2023/05/11

師匠恋し…エンジョイクライミングには正しいリスク認知が必要

 ■ 青ちゃんの最後の言葉:楽しんで登っていってほしい

山っていうのは、山そのものとの出会いと同時に、人との出会いもあるものだ。

佐藤さんの記録もそういう人との出会いで紡がれて行っているらしい。そうなんだ、と思って嬉しかった。

https://drive.google.com/file/d/1hEx6xLhSBwzooV78ZRJ8yVH6rEs9GYhJ/view?ts=645bed0b

世界レベルのクライマーでも、グレードを追いかけているわけではない、ということです。

普通に楽しんで登っていたら、こんなグレードが登れるようになるのが、現代アルパインクライマーなんですよ?? 



■ 雪から、アイス、そして岩へ

私の山との出会いは、雪の山… 美しい八ヶ岳の山にと、後に一人で、登り始めたのが最初だ。

厳冬期の八ヶ岳は、小屋も充実しているので、個人でも取り組みやすい雪山だ。さらに高めたいと思ったので、山岳会に入ったが、会自体が弱体化していたので、なかなかレベルアップはできなかったが、それなりに楽しい残雪期の鹿島槍鎌尾根やら、黒部川を遡行して、真砂尾根などに行っている。

山行リストはこちら。 

https://stps2snwmt.blogspot.com/p/201504201603-2016-2016-2016-201629.html 

すべて山との出会いが、人との出会いによってもたらされた山だ。

この2つは、御坂山岳会の榑林さんという素晴らしい先輩が企画してくれた山だ。(信大出身者)

苦言になるが、御坂は家庭的で良い会だったが、みなが良い人過ぎて、メタボになったオジさん登山者が一升瓶を担いで初級のバリエーションに行く、という無謀…凍傷者3人…を阻止する力がなかった…。

その時、私の参加を阻止してくれたのが、当時の師匠の鈴木清高さんだった。今でもお元気で登られているようで、時々、山の記録を拝見している。

インスボンや韓国のアイスは、青木さんという佐久の師匠と出かけた。私は雪の山は、単独初見での阿弥陀北稜を終わった。ロープが出るルートは、初級のアイスルートのジョーゴ沢から硫黄に登るとか、入門の峰の松目沢敗退だったが…も、なんとか済ませて、個人で厳冬期にテント泊ができるところで、それ以上の山となると、仲間が必要なので、雪稜はこれ以上レベルをあげるのは、もう無理ね…というところだった。

実際、フリーのルートのほうが、アルパインのルートよりも、リスクが小さい。ある程度フリーが上達するまでは、フリーに専念した方が良いという蒼氷の先輩のアドバイスもあった。

ので、結局、冬季のフリーはアイスだろ、というので、アイスクライミングを習得することに力を注いでいたのが、私の山梨最後の日々だった。

スケジュールは、全部クライミング優先(笑)。

■ アイスから岩、岩からクラック

青木さんは、もともと日本発のレスキューを組織した人で、30代のときに、わざわざ関西から長野にレスキュー隊を作った話をしてくれと呼ばれたそうだ。それが定年退職の年令になって、長野に移住したら、レスキュー隊の人が人手不足というので、もう退職の年齢なのに、手伝ってくれないか、という話が来たのだそうで、この30年レスキューの世界が衰退していったということをしみじみ感じたみたいだった。

私の山岳総合センターでのリーダー講習で、講師をしてくれた高橋さんと村上さんが、八ヶ岳のレスキューの隊長、副隊長だったので、私にとって、青木さんの技術には、非常に魅力があった。

私は当時、山梨アルパインクラブという義理入会のパートナーが、ジムで5.11が登れるからというので、北岳バットレス四尾根にいくというので、振り回されて、てんやわんやしていたのである。四尾根に同意した理由は、私は3年後くらいのつもりだったのに当人は今年のつもりだった…という大きなすれ違いがあった。

この時、花谷康弘さんに相談して、それを師匠に誤解されるという事件があった。ガイドさんだからだ。一般に師匠クラスの人はガイドを嫌うが、それは誤解に基づくことが多い。昨今、ガイド業している人は山岳会の貧困を理解しており、山岳会で登っている人をガイドの顧客扱いすることは無い。むしろ、山岳会が弱体化したことがガイド業の興隆となっているのだ。

山岳会を一つ運営している私でも、無料でギアを貸して連れて行く山にはやってられない感しかない。

一般に高校・大学などの山岳部を経由していないジム上がりの男性クライマーは、リスクの認知がものすごく甘い。

その上、女性の発言は言うことを聞かない。危険なビレイを指摘しても聞かない。

ジムで5.11が登れるというのは、北岳バットレス四尾根が登れるという何の裏付けにもならないが、そのことがよく分からないのだ。それはグレードが付与されている弊害のため。

北岳バットレス四尾根は、ルートグレードは3であるので、入門や初級ルートですらない。

御坂山岳会の先輩が気の毒がってくれ、「前穂北尾根にパートナー君も一緒に」と言ってくれたのだが、5.11の彼は来なかったので、結局、アルパインロックとはどういうことか?せっかく先輩が張り切って見せてくれたのに、共有できず、残念だった。

私はこの後、自分のリードで取れるルートということで明神主稜とか、ご近所の旗立岩中央稜に出かけた。もちろん、テント泊一式とカムを一式持って、自分でプロテクションを取っていくのである。こういうのを今の若い人はしなくてはならないが、みんなやりません… 

それより、派手で有名なルートに行きたがってしまいます。たぶん、ルートの選び方でみな間違ってしまうから死んでしまうのでは…。

ちなみに当時の私は5.8は落ちないでのぼれましたが、5.9が万全か?というと怪しいレベルでした。そもそも、日本のルートってグレーディングがもっとも曖昧なのが5.9です。5.9と言っても、実は10cだったりします。

それでも、私が上げたような冒険的ルートは、リスク認知がきちんとできれば、言い換えればロープが出せれば、行けるのです。

福岡の想山会はここで躓いており、ロープを出さずに北鎌尾根に行って死者を出しています。

■ フリークライミングはアルパインの基礎です

5.9は確実でないとならぬというので、山のルートは一旦お預けでした。だからフラストレーションが貯まるので、ときどき一人で出かけていました。厳冬期の甲斐駒とか。

フリークライミングに専念しようということで、小川山通い、が始まった頃、出会ったのが、青木さんでした。通称、青ちゃんです。個人名を出すのはどうか?ということで、A木さんと書いたら、荒木さんという別人と誤解されたそうで、それで青ちゃんと書くように改めていました。

荒木さんと青木さんが、同じA木さんになるとは、うっかりミスでした(笑)。

青木さんは、関西では名を知られた岳人のようで、最初一緒に行った摩利支天大滝のアプローチで、知らない人たちが次々に挨拶していくので、なに?有名人?って感じでした(笑)。アイスクライミング40年のベテランでした。

ちなみにベテランが私と登ってくれたのは、当時、私が大学生のO君の指導を頑張っていたからです。 63歳、43歳、23歳のトリオでした。若い男子は一緒にいるだけで危険で、何をしでかすか分からない爆弾だからです(笑)。

私は、ベテランから、多くを学びました。

彼が何を言うか?するか?ではなく、何をしないか?から学ぶのです。

ある時、赤岩のアイスに誘いが来たので、青ちゃんに話すと、「俺は行かねぇ」という答えでした。それで私も行きませんでした。すると、行った人は、氷が崩壊して足を骨折していました。それも若い人。 

