2022/11/18

山の価値観の閉そく状態…40年前の常識で止まっている?

■山の閉そく状態

ある人に、冬山向けの洗っていないウールの手袋をお送りしようかと思って、手袋を眺めていると、現代の山登りが、大したことはできない世界になっており、残念に思ってアルパインを去り、それでフリークライミングに来たんだよなぁと思ってしみじみしてしまった。垂直ではなくて水平を目指すことにした人…すごい旅をしていたのに、なかなか世間の評価が来なかったんだよなぁ…

現代の山登りって、もはや、どこに登山史の地平線が広がっているか?というと、オリンピックアスリートレベルの5.12がフリーソロ出来るスキルを、標高5000~6000程度に持っていくって話で、結局、どこを向いても、一般の山ヤ、が夢を持って、山に取り組めるレベルっていうのがないんですね…

例えば、正月の中崎尾根とか定番すぎて、どこの会も行くので、正月後半に行けば、

 誰かのトレースを後ろから歩く山 =つまらん山

なんですよ。九州の人の判断基準は、みんながやっている=俺も、だから、中崎尾根行けるとおもったらしいですが、中崎尾根は正月最初に一番目に歩くパーティになれば、バンザイラッセルですよ。でも、後から行ったんじゃ、歩くだけ。だから中崎尾根行きました、は、実力の提示にらない。後立の遠見尾根も同じでラッセルの時、行ったんじゃなくて後から誰かの跡を歩いていくだけ、で自慢する人います。バカみたい。金魚の糞登山っていうんですよ、それ。

前に84の先輩で、志賀の岩場で2度も緩い岩を掴んで落ちた先輩が、谷川に連れて行ってくれると言い、その前に馬蹄形をやってほしいと言ってきたときは、この先輩と谷川は嫌かもしれないと思いました…。なんせ、フリーの岩場でも楽を掴むくらいなんだから、谷川なんて脆い山、死にに行くようなものかもしれん。

すごくいい先輩で、いつもテント泊で仲良くしていたんですが、先輩とはアイス登ったことがないのに、なぜか初めて連れて行ってくれたのは、甲斐駒黄連谷で、謎だったなぁ。普通は、いくらいつも一緒に小川山行っていても、アイスもやるでしょう…ロープ合わせ。でも、連れて行ってあげようというのがありがたかったな。結局、昇仙峡でワイドして遊んだのだが。私は黄連谷が課題になっている段階でパートナー欠乏で足踏みです。

この先輩には世話になったが、登りは11止まりで、それだと今の私の実力と変わらないので、当時はナインでもアップアップだったからあれだけど…先輩のことを考えると、その程度の登攀力では、どこのアルパインのルートにも安全には行けない、と思える。最後の辺りは、先輩が足を怪我しての病み上がりで、私は上達して上手になっており、メンツが…みたいな感じで気まずかった。

御坂の先輩たちはみんな11止まりだった。で、「昔は11だと尊敬されたけど、今は11は登れない方・・」と苦笑い中だった。つまり、君が僕らをありがたがってくれるのも今のうち…みたいな感じ。それでも、当時は私は小川山は、トップロープしかできない実力なので…先輩たちの板についた登攀が羨ましかったが。その実力を持っていても、「ごめんね、赤岳主稜は連れて行ってやれる力は、うちの会はないんだ…」ということで、阿弥陀北稜に単独登攀することになった…。これはヒロケンさんには気に入らんかったみたいだったが、事情はこうだ。

私は会で行くにしても、最初からパートナーをフォローにしてリードで取りつく気なのに、デブのメタボ先輩が6人の大所帯で行くと言い出し、大所帯になればなるほど、スピードが落ちてアルパインスタイル、から遠ざかり、まるで極地法か?みたいになるので…その先輩とは別パーティで、同日行動すると言ったら、嫌われた。ので、結局、その日には行かず、私は後日、一人でオンサイトした。アルパインのルートってオンサイトって言っていいんですかね?よく分からんが。

