2018/12/02

油山川3回目 自分を信じられない大人たち

■大人から始めるクライミング

昨日は、50代からスタートするトレラン経験者のIさんとの外岩だった。Iさんは、トレランをしていたそうで、体が強そう。たぶん、中高年登山に行っても、体力が余ってしまって楽しめないのだろう。

■ ギア不足

Iさんが懸垂下降を教わりたがっていることは分かっていたが、確保器を持っていないため、教えるのは時期尚早、と思われ、どうしようか…というところだった。

これまで、ビギナーと思われる人のギア不足には、甘く、冬の靴すら貸して、初級の雪やアイスに連れて行ったくらいだが、基本的なギアを揃えない人の将来は?

…というと、ほぼダメである。借りて当然という意識が芽生えてしまって、貸してくれないのは、心が狭い、とすら言い出す人もいる。一方、貸す側の負担もかなり大きい。ので、ここ数年の経験から、そうした負担を、あまり負わないことにしたほうが良いと結論した。

が、Iさんの話を聞くと、購入すべきものが分からないようだった。

ATCガイドを購入したら、師匠のS木さんが「それは自分で考えて購入したの?」と尋ねてきて、「はい」と答えたら、非常に評価された。たぶん、それまで会の新人さんが、店員さんに騙されて、この大定番を買わなかったためだろう。

しかし、その後、ATC-XPをゲレンデでの使用だから、と持って行ったら、「リードしない人には教えません!」とのこと。ATCの種類で色々なことが推測できるのだ、ということが分かった。山の世界で生きて行ける人は、探偵になれるかもしれない。

しかし、実際、スポーツクライミング向け、フリークライミング向け、アルパインクライミング向け、と用途が様々で、確保器一つ買うにしても、購入が難しいのは事実だ。

今回は、ヘルメットを買ってくれ、最低限、岩場での安全も確保されたこと、借りて当然となりそうにないこと、確保器は、私はいっぱい持っていて、特に貸し出しに負担がないこと、など考慮し、貸し出しOKということにした。

本当はこんなことに心配しないで登れたらいいのだが、最近の人は、図々しさでも猛々しい人がいて、そういう人に当たる率が、なぜか私は多く、あまり無防備な親切は、相手にも、自分にも良くないことらしいのだ。それが4年、アルパインをして学んだこと。

残念な世相だ。

■ 能力への懐疑心

さて、今回は、印象に残ったことがあった。それは、登れることへの懐疑心、ということだ。

大人からスタートすると、覚えが悪い、と一般に言われる。

たしかに、これまで教えてきた50代以降の人は、見たものをそのままコピーする能力が減っているようで、確保器をセットしたとしても、それが反対だったりして、あれ?ということが多かった。ほかには、何度も同じことを言わないといけない、ということもあった。呑み込みの早さ、ということに問題がある、ということだ。

ただこれは個人差が大きい。個人差のほうが、年齢差を凌駕していると思われる。50代、60代でスタートしても、あっという間に上達してしまう人もいる。

覚えが悪いのではないだろうか?と、周囲の人に先入観を持たれることは、自分自身にも、自分は覚えが悪いのではないだろうか?という先入観を抱かせるのではないだろうか?

これはクライミングでも感じたことだ。

能力への懐疑心が先にあるのではないだろうか?と思われた。

若い人は、登れない自分がいる、ということを想像だにしていない。取り付くときの自信がすごい。登れるはずだと思っている。そして、「なんで登れないんだ、ちくしょー」と怒っていたりする。その自分自身への能力への信頼が大きすぎ、少々、自信が過剰である、というところが、事故原因となっていることが多い。

一方、この方は、最初から、難しいのではないか?登れないのではないか?と思って登られていることが明らかで、そこには、懐疑心、というものが根強くあるのであった…。

それは、つまり、初心者当時の、私自身を見るようだった。

というのは、私も、”一体、こんな屹立した壁、登れるわけがないでしょう”、と思っていたからだった。

とくに、インドアジムへ通い始めてから、インドアジム壁と外岩の関連性は、見極めづらかった。インドアは何が難しいの?って感じ。外岩は難しすぎて登れない感じ。

その期間は長く、3年は、かかっているだろう。私は登攀は比較的早めに始め、クライミングジムは、ぽつりぽつりだが、あまりグレードを気にせず、ぶらりと通っていた時期があった。山登りしかしないころだ。年に10回程度か。

そういう期間は、クライミングに入れ込んでいないため、ムーブと言われても、?な状態で、基本的に、8級くらいまでしか登れていなかったし、楽しいとも思っておらず、ただ、”いつか”、が来るのを待っていただけだ。

”いつか”は、来た。 それは、正対と側体が使い分けられるようになった時だったが…。

それまで、本当に、”楽しくなかった”。

正直に言えば、全然、楽しくなかったのだ。登っていても、「これの何が楽しい訳?」と思っていたし、ほかの人も「一緒に登りましょう」と言ってくれる人もおらず、避けられているような気、すらした。セッションで、わいわい登っている人たちの輪には、人種が違って、入りづらかった。

