2021/05/10

アレックス・オノルド君のお母さんの手紙

■ アレックス・オノルド君のお母さんの手紙

良い文面なので訳しました。

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Dear Mom of a climber,

クライマーのお母さんの皆さんへ

I’m the mother of that kid you couldn’t bear to watch in Free Solo, who made your palms sweat as you wondered aloud, “How’d you like to be that kid’s mother?!”

私は、皆さんが見るに堪えない、あのフリーソロを登った子の母です。手に汗握らせたでしょう…そして、あんな子のお母さんなんてやってられないだろうなぁと思ったでしょう…

I didn’t have a choice. My son, Alex Honnold, was born climbing, and that’s all he ever wanted to do. So at 59, since I wanted to be part of his life, I tried it.

私には選択肢はありませんでした。息子のアレックスは生まれつきクライマーで、クライミングだけが彼のしたいことだったのです。しかたなく、私は59歳でクライミングをすることになりました…。彼の人生の一部でありたかったからです。

At 66, I became the oldest woman to scale El Capitan.

そして、66歳で、エルキャップを登る最高齢女性となりました。

In the short time between those two events, a lifetime of learning happened.

この短い間に、人生の貴重な学びが起こりました。

I’ve always been a teacher, a writer. A mom. Basically I spent my life at a desk, in a classroom, in the kitchen. Not exactly athlete material. But you never know until you try.

これまでの人生、私は教師として生きてきましたし、書き手であり、母でした。基本的に、私は、机、教室、そして台所で、人生を過ごしてきました。まったくアスリートの材ではありません。でも、試してみるまで分からないものですね。

As I began climbing, I learned a lot about fear; my imagination was far worse than anything that really went on ‘out there’ on Alex’s expeditions or climbing trips. Fear comes from not knowing.

クライミングを始めて、恐れとは何か?について多くを学びました。私の想像は実際よりうんと悪く、心配は無知から来るものでした。

At the beginning, I ‘knew’ I’d never be able to climb a wall; I was no athlete! I just wanted to see what it was like. I climbed a wall at the climbing gym. And another. I followed my son up an outdoor wall, terrified and thrilled. He believed I could, so I did. It’s as simple as that.

始めから、私は、壁を登るなんて無理!と”知っている”つもりでした。私はアスリートじゃないのよ!ただどんな感じがするか知りたいだけ。クライミングジムの壁を登りました。そして次の…。外壁で、息子のフォローを務め、恐怖におののき、スリルを味わいました。息子は私にもできると信じているようで、それで私も自信をつけました。それくらいシンプルでした。

By the time we did El Cap, several years later, it no longer terrified me to hang on a rope 3,000 feet above the Valley floor.

私たち親子がエルキャップをやる頃には、4,5年がたっていましたが、もはや3000フィート(1000m)の壁でロープにぶら下がることは怖いことではなくなっていました。

…続く…

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どうですか? 私が一番感動したのは、息子が何に夢中なのか知りたいと思った母親が、恐怖や偏見を乗り越えて、壁に取り組むことです。

”馬鹿言わないで!私にクライミングなんてできるわけないでしょ!”、初心者は、誰だってそう思います。そんな思いすら、乗り越える息子への愛。

私が悲しいのは、私の夫が少しでも、その意思を見せてくれたら…ということです。試しもしないで、出来ないって決めつけているなんて…。


2021/05/09

押し付けと気が付いていない価値観の押し付け

■押し付けと気が付いていない無謀の押し付け

私は、沢登りを教わりに行った東沢釜ノ沢でチェストハーネスをしている労山事務局長(K2登ったことある人)を見て、”内心、私もいるかも~”と思った口なのですが…

しばらく、前に日向神で、相方がチェストハーネスをしていると、九州のクライマーが、「え?なんでチェストハーネス?」と怪訝そうに言ったのでした…。その発言者はユージ風ニット帽。

