2023/05/19

【クライミング指導法】昭和のスポ根からの脱却

 こちらは、バレエの教授法の愛先生のポッドキャスト

https://youtu.be/xupGFajouLw

題して、スポ根からの脱却。

私が思うには、昨今の若い男性クライマーは、スポ根とは真反対のようである。

まず、血のにじむ努力して頑張る、ということはダサくて流行っていないような気がする。

■  

1)新人時代にまわりにサポートしてくれる人がいない

2)クライミングすることが自分を守ること

 ・失敗したら怒られる

 ・賞が取れなかったら怒られる

 ・泣いたら怒られる

 ・怪我をしているとバレたら自己責任と言われ、無能の烙印を押される

=PTSD

ということで、ダンサーには、自虐系トラウマを持つ人が多いそうですが、これってまんま、クライミングでは?

バレエは大人のレッスンに行けば、誰もコンクールで優勝!とか言っていません(笑)。

ジムでは、なんか知らないけど、しっかり競争社会を形作っていますが、そんなのに大人が参加しても…

■ 教師が加害者

バレエでは、まぁ大体先生が加害者ですね(笑)

というのも、先生がそういう風に育ったから…

  スポ根=成功体験=教え子にもスポ根

という流れで、次なるスポ根が作られる。

クライミングでも同じで、指導する側が加害者。

しかし、指導する側が前提にしている、

   18歳男子

という体力がすでに前提でなくなり、

   小川山レイバックは、入門ではなく、上級…という扱い(笑)

■ え?!上級?!

えーじゃ、小川山レイバックが1回目から、マントル以外は、登れていた私って結構上手だったって意味なんじゃないの?

昇仙峡のワイドも2度目でRPだし… ジャムジャム84の3p目核心だって、2度めには登ったんだけど…

というので、なんか… 色々、考えるよなぁ。

誰かが、四角い私を 丸い穴に当てはめようとしていただけだよなぁ?

 



【改革プラン】新人教育漫画(案)

■(案) 

研修医なな子 →  新人クライマー ケン

で転用してみた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー
K大学医学部附属病院
ここでは春になると大学卒業したての研修医たちが、いかにも気負った様子でうろつきます。
「あ、山田先生」
「お、こりゃ石橋先生」
(お互いに先生と呼び合っているのは間違いなく研修医)
「あ、先生たち、ここ片付けてね」
「はいっ」
でも、まだ、ほとんど役にはたちましぇん。
シーン:先生っ!血圧が70に下がっていますっ わかったっ
「あ、先生たちー」「となりの患者さんの点滴見てやってねー(見るだけでいいから)」
「はい」
そして何の期待もされていましぇん
さて、医者の世界は完全な師弟制度。
「内田先生は、鈴木先生と山川先生をお願いします」
「…はい(ーー;)」
研修医は、まず最初人ベテラン指導医に振り分けられて、1から10まで習います。
研修医は、まだ役には立たないが、何をしでかすか分からないので、目は話せない
指導医にとってはうっとーしこったが
自分たちもそーやって育ったわけで…
 
ーーーーーーーークライマーバージョンーーーーーーーー
山梨県三つ峠山 
ここでは春になると、ロッククライミングに入門したての新人クライマーたちが、真新しいギアをじゃらじゃらと不必要にぶら下げ、いかにも気負った様子で先輩クライマーの後をついて歩いています。
 
「あ、山田さん!」
「お、こりゃ石橋さん!△△に入ったの?」 (←60代の人:最近の新人クライマーは、新人って言っても幅広い)
「山田さんは、○○会ですか、張り切りましたねぇ」 (ヘルメットに名前と会名が書いてある)
 
(ピカピカのギアをじゃらじゃら腰に下げて、アークテ○クスのウエアを着ているのは間違いなく新人さん。ベテラン山やは服にお金をかけない。ワークマンが定番)
 
「あ、君たち、ロープはループじゃなくて、振分けでまとめてね」(ループにするのは縦走用です)
「はいっ」
 
でも、まだ、ほとんど役にはたちましぇん。
 
シーン:あっ、リーダーっ!末端にストッパーノットが結ばれていませんっ わかったっ
 
「あ、新人さんたちー」「パートナーのハーネス、チェックしてやってねー(見るだけでいいから)」
「はいっ」
そして何の期待もされていましぇん。
 
さて、山岳会の世界は、完全な年功序列制度。
 
「内田は、鈴木と山川を頼んだぞ」
「…はい(ーー;)」
 
新人は、まず最初、先輩クライマーに振り分けられて、1から10まで習います。
新人は、まだ役には立たないが、何をしでかすか分からないので、目は離せない
先輩山やにとってはうっとーしーこったが
自分たちもそーやって育ったわけで…
ーーーーーーーーー

2023/05/18

【クライミング心理学】見捨てられ不安 = 登れるもんなら登って見ろ

 益田先生のライブが昨日は秀逸だったんだよなぁ… 

テーマは、”見捨てられ不安”、について。

インスボンなどで、パートナーが、明らかに心理劇を演じていて、私に”捨てる捨てる”と繰り返すので、なんかなーなことが度々合った。

振り返り。

■ ラオスで急成長… 日本では成長できない

一回目のラオスの後、2度めのラオスは、いきなりクライミングが急成長した。 

というのは、なぜか? ラオスのクライミングは、日本のど根性系クライミングとは話が違うから。

私は

 外岩で成長したい

と思っており、それが可能なのがラオスで、日本の岩場だと、全く不可能。というのは、日本の岩場は、

 多くの人に登ってもらいたい

という発想では作られておらず

 おれの課題、登れるもんなら登ってみろ

と基本的に、挑戦&挑発モードで、人格に例えるなら、ジャイアンみたいな課題づくりが基本なんですよね。

クライミング業界に詳しくなり、なるほど、エイドクライミングがスタートで思考停止しているから、そういうボルトの配置になったんだね、と分かるようになったが。

で、ラオスで開花した私のクライミング。

■ アンハッピーな師匠

ところが、相方はアンハッピーだったんですよね、私がクライミングで上達したことが。

日本の岩場では、身長が物を言うわけで、そういう岩場では、男性はすべからく152cmの女性に対して優位に立てる。

だからじゃないかと勝手に憶測しているんだが、都合の良いパートナーがほしいんだろうと。

捨てる捨てると連呼され、うんざりモードになってしまった… 

相方は、どうも、見捨てられ不安パニックになっていたようです。

60代の男性でも、未だに見捨てられ不安が払拭できないというのは、たぶん、精神科にかかるくらいな出来事だと思うのですが…。本人は自覚がないようで、私が悪いと思っているみたいでしたが、後輩が楽しくラオスで登った程度のことで、見捨てられ不安パニックになるのは変。

そういう人の心はこうなっていたのか…というので、とっても参考になった。

■ 母

思えば、私の母は見捨てられ不安パニック型だったかも…。

というのは、母は、ASD受動型みたいだったんですよね…。なので、私は、たくましく育ちましたが、親が自閉症だと、子供は補填するような性格を、生育過程で身につけると思いますが、それは、その子の本当の自己ではない。

昨日、通りで、スキップしながらふらふら歩いてる幼稚園の女の子がいましたが、あらー私みたいな子がいる、と思いました。私も、いつも登下校は一人が好きな子供でした。かと言って、寂しいわけでなく、踊ったり、歌ったりして、一人でいるのが基本楽で好きみたいな…

私も小さい頃は、ちゃぶ台で踊っていたそうです(笑)

すでに幼年期に人生の荒波が降りかかり、ちゃぶ台で踊っている場合じゃない!となりましたが、ちゃぶ台で踊る子供が、親を慰め、支える子供になるわけですから、ギャップ大きいですよねぇ?

