2020/03/11

海外のトポの外岩分類

■クライミングのスタイル分類

いつも思うのですが、なんで日本のトポにはスタイルの分類がついていないのでしょう?? 私なんかより、フリークライミング界の大御所は一杯海外の外岩のトポを見て、分かりやすいな~ こうしたらいいな~と日本の岩場の情報不足の、具体的に何がどう情報不足なのか?ということは分かっているでしょうに…。

例えば、The Cragにはこのような記述でその課題やエリアがどんなスタイルで登るべきかを指南してあります。

ボルダー
トラッド
スポーツ

トップロープ
ディープウォーター
ヴィアフェラータ
アイス
アルパイン
トラバース

とくにアルパインの思想をフリーに、そのまま持ち込んでいることの摩擦や矛盾が大きいなと思います。

例えば、日本のフリークライミングのルートでは、5.9が登れる人のためにボルトがあるわけでなく、5.12の人が楽勝だからと言う理由でボルトは飛ばしてあったりするので、どこで落ちてもロープとボルトに守られるわけじゃない…。そのような状況の中で、プリクリップに文句をつけられている状況なので、驚きました…。文句をつけている人たちは、ボルダーではSDにすると2段、たってスタートだと5級っていう課題があるのは知らないのでしょうか…。

こうした標準体型&5.12クラス以上から楽しく登れるという日本的事情は、遠藤由香さんが、男性にショルダーされてエイドルートにクリップしている姿を見て理解しました…。登攀力があっても、身長がなければ、クリップできない(=自分の身を守れない)ので、私が、トムとジェリーが登れないのは当然みたいでした…。

(余談ですが、その後エイドルートのお誘いを受けても断っています... 背が低いことのハンデが分かっていないパートナーと行くと危険だと思う。誘ってくれる人は、私がエイドルートをリードするにはショルダーが、あるいはプリクリ棒が必要になると分かっていないと思います。そのような人と行くと非常にマズイ結果になることが予想されますし、セカンドなら、普通のフリーのルートでいいわけですよねぇ)

日本では、人工壁のことだけをスポーツルートと言うことになっているようです。

海外のトポには、スポーツ、という記述があり、それはたぶん、このルートはランナウトしていないですよ、5.9だったら、そのグレードが限界グレードであるクライマーに適したボルト配置になっていますよ、ということなのだろうと想像しています。

日本のトポは、スタイルを分類していない。

■ フリークライミングの教育機関がない

また、フリークライミングの教育機関がない。フリークライミングを教えます、ということには、クライミングジムでもなっていないし、登山学校に行けば、当然アルパインクライミングを教わって、フリークライミングを教わるわけじゃない…。人工壁があるじゃん、となりますが、人工壁はスポーツクライミングを教えるところで、フリークライミングを教えるところじゃない。

となると、フリークライミング、を教える機関がどこにもないってハナシですね。

■ サボっているのは誰だ?

まぁ、ちゃんとガイドさんがフリークライミングの、フリークライミング足るゆえんや本質をきちんと教えてこなかったのが良くないと思いますが…。ちなみに私はアイスですが、保科さんスタートのクライマーですが、そんな話は聞いたことがありません。保科さんが悪いと言いたいのではないですが。

登ってトップロープ張ってあげて、ムーブだけ洗練させてあげて、リードのビレイをしてはあげないのがガイドさんは一番楽です(笑)。

私も後輩には、よほどのことがないとリードはさせません。自分が登った課題にトップロープをさせてあげるだけです。

死なれたら困るので(笑)。

ので、後輩にリードしていいよ、というのは大変なご褒美と言うか譲歩と言うか、そんな感じです。

大体、デッドで取りに行っているような人は、「まだまだリードさせられないなー」と思って見ています。


2020/03/10

Rock In Japan Vol 0 to Vol 14 By Tamotsu Sugino

杉野さんのGold But Old からスカラップ

■スカラップ

杉野さんのGold But Oldがどのような特集だったのか知りたくて、送っていただいた記事を拝読しました。

城ケ崎スカラップ12dの記事。

1)課題の位置づけ
85年が時代の代わり目だったこと…
私は2016年から登っているので、1985年なんて中学生?なんですが…当時はハードフリーと呼ばれていた時代だそうです。そういえば、前の会の先輩らもそう言っていました。ハードフリー。今ではなんていうのかね??? で、ハードフリーなクラックから、ハードフリーなフェイスへの転換点が85年あたりなのだそうです。

2)グレーディングの機微
名ルートなら、初登、第二登、第三登くらいまでは書かれていないと(笑)。
初登の池田功さんと、二登の橋本覚さん、3登の吉田和正さん、それぞれ強みが違い、正確なグレーディングというのは、大変難しいのだろうということが分かった…と言うのは、やはり得意だと易しく感じるから。

スカラップは、片腕懸垂大得意、天井レイバック大得意の人に向いた課題らしいですよ☆ 

3)名文とは?