相方は、「落ちた時、頭が下になったことがあるので」とちゃんと返事していましたが…。

明らかに、”何こいつ、変な奴”という空気を醸し出す発言者で参ったのでした…。フリークライミングはチェストハーネスなんかしないもんだろ、オーラ全開。

私も嫌だったなぁ…。マルチで出てくる下りで、明らかに一歩のミスがさよーならーにつながるところでロープを出さない。ロープだして懸垂で降りたら、変な顔されました。でも、私は、難易度ではなく、そこが危険かどうか?がロープを出す判断基準と教わったんですよ。

あと切れたところで、ザックを下ろして、渡ったら、それも変な顔されたうえ、こんなところで、とか言われました。でも、私は小さいですから、同じザックの重さでも、体が持っていかれることはよくあります。しかも、そんな私ですら、会にいた33歳室野君より、強かったんですからね…。彼がいたとしたら、ザックを下ろすどころか、確保してあげないと彼そこ通れないレベル。

というので、まぁ要するに、現代的初心者について、見聞不足が顕著で、昔の大学山岳部のノリのまま、で事故は、手弁当、の九州クライミングなのでした…きちんと統計出していないから、不透明ですが、かなりの事故件数なのではないかと思われます。

チェストハーネスの件は、私なら、”そんな自分の価値観を押し付けるような言動はしないなぁ…”と、傍で聞いていて、思ったりしたのですが…

この問答に立ち会ったことで、用心深いクライマーに対しては、私以外であっても、誰に対しても、私にしたのと同じこと…人の安全対策をこ馬鹿にする…をしているんだなぁ…と分かったのでした。

別に、私だけが否定されたわけではないのかも? 

というか、ホント、命の価値を考えていない、ええかっこしいな土地柄で、それをみんなが同じだと無邪気に思い込んでいる、という土地柄なんだなぁ…。

それにしても、発言した人はヒマラヤで友人を亡くしている人でしたが、そのような人でも、セーフクライミングではなく、価値観の押し付け、なんだなぁと。自分と同じ価値観以外は、”は?”と言う…そして、それが全世界の標準だと思っている…。違うよ、世間はもっと進化しているよ?

なんだか感動したというか、つくづく理解したというか。

ホントに自分の周りの変化に気が付いていなかった人たちなんだなぁ…と。

フリークライミングへの理解っていうのは、なんだか本当にオールドスクールのクライマーには難しいのだろうと。まぁ、若い人、入ってこないですもんね、会に。入ってくる人も、知識をもたらしてくれるようなタイプの人ではなく、その逆だし…。

今日は、6年生の、まだクライミングを一回もしたことがない男の子が、お風呂で後ろに転んだことがあるからアブナイ、と感じて登らなかった。

子どものほうが立派で、大人の方が…ですね。

価値観の押し付けは、押し付けられているほうには分かって、押し付けているほうには分からない。

気を付けよ!

2021/05/08

ラオスの6Aって10bもあるのかな?

 ■ 頭が下になった墜落

今日送られてきた映像…頭が下になることがあると、やはりヘルメットをかぶろうという気になります。わたしなんて、チェストハーネス、ほしいくらいですもん。

しかし… 6Aなら私も登っていましたが、ラオスの6Aって10bもあるの?ぜったい日本の10bより簡単だけどなぁ…

Thakhek, Laos. He is on a 6a (5.10b) called Soft Cheese.

あるグレードを理解するには40本必要

グレードを駆け上がらさせられる…

私はまだずっと10Aでいいのですが…なんで嫌って言ってるのにグレードピラミッドを駆け上がらさせられるのか…?それが九州では悩みでした。

小山田大さんは、

”ある一つのグレードは40本くらい登らないと分からない”

と雑誌に書いていましたが、九州では

”4本登れたら次”

だそうです。

40:4 10分の1ですよ? 10分の1の努力で次のステップに駆け上がってしまう…これがイケイケクライミングでなくて、何クライミングなんだろう…?

■ 細かいステップを踏む = 安全

そのやり方だと、ステップがおおざっぱなので、私は嫌なのです。

なんなら、5.10A100本ノックでいいんです… 

5.11A100本というのをやっている人を知っていますが、11でやるのは許されるのに、なんで5.10A100本ノックは許されないのか?