余談だがこのメタボ先輩は、他の人に凍傷させていた。3人。いや~マジ行かなくて良かった。行かずに済んだのは当時の師匠が止めてくれたおかげである。

赤岳主稜は、センターの卒業試験課題だからやりたいが、どうやっても一人で行くことはできないルートだ。が、阿弥陀北稜くらいが一人でこなせないようでは…。恩師の村上先生は、いつもここ一人で登っているので、まぁ、自分が大丈夫なのは分かっていた。別に先生にルートに連れ出してもらったことはない。先生はレスキューで忙しいのだよ。

阿弥陀北稜では、登っている途中、モタモタした新人ガイドと思しき男子とおじさんのパーティを追い抜いた。この人、ムンターが出来ないみたいだった。っていうか、今ここで習っているみたいだった。


話がそれたが、アイスで5級のリードまで進んだので、次は、6級となると、そのためには7級に取り組んでいないといけないという話で、ならばとドラツーに進んで分かったのは、冬壁の土台になる基礎スキルも、一部の人の間では、非常に高度になっており、アックスを使ってミックス壁を登る、というのが、一般人にも、可能な現代の冬のフリークライミングだ。

多くの古い山やはここでアイスは特殊クライミング、という誤った理解に進んでおり、アイスはミックスクライミングの土台であり、5級レベルのリードは避けて通れない。5級というのは、氷柱って意味です。九州であるようなスラブ系アイスでは4級止まりです。私、相沢大滝をスイスイ登ります… ごめんね。アイスってリーチ関係ないし、上半身パワーも4級ってイラナイって意味なんで。なんせアイスの4級ってセカンドなら初心者が登るレベルなんですよ、リードは別としても。つまり全く自慢にならないレベル。なんで、雌鉾のアイスが出たときはおったまげた。いくら凍らないって言っても。現代アイスで話題に取り上げれうレベルじゃない… 飛竜とかだって凍らないアイスですが、あっちのは6級のアイスです。だから話題になる。もっと驚いたのが、こっちでは、それが一般クライマーに理解されていないで一流クライマー扱いってことでした…え~?! 鉱泉あたりじゃどっかぶりを普通の女子が登っていますが…

さて、一般山やには、5000~6000mで体力を吸われながら、5.12レベルの登攀を繰り出すってのはない。

そもそも、アルパインクライマーで5.12以上が登れる人はいるわけがない…というのは、ある程度フリークライミングに没頭しないとそのレベルに行けないからだ。

フリーでは体重が重いと不利なので、痩せて軽量化すると?今度は歩荷がヤバくなるし、山で弱くなるし。あちらが立てばこちらが立たない。

黒部横断が、宮城さんというどちらかというと沢やのクライマーを含んでいたので、宮城さんは、フリーはどういうレベルを登る人なのかなぁと思ったのを覚えている。ほとんどのツヨツヨフリークライマーは、5.13から上でないと、ツヨツヨ、って言わない。

ツヨツヨの人を何人か甲府で知っているが、彼らは、アルパインの泥臭い山には全く興味がない。どっちかというと、貴公子、みたいな感じでめっちゃ清潔感ある。肉体も節制して、酒など飲まない。なので、どうも二つの人種の接点ってすごーく狭いみたいなんだよな。

さて、標高が高いなら、普通の人は空気が薄くて、歩くだけで精いっぱいであり、登攀は無理だ。だからヒマラヤ行っている人が登っている山って大体丘レベル。高尾山みたいな山ってこと。福岡なら宝満みたいなの。一般人は分からないから、ヒマラヤと聞いただけで、ものすごい山…山野井さんの山みたいなのしか想像できないので(笑)。その尊敬に便乗しているっていうのが実情だ。

逆に登攀のレベルが5.12だったら、下界ですら、22,3mのを1本だって、普通のクライマーはその日は終わりになってしまう。みんなが言っている5.12はレッドポイントグレードで、ぜんぜんオンサイトグレードじゃないんですよ。

12レッドポイントレベルで褒めてくれるのは、40年前の常識の古いクライマーだけです…今じゃそれ、レッドポイントじゃなくてオンサイトレベルにしてくれって話よ?