パワー&デリケートなムーブということで、男性的でもあり、女性的でもあり、プロテクションのセットに不条理な恐怖があるわけでもないそうで、とっても魅力的なルートに感じられました。

杉野さんの書いた文章が素晴らしいのは、

そのルートを登りたい!という気持ちにさせる力がある、

ということです。

そう言う文章を良い文章だというのだ、ということが分かりました。

お送りいただいた方、本当にありがとうございました!!

2020/03/08

20年遅れの九州の実情が推測できる出来事

■ なぜそうなったのか?

私は起きている現象は単なる「結果」なのでさほど興味はなく、「なぜ、そうなったのか?」という理由ならびに背景の方に俄然、興味を惹かれるタイプです。

杉野保さんの以下の文章が書かれたのは、Free Fun32号。
ーーーーーーーー
対物ビレイ全盛の、リングボルト1本で対物ビレイしていた輩に注意した藤原雅一氏が、「アルパインやったこともない人にそんなこと言われたくないね。」と罵られたというのは有名な話
ーーーーーーー

FreeFun32号が出たのは2000年。

そして、私も九州で初めて行った矢筈岳で対物ビレイを見て、その中で男性クライマーが他に4人もいたのに、私以外の誰もそのおかしさに気が付かないのを見たのが、2018年。

・私以外の誰も気が付かない
・誰も指摘しない
・2000年から18年もの時間差

を総合すると、どれだけ強い思い込みと上からの押し付け?が今現在もTo Be continued 状態か?ということですね…

散らかった部屋もずっとその中にい続ければ、それが普通になります。大なり小なり、それは人間だからあるわけですが、それを知ろうとするか?しないか?では大きな差がある。

■ 私以外の誰も気が付かない 焼け太った人がいる

このときは私以外の誰もそのシュールな図に気が付いていなかったのでしたが、後でFBでこの時のことをアップすると、

”私は気が付いていました”

という男性が一人いらっしゃいました。I橋さんです。まぁその方もその場でその人に向かって指摘できなかったわけですね。なぜなのか? ここも私のような思考回路の人には、謎解きの興味が惹かれるところです。

まぁ、I橋さんが指摘できないのですから、私が指摘できないのは、責めないでくださいね。私だって神じゃない。

さて、その後結局、焼け太ったのは、I橋さんで私ではないです。私はまぁ一緒には行きたくないからいいんですけど。

■ 学歴自慢

大学山岳部だったことを自慢する人がたくさんいますが… ”俺、一高”に始まって…、大学山岳部って、今現役山屋の場合、信州大学以外自慢になるんですかね?

自慢になった時代の大学山岳部の人って今、80代とかなのでは…?

というのが素朴な疑問。昔取った杵柄=現代的な知識習得がおろそか…という気配が濃厚で、むしろ、否定的な要因のような気がします。つまり、「私は昔教わっただけで、現代のスキルは持ち合わせていないです」という話のような?

そうかもしれないと思って、他の人にも問い合わせてみました…そしたら、やはり、そのようでした。

ただ、誤解があってならないように言いますが、自然 は、何十年も変わらないので、例えば、どういう傾斜から危ないか、などは当然、リスク認知は変わらないので、経験値が多いほうがいいです。

かといって、それは、自分で認知力を高めていくのが、楽しいというような話です。

■ 20年遅れの九州と言う場所

九州に来て驚いたのは、やはり、支点やボルトがまるで見たことがないようなのが一杯出てきて、どうにも理解の使用がないことでした。

・座ってビレイする人はダメなビレイヤーと聞いていましたが驚きの実態が。
・終了点にロープ自家掛けはダメと聞いていましたが、年配の人から自家掛けするように指導されるそうです
・人口壁の使用者試験で、壁の途中でトップロープを取るには2点支点を使えと教えており、はぁ?でした。
・怪しい支点を構築している人にもそれを誰も直接言うことができないそうでした

たぶん、人間関係が壊れることを恐れて、口が重くなって、すでに20年みたいなことになっているらしいです。

失うものが最初からない人しか何も発言できない… いやはや、日本社会って、19世紀みたい。

右ひざのこと

右ひざのこと

右ひざの脱臼は、やはりまだ完治には程遠く、寝ているときに右を下にして、寝返りを打つ動作が痛くて、目が覚めます。

1)膝をひねる動作がある足ジャムは微妙。
2)ジャンプで着地しないといけないボルダーはNG
というわけで、まぁできることは
1)オーバーハングでツイスト登り 落ちるときはびよよん
2)落ちないで歩けるスラブ
以上終わりかなぁという感じです。ともかく足を突くという着地がNGですので、びよよんだけが安全。

MRIを取ったら?とも言われたのですが、脱臼って腱が伸びきってしまったという状態のことなので、まぁ、時間が解決するしかないかなと思っています。

温泉で回復したいなー。福岡は九州にある唯一の温泉貧乏国なのです(><)。特に海側。ので、その点がちょっと残念。

2020/03/06

What's the meaning of taking your own risk?

