャク2個賭けで流すことをしなかったら、流れず、セカンドのビレイが大変になった。自分のせいなので文句は言えない。

さて、8P目の大滝左を見上げると、5.6のスラブなのに、とてもそうは見えない。かなりピンが遠い。相方リード。

9P目は、5.7で出だしが核心、しかも屈曲も激しい…相方にリードを変わってもらう。ロープを裏返して、ビレイ体制へ。

10P目は、3の坊主の下から、2の坊主、1の坊主の間へ。トラバース。ロープが流れずピッチを切る。ロープをつないだまま、確認のため、1の坊主のほうへ行ってみる。岩角でビレイ代わりにする。

11p目は、岩のてっぺんへ登るクラック登り5.9だが、ボルトは一個しかなく、ほぼフリーソロと同じ。

粒子が荒く、手が二人とも血だらけに。

これで終わりだった。山頂は、金峰山五丈岩って感じだった。ところどころに穴が開いており、雨水がたまっている。

山頂で少しのんびりし、行動食を食べる。素晴らしい眺め!隣の雄鉾岳だろうか、岩の壁がすごい!

後ははしごを降りて、一般登山道で帰るだけだったが、これもまた不明瞭なところがところどころあり、たまに獣道へ。そのたびに、これは一般登山道の感じじゃないなと補正して戻る。

こういうのは、読図の山や、沢山行などで、培った、大地に対する感覚のたまものだ。

しかし、九州の一般登山道は、本州よりも、迷いやすいみたいだ。

途中に巨大なサルの腰掛などを見つけたり、美しいアケボノツツジを見つけたりして、癒されながら下る。

スタートは10:30.15:00トップアウト、17時30下山完了。

2018/04/20

心理的トラップを避ける

■ 心理的トラップ

”山をする”という”山ヤ道”には、あちこちに心理的トラップが仕掛けられている。

それらを避ける、ということには、ある種の自信がある。

最大の心理的トラップは、

  俺(私)のことを世間に認めさせたい!

という名誉欲を起源にしている。これは、一昔前の山のスタイルでは、肯定されている。しかし…

そんなことが重要か? 

答え) 全然、重要じゃない。

世間に俺を認めさせるためなら、死んでも結構!と思う人でない限り。

なので、私は、ほんの少しでも、

 競争心

を煽られた場合は、その山をお断りすることにしている。ラジャスな山はしない。

パートナーの競争心や名誉欲に付き合っていたら、自分が死ぬ羽目になるのは、歴史どころか、身近な友人の死が証明している。

しかし、自分を認めさせる相手として、重要な人が、一人だけいる。

 自分だ。

自分で自分に負けないということは唯一重要。なので、

 闘争心

は、多少必要かもしれない。と最近、考えを改めた。

 強い心

と言ってもいいかもしれない。

その(強い心)と(適切な判断力)のバランスが、山の醍醐味。

平たく言えば、ただの無謀になるか?チャレンジになるか?ということだ。

■ 事例

トレーニングはしていない、すでにメタボ、酒は飲む、予習のゲレンデでは、3手で腕アップ、みたいな人が、阿弥陀北稜というのは、ただの無謀。

それを止めない山の仲間。これは、心が広いのか?それとも、仲間としての役割を果たしていないのか?

どちらか知らないが、私自身は、相手が自滅的な行為を取ろうとしたら、それを指摘するのが最低限、パートナーとしての務めと考えているタイプのクライマーだ。悪しからず。

岩との絆を作る

■ 雪は怖くないけど、岩は怖い

私は雪で山を始めたので、雪の急斜面に対する恐怖心は、あまりない。だが、岩だと怖い。

岩は、なぜ怖いのか?