この5.12は、ボルダーなら1級ぐらいで、1級のボルダーって、昨日山始めました、みたいな大学生の男子が、「僕登れました」と言ってくるレベルで、一般男子がなんの努力もせず、リスクもカバーされていたら、最大の突破力を発揮すれば、一瞬は可能なレベル。

つまり、他の人が一瞬しか出せない瞬発力を、継続的にずーっと出せる人=スーパー赤蜘蛛フリーソロレベル である。あれ出た時、5.12フリーソロって、私にとっての5.11フリーソロみたいなのだから、スゲーと思った。

ほとんどの山屋が言っている”俺、5.12が登れる”は、レッドポイントレベルであり、オンサイトレベルではないから、ほとんどの人は、記録のすごさがよく分かっていないようだった。なんでエルキャップは理解されたのか?というと映画のおかげ。 佐藤さんも映画になってほしいですよ。

現代には、”超人”がいて、5.12も”山で”フリーソロで、行っちゃうのです。だから、普段のフリーは、みんな5.13より上を登っているような感じですよ。フリーって言ってもボルダーじゃなくリードでですよ。九州にはボルダーで突破力(だけ?)がある人はいっぱいいます。

しかし、私も、トップロープなら初心者のころから、まぐれっぽい確率で5.11が登れていたりしたので、そのまま1グレードアップグレードすれば男子になる…と考えると、御坂の先輩やらが、5.11では自慢にも何にもならない…と考えていたのは、私が、5.10なんて自慢にならないと考えるのと同じだろう…と分かる。 

九州ではリードする人は、5.9でイケイケムードで、ビックリした。山梨でナインで自慢する人いない。つまり、時間が止まって40年前だと考えるとつじつまがあう。

さて、こんな感じで、

 5.12ノーマル つまりオンサイトレベル

 5000とかで登攀ができる心肺機能

 雪山に耐えられる肉体と知識

 山やのリスク管理能力のアレコレ

 フリークライミングのリスク管理能力のアレコレ

をすべて備えているのが、現代のトップアルパイン・フリークライマー。

なんでややこしい書き方したか?っていうと、九州では冬壁がないので、アルパインという言葉が深く誤解されており、ほとんどアプローチがない山で、歩荷もゼロで、ボルトも整備されているマルチをアルパインと言ってありがたがっているようだからだ。

え~それフリーのマルチじゃないの?みたいな感じだが…あれかね?越沢みたいなゲレンデってことかね?…、どこにアルパインの心があるか?と解くと、どうも

支点がボロイ

って点にあるようなのです。アルパインルートだから支点ボロクっていいよね!みたいな。

でも、普通、山に支点はゼロ個ですよねぇ?だから、支点を自分で作る能力がない人は行かない。

しかもルートファインディングも教えていないで、ピンクテープが少ないのが良し!とか言ってる。テープなんてゼロ個なんですよ…読図できれば要らないんで。

九州では、フォローなら、登り返しとかも教えないで連れて行ってる…全く”登る”以外無知でフォローに行っているので、同じように

無知の人をフォローにして登ることが先輩の務め

になっている。

そんな無茶なことをできないっていうのは、クライマーの良心、のような気がしますね。

私は自分の後輩には、全部教えてからしかルートには連れて行かないので。

自分だって、全部出来るようになってから行きましたしね。どうも、九州の人が私を嫉妬したのは、なんにもできないのに連れて行ってもらってる~ずるい、と思ったみたいですけど、私自分のケツは自分でふけるようになってるから、師匠が出来ただけなんですよ。

