■山登りとクライミングの関係が途切れた現代
5年前に貰った質問に答えているのをみて、
山登りとクライミングの関係が途切れてしまったこと
を伝えるのは、ホント、難しいなぁと思いました。5年前の私は非常に頑張って、丁寧に回答していますね。
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長文で失礼します。山のベテランの方のご意見が聞ければ…
以下のような内容の質問を当方ブログにもらっています。
それに対する私の返答も載せました。ただ私のアルパイン歴は浅く、ルート経験も少ないですので、回答に自信がありません。
ベテランの方の意見をいただければ、嬉しいです。
ーーー質問ーーー
こんにちは。大阪の様子はいかがでしょうか
充実した時間を過ごされていればと思います
自分は今月、二回ほどボルダリングの体験をしてきました。アルパインにステップアップするためのクライミングジム通い、この点についてもう少し教えて頂ければと思ってメールを書いてみました。
まったく急ぎではないので、お暇なときにコメントを頂ければ嬉しいです。・・・
クライミングジムは都心部にも多いのですが、
トップロープ壁を備える施設はわずかな様です。
その様な施設は、私の通勤路付近に存在せず、
最寄の施設へ行くには、急いで片道45分程度の遠回りになります。
現在の私の時間価値感ですと、
90分の移動時間が惜しいです。
ジム練習はロープを使った人工壁練習を想定していると思います。
ここで、ご意見をと思うのは、
私が取りえる今後の方針についてです。
当面は、通勤路上のジムでボルダリングに慣れ、
段階的にトップロープ壁施設への遠征を混ぜてゆくという考えで良い物でしょうか?
また、アルパインのための人工壁練習では、
ロープを使う課題に挑戦する割合、頻度はどの程度なものでしょうか?
ここまでが質問です。ここまでが質問です。
・・・
以下、報告的な感想と雑感です。
ジムのボルダリングを二回ほど体験して思うのは、山とは別個の活動として、ボルダリングを楽しめないとおそらく継続は難しいだろうということです。
今の自分の時間価値につりあう満足があるかどうかは、もう少し続けてみないと分からないかもしれません。
課題の難易度は10段階程度になっているようですが、最も易しい方から数えて三つ目は苦しいです(7級なのかな)。
二回目の訪問時は一つの課題に絞り込んで、8回中4回成功というところでした。
あんまり登れたぞという気分にもならないので、同じ課題ばかり続けてしまいました。
どこか悔しさが残り、店員さんに意見を求めたところ、足の力だけで登れる課題だと教えてもらいました。
あと足の親指先端の痛みも気になります。
(シューズの適正サイズがわからないです)シューズとチョークバッグは購入しても良いと思っていますが、
自分で選択する経験をする為に、もうしばらくレンタルしようと思います。
(↑製品のアドバイスも頂ければ嬉しいです)
自分は課題を山の岩に変換して眺めるせいか、難しい課題に挑戦するガッツはあまり湧きません。(そんな所には行かないからと思ってしまいます)
あとこれも体験してみて分かったのですが、ジムはまるで
山の話をするような雰囲気ではないのですね。
こんな様子です。
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これに対する当方の回答
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ボルダリングジムについてですが、
ムーブ(=2点支持)
を身に着ける、という意味で、山でのクライミングにつながって行きます。その意味では、ボルダリング壁であっても、リード壁であっても、同じことを身に着けることができます。
普通の山登りで出てくるのは、3点支持で、2点支持の体の使い方は、まったく違うのです。
いわゆる岩稜帯では3点支持で歩いていますが、手1点、足1点の二点支持が身に付くと、同じところを非常に素早く安全に抜けることができるようになります。ちょっとした鎖場などが、ぜんぜん危なくない、ということですね。
まったく縦走しか知らない場合、ほとんどの登山者が、20代の若い男性であっても、鎖場の鎖に全体重を預けて、引っ張るような登りをしていると思います。(例:後立の不帰やキレット)
この段階の登山者だと、10回程度ジムへ行き、7級程度の課題を2点支持で登れれば、鎖は一切手をつけずに重いザックを背負った状態でも、不帰やキレットが通れるようになるように思います。私の場合がそうだったので、男性なら、10回も要らないかもです。
これをしておけば、山おばちゃんたちのような、つたない歩きは克服できます。難所で時間がかかることもないです。