ということで、大人になってピンチが去ったら、踊って歌い、遅れを取り戻したいわけです、私のインチャは。

そんなところに、おれを見捨てないで、みたいな見捨てられパニックの人が来たら、はぁ?ってなることが分かるでしょう…

こっちはやっと、謳って踊って、楽しいー!みたいになっているところで、えーん!と泣かれたら…

アクセルか?ブレーキか?で言えば、ブレーキでしょう…。

しかし、そういうことも、付き合ってみなければ、分からないわけで。

■ 基本 みんなで楽しく登るのが好き

私は、1対1だけでのぼり、他の人はいれない、みたいなのは、あんまり好きではなく、そこらに、ただいただけの人とも登って問題ないタイプです。

公園に行って知らない子とも遊ぶタイプでした。あんまり人を怖いと思っていない。

それで何度か痛い目に合っていますが、あんまり懲りていない。

子供の頃は、アフリカの難民問題など見て、日本に連れてきてあげたらいいのに・・・と思ったりしていました。

日本的な、家族だけは大切にするけど、公共のマナーなしみたいなのって余り好きでない。

家族って言うより、気の合う仲間を大事にします。

【本当にしたいこと】体力核心

 ■ ホメオパシーのレメディ適用書

 昨日は、レメディの処方相談を受けた。豊菌グルトの掲載をされていたブログに相談に乗ります、という記載があったので、ピンと来て、相談。
ちょっと前にも適用書を出してくれる人を探したけど、見つからなかったんですよね… 今回は、スムーズに繋がれた。

あんまり構えなくていい先生で、素直に話せたような気がする。

■ 海外バムについて

で、驚いたのが、なんにも制約がなかったとしたら、何をしたいか?という質問に自分が
 

 海外クライミングバムをしたい
 

と答えたこと。そうだったのか、私って感じだなぁ。

ただバムって言っても、あちこちに車で放浪して回るのは、私には合っておらず、一箇所に定点で登るのが合っているんだよなぁ…。

というのは、若い頃、カリフォルニアには住んでおり、レイクタホにデイビッドの父親がハウスボートを持っていたので、出かけたりしたんだが、アメリカって大きな国なんですよね。運転だけでクタクタ系です(笑)。

もともと、子供の頃から体力がない系なので、海外に行くにも同じところにずっと泊まっているってタイプの滞在法でした。だから、山が好きなんだと思うんだけど。

登山ってテント泊縦走でも、店じまい早いですよね、4時で今日は終わり、で。

■ 必要なのは用心棒

クライミングの定点旅行の大問題は、クライミングに行く先がアメリカやヨーロッパの先進国で価格が高いことです。


無料で泊まれるカウチサーフという仕組みもあり、私はホストはこなしており、ゲストを受け入れ経験は楽勝で貯まるが、不公平なのが女性の立場。自分がゲストになって女性一人で見知らぬ人の家に泊まるのは、さすがの私でもリスクが大きい…ので、一人で行くなら、そこはお金で解決せざるをえない。


一緒に働きながら海外放浪をやってくれる男性クライマーがいれば、やはり用心棒として便利なんだよなぁ。

しかし、英語も話せず、私に連れて行ってもらいたい、と思っている人だと、用心棒どころか、ただのお荷物だし…。

というので、相方は悩ましいものなんである。女性の同じような人がいたら最強なんだがな。

スコーミッシュは今年は足の回復が間に合いそうにないかもしれない。今円安だが、円高局面になるのかなぁ…少し待ったら。

どうしたもんだか。

ラオスは行きたいと思っているが、その後はスペインの友達のところに行こうかなぁ…。

どちらにしても、体力という資産を大幅に失っていると思われる今。体力戻ってこないかなぁ…

 はちみつ栄養療法、がんばります。

2023/05/17

クライマーの心を伝える文章とは何か?クワンデ北壁vs〝Romance Dawn〟5.14- FA

■ 若い人はアルパインもフリーも指導者がいない

最近のジム上がりの新人クライマーはクライミング技術といえば、ムーブのことだと思っており、クライミングを理解していない。

のは、クライマーが書いたクライミングのことを読まないからではないか?と思うんだが…

アルパインクライミングでは、山行報告書の習わしで、文章を書くのが当然の習わしになっているが、フリークライマーは、登攀そのものの時間的にも短いだけに、その登攀の

  個人的な価値

について書くことがすくない。そもそも書かれたものが少ないから模倣もし辛い。だから、若いトップクライマーも登攀について語らない。

だから、読む人も少なく、後進の人が登攀の実際のことが分かるようにならないんではないだろうか?

以下、一流のアルパインクライミングと一流のフリークライミングの記録を、事例として研究してみたい。

■ 事例1 アルパインクライミング クワンデ北壁

https://koyaken4852.hatenablog.com/entry/2016/11/30/165211  より引用

赤字当方。

ーーーーーー

  翌日はお日様がすっかり昇り切ったころの出発となる。ここから第1の核心と思われる右上するジェードルに入っていく。僕がジェードルの入り口までロープを延ばす。双眼鏡で偵察したときはジェードルの下部がこれほど薄氷だということが分からなかった。登れると思えば登れそうだがプロテクションはほとんど取れないのでミスは許されない。傾斜は70~75度くらいだろう。相方が核心に入る。「悪っ」と言いながらジリジリと登っていく。カナダで鍛えた薄氷登りのテクニックを見せてくれる。“よくあんな所を登っていくわ”と僕にとってはひとごと。薄氷の部分さえ抜けてくれれば僕はそのあとの厚く張った氷をリードするだけだ。

 今日の行動食はスニッカーズだ。スニッカーズは何度食べてもうまい。3分の1を二口で食べ、3度に分けて食べるのが僕流の食べ方だ。こうすればたくさん食べた気になるし、身体にたくさん吸収されているような気がする。口から入れたものはなるべく吸収して出さないほうが効率がいい?

 “くそっ、あんな所で切りやがった”まだロープは余っているのに上部に見えるさらに険悪な薄氷の下でピッチを切った。僕がビレー点に着いたら一言、相方が「お前にも面白いところ残しといたで。」僕も一言「有難う。」“仕方がない、行くか”当然プロテクションは取れない。岩から1箇所と気休めにスカスカ氷に半分しか入らないスクリューを決める。

 ここからはピックが1cmほどしか入らないパッチワーク状の薄氷だ。クランポンを置く氷がミシミシと音を立てる怖くない。落ち着いている。5m、10m取れない。途切れ途切れの厚い氷になり、気休め2号を放つ。次第に氷は厚くなり第1の核心は抜けた。ジェードルは計4ピッチ、上部2ピッチは氷が厚く快適な登りだった。さらに1ピッチ延ばし岩の下にビバークをすることにする。登攀を開始するのが遅かったため6ピッチしか進むことができなかった。お互い「今日のピッチは難しかったからしゃあないわ。」と慰めあう。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

・オブザベして、そもそも、自分が登れるかどうかを判断するものだ、ということがわからないと文章の意味が味わえない

・下部のほうがより危険で落ちれないことが分かっていないと味わえない

・傾斜70度=初心者でも登れる=難易度は、リスクと無関係だと分かっていないと味わえない

・薄い氷=危険と分かっていないと味わえない

・ピッチを切る切り方にクライマーの考えが現れるものだと知らなければ味わえない

・悪い=リスク=面白い が分かっていないと笑えない

・ ピックが1cm=かなり入っている方…女性のわたしだとアックスを振り下ろす力が弱いので、1cm入れば上等です。もっと入らなくても登ります。

・5m、10mのランナウトが悪いと分かっていないと味わえない 

・気休め2号 プロテクションの意味が分かっていないと味わえない

・ 6ピッチしか 普通は20ピッチくらいが楽勝だと分かっていないと味わえない

大事なことは文章から、

 リスクテイクのあり方がリアルに伝わってくる=手に汗握る

ってことで、そのリスクが分かるには、ある程度、知識と経験が必要です。

トップクライマーでも5m、10mで緊張している=つまり、死を意識している

のに、一般市民クライマーに40mランナウトを期待していたらしいんですよね、九州では…(笑)。今は、20mランナウトくらいだそうですが、

 市民が、生涯スポーツとして楽しむのに適したリスクかどうか?