Photo A
 This is what I see familiar in Japan.















Photo B


What's this?

I don't know...












Photo C






This is the proper bolt.

M10 goujon.





















Photo D





This is what I saw in the latest sea cliff climbing..












...and its environment.

 Sea cliff as it is obvious.














Until you open the bolt, even a developer can NOT know if the bolt is alright and trust worthy...

So climb at your own risk... the words sound so empty...

What the heck dose it mean????  It means "Don't blame me if the bolt fails!" ???

But in reality, the law has already decided it is the developer's fault...

■ Experienced climbers too can not know

Even experienced climbers too can not know how strong the bolts are...

so their solution... is DOES NOT FALL... so did I.




This is a unique anchor I saw near by crags...

which even the developper climber does NOT use...

since he doesn't need it to practice.

Why use it when the developer himself does not use it?

Because you want to lead climb?

You might be better to lead climb till you hold the tree...


I was feeling uneasy and my mind was trying to find the answer... why why why...

may be that is why I like to climb outside of Japan.

カットアンカーの中身は開けてみるまで分からない=クライマーに自己責任で登れと言われても困る

写真A
 これはよく見かける、ごくありきたりなペツルと思ってしまう、ボルト

なんか見慣れたサイズ感…














写真B
これは? よく分からないボルト。
















写真c


これはグージョン。






























写真D





これはM10カットアンカー














 の置かれている環境。

で、これは、このシークリフと似た環境であるシークリフでカットアンカーを開けたら、どうなっていたか?っていう話。























ボルトというものは、開けてみるまで、開拓者本人すら、そのボルトが信頼できるのかできないのか?分からない…

そんな状況で、クライマーの自己責任で登れ、ってセリフは、どういう意味を持つのか???

いや~ 意味深ですなーほんと。探偵並みの知性がいりますな。クライミング業界ってところは…

■ ベテランの判定

最初の写真のは、見慣れた感じがしますが…正解はM8カットアンカー…(汗)。これを見慣れてしまって、危険認知できなくなっています(汗)。

それは、ワタクシだけでなく、大ベテランも同じだそうで…。

写真DのM10カットアンカー@シークリフでは、使って登るそうでした。登攀歴30年くらいの方。シークリフはケミカル一択でしょう。


師匠の青ちゃんに不安になってお尋ねしたこの終了点…。

開拓者本人は、上の木からトップロープを取る…その行動を見て、不安になった。

結論:

無くても登れるから、なしで登る系…









というわけで、九州クライマーらしく順調にボルダーに押し出されるわけですな~

ボルダーの次に安心なのは、クラックだとクライマーは気が付いていない。

ボルトルートは、外からは検知できない危険が一杯。









追悼:杉野さんの記事から考察する ”支点整備の方針”

以下、追悼のため、ポイントを整理します。赤字当方。

-----引用‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

大体において、私の場合は、前からルートを整備するということがあまり好きでなかった。

なぜかというと、初登され、発表されて、作品としてルートが公になったものには、初登者のこだわりとか主張とかが感じられるまま、ボルトがさびようが、終了点がなかろうがそのままの状態にしておき、そのルートにトライしたいのだけれどもボルトに不安があると感じた人が初めて、初登者に了解を取った上で打ち替えなどすればいいのではないかと思っていた。
 今となっては、理解できない人の方が多いとは思うのだけど、私は終了点はなくてもいいとすら思っていた時代もあった。(ここでいう終了点とはボルトアンカーなどの岩に残置した支点のこと)終了点は登るためには必要ないからだ。 うわっ何いってるんだこいつ、という声が聞こえてきそうなのでもう書くのやめようか、いや、でももう少し書こう。
 私がクライミングの影響を受けたのは、どうしてもヨセミテで、そして実はジョシュア・ツリーなのでもある。ジョシュアにはルート中、登るために必要な本当に最低限の残置物しかなかった。ナチュラルならその岩には何もなかった。終了点もない。岩の頂上には木もない。大体ナチュプロで終了点を作り、フォローしてもらうか、ロワーダウンで回収したりするのだが、ではその終了点はどうするかというとその岩塔の他のやさしいルートを再度登って回収し、そのルートをクライムダウンするのである。とまあ恐ろしく面倒くさいことをしていたわけだが、でもこれが妙に気持ちいいのだ。今登ったこの岩には人が登った痕跡が全く残らない。
 だから、私のルートは、自分の事しか考えず、どうしても最低限の物資で作られている場合が多い。