大体ベテランは、日の高い日中はアイスを登らないし、南面の氷も避けている。と学習。

雪の山と同じですね。 悪い日は登らないのです。

■ 小川山通い

同様なのが、岩です。

岩は蒼氷の先輩が一年くらい月一で小川山に付き合ってくれましたが、小川山は、当時の私には桁違いに難しく、リードが取れるルートは殆どないのでした。

この頃、ホントはピラニアのムーブ講座に通いたかったのですが、金曜の夜は仕事の日で、だめ。その解消に日曜に仕事をスイッチすると、小川山が、ということでした。

その頃、菊地さんの講習にでて、クラックは、まだフェイスより見込みがあるなと感じました。

その後、故・吉田和正さんの講習でクラックを登り始め、青ちゃんと湯川を2日、そんなところです。

一応、TRで確保しながら、スリングで繋いだカムに落ちるというのも、一回はやってくれたのですが、一回でカムへの信頼、積み上がります?いや、それは…無理でしょう。

同時に登攀の力も上がっていっていたので、結局、デイビットと出かけた台湾のクラックでも別に落ちることなく、ほぼオンサイトで登り…ほぼというのは、登るのを辞めて降りてきたルートもあるからです…雨が降って、クラックに手を入れたら、手から脇の下を通って水が流れて来て、こりゃ無理だと思いました…(笑)。 カムエイドで敗退しました。5.4の看板ルートのほうは、最初は恐る恐るだったのに、最後はカム3つでのぼってしまう…回収便だったので…という手の抜きようになりました… あれを見たら、清高さんは激昂するでしょう。

余談ですが、このように心の中に、誰々が見たら…というのが良心の正体なのです。

インスボンは青ちゃんが生涯をかけて登り続けている山なので、誰か付き合ってあげてほしいです。廣瀬さんが有名ですが、青ちゃんにも取材が来て、でも断っていたそうです。私が同行した時点で30回目くらいでした。

一度、青ちゃんの情熱を引き継ぐのが私では、間尺が合わないと思い、若い人を連れていきましたが、私とは登れるのに、その人とは登れないみたいで、息が合わないみたいでした。

40代スタートの私だと毎年行ってもリードが取れるまで5年はかかると言われました。

まぁ、ホントのことを言えば、ルート次第で、インスリッジなどアルパイン入門ぽいリッジルートもあるのですが、そのフォローをするのが、いやだ、というのが、多分、本音(笑)。

しかし、入門者のフォローは、後輩には努められず、先輩、が必要です。その理由は、この白亜スラブの登攀をお読みください。https://allnevery.blogspot.com/2019/03/blog-post.html

登攀歴10年のクライマーでも、こんなことになるので、初心者であれば、なにをかいわんや、です。

これは山梨アルパインクラブの先輩です。後で教えてくれたところ、

 登攀の仕方について指導は受けていない

そうでした。俺は教わっていない、のだそうです。私も山梨アには、数ヶ月しかいなかったので、様子はわかりませんが、ほとんど会長さんが気に入った女性クライマーを山に連れていくために男子は歩荷要員みたいでした。 

さて、そんなこんなで、師匠に恵まれたため、あれよという間に、海外クライミングデビューを果たしてしまった私ですが、インスボンだけですよ、師匠と登っているのは。

一人で行ったラオスの岩場、台湾の岩場に行ったことで、日本の岩場…普通のゲレンデと言われるショートの岩場…が、世界的に稀に見る遅れ具合…であることに気がついてしまいました。

九州では、そのため、フリークライミングでの問題点を多く感じるようになりました。 

それでUIAAのスティーブ・ロングさんに色々と日本の現状を相談するようになりました。彼とは、メール友達という具合です。海外の人の意見は、複数のソース(友人)を持っています。

日本のフリークライミングは、海外のフリークライミングとは明らかに違い、アルパイン色が強いです。初心者に安全なのは、海外のほうです。もちろん、海外にも危険なフリークライミングというのはちゃんと?あります(笑)。ただそれらが一般の市民向けクライミングとは峻別されているか?いないか?というのが違います。

海外の若い市民男性クライマーで、俺だってトニー・コールドウェル!と思っている人は、ほぼいません(笑)。たとえ、カムではなくナッツで支点を取るような人でもです。 

日本では、なぜか話が飛躍する。いきなり、お前もピオレドール賞、目指せよ、になり、中心的価値観が名誉に偏り過ぎています。

しかも、そもそも、アルパインを教える人、スポーツクライミングを教える人がいても、きちんとフリークライミングを教える人がいないのに。

それで、最近は、現代の若いフリークライマーはAMEGAの資格を取るのが良いと思っています。

■ 米澤さん

九州では、屋久島フリーウェイを開拓された米澤さんとしばらくご一緒していました。

米澤さんのことはお会いする前から尊敬していました。当時、御年74歳と青ちゃんを上回るご年齢の立派なアルパインクライマーでした。ヒマラヤ・タサルツェの記録を拝読し、失望されているご様子で、とても気の毒になりました。

米澤さんの開拓で、必要なボルトを私が提供しようとして、わかったのが、現代でも九州では開拓にカットアンカーを使い続けている、ということでした。米澤さんは、古い中根穂高さんの書いたものを読んでカットアンカーにしたそうです。つまり、グージョンが一般的になっているという情報自体が、九州には届いていないみたいなんですよね。

最近、中根さんの本を確認してみましたが、グージョン推奨というのがわかりにくかったので、ロクスノにきちんとグージョン推奨の記事を乗せるべきですね。JFAのフリーファンは九州では、入手自体が不可能感あります。

後で福岡山の会と比叡に行った時、M8カットアンカーを大量購入しようかと考えている途中の場面に出くわしました。

ボルトや使うべき資材など、JMSCAの経路で流したら、一発で全国に広まりそうなのに、全くそうでないのです。つまり、山岳会離れは、若い人だけでなく、年配の人もそうなのです。

比叡だけでなく、九州の一般的なフリークライミングのゲレンデ(例:野岳や八面)のボルトは、大体40年前のカットアンカーで、これは、まずいということで、JFAが来てくれたりしました。

しかし、JFAは現地の開拓クライマー(山崎さん)に、このボルトはまずいですよ、と言わないのです。なんか私に言ってもらおうとしているようでした。

しかも…なんと、日向神ローカルクライマーの代表開拓者の山崎さんが、私に、登れと薦めてきた”大蛇山”がリボルト対象でした…(汗)。

もちろん、私は、大蛇山、ヨーヨースタイルで登ったので、ボルトはそっとしか使っていませんが…。リボルト対象のルートをそうと知りつつ薦めてきたってこと?と青くなりました。しかも、リボルト前にすら、落ちろ落ちろ、と言われていたのです。

私は、ラオスのオーバーハングの6Aでは積極的に落ちています。別にK君に落とされて頭を6針縫ったトラウマはありません。寝ているルートで必要もないのに落ちると怪我します。 

開拓者は、一般にリボルトはしたがらない体質です。それでボルトが古くて登れないルートが貯まる一方、新たにカットアンカーで開拓している人が後を絶たないので、ルートが増えて、それもまた登っていい強度はないという悪循環にあるのが日向神でした。

確認したわけではありませんが、新規開拓ペースが早すぎる場合、資材を確認したほうがいいです。現代のグージョンは高いので、どんなにお金持ちでも何10本も開拓できるとは思えないです。1本一万円でも、100本作れば、100万円なんですよ?