議論が待たれているでしょう。なんせ、

 ”1億総おれもいつかはピオレドール賞”だった時代

は、とっくに終わって、

 ”今どきの山や”は、結婚して子供も作る(驚き)

もとっくに終わって、”今だと、

 おれ、在宅勤務なんでジム行くことにしました。憧れはマルチでーす(はあと)

って人が新人なんですよ… その時代に

 お前も20mランナウトに燃えろよ

って(汗)。

■ 事例2 フリークライミング  Romance Dawn 5.14A

 Yuta KashikiのFB投稿より引用。赤字当方。

ーーーーーーーーー

 2023.4.27
8年前に自らボルトを打った地元広島:三倉岳のプロジェクトが登れた。
もともとリングボルトが打たれ、基部はキジ場と化していたこの壁は、フリーでまともに試みた人がいないにも関わらず長年プロジェクトと言われていた、そんなラインだった。
さこそ全長15m弱程度だが120°は優にある花崗岩のフェイスは日本では稀有な存在で、プロジェクトとして文句無しのビジュアルだった。
実際に上からチェックしてみると奇跡的にホールドは繋がっていてトップロープながら曲がりなりにもムーブを起こす事が出来たのでボルトを打つ事に決めた。
だがほどなくして仕事の関係で広島を離れる事になった。その片道500kmの現実に事実上通ったり、自分の好きなタイミングやコンディションでトライする事が難しい環境に、本当に終わらす事が出来るのか自信は全く無かった。だが、常に頭の片隅にこのプロジェクトはあった。
内容はショート系のハードルート
離陸した瞬間からボルダーグレードで2〜3段程度の動きから始まり、息つく間も無く縦に距離感のある人工壁のようなムーブが続く。そして、レストポイントを挟みラストはランナウトした状態でシビアなムーブをこなしてトップアウト。終了点は源助崩れのテラスにある木でよくみんなが荷物を広げている場所だ。妥協点は最小限、自分で言うのも憚れるがコンパクトながら素晴らしい内容だ。
しかし、その恐ろしく難しく感じていたこのプロジェクトだったが、登れる時はあっけなく、澱みなく終わった。月日が経ちどうやら少しは強くなっているようだ。思いがけず突然に終わってしまったのでグレードもはっきり言ってよくわからなくなってしまったが、これまで登ってきたどのショート系の5.13台よりも別次元に難しかった事ははっきりと言える。実際はもっと簡単かも知れない。でもこれから色んなクライマーにトライされ登られ、議論して色んな意見が出ればそれで良いと思う。
昔は自分のクライミングの為だけに通っていたこの山も今では仕事で訪れる事の方が多く、付き合い方も変わってきた。だからこそ、その逆境の中でどうプロジェクトと向き合っていくのか、チャレンジしていくのか考えさせられた気がする。そして苦労して乗り越えられた今、クライマーとしてまた少し成長させてくれたと思う。今も昔も自分のクライミングの原点であり、常に厳しさを教えてくれたホームの岩場、これからもお世話になります。だけど、この自己最難クラスの登攀がこれからのクライミング人生の夜明けであるように

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・フリーで長いこと登られていない、見捨てられたルートの発掘 

・長さより、傾斜や難しさ

・ビジュアル

・奇跡的にホールドがつながっている

・課題との付き合い

・登れる自信はなくても頑張る

・ハードかどうかが問題で大きいかどうかは問題ではない

・いろいろなクライマーにトライされ、登られることが価値

・人的成長

・厳しさ、苦労 でも 自己最難

■ アルパイン&フリーの比較とまとめ 

アルパインの価値          フリークライミングの価値

大きさ&悪さ              難しさ&見た目

ピッチ数                 NA

スピードの速さ           見ているだけも含めた長い付き合い 

リスクによって山と向き合う      難しさによって課題と向き合う

核心は悪さ              核心はムーブがつながるかどうか 

隔絶                 みんなに登ってもらいたい

逆境はスノーシャワー         逆境は仕事

本当に向き合っているのは自分     本当に向き合っているのは自分

おれはこのリスクを取れるのか?と向き合う おれはこの難易度が登れるのかと向き合う

■ まとめ

いかがでしょうか?

フリークライミングは、特に前提知識がなくても、クライマーが向き合っている対象がわかりやすいと思うのですが、アルパインクライミングになると、ある程度の知識がないと、そもそも書かれている文章を読解することができないのではないか?ということが伺えます。

そもそも、文章を通じて、

 自分が何と向き合ってきたか?

ということがよく分かる文章が、クライミングに関する文章としては良い文章と言えるのではないかと思いますが、そこには、

 価値観

が当然現れており、アルパインクライミングとフリークライミングでは、価値観は全く違います。

アルパインの人は、壁がデカくないから、と言ってバカにしたりしますが、小さくても難しい壁は、日本にはいっぱいある。

一方、フリークライミングの人は、ムーブがつながる、の意味が理解していなかったりします… チビにはムーブ繋がりませんよねぇ? 

余談ですが、小鹿野で初登と違うホールドだからって岩のホールドが加工された事件が合ったようですが、初登者の自分に使えないホールドを女性や子供を含む他の人が使えることは普通のことで、リン・ヒルの著作にも、手の大きいクライマーが使えないホールドを使ってリンが登ったことが書かれています。

つまり、課題の岩が奏でる歌は、身長別だったり、手のサイズ順だったり、ってことです。

そんなのビレイ中にクライマーを見ていれば、分かるようになると思うんだけど…。

人工壁をクライミングと教えてしまうと分かるようにならないかも知れませんね。

 

一般の人バージョン

ジャム中のわたし

 

フリークライミングは、ボルトルートで覚えるより、トラッドで覚えるほうがやっぱり安全と思う…



【行動プロテクション】5.13登れても、トラッドの5.9は登れない=Ⅵで落ちる

 こちらの記事の内容からすると、

 5.13が登れるクライマーはめったなことでは、Ⅵでは落ちない

は、

  過去の認識

であり、最近のクライマーについては、

 現代的認識 = グレードで、行動プロテクションは判別できない。

が正しい認識のようですね。

もちろん、若いアルパインクライマー志望君が、5.13をまずは目指す、というのは良いことだと思いますが。 

高校生を見て、子供は子供だ、と思わない大人はいないと思いますが、ジム上がり新人男性は、高校生と同じです。

★★★ジムクライミング時代の、クライマー三段論法!★★★

 1)高校生は、まだ子供である

 2)ジム上がりの新人クライマーの行動様式は、高校生と同じである

 3)したがって、ジム上がりクライマーは、何歳であっても、まだ子供と同じである。

 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

基本的に、まず危険から身を守るすべを身につける前にグレードだけ上がっていって、

 ちゃんとした自立したクライミングの理解ができる前に、みないっちょ前気取り

になっている、っていうのが問題だと思う。


 

2023/05/15

【行動プロテクション】注意義務 …新人にも、高校生にも

山岳部新人高校生と同じ扱いをクライミングジム上がりの初心者クライマーにも適用すべき

なんじゃないだろうか?