 そんな私が、幕岩と城ヶ崎の整備をしようなどといいだしたものだから、D助はそれは驚いていたようだ。
 私が整備をする気になったのには訳がある。
 まず第一に時代は流れているということだ。スーパーイムジンの最後のボルトはどうしてもうち変える気になれないが、上から開拓されたルートなら、ボルトは新しくて頑丈なのに越したことはない。つまりグラウンド・アップで打たれた訳でもないのにその貧弱なボルトを使い続ける理由はないということ。それにレッジ・トゥ・レッジのクライミングの発想どころか意味も薄られてしまった今、終了点のないルートはルートでないといっても過言ではなくなってしまった。
 二つ目として、鳳来での美化活動に少しだけだが関わって、ルート整備(美化)の意味と必要性をあのような方向からも再認識し、カモフラージュされたボルトときれいな終了点を見て妙にスッキリした気分になったこと。そしてやはりJFAの他メンバーによってほとんどケミカルに打ち変えられた城山南壁を見て、それまで感じていたボルトの違和感を感じなくなったこともある。岩場再生という言葉がぴったりだった。
 第三に、自分が講習会で使っているエリアでもあるわけだし、私のような職業の人はすすんでやらなければいけないことだと今更ながら思ったこと。講習会をしながらいつも思っていたこのグチャグチャな汚いスリングの終了点早く何とかしなきゃの思いは、今は岩場のノーモア・スリング運動につながっている。
 そして最後に自分も変わった。スティッククリップも投げ縄ならOK。こうやって人は時代に流されていくものなのですね。
 ジョンバーカーは今でもジョシュアの終了点を抜いて歩いているのだろうか。(わけないか)
 さ、というわけで何日かD助と幕岩、城ヶ崎の整備をおこなってきた。しかしこれはまだ始まったばかり。城ヶ崎などほとんど手つかずのままであるが、気になったことをいくつか書いてみたい。
 シーサイドや二子、鳳来のように、ある程度フリークライミングのことが分かっている人が行く岩場なら何の問題にもならないようなことが、幕岩ではおこっている。
 対物ビレイ全盛の、リングボルト1本で対物ビレイしていた輩に注意した藤原雅一氏が、「アルパインやったこともない人にそんなこと言われたくないね。」と罵られたというのは有名な話だが、そんな時にくらべればここやJ山での、生と死の分岐点博覧会状態は激減したものの、それでもやっぱり終了点のビナは持って行かれてしまうんですね、これが。ひどかったのは幕岩の「蟻さんルート」周辺の終了点だ。
 整備1日目に終了点をチェーンタイプに交換し、カラビナ2枚をとりあえず残置。その3日後再び訪れるとその間は平日だったにもかかわらずきれいさっぱりカラビナはなくなっていた。まあ予想はしていたけどこんなに早く無くなるとはなと思いつつ、今度は終了点の一部であることを強調すべく結束バンドできちきちに固定し、ヤマタケ作製の注意点を記したカード(写真)をチェーンにつけた。今度は大丈夫だろうと新しいロックビナを残置。しかし、その一週間後そのロックビナもあっと言う間になくなってしまったいたのである。このときのD助の落ち込みようといったら無かった。私もこの日は整備する気が失せた。結束バンドから強引に抜き取ったあとを見ると間違って回収したとかは考えられない。あきらかに取ろうとして盗っている。だったらいっそのことFIXEのチェーンごと持っていけばいいのにと思うがそこまではやらないようだ。(やらないか普通)
 このビナや、終了点はみなさんの会費で買ったものだ。それが、当然会員ではないであろう誰かによって持ち去られるというのはまったくもってやるせない気持ちになる。
 それから、やはり気になるのが、終了点リング直がけトップロープ軍団だ。これは、カードを付けなかったJ山ではかなりの人がやっていた。まあ、そうすればいつでも回収できるし気持ちはわかるけど、リングは減るし、他ルートと共有の場合とかロワーダウンできないわけだからやめましょうね。でも、これ読んでる人はすでにそんなこと百も承知なんだよね、読んで欲しい人ほど読まないんだよな、FFみたいなこういう雑誌って・・。
 終了点のセットは難しいことは何もない。それぞれのハンガーにヌンチャクを1本ずつかけてロープを通すだけでいいのだ。よくわからないのが支点を自分で作っておきながらも、リングにも通しちゃってる人。リングや残置ビナは最後に回収するとき以外は空けておいて下さい。
 さあ、というわけでルート整備もまだ始まったばかり。最近整備したルートは別紙の通りだが、まだまだほんの一部。これから城ヶ崎や小川山、そして鳳来と手をひろげていかなければならない。この辺で支点整備の方針をあきらかにしておく必要があるだろう。