5.11Aは、どんな内容か?というと、(男性の標準体格の人のフィジカル)+ (努力をほとんどしないか微量…正体と側体が身に着いた程度)で到達できるレベルです。

同じ技量でも持っているフィジカルが女性並みなら、届くグレードは、スライドダウンして10Aになります。これは師匠を見ていたら分かるようになった。スキル、私と変わらないです。それでも背が高く(=取れるホールドのオプションが広く)、力が強い(=持てるホールドのオプションが広い)とそうなります。なので、おじいさんでスタートした人は私と同じくらいしか登れないですよ?

ジムでも、女性は7級や6級を登れるようになるのに1年、若い男性は1日です。

ちゃんと普通に努力すれば、男性なら12は中級者、女性は11で中級者だと思いますが…そういう努力が要らないレベルが、男性の11、女性の10だと思います。(子供から登っているエリートクライマーは論外ですよ) 

そういう風に多様な人材を受け入れられる課題作りは日本ではされていない…のは、まぁそれは、現状なので致し方ないですが、男性のメインストリームと同じ価値観を持てないからと言って、その人が考えを変えないといけない、というのは、おかしい。

■迷ったらハードプッシュ!

迷ったらハードプッシュ!は男性で若く予備体力が豊富な人にしか通用しない作戦です。

迷ってもハードプッシュしないで、ムーブ解決してきたから、私はまだ生きているんであって、その方針でやっていたら、今頃、とっくに死んでいます。

しかも、こんなに用心していても、頭7針縫っているんですよ? 2度目のグランドフォールがあったら、もう命はないでしょうね。

迷ったらハードプッシュの人が、それがクライミングで通用する唯一の解でないと気が付くには、大怪我するしかないのではないでしょうか…

いくらメインストリームの考えであっても、メインストリームだから正解、というわけではないのです。

蛮勇が必要、も同じです。クライミングに蛮勇が必要と思っている人は、自分には必要と言うだけで、私にクライミングで蛮勇が必要だとしたら、それはもう、クライミング一生しなくていいって意味ですから…。

フリークライミングというのは、気軽な墜落が許容されるクライミングなんであって、蛮勇が必要なクライミングではないはずですが…。

ボルトルート(スポーツルート)では、低グレードであるほど蛮勇系である仕組みになっている日本の課題…

それが男性中心主義というのは、男性には分からないので、子供や子供並み身長の私のようなクライマーが声を上げていくしかないのではないかと思ったりします。

その声を拾えるかどうか?が、日本でフリークライミングが市民のものになるかどうか?の試金石であるのかもしれません…

蛮勇やハードプッシュの俺ってかっこいいと思っている人は、どうしてもそれを必要としないクライミングを許容できないのではないかと思います…。やってしまうと、自己否定になってしまうからですね。

2021/05/07

弟が死んだことと山での友人たちの死

■ 長い長いグリーフワーク

私の弟は、水泳でメダル何個も持っていたようなアスリートで、24歳で突然死しています。

あまりに突然だったので、死の実感もなく、私にとって、悲しみが癒される瞬間がなかなか訪れない…という事柄でした…。

夫と登っていた一般登山から、私がステップアップしたくなり、山岳総合センターのリーダーコースへ…。その頃から、山での友人、知人の死に出会うことが多くなりました。

例えば…

・山岳写真家だった新井さんの劔での落石による圧死、

・講習仲間の涸沢岳西尾根、

・ニュージーランド帰りのアイス仲間がパートナーが見つからなかったからと言う理由でソロで行った冬富士の遭難…、

・友達の宝剣での400m滑落と開放骨折…

・師匠の青ちゃん…腰椎、足首の骨折の回復中、ボルト23本入ってます、とか… 


そして、山岳会で出会う男性の多くは、リスクを理解しようとする頭自体がない…。その

  男性性

という性質が、これでもか!と言うくらい、弟を思い起こさせるのでした。

それはこういうことです…

小さいころ、弟がロッキングチェアに載って、動いたチェアから落ちて頭を縫いましたが、3歳の弟を見た5歳の私は、見れば分かるじゃん!と馬鹿だなぁと強く思ったのを覚えています。