■登山事故の凡例

https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/images/contents/syusai/2018/text/text1-2.pdf

より引用  赤字は当方。

高校生と同じ扱いを、

 クライミングジム上がりの初心者クライマーにも適用すべき

のような気がするんですよね。基本、自信のほうが過剰のような気がします。

それは

 年齢によらず、男性新人全員に適用できる法則

のような気がする。 

 ジム上がりクライマー=大人だから自己管理できる、という前提事態が間違っている、

のでは?

ーーーーーーーーー

(2)指導者が負う注意義務の内容
高校の山岳部の指導者が負う法的な注意義務の内容
は具体的な状況に応じて異なる。以下に裁判になった
ケースをあげる。
① 1952 年(昭和 27 年)北海道の芦別岳で高校の山
岳部の顧問教師が6人の生徒と登山中に,登山ルート
を間違えて傾斜が 50 度以上ある岩場に直面し,そこ
を登ろうとして2人の生徒が滑落して死亡した。
裁判
所は引率していた教師に,危険を察知して引き返すべ
き注意義務があったと述べた(札幌地裁昭和 30 年7
月4日判決,判例時報 55 号3頁)。
生徒に岩登りの経験がなく,教師は「岩場を登るの
は無理ではないか」と考えたが,「大丈夫だ」という
生徒の意見を尊重してその判断にまかせたことが事
故につながった。教師が生徒の意見を尊重した点は,
2017 年の那須の雪崩事故の状況に似ている。那須の
事故では,尾根に出たところで引率教師が引き返そう
としたが,生徒が「登りたい」と言い,教師がそれを
容認したことが事故につながった。
生徒が登山の意欲に溢れている場合には,生徒の判
断は危険性を軽視しがちである。
安全管理については,
判断を生徒に任せるのではなく指導者が判断をしなけ
ればならない。指導者は,常に自分が安全管理できる
範囲を自覚し,判断に迷う場合や判断に自信がなけれ
ば,行動を中止すべきである

② 1983 年(昭和 58 年)高校の山岳部の沢登り中に,
部員の生徒(1年生)が徒渉に失敗して溺死した事故

がある。この登山は,教師が同行せず,生徒だけで企
画されていた。沢のレベルはやさしかったが,亡くなっ
た生徒が疲労し,沢で転倒して流されたことが事故に
つながった。裁判では,計画段階の安全管理に問題が
なく,顧問教師の注意義務違反はないとされた(京都
地裁昭和 61 年9月 26 日判決,大阪高裁昭和 63 年5
月 27 日判決,判例タイムズ 672 号 203 頁)
この種の事故は,登山計画の段階の安全管理だけで
防ぐことは難しい。縦走登山中の登山道からの転落
故なども,登山計画の段階の安全管理だけで防ぐことは
難しい。この種の事故を防ぐためには,指導者が登山
に同行し,登山中の生徒の疲労の程度や現場の状況に
基づいて事故の危険性を判断し,適切に対処する必要
がある。指導者は生徒の部活動に常に立ち会う義務は
ないが,事故を防ぐ観点からいえば,危険を伴う登山で
は指導者が同行して現場で安全管理をする必要がある。
指導者に生徒の登山に同行して安全管理できるだけの
自信がなければその登山を実施すべきではない。指導
者が同行せず,生徒だけで実施する登山は,危険性の
低い登山に限るべきである。
③ 1994 年(平成6年)7月の朝日連峰での山岳部
の登山中に生徒が熱中症で倒れ,死亡する事故が起き
た。引率教師は,登山中に動けなくなった生徒の冷却
措置をとり,テント内で休憩させたが,すぐに救急搬
送の手配をしなかった。裁判所は,引率教師が熱中症
の生徒を直ちに救急搬送しなかった点に注意義務違反
を認めた(浦和地裁平成 12 年3月 15 日判決,判例時
報 1732 号 100 頁,判例タイムズ 1098 号 134 頁)
登山計画を立てる段階で熱中症の可能性を想定し,
安全管理計画を立てることは必要だが,それだけでは
登山中の熱中症を防ぐことはできない。引率指導者は
生徒一人ひとりの登山中の状況を観察して,適切に対
処することが必要である。
登山に同行する教師は,「定期的に水分補給や休憩
をしているので熱中症になることはない」「この程度
の気温では通常は熱中症になることはない」などの思
い込みを捨てて,現実の生徒の状態を観察し,熱中症
の兆候がある場合には速やかに適切に対処すべきであ
る。まして山の中では,すぐに病院に収容できるわけ
ではないので,疑いを持った時点で対応を開始し,悪
化する前に救急搬送の手配等を行う必要がある。結果
的にはそこまでする必要がなかったというケースが多
いと思われるが,特に学校での活動では万一の事態に
備える考え方が必要である。
④ 1985 年(昭和 60 年)山岳部での活動ではなく,
高校の学校行事として行われた登山中の事故のケース
であるが,生徒が六甲山を登山中に登山道で生じた落
石を受けて死亡した事故がある。この登山は教師が同

行せず,生徒らだけで実行されていた。裁判では,教
師が負う注意義務の範囲が問題になったが,高校生は
一定の体力や判断力があり,教師は登山道で生じる落
石事故を予見できなかったとして,教師の注意義務違
反が否定された(神戸地裁平成4年3月 23 日判決,
判例時報 1444 号 114 頁,判例タイムズ 801 号 208 頁)
高校の山岳部の活動でも,登山道で生じる落石事故
を計画段階で防止することは難しい。指導者が登山に
同行していても落石事故を防止することは難しく,指
導者に注意義務違反が認められないことが多いだろ
う。ヘルメットを着用しても,すべての落石に効果が
あるわけではない。落石事故を確実に防ぐ方法はない
が,落石に対する警戒を常に怠らないことが,事故の
リスクを低くすることにつながる。 

2023/05/14

【行動プロテクション】山ではなく、あなたが危険

■ EnjoyClimbing の文化

九州=Enjoy Climbing文化貧困の地、

なんだが、これは土地に由来するカルチャーによる、呪縛、であると思う。

理由1:山梨で、トップクライマーなどと登って、一般的なクライミングカルチャーを身につけたはずのA木さんも、もともとが「○○で一番死に近い男」と言われて喜んでしまうタイプだったからかもしれないが、「敗退ロープなし」のリスク(というより愚かさ)の意味がよく理解できないようだった。

理由2:御坂時代に、九州で5年登っていた、と言っていた自衛隊の男性がフリークライミングのルートを全部Aゼロで登るので、は?と謎だったが、その人は、本州に行って、きちんとしたクライマー教育を受け直して、今ではまともなクライマーになったそうだ。

理由3:こっちでは、米澤さんと小山田さん、長崎のクライマー、樋口先生の一団以外、まともな感性のクライマーに会ったことがない。どの人も、まずは、見かけだけのイケイケ自慢、がベースにあるようで、閉口中。分かっていないことを分かっていないように思われるが、指摘すると怒り出す。例:終了点ロープ直がけがローカルルール、子供にヘルメット被せない、5.9でイケイケモード、間違ったビレイ、支点ビレイ

理由4:指導者の頭の中も、古いようだ。例:M8カットアンカー、水平2点打ち終了点、支点ビレイ、残置で本ちゃん。オリンピックのビレイで外岩。

というような理由で、そもそも、技術的な理解が不足しているというよりも、

 リスクテイキングの仕方、

が間違っていると思う。

■ トレードとの比較

例えば、信用取引は、レバレッジを掛けることができる。

こうだ。25倍のレバレッジなら、100万円の投資を4.5万円で行うことができる。

1ドル100円が、101円に動いたら、100万円は、101万円になり、1万円の収入を得ることができるが、原資は4.5万円だから、4.5万で1万円の収入を得たことになるという取引だ。もちろん、逆も起こる。