ただし、これは私が勝手に考えたもので、JFAの総意ではないので念のため。

1.終了点について
 スリングなど貧弱なものの場合はチェーンタイプにうち変える。
問題は場所だが、基本的にオリジナルの位置を尊重する。
 しかし、ルーフなどでイグジットムーヴがあきらかにそのルートの一要素であり、
そのために終了点を高くしたことによって、深刻なロープドラッグやリップとの擦れなどを起こす場合(以前の「鳳来/クライミングショウ」など)は、初登者と話し合いの末、終了点の位置を変更する。

 そのために、そのルートのオリジナリティが失われてしまう場合は、新規トポや、各メディアなどを通じて「このルートは最後はたちこんで終了とする」といったように情報を伝えることで対処していく。
  
2.プロテクション用のボルトについて
・アンカー
 10mm以上のステンレスで、錆や変形の発生がなく確実に打たれているものならそのまま使用することも考えられるが、それ以外は打ち替え。ハンガーは変形や腐食したものはもちろんだが、形状自体が危険なもの(不必要に大きい、バリがあるなど)も交換したい。
 しかし、比較的やわらかい岩質や、城ヶ崎など腐食の激しいエリアのものは、ケミカルに打ち直す。
・数
 よっぽど理不尽な理由でランナウトを強要するものでなければ、例えロングフォールの危険があろうとも、初登者の意向を尊重し打ち足しは行わない。
(逆に数が不必要に多い場合は、撤去することはありえる)

・場所 
 やはり、場所は基本的にオリジナルの位置を尊重する。ケミカルの場合はできるかぎりオリジナルのボルトを撤去し、その穴を利用して設置する。

同じ場所に打てない場合は、最低でも20cmは離す必要があるので、多少の位置の変更は
 初登者に了承してもらう。また、ロープの流れや岩質の問題上、オリジナルの位置から大きく離れてしまう場合も同様。

 しかし、オリジナルの位置が次の場合は積極的に位置を変更する。

1.あきらかな設置場所のミス
2.最初からドローやスリングが、かかっていることが前提になっている位置決め
3.あきらかに「とりあえず」の位置決めで、それが習慣的に使われてきた場合
4.本来のルートとは無関係な、不自然なクリップムーヴを強いられる場合

以上に該当しないのであれば、そのルートの本質と初登者の意向を尊重し、例えロングフォールの可能性があろうとも大幅な場所の変更は行わない。

初登者が、位置の変更を依頼してきた場合はその限りではないが。

・ボルトや終了点のカモフラージュ

 全ての人工的支点は、一般観光客やハイカーに目立たないよう、
岩と同色にペイントすることなどにより、「適度に」カモフラージュする。

(「適度に」というのは、目の前にあってもわからない位見事にカモフラージュ
されるのも、それはそれで問題だから)


ーーーーーーーーーー以上引用終わり

■ まとめ

昔のクライマーの考え方 

方針
1)ルートを整備するということがあまり好きでない
2)初登者のこだわりとか主張とかが感じられる
3)終了点はなくてもいい
4)終了点は登るためには必要ない

影響を受けた岩場
1)ヨセミテ
2)ジョシュア・ツリー

当時の考え方の結果
ルートは、自分の事しか考えず、どうしても最低限の物資で作られている


《現在の考え方》

現状認識
1)時代は流れている
2)上から開拓されたルートなら、ボルトは新しくて頑丈なのに越したことはない
3)つまりグラウンド・アップで打たれた訳でもないのに、その貧弱なボルトを使い続ける理由はない
4)レッジ・トゥ・レッジのクライミングの発想どころか意味も薄られてしまった
5)終了点のないルートはルートでない
6)講習会で使っているエリア
7)グチャグチャな汚いスリングの終了点が美しくない 
8)ステッククリップOK
9)現代のルート整備は、”整備”ではなく、”岩場美化”であり、”岩場再生”。