あるとき、突然、側体が身について、驚いた。それで、何度も9級とか8級を、側体と正対の2ムーブで登り始めたら、なんというか、なるほど感があった。

また、ジムにきている女性たちは、ずーっと8級で7級まで行く人は少なかった… そんなこととは、つゆ知らず。

会の先輩で2級が登れる人が、5級課題のムーブを教えてくれると、「教えたらすぐ登れるようになった」と言う…たしかにそうで、ムーブの正解を見てしまうと、それをなぞるのは、普通にできた。ただ、自分でそのムーブに、たどり着けないらしかった。

つまり、欠けていたのはクライミング脳、らしかった。

■ 教わらずに分かる人vs教わって分かる人

あかりちゃんとI永さんは対照的だ。あかりちゃんは、最初から、クライミングが楽しそうで、教えなくても上手になる。むしろ、外岩なのに、デッドで取っていて、あぶないから、まだリードさせられないなと思う。

一方、Iさんは、登れないのではないか?という懐疑心のほうで、たぶん登れるところも登れなくしてしまっているかもしれない。

クライミングにムーブがあれば、楽に登れはするが、ムーブがなくても、易しいグレードのものは登れる。

一般的には、ムーブが必要になるのは、5.10bくらいからだ。5.10A以上がフリークライミングの領域で、5.9以下の課題は、一般に”ナインアンダー”と呼ばれる。通常は、ムーブなしでも、登れるはず、という段階だ。

ナインアンダーであっても、ムーブがあれば、よりパワーを浪費せずに、登れることは確実だ。実際、私は昨日、5.10bのクラックをやったのだが、肉体的には、どこも疲労していない。考えてみると、4年前の初心者当時は、一日の外岩で、惨敗兵みたいにぐったりしていた。

思うに、最初から、クライミングが楽しい!というタイプと、なかなかクライミングの楽しみ方が自分では発見できないタイプ、がいるのではないだろうか?

私は確実に後者だったと思う。でも、しつこく登っている間に、なんとなくクライミング力はついてきた。

自分を振り返ると、何が分からないのか、みんなが言っているムーブって、何なのか?
体が分かるだけに、3年くらいはかかったなぁと思う。なにしろ、初めて5.9がオンサイトできるまで、2年半もかかったのだ。

昨日、私が取り組んだ、センタークラック5.10bは、目視で見て、登れるのではないかと思い、先輩がカムセットしてくれたものを最初はピンクポイントで、リードで取りついたのだが、予想以上に苦戦して、だいぶ、へこたれたのだった…。時間も長くかかった。

結局、カムエイドも出したし、あれこれ、ズルをして何とか上に行ったんだが、難しかったのは、下部のフットスタンスのほうで、上部の、ハンドジャムやフィストジャム、ばち効きのところは、あれ?もしかして易しい?という感じで、悪い気はしなかったのだった。

それで、また行く気になったものの… 自分の恐怖心を抱くポイントは、トップロープでも、あまり変わらず、そして、リードで取りついたときと、トップロープでは、ムーブの出具合は、リードのほうが良いような気がしないでもない。

ムーブというのは、不思議なものだ。いつかどこかでやったようなことが、体のどこかに深部記憶として残っているのだろうか?

色々なムーブというが、その意味することは私自身もイマイチよくわからない。

ムーブが上手な人は、考えてやっているわけではないそうで、無心で登っているだけなのだそうだ。なので、上手な人に聞いても教えてもらえない。

私自身は、言葉で教えられたことをなぞることが上手なタイプで、それはバレエの教え方が言葉によるものと先生のお手本による例示によるものの、2段構えだからだろう。

バレエでは、グランバットマン2回、ジュッテ1回、裏返して同じこと、という言葉と動作が一致するように訓練するのだ。ジュッテを下さいとコリオグラファーが言ったとき、素早く出せるのがダンサー。

クライミングは、そういう訓練は必要とはしないのだが、どうしたら、登れるか?というコミュニケーションに登って見せる、という以外に言葉があると便利ではある。

次は、ヒールフックして体を上げたら、次はランジ、などなど。しかし、そうした技の習得に、一喜一憂しても、結局は、保持力やリーチという問題に落ち着くかもしれないのだが。

まぁ、私自身がまだ未修得の技があるということは言える。その上、保持力もまだトレーニング過渡期であることも言える。

ので、取れる糊代を取り切っていない、ということが、辞めるにやめられない理由ではあるのだが、自分自身への懐疑心… 登れないのではないだろうか?ということが、成長の抑制要因になっている、ということは理解できる。

自分自身を信じるということは、ある種、成功を恐れる気持ちがあるということだろうが、それは、クライミングをスタートした当初からある不安だ。というのは、登れてしまったら、途方もないグレードのところに連れていかれてしまうのではないか?という恐れがあるからだ。

昨今のクライマーは、登攀グレードと危険認知力がバランスして成長した人は稀で、登攀力のほうが勝っている人が多いし、その場合、危険認知力が劣るということは、成長する意欲と危険から身を守ろうとする意欲では、後者の方が少ないということだからだ。

連れていかれてしまう恐れは常に感じている。

しかし、その恐れがブレーキになっているか?というと、それは、成長しないこと、努力しないこと、怠惰のことの言い訳になっているかもしれないが、どうなのだろうか?

もし勤勉の美徳を身に着けて、毎日指トレしたら、登攀グレードが伸びるのだろうか?

