2023/02/28

日本に健全な市民クライミングを!

しばらく、

 日本に健全な市民クライミングをもたらす、

というミッションを設定して活動していました。ここ5年ですね…

しかし、そもそも、日本のクライマー業界は、

 わざと命知らずをやって見せることがかっこいい、

みたいな部分が払拭できず、なんだか、一般の人であっても楽しんで岩に登るという価値観自体がむしろ否定されているようなんですよね。それは、

 グレード至上主義

が、スポーツクライミング(コンペクライミング)から、フリークライミングの世界に流出してきているからのように思われました。

■グレード以外のクライミングの価値

先日は、北海道の下川町の移住体験にお金を使いました。未来への投資として行きました。田舎に行くのに、クライミングできないところに行っても仕方ないからです。

クライミングクラブがあり、九州での失敗体験を活かして、予め、クライマーの人とズームで話してから、行きました。

昨今、クライミングジムすらクライマーじゃない人に運営されており、例えば、”吉田和正”と言っても、わからない人が多数になってきてしまいました…。フリークライミング、アルパインクライミング、スポーツクライミングの切り分けが一般の人はできないので、好きなクライマーは誰?という質問もほとんど意味をなさなくなっています。現在、クライマーで有名な女性は、単純にコンペクライマーで、外で登っていない人ばかりです。理由は、コンペの優勝情報は頻繁にニュースになるため、ひと目に付く機会が多く、外の岩で登っても、ニュース記事になることは、殆どないためです。野口あきよさんとか、コンペの方ですよ。

谷口ケイさんは、アルパインクライマーです。お二人がやっているクライミングは、天と地ほども異なります。

ほとんどの人が、若手のクライマー、”小峰っち”とか、”門田ギハード”とか、言ってもわからないでしょう? クライマーのネットワークは小さく、そういうのにつながっていれば、名前は頻繁に見聞きすることになりますが、そうでない一般の人は、クライマーの本来のヒーロー、ヒロインがわからないです。活動がロクスノに乗ることがないので。

九州の偉大なクライマー小山田大さんの活動記録が、ロクスノに乗ったのっていつ?みたいな感じだし、北海道の吉田さんの亡くなる前の活動ですらそうでした。フリークライミングでの記録というのは、世界最難以外は、ほとんど記録にならないので、頻繁に出せるクライマーがいるわけがないんですよね。

で、クライミングジムに行っている人は、一般市民クライマーですので、記録とかは関係ないし、興味もありません。みんな自分のジムで強い人の名前しか興味ないんですよね…内輪の競争で終止して、誰が誰に勝った、負けた、とか、誰が誰と結婚した、みたいな感じです。どっちかというと、高校生、大学のコンパみたいな雰囲気です。出会いのための山岳会というのもあるほどです。

私は、中高年でクライミングを始めたので、クライミングに、

 競争 および 恋愛

を持ち込む気持ちはまったくなく、個人的な人格成長、より良い思い出づくりのために、活動している感じです。ご縁、つながり、を大事にしています。

■見晴岩

名寄(見晴岩)は、故・吉田和正さんの課題がたくさんあるので、吉田さんゆかりの地です。ジムのガッツウォールも吉田さんのゆかりのジムで、吉田日記を見せてもらいました。嬉しかったです。

私はクライミングで、誰がすごいか競争する輪には入りたくないんですよねぇ… 入りたいと思っても入れないだろうし。 グレード至上主義っていうふうに師匠は表現していました。

グレードを追いかけると、技術に厚みがなくなる。ある5.12が登れても、ある5.8で落ちるとか。そういうのが嫌で、ずっとオンサイトグレードの底上げを私は目指してきたのですが、そういう態度はなんか否定されるみたいで、それじゃダメだ、という感じでグレード追求を強要されているようで嫌だったなぁ…

そうでないクライミングができるなら、またクライミングも楽しくなるかもしれないが。

年齢的問題ではなくても、国際的に見ても、日本では

 成人が楽しむ趣味としての市民クライミング

の定着が遅れています。海外のクライミングに行って、誰が誰に勝った、で競争している人などいません。

グレードは、

  自分が登るとき、安全に課題を選ぶための目安、

でしかないです。ですので、5.9と書いておきながら、実は、5.10c、とか、基本的には、間違っていることだ、という認識がされています。

日本の、達成感だけ、競争だけのフリークライミング文化も、世界の流れに結局は合流することになるのが歴史のこれまでの流れですので、そのような流れを先取りをすることのほうがジム運営上は大事だと思います。

《クライミンググレード以外の価値と代表的な映画》 
1)人との絆 例:メンター
2)地域愛 例:笠置ロック
3)特定の山との因縁 例:メルー
4)ひたむきな努力: 例:ドーンウォール
5)生と死の意味 例:フリーソロ
6)クライミング史の進化 例:剣点の記
7)チャレンジ? 例:アイガー北壁
8)未知への冒険  例:7イヤーズインチベット
9)無駄な死を避ける 例:八甲田山
10)登るとは?という永遠の問いを問い続けること 例:クレイジーフォーマウンテン

■ 日本国内クライミングでは時期尚早

私が出した結論は、 市民クライミングの普及というのは、日本では時期尚早なんだろう、ということです。

というのは、クライマーは自己変革を拒んでいるのではないかと思うからです。

それよりも、海外に行って、日本だけが遅れているという自覚を深める、というのが日本のクライミング界にとっては必要な段階のような気がします。

海外に行けば、日本の岩場がいかに遅れているか?すごくよくわかります。 

日本もゆくゆくはそうなっていくでしょう…

クライミング後発国の、中国よりも、日本がクライミング後進国に陥っていることなどを目の当たりにすると、ちょっとがっかりすると思います…

 