■ 地方独特の対抗心がボトルネック

地方の人は、地方独特の対抗心?で、どうも中央のやり方に対する反発もあるのかも知れません。

肝心の人たちに…例えば、比叡の人たちに、カットアンカーがだめ強度のボルトであることは伝わらなかったかもしれません。

さらに言えば、当時、九州の師匠さんとしてお慕いしていた松井さんは、外岩の指導経験は少ないようで、どう考えても、これは初心者がリードするには適していないルート選択ではないか?というのが示されるのでした。

一般にフリークライミングは教科書的に言えば、1ピン目で落ちても死なないハズですが、1ピン目から落ちていいフリーのルートは日本にはなく、あるのは海外ですよ。

日本の岩場は基本的に、エイドのフリー化で作られたままのボルトの配置になっているので、リードの取り付きはほぼほぼ、ハイボルダーです(笑)

松井さんはボルト以前に課題の捉え方が、私とは違いました。例えば、愛のエリアの、”愛は勝つ10c”は、下部核心で左上しています。さらに言えば、5.10bが登れたから、すぐ次!とグレードをあげようとするより、同じグレードのものをたくさん登っていれば、グレードって勝手に上がっていくんですよね、なぜか、わかりませんが。ということで方針としても、合わなかったです。日本の岩場には、10代が少ないと言うのは理解できますが。

推測ですが、九州では、ボルトの検証自体が、年配の人は抜け落ちており、松井さんだけでなく、ムーブの高田さんも普通に残置を使って登っており、それを危険だと考えていないようでした。松井さんは、本ちゃんで残置を使って落ちたそうなのですが、そのことでボルトについての勉強は進まなかったのかも知れません。米澤さんですらカットアンカーで停止していたのですから、仕方ないことなのかもしれませんが、だからといって、間違っていることは間違っている。事実を覆して、残置を使う登攀が正しいことにはなりません。

余談ですが、クラックの岩場、大堂海岸もカットアンカーでした(笑)。もう日本国中そうなのです。

また、憶測ですが、九州では、若手のクライマーの育成が希望の星?なので、コーチ職にあると、選手として相手を見てしまい、性急にグレードを稼がせたい、自分の手柄としたいという気持ちが働くのかも知れません。

それは人工壁ではいいかもですが、普通のクラッギングではNGですね。

今までの師匠たち、清高さんや青ちゃんには、まったくなかった視点なので面食らいました。

一般に選手とされるような年齢…10代後半~20代前半…を終わった人は、全員、セーフクライミング世代ですよ。

43歳でフリーを始めた人を18歳と比べられても(笑)。

フリークライミングのグレードは、一つのグレードの中でも濃淡があり、私はギュリッヒのクライミング理論…5.9のベテランは、10Aの初心者であるを採用しているので、まだ4本しか(九州の)10A(オンサイトではあっても)を終わっていないのに、10cに取り付くというスタイル自体がリスクに感じられました。

その上、ですが、人工壁のスタイルが定着しているので、九州の人はすぐ外岩で落ちます。

すぐ落ちるスタイルのほうが上だと考えられているのも疑問で、私がヨーヨースタイルで登っていると、チキン扱いされるのですが、伝統的フリークライミングのエシックでは、ヨーヨースタイルのほうが、スタイルとして上ですよね?

その辺もどうもフリークライミングそのものが理解されていないようで、落ちろ落ちろと言われるのが苦痛でした。そもそもボルトが安心できないと結論がでているのに、落ちろと言われても。

古いボルトが安心できないこと自体が、九州では認知されていなかったみたいで、出会う多くの人は、カットアンカーは、カムより強度が強いと思っているみたいでした。大きな誤解です。

同じことがマルチピッチでも起きており、マルチではより深刻です。ランナウトが楽しいみたいになっている。

私も瑞垣で初めてのマルチではランナウトしていますが‥あれはカムで取った支点で自分のミスですが、それと話がちがうのが、ボルトルートのランナウトです。

歩ける3級スラブなら、いっそインスボンみたいにボルトを抜いたらどうかと思います。あってもランナウトしていたら意味ないですよね。インスボンも3級で取り付きはスタートですが、ボルト自体がないので、その時点で怖い人は来ないです。

九州ではマルチ=アルパインと理解され、取り付きまで徒歩5分の白亜スラブはアルパインとされていますが(これが大きな誤解であることは本州のクライマーは分かると思いますが) 、残置を使った登攀が基本になってしまっています。それは、アルパインではなくスポートルートというのです。残念なことに沢ですら、そうらしいです。(祝子川) 

というので、落ちれないボルト配置を肯定しているフリーのルートっていうのが九州のボルトルートの現状です。

というか、日本全体がそうなのかもです。私は、山梨のゲレンデでは、新しいルートかトラッドしか登っていなかったので、山梨でも気がついていなかっただけかもしれません。

余談ですが、小鹿野の紛争は、花崗岩のランナウトと、どっかぶりオーバーハングのランナウトを混同しているというのがあると思っています。

私もどっかぶりは、ラオスで登っていますが、被っていて地面が近ければランナウトは懸垂の失敗が許されないのと同じ程度の許容度の低さです。オーバーハングで地面が近ければ、なおさらです。逆に、地面から離れれば、別にどんだけロープがでていても安全です。オーバーハングのルートのほうが落ちるには逆に安全です。 

■ エイドクライミング

このような具合に、つぎつぎと、九州でのロッククライミング全体像が、私の前に暴かれて行ったわけですが…

JFAが来てくれたり、奥村さんが講習会を開いてくれたり、と次々と手が差し伸べられたわけですが… ありがとうございました。

でも、その差し伸べられる手を振り払ってしまうのが、九州クライマーみたいなんですよね…

わたしの仲間は、誘ったけど誰も来なかったですね…

それは、なぜなのか分かりませんが…。独自の発展を遂げているのは、その通りです。

その一つがエイドクライミングです。こちらの会では、ムーブの高田さんが指導者となって古典的アルパインクライミングというので、エイドを教えてくれているのですが…

現代のアルパインって、オールフリーですよね? 

そもそも、山に残置があるのがおかしいので。私の山岳総合センターの講習でも、初日に言われたことが、「山の残置は信頼してはいけない」とか、「支点ビレイはダメ」です。

まあ、初心者はエイドを覚えて置くと、ピンチに役立つとは思いますけど。私も初期にちょっぴりやりました。しかし、ピンチに出してOKのエイドの記録…残念な記録を…立派な記録としてロクスノにあげてしまうようになると…これは、前後不覚ってやつです。

山梨クライマーの先輩が、九州の悪習慣に染まり、そんな記録を出したので、本当に悲しかったです。これまでの彼の努力、フリーの登攀の栄光を無にするような記録だと思いました。

そもそも、彼はロープクライミングに向いていないほうだったので、ボルダーに転向するそうでした。性格を鑑みて、それが良いのではないかと思いました。

結局、彼と行動をともにして一般的クライマーの行動原理を知ったことは、すごく私にとって、参考になりました。これまでベテランからのハンドダウンだったので、一般的なジム上がりクライマーというのを余り知らかなったからです。

彼はジム上がりというよりは、山よりでしたが、行っていた雪稜など、雪上訓練や、スタンディングアックスビレーなどの確保技術ゼロで行っていたんだろう…読図技術もないだろう…ということがわかりました。沢もたぶんロープの出し方、いい加減ですね。というのは、一緒に行く岩場で、私にお助けヒモが必要なことが何回かありましたが、まったく気が付かない様子だったからです。チームで登った経験値はないのでしょう。

現代の若い人は、指導者がいない上に、技術習得にお金を払うこと自体をしないため、指導者との接点自体がなく、ロープを出す基準が全く習得されておらず、結果としては、イチかばちかなんですね…

そのままルートが難しくなるだけなので、長年やっている人のほうがリスクが高い。

トレードに例えると、リスクヘッジ無しで、デリバティブやっているような感じです。 追証が発生したら無限大です。つまり、命を取られます。

つまり、落ちなければ確保は要らない、というレベルをだんだん難しくしているだけ、なんですね。それで登れるのは、せいぜい入門ルートです。

初心者の時期に身につけておくべきリスク管理能力を身に着けそこねていると、そのことに負い目ができてしまい、バレるのが嫌で、講習会からは更に足が遠のく、という循環にあるみたいです。