なんだか違う気がする。

私自身のこれまでの成功体験は、いわゆる勤勉の美徳、ということが功を奏したということは、めったになく、努力というものは、努力している本人にとっては、努力と感じられないもの、ということのほうが多かったからだ。

英語力は気がついたら、ペラペラの域に達していた。実際は、努力もしたのだが、本人は努力というよりも、何時間も無駄に過ごした気がする… いわゆるガリ勉というのは、していない…。ただ、辞書を引いて、語源を理解するのが趣味だったころもあったし、シャドーイングは、10年以上続けた。とくに成果というか、ご褒美がない活動だった。英語を解することで、何かが得だった、ということはない生活環境にいたからだ。

同じことで、クライミングもクライミングが楽しいということになるまで、誘われるままに出かけて行ったということで、出かけた際もあまり欲がないので、皆にいいの?と驚かれるくらいな感じで来た。

同じような人を見ると、まるで、過去の自分を見るようだ。

それは、機会喪失、チャンスロスに見える。とはいえ、意欲を無理して掻き立てるというのも変な話である。

というわけで、結局のところ、クライミング道もまた、人それぞれで、モチベーションを上げるということも、その人本人にしか、できない。結果、のんびりとした旅路である。

とはいえ、私の成長スピードは、まぁ、平均らしい。

クライミングは、楽しいと思えるまでが長くかかる旅路、なのかもしれない。

また最初から楽しめる人と、最初は言葉で、手取り足取り教わる必要がある人の両方がいるのかもしれない。


2018/11/30

岩場の安全についての認識の甘さを痛感中

リードを主体とするような外岩(フリー)をするようになり、これまでいかに岩場の安全について、認識が甘かったのか?さらに言えば、他人任せだったのか?ということについて身につまされています。

元々アイスクライミングが、クライミングの事始め、だった私にとって、いや、大体、冬を本番と位置付ける者にとって、無雪期の外岩というのは、非番の暇つぶし程度なことですから、”フリーで基礎力を上げる”程度にしか考えていなかった…ため、大したリスク認知も行ってこなかった…つまり、誘われたら行く程度だった…というのが、実のところ、正直なところです。

根底にはやはり、赤信号みんなで渡れば怖くない、という考えがあるのではないか?と思います。

しかし、誰か岩場を知っている人に、”混ぜてもらう”のではなく、”どういう岩場かしら?”という発見の楽しみのために行く、ということが、こちらへ来て、増えました。

これは成長であり、喜ばしいことです。しかし、どういう岩場か?ということに加え、リードする場合、

 1)アンカーは安全なモノか?
 2)ピン間隔は適切なモノか?
 3)グレードは適切か?

という3つの要素を、

 己で判断

しないといけない、ということです。これは、結構、見識が必要なことです。

それらの見識を持ち合わせているか? 

自分に問うと、大変困ったことに…(汗)。アンカーの強度や種類などは、問い合わせ、でなんとかなるものではありますが、2)3)に至っては、それらが分かるようになること、自体が、山ヤ修行の一つの目標…それも何年もかかるもの…であることでしょう…。

ということで、岩場における自立というのは、非常に難しいことであるのだなぁと最近、特に感じています。



リーチの短さについて 

■リーチ問題について認識の甘さを痛感中

最近、とみに感じるのは、リーチの問題についても、これまで、いかにも甘い認識で来た、ということです。

例えば、スティッククリップについては、実は2年ほど前にも紹介を受けていました。しかし、利用していませんでした。

ボルダリングでは、立って取れるところから、取ったホールドをつないでいくだけだと5級、シットスタートだと2級、というのは、よくあるパターンです。

外岩クライミングでは足が命。誰もが立てるスタンスを拾うわけですが、そういうスタンスは、誰もに共通です。そうなると、そこに立って、ガバが届けば5.9。

届かなければ?

極小スタンスに立って、そのガバまで頑張らないといけません。つまりボルダリングのシットスタートと同じになる。

これはクリップでも同じです。大体においてルートでは、クリップ体制が作りやすい場所に、ボルトが打っていあるわけですが、クリップすべきタイミングで、立っているホールドから、クイックドローを掛けられなければ? そのスタンスを捨てて、ドローを掛けないといけなくなります。これまた、シットスタートと同じことに。

つまり、リーチの問題は、難易度に直結した問題だったわけです。

5.9なら5.9というグレードが、”すべての人にとってほぼ同じ難易度を意味する”、というのは幻想でした。”誰でも登れるグレード=5.9”というのも幻想でした。

その幻想が打ち破られるということは、要するに、そのほかのいわゆるアルパインルートでも、事情は同じなのだろうとする類推を可能にします。

つまり、アルパインルートを登ることは、リーチの短い者には、

特別に危険が増す、

ということになります。

相当に不利な条件が増す、ということです。不利というのは、やはり山の場合は、ゲレンデと違い、死も含まれるため、なかなか、「不利ですね~」と笑っていられるようなタイプのリスクではないかもしれません。

ということで、こうしたリスクを排除して登るとなると、近所でのゲレンデですら、
・トップロープでの試登を繰り返した上のRP狙いが妥当、
・本チャンではセカンドが妥当、

となります。しかも、この傾向は、九州ではより一層強いらしいです。ということで、将来的展望に欠け、失望を味わい中です。

この方向に私の明日はない。

2018/11/28

実力がつく以前の初見リード

■ 実力がつく前に

しばらく前だが、初見リードを2度して、かなり大きなストレス反応が出た。

自分を知る経験になった。回復するまで時間がかかり、とても疲れた。

1回目は三倉での初見クラックのリードだ。入門クラック5.9.