2023/02/27

今に生きなかった小川山

■ 小川山

そういえば、クライマーの聖地小川山は、クライマーがクライミングだけに現実逃避している間に、キャンプ指定管理者が入って、色々、クライマーの意向には沿わない改革をいっぱいしたのだそうです…。最近、ひょんなことから、知るところとなりました。

クライマーって、現状維持以外は、全部ダメの精神で、1円だって落とすか!みたいな精神でやっているけど、岩場がある地元に、なんのメリットもない岩場開拓。

普通に考えて地域行政が協力しますかね?しませんよねぇ?クライマーが持ってくるの、うんこと事故だけなんだから…。

小川山がクライマーではない勢力によって支配されたのは、クライマーがボーッとして、現実感のない人種であるという証拠のように思います。受け身すぎるからそうなるんですよ。

■ アメリカのアクセスファンドの流れ

を見ていると、日本の岩場もどうなっていくか…なんとなく予想がつく…

今のアメリカ、アクセス問題山積で、お金積んでも、ボルトの一個も設置できない、みたいな感じですよ。

たぶん、後ろ向きな人は、

 そうか、なら今の現状をできるだけ長く維持しなければ…(既得権の温存)

と発想すると思いますが… そうではなくて、

 アメリカのようになる前に、地元にもWin、クライマーもWinの関係を作り上げておこう

というのが、根本解決に至る道と思います。

■ ノーパン喫茶接待

友達の投稿で、実家の熊本の話題があり、未だにノーパン喫茶が接待らしくて、

  いや~1980年代、またかよ!

って思いました…。日本の端っこが時代錯誤があるとしても、この情報化時代、10年くらいにとどめて置いてほしいものです。40年分の時代錯誤。

教訓: 今に生きましょう! 

あ、今を生きなかったことは、小川山も同じか…。

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2023/02/26

TCAサイクルをきちんと回す

■ 雪山にラード

だけ、持っていっても、脂肪酸がアセチルコリンになるのに、B1のサプリとナイアシンのサプリがなければ、きちんと代謝自体がされない。 

その後も、B12、B2がないと 結局エネルギーにならない…



2023/02/25

乗馬クラブ ☓ 投資◎

■ 乗馬クラブ 

プロモーションがきたので、わたりに船と思って気軽な気持ちで、乗馬体験に行ったら、すごい乗馬クラブでした。もしかしたら、日本で一番うまく行っている乗馬クラブかもしれないのだそうです。80頭ものサラブレッドがいました。

馬は、”引退した”サラブレッドだそうでした…。競馬は人間の都合なのに、引退後は引き取り手がなく、乗馬クラブ=馬の老人ホーム。といっても、馬もまだ人間でいえば、30代くらいです。引退が5歳、人間なら、22.5歳で、競争馬としては終わりなそうです。たしかに人間でも、クライミング力のクライマックスは25歳くらいですよね。後は落ちる一方です。

餌代が大変なようで、乗馬クラブは入会金16万円。月会費16500円。そのうえで、乗りたいときは都度1650円。ということで、ものすごーく高級な趣味、ということらしいです。

まぁ、ペットを買うのだって、都会では高額所得者の楽しみみたいな感じだもんねぇ…
 

北海道の競走馬の老人ホームが福岡にある、ということがわかりました。
 

乗馬クラブにはもちろん入会しないことにしました… なんか違う感ありました。

■ クライマーのピーク

クライマーも選手としてみると、ピークは25歳。グレードだけで競争することの無意味さがわかるというものだと思うのですが、なんでやめないんだろうか…。

グレード競争ってホント、虚しい戦いだなぁと思うのですが、それは私の受け取り方なのかもしれん…

永遠に課題がある…ということを嬉しい!と感じる人もいるのだそうです。

永遠に、5.12と5.13の間の課題をやり続けるのかなぁ…

その生き方だと、時間つぶし感というか、なんとなく現実逃避の一種、のような気がしないでもないですが…。

やはり、クライマーとしての成長は、

 全人的成長、

というか、人間の人格として、成長していく、より良い人格になっていく、ということを目指し、グレードは副次的なもの、として捉えるほうが、

 生涯クライミング、としての考え方

には適しているような気がします。その意味でも、グレード至上主義のスポーツクライミングをフリークライミングに持ち込んでいるだけの九州の文化的土壌とは私は合わないですね。

■ 競走馬…闘争心を植え付けられる

競走馬として成長期に躾けられた馬って、

  わざと闘争心を植え付けられている

のだそうです。そのため、いわゆる乗馬クラブの馬としては、性格的に不向きなのだそうです。

そこで、競走馬として引退後の馬が、乗馬クラブの馬として生き残りたければ、

  性格を穏やかに作り直す

必要があり、調教され直すのだろうです。

これが、クライミングジム上がりの人には必要なのではないですかね? クライミングジムでは、面白さを演出するために、グレードで色分けしたり、セッションで競争させたりするわけなんで。

クライミングジム上がりの人や、人工壁上がり、国体選手上がりの人が、向き合う困難って、サラブレッドが 乗馬クラブに就職するときの困難と同じなのかも?

