クライミング場利用の認定試験を受けますが、その時に必要なので、クイックドローのセットを買いました。 ペツルのジンアクセスです。先輩たちが使いやすいと、おすすめの製品。
クイックドローのことをクライミングの俗語で、”ぬんちゃく”と言います。
この道具は、中間支点用です。
クライミングは一般に二人一組で登ります。片方が先に行き、残りは下でビレイする。先に行く人をリードクライマーといいますが、リードクライマーが落ちないように、とりあえずロープを仮止め的に支点に掛けるのに使うのがヌンチャクです。登りながら自分の身長分くらいづつ、ロープを掛けておくと、たくさんは落ちないですよね。そのためです。
なので、ぬんちゃくはリードクライミングをしなければ、基本的には必要ない道具なので、購入順序としては、後回しになります。
クライミングへ憧れが先行する人は、エイトノットも結べないのに、ずらっとヌンチャク持っていたりして・・・。これは恥ずかしいので辞めましょう。リードクライミングするようになったら、買いましょう。
■どのヌンチャクを買う?
ヌンチャクを買う必要は、すでにクライミングを始めて2か月後くらいから、感じていましたが、リード中にクリッピングのしやすさを考えられるほど、まだ余裕がなく、借りたぬんちゃくで、問題なかったのですが…
私の基本方針は
一回しか買わないのだから、手に入る、もっともよいものを買う
です。
登山用品は非常に高価です。が、そうそう買い換えるものではありません。なので、自分の命を守ってくれる道具ですから、ケチるところではない、というのが私の意見です。
ただ山の価値観の一つに、”プアな道具立てで登る”というものがあるのも知っています。登山はできるだけシンプルな道具で登るべきだという価値観があります。
大事なことは、つたなかろうが、おそかろうが、自分の力で登ることです。
また、昔の山やさんはカラビナ一枚で確保でき、そういう時代は落ちて死ぬ人はいなかったそうですが、確保器や下降器が登場した今は道具のセットミスで墜落して死ぬ人がいるそうです。
⇒ こちらのサイトを参照。
しかし、私が考えるのは、
究極のシンプルを追求したら、使い勝手の良い道具を少数精鋭で持つ、
に収れんするのではないか?ということです。質が高く、数が少なく、です。
というわけで、命を守るための登山用品はあまり価格は関係ない、ですが・・・とはいえ、安く買える店と高い店があれば安い店で買いたいですよね。
一般に ペツル製品は高額、ブラックダイヤモンド製品はエコノミーです。
クライミング用品である限り、必要になるスペックはどれも満たしていますから、どれを買ってもいいといえばいいので、分かれ目は、”使い勝手の好み”です。
■ 好み = 自分をよく知る
私は、握力が弱い。一般に男性の平均が50kg、女性の平均が30kgですが、私は左手18kg、右手28kgしかありません。 これは小さいころからで、体力測定で、クラスメートより顕著に低い値を示すのでした。 ジャンプ力とか踏み台昇降とか、平均よりいいのに・・・です。なので、自分の弱点として、長年付き合ってきています。 でもまぁ、一般社会で握力弱いからってあんまり問題になることはなかったのですが、クライミングでは大問題です・・・(><) 生死にかかわります。
ので、私にとって起りそうなアクシデントは、岩をつかめない、という事態です。
その恐ろしいシチュエーションでありそうなのは、ヌンチャクをつかむことです。
フリークライミングは言うまでもなく、何からフリーか?というと、道具からフリーと言う意味ですので、道具に頼らず登るのが重要ですが、落ちると道具に頼るでは道具に頼るほうがまだましです。
で、フリーなのにヌンチャクをつかんだりと、ちょっとズルすることをA0と言います。エーゼロ・・・、私はクライマーのプライドより、命を取りたいので、頻繁に発生しそうです。
そして保持力がないので、もともと少ない力は大事に使いたいので(省エネ)、クリッピングなどで無駄な力を使いたくない、ので、クリッピングのしやすさを重視。
≪私のヌンチャク選択基準≫
1)スリングが太くて握りやすい (細いスリングは握りにくい)
2)クリッピングしやすい
3)軽さ
4)価格
5)ブランド
あとは軽さがネックでした。 ヌンチャクは1個ではなく、5~10くらい使うもの。1個100gを5個、腰にぶら下げたら、500g。 というわけで、一番軽い68gのペツルアンジェだと、半分まで行かなくてもかなり軽くなります。
軽いヌンチャクは大概、軽量化をワイヤーゲートにすることで計っています。 片方がワイヤーのと両方がワイヤーのがあります。
ワイヤーゲートは、ロープが外れやすいという欠点が。さらにクリッピングもしづらい。
参考サイト
ワイヤーゲートは雪山でいいのですが・・・。
軽量化を考えると、ペツルのアンジェがありますが、これを先輩に行ってみたところ、口をそろえて「使いづらい!」と。現在のところ、もっとも高額なアンジェ・・・使いづらいのならパス決定。
というわけで、ジンアクセスになりました。
ヌンチャクは、カラビナの形状の他に、スリングがナイロンかダイニーマか、というのもあります。
長さですが、支点の遠さ次第なので、これは各種の長さを持つしかなく、最初のヌンチャクセットとしては市販されている標準的なもので妥協するしかありません。
参考サイト: http://www.yamanakama-sirius.org/oyakudachi/karabiner.pdf
■ ギアを買ったら取説をじとーっと見つめましょう☆
私は思うのですが、技術情報で一番信頼がおける情報というのは・・・ギアの取説ではないか?と。
ギアの取説、言葉はないのに、そのギアの使用で既に知られているリスクや、間違った使用はあらかじめイラストで描いてあります。
そのイラストを見て、理解するのは難しくない。 見て知った内容を、応用するのが難しいのかな?
以下はぜんぶアルテリアの ペツル ジンアクセスの取説から切り抜きです。PDFで資料は配布されているので、PDFから画像を拝借しています。
http://www.alteria.co.jp/download/pdf/ifu/M_ANGE_SPIRIT_DJINN.pdf
私が机上講習が必要だと思うのは、このように画像が必要だからです。山で絵を見て説明できない。
■ カラビナはメジャーアクシスでしか使ってはいけない
メジャーアクシスで使いましょ! |
■逆クリップしてはいけない
逆クリップはいけない |
逆クリップしてはいけないへGO!
■固定側を上(ボルト側)にしてはいけない
固定側は下 |
■ 凸では、岩角にゲートが当たり開いてしまうことがある
岩角にゲート |
■逆クリップは良くない例2
スリングのねじれ |
■ メジャーアクシスで使いましょう、の例
長いスリングのヌンチャクが必要な事例
長いスリングが必要な時 |
というわけで、クイックドロー(ぬんちゃく)については、そんなに覚えることが多いわけではない。
取説は、素晴らしい☆
私のジンアクセスは、スリングの剛性が高いので、捩じれるリスクは低いです。
捩じれるカラビナを持っている人は、クイックドローの向きについて、より注意深く意識的でいる必要がありますね。
← 細いダイニーマのスリングのヌンチャクは
よじれる
というリスクがある。
でも、アルパインヌンチャクなんて、カラビナとスリングを結束しただけでぐるぐるよじれるのですから、
使う場所、状況に合わせて使う器具を選択する
のが良いのかもしれません。
立木 ⇒ スリングとビナ
ハンガーボルト ⇒ ヌンチャク