小さな嘘がどんどん雪だるま式に大きな嘘につながっていくみたいなことになっているんですね…

ということで、非常に残念な終わり方をした先輩とのパートナーシップでした。指導者さえきちんとしていれば、まともな山やになったと思います。

■ 鬱

そのプロセスで、右足の肉離れ、右膝の脱臼、左足のアキレス腱断裂、と怪我が続いているのですが、鬱にもなってしまい、驚きました。

この鬱というの始まりが、漠然とした不安、でした。師匠の青ちゃんと別れた頃から始まりました。

青ちゃんと登っていた頃は、青ちゃんが警戒するくらい、イケイケでした(笑)。まぁベテランと登っていたら何も怖くないですよね。

ところが、リスク認知が疎かな上に、登れない人たちといることが不安の種になっていました。漠然ではなく、顕在化している不安です。

不安の裏には怒りがあるそうです。怒りを抑圧すると? 鬱になる。

ですので、このブログでは不安の根源を永遠に書いているような気がします(笑)。

フリークライミングをしたいのに、まったくフリーとは言えないような、落ちれないフリーを続けていて、十分な実力があると本人が感じらず、下部核心のルートは登るべきでないとリスク認知しているのに、グレードだけをあげさせられ、さらにスタイルで、落ちろ落ちろ、と言われば、そりゃ鬱にもなりますね…。

怪我は、私の潜在意識が、クライミングに行かないで済む口実を作り出すために作っていたのではないか?とすら、今では思っています(笑)。

               楽しかったあの頃・・・兜
 

 

2023/05/10

【AIとの対話シリーズ】日本のアルパインロックの課題をプレゼンにしてみた。

【AIとの対話シリーズ】このAIがすごい!Gamma

 Gammaという生成系AIを使ってプレゼンテーションを作りました。

https://gamma.app/docs/-3b84o09sl2o47or

これを使って、文部省の論文をアップすれば、誰でも読めるようになるのでは?

 

https://gamma.app/docs/-3b84o09sl2o47or https://gamma.app/docs/-3b84o09sl2o47or

2023/05/09

5月9日のまとめ

■アキレス腱

今日は2ヶ月目の主治医の診察日だった。アキレス腱を縮める運動は、いまいち調子が悪く、あまり成果がでていない。片足つま先立ちは、まだきつい。痛みもでる。よってジョギングは許可ならず。運動を中心にしたライフスタイルに変更する必要があるようだ。
 

■ 投資の勉強
SBI証券の新規設定投信のラインナップをみたが、今現在のポートフォリオを比べ、パッとするわけでもなく、世界恐慌のリスクヘッジになるわけでもないので、なんか溜飲が降りた。プロでも、どうしようもないってことだからだ。長期分散投資の限界は、まさにここにある。

リスクヘッジとなる投資手法を覚えないといけないが、今日はその方面はおやすみ。またあした頑張る予定。

ゴールドの勉強で、地政学的な、”世界覇権の異動”が、ゴールド価格に反映されており、この先20年はゴールドは上昇トレンドということがわかった。

結局、ロシアと中国が、アメリカの金融資本主義に見切りをつけつつあるということだ。

そこへ、SDGs投資で割を食ったブリックス諸国と思惑が連動。サウジ、トルコ、インド、は米国よりの国ではない。

世界の大局的なことを考えると、物価高の先進国のスコーミッシュよりも、今後発展の見込める、リーファンに行きたい、と思い始めた。だれか行かないかな? 中国の岩場なんだけど。

ポートフォリオ理論でも、ゴールドを10%の比率で組み入れることは、リスクヘッジになることは証明済みなんだが、それは経験則。その根拠は、米国に愛想をつかした他国が、お金の裏付けに金を求めるようになったからという、もっと大きな地殻変動の力が働いていたことが判明した。

ゴールドは、そういう意味で動き出したらしく、それならば、価格の根拠があるので買い推奨です。現物連動のIAUが良いと思います。

その地殻変動後からは、米国式の金融資本主義への不信…そもそも、お金への不信…実際、日本でもオールドエコノミーからニューエコノミーへの変化は、お金を使わない経済への変化、を土台にしている。例えば、金利を下げると、人々が買いだめをするので、需要はあがり物価が上がるというのは、人々が買いだめする、という前提があるが、今では誰も買いだめしない。

結局リーマンショック以来、世界的に、脱・お金が進んでいるということだ。日本では、アベノミクスで、オールドエコノミーからニューエコノミーへ、脱お金化が進んだということです。つまり、ライフスタイルも脱お金するべきです。

その意味で読むべき本は、こちら。https://amzn.to/42A1HrG

金融から社会を眺める視点の解像度を急ピッチであげたいと思っているが、レバナス1本リーマンさんの動画が、一番解説が細かい。若いだけに、今、統計を読むのが面白いんだろうなぁと思うので羨ましい。私も調査員時代に、そのツボにハマった経験があるが、統計って、仕事で使って、色々いじっていると、読み取れることがあり、それを発見したら、誰かに言いたくなる。ただ、私の場合、仕事でやれと言われるとやるけど、仕事でもないのに、数字に埋もれるのが好きかというと… というので、改めて苦手なことでもやる気になるから、仕事は偉大だ。

■ AIの学習

AIもなかなかエンジンがかからなかった分野だが、有料セミナーに出て開眼。今日は、認知行動療法を色々試して見たが、AI優秀。AIはNLPをベースにしているので心理学は得意なようだ。

一方、クライミングの知識、情報収集にAIを使おうとしているが、肝心のリスク管理のところ…クライミングのあれやこれやと表現されることろ、はAIは超苦手らしく、”経験者の同行”とかの定番のセリフを繰り返すだけだ。今どき、”経験者”の経験が陳腐化しているんで、そこが問題なんだけどねぇ(笑)。

そのことをうまく表現したいが、うまい表現が見当たらないので、なんとかよく表現することにAIを使おうとしたが、だめだった。AIは、得意と不得意が激しい。

そもそも、登山関係のビッグデータが、そもそもネットには転がっていないのも原因なんだろう。

登山者の行動改善にAIを用いるには、誰か過去の登山史における重大事故を網羅したサイトを作ったらいいんではないですかね?

コースタイムの情報なんかは、もうヤマレコやヤマップにたんまり溜まっていると思うんだけどな。

余談だが、クライミングの課題のグレーディングも世界的に統計取ろうと思えば取れますよねぇ?誰かがそういうサイトを作りさえすれば…。

一方、投資に関しては、AIはなかなか良い回答を行うので、投資行動については、学習が進んでいるらしい。何も難しいことはなく、プロスペクト理論、だけのことである。

■今日の良かったこと 

ちょっと前に高級ワインのエノテカのワインがアマゾンで買えるようだったので、買ったら激マズだった…。以前はエノテカ直販で買っていた…のだが、すごく高い。アマゾンではやすかったのだが、考えてみれば、アマゾンに置くなんて、単なる不良在庫処分だったのだろう…。

で、反省して今、飲んでいるのは、カルディから配達してもらったので、普通に美味しくて満足。ワインは世界のドリンクの中で安くて美味しくて、自由貿易の恩恵に預かれるものだと思う。国産ワインは高くて飲めない。

春の野菜は端境期なので、やっぱ山菜でしょ、と思い、わらびとこごみをゲット。天ぷらにして食べた。春は野菜が少ない上、買ってきても、すぐ悪くなる。それは、大地を守る会の高額、高級ヤサイでも同じなので、取るの、辞めた。今どき、泥付きで気を引こうというのがなぁ…。野菜の情報弱者ですよ、泥がついていて喜ぶのは。