2度目は、油山川でのクラック5.10bだ。三倉は2グレード辛いと言われているので同じくらいのグレードではないか?と思う。

どちらかというと2度目が堪えているような?

どちらのリードも得るものがなかったとは言えない。が、ムーブが確立する前のクラックリードは、危険だと理解した。

クライミングを辞めてしまうきっかけにもなりかねない。また、ヨガのほうにも全くいい影響が出ない。ヨガですら、疎ましく感じるようになってしまうからだ。

何が起こるか?というと、引きこもり現象だ。体は冷え、食べ物はおいしくなく、物事は心に響かなくなる。ホルモンのリズムが異常になり、不正出血が起きる。

体がストレスに負けたサインだ。

■ 元気になってきたきっかけは?

温泉にも行ったが、効き目イマイチ。おいしいものも作って食べてみたが、それもイマイチ。

結局のところ、小林カツ代さんの本を読んで、心が動かされた、というのが、最も効果があったかもしれない。

■ ココから学んだこと。

・上達を急がない
・グレードを信用せず、きちんとトップロープでムーブを作ってから取り付く
・TR→疑似リード→リード でグレードを上げる前にきちんとピラミッドを作る
・体と心をいたわる方法を知る

小川山レイバックは、最初から1テンくらいで登れたけど、カサブランカは最初登った時は、TRで3回落ちていた…今年は少し進捗して、疑似リードでカムセットしたが、たぶん、上手にセットできた感じがした。落ちなかったし。

千里の道も一歩から。急いではならぬ。

2018/11/26

クライミングインストラクターが運営するゲストハウス

■クライミングインストラクターが運営するクライマーのゲストハウス

台湾の岩場では、現地ガイドのXQがゲストハウスを運営していました。

QXはシンガポール人のクライミングガイドですが、資格はアメリカの資格です。(つまりシンガポールはアメリカ文化圏ということ、最近技術ですね)

彼の地元シンガポールのクライミングジムで募集した人たちがゲストハウスに泊まり、クライミングツアーに参加し、雨の日は技術講習。つまり、初心者が体験する初めての外岩がシンガポール人の場合は、台湾ってことです。

ゲストハウスでは、ビールとコーヒーを飲めば、ボルト基金になります。QXが、実質、岩場の管理者として岩場のリボルトを管理しており、管理台帳を発表しています。

https://allnevery.blogspot.com/2018/10/13.html

岩場についてまずやることは、最新の管理台帳のアンカー状態をトポに書き写すことです。

トポはこちらから購入できますが、現地で買う方がかなり安いです。倍くらいかな。
http://www.t-mapa.com/item/bk-rctw/


おそらくQXは管理人として誰かに指定されているわけでも何でもないですが、仕組みとしてうまく行っているようです。

QXは1対1の講習であれば、一日6000元。日本円で24000円。1対2であれば、4000元。16000円だそうでした。ゲストハウス宿泊費は、一泊600元(2400円)でした。1週間以上の滞在で割引があります。

私はガイドされず自分で登ってきました。このような仕組みは、大変有効な仕組みだと思います。

■ 無料で教わる場所

今の日本は山岳会=教えてもらうところ、技術を盗むところ、という過去の習わしに、縛られすぎているのではないでしょうか?

海外では、クライミングはインストラクターから手ほどきを受けるもの、というのは、通常のことのようです。

そこから段々自立を獲得して、インストラクター不要になっていく。

日本の山岳会というのは仕組み的に時代遅れになっていますが、無料で技術を教えるという前提がある組織です。ので、「俺は教わっていなんだから、勝手に盗めよな」「こんなに懇切丁寧に解説しているのに、全然分かるようにならない」という不満や不服も出てきます。

無料では教えないというのが当たり前な海外…日本も、そうしたほうが、教える側にも責任感が出て、きちんと最新の技術を教わろうとするでしょうし、教わる側も真剣でしょう。

一番損をしているのは、有料で教わって無料で教えている私のような人で、一番得をしているのは、無料で教わって有料で教えている現代の60代のガイドさんのような気がしますが。最後は愚痴でした。

そう言えば、山岳会の先輩が、「おれ教えられるような技術持ってない」と言っていましたが、その人が一番しっかりした先輩でしたっけ…。

2018/11/24

トップロープの張り方を教えたある日のこと

■ 受け取り上手

昨日は自分のクライミングが進捗したというよりも、後輩が楽しんでくれたことで、満たされた気持ちになった。ので、後輩に感謝。

連れて行く後輩にたいして、先輩は責任がある。

ので、もちろん、色々と教えないといけない。

教えることは、”与えること”、だろう。だが、この”与える”が、”奪われていること”、に感じさせてしまうような人もいる。受け取っていて当然、という態度の人だ。なので、受け取り上手な資質というのは、それはそれで大事なこと。

