2025/10/28

「クライミングは自己責任」から、「行動の結果を考えよう」へ

クライミング界に必要な変革

「行動の結果を考えよう」

これまでクライミング界では「クライミングは自己責任」という標語が掲げられてきた。
しかしその結果、「自己責任」を盾に他人に責任を押し付ける、無責任なクライマーが増えてしまった。

いま必要なのは、「自己責任」ではなく「行動の結果を考える」文化だ。

「行動の結果を考えよう」という価値観に転換すれば、

どれだけ深く結果を考えられるかという心理的競争が生まれ、自然と事故は減るだろう。


世界のトヨタを生み出した日本人。

われら日本人が、懸垂下降でロープが地面についていないとか、
登ったはいいが降り方が分からないといった理由で命を落とす。

そんな馬鹿なはずがない。


登山では読図ができず、自分が山の中のどこにいるのか分からなくなる。

――そんなこと、能力的にあり得るはずがない。


つまり、多くの日本人は、「考え方」を教わっていないのだ。

だからこそ言いたい。

「クライミングは自己責任」という標語から、「行動の結果を考えよう」へ。

これが、遭難事故を減らすための本当のカギですね。

■現状の構造的問題

「クライミングは自己責任」という言葉が、構造的に無責任を産んでいることです。

本来は“自分の判断・技術・準備に責任を持つ”という内面的な原則だったのに、
現実には「こんな俺を信じたお前が悪い」「俺のせいじゃない」という加害の免罪符に転化してしまっています。

つまり、責任のベクトルが、自分→自分から、他人→他人へとすり替えられている。

しかも、それを“合理的な正論”のように装える点が、非常に危険です。

「自己責任」という言葉が倫理の空洞化を隠す仮面になっているという現象です。

そしてそれは、無責任の自己責任とでもいえる現象となって、クライミング会全体の“思考停止の構造”を象徴しているとも言えます。

「俺を選んだのはお前の自己責任でしょ」