2016/06/04

6月1週のクライミング

■ 平日クライミング

平日パートナーで最近組んでいる青木さんから、連絡が久しぶりにあり、今週平日は、楽しくクライミングできた。

6月1日 甲府幕岩 
  2日 小川山 烏帽子岩左岩稜
  3日 小川山 烏帽子岩左岩稜回収 リバーサイド

反省点は、日常性の維持。 まぁ今回は、久しぶりだったので、また夜に飲みに出てしまったのだった。1日、やきとり屋へ繰り出す。翌日、 瑰泉へ。これが失敗。近くに寝ていた人がうるさく、夜あまり休めなかった。

3日目、烏帽子岩で残置してしまったカムを回収した後、リバーサイドに行くも、疲れが出てしまい、クライミングに投入する気力のレベルゲージが、だいぶ下に・・・。

これはちゃんと寝ていたら、そうしなくて済んだと思うので、反省だ。

アルパインには、どこでも寝れる図太い神経も必要だが、私の場合はシュラフで身体を守られている感じがあれば、結構どこでも寝れる。だが、今回は解放感がありすぎて、あまり寝れなかった・・・。寒かった。とはいえ、山では、寒くて寝れないことが普通だ。

■ 甲府幕岩

甲府幕岩へは、初めて行った。ほとんど瑞牆エリアだった。この辺りは森の雰囲気がとても良い

なんだか行って見たら、初心者向きの岩場のようだった。ハングばかりであなたには難しいと言われていたのに・・・。それはどこのことなんだろう?

行かない方がいいよ!と言われていたので、???と思ってしまった。

朝は9時集合と遅めのスタート。大快晴で、気持ちが盛り上がる。

ところが・・・太刀岡山を通り過ぎ、観音峠へ入ると、なんと林道は通行止めだった(汗)。観音峠大野線は通行止め。

大明神線、前山大明神線を通って明野に抜け、塩川ダムのあたりから、甲府幕岩へ。2時間もアプローチにかかってしまった。

着いたら昼ごろ・・・(涙)。 先行pは、1パーティだけだがランチ休憩中だった・・・。

豊穣の森エリアで、まずはリーダーA木さんが、ピリカ(10b/c)を登る。下部が核心。

当然のようにロープを渡されたので、なべちゃん5.8を登った。正直言って、リードで登れるかどうかの判断が、まだ付かない・・・。

が、なべちゃんは安定してオンサイトできた。ベテランK田さんも同様にリード。

ところが、隣のピリカでは苦戦。TRで3テンしたら、降ろされてしまった・・・。3テンアウト制か~。

イエローマウンテン5.9もオンサイトできた。結構、自分としては、オンサイトが2本もあって、大満足(笑)。

エリアを移動し、HIVE 5.10Aへ。TRでやったら、1か所、ぬんちゃくを置いて登ってしまう。2便目はあまり問題がない。 ただちょっとcrumsy… クラムジーな感じだった。日本語でいうと、どういう感じだろう・・・まごつく感じというのかな?まだムーブの解決が論理立ててはできないからだ。

「リードする?」と聞かれるが、もうちょっとスムーズになってからのほうが良いような?この辺の判断は保守目だ。

帰りは運転もスムーズに帰り、甲府で焼き鳥屋へ繰り出す。10時近くまで飲んでいた。

 ・なべちゃん オンサイト
 ・ピリカ 3テン
 ・イエローマウンテン オンサイト
 ・HIVE TR 2便  

とってもいい岩場だった。また行きたい。トータル5本

■ 瑰泉(かいせん)

翌日・翌々日2連チャンで、小川山の予定。往復しないで、小川山で泊まったら?と提案したら、甲府の岩盤浴場瑰泉が体がとても休まって、気に入っているのだそうだ。

よほど良いところなのだろう・・・と、私も偵察に同行することにした。というのも、宿泊費とすると、1750円は安いが、銭湯代とすると、高い。甲府に住んでいたら、甲府に宿泊する必要はない。ので、なかなか偵察も行く気になれないんだなぁ。夫と行くための偵察。

朝は6時出発。小川山到着8:30 予定通り。左岩稜については、こちらに別に記事をまとめた。

   小川山烏帽子岩左岩稜

■ 脱初心者するには、理解が核心だということ

烏帽子岩左岩稜は、20ピッチと長い。初心者同士でパートナーを組んでいた頃、一緒にステップアップして行くための易しいマルチピッチの候補として考えていたルートだった。