昨日はトップロープの張り方、を教えたんだが、その中の技術的要素を分解すると

1)立木でのスリングのかけ方
2)ブーリンでリング荷重してはいけないこと
3)折り返しビレイでのローワーダウンとセカンドのビレイ
4)立木の懸垂セット
5)懸垂で急傾斜の崖にアプローチする方法vsローワーダウンでアプローチする方法の2種と比較
6)立木にトップロープをセットする支点
7)懸垂下降の途中停止

これらの要素は、ただ、裏から回ってトップロープを張る、ということを達成するために必要な技術なんだが… もし、個別にバラバラで教えたら、全然できるようにならないのではないか?と思う…。

というのは、前に一緒に組んでいた男子の初心者君たちが作ってくれる支点類や、崖へのアプローチの仕方とかが・・・あれえ?大丈夫なの?という具合だったからだった…

■ ポイント1 情報の共有

昨日は、下から見て、後輩が登りたいラインと私が登りたいラインそれぞれを観察した。

あらかじめどの支点に行く予定か、目星をつけないといけないからだ。それは支点のタイプによりギアも異なるため。

後輩が登りたいラインの終了点は、直径60cmほどの立木だった。これに終了点を作るのに必要なのは、スリングと環付きビナだ。スリングは持ってきたか?と尋ねると持っていないという答え。なので、180cmのスリングを貸した。環付きビナは1枚あるそうだった。

私の登りたいラインのほうの、終了点は普通の残置ビナだったので、ヌンチャク2枚。

■ ポイント2 現場の危険評価

さて裏に回ると、上部は普通に歩けた。

が、当然だが、立木は崖のギリギリにあり、目視確認できる終了点はなかった。

さて、どこからロープを出すか?

崖までノービレイで行くような軽率なことをしてはいけない。

だいたい崖の端は土が緩く何かにつかまっていたとしても、不意に足元が崩れないとも限らない。

後輩が登りたいラインの立木は、直径60cmほどの大木だが、そこまでには4mほどあり、直径20cmくらいの木にフィックスが張ってあった… 2mくらい下にインラインフィギュア8ノットで、取っ手が作って合った。

私の登りたい課題の終了点のほうは、大樹の陰でよく見えなかった。きっと岩肌にあるのだろう。私は、大樹まで行って、のぞき込むようなことはしない。

さて、どっちを先に張ろうかと考えた。効率が問題だ。

…一人だったら、フィックスを取ってある立木に懸垂でとりつくしかない。今あるギアは、スリング1、環付き2、ヌンチャク2、以外は、各自、下降器、セルフしかない。

立てるところでまず考えるのはセルフ。立木のフィックスが張ってある、その結びの輪にセルフを掛ける後輩…。見ると、ブーリンで取ってあった。ブーリンの輪にセルフを掛けるとリング荷重になってしまう。リング荷重はノットがほどけるということを伝える。まぁ、この場では、セルフに体重をかけないから、荷重はかからない。ので、問題はないんだが…。でも、ブーリンにリング荷重は習慣的に良くないと思う。なので、フィックスを見るときは、何というノットでフィックスが取ってあるか?を見るのが大事だ。避けたリスク、その1.

リング荷重が嫌だったので、セルフを取るのに、スリングの支点が欲しいと思い、最初は私を確保してもらうことにする。そうすれば、二人とも確保された体制になるからだ。

安定した立木であることをたたいて確認し、立木の高い位置にスリングでタイオフして、しっかりと固定し、それにセルフをかけ、体重を預けてもらう。常に静荷重をかけておいた方が実は安全だし体制も安定する。

彼女の確保器は、ノーマルATCなので、私をローワーダウンしてもらうのに、支点から、カラビナ1枚で折り返して、上にロープが引かれるようにしてもらう。これはマルチでセカンドの確保と同じ。

私はアンザイレンし、最初の支点まで降りたら、ヌンチャク2枚でトップロープ支点にし、ロープを投げて、1つ目が完了。懸垂より途中停止がやりやすい。止めて、と言えば、終わりだからだ。その後クライムアップ。

次は、使用中のスリングが必要なので、ビレイを解除して、同じ立木に懸垂下降のセット。後輩には自分のスリングで直接立木にセルフを取ってもらった。2番で降りないといけないこと、私が先に降りて、スリングで支点を作り、それにロープを通すので、彼女は、懸垂したら、セルフを取り、立木のロープを引き抜いて、下降しないといけないことを説明。

この懸垂は、4mほどの短い距離の懸垂なので、ロープの途中を使った。ただし、すっぽ抜けは怖いので、短いほうの末端は結んだ。長いほうは上に残しておいた。

60cmの巨木に来ると、終了点は根からとることもできそうだった。つまり、短いスリングしかなくても、なんとか作れるようだった。下を見ると岩がテラスになっていたので、これは高い位置に終了点があるほうが、ロープと岩がこすれないと思い、根で取るという選択肢を排除して、立木の幹でとることにした。固定分散にして環付きビナを掛ける。支点ができたら、懸垂を解除するのに、セルフを支点に取った。荷重が抜けたロープを、カラビナに通して下におろすと、課題自体は8m程度なので、すぐロープは地面についた。再度懸垂下降をセットし、そのまま下降。