つまり、闘争心、勝ちたい、みたいな気持ちが環境的にじゃまになるってことです。

(一般市民クライミング)、の感覚と、グレード至上主義に貫かれた(コンペクライミング)では、意味が違ってきて当然ですよね。

クライミング界は、前者は積極的にプロモートしていないです。

■ 個別の能力を一つのグレードにまとめることはできない

なんせ、グレード主義で、フリークライミングをやっていると、RPでのグレードを伸ばすことばかりに関心が行き、肝心のムーブ自体の安定とか、お留守だったりします。

5.13俺登れるから…と思って、自信があっても、インスボンのワイドクラックの5.8は登れない人が多い、と 師匠は言っていましたが、これなど、

 一つのグレードですべてのタイプの異なるクライミングがまかなえる、

と誤解するところから生まれます。

つまり、すべてのクライミングをグレード1本で測ってしまいましょう、みたいな考えに染まりやすいということ。

X=3に違和感を感じないタイプの人…学歴社会で成功してきた人に多い考え方なのだそうです。

スラブとワイドでは 必要な能力違いますよね? 外岩とインドアでも違うし。インドアジムのホールドってカチラー向きです。

私は、やっとフェイスでのナインが安定してきた…ムーブのバリエーションが十分溜まった…ので、色々なタイプのナイン…クラックとか、ワイドとか、オーバーハング?に触りたい、と思っていた頃合いに九州に来たのですが…全然カルチャーが合わず、成長ゼロどころか、マイナスです(涙)。前にはあった登攀力すら失っている状態ですね。

九州のカルチャーは、日本社会の悪いところがより色濃く出ているような気がします。ので、私にとってはそういうカルチャーを跳ね返すという、メンタル課題のほうがより大きな障壁みたいな感じです。

■  へんてこな可愛そうな人競争?

九州人の対談を聞いていたら、九州人は、特に勝利者を嫌い弱いものを応援したい器質が強いそうです。しかし、それが完全に裏目に出ている。

なんせ、3人兄弟なのにシングルマザー家庭で育った私が一番可愛そうで、自分が可愛そうだ、と私に向かって自己申告してくる人たちって、どこが可愛そうなのか?疑問な人ばかりだった… 山梨時代から含め。 可愛そうな人を助けたいというのは、私の業、です。
 
 
 
3)大阪市役所出身の定年退職者 別荘居住 (めっちゃ退職金いっぱいですよね)
 
4)子供が6人いるというガイド (6人も子供いるなら、年収300もいかないガイド行ではなくて、まともな職についたほうがいいですよね?)

というわけで、助けてくれ、という人を見ていては、こちらのほうが身ぐるみ剥がされてしまいそうだ、と思いました…。

なんか…基本的に自分が可愛そうだ、という視点を持つ事自体が、その人があまちゃんの印なのかもしれないと思うのですが、どうでしょうか?

今の時代、クライミングを解説した書籍はいっぱい出ているでしょ、とある山屋が言っていました。私もそう思う。


それでも、どこにも、日本中が40年経過したカットアンカーだらけという現実は言語的には記述されていないと思いますが…

以前、友人で、国立大学の私に、「あ~、国立大だから、お金持ちなんだね」といってきた人がいましたが… 私は長屋住まいで、育英奨学金400万円の返済を抱えた身で、言ってきた人は、親元から通い、自分の部屋を持っている、という人でした。もう、思考が反転しているというのはこのことだなーと思いました。

これ、20年くらい前のことですから、その頃から日本には、本当に困っている人はおらず、

 贅沢したいのにできないから自分は貧乏だ

と思っている人ばかりだってことです。 それは貧乏とは言わないんですよ。

■ ソーシャルビジネスを支援する

身の回りの人は、そんなアホタレばかりなので、投資で、ソーシャルビジネスを支援することにしました。

自閉症のある知的障害者を支援している会社です。

ヘラルボニー https://www.heralbony.jp/about

支援したい場合は、投資信託を購入することになります。

https://www.kamakuraim.jp/tsubomi/tsubomi-news/detail/---id-15.html

■ 温かいお金

お金の勉強は、物産OL時代から、テーマとしてやっていました。

鎌倉投信という会社は、エシカルな会社だけを集めた投資ファンドです。

私の母はお買い物症候群で、思い通りにならないストレスを発散できる場が、お買い物、だったようで、困ったお金の使い方をする人でした…。ワープロが出てすぐの頃、買ってくれたりとか、良い面もあったのですが…お陰で、10代からブラインドタッチですし…でも、食費とワープロでは、普通、食費ですよねぇ?

私は、小中学校の修学旅行が嫌いな子供でした… 行きたくないのに、「かわいそう」。

それより、家のお金の使い方を正常化してもらいたかったです。

うちでは、不必要に母が子供を子供扱いするので、母の間違った使途を子供が指摘することができず、予想通り、私の進学にも影響しました。

私は考えることができる子供だったのに、その強みが生かされなかった…ので、とても残念でした。

というので、自分の思考力という資産を活かすには、投資信託の会社選び、何が良い投資か?何が自分が作り出したい未来を創る助けになるか?ということに、思考力を少し使っていこうかと思います。

今日のめっけもんは、ヘラルボニー、でした。



 

2023/02/23

老化

■ 老化 

これは私の感想です。

中学の頃テニス部でした。19歳からバレエを20年やり、そのうち半分はヨガを同時進行してやり、38歳から山をやり、39歳からヨガを教えて6年、43歳から本格的なクライミングして、47歳で水泳を習い、50歳でMTBとテニスに取り組んでいます。 

25 歳になるとそれまでと違い、動きのキレ、反応の低下を感じまました。また、25 歳~29 歳の間は大きく変化は感じず、夜中まで働いていましたが、 30 歳になるとまた、ガクッと体力の低下を感じ海外出張が堪えるようになりました。35 歳を超えると 3 歳刻みで、動き、感覚が鈍くなるそうです。さらに 40 歳を超えると 2 歳刻みで身体の動きが悪くなるそうです。

大学の頃は昼間フルタイムで働いて夜授業を受けるにも、8時間も座っているのが辛くて、昼休みと就業後には走りに行っていました… そんなに余剰体力があったのに、30歳になると海外出張が辛い… なんせ海外って時差で、結局16時間働くハメになるんですよね。休みも二週間に1日しかくれないし。 

その後、バレエではレッスン数を週4だったのに、週3がちょうどよくなりました。あれ?ヨガでは、全く影響なかったですが、ヨガがのんびりすぎるヨガだったためで、アシュタンガに行ったら、その二日後くらいに胸椎捻挫。膝もダメだし、靭帯に強度が強すぎるヨガはやめて置くことになりました。