山での死を見聞するのは、その思いを強く刺激するもの…でした。

■ まともな強いクライマー

一方、弟みたいなツヨツヨクライマーのハッシーは、山においては先輩でしたが、「あの頃の俺は強かった」と口にする30歳で、あの頃っていつ?って聞いたら、25歳のころ…で、現在2段…なのに、私がいいって言うんですよ、ビレイヤーには。一緒に宙づり脱出の練習を初回のロープ合わせでしましたが、教えなくていいから楽、とか言っていました。

私にパートナーができたので監督役で、ルート、付いてきてもらいましたが、なんとその日にガイドの仕事が入ってしまい…仕事を断ってついて来てくれたんですよ?なんて人情味あふれる人なんだ。

私とこれまた初心者の相方のために…。そして、相方のずさんなロープワークを見て、これでは、四尾根は日が暮れる、と指摘…。その当時、私は何度も相方に、今年の四尾根は無理と指摘していたのに、私の言うことは聞かない相方だったので、助かったのでした。四尾根は、ルートグレード3級です、初めてやるなら前穂北尾根1級でしょ。

余談ですが、前穂北尾根は二人で行く予定で頑張っていたら、初心者だけで行かせるのは心配だというので、もっとベテランの先輩がついてきてくれ、相方も誘ったのですが来なかったです…なんでやねん…

まぁ、あれこれ、山では苦労しながら、弟と死、について突き詰めてきたのでした…。

■ 人は100%死にます

死は免れない。人はどうやっても死にます。致死率100%。どうせ死ぬなら楽しいことをして死にましょう。

一方で、ロッキングチェアから落ちて死ぬような、恐ろしく知性の低い死に方をする山や多数。

例えば、宝剣ではロープをつけてさえいればよかったのでした。

■ 古い革袋に新しいワインは合わない

この人は花谷ガイドのヒマラヤキャンプで指導を受けた若い人で、昔の山岳部のやり方で育った人です。古い革袋にいれられた新しいワインです。古い革袋は、人を死に至らしめる可能性が高い。その教育法では新しいワインには向かないということです。”これくらいノーロープでいけるぜ”ってやつです。

ロープを付けない、アイゼンを付けない、そういう軽視の心は、どこに現れるか?というと、

・ブイブイ言わせたい

・めんどくさい

・危険予知できていない

そんな程度です…。そういえば、アイゼンつけたままグリセードして骨折した先輩もいたっけなぁ…。

■ グリーフワークの進行

昨日は弟が死んだことを考えて、なんどか涙があふれてきました…。やっとそこまで彼の死がリアリティとして追従してきたということですかね…。

正直、私を守るために、弟はパートナーを送ってきていると思うんですよね…。福岡では登るの辞めようとしていたのでした…アシュタンガヨガでいいやって。そしたら、アラーキーがなぜか来たし…。弟の魂は、私が山から離れるのは嫌なようでした。

■ 弟の死と山の死。咀嚼の歴史…

一つ目は、母が甘やかしてしまった男の子の行動原理の理解。

…甘やかさざるをえなかった母の必然の理解。

…母は男の子の育て方に自信がなかったので、水泳で弟を鍛えたんですよね…メダル重視という間違った方向性でしたが…。

…間違った方向性を許すための理解…周りが一斉に競争に向かっている社会で、競争に興味ありませんって難しいですし…そもそも子供は競争大好き。 

そして、男性心理の理解。

男性クライマーってどうしても、女性の前では、自分が強い男であることを気取るために、かっこつけたくなるんですよね…。女性が入ると、事故率増えるという研究結果がある。

君が強いのは分かったから、ランナウトじゃなくて、荷物担いでくれ、って感じ。でも、荷物を担ぐのは嫌なんですよ。大体の年配の男性は、妻に重たい荷物持たせて、自分は手ぶら…。それは女性の分担って頭から決まっている。これは74歳の開拓者と登って理解しました…晩御飯作るの嫌がっている奥さんのことをひとごとのように話してくれました…。