影響を受けた岩場
・鳳来
・城山南壁

現在の考え方の結果
カモフラージュされたボルトときれいな終了点

■ 文章から抜き出したあるべき姿

1)シーサイドや二子、鳳来のように、ある程度フリークライミングのことが分かっている人が行く岩場なら何の問題にもならないようなことが、幕岩ではおこっている。

→ 上級者の岩場と入門者の岩場は分けるべき

2)対物ビレイ全盛の、リングボルト1本で対物ビレイしていた輩に注意した藤原雅一氏が、「アルパインやったこともない人にそんなこと言われたくないね。」と罵られたというのは有名な話

→ 九州でも支点ビレイをするクライマーが時代遅れとは気が付いていない。危険だと指摘されても、言うことを聞かない人は昔の山岳会の自慢話をする。

3)生と死の分岐点博覧会状態

→ ノーモアスリング活動

4)終了点のビナは持って行かれてしまうんですね、これが。ひどかったのは幕岩の「蟻さんルート」周辺の終了点

→ 終了点のビナを持って行かない →残置ビナ文化を辞め、結び替え習得させる

5)やはり気になるのが、終了点リング直がけトップロープ軍団

→ ぬんちゃく2本で終了点を作る

■ 方針のまとめ

1.終了点=チェーンタイプ
2.ルーフは要注意
深刻なロープドラッグやリップとの擦れなどを起こす場合、初登者と話し合いの末、終了点の位置を変更する
3.変更がない場合「このルートは最後はたちこんで終了とする」といったように情報を伝える
  
4.プロテクション用  最低10mm以上のステンレス もしくは、ケミカル
5.ロングフォールの危険=OK (※グランドフォールの危険ではない)

6.位置変更
 1.あきらかな設置場所のミス
 2.最初からドローやスリングが、かかっていることが前提
 3.あきらかに「とりあえず」の位置決め
 4.不自然なクリップムーヴ

7.ボルトや終了点は「適度に」カモフラージュする。

以上、まとめ終わり。

■ 考察

印象に残っているのは、やはり、レッジToレッジを基本としなくなったクライミングスタイルのことです。終了点でローワーダウンすることが前提だと、ルーフでロープドラッグが起こってしまい、下からビレイするスタイルだとロープがこすれて危険です。その場合、リードフォローで上で確保したほうが安全です。

去年はしばらくアルパインのオールドクライマーと登っていましたが、オールドクライマーはルート整備をしてくれたとしても、登り方のスタイルが現代のクライマーのスタイルでは、登らないので、ルーフの後に終了点を作ると、ロープがこすれてアブナイ、という発想自体が持てないのだと思います。



杉野保さんの事故死

今日は朝から衝撃のニュースでした…杉野保さんの伊豆でのフリーソロ中と思われる事故死の話。

1)いくら慣れていても、フリーソロは危険
2)単独でなければ発見が早く、命拾いしたのかも?
3)簡単なところだから、ロープをつけないでいたのか?トップロープソロならよかったのでは?

などなど…疑問が浮かびます。

思い起こすのは、青ちゃんの湯川でのトップロープソロ中の懸垂失敗による墜落事故。
1)近所に他パーティがいたのに、見えない場所で発見してもらえなかった点。
2)アイスベテランだった点。
3)携帯電波が入らない湯川…。
4)ソロ登攀中

パートナーがいないと、事故の場合、見つけ出してもらえないという問題があります。

■ 杉野さんこそ、本物のクライマーだったようだった…

私は杉野さんは面識がないのですが、行列ができるクライミングガイドと伺っていました…。

一度お会いして、クライミングへの考え方、などの伝授されたいというか、感化されたかったなぁ…。

素晴らしい岳人だったそうです… 面識を得る前にお会いすることは叶わない人になってしまった…。

杉野さんの思想を知りたいと思い、OldButGoldというロクスノの連載記事を探しています。

お持ちの方、どなたか貸していただけないでしょうか…


2020/03/04

クライミングにおける女性性vs男性性

■ハーネスすら買えなかった話

俺が始めたときは、ハーネスを買う金すらなかったぞ、というスティーブ・ロングさんの話が回ってきました。

ハーネスは今でこそ、基本装備とされていますが、アルパインの基本からスタートすると、最初のスタートは、簡易ハーネスです。つまり、簡易ハーネスで登れるところしか登らない。要するに、そんな易しい、緩やかな、傾斜しか登らないって意味です。ちなみに簡易ハーネスに落ちると、かなりおまたが痛いハズです(笑)。

■ベイビーステップの遵守

ベイビーステップというのは、小さい小さいステップと言う意味です。

多くの現代クライマーに、私が、成長を拒否しているように見えているか、と思いますが…、5.9を十分にやることなく、ジムでクライミングスキルだけをあげ、クライミングピラミッドの底辺が狭ーい状態で、5.11に進むことに抵抗しているだけで、成長そのものにNoと言っているわけじゃないんですよ…