登山は38歳からですが、あっという間に雪の山くらいは楽勝で行けるようになりましたが、その頃からスタートしているアイスクライミングでも、今、自分の登攀を見ると、あちゃーこれはリードさせられないなーと思います。ムーブは悪くないけど、アックス効いていない。…バチ利きじゃないとリードでは登れないですね。

43歳頃から本格的にクライミングしていますが、インスボンや台湾、ラオスに行くのは、良きことでした。ボルトもしっかりしており、市民クライミングの文化もあり、日本のクライミングとは全く違います。日本の岩場は、若い男性で5.12が登れる人がゆとり力で5.9を登るというスタイルにマッチしており、日本での登攀は、40代でスタートした人には厳しすぎる環境と思います。冷静になりましょう…人は、みな老いるものなのです。 

もうやっと50歳になって、クライマーなら命かけてみろ、と男性の基準で裁かれなくなった。その裁き自体が謎でした。拒否っているのは正解だと思う。みんな老化に無自覚な人か、もしくは、早く死にたい人が多いクライミング界です。私は道連れにはなりたくない。 

若い男性クライマーがよく私と登りたがるのは、彼らも命かけたくないからなのでは?
 

私の場合は、バレエで先生の動きをコピーする能力が上がった(というか下がらなかった)ためか、動作の習得速度はそこまで下がっていないのですが、単純に

基礎体力

が下がっているように思います。心肺機能と筋強度。

しかし、基本的にそのために、走って筋トレ、が嫌だから、それを楽しくするためにやるのが、スポーツのような気がするよなぁ…

ようは、体が鍛えられ、あるいは老化が遅延されるように、

楽しくスポーツをやっていればいいのではないでしょうか?


 

自動化を起こさない

 

【究極の運動理論】室伏広治  永久保存版の貴重な講義映像 より

こんなトレーニング法は良さそうだな~と思いました。 自動化=熟達とクライミング界では考えられていると思いますが、真実は自動化=退屈、なのではないでしょうかね?

自分のアイスクライミング動画を見て、アックスが研いでいない自分のではないためですが、これはまだまだリードはさせらないねーと思いました。

そのような段階の登攀者でも、アイスは簡単だなーと思うようになり、クライミングは、ムーブを習得した後は楽勝化するみたいなので、男性で私より能力がある人達が、退屈してしまうのも無理はありません。

新規開拓…というよりは、クライミングゲーム自体のルール変更であるような、ボルダーとかスポーツに人気が集まるのは仕方がないかもですね。

指の問題があるため、私は人工壁、嫌いですが、その問題がないアイスでは、中級者まで言ったので、まぁ、そうだろうな、と思います。

クライミングは一段落して、別の遊びをしようかな。

指導目標の設定

 これは個人差があって当然のものです。私の場合を書きます。

クライミング以前 … 山の生活技術の習得、天気の学習、経験値の獲得 

クライミング0~1年目 … ビレイの習得(=人工壁通い)+ 体験クライミング、基本ムーブの習得

クライミング1~3年目 … 経験値の獲得 初心者用の岩場、インスボン、台湾、ラオス

クライミング3~5年目 … 国内岩場めぐり  (主に九州の岩場)

クライミング5年目以降 … 小川山など、国内岩場 …海外には初心者向けのボルトの新しい岩場があるが、国内では限られてしまいます。リボルトで、ボルトが新しくてもランナウトしていてはリスクは減りません。

■ ロープワークの習得、基本ムーブの習得、経験値の獲得

私はロープワークは講習会で学習した後に、友人レベル、山岳会レベルで行く山に参加しています。ので、お金を払わずに、教わったことはありません。

たぶん、ほとんどの人は、ここをただで済ませたいがために、経験者と登れ、と言われていると勘違いしているようなのですが、お金を払ってクライミングガイドと登っても、

 エイトノットはね…

とか起こらないです。そこに深い誤解が横たわっている。

例えば、アンザイレンのノットは自分で選択するものです。エイトノットがコンペでは義務付けられていますが、ブーリンの人もいますし、ボーラインを勧めて来る人もいます。(解きやすいため) しかし、選ぶのは本人です。私は、薦められたとしても、エイトノット。ベテランぶる必要がない、どころか、むしろ、エイトノットでいるほうが安全の管理に良いと考えるためです。

目標をグレードにするしかなくなるのは、クライミングの総合性を理解しそこねているからかもしれません。

10年登っていても、カムの配置が悪いとロープが流れなくなることを学習できていなければ、ちょっと視野が狭窄していたということが言えます。そんなことはまずいと常識でわかるどころか、実際にロープがでなくて登れなくなるので、初歩的な失敗であるからです。あんまりリードはしてなかったのかもしれませんが、原因はともかく、常に自分のクライミングの欠点を反省する姿勢がクライミングには必要で、天狗になる、というのが最も避けるべき事態です。

ムーブを習得したかどうか?というのは、素人である初心者クライマーが見てもわからないです。経験値が高い人に判定してもらいましょう。ムーブがダメでも、パワーがあり、確実性があれば、リードはできます。男性はこの路線が多いです。リードできるからムーブが習得できている訳では無いということです。

人をだんだん老いるので、パワー依存のスキル習得はだんだん通用しなくなりますので、子供や女性、高齢者のように、ムーブ習得中心のクライミング活動に入るのも、手です。男性でもこの路線の人はいます。ジムでよく長ものを飽きずにやっていたりするような人です。

一方、パッと見に同じスキル追求型でも、突破力系のボルダーの人は、力を発散したい、オールアウトしたい、という真の欲求の現れのような気がします。

どちらでも別に良いと思いますが、自分の欲求が、すべての人と同じである、と誤解しないことが大事です。オールアウトが誰にでも気持ち良いわけでなく、そうすることで、リスクが増える人もいます。(例:迷ったらハードプッシュ)