男性の心はギャラリーを求める心です、ナルシズムとヒロイズム。ヒーローにしてくれるから、女性を大事にするだけで、そうでないなら、しない。だからリードで取り合いにならない、女性パートナーが登れないところだけ、行きたいわけです。師匠はそうだった。だから私が行きたい石灰岩は来ない。私は引率の先生のようにビレイで付いて回らないと行けなくなるわけです…足を怪我しているのに。逆に、自分が怪我をしたときは、リードしてくれるわけですよ、ヒーローになれるから。

「〇〇で一番死に近い男」と言われて喜んでいる相方… それ、見張っていないと、やらかすって意味ですよ。みなで気を付けて見張っていよう、という意味で、かっこいい、って意味じゃないですよ…。 

なかなか治らなくて、白亜スラブでは、やっぱりやらかしていました…。それでもなぜか彼には成功体験になってしまった。私にとっては、うかつだった事件の記憶です。この記録、私以外のフォローだったら、日暮れレスキューになった可能性もある。

たいていのセカンドは、ロープアップされなかったら、どうしていいか?頭真っ白になって終わりです。自己確保で登る技術を教わってから、マルチに行く若い人は、昨今少ないです。

アレコレと書きましたが、結局のところ、私は弟の死を自分の中で消化するために登ってきたんだろうと…。

なぜ父は私たち兄弟三人を捨てたのか?…自分の自己実現のほうが子供への愛や責任より大きかったから…

なぜ母は弟ばかりを優遇して育てて無能な巨人が出来てしまったのか?母にとってすがれる男性は弟だけ…。上げ膳据え膳で溺愛したため、水泳はできるけど、水泳しかできない子になってしまった…。

なんで男性はかっこつけるのか? なぜなら、モテたいが男性の行動原理だから。親になるまで、それは変わらない。

いつ男性は自分の命を大事にし始めるのか?子供が出来てから。自分が守るべきものを得てから。

クライミングで、誰に何を言われても、ゆずらない硬い意志で、安全管理について訴え続けるのは、弟の死がコアにあるからです。

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1)許すとは、自分にはもう恨みも敵意も、自己憐憫も必要ないと気づくこと
2)許すとは、自分を傷つけた人を罰したいとは思わなくなること
3)許すとは、過去に起こったことで自分とういう人間を決めるのを辞めること
4)許しは自然に訪れる結果 
5)忘れないけど、手放すこと
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
1)許すことは大目に見ることではない
2)許すことは相手を免責することではない
3)許すことは自己犠牲ではない
4)許すことは、そのことについて二度と怒りを感じないということではない
5)許すことは、一時の決意でできることではない
ーーーーーーーー 『子どもを生きればおとなになれる』 より 引用

2021/05/06

クライミングの歌

■ 自分の打ったスクリューを振り返って良し!と思う

アイスで初心者からリードをしていたころは、自分が打ったスクリューを振り返ってみて、ロープドラッグが発生していないことを見て、

深い満足感

を感じていました。 

日暮れで焦り始めたり、登攀に余裕がなくなったりしてくると、それが、自分が登った形跡に現れる…

ので、フォローで付いて来てくれる人には、とても感謝していました…。私はビレイさせられるばかりで、ビレイヤーとしてアイスでは、だいぶ虐げられていた時間が長かったと思いますが…

それでも、

1)ロープが出るスピードが遅い とか

2)スクリューの間隔が極端に狭い とか

そういうことがスタートすると、

青木さん怖いんだなぁ…とか…

と彼が奏でているクライミングの歌が聞こえて来ていました。ビビり物語ですよ…クライミングは。

私は、青木さんがビレイを嫌がるので(アイスで初心者のビレイをしてやるのは、忍耐が要ります)、リードできなくなり、リードを捨てたとたんに、ムーブが格段にアップしました。ムーブだけに集中できるからですね。