その他、同じような性格のルートとして考えていたのは、乾徳山の旗立岩中央稜、稲子南壁左方カンテ、無雪期中山尾根、太刀岡山左岩稜。

これらは、師匠の入れ知恵だった(笑)。ところが、相方はクライミング初年度で、北岳バットレス四尾根に行きたがった。13ピッチもあるし、山としても一泊二日。ルーファイをミスして、2尾根に行った人もいて、ひどい目に遭っている人もいた。

ロープワークの未熟さもだが、アルパインの困難がどういう困難なのか?について、ひどく無知な気がした。無知を無知と気が付いていない気がした。

当時は、うまく言い表せなかったが、3000m級で、13ピッチのロングルートに挑戦する前に、相方とは、やっておくことがいっぱいありそうな気がした。が、それを言っても、なかなか、合意に達せなかった。

困っていたら、先輩が助け舟を出してくれた。北岳の偵察山行だ。下部岩壁だけでも、初心者だと時間がかかって大変だ、ということが分かった。

その後、アルパインのルートグレード1級の前穂北尾根へ行った。3ピッチしかロープは出ない。相方も連れてきていいよ、と先輩が言ってくれたので、誘ったけれど、不参加で残念だった。

二人で一緒に夢を見ることができない・・・ということが分かり、パートナーシップは、解消となった。これに行ってくれていたら、また別の展開だったかもしれない。

アルパインクライミングについての技術的課題や、何が難しくて、何ができると、どういうルートに行って良いのか?という説明を初心者にするのは、とても難しい。

初心者側の理解しようという努力が不可欠だ。

ロープワークとか、ルーファイとか、言葉で言って聞かせても、その言葉が具体的に意味する内容は、伝わらない。

■ グレードの弊害

しかも、悪いことに、なまじ、グレードがあるせいで、「5.7?じゃ登れるじゃん」と思ってしまう。

たしかに5.7なんて、今日クライミングを初めてしました♪みたいな人が初日で登れる。私だって5.7なんて初日でクリア。何が難しかったんですか?となる人の方が多いだろう。

でも、山にある5.7を登るのは別の話だ。山にあると、墜ちたら死ぬのだ。

まずは、ロケーション…足元がすっぱり切れて落ちたら一巻の終わりというようなところにある。床に置いてある丸太を渡るのはカンタンだが、高さ100mにおいてある丸太を渡る気になりますか?

それに悪さ。砂がついていたり、木の葉、木くず、虫、風、日射。環境はアウトドアなのだから・・・。

長さ。5mの5.7を登るのと、40mの5.7を登るのでは、もちろん、40mのほうが大変だろう。山では、時間が長く、何ピッチも集中力が要求される。

そして、プロテクション。プアというより、自分で立木を選んで、取らなくてはならない。ギアが足りなくなったら、どうする。

ロープドラッグ。ロープの流れを作るのが下手だと、歩くだけの場所でも、ロープが出なくて、すぐに前進が困難になる。

時間。ちょっとしたことに手間取って、5分余計にかかると、20ピッチあれば、5分×20回。100分の遅れは、山では大きい。悪天候につかまって、吹きさらしの稜線で進退窮まったら、身を寄せ合ってビバークをしなければならないのですぞ。

チームワーク。こうしたことを乗り越えるには、共通の理解と、あうんの呼吸が必要だ。

親しさ。ビバークなんて嫌いな人とはできない。「オレ浮気したい」と女性の私に向かって言う人とテント泊したが苦痛だった。

そういうことが、なかなか分からなくなってしまうのが、グレードの弊害だ。

■ 今回のルートの特徴

今回の烏帽子岩左岩稜も、難しいところは、ほんの少しで、私がイメージしていた小川山的なマルチピッチとは違った。屋根岩2峰セレクションみたいなのが、7Pではなくて倍あるのかなぁ・・・と思っていた。

行ってみると、セレクションはとてもフリー寄りだが、烏帽子岩左岩稜は、ずっとやさしく、その代り高度感と景色が素晴らしかった。

すごくアルパインっぽい。登っていると景色が素晴らしすぎて、高度感や恐怖を忘れてしまう・・・。

今回も実際そうで、少しも怖いと感じなかった。

ただ、やはり、「ここ、落ちたら死ぬよなぁ」と思った。

高所恐怖症の夫を連れてくることは、セカンドで連れてきても、不可能だということは明白だった。

同行者は、ここには30回も来ているのだそうだ。

私は今回、5.5などの易しいピッチではリードする気でいたのだが、初見リードはありえない、ということが明白だったので、黙っておいた。リード者はセカンドからまったく見えない。つまりルーファイをミスしても、そのミスをセカンドが拾うことができない。