畑ができないので、諦めて宅配に戻ったんだが…。もう、車での外出は平気なので、普通に買い物に出かけるべしだな。

人間は野菜だけでは生きていけない。つまり、野菜は、”ごちそう”なのだと思った。

このこごみは、近所でたったの170円で売っていたものだ。きっと三瀬あたりのおばあちゃんがお小遣い稼ぎで摘んできたものだと思う。ありがたく、頂いた。

世界で、本当に価値あるもの…本当の、旬…というものは、かなり低く貨幣経済の中で評価されているってことなんだが…その恩恵が驚くべき安さで、得られるということはかなりラッキーなことだと思う。


2023/05/08

意外な良書の配当本・マーケット感覚をつかむ・生きる技法

 ■ こちらの本はタイトルとは裏腹に意外な良書でした

https://amzn.to/3M4KnWc

高配当株を狙うというのは、資産形成世代ではなく、資産取り崩しの世代の戦略と言われているので、高配当狙いというのは全く考えていませんでしたが、株価が暴落したときに仕込む超優良株というのを今は探しておくべき時期なので、その一環で読みましたが、意外な良書でした。

ここ10年ほどのアベノミクスによる景気上昇のメリットは否めませんが、FIREを確立した人の経緯がわかります。


■角川総一朗さん

金利と為替の関係を体得したいと思っており、偶然、角川さんを知りました。

私自身も実業界にいた頃に感じたことを書かれており、納得した。

日本の経済は、ある時突然、オールドエコノミーからニューエコノミーに変わりましたよね?

以前は、貯蓄しておけば家計は万全だったのに、預金利率がほぼゼロなのでは、インフレすれば、預金は目減りすることになります。

クライミングだって、もう20年くらい前に、アルパインロックは、エイドではなくなり、全国のすべての登攀ルートが、オールフリーで登られるようになった、ということは、エイド出している時点で、その登攀は、実力不足の烙印を押されても、まぁ現代のゲーム上は仕方ないということです。つまり、ゲームのルールが変わったのです。

その潮目に気が付かないで同じことを教えている=痛いのが九州のアルパインクライミングです…。

しかし、なんで気が付かないのでしょう?

本州では、古いクライマーに教わったスタイルをそのまま山に持ち込み、ましてや記録をあげてしまうような人はいませんよ?

同じことで、経済市場も現代は色々と変わってしまっています。

皆が気がついていない大きな変化は、

 そもそもお金を使わない社会の出現

です。メルカリとか、オカネイラズとか。すでに豊かになっているので、お金を使わずに生きられる社会に今は移行中です。

それを書き記しているのが、角川さんのようです。田中さんが昔と今を時々、話に入れるので、現代しか知らない私は、はてな?と思ったりしていましたが。

為替は、日本の何を表現しているのか、とりあえず分かるまでは学習ですね。

角川さんオフィシャルサイト

http://data.s-kadokawa.com/?cid=11

預金がインフレヘッジにならないのと同様に、とっくの昔に、日本は輸出大国から内需国家に変わっているのですが、古い頭のおじいさんたちは、昭和のままです。 

マーケットセンス養成のためのシート。何をウォッチしていればいいのか?ってこと。

最近、利上げが確定して、ますますマーケットは、破局に近づいているような気がしないでもないです。

■ 安富歩 『生きる技法』

これは、なかなか、解毒剤として効果的な本でした☆

手元に置いて、ときどき読み返したい本ですね。

毎日、大体金融の勉強をしていますが、自分が思うようなスピードで学習が進まないのが不満ではありますが、まぁ仕方ないですね。

筋トレと同じでコツコツが基本だし。

【AIとの対話】エイドクライミングとフリークライミング

今回は、ロッククライミングの世界でよく聞かれるエイドクライミングとフリークライミングについてお話ししましょう。これらは、クライミングの二つの顔とも言える技術です。それぞれの特徴や魅力について解説します。
 

エイドクライミングとは?

エイドクライミングとは何でしょうか?エイドクライミングは、登攀中に人工的な支点や補助具を使用する技術です。ハーネスやロープ、フットループ、リングなどを駆使して進むため、より困難な壁や長いルートに挑戦することができます。エイドクライミングでは、体力よりもテクニックや戦略が重要となります。

フリークライミングとは?

一方、フリークライミングは、エイドクライミングとは対照的です。フリークライミングでは、人工的な支点や補助具を使用せず、自分自身の力だけで岩壁を登ります。身に着けた装備は安全確保のために必要ですが、進む際には岩の突起やクラックを利用し、バランス感覚や体力を駆使して進んでいきます。フリークライミングは、技術と体力の両方を求めるため、クライマーの能力や経験が重要となります。

どちらが優れているのか?

では、どちらが優れているのでしょうか?正直に言いますと、どちらも魅力的であり、クライミングの醍醐味を味わえるものです。

エイドクライミングは、一般にビッグウォールクライミングと言われ、より大きな、困難な壁に挑戦するための一般的な手段として利用されています。

現代のプロのフリークライマーは、ビッグウォールをフリー化しています。つまり、フリークライミングは自分の能力や限界に挑戦する手段として魅力を持っています。

一つのルートには、エイドセクションとフリーセクションが存在することもよくあります。たとえば、インスボンにもエイドセクションがありました。

エイドセクションではエイドクライミングの技術を駆使し、フリーセクションではフリークライミングのテクニックを活かして進むことが求められます。これにより、より多くのクライミングのスキルや戦略を駆使することができます。

エイドクライミングとフリークライミングは、それぞれ異なるアプローチを要求するものですが、どちらもクライミングの魅力を存分に味わえるものです。エイドクライミングでは、長いルートや特に困難な箇所に挑戦することができます。人工的な支点や補助具を利用することで、壁の上を進むための安定性を確保することができます。

一方、フリークライミングは自分自身の力とテクニックに頼るスタイルです。岩壁の突起やクラックを巧みに使いながら、身体のバランスと力を調和させながら進んでいきます。クライミングの技術を磨きながら、自分の限界に挑戦し成長していく喜びを味わえます。


 私はアルパインクライミング、つまり登山からクライミングに入りました。ので、フリークライミングについては、今からというところで、山梨から福岡になりました。フリークライミングについては教えてくれる場を探していますが、どうも、国内でフリークライミングを教える機関はないようです。

海外では、AMEGAクライミングガイドが、きちんとしたフリークライミングを教えているのではないか?と思っています。ロッククライミング、と表現した場合、両方を教えるのが、良心的なクライミングインストラクターだと思われます。

私は、フリークライミングをしたいのであって、スポーツクライミングのやり方で外岩を登りたいと思ったことは一度もありません。

特に海外の登攀に行くようになり、怪我や事故は、さらに許容できなくなりました。

私の目標は、誰でもロッククライミングの世界で自己実現できることを証明することです。

女性でたとえ高齢でのスタートあっても、普通に海外の登攀に行けるくらいには、誰でもなれます。英語は必要なく、クライミングシステムの理解そのものが、海外では共通言語です。

”自分にはできない”などの思い込みを解除し、勇気を持ってチャレンジした経験を持つことで、日本の若い世代のインスピレーションとなりたいと思っています。

現在はアキレス腱の断裂のため、自宅療養中です。そのため、クライミング知識の普及を最優先に考え、正確な情報と技術的な光明を提供することに専念しています。

肉体的に登ることだけを優先して、クライミングについての理解が足りないことが、事故の温床のように思います。

私の経験と知識を通じて、若い世代には、事実や現実をしっかり見てもらい、ロッククライミングコミュニティ全体のレベルアップを目指してほしいと思います。

また、持続可能なアウトドアライフを追求し、自然を尊重することも私の信念の一つです。

人は自然なしでは生きていけない。

エイドクライミングとフリークライミング、それぞれの魅力と特徴を理解し、自分のスタイルに合ったクライミングを楽しんでください。

現代のロッククライミングを十分に楽しむには、基礎的なエイドクライミング能力は必要です。初めてマルチに行く、という段階から、自己確保で登る方法は知っていなくては、行けません。

なにしろ、フリーで登れなくなる確率は、初心者の方が高いのですから(笑)。

どちらのスタイルでも、常に謙虚でいることが、クライミングでは特に大事です。実力誇示は死へ続く道です。

安全に楽しみながら、クライミングの世界を存分に堪能しましましょう☆



クライマーの現実逃避をレイ・ダリオの経済史観から知る

■ 投資の勉強

最近、レイ・ダリオをAIに教えてもらいました。

彼の経済史観を知って、いかに自分が現実逃避をしていたのか?ということを知りました。

こちらです。

レイ・ダリオの経済史観 

Principles for Dealing with the Changing World Order by Ray Dalio

発端は、今が10年に一度の恐慌前夜であることなのですが…いやはや… お仕事していたら、経済を俯瞰的に見てみよう、という時間など取れないですよね。

というので、今は、簡単に言うとアメリカの覇権が終わりつつあり、中国の覇権に切り替わる潮目の始まり、みたいなところにいるということです。

スコーミッシュより、リーファンに行きたいかも(笑)?

