3回目のインスボンでは、いつも私のニーズを後回しにされるのに、懲りていたので、あらかじめ行きたいルートを告げて行っていた。しかも、いく少し前に膝を脱臼し、歩くのすら、やっとこさ…クライミングは登るのはいいが、アプローチの下りが膝に来るというので、アプローチが…となっていた…。
さんざん事情を説明したのに、ショックなことに、また相方の行きたいところに騙されたように連れていかれてしまった…しかも通常より困難なアプローチで…。ええっ?! 昨日まで、お腹いっぱい登って遊んでいたのに、まだ”私の番”は来ないの?
翌日は喧嘩別れした。あることを誘われ、嫌だと言ったら、向こうから姿を消したのだ。
何を嫌だと言ったのか言えば、誰だってそりゃ嫌だと思うだろうと思う。というので、私の番、がこないパートナーと登るのは…今後は辞めたい。
■ グランドアップ=本チャンの命
さて、クロステオテ沢だが、ネットに記録が出ており、そのブログ主から今回アップデートの山行報告があった。パートナーゲットも含めて数年かかりで取り組んでおられ、好感が持てる記事内容だ。グランドアップにこだわり、敗退を重ねながら、じわりじわりとザイルを伸ばしていく…
なんでも瞬時に手に入る現代、このようにすぐに手に入らない世界があってもいい。というか、そのほうが私は好きだ…
雪の権現に通っていた時は、大体三ツ頭までしか到達できず、何度も敗退を重ねていた…やっと登れた時は春山で…日が長くなったから登れただけだったんだが…山頂の雪は解け、技術的にはむしろ難しくなっていたように思う…でも、この山に通っているときは本当に楽しかったな。何回通っただろう?たしか7回目で登れたんだっけな…
権現は八ヶ岳では難しいほうに入る。赤岳はテクニカルだが、距離が短く、人けが多いので、あまり力にならない上、リスクテイキングですらない。フリーみたいな入門雪山だ。
赤岳で息切れするようではアルパインは無理。権現はテクニカルな部分はないが、長い。小屋もないのでリスクが大きい。
ので、権現を済ませて赤岳に行けば苦しいことは何もない。逆は大いに苦しむだろう…
初級の山から少しづつ難度をあげ、安心領域を増やし、ついには、敗退せずには成し遂げられない課題を見つけ、そして、何度も敗退を重ねて勝ち取る…そういうアルパインの本質的なところをやるのが楽しいことだ。
オンサイトから、レッドポイント的な山へ…というか‥‥
そこで残念なのがラッペル… ラッペルというのは、クライマーには、麻薬と同じことだ…甘い誘惑。
ラッペルで下って、一度でもルートを見てしまえば、下から登って初めて見るという光栄には、もうあずかれない…
でも、安心は増える‥‥
実際ラッペルなしにルートを引けない岩の課題も存在する。難しすぎて、グランドアップではプロテクションを打てないのだ。グランドアップでプロテクションを打ちながら登るには、岩ならリスやクラックが必要だが、クラックはまだしも、リスがある岩というのは、要するに脆いという意味だから、両立しない。結局のところ岩場の課題はラッペルでラインを引いて、そこを登るという楽しみを優先することにしたのだ。
だから、初登者はオンサイトしていない…再登する人は、プリいセットされているボルトを使える。だからオンサイトも可能だ。
オンサイトしたい、フリーで登りたい!という執着が、もはやないということが開拓者なのだろう…
ということに岩ではなっている…が