つまり、100円が99円に下がったら1万円の損失、98円に下がったら2万円の損失。95.5円以上に下がれば、4.5万円がゼロになる。94円だと、追証が発生して、1.5万を入金しないといけない。

かりに、150円になれば、4.5万円で50万円の利益がえれるが、50円に下がれば、45.5万円の損失だ。

このようなケースで、怖いのは、レバレッジだろうか?いや、

 レバレッジ=怖い、

という考えは、間違っている。

レバレッジが怖いのではなく、方向性に確実性がないまま、賭け事に出る姿勢が怖いのである。

この場合は、円が上にブレるか、下にブレるか、50:50の場合は、掛けごとである。

しかし、90%で必ず上がると分かっていたら、それは賭け事だろうか?今日、降水確率が90%ですよ、と言われた日に、傘を持っていかない人がいたら、それは分かっていただろ!と言わないだろうか?

同じことが、クライミングに言える。ルートの長さが25mのときに、50mロープではすっぽ抜けが起こることは、予め分かっている危険だ。

50mロープ一本で登っているときに、ピッチを2つ繋いでしまえば、ロープが足りなくなるということも分かっている危険だろう。

いくら、5.13がジムで登れても、クラックの経験値がゼロだったら、ヨセミテで、いきなりリードで取り付くのは、まぁ、誰にでも結末が見えている愚かな選択肢、だろう。

しかし、90%で晴天というときに雨が降ったら?それは、仕方なかったね、と誰でも言うだろう。ジャンボさんの事例はそのようなものだと思われる。 

愚かである、幼稚である、というのは、雨が降ると9割わかっているときに傘を持たないで出かけるようなクライミングのことであり、それは、リスクテイキングとは言わない。

クライマー本人に起因するリスクがある。それは、

 そうしたリスクについて 考えることを面倒くさがる習慣

である。思考停止は、クライミングにおいては、それだけで、リスクオンで、いつ何時、大暴落…逆方向への動き…を起こしてもおかしくない、ということだ。

■ 事例

以前、アイスクライミングに行ったときに、登っているクライマーの落氷が当たる場所にたち、新人のわたしと相方に、アックスを使った支点づくりを指導しようとしたクライマーがいた。自分は先輩だと自認し、先輩風を吹かせてくれた次第だが、そこに立っていたために、ラクが当たって、ヘルメットが割れた。これは、アクシデントだろうか?

いやちがう。そもそも、ラクがあるところに立ってはいけないという、基本を学びそこねたそのクライマー自身がリスクなのである。

いくら、教えてあげたかったから、という心理的な理由があったとしても、アイスクライミングの基本を学びそこねている、という事実が覆ることは無い。

ラクがあって当然のアイスの登攀中のフォールラインに立たない、

なんて、クライミングに行った初日で教わる。むしろ、教わらなくても、勝手に分かるようになるようなことである。

しかし、最近の若い人は、なにもかもを言語化しないと、分かるようにならない。

日本でもハイコンテキスト文化が終わりつつあり、ローコンテキスト文化への移行中であるため、察するという能力が低下してためだ。

これは、問い、を立てることで、思考にエンジンがかかり、思考停止を辞め、みな考え方をマスターすることができると思う。

■ 人的危険リスト

さて、このような理由なので、ローコンテキスト文化による、ハイコンテキスト化が、今、求められていることだ。

以下は、クライマー自身に起因している危険である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・登ろうとする山の事前の研究や情報の不足  → 慢心
・トレーニング不足 → 怠惰
・不良な健康状態での入山 (高齢になっても山を保守的にしない等)
・装備不足や装備を持っていても、それを使うための技術の未熟さ → 怠惰
・ずさんな食糧計画 
・体力や技術がともなわない登山ルートの選択(例:白亜スラブ)
・生活技術や幕営技術の未熟さ
・ナヴィゲーション技術の未熟さ
・健康管理に関する知識の欠如
・天候判断の知識不足
・リーダーシップやフォロアーシップの欠如

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

ハイキング(一般登山)でも、無謀といえることはよく起こる。たとえば、心臓病に持病がある人が、数日の日程で、薬も持たずに、ヘリも飛べない、隔離された山、例:北海道や南アルプス深南部など…に入るなど。

他にもあるかもしれないが、とりあえず、これらを当てはまるかどうか?が、事故時に検証されるべきだと思う。

■  ジャンボさんと佐藤ユースケさんのケース

昨日、ジャンボさんの遭難報告書を読んだ。

https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/images/contents/syusai/2020/tozankensyu.vol35/tozan35_3-1yokoyama.pdf

同時懸垂下降でのすっぽ抜けの事例だった。

これは、ジャンボさんの人的リスクだろうか? ちがうだろう。

すっぽ抜けと言えば、馬目さんも懸垂でのすっぽ抜けをしているし、花谷康弘さんも同じだ。

スピードアップのためにストッパーノットを省略する、というのが、一流クライマーの流儀になっていて、そのためすっぽ抜けリスクは引き受けた上での登攀ということになっていると思われる。それだけ、現代のクライミングが

タイムトライアル的

ということだ。

一方、一般クライマーつまり、EnjoyClimbingのクライマーには、そんなタイムトライアルは必要ない。

時短は、追いかけるものではなく、クライミングを続けていれば、時間の方が勝手に短くなり、勝手にかからなくなって行くものだ。読図が上手になれば赤布が追いかけてくるようになるのと同じである。

■ 方向性の間違ったトレーニング(マルチに行きたいのにショートでグレードだけを追いかける)

ところが、マルチに行きたいクライマーが、マルチの手順を踏まずに、日頃ゲレンデクライミングを繰り返していると、その手順は経験値として積み上がっていかない。

例えば、ロープをまとめる速さが生まれてこない。ロープはロープバッグに詰め込むだけだからだ。(ロープバッグに入れておくにも、上下を不必要に返さない、返す場合もそっと返す、などと工夫が必要)

結局、ショートのトレーニングを何回重ねても、マルチに行くための、経験の土台が築かれない。ので、ショートしかしないのに、なんでマルチに行きたがるんだろう?とわたしなどは思う。

マルチに行きたい人はショートでも、リード・フォローで登って、セカンドの確保は上の終了点でやり、2人で、懸垂で降りてくれば、1ピッチのマルチに行ったのと同じことになる。

これをやらない人が、マルチに行きたがる=ただのミーハー・同調圧力、ってことで、行けるための根拠を積み上げていない。

そんなミーハーにつきあわされて、なんで自分の積み上げた技術を出さないと行けないのだろう?というのがわたしには謎だった。それは、搾取であって、ぜんぜん山の友情とはちがう気がする。

■ ローワーダウンでのすっぽ抜けと同時懸垂下降でのすっぽ抜けは同じ

さて、上記のジャンボさんのミスで、ジャンボさんは、原因は特定できていない。すっぽ抜けが起こった状況は、一般クライマーでもローワーダウンをするから、その状況と同じだ。

ローワーダウンで、普段、20m以下の短いルートしか登っていない人は何年登っていても、末端のすっぽ抜けには無自覚なまま、クライミング歴を積み上げていくだろう。

アイスでは、易しいルートが登れたら、次は、難易度をあげるのではなく、壁を大きくしていく、だから、ロープ長については、すぐに気がつく。55mの滝を登るには、60なら2本を連結しなくてはならず、ノットの通過がある。あるいは120mロープが必要になる。

昨今は、クライマーは

 グレードだけを追い求めている

 だから、ロープ長が足りなくてすっぽ抜けを起こしそうになったヒヤリハット事件というのは、初心者をとっくの昔に超えた10年選手になっても経験していなかったりする。

ローワーダウンで、ロープの残りが数メートルになったら、普通わかっている人は、何も言われなくても、ストッパーノットを結ぶものだ。

そして、そういう人が価値あるクライマーであって、高いグレードが登れるだけって人は、そのへんにゴロゴロしている。

無自覚なままの事故と、ジャンボさんのミスのような者は全く本質がちがう。味噌糞一緒くたにしないことが大事だ。

どんなに気をつけていたとしても、起こるときには事故は起こる。

それと事故をわざと誘発しているようなメンタリティがクライミングカルチャーとなってしまっているのとは全くちがう。

九州では、推測に過ぎないが、単に、手抜き・怠惰を、かっこよさに転嫁しているだけなのではないだろうか?