でも、まぁ今は怪我の回復期で、成長期ではないです。

どんなことでも、成長プロセスにおいて、事故や怪我を最小化する手法は、ひとつひとつの成長ステップの幅を非常に小さくする、と言うことだと思います。

まあ、時には大胆な手法も必要ですが、それはたまに、で、平素はベイビーステップです。

■ 女性性vs男性性

その幅が、男性から見たら、どんだけ小幅やねん!みたいになっているとは思いますが、まぁ仕方ないですね、それが女性らしさと言うことなんで。繊細さです。

結果、”できないです、できないです、と言いながらできる”、っていうことになりますが、それが安全につながる姿勢で、”できる、できる、って言いながらできない”、のがクライミングでは一番、危険です。これ、大胆さ、ということで、男性性、です。

去年、夏に、佐久でそんな初心者に会ってめっちゃ腹が立ちました…50代女性です、なんでも、行く行くって…。でも一般に”イケイケクライマー”のほうがクライマー間には評判が良いです。その人は他者から評価を受けるのがうれしくて、そう行動していたみたいです。

”行く”って気持ちが自分の、”行く”っていう気持ちなのか、それとも”他者が行け”と思っている”期待”に応えての”行く”なのか?気を付けましょう。

周囲も、チャレンジを応援しすぎないようにしましょう。

チャレンジ精神というよりも、教えるべきなのは、

 リスクとチャレンジの兼ね合い、

みたいな部分です。大体2グレードですよ。

私は、できないと明らかに分かっているリードを取りたがる人は評価しません。また、ビレイヤーを選ばないで登る人も評価しません。

■ 資金乏しく、物事を始める

スティーブさんは、資金乏しく物事を始めることの美点を語っておられます。

事例としては、今の時代、なんでもかんでも、ドメインドメインで、売れてもいないのにドメイン代金払っている人を見ると不思議に思います。

そんなの売れてからやればいいことなのに…。資金にゆとりがある人のやり方で、やらないで、ゼロでやれることからやるというのが、色々なリスクの取り方を覚える手段です。

なので、たいていの起業家は最初は2足の草鞋です。じゃないとリスクの取り方が分かるようにならない…と思います。

クライミングでは必須と言われるハーネスすら、実はなくても、クライミング自体はスタートすることができます。

ロープがなくても、ボルダーができる。
シューズがなくても、肌足クライミングという手もあります。
チョークは、大体は冗長なので、なくても可能。

まぁアイスクライミングでアックスがないとか、無理!ですが、ほぼ要ると言われているものは、ナシで実践可能ですので、小さくスタートすると

その装備で可能なこと、

に目が行くと思います。事業も同じで、今ある資源でできること、に目が行くと、

ある

に目が行き、

ない

に目が行かなくなると。そこが本当のスタートでは?

2020/03/02

ミクロトワンソンとめちゃうまの無農薬トマトジュース…

■ パーティ自立の掟、という囚われ
 
実は、アイス初年度で、鈴木さんと言う師匠さんに、初めて湯川に連れて行ってもらったとき、私は、靴を忘れて行ってしまい、結局、登れなかったんです。この時は、いつも畑用に入れていた長靴で対応。

その時、ミクロトワンソンで、保科ガイドが講習していて、そのかわいそうな私を見て、トップロープを貸してくれるって言ったんですよね…。

ところが、師匠の鈴木さんがそれを断っちゃったんです…(><)。なんで~?!

私のことを覚えていてくださったのだと思い、私はロープを借りたかったのですが…。保科さんのガイド講習で私はアイスをスタートしたので、講習生特権発令の大チャンスだったのに…。

どうも、他パーティからロープを借りるのはいけないという、パーティ自立の掟?が、あるらしいという気配でした。

■ リード至上主義という檻

この写真の時のミクロトワンソンは、
危なくて登れない系です…ほかの時も、下地が水たまりで、微妙。

しかも、その後に一緒に行っていた師匠はアルパイン系の人だったので、リード至上主義なので、下地が悪くても、歩いてトップロープ張れるというのが、ミクロトワンソンの美点なのに、リード以外ダメって人で、もうビレイヤーの私は大変でした…。

水たまりビレイ。むしろ、この時、長ぐつを掃きたかったですよ…(><)。

私にもリードを強要したので、水たまりのため、ビレイヤーが離れる位置に立つミクロトワンソンは登っていない…。

当時は、トップロープソロの方法を教えてもらっていませんでした。

最初の師匠の鈴木さんは、クライミングは遊び、という割り切りがある人で、伝丈沢アイスでは、滝つぼが解けたアイスを二人でトップロープで遊びました。ビレイは滝上からです(笑)。マルチのセカンド確保と同じですよ。