アルパインクライミング、となると、これでは不足です。初級のルートでも、もう少し難しいです。ロープが出る山は、5級から上です。1級は遊歩道、2級は登山道、3級は3点支持の岩場、4級は念のためロープがいる程度の岩場、5級はデシマルグレードのスタート地点、6級は、5.10A以上の岩場です。
つまり、4級から上はロープを出すことが前提になります。
ので、最低でも、5.10Aを2点支持で登れるようでなくては、アルパインの初級ルートに出た場合、ロープワークもセットで支点作成も覚えなくてはならなくなるので、実力が不足すると思われます。
この段階になってから、リード壁があるジムに通われてもよいですし、一般的に公共の施設は、ジム代が格安です。小瀬の人工壁は、なんと390円だったんですよ。
私は初期にひと夏捧げましたが、毎週二日、半年通って、2万円程度でした。ジムの一か月分です。
リード壁に通う別の意味は、ビレイの習得です。言うまでもないことですが、ビレイができない人は、岩場に連れて行くことすら、できません。ビレイをいきなり本番で習得することはできないですから、リハーサルの場としてのインドアウォールが必要になります。落ちる役をする人は、支点が確実でないと墜ちれないです。普通にしていて、ビレイの習得に、週2、半年かかると思います。時間的なものは、女性の私の体験で、男性だと、ジムであっという間に上達する人もいます。
が、ロープワークの習得は、誰でも同じだけの時間がかかるようで、クライミングで上達し、守りの技であるロープワークが未熟なまま、クライミング力の自信だけで、岩場に行き始めると危険がマックスであることは、予想の範囲でしょう。この頃、一番死亡例が多いです。とんでもない支点やとんでもない確保を見るのも、この時期の人です。本来は、ルートに出るのは、まだもっと先が良いと思います。
ただ、山の人は温かいですから、こういう人たちがいると、周囲が見守ってくれ、技術的な不足は指摘してくれることが多いです。ですから、その教えを得るためだけでも、岩場に行く価値があります。
ボルダリングが楽しめないのは、山でスタートした人共通です。なので、ごく普通です。心配ないですよ!
チョークバックと靴は買いましょう。無いと話にもなりません。
私も、ジム壁では、ぜんぜん萌えません。でも、これは山に行くために、支払わなければならない代償だと割り切って、通うしかありません(笑)。
立ち位置、墜落係数、体重差、だらりんビレイ、パツパツビレイ、手繰り墜ち、逆クリップ、ゼット、一通り、やってはいけない失敗を、安全な環境で体験して、本番で致命的なヘマをしない状態に仕上げておく必要があります。
最近のリード壁は、5.9くらいからですので、ボルダリングの5級くらいなれば、リード壁も楽しくできるように思います。
ただ、実際の外の岩は、アルパインの岩場で、いわゆるゲレンデと言われるような日和田、広沢寺レベルだと、5.9よりうんとカンタンです。4級の岩場だから。
逆にフリーの岩場小川山だと、5.7でもインドアのリード壁とは比べられない難しさです。とくに足遣いは一般に、外岩(スラブ)でないと習得できないようです。
ですので、クライミングムーブに慣れるために、一般的なボルジムでムーブを意識した練習をしつつ、日和田レベルで、外の岩にデビューし、週二日は平日夜にジム、月に1日か2日の週末は、チャンスがあれば、日和田レベルの岩に連れて行ってもらい、ロープワークを習得、リードに慣れる、など、ゆっくり1年くらいかけて習得するのが良いかなと経験上は思います。
ちなみに、多くの山岳会は、このような段階の人には場を提供しています。ちなみに退屈なジム壁を面白くするコツは、友達を作り、セッションをすることです。
そして、ジムの課題やグレードにこだわらず、ジムの人が、どんどん難しいのにチャレンジするように言ってきても無視して、自分が納得いくまで、何度も易しい課題に登り、トラバースなどで、インターバルトレーニングなどして、とにかく、
自分は何のために、これをやっているのか?トレーニング内容を自分で組み立ててみることです。それには最初はデータ取りです。
何が登れれて、何が登れず、どうしてなのか?ということです。
私は最初の頃は、パートナーもいなかったので、長ものトラバースばかりをしていたのですが、腕力が付き、沢のへつりで役立ちました。回数を決めて、何往復したかなど、細かく記録をつけていくことで、だんだんと自分の成長が可視化されると、追い求めるべき課題も見えてきて、面白くもなってきます。
そこまで、そんなに時間がかかりませんから!コツは記録を取ることです。
こんな話でお役に立てたら幸甚です。
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