言うまでもないですが、目標は随時バージョンアップします。

しばらく前は、ワイドとクラックを頑張っていました。

現在は私の目標は、基礎体力回復です。そのためにテニスをしています。

年齢性別によるクライマーの個性の違い

■ 以下の項目を個人に当てはめ、吟味します。

  1. 技能レベル
  2. 体力 
  3. 運動能力
  4. リスク管理でのレディネス
  5. パーソナリティ
  6. 目的
  7. 興味や関心の度合い

■ 事例 クライミング歴40年 

山岳会の重鎮とされるレベルの人は、知識経験は十分だが、体力は減衰しており、スキルにはビレイが下手などの過不足があり、意欲は減退していることが多い。教えるのもたぶん、めんどくさいと思っている。 情報弱者に陥っていることが多い。ボルダーはしない、興味がない。クラックはしない興味がない、アイスはしない、ドライはしない、など関心に偏りがある。

  1. 技能レベル 5
  2. 体力  4
  3. 運動能力 4
  4. リスク管理でのレディネス 5
  5. パーソナリティ 2    ← 過去の栄光自慢
  6. 目的 2       ← 自己承認欲求のため
  7. 興味や関心の度合い 2 ← クライミングには飽きているし、情報弱者

■ 事例2 成人女性 クライミング歴10年

いくら壮年期女性でも、女性である限り男性並の体力を期待するのは、お門違い。一方、登攀能力だけに限ってみると、ジムクライミングで伸ばすことができる。

  1. 技能レベル 2  ← 年齢相応の平均
  2. 体力  2    
  3. 運動能力 2
  4. リスク管理でのレディネス 4 ← 知性の勝利
  5. パーソナリティ 3  ← 普通の人 命かけていない
  6. 目的 3       ← 健康 普通
  7. 興味や関心の度合い 5  ← 関心は高い

■ 事例3 成人男性 クライミング歴0~3年

成人男性でも、初診の頃はムーブも下手で、登らせられない。20山行くらいはセカンドで登らないと理解力はつかないが、連れて行ってもらうだけで、計画を自分で立てる習慣化がないと、連れて行ってもらった山の意味が理解できるようには成長しない。根拠のない自信がある。

  1. 技能レベル 2  ← 大体男子はムーブ下手
  2. 体力  4    ← けど体力はある
  3. 運動能力 3  ← 年齢相応の普通
  4. リスク管理でのレディネス 2 ← 低い 俺だって佐藤ユースケ!と思っている
  5. パーソナリティ 3 ← 普通
  6. 目的 3 ← 普通
  7. 興味や関心の度合い 5 ← 高い 目立ちたがる

■ 事例4 成人男性 クライミング歴 10年

リスク管理もおおよそでき、スキルも体力もあるが、根拠のない自信や怠惰により、事実誤認することがあり、命取りに発展することがある。これくらい楽勝、とノーザイルや敗退計画なしなど。 情報は黙っていても与えられる。オールラウンドにクライミングをこなすには良い時期。大体は、仕事で時間が取れず、手軽なボルダーでキープすることになる。

  1. 技能レベル 4 ← 高い
  2. 体力  4 ← 高い
  3. 運動能力 4 ← 高い
  4. リスク管理でのレディネス 3 ← 新人よりましだが俺だって佐藤ユースケ!と思っている
  5. パーソナリティ 3  
  6. 目的 3
  7. 興味や関心の度合い 4 ← 高い 本人が調べなくても周囲がけしかける

■ 事例5 成人初心者 クライミングジム上がり男性

視野が狭い。ムーブだけが上手であるので、自信過剰であることがわからない。 

  1. 技能レベル 5 ← ムーブは上手
  2. 体力  2  ← 歩けない
  3. 運動能力 2 ← ムーブ以外は才能ない
  4. リスク管理でのレディネス 2 ← 新人は何が危険かわかっていない
  5. パーソナリティ 3 ← 普通
  6. 目的 3 ← 普通
  7. 興味や関心の度合い 5 ← 動画で予習する 例:ビデオトポ

■ 事例6 子供初心者  成人女性と近くなる

子供には特別な配慮が必要。関心は高いが、一人では遊ばせられない。リスク認知に穴があることが多いため。ただ、子供の場合、自分の弱さに自覚があるので、うっかり以外のミスは少ない。

  1. 技能レベル 3 ← 登るのは比較的上手
  2. 体力  2    
  3. 運動能力 2
  4. リスク管理でのレディネス 2 ←単なる無知
  5. パーソナリティ 3
  6. 目的 3
  7. 興味や関心の度合い 5 ← クライミング大好き

  ■ 事例5 ピオレドール受賞者

円熟したクライマーは皆ここへつながっていくはずなんだが、そうなる前に死ぬ人が多いので、今生きている人は、”生き残り”であると考えるべき。

  1. 技能レベル 5 ← 当然高い
  2. 体力  5 ← 当然高い
  3. 運動能力 5 ← 当然高い
  4. リスク管理でのレディネス 5 ← 当然高い ピンチを耐えれる
  5. パーソナリティ 5  ← クライミングに磨かれて高くなっている
  6. 目的 5 ← クライミングが人生
  7. 興味や関心の度合い 5 ← 当然高い

 ということになります。

いくらベテランであっても、この周囲の中を見渡せば、トップクライマーと一番近いとは言っても、当然、限界があります。 例えば、体力や、運動能力は、どんなトップクライマーであっても、減衰していきます。

クライミング歴10年という、常識的に見れば、十分、経験値が溜まったのではないか?と思える人でも同じです。このクラスの人は、クライミングジムのメリットがあるので、5.12くらいは平気で登れますが、リスク管理に関するレディネスは比較的低いです。