後輩には降りる前に、フィックスロープも末端を輪にしてセルフを取ることができること、自分のスリングで木の根に直接セルフを掛けるか、支点のシェルフにかけることもできることを伝えた。上の懸垂のロープを引き抜かねばならないからだ。

私自身は下で彼女が懸垂するのに備えて、ロープを引っ張る=途中停止させることができる、ように準備した。

懸垂下降は、最近は初心者には、バックアップ付きを教えることが多い…私もそれで習ったし、彼女もだ。ただ実践では、バックアップはむしろ邪魔になってしまうことが多いのだが、それも、そうだということが分かるまで場数が必要だ。ベストプラクティスというのは大事だが、四角四面に教えられた1通りの方法しかできない=思考停止状態、というののほうが、山ではむしろ問題であるような気がする。

私は太ももに巻いて途中停止する方法を最初に教わったので、彼女にもそれを教えた。これは、懸垂のセットをするときも、ロープをたるませるのに使える。ロープのたるみがないと、確保器の中にロープを入れるところから、四苦八苦になる。

彼女が降りている最中、試しにロープを下から引っ張ってやった。降りれない、ということなんだが、これも初心者は知らないことが多い。

無事、トップロープが2本取れた。ここまでで、解説に時間をたくさん取ったので、ここまでで、1時間くらいかかった。

清高さんの教え方は、こんな感じだった。

2番目の師匠の青ちゃんは、危ないから、と自分で張りに行ってしまって、教えないタイプの人だった。

なので、私は一向に支点の様子を知るようにならず、不満を抱いた。自立を阻止されているような気分になったからだ。

なので、連れて行ってもらった岩場には、自分で勝手に後輩を連れて行っていた。

あるとき、青ちゃんが靴を忘れ、取りに帰るので先にやっておいてということになり、私が支点構築に行くのに、後輩のかっちゃんを連れて、支点に行ったことを知ると、激昂した。なんで怒られるのか?分からなかった…。

ので、行ったときの様子を詳しく説明した。私は、今回のこの後輩にしたのと同じように、かっちゃんにもセルフには念には念を入れて、立てるところから、ローワーダウン、もしくは懸垂で支点に取り付いたんだが…。

一般に男子は、立てるところから、ロープを出す発想がなく、支点構築に行かせると、一か八かのギリギリトライを披露してくれることが多い。ので、当然ながら一人では行かせられない。

青ちゃんは、支点構築は一人で行くのがベストという考え方だったが、私はそうは思わない。自立したクライマーを育てるには、支点の知識が必要だからだし、一人で行くと懸垂以外確保手段がなく、いちいち時間がかかる。2名だとスタカットという手段がいつでも使える。

今回は、後輩には、ベストプラクティスと言えるものを見せることができたのではないか?と思う…少なくとも私が知っている技術で出来るベストプラクティス。

それが登攀そのものよりも、私には充足感というか満足感をもたらした。

登攀自体は、むずかしく、スリングでの簡易エイド(Aゼロ)もだいぶ持ち出した。エイドを持ち出したのは、後輩にエイドの方法も見て盗んでほしかったからだ。知らないと、登れないときに引き上げてもらうしかなくなるから、知らないと困る。

クライミングそのものは、誰が教えなくても勝手に上手になるんじゃないだろうか?と思う。でも、エイドの仕方とか、ロープの張り方みたいなことは、教わったり見たりという経験がないと、どうしたものか、となってしまうだろう…。

実際、私は初期のころ、師匠クラスの人とは出かけておらず、初心者と出かけていたら、貧弱な支点構築だった。例えば、腕くらいの木でトップロープしていて、バックアップの木が直径60cmだったりした。

自分が危険な目にあわされているとも知らず登っていたのだ(笑)。

そんな人と登りたい人がいるのだろうか?いくら登れるクライマーでも…

まぁその時は私も初心者で、支点をアドバイスする力量がなかったから、自己責任なのだが、無知に付け込まれている、とも言える。正しいことを知らなければ、間違ったことを指摘することもできないからだ。

自己責任というのは、情報量が同じであって、公平な立場で、なりたつことだろう。

もし連れて行ってくれた人が「僕の支点はあやしいですが、それでも一緒に行ってくれますか?」と聞いてから、誘ってくれたなら、支点の予習でもして出かけたのかもしれないが…。

ということで、昨日のクライミングは充足感がたっぷりだった。

私は自分が教わった通りに教えているのだが、他にも教え方があるのだろうか?

■ 自分自身を知る

私にとってのクライミングムーブの習得は、上達や達成感ではないのかもしれない。

上達や達成感は、安全構築技術という基本的技術の上に、上達したら儲けもの、程度のものかもしれない。



2018/11/23

油山川 2度目

今日は2度目の油山川の岩場だった。

クラックをやりたいなと思って、行ったんだが、ふーむ。朝、一番で取りつく気になれなかった…。なんか、後輩のあかりちゃん、開口一言で、「ランナウトしていますよね」。

するどい!そうなんです!が、実はここは、ボルトは念のためで、カムでプロテクションを取ることになっているから、っていうことなんですね。ここのクラックは。初心者のカムは抜けることがあるので。