海外も一人で行っています。仲間とつるまないと何もできない人たちと同じにカウントして、私に甘えて連れて行ってもらいたいのかな?と思いました。

小川山で預けられた5.12登る若い子の様子を見ると、そうとしか思えないのですが…。ヤツ、トポも持たんで来たからな。マルチ登りたいって自分でいうのに、セカンド確保のセット知らなかった。

九州では、そんなセルフレスキュー不在の状態のマルチがみんなの憧れのようです。

しかも、ボルトが整備されたルートなのに、ボルトの強度がカム以下ということに無理解で、カムのルート自体を根拠なく危険と断罪している…つまり、フリークライミングどころか、スポーツクライミングの発想しかできないっていことで…

スポーツクライミングの意識をフリーの岩場に持ち込んだら、危険です。ビレイも違いますし。なにより、フリーでは落ちていいところと悪いところがあります。

いやはやビックリです。スポートルートのつもりで、カムより危険な抜け落ちそうな40年ものカットアンカーにバンバン落ちろ!って。しかも、セルフレスキュー不在で登るのが慣行ってこと。これじゃリスク満タンです。落ちなければ安全、を地で行きます。なら、ロープもなしで登ったらいいんじゃないの、な感じです。

その上、4本オンサイト次、ルールが適用されるんですよ?たった4本でそのグレードの何が分かるのか?

というわけで、山梨時代は、あークライマーの地平線は遠いな~一生かかっても到達無理!と思っていた”憧れの”地平線は、福岡時代になって、こんなのと一緒にされたらかなわん!となったんでした。一緒にやっていたら明日にも殺されそう。地に堕ちたらこうなるんだ、みたいな感じ。

アルパインクライミングは、ここでは、単なる無謀に冒涜されている。

なんせ、最初の矢筈岳で、5.12登れます!って言っていた若手のエースクライマーが5.9(5.10c)で、エイド出して、2時間半もかかっていたんですよ…それ見て、実力が分かった。私もそのピッチ、トップロープで登りましたが、登れたし、師匠の青木さんの方がずっと上手だと思う。 しかも、なんと時代遅れの支点ビレイだったし。

私程度のへなちょこクライマーにとっては、九州メンバーの勘違いを治す、ってのは、重荷すぎて、担げません。なぬお~と悔しくなった方は、是非、山梨に殴り込み掛けてみてくださいね。みんなが上手でビックリすると思いますから… 啓発されるくらいでちょうどよいと思います。

九州では変な風にクライミング教育が独自発展しています。奥村さんが監督している佐賀の樋口先生のところ以外は。

そういえば、超有名な会で秘蔵っ子扱いされていた女性クライマーが小川山辺りに行ってコテンパンにやられたみたいだったなぁ…そりゃそうだべ。なんせ九州では終了点にロープ直がけがルールです、って教えてくれた人だから、それじゃ小川山ではマナー違反甚だしくなるだろう… 

そんな程度の教育を”立派な教育”と勘違いして受けているのが九州のクライマーで、超気の毒、なのではある。なんせこの会のベテラン、初対面の私にリードお願いします、って人なんですから…したけど、ビレイヤーが一人で、二人を登らせてた… これでこの会に頭下げてたら、私の知性の方がとち狂っている。

誰か何とかしてやってほしいが、一番いいのは、転地だろう…なんせ九州には高い山はないのだからして。

マルボーさんや奥村さん、山野井さんが開拓したルートがある行縢は、クラックルート…カムが使えない人に、用はない。が、九州では、カム大嫌いアレルギーみたいだし…。開拓している人は外の人。

そのくせいまだに新規開拓ルートもカム同程度の強度しかない安物のカットアンカーを使いたがっていたのである。

超、はてな?って感じだった。 

別にボルトルート(スポートルート)でもいいが、なら、スポートの精神で整備したら?でしょう。実際、高難度を登ってるクライマーはリスク取っていないです。リスクを取っているのは下のビレイヤーのほうでした。