危険認知は一通りできているはずですが、それでも、まだ心の何処かで、俺だって、運さえ良ければ、佐藤ユースケ(他に、平山ユージ、小山田大、倉上慶太、横山ジャンボ、…あこがれの人を入れてください)と思っていたりします。

男性の40代は、パワーと知力がその人の人生でもっとも高い時期ですので、そこがその人の頂点です。

俺だって…の根拠ない自信は、50代に入って本格的な老いがスタートするまで治らないみたいです。運の問題ではなく、どれだけ真剣に取り組んだか?の差なんですけど…。フルタイムでやっている人と週2回の人が同じであるはずがないでしょう。

男性は基本的に、皆の注目の的になってチヤホヤされたい!(=モテたい)という思いがなかなか克服できないようです。しかし、冷静になって現実を見れば、トップクライマーだって、そんなモテ人生を送っている人はいませんよね。むしろ、頼まれごとで自分の好きなことができないことも起こっているようです。

一般市民レベルのクライミングの円熟は、日本は今からですが、全員一律の基準を全員に適用すると、弱い人…子供、女性、高齢者が淘汰されるはずです。登攀スキルレベルだけを上げて、リスク管理がおろそかになっていると、危険です。

リスクは、体力一点豪華主義、登攀力一点豪華主義(グレード主義)、などではヘッジできず、総合的な力が必要です。


2023/02/22

指導者が優秀でないのかも?

クライミング界も反省したほうがいいかもしれん…。  

吉田さんは、ジムに行く時間を短くしろって言って、実際私はうまくなったんですよね。

■【武井壮】時代遅れの根性論暴力指導者はクソ【切り抜き】

Climber's Characteristics and Climbing Instruction

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Climber's Characteristics and Climbing Instruction

(1) When teaching climbing, it is first necessary to understand the characteristics of the climber from various aspects.

  •     Skill level
  •     Physical strength
  •     Athletic ability
  •     Readiness in terms of risk management
  •     Personality
  •     Purpose
  •     Degree of interest


2) Instructional goals and tasks need to be established, organized, and sequenced.

3) It is necessary to revise the directions, during instruction.

Form of instruction

  •     Rock climbing workshops (many people)
  •     Daily climbing in a mountaineering club (group instruction)
  •     Climbing in a master-disciple relationship (individual instruction for pairs)
  •     Climbing with a partner (pairs, self-learning) 


The prognosis is better when there is no bias toward a particular type of instruction. If the climber only knows how to climb within a narrow social context, such as a seniority system or a mountaineering club, he or she may have adapted to an extreme organizational cultural scheme. For example, they may think 5.9 is high standard, which is the thing of the past in 2023.

It is better to have as many climbing opportunities as possible, including climbing abroad, and to climb without bias, so that you can keep a broad perspective and avoid extreme thinking.

If there are too many people to the instructor, then the risk is often not managed as well as it could be, and should be avoided, using the guide ratio, FYI.

In climbing, when receiving private instruction, it is better to receive instruction in pairs with a partner, so that the instruction can be shared and reviewed, leading to early independence. (e.g., once the leader takes the climber to a multi-pitch, the two climbers then go again to review the route together).

However, since the leader is basically forced to adjust to the majority, it may be more fruitful to provide a different group for children, women, and elderly climbers who are not part of the mainstream.

The majority of climbers these days are adult males in their 20s and 30s, and if children, or women or elderly people training is compromised by them, it would be a complete disaster. The mastery strategy of the low-strength groups of children, women, and the elderly is primarily short, frequent climbs. 

For mainstream climber like men, the strategy is high intensity for long periods of time. This is because they will finally learn the moves when they are tired, and used up all excessive energy.

Teaching Methods for Individual Differences

(1) Descending... Descending is the most basic climbing technique to learn.

Needless to say, once you climb, you must descend.

This may seem so obvious that it should not be verbalized, but in reality, 90% of the near-misses that occur at crags are due to the fact that climbers have not been prepared for the technique of descending down. (Case in: Hiei)

Therefore, all climbers, regardless of their level, must master the technique of descending after climbing.

The main descent techniques are;

  •     rappelling (rappelling down)
  •     Lowering down (ATC or Grigri)
  •     Jump-off (landing)
  •     Climb down 


After mastering these four techniques, it is necessary to consciously learn how to climb. 

In particular, rappelling is known as a technique where failure is not an option.

Personally, when teaching children, I have found the following methods to be successful in safely teaching the descent technique

 After learning to lower oneself down with a grigri, one can then lower down with a belayer. When self-lowering with the grigri, a knot is tied about 2 meters above the ground so that the climber will stop even if fall. In this case, any bulky knot is acceptable.

(2) Skill level (grade)

In general, free climbing grades start at 5.9 on the outdoor rock. With allowance, 5.8 is considered to be the safe entry level grade.

Not many beginner begin climbing in the outdoor crags. Majority starts at indoor gym.  1:9 is probably about right.

In the case of beginners who started from mountaineering and followed the growth path from flat terrain, to slopes, and then gradually to walls, the three-point support of hands and feet is often already acquired by hiking in the mountains. In such a case, the first task is to have them climb lightly overhang on artificial walls, learn side body (twist), and master two-point support.

On the other hand, for beginners in indoor bouldering gyms, which account for 90% of the beginner climbers today, the standard climbing ability is 5.9 on the outdoor rock is when they are able to climb a 5th level in indoor gym grade without falling down. So 5th or 5.11 is the level they should aim, except for rope work.

3) Learning to belay

It is necessary to learn to belay at early stages.

The standard for learning to belay is six months of climbing twice a week, in artificial walls. 

If the climber is able to recognize the risk of landing on the outdoor boulders, it is acceptable to start him or her on the outdoor rocks at a lower grade. It is rather better for risk perception in the outdoors. 

Since the primary risk factor in outside bouldering is landing, it is important to make them aware of the risk before they are able to climb up. Many notice they can not climb down after topping out the rock.  Accidents of landing in gaps between mats are very common.