それにリードしたいとわがままを言って、時間が押したら、パーティ全体として効率が著しく下がる。

パーティでもっとも合理的に早く抜けるには、パートナーのオールリードが合理的選択だった。

それにしても、去年の段階だったら、ここへ来ても楽しめなかったかもしれなかった。登攀力の安全マージンのゆとりが足りなかっただろう。高度で恐怖心が出ると、体の動きが悪くなるからだ。

20ピッチの長いピッチが、5時間程度で済んだのは、パートナーがルートを熟知していたことによる。

■ 残置回収

山頂でギアを整理したら、黄色のカムが一つ足りなかった・・・。

ので、翌日戻ることにした。8合目付近だ。 こちらのほうがロープワークなど、私には勉強になった。

一部登り返しがあったが、プロテクションがなく、頭上のクラックに挟まっているチョックストーンが落ちそうだったので、ここは登るべきでないと判断した。登攀的には易しそうだった。

では・・・というので、懸垂で降りようか?と思うが、下りるのは簡単だが、下りた後、どうするか?ダメだったら、登り返しになる。

プルージックで登り返せばよいとは言えるが、不確定要因が多い。ロープを引きぬいてしまったら進退窮まってしまう。

というので、懸垂で降リる案も廃案。

右に巻いてみたら、なんだか行けそう、といので、1ピッチロープを出してみる。次は短い懸垂。次はカンタンな登り返しだが、ロープを出す。

パートナーは見えなくなったが、うまくカムを発見したようだ。やはり思ったところに残置してしまったようだった。見つかって良かった。

この日は、6時出発し、8時半小川山着。12時には下山終了したので、別のエリアに向かった。

■ リードでフォール

もう昼だし、近所がいい、というので、リバーサイドに行った。

パートナーが、アウトオブバランス5.9をリード。前回、ここへ来た時、私は、ここはTRで、何も考えずに何が難しいの?と言う感じに登れてしまい、楽だった課題だ。

その時、これはリードできるんだろうなぁと思い、2便目は、考えながら登った。すると2便目では落ちてしまった。前とは違うムーブを試そうと思い、そうしたら、2便目で落ちてしまった・・・ので、リードは出直しと結論。

なんでなのだろう?考えると、余計悪くなる。

という状態の課題なので、相方がリードした時に、トップロープを残してもらって再登してから、リードにトライする予定だった。

が、とりついてみたら、あら?!ロープがいつの間にか抜かれていた。

しかも、抜かれているということに気が付かないで、取り付いてしまっていた・・・気が付いたのは、2ピン目を掛けるとき・・・。

「あれ?トップロープでって言ったじゃーん・・・」 「え~?そうだっけ?」 

してやられたなあ・・・

というので、まぁいいか・・・とそのまま登る。私には、”クライマーとしての私”が正確に理解できないのだし、相方はベテランで、彼の方が私自身について理解しているだろう。

最終ピッチまで、もたつきながらも、無事進む。

が、最後のところは、多少寝ているのに、そこで落ちてしまった。指がかかるクラックが浅くなって、レイバック気味なクラック+片足スメアという登りから、完全にスメアに変えるところ。右足に遠くにスタンスがあるのに、見落としていた。

結構落ちて、3mくらいフォール。

リードでは初めて、落ちた。

もちろん、人工壁では落ちながらリードしているのだが、外岩のリードでは、初めてだ。

まぁ、ビレイをしているので、落ちている人を目撃したりして、平気だということは、頭では分かっているのだが・・・。

落ちる恐怖を不必要に大きく勘定している、というのは事実だ。

それは当然で、山岳会で一緒にアルパインに行くことになるビレイヤーたちのビレイは、かなり信用がならなかった。

だらりんを平気で、立ち位置がかなり遠かった。私を引っ張り落としたり、ロープそのものの理解がまったくなかったりした。一緒に登って落ちると殺されるなぁと分かった。

それで、岩に一緒に行くのはやめることにした。ゲレンデ通い→アルパインが、正しい流れと言うことも分かっていない人たちと行くのは嫌だった。

フリーの人は、ゲレンデしかない。それでも、フリーの人の方が、山岳会に属している人よりも、クライミングに慣れており、したがってビレイに慣れており、安心感も拡大だった。フリーしかできなくても、”ビレイでチョンボしました~”で、死ぬよりは良い選択だ。