一緒に行っている相手が反対だったらよかったのに。

ので、私の未練の一つミクロトワンソン。

2度までも、師匠らが、自ら入っている檻のために、登れなかった記憶のアイス。

■ 俺なんて平凡クライマーという檻

これとトマトジュースがセットになるのは、これも

”自ら入っている檻”

を思い起こさせる事件だから…。

このトマトジュース、某ギリギリクライマーの方が作ってくださった無農薬トマトジュースなんですよね…。

師匠の宴会に、その超有名、厳冬期黒部横断の方が来るというので、自分が知る限りの甲府の若いクライマーに声を掛けたんですが、誰も来ない…。 

私が言っているチャンスがチャンスと分かる人がいなかったんですよね。ギリギリの人に会っても、私みたいな初歩をやっているクライマーだと、出会いを生かせないというか…。

せっかく、未踏のルートを登るときにどういう作戦をしたらいいか?聞けるチャンスなのに…

でも、今のクライマーが興味があるのは、未踏のところに行くことではなく、自分がどうやってグレードピラミッドを上がるか?のほうなんですよね… 

欲しいのは、周囲から尊敬と自分の力を試したい!のほうが主たる動機だからなぁ…。知らないところに行きたい!って人は少ない。

…というので、おいしい無農薬トマトジュースを持ってきていただきましたが、私みたいなチンチクリンの人がおいしくいただくことになったのが象徴的でした…。行っておきますけど、私はおこぼれを頂戴しただけですからね。

私が幸運に恵まれているのは、

入っている檻

が、ただ少ないから、かもしれません。

2020/03/01

外ボルダーデビュー対策

■読了『みんなで子育て』くらし編

これは良書でした☆  https://japama.jp/chioichiran/

クライミング=遊び。

遊びの中にいかに危険を上手に持ち込むか?

という問題意識で読みました。

私は子供たちにクライミングの愉しみに接してもらいたいな、とも思うからです。

■ 危険は避けるものではなく、コントロールするもの

私は子供には危険を伴う遊び…遊びじゃなくても、例えば、

・ストーブに火をつける、
・包丁で何かを切る、

など…させるタイプですが、その際の注意は?

子育てのプロはどう言っているのでしょうか?

■ 大事なことだけを教える

何をしたら致命的なのか?

を教えておくということです。

子供の場合は、

それが定着するまで、大人が一緒にプレーする。

■ ビジョナリーカンパニーでも…

これは同時に読んでいた『ビジョナリーカンパニー4』で出てくるアムンゼンとスコットのエベレスト登山隊でも同じです。片方は成功して、片方は失敗するのですが、

戦略的悲観主義

というもので、

1)一番起きてほしくないこと、を想像して、備えておく
2)それ以外は何をやってもオッケー

という態度のことです。

■ 外ボルダーへも応用すべき

外ボルダーでは、一番起きてほしくないことは、

 着地で失敗して足を怪我する、
 頭を打つ

などです。なので、外ボルダーに行く際には

1)着地の練習

が、あってしかるべきでしょうね。

インドアでも、アウトドアでも、ボルダリングで、落ち方を最初に教えている人、いますかね?いませんね?

■ 故・吉田さんの教え方

ちなみに吉田さんは私にボルダーを紹介してくれた時は、

 最初にマントリングばかり

やってくれました…。マントルでの失敗が一番多いからです。

■ ボルダーは、スタイル不問=ちょっと、ずる??

ボルダーは、今のところ、登れたか?登れなかったか?の二者択一しかありません…が、もし、スタイルの優劣がありうるとしたら? おそらく
 どんどん、マットを少なくするゲーム、

が成立するのかもしれません。そうしたら、今2段の人も2段は登れないかもしれませんね。クライミングは伝統的に安全マージンの薄さに迫っていくゲームなので。

いまんとこ、ノーマットって言うルールは、一部のゲテモノ好きの人の嗜好とされていますが…(笑)、クライミングというゲームの正当な一面である、ということは否めません。

自分に取れるリスクは何か?そのリスクコントロールの兼ね合いが、だいご味、ってことです。

だいご味では合っても、ブイブイ言わせる、とは違うので、要注意です(笑)。

■ まとめ

1)外ボルダーのリスクマネジメントは着地
2)着地は熟練するまで、大人がついて練習する
3)マントリングも熟練するまで練習する
4)登る課題は自分で選ぶ (リスクテイキングのトレーニング)