■ ” 現実逃避”としてのクライミング

クライミングって、基本、遊び。

だから、37年間も『高みへのステップ』はアップデートされなかったんではないですかね? 

めんどくさいこと、嫌なことを後伸ばしにする、プロクラスティネーションを重ねに重ねて、37年、みたいな。

その間にすっかり、米ソ冷戦時代は終わり、アメリカ一極時代も終わり、もはや、中国パワーすら陰りを見せているような様相。ブリックスの時代の始まりも感じさせますが。

New World Orderができつつある中で、戦後70年、未だに護送船団方式で、まるで江戸時代みたいだった日本の実業界でしたが、さらに輪をかけた封建制度ぶりの日本のクライミング界…の謎が最近解けた…

ずっとエイドクライミングをクライミングだ!!と、指導者のおじいさんたちは思いこんでいたんですねぇ…。

国内のアルパインロックのルートは、もうオールフリーで登られて久しいみたいですよ。

私が理解できなかったのは、錫杖とか、ハーケン抜いている上級クライマーが義務として、そうしたことを行っている一方で、なんで今どきハーケンを回収しないで、残置して登っていくクライマーがいるのか?ってことでした。

山岳総合センターでは、まったくクライミングしたことがない受講者にもハーケンを打たせますが、そのハーケンは、フォローが回収する、というのが基本です。七倉沢でやりました。

■ 時代遅れの日本

大阪での20年のOL時代を終わり、物産OLも終了して山梨に来た時、山梨は30年遅れていると思いました。一般社会のIT弱者度合いがひどいって意味です。

当時私達夫婦は、スマホにGPSを入れて軌跡を取り、読図を勉強していました。

その後、福岡に来て、福岡のクライミングは、山梨の30年遅れだと思いました。しかし、こちらの人がそのことをなかなか自覚できない。

赤信号をみんなが渡っている土地柄のところでは、それが赤信号とは分からない、ということみたいです。

一つの土地にずっと住んでいるだけでは、世の中の流れは、全く見えて来ないということですね…。

皆でクライミング史の歴史の針を先に進める、という合意ができるような世界がいいですね。

ほんと、ただ突っ立っているだけ=現実逃避、という態度が、クライミングだけでなく、ありとあらゆる社会の面にあらわれている日本…。

衰退するのも、まぁ当然ですわな。

沈む船と一緒に沈没する道を君は選ぶのか?


2023/05/07

【ネタ提供】 ミニマムボルトって一言で言っても…

 ■ミニマムボルト論争

エイドのミニマムボルトとフリークライミングのミニマムボルトでは、意味がちがうよなぁ。

A)エイドのミニマムボルト=ただ距離を稼げばいいだけの思考停止ボルト配置

B)フリーのミニマムボルト=岩と対話しつつ、ここだけは外せないというところに打つボルト

ただの思考停止でしかないA)のボルト配置が、B)の栄誉ある配置と同じ厚遇を受けることになっているのが問題なのであって、

ミニマムボルト自体は、自然界を保護し、フリークライミングのスタイルを向上する素晴らしい理念

です。

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ミニマムボルトとは?

・自然の保護と調和: 自然環境への配慮や保護を重視し、岩や地形の自然な特徴を活かすことを目指します。
 

・ボルトの最小限の使用: ボルトは必要最低限の場所にのみ設置され、クライマーが自己保護やフォールのリスクを最小限に抑えながら登攀できるようにします。
 

・伝統的な保護具の使用: ナチュラルプロテクション(結びつけたナットやカム)などの伝統的な保護具を活用し、ボルトに頼らずにルートをクライムします。

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そもそも、エイドで打てば、自然地形は全く生かしたことにならない。

日本のクライミングの国内事情的に、A)で打った人が、Bの理念にフリーライド、つまりタダ乗りしている。

フリークライミングで、価値があるのは

1)そもそも前提として、フリークライミングで登られていること (初登がエイドって…汗)

2)ボルトがプロテクションとして機能すること(ランナウトしてはただの飾り)

3)必要最小限(ミニマム)であること 使える場合は、ナチュプロ

4)グランドアップであること

です。

この前提が崩れて自己規律がなく、

・エイドルートなんですー (グランドアップっていう言い方してるけどね!)

→ フリー時代になったので、そのままボルトうちましたー (しかも上からぶら下がって)

=日向神

みたいなことになっているとしたら、かなりイケてないです。上記のシナリオになっているかどうか?は個人の開拓者のポリシーや倫理観によるのかもしれませんが、クライマーって

「ねぇねぇ、最近はラッペルOKなんだってよー」

「ほんと?ぶら下がってボルト打てるの?ラッキー。ラクな時代になったねぇ」

とかって、自分のラクな方向に物事の意味捉えていませんかね??

ラッペルルートができた理由って、そもそもグランドアップでは、かなり易しい課題でないと、ボルトうち資材一式持って登るの無理!みたいなことになったからだと思うんですが…。

随分前にリンヒルが女性クライマーだけで開拓する動画みましたが、彼女が日本の開拓結果を見たら、Oh My God!なんじゃないですかね…もったいなさ過ぎて。

岩の形状を活かす、とか、課題の質…って事を考えず、量産、ってことを考えた結果なんだろうか…。

国内の地域クライマーは、変なコンプレックス持っているから、あんまり思想的な正しい内容を語る人がいても、話を聞かないかもしれないですね…。

都合いい解釈に収まるほうが先になっちゃって…。

だれか、きちんとグランドアップで開拓されたミニマムボルトが、安全の確保に必要最小限で、素晴らしく美しい調和を持っている様子を語ってください。

そういう詳述がないと、言語化能力が足りなくて理解ができないのかもしれない。

今では、どっちが命知らずクライマー化の競争みたいなことになっている。俺だって命かけたんだぞ-、みたいな。確かに抜け落ちそうなピトンに体重預けるのって、勇気がいりますよね。 フリークライミングだからって威張るな!みたいな感じなのかな?

そんなことを思いました。

伝統的クライミングのスラブで、ランナウトしても、落ちる時、体の摩擦で停めたらいいだけですけど、同じ距離のランナウトをオーバーハングでやったら?とか、発想自体ができないのではないかしら?