それのどこがかっこいいのだろうか?




2023/05/13

【行動プロテクション】ヨセミテでもよくあるプロテクション設置できない現代クライマーの事例

これは、AACの事故報告本からの引用です。

https://amzn.to/41sfm36 キンドル無料で読める。

文字起こしさん利用

INADEQUATE PROTECTION - MISPERCEPTION OF DIFFICULTY
Yosemite National Park, Half Dome
On May 13, Peter (31) and Alain (26), both from France, were climbing pitch sit
of the Regular Northwest Face (VI 5.9 C1), hauling a bag for a bivouac at Big
Sandy Ledge. Peter took a 20-foot lead fall on the crack labeled "5.9 polished
fingers" in the Supertopo guidebook. One piece of protection pulled and he
landed on a ledge, injuring his ankle. They rapped to the base and called 911.
They bivouacked that night, and the next day Peter was assisted by SAR team
members to hike up to the main hiking trail on Half Dome. From there the NPS
gave him a horse ride out due to his sprained ankle.


Analysis
Peter said that he misjudged the difficulty and the amount of protection needed
to avoid the ledge. He rates himself as a 5.13 climber, but he fell on a 5.9 section.
This is a good reminder that ratings are subjective, and that Yosemite crack
climbing is a specialized technique.
(Source: John Dill, NPS Ranger.)

赤字当方。

不十分なプロテクション - 難易度の誤認識
ヨセミテ国立公園、ハーフドーム
5月13日、フランスから来たピーター(31歳)とアラン(26歳)は、ビッグドームでビバークするためのバッグを担いで、レギュラー北西壁のピッチシット(VI 5.9 C1)を登っていた。
を登り、Big Sandy Ledgeでビバークするためのバッグを運んでいた。
Sandy Ledge "でビバークするためのバッグを運んでいた。ピーターは、スーパートポに「5.9 polished」と書かれたクラックで、20フィートのリードフォールをした。
Supertopoのガイドブックには「5.9 polished fingers」と書かれていた。プロテクションが一枚切れてしまい
レッジに着地し、足首を痛めた。彼らはベースまでラップで移動し、911を呼んだ。
その夜、彼らはビバークし、翌日、ピーターはSARチームメンバーの助けを借りて、メインのハイキングコースまで登った。
ハーフドームの主要な登山道までハイキングしました。そこからはNPSが
は、足首の捻挫のため、馬で移動することを許可した。


分析
ピーターは、レッジを避けるために必要な難易度とプロテクションの量を見誤った、と言った。
彼は自分を5.13のクライマーと評価しているが、彼は5.9のセクションで落ちた。
これは、クライミングの評価は主観的なものであり、ヨセミテのクラッククライミングは特殊な技術であることを思い知らされる良い機会である。(出典:NPSレンジャー、ジョン・ディル)

20フィートは6.1mです。

■ 世界中、ちゃんと教わっていない男子はみんな同じでは?

というのがわたしの感想です。

日本でもしょっちゅうこのようなことが起こっていますが、米国では冊子になっており、日本では、事故が起きても、事故報告すらされない、ということで、日本のクライミング界は、世界に遅れています。

【原理原則】花崗岩のランナウト、石灰岩のランナウト

 ■ 垂壁のランナウト  ランナウト許容度 △


 花崗岩(スラブ)のランナウト ランナウト許容度 大

■ 石灰岩(オーバーハング)のランナウト ランナウト許容度 小

これが年配の人は、一緒くたで考えているんではないですかね?

今の時代って、ボルダーもですけど、最初っからどっかぶりです。 15度の傾斜なんて、初心者向け、とされており、私でも登ります。甲府の人工壁は40度で5.11からしかない。それを15度にして練習で登っていました。

15度でも、下部では落ちれない。

一方、スラブで85度の傾斜は、易しくはないですが、よくある傾斜、つまり普通です。スメアで歩ける場合もある。これで落ちるのは、後ろに走れ、とよく言われます。

私はこんなので落ちるのと、オーバーハングで落ちるのが混同されて議論されているから、結論が出ないのだと思いますが、ちがうのかね?

山梨で初心者の岩場とされている西湖の岩場は私も通いましたが、上部ではありますが、ランナウトしています。

いっぽう、どっかぶりは、上に行けば行くほど、安全になり、ランナウトによる地面激突より、ソフトキャッチのほうが大事になります。

被っている下部核心の課題、っていうのが初心者が最も取り付いては行けないリード課題で、まぁ大体ボルダーっていうのは、いきなり被っています(笑)。マットに落ちて死なない高さにしておく&マントリングで落ちない、が大事です。

2023/05/12

ビビっているときが一番楽しいとき

 ■ ベテランは中道論

最近、経済指標生活、しています♪

CPIというのは物価指数で、海外では、物価高で大変なようで、海外の友達は悲鳴をあげています。

私もスコーミッシュ、物価高いなー!と思って、行きたいのか?行きたくないのか?わからなくなりそうです(笑)。一泊30ドル以下では、宿が見つからない感じです。日本でだって2000円くらいで泊まれるのに。車で寝泊まりするのは、できるのだろうか…なら、レンタカーしたほうが安いかも。アメリカでの運転は、30年ぶりとかになりますが…。危険だなぁ。

消費者物価指数CPIがでたので、いろいろな人が解説してくれていますが、 やっと大井さんのが出た。

大井幸子さんと田中泰輔さんを、私は参考にして、トレード戦略を立てています。おふたりとも海外のヘッジファンドや銀行で第一線で働いて、海外事情通。

というのは、私のOL時代の経験値からも、海外の市場経済と日本の市場経済は切っても切れないのに、日本国内では、あまりそれが理解されていない、と思っています。

日本経済をメタ認知する、となると、一つ視点をあげて、世界から見る。

九州の岩場をメタ認知する場合は、全国の岩場の視点から見る。

日本の岩場をメタ認知する場合は、世界の岩場の視点から見る。

こちらが大井さんの動画。https://www.youtube.com/watch?v=6IQAqM9d2qU&lc=UgzxA1LqaZ8iEUXKo3B4AaABAg

こちらが田中さんの動画。https://www.youtube.com/watch?v=TEfrqQC0zEE

マーケット関係者は、まぁ、あんまり動じていません。

で、国内若手トレーダーのレバナス一本リーマンさんなどは、ビビりまくっている感じです。https://www.youtube.com/watch?v=tg9PUuQ78xY