しかし、5.10bでハンドなのですが、やっぱり、もっとむずかしいだろうなぁと。

サブフェイスは、ほかのルートには取りついていなかったので、今日は、ほかのから取り掛かることに。

各自ロープをもって、裏から岩場の上部へ回る。とフィックスが張ってありました。ありがたや!ないとロープセットしていて落ちることがありますからね~ その場合はスタカットの確保技術が必要です。

私はアイスでクライミングを始めたので、トップロープを張るのは、歩いて裏から回ることが多く、その時の経験が生きました。

まずは、立木に支点構築し、私を折り返しビレイで確保してもらい、ローワーダウンで、終了点へ1本目のロープをかける。

そのあとクライムアップして、支点へ戻り、今度は同じ立木から、ギアを回収して、懸垂下降。あかりちゃんは2番目の下降者。トップの私が立木+スリング+環付きビナで終了点を作り、懸垂下降。その次にあかりちゃんが懸垂下降。懸垂では、途中停止は足に巻いて止まる方法と、下から引っ張って止まる方法。

で、2ライン取れたので、あとは万々登りました。次々登れて楽しかった~

バンバンと言っても、ただのトップロープで得るものがないと困るので、疑似リードしてもらいました。

最初に黄色ロープを張ったラインは、5.9と書いてあったのですが、出だしが核心…そもそも、1ピン目にヌンチャクを掛けるのが核心でした。ガバに手が届けば、掛けれるんだけど、私とアカリちゃんの身長では、そのガバ届かないから、1ピン目以前が核心。2ピン目は、テラスに立てれば取れるのですが、3ピン目が遠く、2ピン目で落ちるとテラスに激突で、トップロープなので、出るロープも多いので、落ちれない。

ここは難しかったので、カムエイドをしてみようと思って、出してきたのですが、0.75が効くところまでの一歩が遠く、スタンスが見当たらず、ヌンチャクにスリングの簡易アブミにして立ってみましたが、それも空中にぶら下がっているスリングに立ちこみなので、かなり大変でした… カムが取れたら、まぁなんとか上まで行けました。届けば、ガバだから、腕だけで登れて、5.9だけど、届かない人にはまったく5.9とは言えない系の課題だった(汗) しかも、カムエイドも無力でした。

あかりちゃんはあかりちゃんで、自分が気に入ったラインを言ってもらいましたが、易しいスタートから1ピン目遠い。まぁ、でも足で立てるから仕方ないかなぁ。初心者のリード向きじゃないと理解。凹角はなんとなかったけど、そこから抜け出るマントリングがカチ。マントリングワンムーブが難しく、マントルが課題でした。これも5.9には思えないなー。私も行ってみましたが。

なんとなく、兜岩とかの短い課題を思い出した。短いけど怖いみたいな課題です。

その後、もっと易しくないと楽しめないと思い、5.8に行くと快適みたいでした。

短い課題は、2-3本をまとめて登ってもらいました。時間短縮にもなるし。

最後は回収は私が行き、終了点は隣のを使って立木から残置ビナへ…これはこれで、トラバースのクライミング技術がいるかね?な感じでした。

二人ともお腹いっぱい登って、楽しく帰宅。あっという間に暗くなるので、暗くならないうちに…

というのは、この岩場沢沿いで、ブッシュが濃いので、薄暗くなると、帰れなくなりそうです。

16時終了で17時には解散みたいな感じでした☆

次回はもう一回あの5.10bのクラックをして、どう感じるかやってみたいです。

まとめ
凧揚げコーナー(8m、5.9、ボルト3本)TR
三角柱(8m、5.9、ボルト3本)
モンキーフェイス(8m、5.10a、ボルト3本)
左のコーナー(5m、5.8、ボルト2本)
ベビーフェイス(5m、5.9、ボルト2本)



2018/11/18

Aburayama Kawa Crag

 This crag is only 30 min away from home!

We've met the developper today and it was nice. He showed us some bolts... he said it is 120 yen for one boult.

Center crack 5.10b PP  a lot of tension

5.9 face --> X too scary and too much finger power needed. I got a pump even in TR

For Topo visit here.




2018/11/17

恐怖心を羅針盤に

私は元々、あんまりクライミングでは不必要に、つまり高さそのものに、恐怖にかられるタイプではなく、三つ峠など自分の力量以下のルートでは、何が怖いの?程度の認識で、ハーケンもリングボルトも、別に怖がらずに使っていました…おそらくそれは無知ゆえの自信に見えたのでしょう。

師匠の青ちゃんを三つ峠に案内したら、「こんな支点を信用したらあかんよ」と言われました… みたら、それはでっかい懸垂用支点で、これを信用しないなら、どれ信用するの?!みたいなやつでした…。

でも、青ちゃんは歴戦の戦士だろうし…。 自分の意見と師匠の意見では、どちらが信頼性があるか?というと師匠のだろうし…。でも、それを信用しないなら、テラスから帰れませんよねぇって場所でした。

そこにはそれ以来行っていない…。会の先輩も全然連れて行ってというか、ついてきてくれなかった。(けど、都岳連もそこでやってるくらいだから、たぶん大丈夫なのではないかなぁ…)