みかんとりんごを比べるようなことになっているってことです。

日本は儒教の国なので、後発のフリークライミングが割を食って、日本にはアルパインクライミングのエイドクライミングで開かれたルートはいっぱいあるけど、それがそのままボルトになってしまっただけで、岩の形状を活かしたわけでもないし、そんなところにボルトあっても落ちれないから、ただのお飾りだし、スポーツクライミングのルートとも言えないし、というなんともどっちつかずなことになっている、というのが現状の岩場の正しい認識なのかもしれません。 特に九州の岩場。 

世界で名をあげている日本人つよつよクライマーと違って、 日本のクライマーの平均像は、あまり知性は高くないです。しかも、価値基準が、俺がかっこよく見えるかどうか、です。たとえ、誤解による称賛でも、称賛である限りなんでもいいから欲しい!みたいな感じです。たぶん、ちょっと発達障害なんですよね。しかし、悪気はなくて、単に理解力が表面的なだけです。

大体、著名になっている若い強強クライマーって、慶応大卒とか早稲田卒とか、偏差値で言って私と同じような大学出身者ですが、今増えているクライマーってそういうレベルではなく、坊っちゃん大学出とかです。つまり、もともと知性の面でクライミングが気に入ったわけではなく、オールアウトできるから好きってタイプ。地方都市に残っているのは、都会の大学にいかなかった人なので、そういう人が多いのです。ロープを買うときに濡らしては行けないくらい学ぶはずですが、そういう風には、なぜかならない。

つまり、先手を打って、どういう行為が称賛されるか?を教えてあげることが、適切に導くコツです。

たとえば、このように…

台湾では、エクセルシートでボルトの具合が管理されています


アメリカデフォルト?

 金持ち父さんのロバート・キヨサキの動画です。

https://www.youtube.com/watch?v=RryCN3tuUSY

やっぱり逆イールドによる恐慌予測が一番のトピックなんですが…アメリカの債務上限問題って、政治的駆け引きになっており、米国がデフォルトに陥るのは、ぎりちょんで避けられるだろう… というのが大方の見方なんですが… 普通はそう思いますよねぇ…

ところがFEDって、銀行潰して全然ベイルアウトしていませんよねぇ?

もしかして潰したいのかな?FEDは何をしようとしているんでしょう???

レイ・ダリオの動画。https://www.youtube.com/watch?v=lPYmD7CyHlY&t=3545s

アメリカの覇権が終わる=ドル基軸通貨も終わり?

アメリカの覇権の終わり=米中戦争?

基本、米国の覇権の陰りが見えている、ということは言えそうですが… イケイケムードの日本株式相場… こっちのほうがリアルにバブル感あって怖い。

大井幸子さんの動画。https://www.youtube.com/watch?v=OamWIK_5unI

すでに、リーマン・ショック時の規模を超えている。

■世界は超物価高

2月にアイルランドの日本人にあったら、物価高で生きて行くのが大変すぎて、日本への帰国を考えているそうだった。

大井さんの動画でも、世界のインフレは、深刻。https://www.youtube.com/watch?v=5dB_AtWMAVk&t=146s

日本でもインフレ大変ですけど、日本では給料が上がっていないので、価格に転嫁しようにもできない‥ 海外では、さっさと価格転嫁されてしまう。

 ■お金をすりすぎた結果

結局、金融緩和でお金をじゃぶじゃぶに刷りすぎた結果、バブル崩壊で、みんなで苦労するんだが、お金が儲かる人は一部で、バブル崩壊の影響を被るのは全員。つまり、貧乏人には割が合いませんね。

恐慌が起きるのは、逆イールド解消から、数カ月後から、2年後の間くらいです。ので、まだまだ時間的には先ですが、ロバートキヨサキの動画では、資産はとっくにキャッシュで積み上がっているそうです。

米国債権も、デフォルトに陥れば、ただの紙切れ。投資信託も銀行がきちんと機能しなく慣れば、軒並み基準価格を下げるのではないでしょうか?ETFこそ、市場で成り行きで売買されているので同じです。

そもそも、銀行って預かったお金を勝手に運用できるっていう商売なのが、基本的にはすごく預金者に不公平な仕組みのようにも思えます。

ビットコインの映画を見たら、やっぱり良い仕組みだと思いました。銀行からの支配、金融機関からの支配、を終わることができるからです。

今後の世界の仕組みがどうなるにせよ、暴落への備えは必要ですね。

2023/05/06

For those who want to climb in the crags in Japan

 These are six issues of Japanese crags.

1) The lack of Risk management

People often misunderstand that difficult climbs and beginner routes require very different techniques to climb. But in fact, the danger is much the same.

So it is more important to learn how to protect yourself first than how to climb.

But, you know, climbers today don't understand that and don't practice it.

I don't know if this is something that a young person like me should say, but it seems that today's climbers in Japan are less skilled at preventing danger than they used to be.

More than 20 years ago, it might not have been wrong to climb in mountainous areas using left pitons and bolts. 

But while the rest of the world is evolving, Japan is the only country that continues to do the same thing, aid climbing with bolts left by the first ascender.

So as a result, relatively speaking, Japanese climbers have fallen behind.

Older people don't seem to understand this and still teach young people aid climbing, thinking that 40 year old bolts are safe.

2) Do not fall easily! ...About learning the concept of behavioral protection.

The first thing a climber needs to learn is to never fall in a place where they shouldn't.

(Of course, you should never fall in any place...)

First of all, in order to climb in the mountains, you need to be able to recognize where you should not fall.  This is called, recognition of the risk.
 

Please don't brag to your friends that you go to places where you shouldn't fall, without using a rope. That is not a bold act. It is a silly action.

We all sometimes go to the cragging for practice, don't we? I see a lot of people hanging on the first bolt at the crags, but those people need to think a little more.

Hanging from the rope from the first draw is normal for indoor sport climbing, but at an outdoor crag, there is no guarantee that the bolt is strong enough to hang from.

So hanging from just one bolt is potentially dangerous.

Everyone doing so just doesn't realize how dangerous it is.

We need to think more about behavioral protection.

Of course, we also need to improve our climbing ability. There is no better way to protect yourself than not falling.

Some climbers think that they can rope up with any belayer because "I don't fall," but think wisely. We have to be careful, because the belayers who rope with such lead climbers have zero practice in catching a fall. There are belayers who only have experience in belaying like that situation.

If you are a 5.13 climber, you don't fall at 5.9 even by mistake. For alpine rock climbers, 5.11 was only enough 15 years ago.  Today's alpine rock climbers need to be able to carry 40 kilograms pack and climb 5.12 normally without getting slow.

3) Wrong belay

Belaying away from the wall is so widespread in Japan that it is even being taught.

Even on outdoor crags, you should avoid belaying away from the wall unless the ground you stand up are unstable.

Believe it or not, some organizations nowadays are instructing climbers to stay away from the wall because they can't see the climber.

It is wise not to get involved with people who stay away from the wall.

4) Misguided pioneering the wall

In Japan, the evolution of climbing has stopped since the development of routes based on aid climbing.

Climbing around the world is evolving, and if Japan just stand still, like the Red Queen's corridor in "Alice in Wonderland," climbing in Japan will quickly become obsolete.

And yet, by climbing with old, dangerous bolts, are we doing so to deliberately increase the danger and put ourselves in a tight spot?

That kind of climbing is mainstream in Japan.

Besides, the technique of protection (knots and setting a cam...etc) is not considered important at all in Japan.

There used to be a time when people used a lot of bolts because of the fragility of Japanese rock.

Unfortunately, that misunderstood way of using lots of bolts is still the mainstream in Japan.

On the other hand, some people bring the assumption of indoor sport climbing to the outside crags. It is true that you are allowed to fall on artificial walls, but that is not recommended at outside crags.

The current state of climbing in Japan is that there is no proper distinction between the indoor and outdoor.

(5) Knowledge of correct bolting is not widespread.

The original Japanese ring bolts and RCC bolts are not strong enough, so proper climbers do not use them.

All students have been using them for a long time, but they should stop.

The standard now is to use stud anchors (called goujons) that are at least 8mm in diameter. Top climbers even use 10mm stainless steel stud anchors when climbing in the Himalayas.