■ ベテランの余裕 vs 新人のコーフン

アルパインクライミングとか、フリークライミングでも、同じことじゃないかなと思ったりしました。

初めてルートに出る、となると、ビビりまくって、調べに調べ、ビーコンまで持ってジョーゴ沢に行くみたいなことになりますが、まぁ、ベテランになると、「ん?気温0度以上、あー、今日は辞め辞め」みたいな感じで、すっかり前提条件に通じてしまって、危険な橋はそもそも渡らないので、どのルートに行くにも、ほぼほぼ楽勝になってしまう…って感じではないかと思ったりします。

田中さんなどは、日本株は、サイクル銘柄、と言っています。つまり、四季があって、下がれば買い、上がれば売るだけ。粛々とこなす。

それを日本人個人投資家(つまり、山岳会の新人)は、わー、ユニクロ、上がったー!買わねば!と高値圏で買って、みんなが売り払ったところで高値づかみで損切できず、しばらく我慢して、価格が戻った途端に売り…となると、何のための投資だか…ということになっていると指摘しています。

つまり、目の前の価格変動に乗せられて買っているって話です。

今日も日経平均2万9千円超えだった。ので、粛々と手持ちの投信、売却。高値で売って安値で買う、これが基本なので基本戦略通りですね。

問題は、キャッシュで持つ以外、今は世界中、見渡しても何も安いのがない感じです。

割安株がないから、日本株で個別銘柄って話になるよなぁ…。

その流れでは、今日はインドのETFを発見しました。1678です。ただ買い時は少し先みたい。 まぁ短期売買ではない場合は、タイミングは分散なので、そこまでシビアではなく、大まかに安値圏に入れば、買いです。

現在の、日本株の高値は、日本企業の業績が良いからではなく、

 米国景気→ドル高・円安→日本株割安感→買われる→株高、

ということで、余り日本の実力とは関係ないみたいです。もちろん、個別株は別ですが。

基本、日本株はサイクル銘柄で分散投資による長期保有には向かないので、個別株はベンチマーク的な使い方をするために保有するのが良いかもしれません。例えば、ファナックの株価は、製造業の在庫の循環、キチンの波を表しているそうです。なのでミニ株で仕入れました。

そういう景気のサイクルを掴むと、ベテランの気持ちになれるような気がします。

私は、株式は、自分が応援したい会社の株を買うのが王道だと思っていたのですが、相場の世界はとっくの昔にそんな牧歌的な時代は終わって、金融工学が作り出すお祭り騒ぎの景気循環にみんな波乗りするように乗っかっているらしいです。ので、誰でもそういうサイクルを覚えたら、市場からお金を取り出せるようになる、と思われます。

これは山の世界とも似ています。

■ 飽き

これは、誰にも言えないでいたことなのですが、アルパインでも、なんか自分の山のてっぺんは見えた感というか、冬の八ヶ岳に皆が集まって来てしまう理由が分かってしまったというか… 北アで難しい天候をこなす体力気力、やっぱりなくなってきますよね、若くなくなると。

私などはスタートが38歳、なので、最初から北アの厳冬期は自分にはないと思って、せいぜい春山止まりです(が、それでもGWでも、厳冬期並みに気温が下がること、ありますよね)

だから、代替えでフリークライミングでもしようか…ということなんですが、フリーの世界でも、え?ボルトがボロすぎて登れない?!ってことなので、なんか、フリークライミングという山の、てっぺんがはげ山だった、みたいな感じ(笑)。

スポーツに行く気にはなれないですし… それだと全然ちがうスポーツですよね。

じゃあ、海外で登るしかないじゃん~って理由で、みんなが海外に行っていたんですね…。

だから私は英語が話せるのでモテるわけか(笑)。

海外って言っても、日本のクライマーは、そうそう日常にすることはできないでしょう?というので、クライミングという山の終わりは見えてきたよなぁ…みたいな気持ちは、実は山梨を離れた頃からすでにありました。別に福岡に来なくても。

もともと、冒険や探検が好きな私から言わせれば、登山って、すっかり隅々まで探検しつくされて、もう余白がない世界、みたいな感じです。

もちろん、5.13が登れるクライマーには、まだまだ余白があるのかもしれないんですが、上級クライマーの様子を見ていると、そうとも思えないというか…。

余白=もろくて、誰も近づきたがらない、じみーな岩場、みたいな感じだったりするので、健全な大人の知的好奇心を満足させる遊びとは言えないなぁ、って思ったり…

というので、福岡では、別の山に登る時期だと心得、ヨガの山に登ろうとしたり、自然農という山に登ろうとしたり、あるいは、オーソモレキュラー栄養学の山に登ろうとしたりしてみましたが、数年で、どれもてっぺんが見えてしまいました。

まだ、トラッドという山は登りたいかもしれない… というので作戦を思案中ですが、多くのベテランがトラッドという答えにたどり着くのと同じ理由で、たどり着いているような気がしています(笑)。

色々サイクルが見えていない、ビビって投資している頃が一番楽しいんですよね。

まだ、何も分かっていなかった、あの頃は楽しかったなぁ…

   こういうのに行きたかったんですよね、初心者の頃は…


ロープを出す基準

 ■ 混乱しているアルパインロックでのロープを出す基準

これまでの経験から言えることは、アルパインロッククライミングにおいてリスク認知は、

 ロープを出す基準

に深く関わっており、その基準を誰もが

 俺が正しい

と相手に押し付けるために、

 どっちがより命知らずか?競争、

に陥っている、ということです。

■ 九州人のロープを出す基準は、出さない方向=つまり怠惰方向

私個人の経験でしかありませんが、九州人のロープを出す基準は、出さなければならないと一般市民向け山岳会で標準的に考えられている基準より、どうも出さない、方向です。

これは、以前の会(家庭的)で36歳男性(背も高く肥満もない)に対して先輩たちがロープを出してきた基準より、私が持っている自分にロープが必要だ、という感覚は、え?こんなところでロープ出すの?だったためです。

つまり、大雑把に言えば、前の会の人より、私はロープ要らない派、でした。スタンディングアックスビレーも、「こんなところでいらないなぁ。歩ける」ってところで会の先輩たちはロープを出していました。

ところが、九州に来たら、

 ここは絶対にロープがいるところ、

 あるいは、

 マルチの終了後などで2級の歩きでも、ロープを解かないところ、

と私の経験や、青木さんとの登攀で行われてきたロープの出され具合から、私には確信的にロープを出すべきだと、感じられる場所でも、ロープを出さない人たちが主流でした。

例えば、マルチ終了後、短距離で2級がでてきたら、ロープは解かず、岩にかけながら前進するのが普通です。しかし、こちらの岳人や一緒に登っていたA木さんは、その感覚は持っていないようでした。

福岡山の会の人にも、私がスリング出して自己確保でちょっとした下降…マルチの後…を降りたら、え?と驚かれました。

■ 基準は 厳冬期甲斐駒 8合目

本州だと、雪の山で、ロープを出す・出さないの基準は比較的わかりやすいです。

厳冬期の赤岳で、天候や視界に特に問題がない場合では、ロープ無しで歩けないような人は、まぁ、アルパインスノーはお呼びではありません。一般登山の雪山で、もう少し歩きの経験値を積んでから来てください、みたいな差し戻しです。

同じようなのが、厳冬期甲斐駒です。落ちたら一環の終わりのところがあります。

まぁ人間は、落ちたらやばいなと思っていると落ちないので、実際は、通れてしまうことが多いですが、そのような場所でロープを出さない姿勢自体が咎められる、ということになっています。