一方、小川山が始まったとたん恐怖でした…。これは正しい恐怖なのだったと理解。

ラオスに行ったら楽しかったので、ラオスには、正しいボルト間隔だと楽しいのだということを理解するために行ったんだろうな~と。毎年、海外に行く人が多いのは、日本ではチャレンジするに値するルートっていうのは、少ないからなのかもしれません。日本の課題は、”みじかしい”のが多いので、日本の課題だけを登って、脱初心者するのは、難しいのかもしれないです。

今回学んだことは、”恐怖” こそが、身を守ってくれているということ&そして、その働きは正確であるようだ、ということです。

なぜなら、私は、今回三倉で、リードで取りついた入門クラックは、怖くはなかったのです… 50cm置きにカムをかませ、カムエイドで上がったので、立木に来た時点で玉切れになりましたが(笑)。それでいいのです。怖い時に、カムエイドで降りることもできるわけですから。 実際、小川山レイバックはカムエイドで降りたことがあります。あれも正確な危険回避でした。

菊池さんのクラック講習では、初心者はカムを50cm置きに噛ませて、サイズを覚えろと言っていました。私はまさに初心者ですので(笑)、それがやりたかったのですが、ビレイヤーがおらず、ここ数年は、実現していませんでした。なので、ビレイしてくれた先輩には大感謝☆

プロテクションを覚えてから、その次にムーブの習得へ進むべき、というのが、最初の師匠のS木さんの意見でした。今の時代は、先にムーブ、先にトップロープ、でゆとりを作ってから、外岩、ですが、そういう教え方ではない教え方でした。最初からギリギリ?(実はS木さんは、登攀はあまり上手ではありませんでした…)

お口直しに行った日向神でも、5.9も10Aも別に怖くはなかったのです。数か所、ボルトが遠いところはありましたが。アンカーについても、自分で触ってみて、まぁ、今回これを使って死ぬようなことは無いだろうと。

(ただし、ベストプラクティスとは言えないアンカーだろうということは分かりました。どのくらい危険なのか?は、神のみぞ知るですが、国際基準と照らし合わせて、良いものと言えないのは確かです。日本では訴訟になった場合、設置者側が負けることのほうが判例的に強いようです。)

なので、結局のところ、私は自分の恐怖心をきちんと判別して、自分で自分の身を守るということができているのではないか?と思います。

しかし、このようなボルトの状況にあるため、各個人が、使用するかしないかについては自己責任で考えないといけないこと、JFAが整備した岩場が少ないことなどは、きちんと言葉にして伝えられた覚えはありません。

あやふやなボルト支点の確認の仕方、あるいはあやふやなアンカーの確認の仕方を教わった覚えもない…。教えていないのに、身を守るのは自己責任ですってのは、責任取りたくても取れないでしょう。今はやりの自己責任と同じで、自己責任とは言うものの、本質は責任逃れの言葉になってしまっていますね。

きっと会の先輩や師匠の青ちゃんが三つ峠がきらいなのは、ペツルでないからでしょう…先輩にはハーケンやリングは、オブジェだ、とは言われましたが、それらのボルトを信頼するかしないか?その信頼できないルートを登るか登らないか?が、自己責任だとは聞いていません。結構、普通に、はいリードしてね、みたいなノリで、リードしまーすとやってきたと思います。今回はペツルでさえも、腐食するため、確認が必要と言うことでした。

自己責任論は、情報が対称であるときに成立可能な理論です。

ですので、私が後輩に言うべきことは、日本の岩場全体が、ボランティア運営のため、日曜クライマーレベルのホームセンターで調達したようなものもあるということ、それを使って登る場合、安全性は各自が確認し、安全だと自分が思える場合のみ、取り付くべきこと、そうしたことはトポには載っておらず、事前に自ら調べるべきこと、などを伝えるでしょう。

こうした情報…ボルトの安全性や、腐食、置かれている環境、終了点での注意点、必要なロープ長…などなどが、海外のトポには掲載されている…このことで、日本のトポが貧弱であるということが分かりましたが、日本のトポしか知らない場合、それをそのまま、うのみにしてしまうしかないかもしれません。

また、日本の文化的背景から、上の人の言うことを聞いていれば大丈夫、と思いがちですが、一方、”上の人”は、そこまで強い責任感は持っているわけではないようです。

そのような、あいまいな感じの中でクライミングを続けて行かざるを得ない訳ですが、大事なことは、判断のよりどころを他人ではなく、自分に求めることです。

そして、そのよりどころとは、恐怖、であると思います。

恐怖心こそは自分の身を守ってくれるもの。愛すべきもの。

人は恐怖にかられると必死になって学びます。英語も同じことで、のっぴきならない状況にならないと、話せるようにならないものです(笑)。

しかるに、どれくらいその人が英語が話せるか?というのは、どれくらいその人がのっぴきならない状況に耐えたか?という指針ということです。

クライミングも同じで、その人の悪さへの実力はどれだけ苦労したかということだろうと思います。

悪いところに強い先輩がいますが、さぞかし怖い思いをしたのだろうと(笑)

今回は私は、自分の危険回避能力について自信を深めました。

2018/11/16

Mt. Mikura@Hiroshima



Great place to combine with Miyajima and Genbaku Kinenkan.

Chowa no Gensou@ Mizugaki

Chowa no Gensou

Chowa no gensou 
50 half rope x2
Rack 0.5-5 or 6