私にとって人工壁の位置づけは、そんな感じで、自分がすでにできているムーブをさらに自動化で洗練させればいいだけ、と言うことでしかないような気がしますね… なので、人工壁でグレードピラミッドを上がることは、私の上達にとっては、ホントに意味がないことなのかも‥‥

アーバンクライミング、という方向性…みんな人工物大好き 

 スイスのクライマーの進化の方向性が…都会の人工物を登るという方向性でビックリ…

こちらです。

https://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0/29766084?fbclid=IwAR0pG6ADMpGByH7yqhwx0lCnCFCpFCzX-Wyqyp36rtjgjvBj2bZ4QPz3i-o

人工の壁に着いたプラスチックのホールドを登るという方向性ですら、

”なんだか、間違っている…”

という気持ちになることが多いのに…進化の先はアーバンクライミング…なのかぁ…と、

…ため息が出た。

クライミングはもはや私にとっては終コンかもしれません…。

クライミング人口が増える

 =マジョリティ化する

 =私の根本的なものと何か合わない

なんとなく、高山の貧栄養地帯に追い込まれる高山植物の気分になってきそうな…そんな未来予知感がある…

アーバンクライミング

という方向性。生物多様性とか、環境問題とか、そういうのには、たぶん、究極に無関心で、

登って楽しい~!

という快感覚だけに突き動かされているんだろうなぁ…

だとしたら、間違っている堆肥づくりでも、家で段ボールコンポストやってますみたいな、勘違い都会人のほうがまだましだなぁと思ってしまいました…。

それだけ男性のナルシシズムの業は深いということなのかなぁ…よく分かりませんが、こういう進化の形で、クライミング界は、何を成果として求めて行っているのでしょうか?

オリンピックも、俺が一番だ!という世界で疑問でしたが…


小山田大の開拓~公開モデルのビジョン

 岩場の発見

地権者との交渉

アプローチ整備

岩の清掃

クライミング









公開された岩場

=安全に登る

=ノーマットとか

ランナウトとか、命知らず自慢をしたい人は

自分でルートを発見し、他者に公開すべきではない。

(公道ではシートベルトの法則)










海外は国立公園も有料。

つまりハイキングも有料。


今までのやり方では、地元には、デメリットしかない。


クライマー

=自覚不足の人たち









2021/05/05

筑紫耶馬渓 ボルダー

今日は半日だったので、近場で…筑紫耶馬渓。

動画が色々出ていたので、まとめ。見ただけです、念のため!

パルス


バンブーダンス



イラストリアス 

■ クライミング人口

FSCのデータによると、今日クライミング人口は世界で2500万人(世界人口の約300人に1人)に上り、スイスやアメリカにも数千人いる。IFSCは現在5大陸に87の加盟団体を擁し、その約半数がヨーロッパにある。10年前と比べて25%の増加だ。

■アーバンクライミング

お顔真っ青系クライミングから、正常なクライマーを見る機会

■天の愛を感じる

九州に来て、なんだか、お顔真っ青系だった私のクライミング経験… 出向いた先が悪かったんだろうなぁ…。どうしてこうも、少数派の怖いビレイの人たちをめがけて行ってしまったんでしょう???

私が見た”事件”リスト

1)四阿屋で10bでグランドフォールで腰椎骨折 (2グレード辛い)

2)四阿屋でビレイしてくれた会長さんが私を座ってビレイ

3)矢筈で支点ビレイ

4)比叡でビレイしてくれた”重鎮”が写真をくれ、なぜか2名クライマーが映っていた…

5)これがエイド出来ればどこでもできる!というエイドルートで鍛えてあげると言われ、断ったら、チキン呼ばわり

6)日向神で座ってリードのビレイをされているクライマーを見た 

7)人工壁で90度ぱっつんビレイ

8)ATCなのにグリップビレイ

ほとんどのもう特定のダメ事例をこれでもか!と収集してしまっているような気がします… わざわざ探しても、こんな確率で、ダメ系クライマーばかりに会いますかね?普通…。