花谷ガイドが口を酸っぱくして若い人に、少しでも不安を感じたらロープを出せと繰り返していました。

■ 岩 

一方、アルパインロックになった途端に、なぜかロープを出さないほうがエライ、みたいなことになるのですが…

5.XXというグレード自体が、もうそこからはロープが必要、という意味に解釈されるべきですが、されていない。

そこに最大の問題があるように思います。

”ロープ出す、出さない”問題は、本質的に言えば、”怠惰・非怠惰”の争いです。それを”かっこいい悪い”問題に転嫁すると、つまり、出さないほうがかっこいいという

問題のすり替え

にすると、”怠惰”を”かっこいい”ということができるようになります。

 ロープ出す  → 非怠惰 → かっこ悪い

 ロープ出さない → 怠惰 → かっこいい

というので、ロープを出さないほうがかっこいい、という論理?は、ただの怠惰の隠れ蓑に使われていることが多いです。

■ 山は誰にでも平等 = Aという山に行ける人と行けない人がいる

当然なのですが、多くの現代人が分かっていないことの一つに、山は誰に対しても平等、ということがあります。

例えば、この人は新人だから、気温を調節してあげよう、とか、晴れにしてあげよう、とかありません。傾斜をゆるくしてあげよう、とか、風を弱めてあげよう、とかもない。

初級ルート、入門ルートという言葉が誤解させるようですが、それらはあくまで、かかる時間の短さや、傾斜のゆるさ、であり、危険が減ります、って意味ではありません。

寒いときは寒い。入門ルート初級ルートでも寒い(笑)。

そこが、どうも、言葉の綾でわかりにくくなるみたいなんですよね。

人間がやっている競争は、相対的競争です。でも、山が求めて来るのは絶対値としての実力です。

男性クライマーは大体、あいつが○○登れたんだから俺も行けるハズ、みたいな心のなかでの計算をしています。

それが大間違い。大学生が○○尾根登れたら、俺も行けるかというと、予備力が違います。

私はヤマレコに、一般登山者と、本格的がつく登山者の間を埋めるようなルートの記録をよくあげていました。

例えば、雪山の入門としたら、3月の金峰山を御岳新道から登るとか、です。あるいはツルネ東稜の縮小バージョンで地獄谷から。

そのような、本格的なバリエーションと一般登山の間のようなルートで基本的なリスク管理を学ぶ、という初歩の段階を飛び越して、『チャレンジ!アルパイン』に進んでしまう、あるいは、『日本登山体系』に進んでしまうことが、根本的な遭難原因…

  山の絶対値を相対的な競争に置き換えてしまう

という誤解に陥っている原因のように思います。

たぶん、高校山岳部では沢登りをいっぱいすると思うのですが、沢にワンシーズン程度は最低でも捧げないと、アウトドアでの、リスク感性は身につかないのではないでしょうか?

というのは、沢こそ脆いので、傾斜に関係なく、危険かそうでないか?によって、ロープを出す出さないの判断が必要だからです。

■ 雪の山でも危険な人はいっぱいいたな

振り返ってみたら、雪の山でも危険だなーって人はいっぱい会いました。

・厳冬期の-20度にもなるヤツにアイスに行ったら、携帯出すのに15分かかった人がいた。じっと待っていると寒さで死にます(笑)

・厳冬期のヤツで酔っ払って登山口に来た人がいた。

・素手でピッケルをつかもうという人がいた。

・明日大荒れ、で12時から天候下るとわかっているのに、11時敗退を受け入れられない人がいた

・ウエアが全然ダメ

・冬靴もシェルも貸してアイスに連れて行ったら、2度めを断るとケチ!となじられた

・ガスで視界がゼロなのに、適当に前進したがる

・コンパスウォークができないのに、なぜか荷物だけは不必要なものでぎっしり重たく、ザックの中に芋きんとんが入っていて、凍りついていた

とリスク管理の観点からは、?な事件が結構ありました…

それらは、みな、山行計画を立てる時点で、シミュレーション不足、から来るのではないか?と思います。

逆に、ある会は、ものすごく慎重で慎重すぎるくらいでした…例えば、ジョーゴ沢から硫黄を詰めるという山をした時、ビーコンを持たされました。たしかに雪崩れたら、逃げ場なさそうな地形なので、それは受け入れてビーコンを持って行きましたが、赤岳山荘でビーコンチェックしている私達パーティを、ガイドさんが不思議そうな顔して見ていました(笑)。だよね~ 今からどんなスゴいルート行くねん、って思うよね~と思ってちょっと恥ずかしかったですが…。

むしろ、その会は責任を感じている会ということで、やりすぎ!なくらいでちょうどよいのがリスク認知だと思います。

その会は、山行計画書にジャケットの色を書かせていました。というのは、遭難したら、レスキュー隊が最初に必要な情報が、

 ジャケットの色

だからです。

■ フリークライミングのリスク管理

一方フリークライミングに来たら、まぁアルパインと比べるとリスクフリーな感じなので仕方ないかも知れませんが、リスク管理ゼロっぽくて、驚きました。

しかし、海外で登るとなると、リスクありますよね?

なんせ、怪我したら、海外の病院って…先進国以外はどうなんでしょう?

ラオスは、一回目の時に現地の日本人グループと知り合いになり、そのうちの一人は現地で働いている看護婦さんでした。

なので、少し安心があり、それで一人で行きました。台湾も、すでにラオスで一緒に登った人とだったし、まぁ無理をさせられることはなく、大丈夫だという感触はありました。行動プロテクションというやつです。

しかし… ”ロープを出さないほうがかっこいい”と思っていると、行動プロテクションゼロ、です。

怠惰が逆にかっこいいという逆転現象になっている場合、どう転んでも危険に陥る敷かなくなります。

そこのところは、一旦、ロープを出さないほうがかっこいいという価値観が男性の頭に植え付けられるとそれを撤回するのは、かなりの労力というか、本人にしてみれば、自己存在の否定みたいなことになってしまうので、クライマー人生の初期に、

 良き岳人の手本&ロープを出す基準

を先輩からインストールされる、というのが大事なことだと思います。それをしそこなった場合、撤回するのは、かなり大変になることが予想できます。

■ 岳人と言えるレベルと思いやりレベルはちがう

同じ難度でも、スキルが低かったり、体力が低かったりすると、怖く感じます。

ので、ロープが欲しいという水準は個人の中でも、変化します。年を取れば、誰でも、保護が欲しくなる。

カッコつければ、もうリード欲はない、です。

なんせ、リードするほうが楽しいのですが、年を取ればリードしなくても楽しくなる。

一方で山が要求するロープがいるという水準は変わらないし、難易度も変わらないので、登れる山は必然的にだんだん低レベル化していきます。

それでいいと思います。

フレッド・ベッキーって、ヨロヨロ、ヨボヨボのおじいちゃんになっても、自分でバックパックを担いで、登り続けていましたよね?

そういうのが、真のかっこよさ、ではないか?と思います。ま、ちょっと頑固で意固地な気がしないでもないですけど(笑)。

■ 怖いという人には出してあげるのがかっこいい

36歳男性のほうが、私よりロープのニーズが高かったのですが、あの経験を後から反芻して考えた結果、結論は、

 怖がっている人には、自分には要らないところでもロープを出してあげるのが仲間

ということがわかりました。たとえ、大の男なのに男らしくないなぁ、と内心思っても、です。

それが山仲間として必要な態度だからです。それが本当の優しさ、です。

一方で、山が要求する基準は、絶対値なので、

 「○○山は君にはまだ早いと思う」

ということは、言える人でなくてはなりません。優しさと迎合はちがうからです。

男性山やの教育で大事なことは、これらのロープを出すときの基準と態度を分けて考えるということをしっかり伝える、ということだと思います。

そういうことを見て盗むために、マルチにベテランと行くんだと思いますが、ちがうんですかね?