2025/10/23

【クライミング指導】指導経験のない上級クライマーが、初心者に教えることが難しい理由

今日はプールに行ったら、私を泳げるようにしてくれた87歳の丸林先生に会った。とてもうれしかった。私が水泳を続けていることが先生もうれしいみたいで、相思相愛。

そして思うのは以下のことだ。

■指導経験のない上級クライマーが、初心者に教えることが難しい理由

指導経験のない上級クライマーは、そもそも初心者がどこで詰まり、なぜ怖いのか、どうして動けなくなるのかを理解できない場合がほとんどです。

・初心者のムーブレベルや身体感覚を分析するスキルがない。
・そのレベルに適した課題(グレードや傾斜、ホールド配置)を選ぶ能力がない。
・初心者がその課題で実際に使える安全対策(ステッククリップ)やビレイ方法を知らない。
・初心者がクライミングを安全に、段階的に習得できる教え方を知らない。

■友達の上級クライマーについて

その上級クライマーは、単に一緒に登っている友達にすぎません。

初心者を指導したり、怪我をさせないように責任を負う立場ではありません。

もちろん「上級者の友達に教えてもらって、上達したり、楽しく登れた」というのはとても良いことですが、それは必然ではなく、たまたま相性や状況が良かった「ラッキーなケース」と考えた方がよいでしょう。いつもそううまくいくとは限りません。

これはクライミングだけでなく、スキーやスノーボードなど、レベル差のあるスポーツ全般に言えることです。

① 指導経験や指導スキルのない上級クライマーからのアドバイスは、

 今のあなたにとって最適なアドバイスや教え方ではない場合が多い、
 ということを理解しておきましょう。


 それは、感謝の気持ちとは別の話です。

② アドバイスや指導は、「自分のレベルに合っているかどうか」がとても大切です。

③ 自分のレベルに合ったルートや課題を選ぶことは、初心者にとって非常に重要です。
 (グレード、傾斜、ホールドの種類、ホルト感覚、スラブか?フェイスかなど)

④ 上級者の友達と一緒に登っている場合でも、その友達には、 あなたを上手にする義務も、あなたの安全を保障する責任もありません。

インストラクターやガイドと呼ばれる人たちは、あなたのレベルに合った課題やルートを選び、あなたの成長に合ったアドバイスをしてくれる専門家です。


そして、そのために日々トレーニングを重ね、指導スキルを磨いています。

彼らは、試験を受けて資格を取得し、日々のレッスンで経験を積み、さらに上位資格を得るために高額で長期の講習にも参加しています。

つまり、上級者の友達とインストラクター/ガイドの違いは、「インストラクターはあなたのために、自分の持つ情熱・スキル・経験を最大限に使ってくれる」
という点にあります。

あなたの友達の中には、技術だけならインストラクターより上手な人もいるかもしれません。

ですが、「教える」ことには別の専門性と責任がある、ということを覚えておきましょう。

逆に、クライミングが好きで、上手だからといって、そのスキルや情熱を「自分の登りのため」に使いたい人は、インストラクターやガイドにはならない方がいいです。

なぜなら、インストラクターというのは、自分が登る楽しさよりも「相手が登れるようになること」「相手が笑顔になること」に喜びを感じられる人の仕事だからです。

もし情熱の矛先が自分自身の挑戦や成長に向いているなら、それはとても健全で素晴らしいことです。


けれど、その情熱の方向が他人に向いていないと、インストラクターとして活動しても、あまり楽しく感じられないでしょう。


■ヨガの指導歴6年

私はヨガの指導歴が6年ありますが、指導でうまくなったのは、教え方、であってヨガそのものではありませんでした。

私の水泳の先生は87歳ですが、自分はもう泳ぎません。でも私にくれるアドバイスは的確です。