常識的に考えて、この確率はありえない!それで、九州全体がそうなのではないか?と思ってしまいましたが…

それは否定されつつあります…

以下は九州クライマー連絡会へ新規参加する人が書いたコメント。

最初はだれでも入れるようにしていましたが、詐欺が増えたので部外者の参加を断るために、ほんとにクライマーかどうか見分ける質問でYES・NOではない質問が良いとアドバイスを受けたので…下記のような質問にしています。

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ご参加ありがとうございます。あなたは普段どのようなクライミングをされていますか?クライマーとしてどのような点に気を付けていますか?回答がないと承認されませんのでよろしくお願いします。

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これで、

”はい、分かりました”

とかいう回答は、即却下です…。変な奴は入れない。で、いただいている回答が下記のようなものです。

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A)室内、外岩のボルダリング、ロープクライミング。岩場エリアのルールを守り無理しない安全第一のクライミング。

B)アクセス問題やコロナ禍でのクライミングについて気をつけており、情報が頂ければと思い参加を申請いたします。

C)・安全第一 ・地元の方への感謝と自然保護の気持ち ・心折れそうなくらい痺れる壁が好き

D)最近は、主に室内週一クライマーです。 以前は、岩場の清掃活動など岩場保全に勤めていました!

E)普段はリードをメインにクライミングしてます。気を付けているのは、一緒に登っているパートナーに怪我をさせないビレイ、登りやすいビレイに気を付けております!

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めっちゃ、まともやん!そうじゃない人ばかり見たので、癒されるわ~

この回答を見れるように、この連絡会の世話をしているのかもしれません…正直めんどくさくって、誰かほかの人やって!って感じなんですが。

まさに解毒剤。神の愛を感じます(笑)。



2021/05/02

核心

 ■ 優しくすると…どんどんつけあがる現代のクライマー

以前、アイスクライミングに、冬の靴も、ウエアも、アックスも貸して連れていく羽目になったことがあるのですが…、次を断ると、

「ケチ!」

と言われたことがあります…。冬靴4万円。冬のシェル4万円。アックス1本3万円×2が最低。+ロープ、アイス専用。他にも、いろいろありますが…


  連れていかれる人はどんどん増長


します。

■ 最初に親切にしたら、その人は次の人にも親切にする?? しません!!


”最初に親切にしたら、その人は次の人にも親切にする”、


は、現代の人心を正確には表現していません。これは最初の師匠の鈴木さんの思想ですが、間違っているということを確認しているのが、私のクライミングの歴史です。

■ 既得権益化

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人は一度手に入れた権利を既得権益として認識します。

一度手にしたものを手放す時の喪失感は、同じ価値をもらう以上に高いというのは、心理学でよく言われる話です。ここでも同じような「勘違い」が起きてしまうのかもしれません。

実際に自分がそのシチュエーションになって初めて気が付くのでしょうね。

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思い当たるなぁ… 師匠の青木さん、会を辞めてやっと会のみんなに自分が色々なわがままを聞いてもらっていたということに気が付いたのだそうでした。


■ 現代のクライミングの普及において、何が核心化しているか?というと

1)最初に親切にしすぎ…

 何もかも貸してお客様待遇でクライミングに連れて行ってあげる

 =既得権化して、権利意識が強いモンスターを作り上げる

2)マナーが悪い 

=岩場にうんこ

=なぜなら、岩場に愛着がない 

=だから、自治の発想がない

3)頭が悪い

=トップクライマーと登っても死ぬ人がいる

=なぜなら、事故内容を分析すると、ほとんど防げる自業自得の事故

=なぜなら、自学自習できない

=なぜなら、土台の知識レベルが下がっている

=加えて、教育が悪い(無い)

=つまり、昔はあったものが無くなっている


■ 対策

以上を対策すると?

1)最初にモノを貸してクライミングに連れて行くのは、一回目だけ。

  本当にやりたいかどうか?を確認する手段、と釘をさす。

2)岩場に愛着を持たせる

3)教育はかみ砕く、え?と驚くレベルへ。そもそも論が欠けているため。