5) Grouping by climbing grade is becoming less meaningful.

Today, it is no longer meaningful to divide climbers into beginner and intermediate levels based on their climbing grade (like decimal) or the length of their experience.

What makes a climber beginner and what makes a climber intermediate? This is a question that needs to be examined closely by advanced climbers.

For example, there have been accidents both in Japan and overseas where climbers who can climb 5.13 have fallen to their deaths on 5.8 wide crack or slabs, etc. The gap between the grade and the actual skills required at the crag is too wide, and hard to be recognized.

5-2) Technical Level Classification (Draft) 
 

Introduction level:  requires supervision by an advanced climber. rented gear.

Beginner: Can climb in a group without accidents. No lack of gear.

Intermediate: Able to go and come back with climbers of the same level as themselves.

Advanced: A climber who is able to climb difficult climbs and return home in a safe condition.

Experienced: A climber who can make sound decisions and give guidance in a pinch.

Proficient: A person who can give creativity to climbing.

(6) Increase readiness to recognize danger

Climbing is an extreme sport that involves danger, so it is important to properly assess the ability to recognize danger as well as the appropriateness of the exercise itself, and to provide appropriate guidance.

In particular, if the ideology that celebrates death wishing behavior is not corrected in the early stages of climbing, it can lead to loss of life or damage to the climber's life in the rudimentary stages. Examples include the death of a climber who slipped and fell on the west ridge of Mt.Karasawadake.

Training for the instructor's selfish purposes can lead to grade supremacy, which, if not corrected, can create people who are exclusive, uncooperative, inconsiderate, aggressive, emotionally unstable, and self-centered. Especially when teaching junior high and high school students, instruction that is detrimental to the development of an amicable personality must be avoided.

Similar problems may occur with adult climbers, so activities to teach basic risk management in climbing, both culturally and ethically, will become even more important as the number of climbers increases.

It a big loss for the climbing community if young climbers, who have the potential to make great records, are killed early in their climbing careers because of minor mistakes.

The discussion in this area has been very slow, and every year accidents are reported that could have been prevented without death (e.g.,  Amida North ridge of  Gakushuin University).

Instead of the idea of taking life in stride, what kind of efforts and what kind of precise risk calculations led to great adventures and great records? should be talked about.

As a case study, we can make better climbing plans by reading past accident cases as a collection of failures, with examples of failures such as multi-pitching without a defeat plan (Hakua slabs ).

The legacy left by our predecessors should be utilized. In other countries, books compiling accident reports have also been published. (AAC: https://amzn.to/3Ip5TSr)

Learning in the form of discussions with top climbers would be a good way to transmit the ideas of great climbers.

Translated with www.DeepL.com/Translator (free version)---------------

個人特性とクライミング指導法 (試案)

 ■個人特性とクライミング指導法

1)指導に際して、まず対象者の特性をいろいろな側面から把握しておかなければならない。

  • 技能レベル
  • 体力
  • 運動能力
  • リスク管理でのレディネス
  • パーソナリティ
  • 目的
  • 興味や関心の度合い

2)指導目標や課題を設定し、整理・配列する必要がある。(事例https://allnevery.blogspot.com/2023/02/blog-post_51.html

3)指導中に何度も方向修正する必要がある。

■ 指導形態

  • 岩登り講習会(一斉指導)
  • 山岳会の日常クライミング(グループ指導)
  • 師弟関係でのクライミング(ペアに対する個別指導)
  • 相方と登る(ペア)  

特定の指導形態に偏らないほうが予後が良い。師弟関係のみ、あるいは山岳会だけなど、狭い社会内でのクライミングしか知らない場合、極端な組織カラーに適応してしまっている場合がある。 例えば、5.9でブイブイ言わせる、など。

海外でのクライミングを含め、できるだけ多くのクライミングの機会に触れ、偏らないで登るほうが、視野を広く持て、極端な考えを持たないで済む。

指導者に対して人数が多ければ、それだけ、リスクの管理が疎かになることが多いので、ガイドレシオを参考に、あまり多くの場合は避けるべきである。

またクライミングの場合は、個人指導を受ける場合、パートナーと二人一組で受ける、ということが、指導内容の共有もでき、復習もできるため、早期の自立につながる。(例:一度リーダーにマルチに連れて行ってもらったら、その後2名で同じルートを復習に行く)

指導者は個人の特性を考えて、人工壁での課題のグレード設定、練習時間、を設定すべきだが、基本的に多数派に合わせざるをえないので、 メインストリームからズレる、子供、女性、高齢者の場合は、別の場を設けるほうが実りが多いかもしれない。

昨今クライマーの多数派は、20~30代の成人男性で占められており、それに合わせると健康が損なわれるとなれば、本末転倒だからである。子供、女性、高齢者の低体力なグループの習得戦略は、主に、短時間頻回である。メインストリームの男性は、長時間高強度が戦略になる。疲れてきてやっとムーブの習得に進むことになるためだ。

■ 個人差に応じた指導法

1)登れても降りれない…   下降は、もっとも基本的な習得技術

言うまでもないことだが、登ったら、降りなければならない。

このことは、文字に書いてみると、あまりにも当然であり、言語化すべきことではないようであるが…実際には岩場で起こっているヒヤリハットの9割は、登っても降りる技術を用意して来なかったことによる。(事例:比叡

したがって、レベルに関係なく、登った後に降りる技術は、クライマーはすべからく全員が習得していなくてはならない。

主たる降りる技術は以下である。

  • 懸垂下降
  • ローワーダウン(ATC もしくはグリグリ)
  • ジャンプオフ(ランディング)
  • クライムダウン 

これら4つの技術をマスターした後に登る、という意識的な技術習得が必要である。特に懸垂下降は失敗が許されない技術として知られている。

個人的に子供に教える際に成功した下降技術の伝達方法は

 グリグリで自己ローワーダウンを習得した後、ビレイヤーによるローワーダウンを行う方法である。グリグリによる自己ローワーダウン時には、ノットを地上2mくらいに結んで万が一、滑り出してもそこで止まるようにしておく。この場合のノットは、バルキーであれば何でも良い。

2)技能レベル(グレード)

一般にフリークライミングといえるグレードは、外岩の場合、5.9からである。ゆとりを見て、5.8が入門グレードとされている。

現代の入門者でいきなり外岩に行く人は、あまり多くない。1:9くらいであろうか?