Reasonable climbers don't recommend using bolts. But if you have to, then you should use something reliable.

6) Continuation of old climbing styles

Even though the modern alpine rock climbing record is climbed in an all-free style, Japanese climbers continue to use the old style.

This is a unique problem only in Japan, where aid climbing of bolted routes was considered standard  alpine rock climbing style.

In other countries, such climbing is outdated way of climbing.

As a result, Japanese crags are experiencing the Galapagosization phenomenon.

The young generation of climbers today is still in the middle of this misunderstanding.

As a result, climbers who fail to change their style of climbing with aged bolts are getting serious accidents,  dying or being seriously injured in crags.

Conversely, for those who have developed advanced free-climbing abilities of today, Japanese crags have become too easy and unattractive.

Japanese alpine rock climbing has, after all, stopped its historical evolution.

And the introduction of sport climbing is the cause of the rapid increase in crag accidents in Japan.

日本クライミング 6つの論点

日本の岩場の6つの論点です。

1)自分を守る技術が先に必要

みんなよく勘違いしちゃうけど、難しいクライミングと初心者向けのルートでは、登るために必要な技術はめちゃくちゃ違うんだよ。でも、実は、危険はあんまり変わらないんだ。

だから、登る技術よりも、自分を守る技術を先に学ぶことが大切なんだよ。

でもね、今のクライマーたちは、それを理解して実践していないんだ。

でも、僕みたいな未熟者が言うことじゃないかもしれないけど、今日本の山で活動しているクライマーたちは、危険を予防する技術が昔に比べて下がってしまっているようなんだ。

20年以上前なら、山岳地帯で、残置を使って登ることは間違ってはいなかったかもしれない。けど、20年たてば、金属は朽ちるし、日本以外の外国は進化しているのに、日本だけが同じことを続けている。

相対的に見ると、日本のクライマーたちは後ろに下がってしまっているんだ。

年輩の人たちは、それが理解できていないみたいで、未だに40年前のボルトが安全だと思って、エイドクライミングを若い人に教えているんだ。

2)落ちない。行動プロテクションという考え方の習得。

クライマーが、外岩のクライミングで死なないためには、まず、落ちてはいけない場所では、絶対に落ちないことが大切なんだよ。

(もちろん、基本的にどんな場所でも、落ちてはいけないんだけど…。)

まずは、山でクライミングをするためには、落ちてはいけない場所を見極める力が、必要なんだよ。

それに、落ちては行けない場所に、ロープを使わずに行くことを友達に自慢してはだめだよ。

練習用の外岩に、みんなも行くことがあるよね。練習用の岩場では、最初のボルトでぶら下がっている人をよく見かけるけど、そんな人は、もう少し考える必要があるんだよ。

1ピン目から、ロープにぶら下がることは、インドアで行うスポーツクライミングでは、普通のことだけど、外の岩場では、ボルトは確実にぶら下がれる強度があるっていう保証はないんだ。

だから、1本のボルトだけにぶら下がるのは、危険なんだ。

ぶら下がっているみんなは、それが危険だとは分かっていないだけなんだよ。

行動的なプロテクション(外の岩場で身を守る行動法)をもっと考えないといけないんだ。

もちろん、クライミングの能力自体を上げる必要もある。落ちないこと以上に身を守る方法は存在しないからね。

”俺は落ちないから”といって、ビレイヤーは、誰でもいいと思っているクライマーがいるけど、注意しないといけない。なぜなら、そんなクライマーと組んだビレイヤーは、落ちた時にキャッチする練習がゼロなんだ。だから、そんなビレイ経験しかないビレイヤーが増えているんだよ。

5.13を登る人なら、間違っても5.9では落ちないんだよ。アルパインクライマーにとって、5.11だけで十分だったのは、もう15年前のことなんだ。

現代のアルパインクライマーには、40キログラムの荷物が持てて、5.12が普通に登れる能力が必要なんだよ。

3)間違ったビレイ

壁から離れたビレイが指導すらされているほど、日本では広がっている。

外の岩場でも、足場がひどくない限り、壁から離れることは避けるべきだよ。

信じられないけど、最近では、クライマーが見えないからといって、壁から離れることを指導している組織もあるみたいだよ。

壁から離れるように指導されている人とは、あまり関わらない方が賢明だよ。

4)勘違いした開拓

日本では、エイドクライミングを前提にしたルート開拓から進化が止まってしまっているんだ。

世界のクライミングは進化していて、『不思議の国のアリス』の赤の女王の廊下みたいに、ただ立ち止まっているだけだと、国内のクライミングは、すぐに古くなってしまうんだ。

それなのに、古いボルトを使って登るなんて、わざと危険を増やして、自分を窮地に追い込むことを楽しんでいるのかな?

残念だけど、そんなクライミングが、日本では主流なんだ。

それに、プロテクション(支点を作る方法)の技術は、日本では、全然、重要視されていないんだ。

昔は、日本の岩が脆いという理由で、たくさんのボルトを使っていた時代があった。

残念なことに、日本では、今でも、その勘違いしたボルトをたくさん使うやり方が主流なんだ。

それに、逆に クライミングは安全なスポーツだという、インドアでのスポーツクライミングの前提を外の岩場に持ち込む人もいる。たしかに人工壁では落ちてもいいことになっているんだけど、外の岩場では、それはおすすめできない。

そこが、きちんと区別できていないのが、日本のクライミングの現状なんだ。

5)正しいボルトの知識が広まっていないこと。

日本オリジナルのリングボルトやRCCボルトは、強くないので、ちゃんとした登山者は、使わないんだよ。

学生のみんなも、昔から使っているけど、それをやめるべきなんだ。

今は、少なくとも8ミリ以上のスタッドアンカー(グージョンっていうんだよ)を使うのがスタンダードなんだよ。

僕たちはヒマラヤ登山でも、10ミリのステンレス製のスタッドアンカーを使っているんだよ。

ボルトを打つことはおすすめしません。でも、打つなら信頼できるものを使うべきなんだよ。

6)古いクライミングスタイルの継続

現代のアルパインロックの記録は、オールフリーで登られているのにも関わらず、日本のクライマーたちは、古いスタイルを継続している。

これは、ボルトルートのエイドクライミングがアルパインロックだった日本だけの独自の問題なんだよ。

海外ではそんなクライミングは特殊な登り方なんだ。

結果、ガラパゴス化現象を日本の岩場は起こしている。

現代の若いクライマー世代も、未だにその誤解のさなかにいる、ということが、起きているんだよ。

そのため、残置で登るスタイルを改められないクライマーは、岩場の事故で死んだり、大怪我をしているんだ。

逆に現代の高度なフリークライミング能力を身につけた人にとっては、日本の岩場は、簡単すぎて魅力がないことになってしまっているんだ。

日本のアルパインロッククラミングは、結局のところ、エイドクライミング時代から、進化を止めてしまった。そこにすぐ落ちることが前提のスポーツクライミングが持ち込まれたことが、日本での岩場の事故急増の原因なんだ。



【黒田論文シリーズ】現代のアルパインロックはオールフリーで登られている

 ■ 文字起こししました

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日本国内の殆どの壁がオールフリーで登られている現実を、学生諸君は直視し、 自分た
ちの進むべき方向を判断すべきである。 

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学生でなくても、直視しますけどね!

昔の学生は、エイドクライミング=アルパインロックだから、2,3年で難関ルートに行っただけでは?

いくら若くても、3年で、5.12を登りつつ、プロテクション技術にも通じるというのは、年間50日くらいの投入では無理でしょう。

私は最も多い年で、128日登っていました。あと3年やれば、5.12も夢でないかもしれないですが、普通の登山者で、登山に費やす時間が年間50日レベルであれば、

ガイド

に連れて行ってもらうのが無難でしょう。