雪だって大怪我につながるし、ちょっとした失敗が命とり、ということは同じ。

一つには、上半身の筋力で自分の体重を支えることに自信がない、ということがある。

しかし、この数年間、絶賛取り組み中で、ラオスでは成果を感じている。

結局、岩で  

  未知の要素 

が出てきたときに、自分にそれに対応する

 対応力がない、

と感じている。

つまり、ムーブの引き出しがない、ムーブの代替えになるパワーもない、って意味ですね・・・

要するに、岩との絆を築き損ねている…。(というか、築いている途中)

なので、岩との絆が築けたな、と感じるまでは、やっぱり岩をしないといけないのだろうな、と。

それをデシマルグレードに直すと、大体の人のおおよその合意で、5.11ということになるのではないか?と想像しています。

それだけあれば、たいがいのところで困らないというグレードなのだろうと…。

私の中では、それ以上のグレードを追求するということは、イコール、フリーのクライマーになるってことで、アルパインのクライマーだったら、大事なことは、

岩との対話力、

ってことで、その岩との対話力を作るには、

 リードが必要

なのだと思う。

これがリードクライミングが岩の基本だということの真意なのではないだろうか?

2018/04/18

体力が揃う相手

先日、クライマーに「いつも年配の人と登っていることが多いよね」と質問されました。その通りなのです。

これは、
A)体力が落ち、リスク管理について熟知した男性クライマーと、
B)体力がそもそもなく、リスク管理について、女性であるためにそもそも非常に敏感な女性クライマー

が、体力&リスク管理面で、意識が揃うから、です。

女性は、誰でも、子供を守る本能があるため、リスクを一般的にだいぶ早めに認識します。やばいかもな、というタイミングが早いわけですね。

一方、円熟クライマーの方々は、大怪我は体験済み。もう一回大怪我したら、クライマー人生は終わり、という方が多いです。なので、一回の致命傷を負わないように、登っています。

体力も落ちて、若い女性と同じくらいに結果的になっているので、双方のスキルと意識が揃う感じでちょうどよいのです…。

若い男性だと、女性の体力レベルは推し量れない。

例えば、私と同年齢の男性クライマーとだと、筋肉量からして、私より10kg以上、歩荷してやっと同じ負担くらいになってしまいます。でも、誰でも当然ですが、自分ばかりが一方的に歩荷するなんて嫌ですよね。

※ちなみにメタボおじさん・デスクワーク組は除きます…最初から、脂肪の重り付きで歩荷よわよわなので。

年配の男性クライマーは、妻と歩いたり、娘と山を歩いていたりと、女性と歩いた山の経験値から、どれくらいで体力限界が来るか、など、データ量が豊富なことが多く、その点でも無理をさせ合わない関係が築けます。

というので、私のパートナーは、平日休みの関係からも、年配のクライマーが多かった事情がありました。

難しいのは、落ちている体力や認知力で、無理をさせない点でした…。

最初の師匠は、64歳でしたが、三つ峠登攀中にくも膜下出血…私だったら担げないので、慣れた仲間との間で起きた事故で不幸中の幸い。

2番目の師匠は大怪我の復帰後で、あまり長時間のビレイはさせられないし、寒さにも弱くなっていたので、アイスではリード練習は遠慮気味でした…。私のほうからは、「〇〇さん、無理をしないでね」といい、向こうは「お前はもうちょっと無理をしろ」という間柄でした。

私自身が先輩で、リーダー役の時は、”自分が無理なこと”は、絶対にしないです。仲間を守れなくなるから。しかし、それだと成長もできない。ので、背伸びの山をさせてくれる、体力や登攀力が上の男性の先輩は、ありがたい存在だなーとも思っています。

女子同士の登攀は、ちょっと憧れています。体力もリスク管理も、そろっていいのかな~と。

ランナウトと登攀力はセット販売

今回、鹿川の三澤さんからお話を聞くことができて、勉強になったのは、ランナウトのこと。

50mでⅢ級なら1本、4級だったらピン2本、5級なら3本、と中間支点を取るのに、基準があったらしい。それは、ランナウトに耐える部分に、価値が置かれていたから。

かつては、登攀は、名誉を求めるもの。

楽しむ、という対象ではなかった、ということなのだ。

本来、ロープをつけるのは、なぜか?