登山からスタートし、平坦地から、傾斜が加わって、徐々に壁になっていく、という成長の仕方を辿った入門者の場合、すでに手、足、足の3点支持、は、山歩きで身についている場合が多い(正体)。その場合、人工壁では薄被りを登らせ、側体(フリ、ツイスト)の習得、2点支持の習得、が、まずは第一の課題になる。

一方、現代のクライマー初心者の9割を占めるインドア・ボルダリングジムでの入門者の場合、楽しんで登らせ、インドアジムグレードで5級が、ほぼ落ちずに登れるようになった頃合いが、外岩で5.9が、おそらく怖がらずに登れるだろうと想定できる登攀力の目安になる。

3)ビレイ習得

したがって、これらの段階でビレイを習得しなくてはならない。

週2回で半年がビレイ習得の目安となる。

もちろん、外ボルダーでランディングの危険認知ができている場合、もっと低いグレードから外岩に触らせても構わない。むしろ、アウトドアでのリスク認知にとっては、より良い結果をもたらす。外ボルダリングでの主たるリスク要因は、ランディングであるので、登れても降りれない状態になる前に、リスクを認知させるのが大事だ。マットの隙間に降りるという事故がとても多い。

5)グレードでグループ分けすることに意味が薄くなってきている

現代では、登攀グレード(段級やデシマル)で初級、中級と分けたり、経験年数の長さで分けたりすることに意味がなくなってきている。

何ができれば初級者で、何ができれば中級者と言われるべきか?というのは、上級クライマーによる精査が必要な段階になってきている。

例としては、5.13が登れるクライマーでも5.8のワイドやスラブなどで落ちて死ぬ、などの事故事例が国内・海外問わず起こっており、グレードと実際の岩場で必要になる技能の内容が開きすぎている。

5-2)技術レベル区分 (案) 

入門者 : 自立的な自己完結したクライミングがまだできない、上級者の監視が必要な状態 自分では登る課題を選ぶことができない。

初級者 : ギアの不足などもなく、事故らず、クライミングがグループで実践できる状態

中級者 : なんとか自分と同レベルのクライマーとなら、行って帰ってこれる状態

上級者 : 難しい登攀にチャレンジしても自分の命を確実に守って帰ってこれる状態

ベテラン : かなりのピンチに追い込まれても確実な判断ができ、指導も可能なレベル

熟達者 : クライミングに創造性を与えることができる

6)危険認知力というレディネスを高める

クライミングは、危険を伴うエクストリームスポーツであるため、運動そのものに対する適正はもとより、危険認知力を適切に見極めて、適切な指導を行うことが大事である。

特に、クライミングの初期に、命知らずな行為を称える思想を矯正されないと、初歩の段階で命を失ったり、クライマー生命を損ねたりすることになる。例として、涸沢岳西尾根での滑落死、など。

指導者の利己的な目的達成のために、トレーニングされると、グレード至上主義となり、矯正されない限り、排他的で、協調性や思いやりに欠け、攻撃的、情緒不安定、自己中心的な人間を作ってしまうことにもなる。特に、中学生、高校生を指導する場合、円満な人格形成の弊害になるような指導は、避けられなければならない。

成人クライマーの場合も、同様の問題が起こりうるので、クライミングの基本的なリスク管理への態度を文化面、倫理面で教える活動は、クライマー人口が増えた今後、より重要だと思われる。

本来、偉大な記録を残すかもしれない将来のある若者が、些細なミスで、クライミング人生の初期に死んでしまっては、クライミング界の振興はありえないからである。

この分野では対応が非常に遅れており、毎年、死ななくても済んだと思われる事故が報告されている。(例:学習院大学阿弥陀北陵)

命を粗末にする思想ではなく、偉大な冒険、偉大な記録は、どのような努力、どのような緻密なリスク計算から生まれたのか?を語るべきである。

事例としては、敗退計画なしのマルチピッチなどの失敗事例(白亜スラブ)を交え、失敗集として過去の事故事例を読み解くことで、より良いクライミング計画が立てられるようになる。

先人の残した遺産を活用すべきである。海外では事故報告書をまとめた書籍も出版されている。(AAC: https://amzn.to/3Ip5TSr)

一流クライマーとのディスカッション形式での学習で、偉大なクライマーの思想を伝達できるものと思われる。


第五章 クライミングの指導法 (試案)

 テニスの指導者マニュアルに従って、クライミングの指導者マニュアル的なものができないかという試案です。

目次は以下のようになっています。 

第五章 クライミングの指導法  
1)指導の基本課題
 1.個人特性とクライミング指導法
 2.動機付け
 3.指導対象に応じた指導計画と指導内容
2)技術指導法と指導内容 
 1.技術指導の基本的な考え方
 2.技術レベル別の到達目標と段階的指導法 
 3.示唆による指導 
 4.ビレイ技術 

 5.技術指導の留意点 
 6.技術の矯正法 

3)本ちゃんの指導(初心者)
 1.易しい本ちゃん(ゲレンデ)から、本格的な本ちゃんへの導入 

2.指導者の後について登る 
3.同レベルのクライマーと登る
4)クライミングの指導実践例
1.指導の進め方 
2.ジュニア  
3.マスター 
4.シニア  
5.女性 

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