2021/06/18

360 Ascent 現代的なマルチピッチの話

 ■現代的なマルチピッチ

これはスポーツクライミングのマルチピッチの話です。一回目のトライで12時間かかっている。

https://climbers-web.jp/news/20210203-1/

13ピッチ、最も簡単なグレードで7b、6ピッチは8a以上で、最難は10ピッチ目で257m付近の8b+(5.14a)。

非常に現代的で、こういうのが、現代の若者にとっては、最適なチャレンジなのではないか?と思いました。

最適なチャレンジができないというフラストレーションは嫌ですよね。成長、ということにとって機会喪失。

スポーツクライミングですから、死ぬリスクはなく、やたら困難…8Aとかです。

その代わり、ロング…かなーり長い。体力の限界を試される、ということです。オールアウトできる。短いルートが達成出来たら、次はそれを長くしていく、という意味で、クライミングの伝統を踏襲しています。

■通常のマルチとの違い

スポーツクライミングのマルチなので、リードがフリーなのは当然ですが、セカンドもフリーにこだわって登る。

伝統的なアルパインのマルチでは、スピード重視ですので、リードもセカンドも、エイドを許容しています。そうではなく、フリーにこだわるマルチというのが特徴。

■ そんなデカい壁どこにあるの?

こんなマルチが作れるキャンバスをどこに求めるか…ですが、ダムの壁とか、そんなくらいですかね…?でかい人工的なコンクリートの壁っていうのが…。クライミングのためにわざわざ作るっていうのは、今のところありそうにないですし…。

■ 子持ち有段クライマーも、これなら満足するのでは?

私は先輩に2段登れる人がいるのですが、アルパインは生死が関わるので、子供が生まれてから、彼は困難を追求するアルパインはしなくなりました。リスクの低い、富士山の春山スキーか、太刀岡左岩稜みたいな易しいマルチのみ。スーパーアルパインへ進む素養もあった人で、中国の未踏峰まで踏んでいますが…生死を掛けるクライミングって、社会人生活と両立しないですよね…。

この煙突高難度マルチだったら、彼でも登れる。

現代の高度に上達したクライマーが、挑戦でき、達成感を感じるには、こんなルートがいいのではないか?と思いました。

スポーツのマルチなので、何か事故があるとすれば、単純に自分のポカミスです。


https://www.redbull.com/jp-ja/films/360-ascent?autoplay=true

■メモ

「スタート前は少し怖かった。オーバーハングした壁と比べると、このような垂壁の場合、落下してロープが止まる前に壁やホールドにぶつかる可能性がある。だからその恐怖心をなくし、リラックスできるまでには何回か落ちる必要があった」

オリンピック選手でこういうのですから、私が怖いのは当然の反応ですね。