当然だが、落ちたときに確保されているためだ。この考え方では、1ピン目は近く、2本目も1ピンと同じ距離程度、3ピン目は2ピン目よりやや遠くても良く…、と、(ロープの全長)と、(最終支点から出ている長さ)が、

(ロープ全長)>(最終支点から出ている長さ)
という関係に常にあるように、支点を作る。(余談だが、これはアイスでリードすると誰でも分かる)

しかし、ランナウトしている岩場では、このような、オーソドックスな考え方は、全くされていない(笑)。

単純に4級は落ちないので、中間支点は基本的に要らないでしょう、しかし、とはいってもゼロ個では、ロープをつけている意味自体がゼロなので、申し訳程度に打ちましょう、ということなのだ(笑)。という事情で中間支点は形骸化。

ので、

 ランナウトした岩場=絶対落ちないスキルとセット販売。

ということが分かったため、今回、奇数ピッチをリードしたのは、絶対落ちないスキルがあるということで、ほっとしました(笑)。

私にとっては登攀力は最低限身につけないといけないスキル的な、ノルマ的な感じなので…。

2018/04/17

比叡&ニードル

■ 比叡

■ 個人山行で

比叡という言葉は、本州にいるときから聞いていた。楽しい岩場らしい、ということで…。漢字もかっこいいし、一度聞いたら忘れない。それで、興味の糸口はあった。

その後、こちらに来て、比叡の岩場に行く機会があったが、寝坊敗退。恐怖もなく、トポも読み、食料品などいろいろ買って、用意も万端だったのに。

私は偶然を偶然とはみなさない。これは、しばらく待ちなさい、という神の啓示と思ったのだった。

今回、会山行ではなく、個人山行で行く機会ができて、あの時、行かなくて良かった、と思ったのだった。

というのは、私は未知を楽しみたいから。

会山行で、調べないで行くと、それは依存。
個人山行で、調べないで行くと、それは自信。

本当にやばい時…自分のスキルを上回る登攀で死ぬかもしれない、というようなときは、虫の知らせというか、行きたくないと直感で分かるものだと思う。今回は、それはなく、ただ楽しみにしていただけだった。

■ ニードル左岩稜

ニードル左岩稜については、フリーで5.12登る女性が気に入っているルートだという話だったので、これは、難しいルートでは?という気がしていた…ピッチグレードを見ると、VII級で易しそう(後日談:ピッチグレードⅦ級は大変難しいです。『宮崎の岩場』にはⅦ級=5.10cと変換表が出ていますが、RCCとデシマルの返還には大いに議論があり、この表をまともに受け取ることには疑問があります)だが、私がリードできるかどうか?というのは、行ってみてみないと分からない感じ…しかし、いつも一緒に登っている人で、私の登攀力を見てわかると思っていたので、あまり心配していなかった。何年間か、通してみてくれている人とだと安心感がある、ということもある。私が、5.9もまともに登れないで、人工壁3mで落ちている時代から知ってくれている人だ。

しかし、クライミングというのは、なかなか成長しないし、成長するときは、一気にプラトー脱出だ。一皮むけたね、と言われたのは、去年の城ケ崎、ラオスの後だった。が、そこから、まだまだ先があり、2度のインスボンとラオスでの自立したクライミングでは、1回目のラオスほどの、脱皮はしなかったのかもしれない…そこまで成長感、脱皮感はない。特にクラックは、接する機会が乏しく、スキル減退気味。

朝は、ひとっ走りだが、福岡を出るのに、だいぶ時間がかかった…トンネルの料金所(310円)を過ぎてからはすぐで、あっという間だった。今回は待ち合わせ場所ですれ違い一回。車は安全を見て、ガレージに入れさせてもらう。宿泊で、シュラフがいるよ、と声をかけておく…。

千畳敷へは運転は交互に。途中、コンビニによったり、道を間違えたり、と、いろいろあったが、無事、登山口へ。千畳敷展望所へ続く登山口には、トイレがあった。(がペーパーなし。)

ギアを支度する。私もカムを一式持っていったが、ワンセットでいいだろうということで、不要だった。

千畳敷からは、ニードルが、山のシルエットの内側に入り、ニードルらしさが減じて、重なって見えてしまっていた。

とりつきの位置を探すのに、しばらく岩を観察する…。うーん、登れるのかなぁ?見てもわからない。

とりつきへは、一般登山道を15分ということで、登山道を登ると、すっかりあったかくなる。しばらく山を歩いていなかったなぁ…。 健康に良い山歩きを再開しなくては。

虎ロープが張られているところを超えて、クライマーの踏み後を辿る。クライマーの踏み後は登山道よりも薄く、踏まれていないところより濃い。その加減を言い表すのは難しいが、確実に一般道ではない感じは確かだ。