さて、落ちたら、非常に悔しくなり、すぐに取りかかった。ら、2度目も落ちてしまった。まぁ、落ちるのに慣れるのも勉強だからいいか。

足が引っかかって、腰を打ったが大したことはない。3登目は、遠くのスタンスに足をかけたので、終了点近くのガバが取れた。

しかし・・・トップロープでは1撃だったのに、リードでは不安定で3登も必要とは。

今のところ、考えた方が動きが悪い。

■ めんどくさい

この課題は、同じ終了点で隣の10b/cも登れる。ただスタンスが極小になって、小粒なカチを持たないといけないだけだ。

リードで登れたら、次はトップロープで、限界を伸ばす番なのだが・・・眠い。

しかも、とりついてみたら、気持ち的に、とっても、めんどくさい。

ただめんどくさいのだ。それで、靴を変えてみた。小さいカチスタンスに乗りやすくなって、楽勝気分が出ると、気持ちが切り替わるかな~と思ったのだ。

でも履いて登ってみたが、あんまり、気持ちが盛り上がらない。ただ、めんどうな気分だ。

それで、今日はこれで終わりだな~と思った。こういうとき、あと一人いれば、その人が登ってくれればいいのだが、二人なので、私が登る気を失えば、クライミングは終わりになってしまう。

相方には申し訳なかった。

なんだろうな~、このめんどくささは。

前の日よく眠れておらず、眠かったというのもある。でも、睡眠不足は山では普通だし、緊張して交感神経がONになれば、眠気は吹っ飛んでしまうはずだ・・・

それで家に帰って昼寝を試みたが、あまり眠れなかった。帰って仕事に行ったが、仕事はいつも通りで快調だった。

帰ったら、夫がベッドで伸びていた。それで私も食事せず、ベッドにもぐりこんだ。夫とはいつも一緒に寝ている。いつもの環境で寝ても、やっぱりよく寝れなかった。

呼吸法や瞑想で、副交感神経をONに切り替えたり、短時間で急速に心を鎮める練習も必要なのかもしれない。

フォールに動揺したようには思えなかったし、体力にゆとりが不足しているようにも思えなかったが、今日も、とても、だるい、めんどくさい気持ちだ。

だが、このブログの長い報告は書けている。めんどくさいときには、文章を書く気になれない人は、とても多い。なのに、私は平気だ。私の場合、めんどくさいときは、料理や後片付けにはゲンナリ感が出る。

そういう種類の問題かもしれない。

まとめ 
 リバーサイド
 ・アウトオブバランス 5.9 リード フォール2回
 ・マダムバタフライ TR 

■ めんどくささ

・・・というような内容の3日間だった。4日目もクライミングしたら、めんどくささにめげていたかもしれない。

メンタル的に、クライミングが長時間続けられる、というのは、どういうトレーニングなのだろう。

山では、長い時間歩いていても、あまり飽きることはない。 

しかし、山も飽きる、ということをおと年、中高年のおばちゃんのスタンプラリーみたいなピークハントに付き合って理解した。

ただ数をこなすような山は、好奇心が刺激されなくて、飽きてくる。疲れではなく、退屈さ。飽きて歩きたくなくなる。やれやれ…という気持ちだ。

最近も山で単独で歩いていると、ちょっとめんどくさい気持ちになったことがある。太刀岡山のハイキングに出かけたら、2時間ほどだが飽きが出たし、乾徳山の偵察山行も同じだった。

山から新鮮味が薄れてしまったのは・・・遠くに見えている目標がなく、糸が切れた凧みたいな気分だからだろうか?

山をスタートしたころには、憧れがあった。今は、憧れはなくなってきつつある。

いや、むしろ幻滅中と言ってもいいかもしれない・・・。山の大部分が、独りよがりのお山の大将的欲求・・・世俗的な欲望に汚染されている、と観察の結果、結論したからかもしれない。

あるいは、危険予知なしのアルパインは、10中10、死へ続く道だと、確信が持てたからかもしれない。

私のモチベーションの9割は、好奇心で、残りは向上心だ。山で自分を向上させたいと思っている。それは登攀ではなく、例えば、相互に信頼し合う関係を築く、というようなことも含めてだ。人間的成長。

そうした気持ちは、しょうもない初歩的ミスで死ぬリスクを見ると、減退する。両手離しで、ビレイしている人を見ると、バカバカしくてやってられない気になる。

私一人が真面目にやったって何になるんだ?

ヤル気が減るのは、「頑張ったところで、どこへもたどり付けない」と行き止まりを見たときだ。

行き止まりとはつまり、無謀な登山者であり、それを指摘しないリーダーたちだ。

心理学的には希望の反対。

願わくば、この道はどこへ続くのだろう?とワクワクしながら進みたい。