すぐにフィックスロープが出て、メタボチェックのような岩の隙間を通ると、すぐにとりつき。一番左が、ペツル。真ん中がダブルフレーク。右はノーマル。

ペツルが魅力で、スーパーにとりつくことに合意するが、これはスーパーだけに、なかなか厳しいスタートだった。フリークライミングの力が必要。

ニードルは、ともかく風が強く、寒かった。ウィンドブレーカー的なものを二人とも来ておらず、寒い。私はクライミング用のザックにジャケットが入っているがビレイ中で手が離せない。

 ニードルの登攀は、やはり難しく、私のリードはない感じだった…。最近アップアップの登攀はあまりない…確実感で登っているので、久しぶりのアップアップ感がある登攀。

3P目ではコールが聞こえず、ロープも動かないので、しびれを切らせて、ロープクランプで自己確保して登る。





ニードルのてっぺんで、寒く、ロープをまとめず、1本で懸垂したら、ロープジャムを直すのが大変だった。懸垂そのものは、まぁ大丈夫だった。途中でステミングで隣の岩に飛び移る。3mほど横移動して、登攀開始。

Aピーク正面壁も3Pだが、これも難しかった。最終ピッチの出だしは、3回落ちて、あきらめて人工した。とてもV級-、5.5ではない。どう少なめに見積もっても、5.10bは最低あるムーブで、フットホールドはなく、薄いフレークにジャミングか、ガストンで足は外にステミングで突っ張らなくてはならない。

 フットフォールドがないので、腕力が必要で、これは疲れていなければ登れたかもしれないが、すでに最終ピッチで疲れていてダメだった。

合ってよかった、自己脱出技術という感じ。久しぶりに使った技だ。


 これはすでにAピーク終了点から。

終了点には、リングがあった。少し行くと、立派な松の木に残置のスリングがかかっていた。こっちはブッシュがない。

本峰はまだあり、踏み後が見えたため、歩いて行けそう、と提案するが相方は北面を懸垂で降りたいそう。

北面はブッシュが出ていて、とても降りれそうではない。

ので、元来た道を戻ることに。サマーホリディというルートの基部に降りるそうだ。

しかし、ロープを投げる方法は、ブッシュに引っかかってそれの解除が大変…

3Pの懸垂だったが、3P目は束ねていく…。やっぱり懸垂は、場慣れだなぁという感じだ。いろいろな方法を知っておくと、時間が節約になる、ということなのだ。

最後の懸垂は、もうスタートからブッシュ。途中で落石を踏みそうになり、ひやり。というのは、下で待っているトップはヘルメットをかぶっていないで腰にぶら下げていたからだ。

ブッシュのとなりには、なーんだ、岩が出ていたのだが…そこを降りるにはどうすればよかったのだろう…。

さて降り立つも、まだまだ先が。ここはサマーホリディのとりつきなのに、下は、みじかい懸垂が必要なのではないか?というくらいの傾斜。ふと横を見ると、踏みあと。

クライマーの踏み後が当然あるはずなので、それを辿ると少しで虎ロープに出た。ほっとする。あとは登山道を降りるだけだ。

ところが薄暗いのと、沢地形であることがあり、踏み痕を外してしまうこと数回…

やっと元のザックを置いたところについた。アプローチシューズをもって上がらなかったので、足の痛みが限界。

さっさと車まで戻り、下山報告を。

あとは、庵・鹿川まで行くだけだが、これがまた場所も連絡先もわからず、難儀した。

が、車中泊もできるので、まぁ。那須商店へ行くことを思いつき、向かったら、奇跡的に電気がついており、おばちゃんが店を開けてくれ、二人で3000円相当のお買い物。

隣が庵だった。

庵では三澤さんが待ち構えており、お風呂を沸かしてくれていた。五右衛門風呂。

少しお話もしてくださり、深謝。